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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1239652
審判番号 不服2010-4566  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-02 
確定日 2011-07-06 
事件の表示 特願2003-366938「拡散反射率読み取りヘッド」拒絶査定不服審判事件〔平成16年5月27日出願公開、特開2004-151099〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年10月28日(パリ条約による優先権主張 平成14年10月29日 米国)の出願であって、その請求項1ないし33に係る発明は、平成21年9月29日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないしに33記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】
対応する照射中心波長及び対応する照射許容差を含む、照射光路を画定する光線を発する第一の単色照射光源と、
前記照射光路中に配置された、対応するフィルタ中心波長及び対応するフィルタ許容差を含む帯域通過フィルタと
を含む照射光源であって、
前記フィルタ許容差が前記照射許容差の約半分以下であり、
前記フィルタ中心波長がほぼ前記照射中心波長から前記照射許容差を引いた値からほぼ前記照射中心波長に前記照射許容差を加えた値のほぼ範囲内にある照射光源。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物1には以下の事項が記載されている。以下、下線は当審で付加した。

刊行物:実願平62-185109号(実開平1-89761号)のマイクロフィルム
(1a)「実用新案登録請求の範囲
ステム上に接着した発光ダイオード素子をある特定の波長のみを透過させる光学窓を有するキャップで封止したことを特徴とする発光ダイオード。」(明細書第1頁4?8行)
(1b)「〔産業上の利用分野〕
本考案は発光ダイオードに関し、特に狭い波長帯の特定の波長の光のみを取り出す発光ダイオードに関するものである。」(明細書第1頁10?13行)
(1c)「〔考案が解決しようとする問題点〕
光学窓は、発光ダイオード素子の発光出力を極力取り出すような設計となっているので、広い波長帯域を透過させていた。また、発光ダイオード素子の波長帯域も広いものであった。通常はこれでよいが限られた狭い範囲の中心波長特性の発光ダイオードが必要な場合、これを発光ダイオード素子の波長帯域を狭めることで実現しようとすると、材料組成を精密に制御しなければならず、構造上も特別な工夫が必要で非常に難しい。また、同一ウェハ内でも素子特性(例えば発光中心波長)がばらつくため、歩留が低下してしまうという欠点があった。」(明細書第2頁4?16行)
(1d)「第1図は本考案の一実施例の縦断面図である。発光ダイオード素子1はInGaAs系の1.3μm波長帯のものである。発光ダイオード素子1はステム2へ装着されボンディングワイヤー3によりリード線4に接続されている。光学窓5としては、1.3μm波長を92%程度透過させ半値巾は約50nm程度のシャープに透過する多層構造のフィルターを用いて低融点ガラス6で容器キャップ7に接着している。・・・発光ダイオード素子の中心波長はウェハー内でも±10?20nm程度バラツキさらにウェハー間でも同程度バラツク発光ダイオード素子を光源用や波長多重等に用いる場合は波長バラツキの制約が厳しいため(例えば1.3±0.01μm)、そのままでは波長歩留の低下を来してしまうが、光学窓としてフィルターを用いることにより波長歩留を100%まで向上させることができ、さらに波長測定も不要となり工数低減を行うことができる。もちろん発光ダイオードの中心波長が設計中心より著しくずれると光出力の低下を来してしまうが、一般に発光ダイオードの半値巾は大きいため(1.3μm帯の場合120?180nm程度)、極端な低下はなく特に高出力を必要としない場合には十分実用できる。1.3μm帯の発光ダイオードを例に説明したが、もちろん発光ダイオード素子の中心波長のフィルターの透過波長を最適化させることによりどの波長帯でも実現でき、同程の効果を得ることができる。」(明細書第3頁11行?第4頁20行)
(e)「〔考案の効果〕
以上説明したように本考案は、光学窓材として特定の波長のみ透過させるフィルターを用いることにより発光ダイオードの中心波長のバラツキを低下させることができ中心波長の歩留を向上させることができる効果がある。」(明細書第5頁1?6行)

3 対比・判断
刊行物1の上記記載事項から、刊行物1には、
「ステム上に接着した発光ダイオード素子をある特定の波長のみを透過させる光学窓を有するキャップで封止した発光ダイオードであって、発光ダイオード素子が、1.3μm波長帯で、中心波長がウェハー内で±10?20nm程度バラツキ、ウェハー間でも同程度バラツクものであり、光学窓が1.3μm波長を92%程度透過させ半値巾約50nm程度のシャープに透過する多層構造のフィルターである発光ダイオード」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで、本願発明と刊行物1発明とを比較する。
(ア)刊行物1発明の「発光ダイオード素子」は、刊行物1(上記(1d))に光源用に用いることが記載されているから、本願発明の「単色照射光源」に相当し、照射光路を画定する光線を発するものであり、「1.3μm波長帯で、中心波長がウェハー内で±10?20nm程度バラツキ、ウェハー間でも同程度バラツクもの」であるから、中心波長が1.3μmであり、ウェハー内とウェハー間のバラツキを総合すると、発光ダイオード素子の照射の許容差が±20?40nmといえる。
そうすると、刊行物1発明の「1.3μm波長帯で、中心波長がウェハー内で±10?20nm程度バラツキ、ウェハー間でも同程度バラツク」発光ダイオード素子は、本願発明の「対応する照射中心波長及び対応する照射許容差を含む、照射光路を画定する光線を発する第一の単色照射光源」に相当する。
(イ)刊行物1発明の「1.3μm波長を92%程度透過させ半値巾約50nm程度のシャープに透過する多層構造のフィルター」は、光学窓を構成しており、発光ダイオード素子の光線の光路に配置されているといえるから、本願発明の「照射光路中に配置された、対応するフィルタ中心波長及び対応するフィルタ許容差を含む帯域通過フィルタ」とは、照射光路中に配置された、対応するフィルタ中心波長を含む帯域通過フィルタである点で共通する。
(ウ)刊行物1発明の「発光ダイオード」は、本願発明の「照射光源」に相当する。

したがって、両者の間には、以下の一致点及び相違点がある。
(一致点)
対応する照射中心波長及び対応する照射許容差を含む、照射光路を画定する光線を発する第一の単色照射光源と、前記照射光路中に配置された、対応するフィルタ中心波長を含む帯域通過フィルタとを含む照射光源である点。

(相違点1)
フィルタが、本願発明では、フィルタ許容差を有し、許容差が照射許容差の約半分以下であるのに対して、刊行物1発明では、フィルタ許容差について規定していない点。

(相違点2)
本願発明では、フィルタ中心波長がほぼ照射中心波長から照射許容差を引いた値からほぼ照射中心波長に照射許容差を加えた値のほぼ範囲内にあるのに対して、刊行物1発明では、発光ダイオード素子の照射許容差と、フィルタの中心波長との関係を規定していない点。

上記各相違点は相互に関連するのでまとめて検討する。
光学フィルタが、設計上及び製造上の許容誤差が避けがたいことは、本願優先日前の技術常識である。例示すれば、特表平11-507143号公報に「正確な分光測定を必要とする多くの従来の応用では、光学フィルタの設計における許容誤差がきわめて大きなものだった。」(第5頁14?18行)、特開2001-215325号公報に「光フィルタの製造においては、基板に蒸着成膜される誘電体膜厚はその面内における各場所により異なって形成される。ここで議論の対象とされている狭帯域光フィルタにおいては、膜厚分布誤差も歩留まり低下の要因となる。・・・この発明に依れば・・・膜厚分布誤差に起因する透過特性の設計値からのずれも解消することができる。」(【0028】)、特開平11-352409号公報に「実際には光学フィルタの製造誤差がある」(【0006】)と記載されるとおりである。
そして、刊行物1発明は、フィルタとして多層構造のフィルタを用いたものであるが、刊行物1には、このフィルタが、中心波長の許容差をなくしたものであること及び許容差をなくす手段については何ら記載されておらず、通常の方法により製造された多層構造のフィルタであると考えるのが相当といえ、上記技術常識からみて、刊行物1発明のフィルタは、中心波長に許容誤差が存在するものであるとするのが相当である。
刊行物1(上記(1d))には、発光ダイオード素子を光源用等に用いる場合は波長バラツキの制約が厳しいため(例えば1.3±0.01μm)、光学窓としてフィルターを用いることにより波長歩留を100%まで向上させることができると記載されており、刊行物1発明の、中心波長がウェハー内で±10?20nm程度、ウェハー間でも同程度バラツク、つまり、照射許容差が1.3μm±20?40nmである発光ダイオード素子の許容差を、光学窓のフィルタにより、例えば、1.3μm±10nmとするためには、フィルターの中心波長の許容誤差を±10nm以下、つまり発光ダイオード素子の許容差の1/4?1/2以下とする必要があることは、技術的にみて明らかといえる。
また、刊行物1発明のフィルタは1.3μm波長を92%程度透過させ半値巾約50nm程度のシャープに透過するものであるから、フィルタの中心波長は1.3μm±許容差であり、刊行物1発明は、発光ダイオード素子の中心波長とほぼ同じ中心波長のフィルタを用いているといえる。
さらに、発光ダイオード素子を光源用等に用いる場合は、例えば1.3±0.01μmと厳しい許容差が求められるためにフィルタの中心波長の許容差を±10nm以下とする必要があることは上記のとおりであり、この場合、フィルタの中心波長範囲(1.3μm-10nm)?(1.3μm+10nm)は、発光ダイオード素子の中心波長範囲(1.3μm-20?40nm)?(1.3μm+20?40nm)の範囲内に入るものである。
そうすると、刊行物1発明において、照射光源を利用目的に応じた許容差、例えば1.3±0.01μmのものとするために、フィルターの許容差を発光ダイオード素子の許容差の1/2以下とし、発光ダイオード素子の中心波長範囲内にフィルタの中心波長範囲があるようにすることは、当業者が容易になし得たことといえる。
そして、本願発明の照射の中心波長の変動を制御を改善できるという効果は、刊行物1の記載事項から予測し得るものであり、格別顕著なものとはいえない。

4 むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-03 
結審通知日 2011-02-08 
審決日 2011-02-21 
出願番号 特願2003-366938(P2003-366938)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 直史  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 後藤 時男
横井 亜矢子
発明の名称 拡散反射率読み取りヘッド  
代理人 柴田 明夫  
代理人 柳橋 泰雄  
代理人 津国 肇  
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