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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09B
管理番号 1238712
審判番号 不服2010-4177  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-09 
確定日 2011-06-13 
事件の表示 特願2004-249333「外国語と母国語を同時に聞く、外国語学習法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月16日出願公開、特開2006- 47937〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年8月3日の出願であって、平成21年11月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年2月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において、同年11月22日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知がなされ、平成23年1月31日付けで意見書の提出がなされたものである。

第2 本願発明
1 本願の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

「【請求項1】
ステレオヘッドホンを使用して、左の耳から外国語を、右の耳から母国語を同時に聞きながら、文字で表示された外国語を目で追う外国語学習方。」

2 上記1の「外国語学習方」が、「外国語学習法」の誤記であることは明らかであるから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、次のとおりのものであると認められる。

「ステレオヘッドホンを使用して、左の耳から外国語を、右の耳から母国語を同時に聞きながら、文字で表示された外国語を目で追う外国語学習法。」

第3 引用刊行物及び引用発明
当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平5-217321号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

1 「【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は学習方法の説明図であり、左右2チャンネルの記録再生が行える記録担体である磁気テープカセット(1)を備え、絵本(2)の同一の絵に基づく同一意味の日本語と外国語(英語など)を音楽(情緒安定効果がある特定周波数のBGM)と共に前記カセット(1)に記録させるもので、日本語または外国語のいずれか一方の音レベルを最も大きくし、音楽の音レベルを最も小さくし、異なる音レベルの日本語と外国語を異なる再生チャンネルで最小音レベルの前記音楽と共に同時に再生可能に記録させ、前期学習用と後期学習用の2種類のカセット(1)を形成する。
【0007】そして、前期学習用のカセット(1)には、最も大きい音レベルで右チャンネルに日本語を記録させ、日本語よりも小さい音レベルで左チャンネルに外国語を記録させ、外国語よりもさらに小さい音レベルで音楽を左右チャンネルの両方または一方に記録させるもので、前記カセット(1)を装着して再生させるテープレコーダ(3)にヘッドホン(4)を接続させ、ヘッドホン(4)の右側スピーカ(5)からの最大音レベルの日本語を、右の耳(6)から言語を理解する左脳に伝え、目(7)で絵本(2)の絵を見ながら日本語を理解させ、また日本語よりも小さな音レベルでヘッドホン(4)の左側スピーカ(8)から生じる外国語を、左の耳(9)から音感を理解する右脳に伝え、日本語を主として外国語及び音楽を共に聴かせる前期の学習を所定期間行わせ、絵と日本語に関連させて外国語を殆んど無意識に記憶させる。」

2 「【0010】さらに、図2は他の実施例を示すもので、図1の絵本(2)及びテープレコーダ(3)に代え、映像を再生するモニタ(10)及びビデオディスクプレーヤ(11)を使用するものであり、左右2チャンネルの音声並びに映像を記録させる記録担体であるビデオディスク(12)を備え、上記磁気テープカセット(1)及び絵本(2)と同様に、絵本(2)の絵に相当する静画または動画などの映像と、モニタ(10)に再生される映像に基づく同一意味の日本語と外国語を、音楽と共に、前記ディスク(12)に記録させるもので、上記実施例と同様に、前期学習用と後期学習用の2種類のディスク(12)を形成し、前期と後期の学習を行わせるものである。」

3 上記1及び2から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ヘッドホンの右側スピーカからの最大音レベルの日本語を、右の耳から言語を理解する左脳に伝え、目で絵本の絵又はモニタの映像を見ながら日本語を理解させ、また、日本語よりも小さな音レベルでヘッドホンの左側スピーカから生じる外国語を、左の耳から音感を理解する右脳に伝え、日本語を主として外国語及び音楽を共に聴かせる学習を所定期間行わせ、絵又は映像と日本語に関連させて外国語を殆んど無意識に記憶させる方法。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「『右側スピーカ』から『日本語』を生じ、『左側スピーカ』から『外国語』を生じる『ヘッドホン』」、「『外国語』に対する『日本語』」及び「外国語を殆んど無意識に記憶させる方法」は、それぞれ、本願発明の「ステレオヘッドホン」、「母国語」及び「外国語学習法」に相当する。

2 引用発明の「外国語学習法(外国語を殆んど無意識に記憶させる方法)」は、「ステレオヘッドホン(ヘッドホン)」の右側スピーカからの最大音レベルの「母国語(日本語)」を、右の耳から言語を理解する左脳に伝え、目で絵本の絵又はモニタの映像を見ながら「母国語」を理解させ、また、「母国語」よりも小さな音レベルで「ステレオヘッドホン」の左側スピーカから生じる外国語を、左の耳から音感を理解する右脳に伝え、「母国語」を主として外国語及び音楽を共に聴かせる学習を所定期間行わせ、絵又は映像と「母国語」に関連させて外国語を殆んど無意識に記憶させる方法であるから、引用発明の「外国語学習法」と本願発明の「ステレオヘッドホンを使用して、左の耳から外国語を、右の耳から母国語を同時に聞きながら、文字で表示された外国語を目で追う外国語学習法」とは、「ステレオヘッドホンを使用して、左の耳から外国語を、右の耳から母国語を同時に聞きながら、外国語に関連する所定の物を目で見る外国語学習法」である点で一致するといえる。

3 上記1及び2から、本願発明と引用発明とは、
「ステレオヘッドホンを使用して、左の耳から外国語を、右の耳から母国語を同時に聞きながら、外国語に関連する所定の物を目で見る外国語学習法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
前記外国語に関連する所定の物を目で見ることが、本願発明では、「文字で表示された外国語を目で追う」ことであるのに対して、引用発明では、「目で絵本の絵又はモニタの映像を見」ることである点。

第5 判断
上記相違点について検討する。
1 外国語の文や単語を見ながら、その外国語の音声を聞いて、その外国語を学習する方法は、本願の出願前に周知である(以下「周知事項」という。例.実願昭62-43232号(実開昭63-150974号)のマイクロフィルム、特許第2648153号公報参照。)から、引用発明において、外国語に関連する絵又は映像として、その外国語の文や単語を含むものを用い、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知事項に基づいて容易になし得た程度のことである。

2 効果について
本願発明の奏する効果は、当業者が、引用発明の奏する効果及び周知事項の奏する効果から予測できた程度のものである。

3 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-25 
結審通知日 2011-04-05 
審決日 2011-04-18 
出願番号 特願2004-249333(P2004-249333)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 桐畑 幸▲廣▼
菅野 芳男
発明の名称 外国語と母国語を同時に聞く、外国語学習法  

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