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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1239130
審判番号 不服2010-8222  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-19 
確定日 2011-06-23 
事件の表示 特願2004- 4574「光電変換装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月21日出願公開、特開2005-197608〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成16年1月9日に特許出願したものであって、平成19年1月4日に手続補正がなされたが、平成22年1月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月19日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成19年1月4日付け手続補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項3に係る発明は、次のとおりのものである。

「透明絶縁性基板上に、第1透明電極と、p型シリコン層、i型シリコン層及びn型シリコン層からなるpin構造またはnip構造のアモルファスシリコン層と、第2透明電極と、裏面電極とを少なくとも順次積層してなる光電変換装置において、前記第1透明電極および前記第2透明電極の少なくとも何れか一方は、Gaが添加されたZnO層とされるとともに、550nm以上の波長域で95%以上の透過率とされ、前記Gaは、Znに対して2原子%以下とされていることを特徴とする光電変換装置。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-338623号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の記載がある(下線は、審決で付した。)。

「【0002】
【従来の技術】モノシランガスなどのグロー放電分解や光分解により形成される非晶質シリコン(以下a-Siと略す)薄膜は、気相成長法によって得られ、大面積化が容易であるため、低コスト太陽電池の光電変換層に用いられる。効率向上のためには、光電変換層に入射する光の量が多いことが望ましい。このため、半導体薄膜と背面金属電極の界面での光の反射量を増大し、太陽電池の効率を向上させるために波長0.3?2μmの光に対して高い反射率を示す銀等を背面電極として用いることが一般的であった。しかし銀をシリコン半導体層上に直接形成し、背面電極として用いても、銀電極層とa-Si層との接合界面が合金化し、金属電極表面の光沢が喪失されるため光反射特性が低下するという問題が存在した。
【0003】そこで、特公昭55-108780号公報に示されているように、光反射特性の低下を防ぐことを目的としてa-Si層と背面金属電極間に酸化インジウム-酸化錫の混合物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電層を介在させる方法が提案された。この方法はa-Si層と背面金属電極層を合金化が起らない程度に隔てるものであるが、背面金属電極によって反射した光をa-Si層に入射させ、なおかつ太陽電池の直列抵抗成分を大きくしないために介在する透明導電層は必然的に高透明性かつ高導電性である必要がある。高透明で導電性の大きいITO,ZnO膜を作製するためには基板温度をある程度高くする必要があるが、太陽電池のa-Si層は高温にすると熱劣化するため、前記a-Si層を熱で劣化させないためには透明導電層を200℃以下の比較的低い温度で形成しなければならず、従来技術で透明度が高く導電性の大きい膜を形成することは困難であった。
【0004】また、a-Si層と背面銀電極層の間に透明導電膜を介在させると太陽電池の電圧-電流曲線において曲線因子が大幅に減少するという問題が発生した。この曲線因子の減少の程度は、透明導電膜介在による電池の直列抵抗成分の増加だけでは説明できず、透明導電膜の材質により変化することから、前記透明導電膜は特定の材料である必要があると推定されるが、この問題に関しては従来検討されていなかった。
【0005】さらに、従来の方法においてITOや3価のドーピング元素を含有するZnOを透明導電層として用いた場合には、InやAl等の3価の元素がa-Si層へ拡散するためa-Si半導体の特性が劣化し、電池の光電変換効率が低下したり長期信頼性が低下する等の問題も予想された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が有していた前述の欠点を解消し、a-Si膜上に低温で形成しても背面金属電極の光沢を残存せしめ、背面金属電極によって反射した光をa-Si層に効果的に再入射させ、且つ、太陽電池の曲線因子の減少を防ぎ、同時に3価元素のa-Si層への拡散が生じない安定な薄膜太陽電池用電極を使用することにより、光電変換効率が高く、同時に信頼性の高い太陽電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解決すべくなされたものであり、透光性絶縁基板上に透明導電膜、非晶質シリコンを主材料とした光電変換層、背面電極を順次積層してなる薄膜太陽電池において、光電変換層と背面電極の間にガリウムを含有する酸化亜鉛層を介在させたことを特徴とする薄膜太陽電池を提供するものである。
【0008】さらに本発明は、前記酸化亜鉛層が亜鉛に対して0.5原子%以上12原子%以下のガリウムを含有する酸化亜鉛層であることを特徴とする薄膜太陽電池を提供するものである。
【0009】すなわち本発明は、a-Siが熱劣化を引き起こさないような低温で作製しても透明度が高く導電性が大きく、且つ含有元素のa-Si層中への熱拡散が起りにくいZnO層をa-Si層と背面金属電極の間に介在させることにより、背面金属電極の光沢を残存せしめ、背面金属電極によって反射した光をa-Si層に効果的に再入射させ、なおかつ太陽電池の曲線因子の減少を防ぐことで前述の課題が解決された高効率で信頼性の高い太陽電池を提供するものである。
【0010】本発明に従い、ZnO透明導電膜中のガリウム濃度を原子比で0.5%以上、12%以下に制御すれば、高い透過率を保ちながら比抵抗値が2×10^(-4)Ω・cmの膜をa-Si層の熱劣化の起らない低温で形成することが可能である。さらにこのZnOを太陽電池のa-Si層と背面金属電極の間に介在させても太陽電池の曲線因子の減少は見られない。このような特性を示すZnOへの添加元素はガリウムに限定される。すなわち、亜鉛に対して0.5%以上12%以下の範囲のガリウムを添加することにより上述の欠点を解消した太陽電池を提供することが可能である。
【0011】
【作用】本発明になる太陽電池の構成に示されるように、a-Si層と背面金属電極の間に介在させるZnO膜中のガリウム濃度を前記のごとく制御すれば、a-Si層の熱劣化がおこらない200℃以下の低温でも透明度が高く導電性の大きな高品質のZnO膜を作製することが可能となる。さらにZnO層の介在により背面金属電極とa-Siが隔てられているために合金化が起らず、背面金属電極の金属光沢は保たれる。また、ZnO層の透明性が高いため、反射により光電変換層へ再入射する光の量が増大する。
【0012】また、前述したように、従来からa-Si層と背面金属電極層の間にある種の透明導電膜を介在させると太陽電池の電圧-電流曲線において曲線因子が大幅に減少するという問題が存在していた。この曲線因子の減少は透明導電膜介在による電池の直列抵抗成分の増加を考慮しても説明できないことから透明導電膜の介在によりa-Si層/透明導電膜界面あるいは透明導電膜/背面銀電極界面に新たに電気的なバリアが形成されたために生じたと推定される。これに対して本発明の太陽電池においては曲線因子の減少は見られなかった。すなわち本発明の太陽電池においてはa-Si層/透明導電膜界面もしくは透明導電膜/背面金属電極界面に電気的なバリアが形成されることはない。」
「【0014】
【実施例】以下本発明の実施例について図表を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明になる薄膜太陽電池の要部の断面構造を示したものである。この太陽電池は次のようにして作製された。ガラス基板1上に透明電極2としてSnO_(2) を常圧CVD法で製膜し、その上にa-Si:H薄膜を用いてp-i-n接合を有する光電変換層3をプラズマCVD法により積層した。光電変換層3に用いるものはa-SiC:H、a-SiGe:H、a-SiN:H、a-SiSn:H等を挙げることができる。次いで、前記光電変換層3の上部にガリウム(Ga)ドープのZnO層4をスパッタリング法により約500Å形成した。スパッタリングは真空装置をあらかじめ10^(-6)Torr以下に排気した後、Arガスを0.01Torr導入して行ない、スパッタリングパワーは50Wとした。また、ZnO層中のガリウム含有量は亜鉛に対し0.5?12%、作製温度は室温(25℃)?200℃とした。ZnO層4の膜厚は、本実施例では500Åとしたが、膜厚が増大するほど光の吸収が増えるためZnO自体の特性を失わない程度に薄いことが望ましい。また、該ガリウムドープZnO層の形成方法に関しては特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理蒸着法やCVD法等の化学蒸着法が用いられるが、より低温基板温度で良好な導電膜特性が得られる物理蒸着法が好ましい。本実施例ではスパッタリング法として直流法を用いているが、これを高周波法で行ってもよいことはいうまでもない。最後に該ガリウムドープZnO層上に背面金属電極層5としてAgをスパッタリング法により約2000Å形成し、最終的に5×5mm^(2) の大きさの太陽電池を作製した。」
「【0021】次に、ZnOに含有される3価元素のa-Si層への熱拡散について調べた。ガリウム6%ドープZnO、ガリウム0.5%ドープZnO、ガリウム12%ドープZnO、ガリウム15%ドープZnO、アルミニウム(Al)3%ドープZnOのおのおのの透明導電層を室温、100℃、200℃で作製した場合の太陽電池の評価結果を表2に示す。表中の値はガリウム6%ドープZnOを25℃で作製した場合(実施例1)の値を1.00として相対値で示してある。
【0022】
【表2】

【0023】実施例1、2、3はガリウム6%ドープのZnOの例である。200℃においてもVoc,FFの減少は見られない。またガリウム0.5%ドープZnO(実施例4、5、6)、ガリウム12%ドープZnO(実施例7、8、9)においても同様の結果が得られている。」
「【0027】
【発明の効果】本発明は低温で作製しても透明度が高く導電性が大きくかつ安定であるという特徴を有するガリウムドープZnO膜を太陽電池の背面金属電極と前記シリコン半導体層間に介在することにより、背面金属電極の光沢を残存せしめ、背面金属電極によって反射した光をa-Si層に効果的に再入射させ、且つ、太陽電池の曲線因子の減少を防ぎ、同時に3価元素のa-Si層への拡散を防止するという優れた効果を有する。このため、光電変換効率が高く長期信頼性に優れた太陽電池を供給することが可能となる。」

4 引用発明
(1)上記3の【0007】によれば、引用刊行物には、「透光性絶縁基板上に透明導電膜、非晶質シリコンを主材料とした光電変換層、背面電極を順次積層してなる薄膜太陽電池において、光電変換層と背面電極の間にガリウムを含有する酸化亜鉛層を介在させた薄膜太陽電池。」の発明が記載されているものと認められる。

(2)上記3の【0014】によれば、上記(1)の発明における「非晶質シリコンを主材料とした光電変換層」は、例えば「a-Si:H薄膜を用いたp-i-n接合を有する光電変換層」であると認められる。

(3)上記3の【0008】によれば、上記(1)の発明における「ガリウムを含有する酸化亜鉛層」は、亜鉛に対して0.5原子%以上12原子%以下のガリウムを含有するものと認められる。また、上記【0010】の「ZnO透明導電膜中のガリウム濃度を原子比で0.5%以上、12%以下に制御」という記載によれば、上記「ガリウムを含有する酸化亜鉛層」は、「透明導電膜」であると認められる。

(4)上記3の【0010】、【0011】によれば、上記(1)の発明における「ガリウムを含有する酸化亜鉛層」は、高い透過率の層であると認められる。

(5)以上によれば、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認められる。
「透光性絶縁基板上に、透明導電膜、a-Si:H薄膜を用いたp-i-n接合を有する光電変換層、背面電極を順次積層してなる薄膜太陽電池において、光電変換層と背面電極の間にガリウムを含有する酸化亜鉛層の透明導電膜を介在させ、前記ガリウムを含有する酸化亜鉛層は、亜鉛に対して0.5原子%以上12原子%以下のガリウムを含有し、高い透過率の層である、薄膜太陽電池。」(以下「引用発明」という。)

5 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「透光性絶縁基板」、「透明導電膜」、「a-Si:H薄膜を用いたp-i-n接合を有する光電変換層」、ガリウムを含有する酸化亜鉛層の「透明導電膜」、「背面電極」、「薄膜太陽電池」は、本願発明の「透明絶縁性基板」、「第1透明電極」、「p型シリコン層、i型シリコン層及びn型シリコン層からなるpin構造またはnip構造のアモルファスシリコン層」、「第2透明電極」、「裏面電極」、「光電変換装置」に相当する。

イ また、上記3の【0014】によれば、光電変換層3の上部にガリウムドープのZnO層4をスパッタリング法により形成し、最後に前記ガリウムドープZnO層上に背面金属電極層5を形成することから、引用発明の「光電変換層」、ガリウムを含有する酸化亜鉛層の「透明導電膜」、「背面電極」は順次積層してなるものと認められる。
したがって、引用発明は、本願発明の「透明絶縁性基板上に、第1透明電極と、p型シリコン層、i型シリコン層及びn型シリコン層からなるpin構造またはnip構造のアモルファスシリコン層と、第2透明電極と、裏面電極とを少なくとも順次積層してなる」との事項を備えるといえる。

ウ さらに、引用発明は「ガリウムを含有する酸化亜鉛層の透明導電膜」を有することから、本願発明の「前記第1透明電極および前記第2透明電極の少なくとも何れか一方は、Gaが添加されたZnO層とされる」との事項を備えるといえる。

(2)以上によれば、両者は、
「透明絶縁性基板上に、第1透明電極と、p型シリコン層、i型シリコン層及びn型シリコン層からなるpin構造またはnip構造のアモルファスシリコン層と、第2透明電極と、裏面電極とを少なくとも順次積層してなる光電変換装置において、前記第1透明電極および前記第2透明電極の少なくとも何れか一方は、Gaが添加されたZnO層とされることを特徴とする光電変換装置。」
である点で一致し、以下のア又はイの点で相違するものと認められる。

ア 本願発明では、第1透明電極及び第2透明電極の少なくとも何れか一方の「Gaが添加されたZnO層」は「550nm以上の波長域で95%以上の透過率」とされているのに対して、引用発明では「高い透過率」とされる点(以下「相違点1」という。)。

イ 「Gaが添加されたZnO層」の前記Gaが、本願発明ではZnに対して「2原子%以下」とされているのに対して、引用発明では「0.5原子%以上12原子%以下」である点(以下「相違点2」という。)。

6 判断
(1)相違点2について
便宜上、相違点2についてまず検討する。
上記3のとおり、引用刊行物の【0014】には、実施例として、薄膜太陽電池のa-Si:H薄膜を用いてp-i-n接合を有する光電変換層3の上部に形成されたガリウムドープのZnO層4のガリウム含有量は亜鉛に対し0.5?12%とし、膜厚は500Åであることが記載され、同じく【0021】ないし【0023】には、実施例4、5、6として、ガリウム0.5%ドープZnOの透明導電層を作製した場合の太陽電池が記載されているものと認められる。当該記載から、引用発明において、酸化亜鉛層を亜鉛に対しガリウム0.5%ドープとし、膜厚を500Åとして、これにより相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点1について

ア 引用刊行物における、前記3の「背面金属電極によって反射した光をa-Si層に入射させ、なおかつ太陽電池の直列抵抗成分を大きくしないために介在する透明導電層は必然的に高透明性かつ高導電性である必要がある」(【0003】)との記載のとおり、太陽電池の透明導電層には高透明性かつ高導電性であることが求められるから、引用発明の「ガリウムを含有する酸化亜鉛層の透明導電膜」を一定程度以上の透過率のものとすることは、当業者が当然考慮することであり、具体的にどの程度の透過率のものとするかは、設計上適宜定められるべき事項である。

イ しかるところ、本願明細書の【0010】などの「したがって、このような変換効率が低下しない範囲でGa添加量を減少させれば、Ga添加量を減少させたことによる透過率の上昇によって変換効率が上昇することが期待できる。」との記載、また、引用刊行物の「膜厚が増大するほど光の吸収が増えるためZnO自体の特性を失わない程度に薄いことが望ましい」(【0014】)との記載によれば、Ga添加量を少なく、また膜厚を小さくすれば、Gaが添加されたZnO層の透過率は高くなるものと解される。

ウ そして、本願明細書には、「第2実施例による光電変換装置は、第3実施形態に基づいて作成した。具体的には、図3に示したように、透明絶縁性基板11側から光を入射するタイプで、アモルファスシリコン発電層33,34,35を1層備えたシングル型光電変換装置である。第2透明電極36のGa添加量は、Znに対して1原子%とした。第2透明電極36の膜厚は80nmとした。上記透明電極の透過率は、550nm以上の波長域で95%以上となっている。」(【0087】)との記載があり、Ga添加量がZnに対して1原子%で、膜厚が80nmの透明電極の透過率が95%以上であることが記載されているものと認められ、それ以上に、透過率を95%以上とするための構成について特に説明されるところはない。

エ ここで、上記(1)のとおり、引用発明において、酸化亜鉛層を亜鉛に対しガリウム0.5%ドープとし、膜厚を500Åとして、本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。これにより得られる酸化亜鉛層のGa添加量は、上記ウのGa添加量よりも少なく、また、当該酸化亜鉛層の膜厚は上記ウの膜厚よりも小さいものである。そして、上記イに照らせば、この場合の透過率は、少なくとも上記ウの透過率と同程度のものになることが推測されるところであるから、引用発明において酸化亜鉛層の透過率を550nm以上の波長域で95%とすることに、格別の困難を要するものではない。
なお、請求人も、平成21年1月19日付け意見書において、Gaが添加されたZnO層とされた透明電極の光透過率は、「Ga濃度と膜厚から決ま」る旨主張するところである。
したがって、引用発明において、ガリウムを含有する酸化亜鉛層の透過率を550nm以上の波長域で95%以上として、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

オ そして、本願明細書の記載をみても、具体的な設定値として、550nm以上の波長域で95%以上の透過率とすることに、格別の意義があるものということはできない。

(3)小括
以上の検討によれば、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-13 
結審通知日 2011-04-19 
審決日 2011-05-09 
出願番号 特願2004-4574(P2004-4574)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柏崎 康司近藤 幸浩瀬川 勝久  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 門田 かづよ
江成 克己
発明の名称 光電変換装置  
代理人 上田 邦生  
代理人 藤田 考晴  

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