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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1240065
審判番号 無効2007-800178  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-28 
確定日 2011-06-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3232076号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成21年12月15日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において,請求項1に関する部分について,特許法181条2項による審決取消の決定(平成22年行ケ10042号,平成22年6月30日決定言渡)があったので,当該取り消された部分についてさらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3232076号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯及び本件審判での審理対象
1.本件無効審判請求前の経緯
本件特許は,特願平9-340746号(以下「基礎出願」という。)に基づく優先権を主張して出願された特願平10-260071号(以下「原出願」という。)の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願2000-109295号(基礎出願に基づく優先権主張がされている。)の特許である。基礎出願からの主立った経緯は次のとおりである。

・平成9年11月26日 基礎出願
・平成10年9月14日 原出願
・平成12年4月11日 本件出願
・平成13年9月14日 特許第3232076号として設定登録(請求項1?5)
・平成14年5月27日 特許異議申立(異議2002-71307)
・同年12月4日 訂正請求(後に取り下げ)
・平成15年9月5日 訂正請求(請求項数が4に減少。以下,「異議訂正」という。)
・同年10月31日 異議決定(異議訂正を認める。請求項1?4に係る特許を維持する。)

2.本件無効審判の経緯
・平成19年8月28日 請求人より請求項1の特許に対して本件無効審判請求
・同年11月20日 被請求人より答弁書提出
・同年11月28日付け 当審より無効理由(以下,「1次無効理由」という。)を通知
・同年12月29日 請求人より意見書及び弁駁書提出
・平成20年1月17日 被請求人より意見書及び訂正請求書提出(以下,「1次訂正請求」という。)
・同年2月12日付け 当審において訂正拒絶理由(以下,「1次訂正拒絶理由」という。)を通知
・同年3月17日 被請求人より意見書及び手続補正書提出
・同年4月9日付け 審決(1次訂正請求による訂正を全て認めず,請求項1に係る特許を無効とする。以下,「1次審決」という。)
・同年5月16日 1次審決の取消訴訟出訴(平成20年行ケ10182号)
・同年8月13日 訂正の審判請求(訂正2008-390088号)
・同年9月16日 知的財産高等裁判所により,特許法181条2項による,1次審決の取消し決定
・同年10月14日 被請求人より訂正請求書(以下,「2次訂正請求」という。)提出
・同年11月19日 請求人より弁駁書提出
・同年12月2日付け 当審において訂正拒絶理由(以下,「2次訂正拒絶理由」という。)及び無効理由(以下,「2次無効理由」という。)を通知するとともに審尋を送付
・同年12月22日 請求人より回答書提出
・同年12月29日 請求人より意見書提出
・同年同月同日 被請求人より意見書提出
・平成21年1月5日 被請求人より意見書及び訂正請求書(以下,「3次訂正請求」という。)提出
・同年2月12日 請求人より弁駁書提出
・同年3月23日 被請求人より答弁書提出
・同年12月15日 審決(3次訂正請求のうち,請求項2乃至4の訂正を認める。請求項1,及び段落【0008】の訂正を認めない。請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。以下,「2次審決」という。)
・平成22年2月5日 被請求人による審決取消訴訟の提起(平成22年行ケ10042号)
・同年5月6日 訂正の審判請求(訂正2010-390043号)
・同年6月30日 特許法181条2項の規定に基づく決定(特許庁が無効2007-800178号事件について平成21年12月15日にした審決のうち請求項1に関する部分を取り消す。)
・同年7月13日(7月15日発送) 訂正請求のための期間指定通知
・同年7月26日 訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)
・同年9月2日 請求人より弁駁書提出

なお,被請求人は平成22年7月13日付け訂正請求のための期間指定通知に対して訂正請求をしなかったので,被請求人が行った平成22年5月6日付けの訂正審判請求(訂正2010-390043号)は,特許法134条の3第5項の規定により,当該期間の末日である平成22年7月26日に,その訂正審判の請求書に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面を援用した訂正請求とみなされた。

3.本件特許に関する別途審判事件の経緯
<無効2007-800237号審判事件>
・平成19年10月31日 請求項1の特許に対して無効審判請求(本件請求人と同一請求人)
・平成20年1月21日 被請求人より答弁書,訂正請求書提出
・同年2月15日 審判合議体より中止通知発送(無効2007-800178号を先に審理するため)

<訂正2008-390088号審判事件>
・平成20年8月13日 本件特許の明細書全文の訂正請求
・同年9月3日 審判合議体より訂正拒絶理由通知
・同年10月16日 特許法134条の3第3項によるみなし取り下げ(無効2007-800178号における同月14日付け2次訂正請求がされたため)

4.審理対象
本件無効審判請求は,請求項1乃至4に係る発明についての特許のうち,請求項1に係る発明についての特許を無効とする趣旨のものである。
上記「1.本件無効審判請求前の経緯」で見たとおり,本件無効審判請求に先立つ異議決定(異議2002-71307号)において,異議訂正(平成15年9月5日付け)が認められ,該異議決定は確定し,その後,本件無効審判において被請求人は平成21年1月5日に訂正請求をし,2次審決において,「請求項2乃至4の訂正を認める。請求項1の訂正及び段落【0008】の訂正を認めない。」とされた。そして,特許無効審判の請求がなされていない請求項についての訂正が認容された場合,当事者双方はその許否判断について争う余地がないことから,請求項2(訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2を独立形式に書き改めた訂正),請求項3(削除の訂正),請求項4(削除の訂正)の訂正は,審決の送達によりその効力を生ずるものあり,請求項2乃至4に関する訂正は確定している。
よって,以降の審理においては,請求項1に係る発明についての特許のみを,訂正の可否を含め,審理の対象とする。

第2 当事者の主張及び当審で通知した無効理由の骨子
1.請求人の主張
1.1.審判請求理由及び本件訂正請求について
本件の請求項1に係る発明(以下,「本件発明」という。)は基礎出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていないので,基礎出願に基づく優先権主張は成立せず,新規性を論ずる上での出願日は平成10年9月14日である。
被請求人は,本件出願前にスロットマシン「サンダーV」を生産譲渡しており,「サンダーV」のROMは解析可能であるから,ROMの内容を含めてスロットマシン「サンダーV」は本件出願前に公然実施された。
そして,本件発明はスロットマシン「サンダーV」そのものであるから,請求項1の特許は特許法29条1項2号の規定に違反してされた特許であり,同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由1」という。)。
本件訂正請求による訂正(以下,「本件訂正」という。)は,新規事項を追加するものであり,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に違反するから,訂正の要件を欠く不適法なものである。また,本件訂正が認められたとしても,本件訂正発明は,特許法29条2項の規定に違反し,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきものである。

1.2.証拠関係
請求人は以下の甲第1号証?甲第28号証及び検甲第1号証?検甲第7号証を提出している。なお,請求人は「サンダーV」の検証を求めているわけではなく,検甲第1号証?検甲第7号証は撮影された写真(撮影者不詳)であるから,本来ならば書証として扱うべきものかもしれないが,ここでは請求人の呼称に従うこととする。

・甲第1号証:特許原簿
・甲第2号証:本件特許公報
・甲第3号証:異議2002-71307の特許決定公報
・甲第4号証:平成15年9月4日提出の訂正請求書
・甲第5号証:基礎出願の当初明細書及び図面
・甲第6号証:原出願の公開公報
・甲第7号証:基準日時系列表
・甲第8号証:東京高裁平成14年(行ケ)539号判決要旨
・甲第9号証:早期審査に関する事情説明書
・甲第10号証:早期審査に関する報告書
・甲第11号証:アルゼ株式会社第26期有価証券報告書
・甲第12号証:「サンダーV」のマシン語の出力画面
・甲第13号証:「サンダーV」の逆アセンブルの出力画面
・甲第14号証:「サンダーV」のマシン語プログラム
・甲第15号証:「サンダーV」の逆アセンブルリスト
・甲第16号証:「サンダーV」の逆アセンブルリスト(注釈付)
・甲第17号証:遊技機の取扱説明書(サンダーV)
・甲第18号証:「実践!スロッター勝利の掟」の表紙,裏表紙及び36?39頁(2003年4月 株式会社宝島社発行)
・甲第19号証:「パチスロ攻略マガジン」の表紙,裏表紙及び8?9頁(平成10年5月1日 株式会社双葉社発行)
・甲第20号証:本件特許と「サンダーV」の対照表
・甲第21号証:「パチンコ・パチスロ白書 1998?99」表紙,奥付け及び210頁(1998年3月20日 現代書林発行)
・甲第22号証:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号,表紙,裏表紙及び4?10頁(株式会社白夜書房発行)
・甲第23号証:履歴事項全部証明書(有限会社パティオ)
・甲第24号証:http://patio.ocnk.net/(有限会社パティオのインターネットホームページ)
・甲第25号証:履歴事項全部証明書(株式会社東プロ)
・甲第26号証:http://topro-am.jp(株式会社東プロのインターネットホームページ)
・甲第27号証:「月刊アミューズメント・ジャーナル」2007年11月号,表紙,裏表紙,64?65頁
・甲第28号証:「パチスロ攻略マガジン」1998年8月号,表紙,裏表紙及び72頁(株式会社双葉社発行)
・検甲第1号証:「サンダーV」の筐体の正面写真
・検甲第2号証:「サンダーV」の前面扉開口状態の正面写真
・検甲第3号証:「サンダーV」の開口部拡大正面写真
・検甲第4号証:「サンダーV」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真
・検甲第5号証:「サンダーV」の制御基板の拡大正面写真
・検甲第6号証:「サンダーV」の制御基板に実装されたROMの拡大写真
・検甲第7号証:「サンダーV」に実装されたROMを解析中の写真

2.当審で通知した無効理由
2.1.進歩性その1
本件発明の新規性進歩性を論じる上での出願日は,基礎出願日ではなく,平成10年9月14日以降である。
本件発明は,本件出願前に頒布された「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(平成10年9月10日 辰巳出版株式会社発行。以下,「引用例」という。)36?65頁に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由2」という。)。

2.2.進歩性その2
本件発明の新規性進歩性を論じる上での出願日は,基礎出願日ではなく,平成10年9月14日以降である。
本件発明は,本件出願前に頒布された特開平7-136313号公報(以下,「引用例1」という。)に記載された発明,特開平8-117390号公報(以下,「引用例2」という。)に記載された発明,「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(平成10年9月10日 辰巳出版株式会社発行)36?65頁(以下「引用例3」という。)に記載された発明,甲第22号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由3」という。)。

3.被請求人の主張
3.1.優先権主張の成立性について
本件発明について基礎出願に基づく優先権主張が成立せず,新規性進歩性を判断する上での出願日が平成10年9月14日であることは,認める。

3.2.本件訂正について
本件訂正は,新規事項を追加するものでなく,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に適合する。

3.3.無効理由1について
本件発明のうち,スロットマシンの内部制御に関する部分が公然実施された事実はない。なぜなら「サンダーV」のROMは厳重に秘密管理されており,たとえ購入者であってもROM解析をすることはできないからである。

3.4.無効理由2について
本件発明と引用例36?65頁に記載された発明には,相違点があり,相違点に係る本件発明の構成に至ることは当業者といえども容易ではない。

3.5.無効理由3について
本件発明と引用例1に記載された発明とには相違点があり,引用例2に記載された発明,引用例3に記載された発明,甲第22号証に記載された発明及び周知技術を考慮しても,相違点に係る本件発明の構成に至ることは,当業者といえども容易ではない。

3.6.証拠関係
被請求人の提出した証拠は以下の乙第1号証及び乙第2号証である。
・乙第1号証:「サンダーV」の遊技機本体内部の写真
・乙第2号証」「サンダーV」の取扱説明書

そのほか参考資料として,平成20年3月17日提出の意見書とともに,特許第2853519号公報(参考資料1),特許第2795756号公報(参考資料2),特公平6-46398号公報(参考資料3)及び特許第4021100号公報(参考資料4)並びに被請求人作成による参考資料5?10が提出され,平成22年5月6日付けの訂正の審判請求とともに,2次審決(参考資料1),「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」表紙,裏表紙,8?9頁及び36?65頁(平成10年9月10日 辰巳出版株式会社発行)(参考資料2),「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号,表紙,裏表紙及び4?10頁(平成10年4月1日 株式会社白夜書房発行)(参考資料3),「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」16?17頁(平成10年8月1日株式会社白夜書房)(参考資料4),特開平8-211869号公報(参考資料5),特開平7-101103号公報(参考資料6),特開平10-15156号公報(参考資料7),特許・実用新案審査基準第II部第2章1.2.4(参考資料8),知財高裁平成18年(行ケ)第10102号判決(参考資料9),知財高裁平成20年(行ケ)第10115号判決(参考資料10),知財高裁平成20年(行ケ)第10467号判決(参考資料11)及び特開平7-136313号公報(参考資料12)が提出されている。

第3 訂正請求について
1.訂正請求の内容
平成22年7月26日の訂正請求は,本件特許発明の明細書(平成15年9月5日付け異議訂正後の明細書,以下「特許明細書」という。)を,訂正請求書に添付した訂正明細書によって訂正しようとするものであって,3次訂正請求における請求項2乃至4の訂正が未確定であることを前提に,訂正請求書において請求項3及び請求項4につき,訂正事項b及び訂正事項cとして説明を加えているが,上記「第1 手続の経緯及び本件審判での審理対象 4.審理対象」で述べたとおり,請求項2乃至4に関する訂正はすでに確定したものであるから,訂正請求書における訂正事項b及び訂正事項cの記載は意味のないものである。

2.訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】を
「スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと, 前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,
配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,
乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,
前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,
当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする遊技機。」と訂正する。

3.訂正事項d
特許明細書の段落【0008】を
「【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,前記報知手段は,前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする。」と訂正する。

第4 訂正目的,新規事項の有無の検討
1.訂正事項aについて
訂正事項aに含まれる訂正内容を,個別の訂正事項として列記すると,以下のとおりである。

<訂正事項a1>
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の初めに「スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,」を加入する。

<訂正事項a2>
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,」の次に,「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,」を加入する。

<訂正事項a3>
訂正前の請求項1の「前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,」を「前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,」に訂正する。

<訂正事項a4>
訂正前の請求項1の「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,」を「前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,」に訂正する。

<訂正事項a5>
訂正事項a4の次に,「前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,」を加入する。

<訂正事項a6>
訂正前の請求項1の「選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」を「その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」に訂正する。

2.訂正事項aの許否の判断
2.1.訂正事項a1,a4及びa6について
訂正事項a1,a4及びa6における記載の追加は,特許明細書の段落【0022】における「スタートレバー15のレバー操作により,リール3,4,5の回転が一斉に開始する。停止ボタン16,17,18は,各リール3,4,5に対応して配置されている。各リール3?5の回転速度が一定速度に達したときに各停止ボタン16?18の操作が有効化され,各停止ボタン16?18は遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3?5の回転を停止させる。」との記載に基づいて,「スタートレバー」と「複数のリール」及び「複数の停止ボタン」について発明を限定するとともに,特許明細書の段落【0105】における「次に,入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは前述したように図13(j)に示すタイミングで行われ,スタートレバー15の操作直後に行われる。この報知選択抽選処理は,図21に示すフローチャートに従って行われる。」との記載,並びに,同段落【0111】?【0113】における「ステップ127のリールランプ点灯制御処理では,ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され,各リール3?5の各バックランプ57a?57cが入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。・・・また,予兆報知フラグが「スイカ」小当たり入賞としてセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで,全リール3?5の各バックランプ57a?57cが図20(d)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン4」に対応しており,「スイカ」小当たり時に高い確率で現れる。」及び同段落【0117】における「このような本実施形態によっても,遊技者は,スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより,小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って,各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため,停止ボタン16?18の操作は,配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。」との記載に基づいて,「報知選択抽選処理」及び「報知」の実行タイミングを限定し,また「報知」が「表示態様」によることを限定したものである。 訂正事項a4において「デモ抽選テーブル選択テーブル」の前の「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられた」との記載を削除した点は,訂正事項a2における「前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル」なる記載の追加によって補われているから,発明の拡張には該当しない。そのため,訂正事項a1,訂正事項a4及び訂正事項a6については,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

2.2.訂正事項a2について
訂正事項a2は,訂正事項a4で削除した「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関する記載を補うとともに,特許明細書の段落【0091】?【0108】における「本実施形態によるスロットマシンでは,図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16?図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。・・・この減算結果Aは負であるため,抽選値5の欄のリールランプ消灯パターン1が予兆報知態様に選択される。」との記載に基づいて,「記憶されるROM」も含めて発明を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

2.3.訂正事項a3について
「前記入賞態様決定手段は,」を「前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,」とした訂正は,「小当たり入賞態様」及び「ボーナス入賞態様」が「入賞態様決定手段」それ自体ではなく,「入賞態様決定手段の抽選の対象」であることを明らかにしたものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。また,「前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様」を「前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様」とした訂正は,「小当たり入賞態様」の数が「複数」あることを具体的に特定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,特許明細書の段落【0041】には「入賞態様決定手段で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表される。当選フラグの種類には「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類がある。これら当選フラグのうち,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の各フラグは,内部抽選の結果小当たり入賞に当選した場合に立つ。また,「RB」フラグは内部抽選の結果中当たり入賞に当選した場合,「BB」フラグは内部抽選の結果大当たり入賞に当選した場合に立つ。」と記載され,同段落【0042】には「小当たり入賞当選フラグはその回の遊技においてだけ有効であり,新たなメダル投入によって行われる次回の遊技には持ち越されない。つまり,小当たり入賞態様は,入賞態様決定手段によって小当たり当選フラグがセットされたその遊技において完結する。これに対してRB当選フラグやBB当選フラグは数回の遊技にわたって持ち越される。つまり,中当たり入賞や大当たり入賞といったボーナス入賞態様は,入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると,通常,RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。そして,RB入賞が発生すると遊技状態はRB作動中になって後述するRBゲームが行われ,BB入賞が発生すると遊技状態はBB作動中になって後述するBBゲームが行われる。」と記載されている。
請求項1に係る発明の実施形態は第3の実施形態であり,特許明細書の段落【0041】及び【0042】は,第1の実施形態の記載である。しかし,特許明細書の段落【0086】及び【0087】には,第3の実施形態の確率抽選処理が第2の実施形態の確率抽選処理と同じであることが記載されており,同段落【0059】?【0061】には,第2の実施形態の確率抽選処理が第1の実施形態の確率抽選処理と同じであることが記載されている。
したがって,訂正事項a3は,特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

2.4.訂正事項a5について
訂正事項a5は,「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具体的に特定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,【図15】には,デモ抽選テーブル選択テーブルが,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応することが記載されているので,訂正事項a5は,特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
なお,平成22年9月2日付け弁駁書(4?5頁)において,請求人は,「デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており」という発明特定事項は,被請求人が該発明特定事項の根拠としている特許明細書の【図15】では,入賞態様が「リプレイ」の場合,選択されるデモ抽選テーブルは常にNo「0」となっているため開示されておらず,本件訂正は新規事項を追加するものである旨主張しているので,この点について検討する。
請求人の主張のとおり特許明細書の【図15】では,入賞態様が「リプレイ」の場合,選択されるデモ抽選テーブルは常にNo.「0」となっているものの,特許明細書の段落【0005】,同【0035】,同【0036】,同【0043】,同【0070】によれば,「リプレイ」の入賞態様は,小当たり入賞態様ではないし,リプレイ入賞態様が小当たり入賞態様ではないことは,例えば,特開平9-103540号公報(特に,段落【0012】,同【0013】を参照),登録実用新案第3050521号公報(特に,段落【0009】を参照)を見ても明らかなように,少なくとも「第5 当審の判断 2.出願日の認定」で後述する新規性進歩性を判断する上での基準日である原出願が出願された平成10年9月14日においてはパチスロ機の技術常識でもある。
そうすると,特許明細書には,デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応していることが記載されていると認められるから,訂正事項a5は,特許明細書に記載された事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮するものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3.訂正事項dの許否の判断
訂正事項dは,上記訂正事項aの特許請求の範囲の訂正に伴い,これに対応する発明の詳細な説明の記載の整合を保つための訂正であり,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって,特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

4.まとめ
以上のとおり,訂正事項a及びdは,特許明細書に記載された事項の範囲内において,特許請求の範囲の減縮,または,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから,特許法134条の2ただし書き、及び、同条第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第5 当審の判断
1.本件発明の認定
「第4 訂正目的,新規事項の有無の検討」のとおり,本件訂正請求は認められるから,本件発明は本件訂正請求により訂正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定された次のとおりのものと認める。
「スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,
前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,
配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,
乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,
前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,
当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする遊技機。」

2.出願日の認定
2.1.当事者間における争いの有無
請求人は,本件発明は基礎出願明細書等に記載されていないので,基礎出願に基づく優先権主張は成立せず,新規性を論じる上での出願日は平成10年9月14日であると主張している。
被請求人も,本件訂正請求の前後を通じて,請求項1に係る発明の新規性進歩性を論じる上での出願日が平成10年9月14日であることを認めており,この点について当事者間の争いはない。
そこで,基礎出願に基づく優先権主張の成立性を検討する。

2.2.検討
2.2.1.デモ抽選テーブルに関する発明特定事項について
本件訂正請求後の特許請求の範囲の請求項1には,「その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,」なる発明特定事項が存在する。
しかしながら,基礎出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「基礎出願明細書等」という。)には,当該発明特定事項に対応する「第3の実施形態」の記載自体が存在しない。そして,その他の箇所を含めた全ての記載を総合しても,基礎出願明細書等に,上述した「デモ抽選テーブル」に関する事項が開示されたということはできない。
したがって,「デモ抽選テーブル」に関する発明特定事項を有する請求項1は,基礎出願に基づく優先権主張を認めることができない。

2.2.2.ボーナス内部当選中における小当たり入賞態様の抽選について
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1には,「前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,」なる発明特定事項が存在する。
これに対して,基礎出願明細書等には,「入賞態様決定手段」及び「小当たり入賞態様」が存在することを除き,上記発明特定事項に合致する記載はない。
ここで,上記発明特定事項のうち,「小当たり入賞態様」のほかに「ボーナス入賞態様」が存在すること,それぞれの「当選フラグ」が存在することは,基礎出願明細書等のその他の箇所に記載されている。しかしながら,小当たり入賞態様の当選フラグがその遊技において完結し,次回の遊技に持ち越されないこと,ボーナス入賞態様の当選フラグがボーナス入賞態様の発生まで持ち越されること,及び「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行」うことは,基礎出願明細書等のその他の箇所にも記載されていない。
これらの事項が,直接の記載はなくとも,基礎出願明細書等の記載の範囲内であるかについて検討する。小当たり入賞態様の当選フラグを持ち越さないことについては,しごく当然であるとともに,基礎出願明細書等の図8及び図9が「この遊技処理の概略を示すフローチャートである。」(基礎出願明細書等の段落【0041】)としながらも,「BBゲーム実行(112)」あるいは「RBゲーム実行(114)」に至らない各ゲームにおいて,「確率抽選処理(103)」及び「小当り入賞当選フラグ立つ?(104)」のステップを経ることを示していることから,基礎出願明細書等の開示の範囲外とまでいうことは妥当ではない。また,ボーナス入賞態様の当選フラグを持ち越すことについても,たとえば特許明細書の段落【0042】に「入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると,通常,RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。」とも記載されているように,一般的な事項に過ぎないから,この点を追加したことのみをもって,優先権主張を認めないとすることは妥当ではない。
しかしながら,ボーナス内部当選中のゲームにおいて,どのような抽選を行うかについては,基礎出願明細書等に記載がないというだけでなく,必ずしもボーナス内部当選中でないゲームと同様「小当たり入賞態様」の抽選を行うと断言できるものではない。それだけでなく,先に述べたとおり,そもそも基礎出願明細書等には,ボーナス当選フラグを持ち越すこと,すなわち,ボーナス内部当選中というゲーム状態を有することも記載されていない。先の【図8】及び【図9】にも,「BBゲーム実行(112)」及び「RBゲーム実行(114)」というゲーム状態は示されているものの,ボーナス内部当選中のゲーム状態については,その存在自体が示されていない。そうであるのに,「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行」うという発明特定事項が,基礎出願明細書等に開示されたということはできない。
したがって,「ボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当り入賞態様の抽選を行」うという発明特定事項を有する請求項1は,基礎出願に基づく優先権主張を認めることができない。

3.結論
以上のとおりであるから,請求項1に係る発明について,基礎出願に基づく優先権主張は認めることができない。
請求項1に係る発明については,特許法41条2項の規定は適用されないから,新規性進歩性を検討する上での出願日は,いずれの場合も原出願が出願された平成10年9月14日以降となる。

4.無効理由3について
4.1.引用例1(特開平7-136313号公報)の記載事項
引用例1には,以下の記載又は図示がある。
1A.「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,スロットマシンに関し,特に遊技内容を多様化するとともに,遊技者に遊技状態を告知することができるものである。
【0002】【従来の技術】従来,この種のスロットマシンでは,フロントパネルに設けた表示窓内に各回転リールを回転させて図柄を高速で移動表示した後,該図柄の移動表示を停止させて,該停止表示態様が予め定めた所定の図柄の組み合わせである場合に,遊技者に所定数のメダルを払い出したり特別の遊技を行わせたりしている。
【0003】この所定数のメダルを払い出す等の賞態様が発生するかどうかは,遊技機内に設けた電気的制御装置により予めソフト的に決定され,ソフト的に賞態様が決定された場合に,実際に表示窓内に停止する図柄の組み合わせが当該賞態様となるよう回転リールの停止が制御されている。」
1B.「【0004】【発明が解決しようとする課題】しかし,上記した従来のスロットマシンでは,ソフト的に賞態様が決定された場合に,実際に表示窓内に停止する図柄の組み合わせが当該賞態様となるよう回転リールの停止が制御されているとはいっても,回転リールは高速で回転しているため,遊技者の操作方法によっては,所望の位置に回転リールを停止させることができずに,実際に表示窓内に停止した図柄の組み合わせが賞態様とならない場合もあり,遊技者がいかに所定位置で回転リールを停止させることができるかが遊技の興趣の主内容となっていた。
【0005】このため,遊技内容が単調となり,遊技の興趣を高めることができなかった。また,ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた。本発明は,上記した従来の技術の有する問題点を解決するためになされたものであり,その目的とするところは,遊技内容を多様化するとともに,遊技状態を的確に把握して,遊技の興趣を高めることができるスロットマシンを提供することにある。」
1C.「【0006】【課題を解決するための手段】本発明は,上記した目的を達成するためのものであり,以下にその内容を図面に示した実施例を用いて説明する。請求項1記載の発明は,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の組み合わせを決定するための乱数を発生する乱数発生手段(201)と,該乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)と,該乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)と,表示窓(30?32)内に実際に停止表示された図柄の組み合わせが予め定めた賞態様であるかどうかを判断する図柄判断手段(203)と,上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)と,該メダル貯金手段(204)により貯金したメダル枚数を表示する貯金枚数表示手段(170)と,上記図柄判断手段(203)により予め定めた特別の賞態様であると判断された場合に,所定枚数のメダルを払い出すとともに,メダル貯金手段(204)により貯金している枚数分のメダルを払い出すメダル払出手段(210)とからなることを特徴とする。」
1D.「【0007】【作用】請求項1記載の発明によれば,乱数抽出手段(202)は,乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う。ここで,乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合には,内部当り表示手段(120)により賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせる。
【0008】そして,全ての回転リール(40?42)が停止すると,図柄判断手段(203)によって,実際に表示窓(30?32)内に停止した図柄の組み合わせが予め定めた賞態様であるかどうかが判断される。図柄判断手段(203)によって,予め定めた賞態様であると判断された場合には,所定数のメダルを払い出す。
【0009】一方,乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合には,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数をメダル貯金手段(204)により貯金する。そして,貯金したメダル枚数は,貯金枚数表示手段(170)により表示される。
【0010】また,メダル貯金手段(204)に貯金されているメダルがある場合に,図柄判断手段(203)によって,停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様であると判定された場合には,メダル貯金手段204に貯金され,貯金枚数表示手段170に表示されている枚数分のメダルが,メダル払出手段210により払い出される。したがって,遊技内容が多様化するとともに,遊技者は遊技状況を的確に把握することができる。」
1E.「【0011】【実施例】図1?4は,本発明の一実施例を示すものであり,図1はスロットマシンの正面図,図2は電気的制御装置の概略ブロック図,図3,4は遊技における処理のフローチャートを各々示す。図1中,10はスロットマシンを示し,このスロットマシン10は,前扉の表面にフロントパネル20を設けている。
【0012】上記フロントパネル20のほぼ中央部には,図1に示すように3個の表示窓30?32を横並びに形成している。各表示窓30?32の内部には,各回転リール40?42の表面をそれぞれ臨ませている。そして,各表示窓30?32には,回転リール40?42を回転させることにより,上下方向に3個の図柄を所定間隔で高速で移動表示させることができる。また,表示窓30の向かって左横には,有効となるラインを表示する有効ライン表示部50が設けてあり,有効ライン表示部50の下方にはメダル払出枚数表示部60が設けてある。
【0013】上記スロットマシン10の表面には,図1に示すように,表示窓32の向かって右斜め下方に,メダルを投入するメダル投入口70を設けてある。また,表示窓30の向かって左斜め下方には,各表示窓30?32に表示された図柄の移動表示を開始させるためのレバー状のスタートスイッチ80と,各表示窓30?32の下方に位置するとともに,各表示窓に移動表示されている図柄の移動表示を個別に停止させるためのボタン状の3個のストップスイッチ90?92とを設けている。さらに,上記したストップスイッチ92の向かって右側には,クレジットメダルを投入するためのボタン状のクレジットメダル投入スイッチ100と,クレジットメダルを排出させるためのボタン状の精算スイッチ110とが,スロットマシン10の表面に配置されている。」
1F.「【0014】また,表示窓30?32の上側には,内部当り表示手段120が左右に並設してある。この内部当り表示手段120は,賞態様である図柄の組み合わせが,後に詳述する電気的制御装置200内の乱数抽出手段202によりソフト的に決定された場合に点灯して,遊技者に賞態様が発生する条件が整ったことを告知する手段である。本実施例における賞態様は,大当り(注:公報には「大当たり」と記載されているが当審において「大当り」の誤記であると認めた。)の賞態様である「7」「7」「7」と,中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」と,小役の賞態様である「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」,「プラム」「プラム」「プラム」,「スイカ」「スイカ」「スイカ」,「チェリー」「チェリー」「チェリー」(以下「3チェリー」と記す),「チェリー」「チェリー」(以下「2チェリー」と記す),「チェリー」(以下「1チェリー」と記す)の図柄の組み合わせである。そして,内部当り表示手段120はこれらの賞態様に対応して,向かって左から,「7」の内部当り表示ランプ121,「BAR」の内部当り表示ランプ122,オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128とから構成されている。尚,それぞれの内部当り表示ランプ121?128の点灯タイミングは,「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間点灯し,その他の内部当り表示ランプ123?128では,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯する。
【0015】また,表示窓30?32の向かって右横には,停止表示態様が「7」「7」「7」となった場合に点灯する「7」作動表示ランプ130,停止表示態様が「BAR」「BAR」「BAR」となった場合に点灯する「BAR」作動表示ランプ140,内部当り表示手段の一つであり上記した内部当り表示ランプ121?128のどれかが点灯した場合に同時に点滅する内部当り点滅表示ランプ150,遊技開始条件が整うまでのウエイト時間中に点灯するウエイト表示ランプ160,貯金枚数表示手段である貯金枚数表示部170,クレジットメダルの枚数を表示するクレジットメダル表示部180が上下に並設されている。この貯金枚数表示部170及びクレジットメダル表示部180は,7セグメント表示器や液晶表示器等からなる。」
1G.「【0021】上記したスロットマシン10における遊技処理の手順を図3,4に示したフローチャートに基づき説明する。図3には遊技処理の概略手順が示してある。この遊技処理では,まず,空きRAMエリアをクリアし,メダルの投入をチェックし,メダルが投入されて,スタートスイッチ80がオンとなった場合に,回転リール40?42の回転を開始させる。そして,回転リール40?42の回転エラーをチェックし,回転リール40?42の初期位置を確認するためのセンサーを通過したかどうかをチェックし,図柄の抽選が行われたかどうかをチェックする。
【0022】図柄の抽選が行われていない場合には,後に詳述する図柄抽選処理を行う。そして,回転リール40?42の停止条件が整ったかどうかをチェックし,停止条件が整って,ストップスイッチ90?92がオンとなると,乱数抽出手段202により抽出決定した図柄の組み合わせで回転リール40?42が停止するよう図柄制御処理を行い,全ての回転リール40?42が停止したかどうかをチェックし,有効となるライン数をRAM領域にセットする。
【0023】そして,ソフト的にビッグボーナスが発生しているかどうかの判断処理を行う。ここで,ソフト的にビッグボーナスが発生せずにビッグボーナスフラグがセットされていない場合には,ビッグボーナス以外の小役の賞態様がソフト的に発生しているかどうかを判断する。そして,ビッグボーナス以外の賞態様がソフト的に発生している場合には,実際に表示窓30?32内に停止表示された図柄の組み合わせを図柄判断手段203により判断する。ここで,賞態様の組み合わせとなっている場合には,メダル払出手段210により払い出すべきメダル枚数と,入賞ライン点滅データをRAM領域にセットし,メダル払出手段210によりメダル払出処理を行う。その後,内部当り表示ランプ121?128のうち該当する表示ランプ及び内部当り点滅表示ランプ150への表示をクリアし,ゲーム状態設定処理を行い,処理の初期に戻る。
【0024】一方,ビッグボーナス以外の小役の賞態様がソフト的に発生しているにもかかわらず,実際に表示窓30?32内に停止表示された図柄の組み合わせが賞態様を構成していない場合には,メダル貯金手段204により所定枚数のメダルを貯金する。このメダル貯金手段204に貯金するメダルの枚数αは,賞態様に対して払い出される所定枚数Xに定数tを乗し,これに現在まで貯金されている貯金メダル枚数α′を加算した枚数である。本実施例では,定数tは1.5であり,賞態様となった場合の1.5倍の枚数のメダルが貯金されることとなる。尚,小数点以下1位の端数は四捨五入される。
【0025】本実施例では,賞態様に対して払い出されるメダルの所定枚数Xは,「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」で15枚,「プラム」「プラム」「プラム」で8枚,「スイカ」「スイカ」「スイカ」で5枚,「3チェリー」で8枚,「2チェリー」で5枚,「1チェリー」で2枚となっており,貯金メダルとして加算されるメダル枚数は,「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」で23枚,「プラム」「プラム」「プラム」で12枚,「スイカ」「スイカ」「スイカ」で8枚,「3チェリー」で12枚,「2チェリー」で8枚,「1チェリー」で3枚となっている。尚,ビッグボーナスの賞態様である「7」7」「7」及び中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」の場合には貯金されない。
【0026】そして,貯金枚数表示部170に貯金枚数αが表示されて,ビッグボーナス及び中当り(注:公報には「注当たり」と記載されているが,当審において「中当り」の誤記であると認めた。)のを除く,内部当り表示ランプ123?128及び内部当り点滅表示ランプ150への表示をクリアし,ゲーム状態設定処理を行い,処理の初期に戻る。尚,ビッグボーナス以外の賞態様がソフト的に発生していない場合には,上記した処理はスキップされ,ゲーム状態の設定処理に移行する。
【0027】また,上記したソフト的にビッグボーナスが発生しているかどうかの判断処理において,ソフト的にビッグボーナスが発生してビッグボーナスフラグがセットされている場合には,実際に表示窓30?32内に停止表示された図柄の組み合わせを図柄判断手段203により判断する。そして,ビッグボーナスの組み合わせとなっている場合には,メダル払出手段210により払い出すべきメダル枚数βをRAM領域にセットする。このメダル枚数βは,ビッグボーナスの賞態様に対して支払われるべきメダル枚数Y(例えば15枚)に,貯金メダル枚数αを加算した枚数である。その後,RAM領域に記憶した貯金メダル枚数αをクリアし,ビッグボーナス時に発生するビッグボーナス音とビッグボーナスを表示するランプの情報を出力し,ビッグボーナスフラグをクリアするとともに,「7」の内部当り表示ランプ121,及び内部当り点滅表示ランプ150への表示をクリアする。そして,入賞ライン点滅データをRAM領域にセットし,メダル払出手段210によりメダル払出処理を行う。その後,ゲーム状態設定処理を行い,処理の初期に戻る。」
1H.「【0034】また,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した場合に,これらの内部当りフラグは実際にこれらの賞態様が発生するまで持ち越されるため,通常の確率で賞態様を発生させたのでは,貯金メダル枚数が極端に増加し健全な遊技が行えないおそれがある。そこで,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した場合には,小役の賞態様の当選確率を通常よりも低い確率とし,貯金メダル枚数が極端に増加することを防止している。」

4.2.引用例2(特開平8-117390号公報)の記載事項
引用例2には,以下の記載又は図示がある。
2A.「【0082】また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」

4.3.引用例3の記載事項
引用例3は,パチスロ機「サンダーV」についての紹介記事であり,以下の3A.?3D.の記載又は図示がある。
3A.37頁には,「ビッグボーナス確率」,「レギュラーボーナス確率」,「小役抽選確率(BIG中)」,「小役抽選確率(高確率時)」及び「小役抽選確率(低確率時)」の表が示されており,これら表から,設定1?設定6まであることが読み取れる。同頁には,「ボーナス&小役払い出し構成」と題する表も記載されている。
3B.40頁には,「派手なフラッシュはボーナス期待度大!」とする小見出しの後に,「サンダーVのフラッシュは全部で8パターンとなっている。各フラッシュは成立フラグと密接に関連していて,瀑布→リプレイ 一直線→チェリー 竜巻→ベル W字&W反転→スイカ という対応になっている。リプレイ以外は必ず発生するという訳ではないが(リプレイで瀑布が発生しない場合にはボーナス確定だ),完全外れの場合にはフラッシュは絶対に発生しないので,仮に直線フラッシュが発生してチェリーが出ていなければ取りこぼしということになるのだ。また,星屑&V字&稲妻の派手な3パターンはボーナスの可能性が高く,星屑なら何も揃わなければ,V字&稲妻はスイカを狙って揃わなければそれだけでボーナスフラグが成立しているサインになる。特に狙わずにスイカを取りこぼしているとしても,スイカの抽選確率はさほど高い訳ではないので,短い時間間隔でV字か稲妻が数回発生すればボーナスフラグが成立していると考えて良いだろう。」との記載がある。
3C.43頁下段には,以下に示す「完全網羅!!解析から判明したチャンスパターンの全て!」と題する表が示されている。同表には,「ボーナスフラグ成立中」及び「ボーナスフラグ不成立時」に分けて,成立役毎の「予告音」(「予告者」と記載されているが誤記と認める。),「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。なお,同図中,「ボーナス成立プレイ」とあるのは,ボーナスフラグ不成立時において「REG」(レギュラーボーナス)又は「BIG」(ビッグボーナス)が成立した場合を意味するので,遊技状態の区別には含めていない。
3D.45頁中段には「JACゲームでのチャンスパターン」及び「BIG小役ゲームでのチャンスパターン」と題する表が示されており,43頁の表同様,「予告音」,「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。

4.4.引用例1?3記載の発明の認定
4.4.1.引用例1記載の発明の認定
記載事項1A.から,引用例1記載の発明は「スロットマシン」に関する。また,該「スロットマシン」は,「ソフト的に賞態様」を決定するものであり,記載事項1C.によれば,具体的には「乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)」を有する。
記載事項1B.によれば,従来のスロットマシンが「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた」ことが問題とされている。当該問題に対応して,引用例1記載の「スロットマシン」は,記載事項1C.によれば「乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)」を有する。
また,記載事項1B.によれば,従来のスロットマシンでは「遊技内容が単調となり,遊技の興趣を高めることができなかった」ことも問題とされている。この問題に対応するため,引用例1記載の「スロットマシン」は,記載事項1C.によれば,「上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)」を有している。
記載事項1F.によれば,引用例1のスロットマシンは,「内部当り」の「賞態様」として「大当りの賞態様である「7」「7」「7」」と,「中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」」と,「小役の賞態様」である「オレンジ」,「プラム」,「スイカ」,「3チェリー」,「2チェリー」,「1チェリー」を有している。また,「内部当り表示手段120」は「「7」の内部当り表示ランプ121,「BAR」の内部当り表示ランプ122,オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128」を有している。そして,それぞれの内部当り表示ランプの点灯タイミングは,「「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間」であり,「その他の内部当り表示ランプ123?128」では,「スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間」である。
記載事項1G.によれば,賞態様に対する払い出しメダルの所定枚数は,「オレンジ」で「15枚」,「プラム」で「8枚」,「スイカ」で「5枚」,「3枚チェリー」で「8枚」,「2枚チェリー」で「5枚」,「1枚チェリー」で「2枚」であり,「貯金」される場合には「1.5倍」の枚数が「7」「7」「7」の入賞時に加算して払い出される。また,「払い出し」がされたか「貯金」がされたかによらず,「内部当り表示ランプ123?128」の表示は,クリアされる。
記載事項1H.によれば,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した状態においても,小役の賞態様の抽選は行われている。
したがって,引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。これ以降は,ここに認定した発明を,「引用発明1」という。

「レバー状のスタートスイッチ(80)がオンとなった場合に,回転リール(40?42)の回転を開始させ,ストップスイッチ(90?92)がオンとなると,回転リール(40?42)が停止するよう図柄制御処理を行い,
乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)を有し,ソフト的に賞態様を決定するスロットマシンであって,
乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)を有し,
上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)を有し,
内部当りの賞態様として,大当りの賞態様である「7」「7」「7」と,中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」と,小役の賞態様である「オレンジ」,「プラム」,「スイカ」,「3チェリー」,「2チェリー」,「1チェリー」を有し,
「7」の内部当り表示ランプ(121)及び「BAR」の内部当り表示ランプ(122)は,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ(80)がオンとなって乱数抽出手段(202)により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間点灯させ,
オレンジの内部当り表示ランプ(123),プラムの内部当り表示ランプ(124),スイカの内部当り表示ランプ(125),1チェリーの内部当り表示ランプ(126),2チェリーの内部当り表示ランプ(127),3チェリーの内部当り表示ランプ(128)は,スタートスイッチ(80)がオンとなって乱数抽出選手段(192)により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ(90?92)がオンとなるまでの間点灯させた後,メダルを払い出したか貯金したかによらず表示をクリアし,
払い出しメダルの所定枚数は,オレンジで15枚,プラムで8枚,スイカで5枚,3枚チェリーで8枚,2枚チェリーで5枚,1枚チェリーで2枚であり,貯金される場合にはその1.5倍の枚数が,「7」「7」「7」の入賞時に加算して払い出され,
「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選している状態でも,小役の賞態様の抽選を行う,
スロットマシン。」

4.4.2.引用例3記載の発明の認定
記載事項3A.?3D.及びここで言及される各表によれば,配当のある小役(JACゲームを除く。)は,スイカ,チェリー及びベルの3種類であり,これ以外に,リプレイ,REG及びBIGが当選役として存在する。また,ボーナスフラグ成立中にも,スイカ,チェリー及びベルのフラグが成立する場合がある。
記載事項3C.と3D.の表を併せたものを「振り分け表」ということにする。要するに,ボーナスフラグ成立中,ボーナスフラグ不成立時,JACゲーム(REG入賞確定後のゲームであることは技術常識に属する。)又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか,及び成立役(ハズレを含む)に応じて,「予告音」,「リール消灯」及び「フラッシュパターン」を「振り分け率(%)」で決定するものである。
引用例3には,振り分け率が%で表示されているが,これが「整数/128」を%表示したものであることは明らかである。そのことは,甲第22号証(以下,「甲22」という。引用例3同様パチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の「成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」である。その数は全部で16種類だが,4つはビッグ中の小役ゲーム時やボーナスゲーム中に用いる・・・各テーブルでは,予告音の有無→消灯の有無→消灯リール数→フラッシュの有無とその種類…と言った一連の動作が数パターンずつ事細かに指定されており,128を分母とする振り分け抽選によって,その中の何れかが選択される仕組み。」(6頁右上部の上段3行?下段1行)との記載及び6?7頁の表において「選択率」が「整数/128」の形態で表記されていること,並びに「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」(平成10年8月1日株式会社白夜書房より発行。これにもパチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の16?17頁の表(16頁上段には「成立フラグに応じて抽選・選択される「予告機能テーブル」」との記載もある。)からも明らかである。
また,記載事項3B.によれば,「フラッシュパターン」には「一直線」と「チェリー」成立フラグ,「竜巻」と「ベル」成立フラグ,「W字」及び「W反転」と「スイカ」成立フラグが密接に関連しており,「一直線」が発生して「チェリー」が出ていなければ取りこぼしということになる。
したがって,引用例3には次のような発明が記載されていると認めることができる。これ以降は,ここに認定した発明を,「引用発明3」という。

「スイカ,チェリー及びベルを配当のある小役として有し,それ以外にリプレイ,REG及びBIGを当選役として有し,抽選の上当選役を決定するパチスロ機であって,
ボーナスフラグ成立中にも,スイカ,チェリー及びベルのフラグが成立する場合があり,
ボーナスフラグ成立中,ボーナスフラグ不成立時,JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか,及びハズレを含む成立役に応じて,予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせを,整数/128の確率で規定される振り分け率で決定し,
フラッシュパターンでは一直線とチェリー成立フラグ,竜巻とベル成立フラグ,W字及びW反転とスイカ成立フラグとが密接に関連しており,一直線が発生してチェリーが出ていなければ取りこぼしということになる,
パチスロ機。」

4.4.3.本件発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1の「レバー状のスタートスイッチ80」,「回転リール40?42」,「ストップスイッチ90?92」,「スロットマシン」は,それぞれ本件発明における「スタートレバー」,「複数のリール」,「複数の停止ボタン」,「遊技機」に相当する。また,引用発明1における「オレンジ」から「1枚チェリー」までに定められた払い出しの「所定枚数」が異なっており,これら「オレンジ」から「1枚チェリー」を含む賞態様について,引用発明1が「乱数」により「ソフト的に賞態様を決定」している以上,引用発明1は本件発明と同様に,「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段」を有している。そして,引用発明1における「内部当り表示手段(120)」は,「「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122」,並びに,「オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128」の全てが,「賞態様がソフト的に発生してから」後には点灯を開始するので,引用発明1における「乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)」は,本件発明における「前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段」に相当する。

引用発明1においては,「内部当りの賞態様」として,「大当りの賞態様」及び「中当りの賞態様」,並びに「複数の小役の賞態様」を有している。そして,「大当り」と「中当り」の「内部フラグ」は,成立した後,実際の入賞まで持ち越されている一方,「小役」についてはメダルが払い出されたか貯金されたかを問わず,「内部当り」は成立したその遊技において完結し,次回の遊技に持ち越されていないことが明らかである。そのため,本件発明に「前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し」とある点は,引用発明1と本件発明との一致点である。なお,本件発明は「貯金」に関する何の記載も有していないことから,引用発明1の如き「貯金」の有無を問わない趣旨とも,引用発明1の如き「貯金」はない趣旨とも解し得る。そこで,後者解釈の場合については,「一応の相違点」として,後に検討することとする。
引用発明1において,「「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選している状態」は,本件発明における「ボーナス入賞態様の内部当選中」に相当し,引用発明1において「小役の賞態様の抽選を行う」ことは,本件発明において「前記入賞態様決定手段」が「前記小当たり入賞態様の抽選を行」うことに相当する。すなわち,本件発明において,「前記入賞態様決定手段」が「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い」とある点も,引用発明1と本件発明との一致点である。ただし,引用発明1における上記「内部当選中」における「小役の賞態様の抽選」は,「貯金」との関連における文脈で言及されているので,本件発明は「貯金」を有さない趣旨との解釈の場合に,当該一致点を維持できるかどうかについては,「一応の相違点」として,検討することとする。
引用発明1において,「オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128は,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯」することは,本件発明において,「前記報知手段」が「前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したこと」を「遊技者に対して報知」することに相当する。
以上を整理すると,本件発明と引用発明1とは,
「スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,
前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,
配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段の抽選の対象は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知する
遊技機。」
である点で一致し,以下の各点で相違あるいは一応のところ相違する。

<相違点1>
本件発明が,「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROM」を備えているのに対して,引用発明1では,報知が小役内部当選の種類も含めて確定的に行われるとともに,「デモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を用いて「報知態様」を決定しない点,及び,それに伴い,「デモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を「ROM」に記憶していない点。

<相違点2>
本件発明が,「前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており,
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」により,「所定確率で」報知を行うとされているのに対して,引用発明1では,報知のための処理を行う時期がスタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間のいずれかの時期であることは明らかであるが,その詳細が不明である点,報知が小役内部当選の種類も含めて確定的に行われるとともに,「デモ抽選テーブル」及び「すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応」した「デモ抽選テーブル選択テーブル」を用いて「報知態様」を決定しない点。

<相違点3>
本件発明では,小当たり入賞態様を取りこぼした場合に関して,特別な記載がないことから,そのような場合については何ら特定されていない趣旨とも,何のメダルも得られない趣旨とも解することができるのに対して,引用発明1では,小役の賞態様を取りこぼした場合に,1.5倍のメダルを貯金して,後の「7」「7」「7」の入賞時に加算したメダルが払い出される点。なお,この点については,本件発明が前者の趣旨であれば相違点とならないが,後者の趣旨でもあり得るため,一応の相違点として検討するものである。

<相違点4>
本件発明では,上記相違点3に係る構成をいずれと解した場合であっても,ボーナス内部当選中に小当たり入賞態様の抽選を行うのに対し,引用発明1では,小役の賞態様を取りこぼした場合の「貯金」の処理を離れても,ボーナス内部当選中に小役の抽選を行うか否かが明らかではない点。なお,この点についても,相違点3と同様,一応の相違点として検討するものである。

4.4.4.相違点の判断及び本件発明の進歩性の判断
(1)<相違点1>及び<相違点2>について
相違点1及び相違点2は関連した相違点であるため,ここで合わせて検討することとする。

まず,報知のための処理を行う時期について検討すると,引用発明1では,内部当り表示手段(120)がスタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯することから,スタートスイッチ80がオンとなった直後からストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間のいずれかの時期に報知のための処理が行われていることは明らかである。そして,ストップスイッチ90?92をオンする時期は遊技者に依存していること,報知の結果は遊技者による目押しの助けとなること,から,スタートスイッチ80がオンとなって抽選の結果が判明した後,できるだけ早い時期に報知のための処理を行うことは当業者であれば当然に想起し得ることである。そうすると,引用発明1において,報知の処理を行う時期をスタートスイッチ80がオンとなった直後とすることに格別の困難性はない。

また,引用発明1の報知手段は,それぞれの入賞態様に対応した表示ランプであり,これは入賞態様の報知としては,遊技者にとって極めてわかりやすい報知手段である。しかし,入賞態様を報知するに当たり,遊技者にとって極めてわかりやすい報知でなければならない理由はない。上記4.2.で抜記したとおり引用例2には,「内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」(段落【0082】)と記載されるように,複数のランプの点灯パターンと内部当選役の種類とを対応させること(以下,「引用発明2」という。)は,公知である。また,遊技機においては,当選の報知をするに当たり,確定的に報知することも,所定確率で報知することも周知である。引用例3には,パチスロ機「サンダーV」についての紹介記事として,先に4.3.で抜記した記載事項及び4.4.2.で認定した引用発明3が開示されている。すなわち,遊技状態及びハズレを含む成立役に応じて,予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせを,整数/128の確率で規定される振り分け率で決定することが開示されている。同じくパチスロ機「サンダーV」についての紹介記事であり,4.4.2.で参照した甲22の記載を参酌しても,そのことは是認できる。そして,引用発明3において,「フラッシュパターン」には,「一直線」と「チェリー」成立フラグ,「竜巻」と「ベル」成立フラグ,「W字」及び「W反転」と「スイカ」成立フラグの間には,密接な関連があるとされており,「一直線」が発生して「チェリー」が出ていなければ取りこぼしと認識可能とされており,引用例3の振り分け表を見ても,「一直線」である「直線」のフラッシュパターンが出現するのは,「チェリー」フラグ成立時でなければ「JACゲーム」における「ハズレ」時あるいは「BIG中小役ゲーム」における「スイカ」時のみとなっている。「W字」のフラッシュパターンが出現するのは,「スイカ」フラグ成立時でなければ「JACゲーム」における「ハズレ」時のみとなっている。「竜巻」のフラッシュパターンが出現するのは,「ベル」フラグ成立時でなければボーナスフラグ成立中の「リプレイ」時あるいは「BIG中小役ゲーム」における「スイカ」時のみとなっている。ここで,「JACゲーム」中には「当たり」と「ハズレ」のいずれかしかないから報知の必要性自体が乏しいうえに,「JACゲーム中」であることは遊技者が当然に認識可能であるから,他の状態における小当たり入賞フラグの成立と混同が生じる恐れはほとんどない。また,「BIG中小役ゲーム」であることも遊技者は当然に認識可能であるとともに,引用例3の37頁の「小役抽選確率(BIG中)」の表を参酌すれば,BIG中小役ゲームにおける「スイカ」の当選確率は最大でも1/512であり,きわめて低い。すなわち,引用発明3において,「一直線」に接した遊技者はほぼ「チェリー」フラグ成立の蓋然性が高いと認識することができ,「W字」に接した遊技者はほぼ「スイカ」フラグ成立の蓋然性が高いと認識することができる。また,「竜巻」に接した遊技者は,ボーナスフラグ成立中の「リプレイ」でなければ「ベル」フラグ成立の蓋然が高いと認識することができる。
したがって,このように決定された「予告音,リール消灯及びフラッシュパターン」の組み合わせ中,「フラッシュパターン」の部分において,実際上「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」ことが達成される。
そうであれば,引用発明1において,遊技者にとって極めてわかりやすい報知であることや,確定的報知であることを維持しなければならない理由はないことから,上記引用発明3を採用して複数のランプの点灯パターンと内部当選役の種類とを対応づけた報知とするとともに,上記周知技術を採用して所定確率での報知とすることは,当業者にとって想到容易である。

そして,所定確率で報知がされるように,報知態様を決定するに際しては,引用発明3の如く,遊技状態と当選フラグとに応じて振り分け率に従い決定する手法を採用して,小役入賞の内部当選が確率的に予告報知される報知態様が選択されるようにすることも,当業者にとって想到容易である。その際,引用例3には,遊技状態及び当選フラグの各組み合わせに毎に,報知態様と振り分け率が記載されており,それは全部で16通りあるのであるから,報知態様と振り分け率を定めた16個のテーブル(本件発明の「複数種類のデモ抽選テーブル」に相当)を記憶(振り分け率に該当するものとしては,乱数値を用いる関係上,抽選値を記憶する。)し,「参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」とすることが最も自然である。上記甲22及び前掲「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」に「予告機能テーブル」との記載があることも,上記認定を裏付けるものであるが,本件発明の「デモ抽選テーブル選択テーブル」の存在までは認めることができない。
しかしながら,複数のテーブルの1つを選択するに際し,どのテーブルを選択すべきかを決定するための別のテーブルを記憶し,その別のテーブルにアクセスすることは,特開平10-113439号公報(段落【0055】?【0058】),特開平10-201911号公報(段落【0107】),特開平10-15175号公報(段落【0087】?【0089】),特開平10-15156号公報(図6,図7),特開平7-101103号公報(段落【0075】),特開平8-211869号公報(図6)に例示されるように,遊技機分野を含め一般に従来周知の技術である。
また,甲22には,7頁上に,各小役フラグ成立毎であって,通常時,ボーナスフラグ成立後の遊技状態別に,予告機能テーブルを備えることが記載されていることから,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナス成立中は同じ「予告機能テーブル」を用いるものであるものの(この点については後に検討する。),「遊技状態」及び「成立フラグ」の2つのパラメータによって,複数あるテーブルから1つのテーブルを選択することが記載されている。そして,複数あるテーブルから1つのテーブルを選択するには,選択手段が当然必要であることから,その選択手段として,上記周知技術を用いることに格別の困難性はなく,引用発明1に甲22発明を適用して「複数種類のデモ抽選テーブル」具備するものとする際に,その「デモ抽選テーブル」を選択するための手段として上記周知技術を採用して本件発明の「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当するテーブルを設けることは当業者にとって想到容易である。
そして,甲22には,パチスロ機「サンダーV」の紹介記事として,7頁上に,各小役フラグ成立毎であって,通常時,ボーナスフラグ成立後の遊技状態別に,予告機能テーブルを備えることが記載されているから,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナスフラグ成立中は,入賞態様が同じならば同じ「予告機能テーブル」を用いるものであるものの,「全ての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応して」いない。なお,同一機種のパチスロ機「サンダーV」の紹介記事として「パチスロ攻略マガジン」1998年4月号の4?8頁(平成10年4月1日 株式会社双葉社発行)(以下,「参考文献」という。)には,その8頁において「2or4枚チェリー」とあるように,上記甲22の記載とは異なり,2枚チェリーと4枚チェリーの場合は同じ「個別振り分けテーブル」を用いるものであるから,「小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応」するものではないため,念のため,この点についても相違点としてここで検討すると,参考文献においては,確かに2枚チェリーと4枚チェリーの場合は同じ「個別振り分けテーブル」を用いるものであるが,ハズレ,ベル,スイカ,リプレイは「個別振り分けテーブル」を他の入賞態様と共用するものではなく,また,チェリーは,チェリー同士は別として,「個別振り分けテーブル」を他の入賞態様と共用するものではない。そして,参考文献においてはチェリー以外の入賞態様は「個別振り分けテーブル」を他の入賞態様と共用するものではないこと,2枚チェリーと4枚チェリーを同じ「個別振り分けテーブル」とする必然はないこと,使用する「個別振り分けテーブル」の種類を増やせばより多様な演出をできることは自明なことを考慮すると,チェリーにおいて2枚役と4枚役で用いる「個別振り分けテーブル」を異なるものとするか否かは,演出の効果を考慮して適宜決定すればよい設計事項に過ぎないものといわざるを得ない。また,平成10年9月14日の時点では知られていたパチスロ機の「バーサス」においても,少なくとも「通常時」においては,「成立役別予告パターン」として「2枚チェリー」,「4枚チェリー」が別のものとされており,他の成立役も全て異なったものとなっていることが周知(必要であれば,「パチスロ必勝ガイド」1998年10月号(株式会社白夜書房発行 国立国会図書館平成10年8月21日受入)41頁を参照。)であったことを考慮すると,この点からもチェリーにおいて2枚役と4枚役で用いる「個別振り分けテーブル」を異なるものとすることに格別の困難性は見いだせない。
また,甲22,参考文献においては,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナスフラグ成立中は,すべての入賞態様において,入賞態様が同じならば同じ「予告機能テーブル」,「個別振り分けテーブル」を用いるものであるが,「予告機能テーブル」,「個別振り分けテーブル」を他の入賞態様と共用することなく入賞態様に応じて用いることは,ボーナス未成立時のハズレ,ベル,スイカ,リプレイにおいて行われていること,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナスフラグ成立中において同じ「予告機能テーブル」,「個別振り分けテーブル」を用いる必然はないこと,使用する「予告機能テーブル」,「個別振り分けテーブル」の種類を増やせばより多様な演出をできることは自明なことを考慮すると,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナスフラグ成立中で用いる「予告機能テーブル」,「個別振り分けテーブル」群(ハズレ,ベル,スイカ,リプレイ)を異なるものとするか否かは,演出の効果を考慮して適宜決定すればよい設計事項に過ぎないものといわざるを得ない。

また,本件発明では「デモ抽選テーブル」と「デモ抽選テーブル選択テーブル」とが「ROM」に記憶されていることが限定されているが,各種テーブルをROMに記憶することは,遊技機分野を含め一般に従来周知の技術に過ぎないことであり,その点は設計事項であると言わざるを得ない。
したがって,相違点1及び2に係る本件発明の構成に至ることは,当業者にとって容易である。

(2)<相違点3>について
引用発明1は,小役の賞態様を取りこぼした場合に,小役の賞態様を揃えた場合の1.5倍のメダルを貯金して,後の「7」「7」「7」の入賞時に,貯金したメダルを加算したメダルを払い出すようにしている。しかしながら,そのような「取りこぼし」の「貯金」は,記載事項1B.にいう「遊技内容を多様化する」という目的に資するものではあっても,同記載事項1B.にいう「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた」という状況に照らして,内部当たりを告知するという構成を採用する場合に,必ず一体不可分のものとして採用しなければならないというものではない。その一方,小役を揃えても取りこぼしても結局のところメダルを払い出すという場合には,小役の内部当選確率自体を下げなければ払い出し率を維持できないこととなる。
そうであれば,引用発明1において,記載事項1B.にいう「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がない」という状況に照らして内部当選の告知を行う点に着目した当業者が,小役の取りこぼし時にメダルを「貯金」する構成まで併せて維持しなければならない理由はなく,引用発明3をはじめ他のスロットマシンが通常そうしているように,取りこぼした小役に対してはメダルの払い出しをしないようにすることは,容易に想到し得た事項と言わざるを得ない。
なお,本件発明が小当たり入賞態様を取りこぼした場合の記載を有さないことについて,そのような場合の処理を何ら特定しない趣旨と解した場合には,相違点3は実際上の相違点ではない。
したがって,相違点3は実際上の相違点ではないか,又は当該相違点に係る本件発明の構成を得ることは当業者にとって想到容易な事項である。

(3)<相違点4>について
引用例1における記載事項1H.は,引用発明1が有する小役取りこぼし時のメダルの「貯金」を実施する場合,貯金メダル枚数の極端な増加を避けるために,「7」「7」「7」あるいは「BAR」「BAR」「BAR」のソフト的当選後は小役の当選確率を「通常よりも」低い確率とする旨記載するものである。そうであれば,相違点3について検討した如く,引用発明1における小役取りこぼし時のメダルの「貯金」を維持しない場合においても,「7」「7」「7」あるいは「BAR」「BAR」「BAR」のソフト的当選後に,小役の抽選を行うこと自体は,引用例1において想定されている。加えて,引用発明3でもボーナスフラグ成立中にスイカ,ベル及びチェリーのフラグが成立する場合があるのであるから,ボーナス入賞態様の内部当選中であっても小当たり入賞態様の抽選を行うことは明らかといえ,これを引用発明1に採用することには何ら格別の困難性もなく,相違点4に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易と言わざるを得ない。

4.4.5.まとめ
以上のとおり,相違点1?4に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。そして,これらを採用したことによる格別の作用効果を認めることができない。
したがって,本件発明は,引用発明1?3,甲22発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,本件特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。
なお,被請求人は訂正請求とみなされた平成22年5月6日付けの訂正の審判請求(訂正2010-390043号)の請求書において,「本件発明の「デモ抽選テーブル選択テーブル」は,「遊技状態」及び「当選フラグ」を変数とすることで,初めてその目的を達成することができ,技術的意義を有するものとなる。・・・本件発明の「デモ抽選テーブル選択テーブル」は「遊技状態」及び「当選フラグ」と結びついて初めてその目的を達成することができ,技術的意義を有するものとなる。このため,「遊技状態」及び「当選フラグ」を捨象して,本件発明の「デモ抽選テーブル選択テーブル」の進歩性を論じることは許されない。」(20?22頁)と主張するが,上記「4.4.4.」の「(1)<相違点1>及び<相違点2>について」で検討したとおり甲22には,7頁上に,各小役フラグ成立毎であって,通常時,ボーナスフラグ成立後の遊技状態別に,予告機能テーブルを備えることが記載されていることから,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナス成立中は同じ「予告機能テーブル」を用いるものであるものの,「遊技状態」及び「成立フラグ」の2つのパラメータによって,複数あるテーブルから1つのテーブルを選択することが記載されている。そして,複数あるテーブルから1つのテーブルを選択するには,選択手段が当然必要であることから,その選択手段として,「4.4.4.」の「(1)<相違点1>及び<相違点2>について」で指摘した周知技術を用いることに格別の困難性はなく,その場合には,「遊技状態」及び「成立フラグ」をパラメータとすることが自然であるため,被請求人の主張は採用できない。
また,被請求人は同請求書において,「・・・引用発明2は,遊技内容を多様化するとともに,遊技状態を的確に把握して,遊技の興趣を高めることを課題としているのであって,報知を所定の確率にしたり,誤った報知をすることは,遊技状態を的確に把握することに反するから,このようにすることには阻害要因があるといえる。」と主張しているが,引用発明1(上記請求書における「引用発明2」のこと。)においては,遊技者にとって極めてわかりやすい報知であることや,確定的報知であることを維持しなければならない理由はなく,報知に関して見れば引用発明1は,記載事項1B.の如く「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がない」という従来の状態に対して改善を行ったものであり,確定的報知以外は何らの効果も奏さないというものではないことが明らかであるから,被請求人の主張は採用できない。
また,被請求人は同請求書において,「すなわち,訂正発明1においては,すべての遊技状態にわたって,小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しているから,すべての入賞態様を区別して知ることができるのであり,また,現在行われている遊技状態を区別して知ることができるのである。」と主張しているが,甲22には,ビッグボーナスフラグ成立中とレギュラーボーナス成立中は同じ「予告機能テーブル」を用いるものであるものの(その点はすでに検討済み),各小役フラグ成立毎であって,通常時,ボーナスフラグ成立後の遊技状態別に,予告機能テーブルを備えることが記載されているので,被請求人の主張は採用できない。
しかしながら,上記「4.4.4.」の「(1)<相違点1>及び<相違点2>について」で,念のため検討したとおり,同一機種のパチスロ機「サンダーV」の紹介記事が記載された参考文献では,2枚チェリーと4枚チェリーの場合は,同じ「個別振り分けテーブル」を用いているので,この点につき検討すると,甲22において,2枚チェリーと4枚チェリーを除けば入賞態様毎に異なる個別振り分けテーブルが対応しており,その効果は結局程度の差に過ぎず,顕著な効果とは認められない。また,甲22において,ボーナス未成立と成立では入賞態様毎に異なる個別振り分けテーブルが対応しており,「全ての遊技状態にわたって」ではないとしても,その効果についても程度の差に過ぎないため,顕著な効果とは認められない。
よって,被請求人の主張は採用できない。

第6 むすび
以上のとおりであって,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから,その他の無効理由を判断するまでもなく,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲

(参考)平成21年12月15日付け審決(2次審決)

無効2007-800178

大阪府吹田市江坂町一丁目16番17号
請求人 株式会社 SNKプレイモア
大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
代理人弁理士 小松 陽一郎
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 ニチメンビル8階
代理人弁護士 福田 あやこ
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 ニチメンビル8階
代理人弁護士 井崎 康孝
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 ニチメンビル8階
代理人弁護士 辻村 和彦
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 ニチメンビル8階
代理人弁護士 井口 喜久治
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 ニチメンビル8階
代理人弁護士 森本 純
大阪府大阪市天王寺区上本町5丁目2番11号 上六新興産ビル8階 辰巳特許事務所
代理人弁理士 辰巳 忠宏
大阪府堺市栄橋町1丁5番2号 YSビル2階 中尾真一特許事務所
代理人弁理士 中尾 真一
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 宇田 浩康
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 中村 理紗
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 山崎 道雄
大阪府大阪市北区中之島2丁目2番2号 大阪中之島ビル8階 小松法律特許事務所
復代理人弁護士 辻 淳子
東京都江東区有明三丁目7番26号
被請求人 株式会社 ユニバーサルエンターテインメント
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 正林 真之
東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビルヂング404区 丸の内法律事務所
代理人弁護士 田中 康久
東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 中込 秀樹
東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正紀
東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 岩渕 正樹
東京都中央区銀座6丁目5番13号 JDB銀座ビル七階 ふじ合同法律事務所
代理人弁護士 松永 暁太
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 幸男
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 長沢 美智子
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル225区 東京丸の内・春木法律事務所
代理人弁護士 大西 剛
東京都港区虎ノ門2丁目8番1号 虎ノ門電気ビル3階 多田総合法律事務所
代理人弁護士 今井 博紀
東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー 三好内外国特許事務所
代理人弁理士 豊岡 静男
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 井口 嘉和
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 青木 和夫
東京都豊島区東池袋1-27-12 明治池袋ビル7F 長沢特許事務所 池袋支所
代理人弁理士 八木澤 史彦
東京都豊島区東池袋一丁目25番8号タカセビル本館 スカイ特許事務所東京
代理人弁理士 小野寺 隆
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 玲太郎
東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 佐藤 武史
東京都豊島区東池袋一丁目25番8号 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 清水 俊介
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 進藤 利哉
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 小椋 崇吉
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 岸武 弘樹
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 新山 雄一
東京都港区赤坂1ー8-6 赤坂HKNビル6階 羽鳥国際特許事務所
代理人弁理士 加藤 竜太
東京都豊島区東池袋1-25-8 タカセビル本館 正林国際特許商標事務所
代理人弁理士 渡辺 浩司

上記当事者間の特許第3232076号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成20年 4月 9日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において,特許法181条2項による審決取消の決定(平成20年行ケ第10182号,平成20年9月16日決定言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。

結 論
平成21年1月5日付け訂正請求書による訂正のうち,請求項2乃至4の訂正を認める。請求項1,及び段落【0008】の訂正を認めない。
特許第3232076号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。
審判費用は,被請求人の負担とする。

理 由

第1 手続の経緯
1. 本件無効審判請求前の経緯
本件特許は,特願平9-340746号(以下「基礎出願」という。)に基づく優先権を主張して出願された特願平10-260071号(以下「原出願」という。)の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願2000-109295号(基礎出願に基づく優先権主張がされている。)の特許である。基礎出願から本件無効審判請求までの,主立った経緯は次のとおりである。
・平成9年11月26日 基礎出願
・平成10年9月14日 原出願
・平成12年4月11日 本件出願
・平成13年9月14日 特許第3232076号として設定登録(請求項1?5)
・平成14年5月27日 特許異議申立(異議2002-71307)
・平成14年12月4日 訂正請求(後に取り下げ)
・平成15年9月5日 訂正請求(請求項数が4に減少。以下,「異議訂正」という。)
・平成15年10月31日 異議決定(異議訂正を認める。請求項1?4に係る特許を維持する。)

2. 本件無効審判の経緯
・平成19年8月28日 請求人より請求項1の特許に対して本件審判請求
・同年11月21日 被請求人より答弁書提出(被請求人が記載した日付は同月20日)
・同年11月28日付け 当審において無効理由(以下,「1次無効理由」という。)を通知
・平成20年1月4日 請求人より意見書及び弁駁書提出(請求人が記載した日付は平成19年12月29日)
・同月18日 被請求人より意見書及び訂正請求書提出(被請求人が記載した日付は同月17日。以下,「1次訂正請求」という。)
・同年2月12日付け 当審において訂正拒絶理由(以下,「1次訂正拒絶理由」という。)を通知
・同年3月17日 被請求人より意見書及び手続補正書提出
・同年4月9日付け 審決(1次訂正請求による訂正を全て認めず,請求項1に係る特許を無効とする。以下,「1次審決」という。)
・同年5月16日 1次審決の取消訴訟出訴(平成20年行ケ10182号)
・同年9月16日 知的財産高等裁判所により,特許法181条2項による,1次審決の取消し決定
・同年10月14日 被請求人より訂正請求書(以下,「2次訂正請求」という。)提出
・同年11月21日 請求人より弁駁書提出(請求人が記載した日付は同月19日)
・同年12月2日付け 当審において訂正拒絶理由(以下,「2次訂正拒絶理由」という。)及び無効理由(以下,「2次無効理由」という。)を通知するとともに審尋を送付
・同年12月24日 請求人より回答書提出(請求人が記載した日付は同月22日)
・平成21年1月5日 請求人より意見書提出(請求人が記載した日付は平成20年12月29日)
・同年同月同日 被請求人より意見書及び訂正請求書(以下,「本件訂正請求」という。)提出
・同年2月16日 請求人より弁駁書提出(請求人が記載した日付は同月12日)
・同年3月23日 被請求人より答弁書提出

3. 本件特許に関する別途審判事件の経緯
本件無効審判請求より後に本件特許について請求された,別途審判事件の経緯は,次のとおりである。
<無効2007-800237号審判事件>
・平成19年10月31日 請求項1の特許に対して無効審判請求(本件請求人と同一請求人)
・平成20年1月21日 被請求人より答弁書,訂正請求書提出
・平成20年2月15日 審判合議体より中止通知発送(本件無効審判を先に審理するため)

<訂正2008-390088号審判事件>
・平成20年8月13日 本件特許の明細書全文の訂正請求
・平成20年9月3日 審判合議体より訂正拒絶理由通知
・平成20年10月16日 特許法134条の3第3項によるみなし取り下げ(本件無効審判における同月14日付け2次訂正請求がされたため)


第2 当事者の主張及び当審で通知した無効理由の骨子
1. 請求人の主張
1.1. 審判請求理由
本件の請求項1に係る発明(以下,「本件発明」という。)は基礎出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていないので,基礎出願に基づく優先権主張は成立せず,新規性を論ずる上での出願日は平成10年9月14日である。
被請求人は,本件出願前にスロットマシン「サンダーV」を生産譲渡しており,「サンダーV」のROMは解析可能であるから,ROMの内容を含めてスロットマシン「サンダーV」は本件出願前に公然実施された。
そして,本件発明はスロットマシン「サンダーV」そのものであるから,請求項1の特許は特許法29条1項2号の規定に違反してされた特許であり,同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由1」という。)。

1.2. 本件訂正請求について
本件訂正請求による訂正(以下,「本件訂正」という。)は,新規事項を追加するものであり,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に違反するから,拒絶されるべきものである。

1.3. 証拠関係
請求人は以下の甲第1号証?甲第28号証及び検甲第1号証?検甲第7号証を提出している。なお,請求人は「サンダーV」の検証を求めているわけではなく,検甲第1号証?検甲第7号証は撮影された写真(撮影者不詳)であるから,本来ならば書証として扱うべきものかもしれないが,ここでは請求人の呼称に従うこととする。

・甲第1号証:特許原簿
・甲第2号証:本件特許公報
・甲第3号証:異議2002-71307の特許決定公報
・甲第4号証:平成15年9月4日提出の訂正請求書
・甲第5号証:基礎出願の当初明細書及び図面
・甲第6号証:原出願の公開公報
・甲第7号証:基準日時系列表
・甲第8号証:東京高裁平成14年(行ケ)539号判決要旨
・甲第9号証:早期審査に関する事情説明書
・甲第10号証:早期審査に関する報告書
・甲第11号証:アルゼ株式会社第26期有価証券報告書
・甲第12号証:「サンダーV」のマシン語の出力画面
・甲第13号証:「サンダーV」の逆アセンブルの出力画面
・甲第14号証:「サンダーV」のマシン語プログラム
・甲第15号証:「サンダーV」の逆アセンブルリスト
・甲第16号証:「ハナビ」の逆アセンブルリスト(注釈付)
・甲第17号証:遊技機の取扱説明書(サンダーV)
・甲第18号証:「実践!スロッター勝利の掟」の表紙,裏表紙及び44?45頁(2003年4月 株式会社宝島社発行)
・甲第19号証:「パチスロ攻略マガジン」の表紙,裏表紙及び8?9頁(平成10年5月1日 株式会社双葉社発行)
・甲第20号証:本件特許と「サンダーV」の対照表
・甲第21号証:「パチンコ・パチスロ白書 1998?99」表紙,奥付け及び210頁(1998年3月20日 現代書林発行)
・甲第22号証:「月刊 パチスロ必勝ガイド」1998年4月号,表紙,裏表紙及び4?10頁(株式会社白夜書房発行)
・甲第23号証:履歴事項全部証明書(有限会社パティオ)
・甲第24号証:http://patio/ocnk/net/(有限会社パティオのインターネットホームページ)
・甲第25号証:履歴事項全部証明書(株式会社東プロ)
・甲第26号証:http://topro-am.jp(株式会社東プロのインターネットホームページ)
・甲第27号証:「月刊アミューズメント・ジャーナル」2007年11月号,表紙,裏表紙,64?65頁
・甲第28号証:「パチスロ攻略マガジン」1998年8月号,表紙,裏表紙及び72頁(株式会社双葉社発行)
・検甲第1号証:「サンダーV」の筐体の正面写真
・検甲第2号証:「サンダーV」の前面扉開口状態の正面写真
・検甲第3号証:「サンダーV」の開口部拡大正面写真
・検甲第4号証:「サンダーV」の可変表示部と制御基板の拡大正面写真
・検甲第5号証:「サンダーV」の制御基板の拡大正面写真
・検甲第6号証:「サンダーV」の制御基板に実装されたROMの拡大写真
・検甲第7号証:「サンダーV」に実装されたROMを解析中の写真

2. 当審で通知した無効理由
2.1. 進歩性その1
本件発明の新規性・進歩性を論じる上での出願日は,基礎出願日ではなく,平成10年9月14日以降である。
本件発明は,本件出願前に頒布された「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(平成10年9月10日 辰巳出版株式会社発行。以下,「引用例1」という。)36?65頁に記載された発明(以下,「引用発明1」という。)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由2」という。)。

2.2. 進歩性その2
本件発明の新規性・進歩性を論じる上での出願日は,基礎出願日ではなく,平成10年9月14日以降である。
本件発明は,本件出願前に頒布された特開平7-136313号公報(以下,「引用例2」という。)に記載された発明(以下,「引用発明2」という。),特開平8-117390号公報(以下,「引用例3」という。)に記載された発明(以下,「引用発明3」という。),引用発明1,甲第22号証に記載された発明(以下,「甲22発明」という。)及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである(以下,この無効理由を「無効理由3」という。)。

3. 被請求人の主張
3.1. 優先権主張の成立性について
本件発明について基礎出願に基づく優先権主張が成立せず,新規性・進歩性を判断する上での出願日が平成10年9月14日であることは,認める。

3.2. 本件訂正について
本件訂正は,新規事項を追加するものでなく,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に適合するから,拒絶されるべきではない。

3.3. 無効理由1について
本件発明のうち,スロットマシンの内部制御に関する部分が公然実施された事実はない。なぜなら「サンダーV」のROMは厳重に秘密管理されており,たとえ購入者であってもROM解析をすることはできないからである。

3.4. 無効理由2について
本件発明と引用発明1には,相違点があり,相違点に係る本件発明の構成に至ることは当業者といえども容易ではない。

3.5. 無効理由3について
本件発明と引用発明2とには相違点があり,引用発明3,引用発明1,甲22発明及び周知技術を考慮しても,相違点に係る本件発明の構成に至ることは,当業者といえども容易ではない。

3.6. 証拠関係
被請求人の提出した証拠は以下の乙第1号証及び乙第2号証である。
・乙第1号証:「サンダーV」の遊技機本体内部の写真
・乙第2号証」「サンダーV」の取扱説明書

そのほか参考資料として,特許第2853519号公報(参考資料1),特許第2795756号公報(参考資料2),特公平6-46398号公報(参考資料3)及び特許第4021100号公報(参考資料4)並びに被請求人作成による参考資料5?10が提出されている。


第3 本件特許の明細書又は図面の記載事項
1. 願書に添付した明細書の記載事項
先に「第1 経緯」で見たとおり,本件無効審判請求に先立つ異議決定(異議2002-71307号)において,異議訂正(平成15年9月5日付け)が認められ,該異議決定は確定している。そして,その後これまでのところ,本件無効審判及び本件特許に関する他の無効審判あるいは訂正審判において,訂正が認められて確定した経緯はない。そのため,前述異議訂正後の明細書が,願書に添付した明細書である。
願書に添付した明細書又は図面(以下,「本件明細書等」という。)には,以下に抜記する記載がある。なお,抜記中の「/」は改行を示す。以下,本審決中のその他の抜記においても,「/」により改行を示す場合がある。

(記載事項ア. 特許請求の範囲)
ア1.「【請求項1】 配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,/ 前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,/ 前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する/ ことを特徴とする遊技機。」
ア2.「【請求項2】 前記入賞態様決定手段は複数の前記小当たり入賞態様を有し,前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
ア3.「【請求項3】 前記報知手段は音によって前記報知を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。」
ア4.「【請求項4】 前記報知手段は前記ボーナス入賞態様に対応した当選フラグの成立をも報知することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機。」

(記載事項イ. 発明の属する技術分野,従来の技術,及び解決しようとする課題)
イ1.「【0001】/ 【発明の属する技術分野】/ 本発明は,乱数抽選によって入賞態様が決定され,小当たり入賞が発生する遊技機に関するものである。」
イ2.「【0002】/ 【従来の技術】/ 従来,この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは,図22(a)に示すように,前面パネル2の背後に3個のリール3,4,5が3列に並設されている。各リール3?5の外周には種々の図柄が描かれており,これら図柄は,各リール毎に設けられた図示しない内蔵光源(バックライト)によって背後から照明され,前面パネル2に形成された各窓6,7,8を介して観察される。この窓には5本の入賞ラインが記されており,スロットマシン遊技は,いずれかのこの入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃うか否かによって行われる。/ 【0003】/ 遊技は遊技者によって投入口にメダルが投入されることによって開始され,投入口にメダルが投入されると,同図(a)に示すようにバックライトが全部点灯する。このバックライトは遊技終了後一定期間,遊技者のメダル投入操作等がなかった場合には,同図(b)に示すように全部消灯している。各リール3?5は遊技者によるスタートレバーの操作に応じて回転し,各窓6?8には図柄が列方向に回転移動表示される。各リール3?5が一定速度に達すると各リール3?5に対応して設けられた各ストップボタンの操作は有効となる。/ 【0004】/ 遊技者は移動する図柄を観察しながら各ストップボタンを操作し,各リール3?5の回転を停止させ,所望の図柄をいずれかの入賞ライン上に停止表示させようとする。各リール3?5は各ストップボタンの操作タイミングに応じてその回転が停止する。この停止時にいずれかの入賞ライン上に所定の図柄組み合わせが表示されると,その図柄組み合わせに応じた入賞が得られる。/ 【0005】/ 入賞態様には大当たり入賞や中当たり入賞,小当たり入賞等があり,大当たり入賞や中当たり入賞は図柄「7」や所定のキャラクタ図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生する。大当たり入賞ではビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム),中当たり入賞ではレギュラー・ボーナス・ゲーム(RBゲーム)といった特別遊技が行え,大量のコインを獲得することが出来る。また,小当たり入賞は「チェリー」や「ベル」といった図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生し,この小当たり入賞では数枚のメダルを獲得することが出来る。同図(c)は図柄「ベル」が中央の入賞ラインに揃った場合を示しており,この場合にはバックライトは点滅する。/ 【0006】/ このような入賞態様は,スタートレバーが操作された直後に行われる乱数抽選によって決定され,各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。この乱数抽選は遊技機内部に構成された入賞態様決定手段で実施される。この乱数抽選によって大当たり入賞が決定されると,機器前面パネルに設けられたランプが点灯し,機械の内部抽選によって大当たり入賞が発生したことが遊技者に報知される。その後,遊技者の停止ボタン操作に応じて各リールの回転が停止制御され,乱数抽選によって決定された入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると,入賞が発生する。」
イ3.「【0007】/ 【発明が解決しようとする課題】/ しかしながら,上記従来の遊技機では,内部抽選によって大当たり入賞が発生したことは遊技者に報知されるが,小当たり入賞が内部抽選によって発生したことは報知されない。このため,小当たり入賞は,各窓に図柄が実際に停止表示されるまで,機械内部の乱数抽選で決定されたことが分からなかった。従って,内部抽選によって小当たり入賞が決定された場合,遊技者は,この内部抽選結果を予め把握できないため,リールの回転を最初に停止操作する際,どのような図柄を入賞ライン上に揃えれば良いかを知ることは出来なかった。」

(記載事項ウ. 課題を解決するための手段)
ウ1.「【0008】/ 【課題を解決するための手段】/ 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,入賞態様決定手段は,当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,当選フラグの成立後当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても小当たり入賞態様の抽選を行い,報知手段は,遊技状態および当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および入賞態様決定手段によってその時に成立している当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる抽選値に割り当てられた報知態様で,小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする。」
ウ2.「【0009】/ 本構成によれば,遊技者は内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを予め知ることが出来,停止ボタン操作は容易に行える。また,報知手段が所定確率で報知を行うため,小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり,報知されない場合もある。よって,遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり,この内部抽選結果報知があった場合にはその喜びも増し,遊技の興趣は向上する。/ 【0010】/ また,本発明は複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも遊技者に報知することを特徴とする。例えば,複数の音を発生させて小当たり入賞の種類を遊技者に報知する。/ 【0011】/ 本構成によれば,小当たり入賞の種類を予め知ることが出来るため,停止ボタン操作はより容易に行える。」

(記載事項エ. 第1の実施形態)
エ1.「【0012】/ 【発明の実施の形態】/ 次に,本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第1の実施形態について説明する。/ 【0013】/ 図1は本実施形態によるスロットマシン1の正面図である。/ 【0014】/ スロットマシン1の前面パネル2の背後には可変表示装置を構成する3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には複数種類の図柄(以下,シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。また,表示窓6,7,8の下方右側には,遊技者がメダルを入れるための投入口9が設けられている。」
エ2.「【0032】/ 入賞確率テーブルは,サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており,乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。このような入賞確率テーブルは例えば図6に示すように構成される。同図におけるa1?a3,b1?b3,c1?c3,d1?d3,e1?e3,f1?f3,g1?g3は予め設定された数値データであり,サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは,投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?g1」,2枚の場合には「a2?g2」,3枚の場合には「a3?g3」の各数値の組合せが用いられる。/ 【0033】/ これら数値は通常「a<b<c<d<e<f<g」の大小関係に設定され,抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり,この場合,b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち,c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ,d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ,e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち,g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。 /【0034】/ つまり,入賞態様は,サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され,「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。ここで,乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。各種のヒットはこのような入賞確率テーブルのデータ設定に応じた確率の下で発生するため,遊技者の技量に極端に左右されることなく,例えば1日の営業時間内でのトータル的なメダル支払い率がほぼ一定に維持されている。」
エ3.「【0038】/ 図8および図9はこの遊技処理の概略を示すフローチャートである。」
エ4.「【0041】/ 入賞態様決定手段で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表される。当選フラグの種類には「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類がある。これら当選フラグのうち,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の各フラグは,内部抽選の結果小当たり入賞に当選した場合に立つ。また,「RB」フラグは内部抽選の結果中当たり入賞に当選した場合,「BB」フラグは内部抽選の結果大当たり入賞に当選した場合に立つ。」
エ5.「【0042】/ 小当たり入賞当選フラグはその回の遊技においてだけ有効であり,新たなメダル投入によって行われる次回の遊技には持ち越されない。つまり,小当たり入賞態様は,入賞態様決定手段によって小当たり当選フラグがセットされたその遊技において完結する。これに対してRB当選フラグやBB当選フラグは数回の遊技にわたって持ち越される。つまり,中当たり入賞や大当たり入賞といったボーナス入賞態様は,入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると,通常,RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。そして,RB入賞が発生すると遊技状態はRB作動中になって後述するRBゲームが行われ,BB入賞が発生すると遊技状態はBB作動中になって後述するBBゲームが行われる。」
エ6.「【0043】/ 次に,この入賞判定の結果,小当たり入賞当選フラグが立ったか否かが判断される(ステップ104)。小当たり入賞当選フラグが立っている場合には,次に,小当たり当選報知音出力処理(ステップ105)が行われる。また,小当たり入賞当選フラグが立っていない場合には,処理は後述するステップ106に移る。ステップ105の報知音出力処理では,スピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され,スピーカ39から小当たり入賞当選フラグの種類に応じた報知音A?Dが出力させられる。/ 【0044】/ つまり,小当たり入賞当選フラグが「2枚チェリー」の場合にはスピーカ39から報知音Aが出力され,「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の場合にはそれぞれ報知音B,CおよびDがスピーカ39から出力される。これら報知音は機器前面下方の透音孔19を通って遊技者に伝えられる。ここで,スピーカ駆動回路43,スピーカ39およびマイコン30は小当たり入賞当選を報知する報知手段を構成している。小当たり当選報知音A?Dが出力されるタイミングは図10(a)に示され,同図(e)に示す抽選タイミング直後から時間t1の間出力される。」
エ7.「【0051】 次に,BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ111),BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ112)。このBBゲームでは一般遊技およびボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。BBゲーム中の一般遊技では小当たり入賞が高確率で発生する。また,ボーナスゲームは複数回の高配当ゲームが一組となったゲームである。BBゲーム中のこの一般遊技においても,内部抽選によって小当たり入賞の当選フラグが立った場合には,その入賞態様に応じた報知音が上述したようにスピーカ39から出力される。/ 【0052】/ BBゲームが発生していない場合には,次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ113),RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ114)。このRBゲームでは上記のボーナスゲームが1回行える。従って,小当たり入賞では上記のように僅かなメダルしか獲得することが出来ないが,RBゲームやBBゲームではこのように多数回の遊技が行えるため,通常,大量のメダルを獲得することが可能である。」
エ8.「【0054】/ このような本実施形態によれば,遊技者は,スピーカ39から出力される報知音A?Dを聞くことにより,内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを,各停止ボタン16?18の操作をする前に予め知ることが出来る。従って,停止ボタン16?18の操作は,配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。もしも,この小当たり入賞当選報知が行われない場合,遊技者は各リール3?5にどの図柄を停止表示させたらよいか分からないが,本実施形態によれば停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来,停止ボタン操作は容易になる。/ 【0055】/ さらに本実施形態では,小当たり入賞当選報知手段は,小当たり入賞の態様と1対1に対応した複数の音A?Dを発生させ,小当たり入賞の種類をも遊技者に報知する構成になっている。このため,小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選したかを予め知ることが出来,停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。従って,停止ボタン操作はより容易に行える。」
エ9.「【0057】/ なお,上記実施形態では,内部抽選当選報知音を小当たり入賞の各種類に1対1に対応させて複数種類出力させる構成としたが,必ずしも1対1に対応させる必要はない。例えば,報知音をA,Bの2種類とし,入賞態様決定手段で小当たり入賞が決定された場合に報知音Aをスピーカ39から出力し,大当たり入賞が決定された場合に報知音Bをスピーカ39から出力する構成としてもよい。この場合には,報知音A,Bの違いから小当たり入賞の当選フラグが立ったことを知ることが出来る。ただし,小当たり入賞の種類については知ることが出来ない。/ 【0058】/ 本構成によっても,内部抽選によって小当たり入賞当選フラグが立ったことを予め知ることが出来,各リール3?5に停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来る。従って,停止ボタン操作は容易になり,また,報知音を楽しむことも出来る。」

(記載事項オ. 第2の実施形態)
オ1.「【0059】/ 次に,本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第2の実施形態について説明する。/ 【0060】/ 本実施形態によるスロットマシンの構成は上記の第1の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており,これら以外の構成は上記実施形態によるスロットマシンと同じである。/ 【0061】/ つまり,上記実施形態によるスロットマシンでは確率抽選処理(図8,ステップ103)で小当たり入賞が抽選されると,この小当たり入賞が報知手段によって必ず遊技者に報知された。しかし,本実施形態によるスロットマシンでは,確率抽選処理で小当たり入賞が抽選されても,必ずしもこの小当たり入賞が報知されるとは限らない。また,入賞態様決定手段で小当たり入賞以外の入賞態様が決定されても,小当たり入賞が予兆報知される場合がある。また,上記実施形態ではスピーカ39によって報知手段が構成されていたが,本実施形態では各リール3?5の各バックランプ57a?57cによって報知手段が構成されている。」
オ2.「【0064】/ 図11に例示する報知選択抽選確率テーブルは,図6に示す入賞確率テーブルにおける3枚賭けの確率テーブルに対応して示されている。つまり,この報知選択抽選確率テーブルの上段には,図6に示す3枚賭け時のヒット区画データである数値データa3?g3の各値が示されている。また,下段には3枚賭け一般遊技時の報知区画データの各値が示されている。ここで,乱数発生器36は0?65535(=216)の範囲の乱数を発生するものとしている。/ 【0065】/ 同テーブルによれば,入賞判定時に0?200の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば,内部抽選結果は大当たり入賞となって「BB」当選フラグが立ち,201?380の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば,内部抽選結果は中当たり入賞となって「RB」当選フラグが立つ。同様に,381?10000の範囲にある乱数が抽出されれば,各役の小当たり入賞当選フラグが立ち,10001?18000の範囲にある乱数が抽出されれば,「再遊技」当選フラグが立ち,18001?65535の範囲にある乱数が抽出されれば,「ハズレ」当選フラグが立つ。」
オ3.「【0066】/ また,入賞判定時にサンプリング回路37によって381?770または20381?20800の範囲にある乱数が抽出されていれば,「スイカ」当選フラグの予兆報知が行われる。つまり,381?770の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立った場合には,「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。また,20381?20800の範囲にある乱数が抽出されて「ハズレ」当選フラグが立っている場合にも,この「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。一方,771?800の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立っていても,この範囲の乱数は「スイカ」当選フラグ報知区画データの範囲外であるため,「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は行われない。/ 【0067】/ すなわち,「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われても,必ずしも内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っているとは限らず,また,「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われていなくても,内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っていないとは限らない。「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は所定の信頼度の下で行われており,図11に示すテーブルの場合には,「スイカ」当選フラグが立っている場合にこの入賞態様報知が行われる確率は390/810で約48%{(381?770の390)/(381?770の390と20381?20800の420との和)}になっている。また,「スイカ」当選フラグが立っていない場合にこの入賞態様報知が行われる確率は420/810で約52%になっている。この結果,入賞態様報知は約52%の確率ではずれることになる。/ 【0068】/ このような入賞態様報知は小当たり入賞の他の各当選フラグや,大当たり,中当たり入賞の「BB」,「RB」当選フラグや,「再遊技」当選フラグについても同様に行われる。ただし,入賞態様報知の信頼度は全ての役において一率である必要はなく,メダル投入枚数や遊技状態によって異ならせてもよい。例えば,図11に示すテーブルでは,「ベル」当選フラグの報知が当たっている確率は1000/1100で約91%であり,この報知がはずれている確率は100/1100で約9%である。」
オ4.「【0074】/ 前述した第1の実施形態では,小当たり入賞予兆報知の際に参照されるフラグは小当たり入賞当選フラグであったが,本実施形態では予兆報知の際に小当たり入賞報知フラグが参照される。従って,上述したように,小当たり入賞は所定の信頼度の下で報知され,その報知が当たっている場合もあり,外れている場合もある。さらに,入賞態様決定手段でハズレ入賞態様が決定された場合にも,小当たり入賞予兆報知が行われる場合がある。」
オ5.「【0076】/ 例えば,「2枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には,図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで,第1リール3の上段のバックランプ57aだけが図14(a)に示すように消灯される。この際,第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。また,「4枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに応じた同様なタイミングで,第1リール3の中断のバックランプ57bだけが同図(b)に示すように消灯される。また,「ベル」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで,第1リール3の下段のバックランプ57cだけが同図(c)に示すように消灯される。また,「スイカ」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで,第1リール3の全てのバックランプ57a?57cが同図(d)に示すように消灯される。」
オ6.「【0080】/ このような本実施形態によれば,遊技者は,スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cのうち,第1リール3のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより,小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って,各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため,停止ボタン16?18の操作は,配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。/ 【0081】/ さらに本実施形態では,報知手段は,小当たり入賞の態様と1対1に対応した4つの態様で第1リール3の各バックランプ57a?57cを点灯制御し,小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため,小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来,停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また,各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため,遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。/ 【0082】/ また,小当たり入賞態様の報知は,全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく,報知選択抽選確率テーブル(図11参照)に示すような所定確率で行われる。また,入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って,小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり,報知されない場合もある。よって,遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり,報知があった場合にはその喜びも増し,遊技の興趣は向上する。」
オ7.「【0084】/ また,上記実施形態の説明においては,報知手段は,入賞態様決定手段で「ハズレ」入賞態様が決定されたときにも小当たり入賞態様の予兆報知をする構成について説明したが,小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず,小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。」

(記載事項カ. 第3の実施形態)
カ1.「【0086】/ 次に,本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第3の実施形態について説明する。/ 【0087】/ 本実施形態によるスロットマシンの構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており,これら以外の構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンと同じである。つまり,この第3の実施形態によるスロットマシンは,第2の実施形態と比較し,報知選択抽選処理(図12,ステップ125)およびリールランプ点灯制御処理(ステップ127)の各内容が異なっている。これに伴い,制御回路のROM32に記憶されているテーブルも異なっている。/ 【0088】/ 第2の実施形態によるスロットマシンでは,報知選択抽選処理は,報知選択確率抽選テーブル(図11参照)が参照されて報知する入賞態様が選択され,この入賞態様に応じた報知情報が選択されて予兆報知が行われた。しかし,この第3の実施形態によるスロットマシンの報知選択抽選処理は,後述するように,デモ抽選テーブル選択テーブルが参照され,遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルが選択される。さらに,選択されたデモ抽選テーブルが参照され,抽選乱数に応じて報知情報が選択されて予兆報知が行われる。」
カ2.「【0090】/ 以下にこの第3の実施形態によるスロットマシンについて詳述する。/ 【0091】/ 本実施形態によるスロットマシンでは,図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16?図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。/ 【0092】/ デモ抽選テーブル選択テーブルは,遊技状態および当選フラグからNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図19(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており,データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。/ 【0093】/ 当選フラグは図19(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより,その時の当選フラグが示されている。」
カ3.「【0094】/ 例えば,GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ,FLGCTRのデータが02Hであれば,遊技状態は一般遊技中で当選フラグは4枚チェリーになる。従って,その時のデモ抽選テーブルは,デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.2のデモ抽選テーブルになる。このNo.2のデモ抽選テーブルは図16に示され,同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により,リールランプ消灯パターンの種類が選択される。例えば,No.2のデモ抽選テーブルで抽選値49の欄の組合せが選択されると,リールランプ消灯パターンはパターン2になる。/ 【0095】/ また,遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタが4枚チェリーの上記の場合において,No.2のデモ抽選テーブルで最下欄の抽選値30の欄の組合せが選択されると,リールランプ消灯パターンはパターン3になる。また,GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ,FLGCTRのデータが04Hであれば,遊技状態は一般遊技中で当選フラグはスイカになる。この時のデモ抽選テーブルは,デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.4のデモ抽選テーブルになる。/ 【0096】 / このNo.4のデモ抽選テーブルも図16に示され,同テーブルから抽選値14の欄が抽選によって選択されると,この時の演出態様組合せも,リールランプ消灯パターンはパターン3になる。つまり,異なる当選フラグが成立するゲームにおいても,予兆報知パターン決定用乱数の値によっては,同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。」
カ4.「【0101】/ 「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様は,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「はずれ」になり,デモ抽選テーブルNo.17が選択される場合や,フラグカウンタが「リプレイ」になり,デモ抽選テーブルNo.0が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン1」の表示態様は,「2枚チェリー」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「2枚チェリー」になり,デモ抽選テーブルNo.1,No.5,No.9,No.13が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン2」の表示態様は,「4枚チェリー」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「4枚チェリー」になり,デモ抽選テーブルNo.2,No.6,No.10,No.14が選択される場合に高い確率で現れる。/ 【0102】/ また,「リールランプ消灯パターン3」の表示態様は,「ベル」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「ベル」になり,デモ抽選テーブルNo.3,No.7,No.11,No.15が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン4」の表示態様は,「スイカ」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「スイカ」になり,デモ抽選テーブルNo.4,No.8,No.12,No.16が選択される場合に高い確率で現れる。」
カ5.「【0104】/ 本実施形態においても,まず,CPU31によってメダルBETの有無が判別される(図12,ステップ121)。メダルBETが有った場合には次にスタートレバー15の操作が有ったか否かが判別され(ステップ122),この操作が有った場合には,前述した確率抽選処理(ステップ123)によって入賞態様が決定される。次に,リール3,4,5の回転処理が行われる(ステップ124)。/ 【0105】/ 次に,入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは前述したように図13(j)に示すタイミングで行われ,スタートレバー15の操作直後に行われる。この報知選択抽選処理は,図21に示すフローチャートに従って行われる。」
カ6.「【0106】/ まず,RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図19(a)参照)が参照され,その時の遊技状態が把握される(図21,ステップ201)。次に,FLGCTR領域に格納されたデータが参照され,当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に,その時の遊技状態および当選したフラグの種類から,デモ抽選テーブル選択テーブル(図15参照)を参照してNo.0?No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に,RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。/ 【0107】/ このカウント値Cは0?127の範囲で変化しており,抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり,このカウント値Cから,ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され,減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。減算結果Aが負にならない場合には,次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206),その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ,負になった場合にはその抽選値Rの欄のリールランプ消灯パターンが予兆報知される演出態様に選択される(ステップ208)。」
カ7.「【0109】/ この報知選択抽選結果はRAM33の所定領域に書き込まれ,ステップ125で報知フラグがセットされる。ここで,予兆報知態様として「リールランプ消灯パターンなし」が選択された場合には,報知フラグはセットされない。また,予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン1」が選択された場合には,「2枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされ,予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン2」が選択された場合には,「4枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされる。また,予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン3」が選択された場合には,「ベル」小当たり入賞報知フラグがセットされ,予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン4」が選択された場合には,「スイカ」小当たり入賞報知フラグがセットされる。/ 【0110】/ 次に,この報知選択抽選処理によって小当たり入賞報知フラグが立ったか否かが判断される(図12,ステップ126)。この小当たり入賞報知フラグが立っている場合には,次に,リールランプ点灯制御処理(ステップ127)が行われる。また,小当たり入賞報知フラグが立っていない場合には,処理はステップ128に移る。/【0111】/ ステップ127のリールランプ点灯制御処理では,ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され,各リール3?5の各バックランプ57a?57cが入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。/ 【0112】/ 例えば,予兆報知フラグが「2枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には,図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで,第1リール3の各バックランプ57a?57cが図20(a)に示すように消灯される。この際,第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。上述したようにこの表示態様は「リールランプ消灯パターン1」に対応しており,「2枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。また,予兆報知フラグが「4枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで,第2リール4の各バックランプ57a?57cが図20(b)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン2」に対応しており,「4枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。/ 【0113】/ また,予兆報知フラグが「ベル」小当たり入賞としてセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで,第3リール5の各バックランプ57a?57cが図20(c)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン3」に対応しており,「ベル」小当たり時に高い確率で現れる。また,予兆報知フラグが「スイカ」小当たり入賞としてセットされている場合には,報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで,全リール3?5の各バックランプ57a?57cが図20(d)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン4」に対応しており,「スイカ」小当たり時に高い確率で現れる。」
カ8.「【0117】/ このような本実施形態によっても,遊技者は,スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより,小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って,各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため,停止ボタン16?18の操作は,配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。/ 【0118】/ さらに本実施形態でも,報知手段は,小当たり入賞の態様と1対1に対応した態様で各リール3?5の各バックランプ57a?57cを点灯制御し,小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため,小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来,停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また,各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため,遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。/ 【0119】/ また,小当たり入賞態様の報知は,全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく,デモ抽選テーブル(図16?図18参照)を用いた乱数抽選による所定確率で行われる。また,入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って,小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり,報知されない場合もある。よって,遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり,報知があった場合にはその喜びも増し,遊技の興趣は向上する。」
カ9.「【0120】/ なお,上記実施形態においても,小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず,小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。」

2. 訂正請求書に添付した明細書の記載事項
本件無効審判において,被請求人より提出された訂正請求書及び訂正請求書の補正書は,以下のとおりである。
・1次訂正請求書(平成20年1月18日付け)
・1次訂正請求書の補正書(平成20年3月17日付け)
・2次訂正請求書(平成20年10月14日付け)
・本件訂正請求書(平成21年1月5日付け)
特許法134条の2第4項の規定により,同条第1項の訂正の請求がされた場合,その審判事件において先にした訂正の請求は取り下げられたものとみなされるから,1次訂正請求書及び2次訂正請求書は取り下げられたこととなる。そのため,本件訂正のみが,検討すべき対象として残ることとなる。

本件訂正請求書に添付された明細書(以下,図面も含めて「訂正明細書等」という。)には,次に抜記する記載がある。なお,記載事項に付した「ア’」「イ’」等の符号は,対応関係の把握が容易となるよう,先に「1.」で抜記した本件明細書等の記載事項に付した「ア」「イ」等の符号に対応させたうえで,「’」を加えたものである。また,本件明細書等における記載と相違がある箇所には当審で下線を付した。本件明細書等と相違しない記載事項については,抜記を省略した。

(記載事項ア’ 特許請求の範囲)
ア’1.「【請求項1】 スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,/ 前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,/ 配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,/ 乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,/ 前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,/ 前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,/ 前記各デモ抽選テーブルには,複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,/ 前記報知手段は,/ 前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,/ その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,/ 当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する/ ことを特徴とする遊技機。」
ア’2.「【請求項2】/ 配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,/ 前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,/ 前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し,/ 前記入賞態様決定手段は複数の前記小当たり入賞態様を有し,前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知することを特徴とする遊技機。」
ア’3.「【請求項3】 」
ア’4.「【請求項4】 」

(記載事項ウ’ 課題を解決するための手段)
ウ’1.「【0008】/ 【課題を解決するための手段】/ 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,前記各デモ抽選テーブルには,複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,前記報知手段は,前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする。」

3. 基礎出願の願書に最初に添付した明細書の記載事項
基礎出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「基礎出願明細書等」という。)の記載事項については,優先権主張の成立性のみが問題となる。そこで,本件明細書等と記載が大きく相違する点のみを挙げると,記載事項あるいは欠落事項は,次のとおりである。
なお,記載事項あるいは欠落事項における「あ.」「え5.」等の符号は,対応関係の把握が容易となるよう,対応する本件明細書等の記載事項「ア.」「エ5.」等に合わせている。

記載事項あ. 特許請求の範囲
「【請求項1】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段を備えた遊技機において,/ 前記入賞態様決定手段によって小当たり入賞が決定されたことを遊技者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。/ 【請求項2】 前記報知手段は小当たり入賞の種類をも遊技者に報知することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。/ 【請求項3】 前記報知手段は複数の音を発生させて小当たり入賞の種類を遊技者に報知することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。/ 【請求項4】 前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを停止表示する,外周に種々の図柄が描かれた複数の回転リールと,これら各回転リールが停止表示する図柄を背後から照明する,各回転リール毎に設けられた複数の光源とをさらに備え,/ 前記報知手段は,これら各光源を複数の態様で点灯表示させて小当たり入賞の種類を遊技者に報知することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。/ 【請求項5】 前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって小当たり入賞が決定されたときにこの小当たり入賞を所定確率で遊技者に報知することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の遊技機。/ 【請求項6】 前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときに小当たり入賞を所定確率で遊技者に報知することを特徴とする請求項5に記載の遊技機。/ 【請求項7】 前記入賞態様決定手段は,一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段と,この乱数発生手段で発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段と,この乱数抽出手段で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段とから構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6に記載の遊技機。/ 【請求項8】 前記遊技機はスロットマシンまたは弾球遊技機であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の遊技機。」

記載事項う. 課題を解決するための手段
「【0009】/ 【課題を解決するための手段】/ 本発明はこのような課題を解決するためになされたもので,乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段を備えた遊技機において,この入賞態様決定手段によって小当たり入賞が決定されたことを遊技者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする。/【0010】/ 本構成によれば,遊技者は内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを予め知ることが出来,停止ボタン操作は容易に行える。/ 【0011】/ また,本発明は小当たり入賞の種類をも遊技者に報知することを特徴とする。例えば,複数の音を発生させて小当たり入賞の種類を遊技者に報知する。/ 【0012】/ 本構成によれば,小当たり入賞の種類を予め知ることが出来るため,停止ボタン操作はより容易に行える。/ 【0013】/ また,本発明は,報知手段が,入賞態様決定手段によって小当たり入賞が決定されたときにこの小当たり入賞を所定確率で遊技者に報知することを特徴とする。さらに,入賞態様決定手段によって小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときにも小当たり入賞を所定確率で遊技者に報知することを特徴とする。/ 【0014】/ 本構成によれば,小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり,報知されない場合もある。また,入賞態様決定手段で小当たり入賞以外の入賞態様が決定された場合にも,小当たり入賞態様が所定確率で報知される。よって,遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり,この内部抽選結果報知があった場合にはその喜びも増し,遊技の興趣は向上する。」

欠落事項え5. 本件明細書等における記載事項エ5.
基礎出願明細書等には,記載事項エ5.(すなわち本件明細書等の段落【0042】)の記載は存在しない。

欠落事項か. 本件明細書等における第3の実施形態及び対応図面
基礎出願明細書等には,本件明細書等における「第3の実施形態」の記載,及び対応する図面の全て(図15?図21)が存在しない。そのため,先に抜記した記載事項カ.の全ても存在しない。


第4 優先権の判断
1. 当事者間における争いの有無
請求人は,本件発明は基礎出願明細書等に記載されていないので,基礎出願に基づく優先権主張は成立せず,新規性を論じる上での出願日は平成10年9月14日であると主張している。
被請求人も,本件訂正の前後を通じて,請求項1に係る発明の新規性・進歩性を論じる上での出願日が平成10年9月14日であることを認めており,この点について当事者間の争いはない。
そこで,本件訂正の許否の判断に先立ち,基礎出願に基づく優先権主張の成立性を検討する。

2. 検討
2.1. デモ抽選テーブルに関する発明特定事項について
「第3 1.」に記載事項ア1.として抜記したとおり,本件明細書等における請求項1には,「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,」なる発明特定事項が存在する。
しかしながら,基礎出願明細書等には,「第3 3.」において欠落事項か.を指摘したとおり,当該発明特定事項に対応する「第3の実施形態」の記載全体が存在しない。また,「第3 3.」において記載事項あ.及び記載事項う.として抜記したとおり,基礎出願明細書等における「特許請求の範囲」の欄,及び「課題を解決する手段」の欄にも,当該発明特定事項に対応する記載は存在しない。そして,その他の箇所を含めた全ての記載を総合しても,基礎出願明細書等に,上述した「デモ抽選テーブル」に関する事項が開示されたということはできない。
訂正明細書等における請求項1も,「第3 2.」において記載事項ア’1.として抜記したとおり,表現ぶりは異なるが「デモ抽選テーブル」に関する特定事項を有する。しかしながら,当該発明特定事項が基礎出願明細書等に開示されていないことは,上に述べたとおりである。
したがって,「デモ抽選テーブル」に関する発明特定事項を有する請求項1は,本件訂正の許否によらず,基礎出願に基づく優先権主張を認めることができない。

2.2. ボーナス内部当選中における小当たり入賞態様の抽選について
本件明細書等における請求項1は,「第3 1.」に記載事項ア1.として抜記したとおり,「前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,」なる発明特定事項も有している。訂正明細書等における請求項1についても,「第3 2.」に記載事項ア’1.として抜記したとおり,同様の発明特定事項が存在する。
これに対して,基礎出願明細書等における「特許請求の範囲」及び「課題を解決するための手段」の欄には,「第3 3.」に記載事項あ.及び記載事項う.として抜記したとおり,「入賞態様決定手段」及び「小当たり入賞態様」が存在することを除き,上記発明特定事項に合致する記載はない。さらに,欠落事項え5.として指摘したとおり,上記発明特定事項と合致する発明の詳細な説明中の記載は,基礎出願明細書等では欠落している。
ここで,上記発明特定事項のうち,「小当たり入賞態様」のほかに「ボーナス入賞態様」が存在すること,それぞれの「当選フラグ」が存在することは,基礎出願明細書等のその他の箇所に記載されている。しかしながら,小当たり入賞態様の当選フラグがその遊技において完結し,次回の遊技に持ち越されないこと,ボーナス入賞態様の当選フラグがボーナス入賞態様の発生まで持ち越されること,及び「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行」うことは,基礎出願明細書等のその他の箇所にも記載されていない。
これらの事項が,直接の記載はなくとも,基礎出願明細書等の記載の範囲内であるかについて検討する。小当たり入賞態様の当選フラグを持ち越さないことについては,しごく当然であるとともに,基礎明細書等の図8及び図9が「この遊技処理の概略を示すフローチャートである。」(記載事項エ3.を参照,なお,基礎出願明細書等では段落【0041】)としながらも,「BBゲーム実行(112)」あるいは「RBゲーム実行(114)」に至らない各ゲームにおいて,「確率抽選処理(103)」及び「小当り入賞当選フラグ立つ?(104)」のステップを経ることを示していることから,基礎明細書等の開示の範囲外とまでいうことは妥当ではない。また,ボーナス入賞態様の当選フラグを持ち越すことについても,たとえば本件明細書等に追加された記載事項エ5.に「入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると,通常,RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。」とも記載されているように,一般的な事項に過ぎないから,この点を追加したことのみをもって,優先権主張を認めないとすることは妥当ではない。
しかしながら,ボーナス内部当選中のゲームにおいて,どのような抽選を行うかについては,基礎明細書等に記載がないというだけでなく,必ずしもボーナス内部当選中でないゲームと同様「小当たり入賞態様」の抽選を行うと断言できるものではない。それだけでなく,先に述べたとおり,そもそも基礎明細書等には,ボーナス当選フラグを持ち越すこと,すなわち,ボーナス内部当選中というゲーム状態を有することも記載されていない。先の図8及び図9にも,「BBゲーム実行(112)」及び「RBゲーム実行(114)」というゲーム状態は示されているものの,ボーナス内部中のゲーム状態については,その存在自体が示されていない。そうであるのに,「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行」うという発明特定事項が,基礎明細書等に開示されたということはできない。
したがって,「ボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当り入賞態様の抽選を行」うという発明特定事項を有する請求項1は,本件訂正の許否によらず,基礎出願に基づく優先権主張を認めることができない。

3. 結論
以上のとおりであるから,本件訂正の許否によらず,請求項1に係る発明について,基礎出願に基づく優先権主張は認めることができない。
請求項1に係る発明については,本件訂正の許否によらず,特許法41条2項の規定は適用されないから,新規性・進歩性を検討する上での出願日は,いずれの場合も原出願が出願された平成10年9月14日以降となる。


第5 本件訂正の許否の判断
1. 訂正内容
1.1. 訂正箇所
先に「第3 1.」及び「第3 2.」に示した抜記事項から見て,本件訂正による訂正箇所は,明細書の項目単位で以下のとおりとなる。
・特許請求の範囲の【請求項1】:
先の記載事項ア1.から記載事項ア’1.へと訂正する。以下,ここに含まれる訂正内容をまとめて,「訂正事項1」という。
・特許請求の範囲の【請求項2】:
先の記載事項ア2.から記載事項ア’2.へと訂正する。以下,ここに含まれる訂正内容をまとめて,「訂正事項2」という。
・特許請求の範囲の【請求項3】:
請求項の削除。以下,「訂正事項3」という。
・特許請求の範囲の【請求項4】:
請求項の削除。以下,「訂正事項4」という。
・明細書の段落番号【0008】:
先の記載事項ウ1.から記載事項ウ’1.へと訂正する。以下,ここに含まれる訂正内容をまとめて,「訂正事項5」という。

なお,被請求人は本件訂正請求書において,上記訂正事項のうち請求項1,請求項3,請求項4,段落【0008】の訂正のみを,それぞれ「訂正事項a」?「訂正事項d」と述べたうえで,請求項2については,「【請求項2】は訂正しない」,「【請求項2】は訂正されていないから,独立特許要件を判断されるべきではない。」と主張している。
しかしながら,単なる記載形式の変更が独立特許要件の判断対象とならない場合はあり得るとしても,明細書の記載を変更するからには,訂正事項として,訂正の要件を満たす必要がある。そのため,ここでは【請求項2】における記載の変更も訂正事項に含めて,各訂正事項を,上記したとおり「訂正事項1」?「訂正事項5」ということとする。

1.2. 訂正事項1の訂正内容
訂正事項1中に含まれる訂正内容を,個別の訂正事項として列記すると,以下のとおりである。
<訂正事項1-1>
「スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと,/ 前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され,遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと,」の記載を追加する。
<訂正事項1-2>
「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル,が記憶されるROMと,」の記載を追加する。
<訂正事項1-3>
「前記各デモ抽選テーブルには,複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,」の記載を追加する。
<訂正事項1-4>
訂正前における「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,」の記載を,「前記スタートレバーの操作直後に,報知選択抽選処理を行い,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し,」なる記載へと訂正する。
<訂正事項1-5>
訂正前における「選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」の記載を,「その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し,/ 当該選択した報知態様に対応する表示態様で,前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」なる記載へと訂正する。

1.3. 訂正事項2の訂正内容
訂正事項2の訂正内容は,「第3 1.」の記載事項ア1.,記載事項ア2.,及び「第3 2.」の記載事項ア’2.から見て,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2を,独立形式に書き改めたものである。訂正の前後において,請求項2に係る発明の内容に,変更はない。

1.4. 訂正事項3及び訂正事項4の訂正内容
訂正事項3及び訂正事項4の訂正内容は,先に示したとおり,請求項3及び請求項4の削除である。

1.5. 訂正事項5の訂正内容
訂正事項5の訂正内容は,訂正事項1と同様であり,請求項1の訂正に対して,対応する発明の詳細な説明の記載を整合させるものである。

2. 訂正事項の可分性
本件無効審判請求の対象は,請求項1のみであり,請求項2?4は無効審判請求がされていない請求項である。そのため,1つの訂正事項が請求項1と請求項2?4の内容を同時に変更するものであって,請求項毎の可分的な許否が不可能であるといった事情がない限りは,各請求項に関する訂正事項は,請求項毎になされる無効審判請求に対する請求項毎の防御として,可分的に許否判断がされるべきものである。
本件については,先に「1.」で見たとおり,請求項1に関する訂正事項1及び5と,請求項2,3,4に関する訂正事項2,3,4とは,いずれも1つの訂正事項が,複数の請求項の内容を同時不可分的に変更するものではない。
そこで,以下では請求項1に関する訂正事項1及び5と,請求項2に関する訂正事項2,請求項3に関する訂正事項3,請求項4に関する訂正事項4とについて,それぞれ独立に,訂正許否の判断を行うこととする。

3. 訂正事項2,訂正事項3及び訂正事項4の許否の判断
3.1. 当事者の主張
本件訂正のうち,請求人が違法であると主張している事項は,訂正事項1(及び同じ内容を含む訂正事項5)に関するものであり,訂正事項2,3,4には関していない。すなわち,訂正事項2,3,4に関しては,訂正の適否について当事者間に争いがない。そのため,訂正事項1及び5に先立ち,訂正事項2,3,4について判断する。

3.2. 訂正事項2について
訂正事項2は,訂正前の請求項2について,訂正前の請求項1を引用する従属請求項として記載されていたものを,独立形式に書き改めるものである。請求項2に係る発明の内容は,訂正の前後において実質的に変更がない。このような訂正事項2は,無効審判請求がされていない請求項2について,無効審判請求がされた請求項1についての訂正事項1の影響を受けることを防止して,請求項2単独で明りようなものとすることを目的としたものと言い得るから,特許法134条の2第1項ただし書3号にいう,明りようでない記載の釈明を目的としたものと認める。また,訂正の前後において,請求項2に係る発明の内容は変わっていないから,訂正事項2は,特許法134条の2第1項ただし書1号にいう特許請求の範囲の減縮,あるいは同ただし書2号にいう誤記の訂正を目的としたものには該当しない。そのため,同条第5項において準用する同法126条5項の規定は適用されないから,訂正後の請求項2に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができたものであることは,訂正を認めるための要件とはならない。
さらに,請求項2に係る発明の内容は,訂正の前後において変わっていないから,訂正事項2は,本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。すなわち,訂正事項2は,特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

3.3. 訂正事項3及び訂正事項4について
訂正事項3及び4は,訂正前の請求項3及び4を削除するものであるから,特許法134条の2第1項ただし書1号にいう,特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。ここで,請求項3及び4は,特許無効審判の請求がされていない請求項であるから,同法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定により,訂正後の請求項3乃至4に係る発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができないものとなる場合には,請求項3及び4についての訂正を認めることはできないこととなる。しかしながら,訂正後には請求項3及び4に係る発明は存在しないから,訂正事項3及び4は,特許無効審判が請求されていない請求項に係る発明を,特許出願の際に独立して特許を受けることができない発明へと訂正するものには該当しない。すなわち,訂正事項3及び4は,特許法134条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものではない。
また,訂正事項3及び4は,訂正前の請求項3及び4を削除するものであるから,本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。すなわち,訂正事項3及び4は,特許法134条の2第5項において準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

3.5. 訂正事項2乃至4による訂正の許否の結論
以上のとおり,訂正事項2乃至4は,本件無効審判の請求対象でない請求項2乃至4についての訂正であるとともに,いずれも特許法134条の2第1項の規定に適合し,かつ,同条第5項で準用する同法126条3項から6項の規定にも違反しない。
したがって,請求項2乃至4についての本件訂正は,採用する。

4. 訂正事項1の許否の判断
4.1. 訂正事項1-1,訂正事項1-4及び訂正事項1-5について
4.1.1 当事者の主張
訂正事項1のうち,請求人が訂正違法を主張する事項は,後記「4.2.」及び「4.3.」に見るとおり,訂正事項1-2及び訂正事項1-3に関する。訂正事項1-1,訂正事項1-4及び訂正事項1-5については,請求人は訂正違法となる事項であるとの主張をしておらず,この点で当事者間に争いはない。

4.1.2 検討
当審も,訂正事項1-1,訂正事項1-4,訂正事項1-5については,訂正違法となる事項ではないと判断する。
当事者間に争いがないので詳述は省くが,要するに,訂正事項1-1,訂正事項1-4及び訂正事項1-5における記載の追加は,「スタートレバー」と「複数のリール」及び「複数の停止ボタン」について発明を限定するとともに,「報知抽選処理」及び「報知」の実行タイミングを限定し,また「報知」が「表示態様」によることを限定したものである。そして,訂正事項1-4において「デモ抽選テーブル選択テーブル」の前の「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられた」との記載を削除した点は,訂正事項1-2における「前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル」なる記載の追加によって補われているから,発明の拡張には該当しない。そのため,訂正事項1-1,訂正事項1-4及び訂正事項1-5については,特許法134条の2第1項ただし書1号の規定に適合する。また,請求項1は特許無効審判の請求がされている請求項であるから,同法同条5項の規定により,同法126条5項の準用はない。さらに,これらの訂正事項については,本件明細書等に記載した事項の範囲内であり,実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものでもないから,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

4.2. 訂正事項1-2について
4.2.1 当事者の主張
請求人は,訂正事項1-2の追加によって,請求項1は「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段」及び「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル」という記載を有することとなるところ,両方の記載に同じ「乱数抽選」という語を用いているからには,同一の「乱数抽選」が「入賞態様の決定」と「報知態様の決定」とに共用されると解するほかはないと,主張している。そして,本件明細書等には,先に抜記した記載事項カ5.に示されるように,段落【0104】に入賞態様決定用の「確率抽選処理」が,段落【0105】には報知態様決定用の「報知選択抽選処理」が,それぞれ別のものとして記載されているのみであるから,1つの「乱数抽選」を「入賞態様の決定」と「報知態様の決定」とに共用するという技術事項を導入する訂正事項1-2は,本件明細書等に記載した事項の範囲を超えた事項を導入するものであると主張している。すなわち,訂正事項1-2を含む請求項1の訂正は,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に違反するから,拒絶されるべきであると主張している。
これに対して,被請求人は,訂正事項1-2において「前記乱数抽選」とは記載していないから,同一の「乱数抽選」を「入賞態様の決定」と「報知態様の決定」とに共用するという事項を導入したものではなく,訂正事項1-2は特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定に違反しないと主張している。

4.2.2 検討
そこで,訂正事項1-2を含む請求項1の記載を検討する。
先に抜記した記載事項ア’1.に示されるとおり,「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段」なる記載,及び「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル」なる記載において,被請求人が主張するとおり「前記乱数抽選」という語は用いられていない。そのため,両記載が同一の「乱数抽選」であるとの限定はされていない。「乱数抽選によって」という記載が単に共通するとしても,それは乱数抽選という方法によることを各記載が意味するに止まり,請求人が主張するように「同一の乱数抽選」を意味するものということはできない。
さらに,同請求項1の記載に従えば,入賞態様を決定するための「乱数抽選」は「入賞態様決定手段」が実行する一方,報知態様を決定するための「乱数抽選」は,後に「前記報知手段は,前記スタートレバーの操作直後に,報知抽選処理を行い,・・・・抽出した乱数値とを演算して」と記載されているように,「報知手段」が実行する「報知抽選処理」である。実行手段がそれぞれ異なるとともに,一方は「報知抽選処理」として言い換えられているから,2つの「乱数抽選」が同一のものであるとの解釈は,特許請求の範囲の記載から妥当ではない。
また,特許請求の範囲の記載によれば,入賞態様の決定により当選フラグが定まり,当選フラグに応じて選択された1つのデモ抽選テーブルの中で,報知態様の抽選は行われる。このような2段階の手順をとりながら,乱数抽選としては当選フラグと報知態様の両者を一気に決定する単一の乱数抽選を行うと解することも,不自然である。たしかに,理論上は,当選フラグを決定するのみならず,当選フラグに対応するデモ抽選テーブルの中における報知態様まで決定するという,1段階にまとめられた乱数抽選を,想定し得ないものではない。しかしながら,そのようなことをすれば,乱数値の範囲が不要に増大してしまうから,通常は現実的な選択ではない。先の記載事項オ2.及び記載事項カ6.にあるとおり,本件明細書を参酌すれば,入賞態様を決定するための乱数の抽選範囲として「0?65535」(段落【0064】),内部決定された入賞態様の中で報知態様を決定するための乱数の抽選範囲として「0?127」(段落【0107】)といった抽選範囲が想定されている。このような抽選範囲は,遊技機における入賞態様の抽選のため,また,報知態様の抽選のために,概略妥当なものということができるが,ここで当該妥当な抽選範囲を維持したまま両抽選を一気に行うためには,「65536×128」という巨大な乱数を扱うこととなる。遊技機においてそのように乱数を巨大化させることは,そうせざるを得ない特段の事情があるのでなければ,通常ということはできない。そういった事情を考慮しても,訂正事項1-2を含む請求項1が,単に「乱数抽選によって」という語を2箇所に用いていることによって,入賞態様の決定と報知態様の決定とに同一の乱数を共用していると解することは妥当ではない。
訂正事項1-2を含む請求項1について,入賞態様を決定するための「乱数抽選」と報知態様を決定するための「乱数抽選」とが同一でないと解することは,訂正の前後を通じて明細書に存在する段落【0104】及び段落【0105】の記載とも整合する。またそれゆえに,訂正事項1-2を含む請求項1が,入賞態様の決定と報知態様の決定とにそれぞれ別の乱数抽選を用いることは,本件明細書等に記載された事項の範囲内であるから,新規事項には該当しない。

4.2.3 訂正事項1-2の小括
以上のとおりであるから,訂正事項1-2は新規事項の追加に該当せず,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定を満たしている。
また,訂正事項1-2は,訂正事項1-4の箇所で削除した「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関する記載を補うとともに,「記憶されるROM」も含めて発明を限定するものであるから,特許法134条の2第1項ただし書1号にいう,特許請求の範囲の減縮を目的としている。さらに,実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものでもないから,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項及び4項の規定にも適合する。

4.3. 訂正事項1-3について
4.3.1 当事者の主張
請求人は,訂正事項1-3は「複数種類のデモ抽選テーブル」について「前記各デモ抽選テーブル」の内容を特定するところ,本件明細書等の図18における「No.17」のデモ抽選テーブルは,「抽選値」が「128」のみであって「なし」という報知態様しか有さないから,テーブル内容が「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており」なる訂正事項1-3の記載には該当しないと主張している。そして,本件明細書等には,該「No.17」を含む図16?図18に示されるテーブル群で「複数種類のデモ抽選テーブル」を構成することしか記載されていないから,訂正事項1-3は新規事項であると主張している。
これに対して被請求人は,本件明細書等の図16?図18において,「No.16」までのデモ抽選テーブルが「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになって」いるから,「No.17」のデモ抽選テーブルの有無にかかわらず,訂正事項1-3は新規事項ではないと主張している。

4.3.2 検討
(1)「前記各デモ抽選テーブル」の範囲
上記被請求人の主張は,訂正事項1-3に記載する「前記各デモ抽選テーブル」が「No.16」までのテーブルのみを指すという趣旨とも,「No.16」までのテーブル内容を「No.17」のテーブルにまで拡張することは本件明細書等の記載の範囲内であるという趣旨とも,いずれとも特定できない。しかしながら,前記いずれの趣旨であるとしても,被請求人の主張が妥当であれば,「No.17」のテーブル内容が訂正事項1-3の記載に該当しないとしても,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項の規定には違反しないこととなる。
そこで,まずは訂正事項1-3を含む請求項1の記載から,訂正事項1-3にいう「前記各デモ抽選テーブル」が,一部のデモ抽選テーブルのみを指すのか,全てのデモ抽選テーブルを指すのか検討する。
請求項1には,訂正事項1-2の箇所において,「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル,並びに,前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブルを,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル」と記載されている。当該請求項の記載に従えば,「複数種類のデモ抽選テーブル」は,乱数抽選によって一の報知態様を決定するために「抽選値の情報」を有するものであるとともに,「デモ抽選テーブル選択テーブル」によって選択されるテーブルは,「複数種類のデモ抽選テーブル」のうちの1つでなければならない。「抽選値の情報」について「乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための」とあることは,「抽選値の情報」の用途と性質とに関する記載であるから,「抽選値の情報」自体が複数存在することまで意味するものではない。しかしながら,遊技状態と当選フラグとに応じてデモ抽選テーブル選択テーブルから選択されるものが,「複数種類のデモ抽選テーブルのうち,1つのデモ抽選テーブル」でないことは,特許請求の範囲の記載に明らかに反する。すなわち,特許請求の範囲の記載に従えば,「複数種類のデモ抽選テーブル」は全ての「デモ抽選テーブル」のことであり,一部のデモ抽選テーブルを除くデモ抽選テーブルのみが「複数種類のデモ抽選テーブル」に該当するものではない。また,「デモ抽選テーブル選択テーブル」によって選択されるテーブルは,「複数種類のデモ抽選テーブル」の1つに該当する。
そのうえで,訂正事項1-3は「前記各デモ抽選テーブルには,複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており,かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,」と記載するのであるから,「複数種類のデモ抽選テーブル」の1つ1つについて,そのテーブル内容を特定するものである。本件明細書等における「No.0」から「No.17」のテーブルは,先の記載事項カ.の全体から明らかなように,いずれもデモ抽選テーブル選択テーブルによって選択されるデモ抽選テーブルであるから,特許請求の範囲に記載される「複数種類のデモ抽選テーブル」の1つ1つに該当する。
したがって,訂正事項1-3に記載する「前記各デモ抽選テーブル」は,「No.0」?「No.17」のテーブルからなる「複数種類のデモ抽選テーブル」の,各々を指すものである。そのため,「No.0」?「No.17」のいずれかのテーブル内容が,訂正事項1-3の記載による特定に反する場合には,本件明細書等に「No.0」?「No.17」のデモ抽選テーブルの記載が存在することをもって,直ちに,訂正事項1-3の発明特定事項が記載されていたことにはならない。その場合には,訂正事項1-3の特定に反するデモ抽選テーブルの内容を改変して,全てのデモ抽選テーブルの内容を訂正事項1-3の記載に適合させることが,本件明細書等に記載された事項から導出できたものでない限り,訂正事項1-3の追加は新規事項ということとなる。これに反する被請求人の主張は,採用できない。

(2)「前記各デモ抽選テーブル」の内容
続いて,訂正事項1-3の記載が意味する,各デモ抽選テーブルの内容ついて検討する。
訂正事項1-3の前段は,「前記各デモ抽選テーブルには,複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値が記憶されており」という記載であるから,各々のテーブルが記憶する「抽選値」の内容を,どういう「報知態様」と結びつく抽選値であるかも含めて特定していることとなる。テーブルの記憶内容についての特定であり,条件付き特定を意味する記載もないから,先に(1)で検討したとおり,全てのデモ抽選テーブルの記憶内容が,この特定に適合しなければならない。「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様についての前記抽選値」という記載からすれば,「複数の小当たり入賞態様」に対してはそれぞれ「異なる報知態様」が対応づけられているうえで,各デモ抽選テーブルが,「複数の小当たり入賞態様」に対応した「異なる報知態様」と結びつく「抽選値」を,記憶していなければならない。
訂正事項1-3の後段は,「かつ,その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,」という記載であるから,前段の特定により,各々のデモ抽選テーブルが持つこととなる複数の「報知態様」の中で,いずれの「報知態様」の選択率が高いかを特定していることとなる。ここで,小当たり入賞当選フラグが成立している場合にしか,「その時に成立している小当たり入賞態様」は存在しないから,「その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択されるようになっており,」という記載は,何らかの小当たり入賞態様が成立している場合に限って,テーブル内においていずれの報知態様の選択率が高いかを指定していることとなる。そのため,「前記各デモ抽選テーブル」は全ての「デモ抽選テーブル」を指すものであるが,何れの小当たり入賞態様の当選フラグも成立していない場合については,テーブル内の何れの報知態様の選択率が高くとも,訂正事項1-3の記載に反するものではない。

(3)テーブル「No.0」?「No.17」と訂正事項1-3との適合性
特許明細書等における「No.0」から「No.17」のテーブル内容が,訂正事項1-3による特定内容に合致するか否かを検討する。
まず,「報知態様」には,テーブル全体として,「リールランプ消灯」が「なし」,「1」,「2」,「3」,「4」の5種類がある。以下,明細書に合わせて各報知態様を「パターンなし」乃至「パターン4」という。
「No.17」テーブルは,「報知態様」として「パターンなし」しか有さないから,異なる報知態様に結びつかず,訂正事項1-3前段部の記載に反する。また,後述するが特許明細書等では「パターン1」乃至「パターン4」がそれぞれ小当たり入賞に対応したものとされているので,「パターン1」乃至「パターン4」のうち複数を有さない点でも,訂正事項1-3の前段部の記載による特定に反する。ただし,テーブル「No.17」は,「その時に成立している小当たり入賞態様」が存在するときには選ばれないので,訂正事項1-3の後段部の記載による特定には反しない。
「No.0」?「No.16」のテーブルについては,いずれも複数の報知態様を具備しており,しかも,「パターン1」乃至「パターン4」の中から,2以上の報知態様を有している。
ここで,本件明細書等には,記載事項カ4.の抜記を要すれば,「パターン1」が「2枚チェリー」,「パターン2」が「4枚チェリー」,「パターン3」が「ベル」,「パターン4」が「スイカ」の小当たり入賞に対応する旨が記載されているから,その限度においては「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様」という関係が記載されたうえで,「No.0」?「No.16」のそれぞれが「パターン1」乃至「パターン4」の複数を有していることとなる。そのため,「No.0」?「No.16」については,本件明細書等の記載と訂正事項1-3前段部の記載とは,整合する。また,上記記載事項カ4.中には,「No.0」?「No.16」のテーブルについて,小役入賞態様の当選フラグが成立している場面で選ばれるテーブルでは,当該小役入賞態様に「対応」する「報知態様」の選択率が「高い」旨も,記載されていることとなる。その限度において,本件明細書等における「No.0」?「No.16」の記載は,訂正事項1-3後段部の記載とも整合する。
ただし,これらのテーブル内容を実際に見ると,「2枚チェリー」の当選フラグに対応しない多数のテーブルに「パターン1」が含まれ,「4枚チェリー」の当選フラグに対応しない多数のテーブルに「パターン2」が含まれ,「パターン3」及び「パターン4」についても同様となっている。また,テーブル「No.6」における「パターン2」は,該当する抽選値幅が合計「128」中の「36」で,百分率に直すと選択率約28%しかなく,同テーブル中に含まれる4つの「報知態様」のうち,「パターン3」及び「パターンなし」に比較しても選択率が低いのに,上記記載事項カ4.によれば「高い確率」とされている。テーブル「No.16」における「パターン4」も,換算すると選択率は約25%で,「パターンなし」の半分以下であるのに,上記記載事項カ4.によれば「高い確率」とされている。すなわち,本件明細書等では,「パターン1」乃至「パターン4」のそれぞれが対応しない多数のテーブルに散りばめられており,しかも,選択率が他の報知態様の半分以下であったり下から2番目である場合を含めて,各小当たり入賞に「パターン1」乃至「パターン4」が対応し,選択率が高いと記載されていることとなる。そのため,訂正事項1-3に記載される「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様」という対応関係,及び「その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択される」について,報知に接する遊技者が実際上認識できる程度の対応関係と選択率の高さとを,「第3の実施形態」におけるテーブル群が備えていたか否かについては,疑問が残る。
ここでは,上記疑問の点についてはひとまず保留とし,本件明細書等におけるテーブル「No.0」?「No.17」の訂正事項1-3適合性について,以下のようにまとめる。
・テーブル「No.17」は,訂正事項1-3前段の記載に反する。
・テーブル「No.0」?「No.16」は,訂正事項1-3と整合する記載がされていた。
・「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様」なる対応関係自体,及び「その時に成立している小当たり入賞態様に対応する報知態様が高い確率で選択される」に適合する記載も,テーブル「No.0」?「No.17」に関して,一応のところ存在した。

(4)本件明細書等における記載の有無
(1)に検討したとおり,訂正事項1-3を含む請求項1の記載からすれば,「複数種類のデモ抽選テーブル」の全てが,訂正事項1-3の要件に反してはならない。そして,(3)で検討したとおり,本件明細書等に記載されたテーブル「No.0」?「No.17」では,テーブル「No.17」が,訂正事項1-3前段の要件を満たさない。そのため,「No.0」?「No.17」のテーブルからなる複数種類のデモ抽選テーブルの記載が存在することをもって,本件明細書等に,訂正事項1-3の発明特定事項が記載されていたことにはならないこととなる。
そして,本件明細書等において,複数種類のデモ抽選テーブルについては,テーブル「No.0」?「No.17」で構成される「第3の実施形態」と異なる実施形態の記載はない。また,抜記した記載事項カ.の全体から明らかなように,テーブル「No.17」を除いて「No.0」?「No.16」のみで複数のデモ抽選テーブルの全体を構成すること,あるいは,テーブル「No.17」に「パターン1」乃至「パターン4」のいずれか2以上を追加することは,「第3の実施形態」中の「改変」としても記載されていない。記載事項カ9.には,小当たり入賞以外の当選フラグで選ばれるテーブルから,「パターン1」乃至「パターン4」を除く変形が記載されているが,この変形は全てのテーブルに「パターン1」乃至「パターン4」の複数を含めることには逆行し,デモ抽選テーブルの全てを訂正事項1-3に適合させることを意味しない。
すなわち,本件明細書等において,訂正事項1-3の発明特定事項は,記載がなかったものである。

(5)本件明細書等における記載の総合
訂正事項1-3が特許法134条の2第5項で準用する126条3項に違反するか否かは,単に本件明細書等における記載の有無で判断されるのではなく,本件明細書等に記載された事項の総合に対して,これを超える技術事項が追加された否かで,判断されるべきである。そこで,訂正事項1-3が,本件明細書等に記載された事項の総合から導出できた事項か否かを検討する。
先に(4)で検討したとおり,本件明細書等において,「デモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を用いる「第3の実施形態」には,当該実施形態の「変形」に関する記載も含めて,訂正事項1-3の発明特定事項は記載されていない。これに反する被請求人の主張は採用できない。しかしながら,本件明細書等における「第2の実施形態」では,記載事項オ3.に「また,20381?20800の範囲にある乱数が抽出されて「ハズレ」当選フラグが立っている場合にも,この「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。」及び「このような入賞態様報知は小当たり入賞の他の各当選フラグや,大当たり,中当たり入賞の「BB」,「RB」当選フラグや,「再遊技」当選フラグについても同様に行われる。」との記載がある。そして,図11には「ハズレ」の「ヒット区画データ」である「18001?65535」のうち,「20801?21900」では「ベル」の,「21901?24000」では「4枚チェリー」の,「24001?30000」では「2枚チェリー」の「報知区画データ」に該当することが示されている。すなわち,「第2の実施形態」では「ハズレ」の当選フラグでも複数の「小当たり入賞」の「報知態様」を含めることが記載されている。
そこで,当該「第2の実施形態」における「ハズレ」当選フラグ成立時の報知態様と総合して,「第3の実施形態」において特定事項1-3を満たすようにすることが示されているかを検討する。
まず,「第2の実施形態」自体について検討する。たしかに図11では,「ハズレ」当選フラグ時には「スイカ」や「ベル」の「小当たり入賞」の「報知態様」が選ばれる場合があるが,逆に「スイカ」の「報知区画データ」に該当するのは「スイカ」当選フラグ時あるいは「ハズレ」当選フラグ時のいずれかであり,また「ベル」の「報知区画データ」に該当するのは「ベル」当選フラグ時あるいは「ハズレ」当選フラグ時のいずれかとなっている。そして,「スイカ」の報知がされれば当選フラグは「スイカ」か「ハズレ」のいずれかであり,「ベル」の報知がされれば当選フラグは「ベル」か「ハズレ」かのいずれかであるという対応が存在し,そのことによって,遊技者はある小当たり入賞に対応した報知がされた場合に,当該小当たり入賞当選フラグが成立したかハズレかのいずれかであると認識できるようになっている。すなわち,「第2の実施形態」は,ハズレ当選フラグの成立時については複数の「小当たり入賞」の「報知態様」を含むものの,その他の当選フラグには複数の「小当たり入賞」の「報知態様」を含まない点で,訂正事項1-3が示す「当選フラグ」と「報知態様」との関係には適合しない。そして,当該訂正事項1-3が示す「当選フラグ」と「報知態様」との関係に適合しない点が,先に述べたとおり,小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知するうえでは,重要な意義を有している。さらに,「第2の実施形態」では,記載事項オ7.において,「ハズレ」当選フラグ成立時における小当たり入賞の報知をなくす改変は記載されている一方,いずれの当選フラグ成立時にも複数の小当たり入賞の報知態様を含める改変は記載されていない。
以上からすれば,「第2の実施形態」において,複数の小当たり入賞に対応する報知態様を含む「ハズレ」当選フラグ成立時の報知態様は,他の全ての当選フラグ成立時にも複数の小当たり入賞に対応した報知態様を含めることと,併用する性質を備えた開示はされていない。すなわち,「第2の実施形態」における「ハズレ」当選フラグ成立時の報知態様は,「第3の実施形態」における「テーブルNo.17」への拡張性をもって,本件明細書等に記載されていたということができない。
次に,「第3の実施形態」の側から検討する。テーブル「No.0」?「No.16」がいずれも「パターン1」乃至「パターン4」の複数を有する「第3の実施形態」では,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「リプレイ」,「RB」及び「BB」のいずれの当選フラグ成立時にも,「パターン1」乃至「パターン4」の複数が出現する場合がある。そして,4つの小当たり入賞がそれぞれ「パターン1」乃至「パターン4」と対応しているという記載もされているものの,「報知態様」が「パターンなし」と合わせて全5種しかないとともに,先に(2)で指摘したとおり,対応していると称される報知態様の選択率がテーブル内で他の報知態様の半分以下であったり,下から2番目であったりさえするのであるから,各当選フラグと「パターン1」乃至「パターン4」との対応関係は,遊技者の側から見てはっきりしたものではない。しかも,記載事項カ1.によれば,各当選フラグの抽選値幅は「第2の実施形態」と略同様であるから,ボーナスを除けば「スイカ」,「ベル」,「4枚チェリー」,「2枚チェリー」,「再遊技」及び「ハズレ」の抽選値幅がそれぞれ「420」,「1100」,2100」,「6000」,「8000」及び「47535」であり,「スイカ」の当選確率を基準とすれば,「2枚チェリー」までの小当たり入賞当選確率に約14.3倍,「リプレイ」は約19倍,「はずれ」に至っては約113倍の格差がある。抽選確率が高い当選フラグに対応したテーブルに含まれる報知態様は,当該テーブル中における選択率がさほど高くない報知態様であっても,遊技者から見れば比較的頻繁に出現することとなる。そのため,5種類の報知態様のいずれかから,そのときに成立している当選フラグの種類を推測することは,遊技者にとってさらに困難となっている。
ここで,「第3の実施形態」では,「はずれ」当選フラグで選ばれるテーブル「No.17」が「パターンなし」しか有さないことにより,「パターン1」乃至「パターン4」の報知がされたのに当選フラグが「はずれ」であることはない。その一方,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「リプレイ」,「RB」及び「BB」のいずれの当選フラグ成立時にも,「パターン1」乃至「パターン4」の複数が出現する場合があるから,「パターン1」乃至「パターン4」のいずれかが出現すれば,遊技者は,「はずれ」でないこれら当選フラグのいずれかが,少なくとも成立していると認識することができる。そして,成立しているはずの当選フラグの中には,「小当たり入賞」に対応するものが,所定の確率で含まれることとなる。そのため,「第3の実施形態」においては,テーブル「No.17」が「パターンなし」しか持たないことが,遊技者に対する報知のうえで,重要な意義を有していることとなる。
その一方,テーブル「No.17」にも「パターン1」乃至「パターン4」の複数を含めた場合,「パターン1」乃至「パターン4」の報知がされたところで,遊技者は,「はずれ」を除く当選フラグが成立していると認識することも不可能となる。それだけでなく,実際上「はずれ」当選フラグの抽選確率はきわめて高く,たとえば「スイカ」当選フラグに比較すれば約113倍にもなるのであるから,「パターン1」乃至「パターン4」の報知は「はずれ」当選フラグ成立時に頻繁に出現することとなる。しかも,全てのテーブルに「パターン1」乃至「パターン4」の複数が含まれているのだから,遊技者はある報知がされたからといって,「はずれ」も含めた何れの当選フラグが成立している蓋然性が高いのか,見当をつけることすら困難となる。また,このような状態では,実際上「パターン1」乃至「パターン4」が,それぞれ異なる小当たり入賞態様と対応しているということもできない。
このように,「第3の実施形態」においては,テーブル「No.17」が「パターンなし」しか持たないか,それとも「パターン1」乃至「パターン4」の複数を有するかで,遊技者から見た報知の信頼性には重大な相違が生じる。そして,先の記載事項カ.にあるとおり,「第3の実施形態」では,「パターン1」乃至「パターン4」の報知を小当たり入賞当選フラグが成立した場合のみに限る変更は示されている一方,「ハズレ」当選フラグ成立時に「パターン1」乃至「パターン4」の報知を追加する変更は示されていない。そうであれば,「第3の実施形態」の側からみても,「パターンなし」しか有さないテーブル「No.17」は,「第2の実施形態」における「ハズレ」当選フラグ時の報知を組み込む改変性を備えて,本件明細書等に記載されていたということはできない。
そして,その余の本件明細書等の記載を考慮しても,「第3の実施形態」におけるテーブル「No.0」?「No.17」の全てに,「パターン1」乃至「パターン4」の複数を含ませることが,実際上開示されていたということはできない。
したがって,「複数種類のデモ抽選テーブル」を構成する「前記各デモ抽選テーブル」の内容を,訂正事項1-3の記載により特定されるものとすることは,本件明細書等に記載された事項の総合との関係において,新たな技術的事項を追加したものと言わざるを得ない。

(6)派生的影響
テーブル「No.0」?「No.17」の全てに,「パターン1」乃至「パターン4」の複数を含ませることは,(5)で検討したとおり,本件明細書等に記載された事項の範囲内ではない。それだけでなく,そうした場合には先に述べたとおり,遊技者から見た報知の信頼性が大きく損なわれることとなる。また,「パターン1」乃至「パターン4」と各小当たり入賞との対応関係も,遊技者から見て,客観的に維持されているとは言い得ない状態となる。すなわち,「前記各デモ抽選テーブル」の内容を訂正事項1-3に沿うものとしつつ,「パターン1」乃至「パターン4」と各小当たり入賞との客観的な対応関係を確保するとともに,小当たり入賞の当選フラグの成立を遊技者に客観的に認識づける程度の報知を行うには,本件明細書等に記載されていない,何らかの具体的な対策あるいは調整を要する。そして,そのような具体的な対策あるいは調整は,本件明細書等に記載された事項の総合との関係においても,新たな技術的事項と言わざるを得ない。
そのため,(4)では判断を保留したが,「複数の小当たり入賞態様にそれぞれ対応して異なる報知態様」なる対応関係について,遊技者から見て客観的にも成立していると認識できる水準の対応関係を備える趣旨とすれば,訂正事項1-3は,その点でも新規事項の追加となる。
なお,請求項1の末尾における「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」なる事項については,遊技者から見て「小当たり入賞に対応した当選フラグ」が成立した蓋然性が高いと認識できる程度の報知を,確率的にであっても実行するという趣旨であれば,本件明細書等及び訂正明細書等のいずれにおいても,訂正事項1-3を有する訂正後の請求項1に係る発明について実施可能に記載されているとはいえない。また,訂正事項1-3の導入後の如く,遊技者から見て報知を意味不明なものとすることについては,訂正明細書等においても,その技術的意義を理解することができるだけの記載がされていない。そのため,訂正事項1-3を有する請求項1に係る発明は,進歩性の評価自体がなし得ない。そのことは,訂正事項1-3を有する請求項1に係る発明が,進歩性を有することを意味するものではない。

(7)小括
以上より,訂正事項1-3は,本件明細書等に記載された事項の総合に対して,新たな技術的事項を追加したものと言わざるを得ない。

4.3.3 訂正事項1-3のまとめ
以上のとおりであるから,訂正事項1-3は,本件明細書等に記載された事項の総合に対して,新たな技術的事項を追加するものであり,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項に違反している。
なお,訂正事項1-3は上述した新規事項追加の点で,訂正要件に違反しているので,その余の訂正要件の検討は行わない。先に「(6)派生的影響」でも触れたが,訂正事項1-3の導入に伴い,訂正後には遊技者から見た報知の意味内容が実質的に大きく変容しており,訂正事項1-3を備えた報知は,そのような報知を実行することの技術的意義自体が把握可能でない。発明の技術的意義自体を不明とする訂正事項1-3の導入は,形式上は記載の追加であっても,特許請求の範囲の減縮と確定することができず,また,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更したものでないと確定することができない。
そのため,訂正事項1-3が特許法134条の2第1項,及び同条第5項で準用する同法126条4項の規定に適合するか否かの判断は,必要もないので行わない。

4.4. 訂正事項1の許否の結論
訂正事項1は,訂正事項1-3を含む点で,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項に違反している。
そのため,訂正事項1による請求項1の訂正は認めることができない。

5. 訂正事項5について
訂正事項5は,訂正事項1による請求項1の訂正と同様に,発明の詳細な説明の記載を訂正するものである。訂正事項1と同様,特許法134条の2第5項で準用する同法126条3項に違反している。
そのため,訂正事項5による段落【0008】の訂正は認めることができない。

6. 訂正の許否の結論
本件訂正のうち,請求項2,請求項3,請求項4の訂正は認める。
請求項1の訂正,及び,段落【0008】の訂正は,認めない。


第6 本件審判請求についての判断
1. 本件発明の認定
請求項1についての本件訂正は認められないので,本件特許の請求項1に係る発明は,願書に添付された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は,再掲すると以下のとおりである。これ以降,当該記載により特定される発明を,「本件発明」という。
「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する
ことを特徴とする遊技機。」

2. 出願日の認定
「第4 優先権の判断」で示したとおり,本件訂正の許否によらず,請求項1に係る発明について,基礎出願に基づく優先権主張は成立しない。
そのため,本件発明の新規性・進歩性を検討する上での出願日は,原出願が出願された平成10年9月14日以降である。

3. 無効理由2について
3.1. 引用例1の記載事項
引用例1は,パチスロ機「サンダーV」についての紹介記事であり,以下の1A.?1D.の記載又は図示がある。
1A.37頁には,「ビッグボーナス確率」,「レギュラーボーナス確率」,「小役抽選確率(BIG中)」,「小役抽選確率(高確率時)」及び「小役抽選確率(低確率時)」の表が示されており,これら表から,設定1?設定6まであることが読み取れる。同頁には,「ボーナス&小役払い出し構成」と題する表も記載されている。
1B.40頁には,「派手なフラッシュはボーナス期待度大!」とする小見出しの後に,「サンダーVのフラッシュは全部で8パターンとなっている。各フラッシュは成立フラグと密接に関連していて,瀑布→リプレイ 一直線→チェリー 竜巻→ベル W字&W反転→スイカ という対応になっている。リプレイ以外は必ず発生するという訳ではないが(リプレイで瀑布が発生しない場合にはボーナス確定だ),完全外れの場合にはフラッシュは絶対に発生しないので,仮に直線フラッシュが発生してチェリーが出ていなければ取りこぼしということになるのだ。また,星屑&V字&稲妻の派手な3パターンはボーナスの可能性が高く,星屑なら何も揃わなければ,V字&稲妻はスイカを狙って揃わなければそれだけでボーナスフラグが成立しているサインになる。特に狙わずにスイカを取りこぼしているとしても,スイカの抽選確率はさほど高い訳ではないので,短い時間間隔でV字か稲妻が数回発生すればボーナスフラグが成立していると考えて良いだろう。」との記載がある。
1C.43頁下段には,以下に示す「完全網羅!!解析から判明したチャンスパターンの全て!」と題する表が示されている。同表には,「ボーナスフラグ成立中」及び「ボーナスフラグ不成立時」に分けて,成立役毎の「予告音」(「予告者」と記載されているが誤記と認める。),「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。なお,同図中,「ボーナス成立プレイ」とあるのは,ボーナスフラグ不成立時において「REG」(レギュラーボーナス)又は「BIG」(ビッグボーナス)が成立した場合を意味するので,遊技状態の区別には含めていない。



1D.45頁中段には「JACゲームでのチャンスパターン」及び「BIG小役ゲームでのチャンスパターン」と題する表が示されており,43頁の表同様,「予告音」,「リール消灯」及び「フラッシュパターン」が「振り分け率(%)」とともに示されている。


3.2. 引用例1記載の発明の認定
記載1A.?1D.及びここで言及される各表によれば,配当のある小役(JACゲームを除く。)は,スイカ,チェリー及びベルの3種類であり,これ以外に,リプレイ,REG及びBIGが当選役として存在する。また,ボーナスフラグ成立中にも,スイカ,チェリー及びベルのフラグが成立する場合がある。
記載1C.と1D.の表を併せたものを「振り分け表」ということにする。要するに,ボーナスフラグ成立中,ボーナスフラグ不成立時,JACゲーム(REG入賞確定後のゲームであることは技術常識に属する。)又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか,及び成立役(ハズレを含む)に応じて,「予告音」,「リール消灯」及び「フラッシュパターン」を「振り分け率(%)」で決定するものである。
引用例1には,振り分け率が%で表示されているが,これが「整数/128」を%表示したものであることは明らかである。そのことは,甲22(引用例1同様パチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の「成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」である。その数は全部で16種類だが,4つはビッグ中の小役ゲーム時やボーナスゲーム中に用いる・・・各テーブルでは,予告音の有無→消灯の有無→消灯リール数→フラッシュの有無とその種類…と言った一連の動作が数パターンずつ事細かに指定されており,128を分母とする振り分け抽選によって,その中の何れかが選択される仕組み。」(6頁右上部の上段3行?下段1行)との記載及び6?7頁の表において「選択率」が「整数/128」の形態で表記されていること,並びに「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」(平成10年8月1日株式会社白夜書房より発行。これにもパチスロ機「サンダーV」についての解説記事が掲載されている。)の16?17頁の表(16頁上段には「成立フラグに応じて抽選・選択される「予告機能テーブル」」との記載もある。)からも明らかである。
また,記載事項1B.によれば,「フラッシュパターン」には「一直線」と「チェリー」成立フラグ,「竜巻」と「ベル」成立フラグ,「W字」及び「W反転」と「スイカ」成立フラグが密接に関連しており,「一直線」が発生して「チェリー」が出ていなければ取りこぼしということになる。
したがって,引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。これ以降は,ここに認定した発明を,「引用発明1」という。

「スイカ,チェリー及びベルを配当のある小役として有し,それ以外にリプレイ,REG及びBIGを当選役として有し,抽選の上当選役を決定するパチスロ機であって,
ボーナスフラグ成立中にも,スイカ,チェリー及びベルのフラグが成立する場合があり,
ボーナスフラグ成立中,ボーナスフラグ不成立時,JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか,及びハズレを含む成立役に応じて,予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせを,整数/128の確率で規定される振り分け率で決定し,
フラッシュパターンでは一直線とチェリー成立フラグ,竜巻とベル成立フラグ,W字及びW反転とスイカ成立フラグとが密接に関連しており,一直線が発生してチェリーが出ていなければ取りこぼしということになる,
パチスロ機。」

3.3. 本件発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定
引用発明1がされた当時のパチスロ機の技術水準を考慮すれば,引用発明1において当選役を決定するための抽選が「複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる」ものであることは自明であり,引用発明1の「リプレイ」及び「ハズレ」以外の役には配当がある(異なる配当の役が複数存する。)から,引用発明1が本件発明の「入賞態様決定手段」を備えることは明らかである。
引用発明1における「予告音,リール消灯及びフラッシュパターン」は「遊技者に報知」に該当するから,引用発明1が「遊技者に報知する報知手段」を備えることも明らかである。また,これら「予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせ」は,「ハズレを含む成立役」に応じて選択されて報知されるから,ハズレも含めた何らかのフラグが成立したことを受けて報知がされている。一方,本件発明においても,「前記当選フラグが成立したことを報知する」以上は,何らかの当選フラグの成立を受けて報知を実行しているから,引用発明1と本件発明とは,「前記当選フラグの成立を受けて遊技者に報知する報知手段」を備える点で一致する。
引用発明1の「ボーナスフラグ成立中,ボーナスフラグ不成立時,JACゲーム又はBIG小役ゲームの何れの状態であるか」と本件発明の「その時の遊技状態」には相違がなく,引用発明1では,遊技状態とハズレを含む成立役(本件発明の「前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグ」に相当)に応じて,整数/128の確率(本件発明の「所定確率」に相当)で予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせ(本件発明の「報知態様」に相当)が決定されるのであるから,遊技状態とハズレを含む成立役の組み合わせに対応して,入賞態様決定のための乱数とは別の乱数(128通り又はその整数倍)を用いて予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせを決定すると解するのが自然である。前掲甲22の「128を分母とする振り分け抽選によって,その中の何れかが選択される仕組み」との記載及び前掲「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」の16頁上段の「成立フラグに応じて抽選・選択される「予告機能テーブル」」との記載もこれを裏付けるものである。そうである以上,「各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」により所定確率で報知することは,本件発明と引用発明1との一致点である。なお,被請求人はこれに反する主張をしているが,仮に被請求人が主張するように,引用発明1において,入賞態様決定のための乱数を報知態様の振り分けにも用いるのだとすると,設定1?設定6,高確率時,低確率時等すべての場合において,すべての入賞態様の乱数範囲を,振り分けのために128の整数倍としなければならない。そのようにすることは不可能ではないにせよ,乱数値の範囲を著しく大きくしなければならならないばかりか,あえて乱数値の範囲を大きくしてまで,遊技状態と成立役のすべての組み合わせに対して振り分け率を「整数/128」としなければならない合理的理由がない。引用発明1において,「整数/128」の振り分け率になっているのは,上記説示のとおり,成立役が定まってから,入賞態様決定のための乱数とは別の乱数を報知態様の振り分けに用い,その別の乱数範囲が128(又はその倍数)であるがゆえと解すべきである。この点については,先に「第5 訂正の許否の判断」の「4.2.2」において,請求人が新規事項と主張する本件訂正の訂正事項1-2について,新規事項ではない旨を検討したと同様であり,被請求人の主張を採用することはできない。さらに付言すれば,入賞抽選と入賞結果に対する何らかの抽選を行うに際し,後者の抽選を入賞抽選用の乱数とは別の乱数で行うことは,例えば,特開平8-131622号公報に「0.002秒毎に1ずつ加算される当り決定用のランダム6(3?12)と,0.002秒毎に1ずつ加算され且つ割り込み処理余り時間に1ずつ加算される普通図柄表示用のランダム7(0?15)と,が設けられている。」(段落【0016】)及び「大当り決定用のランダム1(0?132)と,リーチ種別決定用のランダム2(0?29)と,左図柄表示用のランダム3(0?10)と,中図柄表示用のランダム4(0?10)と,右図柄表示用のランダム5(0?10)と,から構成されている。」(段落【0022】)と記載され,また,特開平8-280873号公報に「R-レジスタの乱数値(これは,後述する図18?図20の入賞判定のための乱数サンプリングとは別で,この例では0?3のいずれか)に応じて,図11(A)?図12(D)に示すリールランプ(W1?W9)による「S・Bゲーム」入賞発生用のデモンストレーション及び音の発生が実行される。」(段落【0045】)と記載されているように周知であり,この点からみても上記解釈が妥当である。
次に,引用発明1では「ボーナスフラグ成立中」という遊技状態があるのだから,「REG及びBIG」は本件発明の「前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様」に相当する。引用発明1におけるその他の役は,本件発明の「前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない」入賞態様に相当するところ,そのうち「スイカ」「ベル」「チェリー」が,本件発明における「小当たり入賞態様」に相当することは明らかである。加えて,引用発明1では,「ボーナスフラグ成立中」(本件発明の「ボーナス入賞態様の内部当選中」に相当)にも「スイカ」「ベル」「チェリー」の抽選はされている。そのため,「前記入賞態様決定手段」が「前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様と」を有し,また,「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行」うことは,本件発明と引用発明1との一致点である。
したがって,本件発明と引用発明1とは,
「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグの成立を受けて遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて,各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様により,所定確率で遊技者に対して報知する遊技機。」
である点で一致し,以下の各点で相違または一応のところ相違する。

<相違点1>
「報知」の内容について,本件発明では「前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知」とされ,具体的には「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」とされているのに対し,引用発明1では小当たり入賞態様に対応した当選フラグの成立に応じて確率的に報知態様が定まり,また,一直線とチェリー成立フラグ,竜巻とベル成立フラグ,W字及びW反転とスイカ成立フラグとが密接に関連しており,「一直線」が発生して「チェリー」が出ていなければ取りこぼしということになるものの,「当選フラグが成立したことを」遊技者に報知していると言い得るか否かは,本件発明の解釈の問題もあり,さらに検討を要する点。
なお,相違点1は,便宜上一応の相違点としたうえで,検討を行うものである。
<相違点2>
報知態様の決定に関して,本件発明が「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」とするのに対し,引用発明1では,「その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグ」と報知態様の関係自体は本件発明と異ならないものの,「複数種類のデモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有し,本件発明のように報知態様を決定するかどうか明らかでない点。

3.4. 相違点の判断及び本件発明の進歩性の判断
3.4.1 相違点1について
本件発明において,「報知」の内容は,「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」とされているところ,その所定確率について特段の限定はない。そのため,「当選フラグが成立したこと」を「報知」について,当選フラグの成立に応じて確率的に選択された報知態様によって報知が実行されれば足りる趣旨とも,それだけでなく,遊技者から見て特定の当選フラグが成立した蓋然性が高いと認識できるような報知でなければならない趣旨とも,いずれとも解し得る。
引用発明1においても,小当たり入賞態様に対応したフラグの成立に応じて,確率的に定まる報知態様によって報知が実行されているから,前者の趣旨とした場合,相違点1は一応の相違点として検討対象としたが,実際上の相違点とはならない。
また,引用発明1において,「フラッシュパターン」には,「一直線」と「チェリー」成立フラグ,「竜巻」と「ベル」成立フラグ,「W字」及び「W反転」と「スイカ」成立フラグの間には,密接な関連があるとされており,「一直線」が発生して「チェリー」が出ていなければ取りこぼしと認識可能とされている。そして,引用例1の振り分け表を見ても,「一直線」である「直線」のフラッシュパターンが出現するのは,「チェリー」フラグ成立時でなければ「JACゲーム」における「ハズレ」時あるいは「BIG中小役ゲーム」における「スイカ」時のみとなっている。「W字」のフラッシュパターンが出現するのは,「スイカ」フラグ成立時でなければ「JACゲーム」における「ハズレ」時のみとなっている。「竜巻」のフラッシュパターンが出現するのは,「ベル」フラグ成立時でなければボーナスフラグ成立中の「リプレイ」時あるいは「BIG中小役ゲーム」における「スイカ」時のみとなっている。ここで,「JACゲーム」中には「当たり」と「ハズレ」のいずれかしかないから報知の必要性自体が乏しいうえに,「JACゲーム中」であることは遊技者が当然に認識可能であるから,他の状態における小当たり入賞フラグの成立と混同が生じる恐れはほとんどない。また,「BIG中小役ゲーム」であることも遊技者は当然に認識可能であるとともに,引用例1第37頁の「小役抽選確率(BIG中)」の表を参酌すれば,BIG中小役ゲームにおける「スイカ」の当選確率は最大でも1/512であり,きわめて低い。すなわち,引用発明1において,「一直線」に接した遊技者はほぼ「チェリー」フラグ成立の蓋然性が高いと認識することができ,「W字」に接した遊技者はほぼ「スイカ」フラグ成立の蓋然性が高いと認識することができる。また,「竜巻」に接した遊技者は,ボーナスフラグ成立中の「リプレイ」でなければ「ベル」フラグ成立の蓋然性が高いと認識することができる。
そのため,本件発明における「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したこと」の「報知」について,後者の趣旨と解し,遊技者から見て,当該フラグが成立した蓋然性が高いと認識できる程度の報知を意味するとしても,この点は引用発明1との実際上の相違点とはならない。
なお,引用発明1において,遊技者が「フラッシュパターン」により成立フラグを認識するのは,「チェリー」について「取りこぼし」と称されているように,第38頁左上のフロー図からみて,3つのリールの停止操作後ということになる。しかしながら,本件発明は「第5 1.2.」で検討した訂正事項1-5を有さず,報知の実行タイミングは特許請求の範囲に記載した発明特定事項ではないので,その点は相違点とならない。
以上のとおりであるから,相違点1は実際上の相違点ではない。なお,相違点1につき,被請求人は相違点であるとの主張をしていない。

3.4.2 相違点2について
引用例1には,遊技状態及び当選フラグの各組み合わせに毎に,報知態様と振り分け率が記載されており,それは全部で16通りあるのだから,報知態様と振り分け率を定めた16個のテーブル(本件発明の「複数種類のデモ抽選テーブル」に相当)を記憶(振り分け率に該当するものとしては,乱数値を用いる関係上,抽選値を記憶する。)し,「参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」とすることが最も自然である。甲22及び前掲「パチスロ必勝ガイド8月号増刊」に「予告機能テーブル」との記載があることも,上記認定を裏付けるものである。
また,複数のテーブルの1つを選択するに際し,どのテーブルを選択すべきかを決定するための別のテーブルを記憶し,その別のテーブルにアクセスする程度のことは別段の創作力を必要とするものではなく,誰もが思いつくことであり,実際,特開平8-211869号公報に「タッチ変換テーブル選択テーブル45は,その内容を図6(a)に示すように,例えば踏み込み量を8段階に分け,各段階に対応して,各音域ごとに採用すべきタッチ変換テーブルの番号を記憶している。そして,キーオン時にはCPU1は踏み込み量情報がどの段階に属するかを判定し,該段階において,それぞれの音域において採用すべきタッチ変換テーブルの番号を読み出す。」(段落【0013】)と,及び特開平7-101103号公報に「乱数テーブルをランダム選択する為の乱数テーブル選択テーブルを準備しておき,乱数テーブルを変更するタイミングで乱数テーブル選択テーブルから次に選択する乱数テーブルの情報を得るように構成してもよい。」(段落【0075】)と記載され,特開平10-15156号公報の図6及び図7にも示されているように,本件出願当時の周知技術と認めることができる。
そして,引用発明1においては,報知態様と振り分け率を定めた16個のテーブル(甲22等記載の「予告機能テーブル」)の1つを選択するに際し,「その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて」選択すべきことは当然であるから,上記周知技術を採用して,上記16個のテーブルの1つを選択するための別のテーブルを記憶,すなわち本件発明の「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブル」を設け,該「デモ抽選テーブル選択テーブル」を参照して,デモ抽選テーブルを選択することには何の困難性もない。
したがって,相違点2に係る本件発明の構成に至ることは当業者にとって容易である。

3.4.3 本件発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり,これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって,本件発明は引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである。

4. 無効理由3について
4.1. 無効理由3の検討理由
本件発明は,「3.」で示したとおり,無効理由2により無効とされるべきものであるが,本件発明にいう「遊技者に対して報知」を,特許請求の範囲に明記はないものの,予告的報知,すなわち,遊技者による停止操作前の報知という趣旨と解した場合について,無効理由3の妥当性を検討する。

4.2. 引用例2の記載事項
引用例2には,以下の2A.?2H.の記載又は図示がある。
2A.「【0001】/ 【産業上の利用分野】本発明は,スロットマシンに関し,特に遊技内容を多様化するとともに,遊技者に遊技状態を告知することができるものである。/ 【0002】/ 【従来の技術】従来,この種のスロットマシンでは,フロントパネルに設けた表示窓内に各回転リールを回転させて図柄を高速で移動表示した後,該図柄の移動表示を停止させて,該停止表示態様が予め定めた所定の図柄の組み合わせである場合に,遊技者に所定数のメダルを払い出したり特別の遊技を行わせたりしている。/ 【0003】この所定数のメダルを払い出す等の賞態様が発生するかどうかは,遊技機内に設けた電気的制御装置により予めソフト的に決定され,ソフト的に賞態様が決定された場合に,実際に表示窓内に停止する図柄の組み合わせが当該賞態様となるよう回転リールの停止が制御されている。」
2B.「【0004】/ 【発明が解決しようとする課題】しかし,上記した従来のスロットマシンでは,ソフト的に賞態様が決定された場合に,実際に表示窓内に停止する図柄の組み合わせが当該賞態様となるよう回転リールの停止が制御されているとはいっても,回転リールは高速で回転しているため,遊技者の操作方法によっては,所望の位置に回転リールを停止させることができずに,実際に表示窓内に停止した図柄の組み合わせが賞態様とならない場合もあり,遊技者がいかに所定位置で回転リールを停止させることができるかが遊技の興趣の主内容となっていた。/ 【0005】このため,遊技内容が単調となり,遊技の興趣を高めることができなかった。また,ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた。本発明は,上記した従来の技術の有する問題点を解決するためになされたものであり,その目的とするところは,遊技内容を多様化するとともに,遊技状態を的確に把握して,遊技の興趣を高めることができるスロットマシンを提供することにある。」
2C.「【0006】/ 【課題を解決するための手段】本発明は,上記した目的を達成するためのものであり,以下にその内容を図面に示した実施例を用いて説明する。請求項1記載の発明は,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の組み合わせを決定するための乱数を発生する乱数発生手段(201)と,該乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)と,該乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)と,表示窓(30?32)内に実際に停止表示された図柄の組み合わせが予め定めた賞態様であるかどうかを判断する図柄判断手段(203)と,上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)と,該メダル貯金手段(204)により貯金したメダル枚数を表示する貯金枚数表示手段(170)と,上記図柄判断手段(203)により予め定めた特別の賞態様であると判断された場合に,所定枚数のメダルを払い出すとともに,メダル貯金手段(204)により貯金している枚数分のメダルを払い出すメダル払出手段(210)とからなることを特徴とする。」
2D.「【0007】/ 【作用】請求項1記載の発明によれば,乱数抽出手段(202)は,乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う。ここで,乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合には,内部当り表示手段(120)により賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせる。/ 【0008】そして,全ての回転リール(40?42)が停止すると,図柄判断手段(203)によって,実際に表示窓(30?32)内に停止した図柄の組み合わせが予め定めた賞態様であるかどうかが判断される。図柄判断手段(203)によって,予め定めた賞態様であると判断された場合には,所定数のメダルを払い出す。/ 【0009】一方,乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合には,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数をメダル貯金手段(204)により貯金する。そして,貯金したメダル枚数は,貯金枚数表示手段(170)により表示される。/ 【0010】また,メダル貯金手段(204)に貯金されているメダルがある場合に,図柄判断手段(203)によって,停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様であると判定された場合には,メダル貯金手段204に貯金され,貯金枚数表示手段170に表示されている枚数分のメダルが,メダル払出手段210により払い出される。したがって,遊技内容が多様化するとともに,遊技者は遊技状況を的確に把握することができる。」
2E.「【0011】/ 【実施例】図1?4は,本発明の一実施例を示すものであり,図1はスロットマシンの正面図,図2は電気的制御装置の概略ブロック図,図3,4は遊技における処理のフローチャートを各々示す。図1中,10はスロットマシンを示し,このスロットマシン10は,前扉の表面にフロントパネル20を設けている。/ 【0012】上記フロントパネル20のほぼ中央部には,図1に示すように3個の表示窓30?32を横並びに形成している。各表示窓30?32の内部には,各回転リール40?42の表面をそれぞれ臨ませている。そして,各表示窓30?32には,回転リール40?42を回転させることにより,上下方向に3個の図柄を所定間隔で高速で移動表示させることができる。また,表示窓30の向かって左横には,有効となるラインを表示する有効ライン表示部50が設けてあり,有効ライン表示部50の下方にはメダル払出枚数表示部60が設けてある。/ 【0013】上記スロットマシン10の表面には,図1に示すように,表示窓32の向かって右斜め下方に,メダルを投入するメダル投入口70を設けてある。また,表示窓30の向かって左斜め下方には,各表示窓30?32に表示された図柄の移動表示を開始させるためのレバー状のスタートスイッチ80と,各表示窓30?32の下方に位置するとともに,各表示窓に移動表示されている図柄の移動表示を個別に停止させるためのボタン状の3個のストップスイッチ90?92とを設けている。さらに,上記したストップスイッチ92の向かって右側には,クレジットメダルを投入するためのボタン状のクレジットメダル投入スイッチ100と,クレジットメダルを排出させるためのボタン状の精算スイッチ110とが,スロットマシン10の表面に配置されている。」
2F.「【0014】また,表示窓30?32の上側には,内部当り表示手段120が左右に並設してある。この内部当り表示手段120は,賞態様である図柄の組み合わせが,後に詳述する電気的制御装置200内の乱数抽出手段202によりソフト的に決定された場合に点灯して,遊技者に賞態様が発生する条件が整ったことを告知する手段である。本実施例における賞態様は,大当たりの賞態様である「7」「7」「7」と,中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」と,小役の賞態様である「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」,「プラム」「プラム」「プラム」,「スイカ」「スイカ」「スイカ」,「チェリー」「チェリー」「チェリー」(以下「3チェリー」と記す),「チェリー」「チェリー」(以下「2チェリー」と記す),「チェリー」(以下「1チェリー」と記す)の図柄の組み合わせである。そして,内部当り表示手段120はこれらの賞態様に対応して,向かって左から,「7」の内部当り表示ランプ121,「BAR」の内部当り表示ランプ122,オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128とから構成されている。尚,それぞれの内部当り表示ランプ121?128の点灯タイミングは,「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間点灯し,その他の内部当り表示ランプ123?128では,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯する。/ 【0015】また,表示窓30?32の向かって右横には,停止表示態様が「7」「7」「7」となった場合に点灯する「7」作動表示ランプ130,停止表示態様が「BAR」「BAR」「BAR」となった場合に点灯する「BAR」作動表示ランプ140,内部当り表示手段の一つであり上記した内部当り表示ランプ121?128のどれかが点灯した場合に同時に点滅する内部当り点滅表示ランプ150,遊技開始条件が整うまでのウエイト時間中に点灯するウエイト表示ランプ160,貯金枚数表示手段である貯金枚数表示部170,クレジットメダルの枚数を表示するクレジットメダル表示部180が上下に並設されている。この貯金枚数表示部170及びクレジットメダル表示部180は,7セグメント表示器や液晶表示器等からなる。」
2G.「【0024】一方,ビッグボーナス以外の小役の賞態様がソフト的に発生しているにもかかわらず,実際に表示窓30?32内に停止表示された図柄の組み合わせが賞態様を構成していない場合には,メダル貯金手段204により所定枚数のメダルを貯金する。このメダル貯金手段204に貯金するメダルの枚数αは,賞態様に対して払い出される所定枚数Xに定数tを乗し,これに現在まで貯金されている貯金メダル枚数α′を加算した枚数である。本実施例では,定数tは1.5であり,賞態様となった場合の1.5倍の枚数のメダルが貯金されることとなる。尚,小数点以下1位の端数は四捨五入される。/ 【0025】本実施例では,賞態様に対して払い出されるメダルの所定枚数Xは,「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」で15枚,「プラム」「プラム」「プラム」で8枚,「スイカ」「スイカ」「スイカ」で5枚,「3チェリー」で8枚,「2チェリー」で5枚,「1チェリー」で2枚となっており,貯金メダルとして加算されるメダル枚数は,「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」で23枚,「プラム」「プラム」「プラム」で12枚,「スイカ」「スイカ」「スイカ」で8枚,「3チェリー」で12枚,「2チェリー」で8枚,「1チェリー」で3枚となっている。尚,ビッグボーナスの賞態様である「7」7」「7」及び中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」の場合には貯金されない。/ 【0026】そして,貯金枚数表示部170に貯金枚数αが表示されて,ビッグボーナス及び注当たりのを除く,内部当り表示ランプ123?128及び内部当り点滅表示ランプ150への表示をクリアし,ゲーム状態設定処理を行い,処理の初期に戻る。尚,ビッグボーナス以外の賞態様がソフト的に発生していない場合には,上記した処理はスキップされ,ゲーム状態の設定処理に移行する。/ 【0027】また,上記したソフト的にビッグボーナスが発生しているかどうかの判断処理において,ソフト的にビッグボーナスが発生してビッグボーナスフラグがセットされている場合には,実際に表示窓30?32内に停止表示された図柄の組み合わせを図柄判断手段203により判断する。そして,ビッグボーナスの組み合わせとなっている場合には,メダル払出手段210により払い出すべきメダル枚数βをRAM領域にセットする。このメダル枚数βは,ビッグボーナスの賞態様に対して支払われるべきメダル枚数Y(例えば15枚)に,貯金メダル枚数αを加算した枚数である。その後,RAM領域に記憶した貯金メダル枚数αをクリアし,ビッグボーナス時に発生するビッグボーナス音とビッグボーナスを表示するランプの情報を出力し,ビッグボーナスフラグをクリアするとともに,「7」の内部当り表示ランプ121,及び内部当り点滅表示ランプ150への表示をクリアする。そして,入賞ライン点滅データをRAM領域にセットし,メダル払出手段210によりメダル払出処理を行う。その後,ゲーム状態設定処理を行い,処理の初期に戻る。」
2H.「【0034】また,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した場合に,これらの内部当りフラグは実際にこれらの賞態様が発生するまで持ち越されるため,通常の確率で賞態様を発生させたのでは,貯金メダル枚数が極端に増加し健全な遊技が行えないおそれがある。そこで,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した場合には,小役の賞態様の当選確率を通常よりも低い確率とし,貯金メダル枚数が極端に増加することを防止している。」

4.3. 引用例2記載の発明の認定
記載事項2A.から,引用例2記載の発明は「スロットマシン」に関する。また,該「スロットマシン」は,「ソフト的に賞態様」を決定するものであり,記載事項2C.によれば,具体的には「乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)」を有する。
記載事項2B.によれば,従来のスロットマシンが「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた」ことが問題とされている。当該問題に対応して,引用例2記載の「スロットマシン」は,記載事項2C.によれば「乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)」を有する。
また,記載事項2B.によれば,従来のスロットマシンでは「遊技内容が単調となり,遊技の興趣を高めることができなかった」ことも問題とされている。この問題に対応するため,引用例2記載の「スロットマシン」は,記載事項2C.によれば,「上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)」を有している。
記載事項2F.によれば,引用例2のスロットマシンは,「内部当り」の「賞態様」として「大当たりの賞態様である「7」「7」「7」」と,「中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」」と,「小役の賞態様」である「オレンジ」,「プラム」,「スイカ」,「3チェリー」,「2チェリー」,「1チェリー」を有している。また,「内部当り表示手段120」は「「7」の内部当り表示ランプ121,「BAR」の内部当り表示ランプ122,オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128」を有している。そして,それぞれの内部当り表示ランプの点灯タイミングは,「「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間」であり,「その他の内部当り表示ランプ123?128」では,「スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間」である。
記載事項2G.によれば,賞態様に対する払い出しメダルの所定枚数は,「オレンジ」で「15枚」,「プラム」で「8枚」,「スイカ」で「5枚」,「3枚チェリー」で「8枚」,「2枚チェリー」で「5枚」,「1枚チェリー」で「2枚」であり,「貯金」される場合には「1.5倍」の枚数が「7」「7」「7」の入賞時に加算して払い出される。また,「払い出し」がされたか「貯金」がされたかによらず,「内部当り表示ランプ123?128」の表示は,クリアされる。
記載事項2H.によれば,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選した状態においても,小役の賞態様の抽選は行われている。
したがって,引用例2には次のような発明が記載されていると認めることができる。これ以降は,ここに認定した発明を,「引用発明2」という。

「乱数発生手段(201)で発生した乱数の中から乱数を抽出して,表示窓(30?32)内に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段(202)を有し,ソフト的に賞態様を決定するスロットマシンであって,
乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)を有し,
上記乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となっているにもかかわらず,上記図柄判断手段(203)により賞態様ではないと判断された場合に,当該賞態様となった場合に払い出すべきメダル枚数に予め定めた一定の定数を掛けたメダル枚数を貯金するメダル貯金手段(204)を有し,
内部当たりの賞態様として,大当たりの賞態様である「7」「7」「7」と,中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」と,小役の賞態様である「オレンジ」,「プラム」,「スイカ」,「3チェリー」,「2チェリー」,「1チェリー」を有し,
「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122は,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間点灯させ,
オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128は,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯させた後,メダルを払い出したか貯金したかによらず表示をクリアし,
払い出しメダルの所定枚数は,オレンジで15枚,プラムで8枚,スイカで5枚,3枚チェリーで8枚,2枚チェリーで5枚,1枚チェリーで2枚であり,貯金される場合にはその1.5倍の枚数が,「7」「7」「7」の入賞時に加算して払い出され,
「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選している状態でも,小役の賞態様の抽選を行う,
スロットマシン。」

4.4. 本件発明と引用発明2との一致点及び相違点の認定
引用発明2の「スロットマシン」は,本件発明における「遊技機」に相当する。また,引用発明2における「オレンジ」から「1枚チェリー」までに定められた払い出しの「所定枚数」が異なっており,これら「オレンジ」から「1枚チェリー」を含む賞態様について,引用発明2が「乱数」により「ソフト的に賞態様を決定」している以上,引用発明2は本件発明と同様に,「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段」を有している。そして,引用発明2における「乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが,予め定めた賞態様となった場合に,該賞態様の発生条件が整ったことを遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)」は,本件発明における「前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段」に相当する。
なお,引用発明2における「内部当り表示手段(120)」は,「「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122」,並びに,「オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128」の全てが,「賞態様がソフト的に発生してから」後には点灯を開始するので,本件発明における「報知」を,取りこぼしの報知すなわち「事後報知」を除いた,「予告的報知」の趣旨と解しても,「前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段」に相当する。
引用発明2においては,「内部当りの賞態様」として,「大当たりの賞態様」及び「中当たりの賞態様」,並びに「小役の賞態様」を有している。そして,「大当たり」と「中当たり」の「内部フラグ」は,成立した後,実際の入賞まで持ち越されている一方,「小役」についてはメダルが払い出されたか貯金されたかを問わず,「内部当たり」は成立したその遊技において完結し,次回の遊技に持ち越されていないことが明らかである。そのため,本件発明に「前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し」とある点は,引用発明2と本件発明との一致点である。なお,被請求人は,本件発明における前述「前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と」なる記載が,小当たり入賞態様に関するメダルの払い出しが当選フラグが成立した遊技において完結する意味であり,その点で本件発明と引用発明2とは相違すると主張している。しかしながら,特許請求の範囲における記載は前示のとおり「前記入賞態様決定手段」に関するものであるとともに,「その遊技において完結し」の主語は「当選フラグ」が省略されているとは解し得るものの,記載のない「払い出し」が省略されていると解することはできない。したがって,被請求人の当該主張は採用できない。ただし,本件発明は「貯金」に関する何の記載も有していないことから,引用発明2の如き「貯金」の有無を問わない趣旨とも,引用発明2の如き「貯金」はない趣旨とも解し得る。そこで,後者解釈の場合については,「一応の相違点」として,後に検討することとする。
引用発明2において,「「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」がソフト的に当選している状態」は,本件発明における「ボーナス入賞態様の内部当選中」に相当し,引用発明2において「小役の賞態様の抽選を行う」ことは,本件発明において「前記入賞態様決定手段」が「前記小当たり入賞態様の抽選を行」うことに相当する。すなわち,本件発明において,「前記入賞態様決定手段」が「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い」とある点も,引用発明2と本件発明との一致点である。ただし,引用発明2における上記「内部当選中」における「小役の賞態様の抽選」は,「貯金」との関連における文脈で言及されているので,本件発明は「貯金」を有さない趣旨との解釈の場合に,当該一致点を維持できるかどうかについては,「一応の相違点」として,検討することとする。
引用発明2において,「オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128は,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯」することは,本件発明において,「前記報知手段」が「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したこと」を「遊技者に対して報知」することに相当し,本件発明における「報知」を予告的報知の趣旨と解しても同様である。
以上を整理すると,本件発明と引用発明2とは,

「配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,
前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,
前記報知手段は,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知する
遊技機。」
である点で一致し,以下の各点で相違あるいは一応のところ相違する。

<相違点1’>
本件発明が,「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したこと」について,「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」により,「所定確率で」報知を行うとされているのに対して,引用発明2では,報知が小役内部当選の種類も含めて確定的に行われるとともに,「デモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を用いて「報知態様」を決定しない点。
<相違点2’>
本件発明では,小当たり入賞態様を取りこぼした場合に関して,特別な記載がないことから,そのような場合については何ら特定されていない趣旨とも,何のメダルも得られない趣旨とも解することができるのに対して,引用発明2では,小役の賞態様を取りこぼした場合に,1.5倍のメダルを貯金して,後の「7」「7」「7」の入賞時に加算したメダルが払い出される点。なお,この点については,本件発明が前者の趣旨であれば相違点とならないが,後者の趣旨でもあり得るため,一応の相違点として検討するものである。
<相違点3’>
本件発明では,上記相違点2’に係る構成をいずれと解した場合であっても,ボーナス内部当選中に小当たり入賞態様の抽選を行うのに対し,引用発明2では,小役の賞態様を取りこぼした場合の「貯金」の処理を離れても,ボーナス内部当選中に小役の抽選を行うか否かが,明らかではない点。なお,この点についても,相違点2’と同様,一応の相違点として検討するものである。

4.5. 相違点の判断及び本件発明の進歩性の判断
4.5.1 相違点1’について
引用発明2の報知手段は,それぞれの入賞態様に対応した表示ランプであり,これは入賞態様の報知としては,遊技者にとって極めてわかりやすい報知手段である。しかし,入賞態様を報知するに当たり,遊技者にとって極めてわかりやすい報知でなければならない理由はない。引用例3においても,「内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」(段落【0082】)と記載されるように,複数のランプの点灯パターンと内部当選役の種類とを対応させること(以下,「引用発明3」という。)は,公知である。また,遊技機においては,当選の報知をするに当たり,確定的に報知することも,所定確率で報知することも周知である。引用例1には,パチスロ機「サンダーV」についての紹介記事として,先に「3.1.」で抜記した記載事項及び「3.2.」で認定した引用発明1が開示されている。すなわち,遊技状態及びハズレを含む成立役に応じて,予告音,リール消灯及びフラッシュパターンの組み合わせを,整数/128の確率で規定される振り分け率で決定することが開示されている。同じくパチスロ機「サンダーV」についての紹介記事であり,「3.2.」で参照した甲22号証の記載を参酌しても,そのことは是認できる。そして,このように決定された「予告音,リール消灯及びフラッシュパターン」の組み合わせ中,「フラッシュパターン」の部分において,実際上「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」ことが達成されることは,先に「3.4.1」で一応の相違点1について検討したとおりである。
そうであれば,引用発明2を出発点とし,小役入賞の内部当選を事後的にではなく予告報知する場合でも,遊技者にとって極めてわかりやすい報知であることや,確定的報知であることを維持しなければならない理由はなく,上記引用発明3を採用して複数のランプの点灯パターンと内部当選役の種類とを対応づけた報知とするとともに,上記周知技術を採用して所定確率での報知とすることは,当業者にとって想到容易である。なお,被請求人は,引用発明2を出発点とする場合,内部当選の報知は100%信頼できる確定的報知であることが必要である旨主張しているが,報知に関して見れば引用発明2は,記載事項2B.の如く「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がない」という従来の状態に対して改善を行ったものであり,確定的報知以外は何らの効果も奏さないというものではないことが明らかであるから,当該被請求人の主張は採用できない。
そして,所定確率で報知がされるように,報知態様を決定するに際しては,引用発明1の如く,遊技状態と当選フラグとに応じて振り分け率に従い決定する手法を採用して,小役入賞の内部当選が確率的に予告報知される報知態様が選択されるようにすることも,当業者にとって想到容易である。その際,引用発明1の如く,遊技状態と当選フラグとに応じて整数/128の確率で規定される振り分け率で報知態様を選択させる場合には,「複数種類のデモ抽選テーブル」及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を備えて,本件発明のように報知態様を決定することが自然な選択であり,そうすることに想到困難性がないことは,先に「3.4.2」で相違点2について述べたとおりである。
したがって,引用発明2を出発点として,相違点1’に係る本件発明の構成に至ることは,当業者にとって容易である。

4.5.2 相違点2’について
引用発明2は,小役の賞態様を取りこぼした場合に,小役の賞態様を揃えた場合の1.5倍のメダルを貯金して,後の「7」「7」「7」の入賞時に,貯金したメダルを加算したメダルを払い出すようにしている。しかしながら,そのような「取りこぼし」の「貯金」は,記載事項2B.にいう「遊技内容を多様化する」という目的に資するものではあっても,同記載事項2B.にいう「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がないため,遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず,遊技の興趣を損ねることとなっていた」という状況に照らして,内部当たりを告知するという構成を採用する場合に,必ず一体不可分のものとして採用しなければならないというものではない。その一方,小役を揃えても取りこぼしても結局のところメダルを払い出すという場合には,小役の内部当選確率自体を下げなければ払い出し率を維持できないこととなる。
そうであれば,引用発明2において,記載事項2B.にいう「ソフト的に賞態様が決定されたといっても,これを遊技者に告知する手段がない」という状況に照らして内部当選の告知を行う点に着目した当業者が,小役の取りこぼし時にメダルを「貯金」する構成まで併せて維持しなければならない理由はなく,引用発明1をはじめ他のスロットマシンが通常そうしているように,取りこぼした小役に対してはメダルの払い出しをしないようにすることは,容易に想到し得た事項と言わざるを得ない。
なお,本件発明が小当たり入賞態様を取りこぼした場合の記載を有さないことについて,そのような場合の処理を何ら特定しない趣旨と解した場合には,相違点2’は実際上の相違点ではない。
したがって,相違点2’は実際上の相違点ではないか,又は当該相違点に係る本件発明の構成を得ることは当業者にとって想到容易な事項である。

4.5.3 相違点3’について
引用例2における記載事項2H.は,引用発明2が有する小役取りこぼし時のメダルの「貯金」を実施する場合,貯金メダル枚数の極端な増加を避けるために,「7」「7」「7」あるいは「BAR」「BAR」「BAR」のソフト的当選後は小役の当選確率を「通常よりも」低い確率とする旨記載するものである。そうであれば,相違点2’について検討した如く,引用発明2における小役取りこぼし時のメダルの「貯金」を維持しない場合においても,「7」「7」「7」あるいは「BAR」「BAR」「BAR」のソフト的当選後に,小役の抽選を行うこと自体は,引用例2において想定されている。加えて,引用発明1でもボーナスフラグ成立中にスイカ,ベル及びチェリーのフラグが成立する場合があるのであるから,ボーナス入賞態様の内部当選中であっても小当たり入賞態様の抽選を行うことは明らかといえ,これを引用発明2に採用することには何の困難性もなく,相違点2’に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易と言わざるを得ない。

4.5.4 本件発明の進歩性の判断
以上のとおり,相違点1’乃至3’は,いずれも実際上の相違点ではないか,当該相違点に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。そして,これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって,本件発明は,引用発明2を出発点として,引用発明3,引用発明1あるいは甲22号証に記載された発明及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである。

5. 無効理由1について
請求人は,パチスロ機「サンダーV」が本件出願前に公然実施されたこと,及び本件発明がパチスロ機「サンダーV」と同一発明であることを主張している。
一般にパチスロ機が販売されれば,ROMを解析し,攻略法を雑誌等に発表することは広く行われている(実際,引用例1,甲22等によれば,パチスロ機「サンダーV」の紹介記事を掲載した刊行物が本件出願前に頒布されている。)から,パチスロ機「サンダーV」が,雑誌等に発表された限度においてはROMの内容を含めて,本件出願前に公然実施されたことは認める。被請求人はこれに反する主張をし,パチスロ機「サンダーV」のROM解析が平成10年8月28日以前に実施されたものではないことを立証しようとして,証人尋問を申請している。しかしながら,本件出願日は平成10年9月14日以降である。また,上述したように,引用例1及び甲22等によれば,パチスロ機「サンダーV」が,これら雑誌等に発表された限度においてはROMの内容を含めて,本件出願前に公然実施されたものと認められる。そのため,証人尋問をあえて行う必要性を認めない。
引用例1は,パチスロ機「サンダーV」の紹介記事であるから,公然実施されたパチスロ機「サンダーV」が,引用発明1のすべての構成を備えることは明らかである。
しかしながら,本件発明と引用発明1の相違点2について見ると,「第6 3.4.2」で説示したことからみて,相違点2に係る本件発明の構成を採用することが合理的かつ自然であるものの,パチスロ機「サンダーV」が現実に同構成を備えることを立証しようとして請求人が提出する甲12?甲16号各証は,作成者も明らかでなく,甲16の注釈が何を根拠に導かれたか等も不明であるから,これら証拠からパチスロ機「サンダーV」が,実際に相違点2の構成を備えると認めることまではできない。
そうである以上,本件発明がパチスロ機「サンダーV」と同一発明であることまでは認めることができず,請求人主張の理由により,請求項1の特許を無効とすることはできない。

6. 予備的判断
6.1. はじめに
本件訂正のうち,請求項1の訂正については,「第5」で述べたとおりの理由で認めることができないが,仮に請求項1の訂正を認められるとした場合の判断をしておく。
訂正が認められる場合の請求項1に係る発明は,訂正明細書等の特許請求の範囲における【請求項1】の記載によって特定されるべきものであり,その記載は「第3 2.」に「記載事項ア’1.」として示したとおりである(以下,「訂正発明」という。)。
訂正発明は,本件発明に対して「第5 1.2.」に示した訂正事項1-1?訂正事項1-5の訂正を行ったものである。
これに対して,引用例2には,「4.2.」で抜記した記載事項及び「4.3.」で認定した引用発明2が開示されている。本件発明と引用発明2との一致点・相違点及び相違点の想到容易性については,「4.4.」及び「4.5.」で検討したとおりであるから,訂正発明の特許性を検討するうえでは,訂正事項1-1?訂正事項1-5により,訂正発明が特許可能となるか否かを検討すべきこととなる。

6.2. 訂正事項1-3を除く発明特定事項について
訂正事項1-1,訂正事項1-4及び訂正事項1-5における記載の追加は,要するに,「第5 4.1.2」で述べたとおり,「スタートレバー」と「複数のリール」及び「複数の停止ボタン」について発明を限定するとともに,「報知抽選処理」及び「報知」の実行タイミングを限定し,また「報知」が「表示態様」によることを限定したものである。これらのうち,「スタートレバー」と「複数のリール」及び「複数の停止ボタン」を有することについては,引用例2における記載事項2E.の抜記中に「レバー状のスタートスイッチ80」と「回転リール40?42」及び「3個のストップスイッチ90?92」が存在し,これらの部材の存在は引用発明2においても当然の前提に過ぎない。また,「報知抽選処理」と「報知」の実行タイミングをスタートレバーの操作後,停止ボタンの操作前とすることも,「4.1.」で述べたとおり,引用発明2を出発点とした無効理由3では実際上検討済みである。報知を「表示態様」で行うことも,「4.5.1」における相違点1’の検討に含まれている。訂正事項1-2は,要するに,訂正事項1-4における記載の削除を補うとともに,デモ抽選テーブルとデモ抽選テーブル選択テーブルとが「ROM」に記憶されることを限定したものである。しかしながら,ROMへの記憶は設計事項程度と言わざるを得ない。
すなわち,訂正事項1-1,1-2,1-4,1-5は,いずれも,本件発明に対する無効理由3の成立を左右するものではなく,訂正発明の特許性に寄与する事項ではない。

6.3. 訂正事項1-3の発明特定事項について
訂正事項1-3は,「第5 4.3.」で検討したとおり,本件明細書等に記載された事項の総合にない,新たな技術的事項である。それだけでなく,前示検討箇所中の「4.3.2 (6)派生的影響」で付言したとおり,訂正明細書等においても当該事項の技術的意義を理解することができるだけの記載がされておらず,技術的意義が不明であるため進歩性の評価自体がなし得ないものである。このことは,訂正事項1-3によって,訂正発明の進歩性が獲得され,特許性が維持されることを意味するものではない。

6.4. 予備的判断まとめ
以上より,仮に請求項1の訂正を認めたとしても,訂正発明は,技術的意義が不明で進歩性の評価ができない発明特定事項の部分を除き,進歩性を有さず,特許性が認められるものではない。
なお,請求項1の訂正は認めることができないから,訂正発明についての本判断は予備的なものであり,請求項1の特許を無効とする理由ではない。


第7 むすび
以上述べたとおり,請求項1の特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから,同法123条1項2号の規定に該当し,無効とされるべきである。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。

平成21年12月15日

審判長 特許庁審判官 小原 博生
特許庁審判官 有家 秀郎
特許庁審判官 伊藤 陽
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと、
前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され、遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと、
配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、
乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMと、
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において、
前記入賞態様決定手段の抽選の対象は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記報知手段は、
前記スタートレバーの操作直後に、報知選択抽選処理を行い、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、すべての遊技状態にわたって、小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、
当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において、
前記入賞態様決定手段は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記報知手段は、遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し、選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し、
前記入賞態様決定手段は複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
【請求項4】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乱数抽選によって入賞態様が決定され、小当たり入賞が発生する遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは、図22(a)に示すように、前面パネル2の背後に3個のリール3,4,5が3列に並設されている。各リール3?5の外周には種々の図柄が描かれており、これら図柄は、各リール毎に設けられた図示しない内蔵光源(バックライト)によって背後から照明され、前面パネル2に形成された各窓6,7,8を介して観察される。この窓には5本の入賞ラインが記されており、スロットマシン遊技は、いずれかのこの入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃うか否かによって行われる。
【0003】
遊技は遊技者によって投入口にメダルが投入されることによって開始され、投入口にメダルが投入されると、同図(a)に示すようにバックライトが全部点灯する。このバックライトは遊技終了後一定期間、遊技者のメダル投入操作等がなかった場合には、同図(b)に示すように全部消灯している。各リール3?5は遊技者によるスタートレバーの操作に応じて回転し、各窓6?8には図柄が列方向に回転移動表示される。各リール3?5が一定速度に達すると各リール3?5に対応して設けられた各ストップボタンの操作は有効となる。
【0004】
遊技者は移動する図柄を観察しながら各ストップボタンを操作し、各リール3?5の回転を停止させ、所望の図柄をいずれかの入賞ライン上に停止表示させようとする。各リール3?5は各ストップボタンの操作タイミングに応じてその回転が停止する。この停止時にいずれかの入賞ライン上に所定の図柄組み合わせが表示されると、その図柄組み合わせに応じた入賞が得られる。
【0005】
入賞態様には大当たり入賞や中当たり入賞,小当たり入賞等があり、大当たり入賞や中当たり入賞は図柄「7」や所定のキャラクタ図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生する。大当たり入賞ではビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム)、中当たり入賞ではレギュラー・ボーナス・ゲーム(RBゲーム)といった特別遊技が行え、大量のコインを獲得することが出来る。また、小当たり入賞は「チェリー」や「ベル」といった図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生し、この小当たり入賞では数枚のメダルを獲得することが出来る。同図(c)は図柄「ベル」が中央の入賞ラインに揃った場合を示しており、この場合にはバックライトは点滅する。
【0006】
このような入賞態様は、スタートレバーが操作された直後に行われる乱数抽選によって決定され、各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。この乱数抽選は遊技機内部に構成された入賞態様決定手段で実施される。この乱数抽選によって大当たり入賞が決定されると、機器前面パネルに設けられたランプが点灯し、機械の内部抽選によって大当たり入賞が発生したことが遊技者に報知される。その後、遊技者の停止ボタン操作に応じて各リールの回転が停止制御され、乱数抽選によって決定された入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、入賞が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の遊技機では、内部抽選によって大当たり入賞が発生したことは遊技者に報知されるが、小当たり入賞が内部抽選によって発生したことは報知されない。このため、小当たり入賞は、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで、機械内部の乱数抽選で決定されたことが分からなかった。従って、内部抽選によって小当たり入賞が決定された場合、遊技者は、この内部抽選結果を予め把握できないため、リールの回転を最初に停止操作する際、どのような図柄を入賞ライン上に揃えれば良いかを知ることは出来なかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、スタートレバーの操作により回転が開始する複数のリールと、前記複数のリールにそれぞれ対応して配置され、遊技者の操作に応じて前記複数のリールのそれぞれの回転を停止させる複数の停止ボタンと、配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、乱数抽選によって複数の報知態様のうちの一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するためのデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMと、前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において、前記入賞態様決定手段の抽選の対象は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない複数の小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、前記報知手段は、前記スタートレバーの操作直後に、報知選択抽選処理を行い、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、前記デモ抽選テーブル選択テーブルは、すべての遊技状態にわたって、小当たり入賞態様毎に異なるテーブルナンバーのデモ抽選テーブルが対応しており、その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記複数のリールの回転が開始してから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、遊技者は内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを予め知ることが出来、停止ボタン操作は容易に行える。また、報知手段が所定確率で報知を行うため、小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり、この内部抽選結果報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣は向上する。
【0010】
また、本発明は複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも遊技者に報知することを特徴とする。例えば、複数の音を発生させて小当たり入賞の種類を遊技者に報知する。
【0011】
本構成によれば、小当たり入賞の種類を予め知ることが出来るため、停止ボタン操作はより容易に行える。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は本実施形態によるスロットマシン1の正面図である。
【0014】
スロットマシン1の前面パネル2の背後には可変表示装置を構成する3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。また、表示窓6,7,8の下方右側には、遊技者がメダルを入れるための投入口9が設けられている。
【0015】
各リール3?5は図2に示す回転リールユニットとして構成されており、フレーム51にブラケット52を介して取り付けられている。各リール3?5はリールドラム53の外周にリール帯54が貼られて構成されている。リール帯54の外周面には上記のシンボル列が描かれている。また、各ブラケット52にはステッピングモータ55が設けられており、各リール3?5はこれらモータ55が駆動されて回転する。
【0016】
各リール3?5の構造は図3(a)に示される。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リール帯54の背後のリールドラム53内部にはランプケース56が設けられており、このランプケース56の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ57a,57b,57cが取り付けられている。これらバックランプ57a?57cは図3(b)に示すように基板58に実装されており、この基板58がランプケース56の背後に取り付けられている。また、ブラケット52にはホトセンサ59が取り付けられている。このホトセンサ59は、リールドラム53に設けられた遮蔽板60がリールドラム53の回転に伴ってホトセンサ59を通過するのを検出する。
【0017】
各バックランプ57a?57cは後述するランプ駆動回路48によって個別に点灯制御される。各バックランプ57a?57cの点灯により、リール帯54に描かれたシンボルの内、各バックランプ57の前部に位置する3個のシンボルが背後から個別に照らし出され、各表示窓6?8にそれぞれ3個ずつのシンボルが映し出される。
【0018】
また、図1に示す表示窓6?8には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右下がりL3A,斜め右上がりL3B)の入賞ラインが記されている。ゲーム開始に先立ち、遊技者がメダル投入口9に1枚のメダルを投入したときは、各リール3?5上にある中央の入賞ラインL1だけが図4(a)に示すように有効化される。また、2枚のメダルを投入口9に投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが同図(b)に示すように有効化される。また、3枚のメダルを投入口9に投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが同図(c)に示すように有効化される。
【0019】
なお、同図における丸印は各リール3?5上に描かれたシンボルを表している。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの端部に配置された有効化ライン表示ランプ23(図1参照)が点灯することにより、遊技者に表示される。
【0020】
また、表示窓6?8の下方左側には、1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12が設けられている。クレジット数表示部13にメダルがクレジットされている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12の各押ボタン操作により、1回のゲームにそれぞれ1枚,2枚および3枚のメダルが賭けられる。クレジット数表示部13は、表示する数値の桁数に応じた個数の7セグメントLEDで構成されており、現在クレジットされているメダル数を表示する。
【0021】
これらBETスイッチ10?12の下方にはクレジット/精算切換スイッチ(C/Pスイッチ)14およびスタートレバー15が設けられており、スタートレバー15の右方の機器中央部には停止ボタン16,17,18が設けられている。C/Pスイッチ14の押しボタン操作により、メダルのクレジット/払い出し(PLAY CREDIT/PAY OUT)を切り換えることが出来る。
【0022】
スタートレバー15のレバー操作により、リール3,4,5の回転が一斉に開始する。停止ボタン16,17,18は、各リール3,4,5に対応して配置されている。各リール3?5の回転速度が一定速度に達したときに各停止ボタン16?18の操作が有効化され、各停止ボタン16?18は遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3?5の回転を停止させる。
【0023】
また、スロットマシン1の正面下部には透音孔19およびメダル受皿20が設けられている。透音孔19は、機器内部に収納されたスピーカから発生した音を外部へ出すものである。メダル受皿20はメダル払出口21から払い出されるメダルを貯めるものである。また、スロットマシン1の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部22が設けられている。
【0024】
また、各リール3,4,5の右方の前面パネル2には液晶表示部24が設けられている。この液晶表示部24は各リール3,4,5の回転表示をしたり、遊技履歴を表示したり、ボーナスゲーム中に演出を行ったりするディスプレイ装置である。
【0025】
図5は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。
【0026】
制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32およびRAM33を含んで構成されている。CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段である乱数発生器36および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段である乱数サンプリング回路37が接続されている。
【0027】
マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール3,4,5を回転駆動する各ステッピングモータ55、メダルを収納するホッパ38、液晶表示部24、スピーカ39およびバックランプ57a?57cがある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、ホッパ駆動回路41、表示駆動回路42、スピーカ駆動回路43およびランプ駆動回路48によって駆動される。これら駆動回路40?43,48は、マイコン30のI/Oポートを介してCPU31に接続されている。各ステッピングモータ55はモータ駆動回路40によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0028】
また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sと、メダル投入口9から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ9Sと、前述したC/Pスイッチ14とがある。また、ホトセンサ59、およびこのホトセンサ59からの出力パルス信号を受けて各リール3,4,5の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。
【0029】
ホトセンサ59は各リール3,4,5が一回転する毎に遮蔽板60を検出してリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。RAM33内には、各リール3?5について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されており、CPU31はリセットパルスを受け取ると、RAM33内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ55の回転との間に生じるずれが、一回転毎に解消されている。
【0030】
さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路45と、払出し完了信号発生回路46とがある。リール停止信号回路45は、停止ボタン16,17,18が押された時に、対応するリール3,4,5を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部47はホッパ38から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路46は、このメダル検出部47から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU31へ出力する。
【0031】
ROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブルおよび入賞シンボル組合せテーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0032】
入賞確率テーブルは、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており、乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。このような入賞確率テーブルは例えば図6に示すように構成される。同図におけるa1?a3,b1?b3,c1?c3,d1?d3,e1?e3,f1?f3,g1?g3は予め設定された数値データであり、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは、投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?g1」、2枚の場合には「a2?g2」、3枚の場合には「a3?g3」の各数値の組合せが用いられる。
【0033】
これら数値は通常「a<b<c<d<e<f<g」の大小関係に設定され、抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり、この場合、b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち、c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ、d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ、e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち、g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0034】
つまり、入賞態様は、サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され、「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。ここで、乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。各種のヒットはこのような入賞確率テーブルのデータ設定に応じた確率の下で発生するため、遊技者の技量に極端に左右されることなく、例えば1日の営業時間内でのトータル的なメダル支払い率がほぼ一定に維持されている。
【0035】
また、シンボルテーブルは図7に概念的に示される。このシンボルテーブルは各リール3?5の回転位置とシンボルとを対応づけるものであり、シンボル列を記号で表したものである。このシンボルテーブルにはコードナンバに対応したシンボルコードが各リール3?5毎に記憶されている。コードナンバは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として各リール3?5の一定の回転ピッチ毎に順次付与されている。シンボルコードはそれぞれのコードナンバ毎に対応して設けられたシンボルを示している。
【0036】
また、入賞シンボル組合せテーブルには、配当表示部22に示される各入賞シンボル組合せのシンボルコードや、特定ゲーム発生のフラグが成立していることを遊技者に示唆する「リーチ目」を構成するシンボル組合せのシンボルコード、各入賞を表す入賞判定コード、入賞メダル配当枚数等が記憶されている。この入賞シンボル組合せテーブルは、第1リール3,第2リール4、第3リール5の停止制御時、および全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
【0037】
次に、本実施形態においてマイコン30で制御される遊技機の動作について説明する。
【0038】
図8および図9はこの遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【0039】
まず、CPU31により、メダルBETがなされたかどうかが判別される(図8,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETスイッチ10,11,12からの信号入力があった場合に“YES”となる。その場合、次にスタートレバー15の操作によりスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。
【0040】
この判別が“YES”の場合、前述した入賞態様決定手段によって入賞判定(確率抽選処理)が行われる(ステップ103)。入賞判定が行われるタイミングは、図10(e)のタイミングチャートに示され、同図(d)に示すスタートレバー15の操作時に行われる。前述したように入賞判定は、乱数発生器36で発生し、サンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブルにおいてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。
【0041】
入賞態様決定手段で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表される。当選フラグの種類には「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類がある。これら当選フラグのうち、「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の各フラグは、内部抽選の結果小当たり入賞に当選した場合に立つ。また、「RB」フラグは内部抽選の結果中当たり入賞に当選した場合、「BB」フラグは内部抽選の結果大当たり入賞に当選した場合に立つ。
【0042】
小当たり入賞当選フラグはその回の遊技においてだけ有効であり、新たなメダル投入によって行われる次回の遊技には持ち越されない。つまり、小当たり入賞態様は、入賞態様決定手段によって小当たり当選フラグがセットされたその遊技において完結する。これに対してRB当選フラグやBB当選フラグは数回の遊技にわたって持ち越される。つまり、中当たり入賞や大当たり入賞といったボーナス入賞態様は、入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると、通常、RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。そして、RB入賞が発生すると遊技状態はRB作動中になって後述するRBゲームが行われ、BB入賞が発生すると遊技状態はBB作動中になって後述するBBゲームが行われる。
【0043】
次に、この入賞判定の結果、小当たり入賞当選フラグが立ったか否かが判断される(ステップ104)。小当たり入賞当選フラグが立っている場合には、次に、小当たり当選報知音出力処理(ステップ105)が行われる。また、小当たり入賞当選フラグが立っていない場合には、処理は後述するステップ106に移る。ステップ105の報知音出力処理では、スピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され、スピーカ39から小当たり入賞当選フラグの種類に応じた報知音A?Dが出力させられる。
【0044】
つまり、小当たり入賞当選フラグが「2枚チェリー」の場合にはスピーカ39から報知音Aが出力され、「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の場合にはそれぞれ報知音B,CおよびDがスピーカ39から出力される。これら報知音は機器前面下方の透音孔19を通って遊技者に伝えられる。ここで、スピーカ駆動回路43,スピーカ39およびマイコン30は小当たり入賞当選を報知する報知手段を構成している。小当たり当選報知音A?Dが出力されるタイミングは図10(a)に示され、同図(e)に示す抽選タイミング直後から時間t1の間出力される。
【0045】
次に、リール3,4,5の回転処理が行われ(ステップ106)、引き続いてリール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ107)。このリール停止制御は入賞判定の結果セットされた当選フラグの種類に応じて行われる。つまり、当選フラグが「ハズレ」の場合には、CPU31によってモータ駆動回路40が制御され、いずれの有効化入賞ライン上にも入賞シンボル組合せが揃わないように各リール3?5が停止制御される。
【0046】
また、当選フラグが「2枚チェリー」の場合には、CPU31によってモータ駆動回路40が制御され、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「4枚チェリー」の場合には、2本の有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せがそれぞれ揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「ベル」,「スイカ」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「ベル」,「スイカ」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0047】
また、当選フラグが「RB」,「BB」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「7」または所定のキャラクタ・シンボルの組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0048】
しかし、これら停止制御は機械によって全て行われるのではなく、遊技者による各停止ボタン16?18の操作タイミングも問われる。つまり、内部抽選の結果入賞当選フラグが立っていても、遊技者によって停止ボタン16?18が所定タイミングに操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞シンボル組合せは揃わず、入賞は発生しない。
【0049】
このため、次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ108)。入賞が得られなかったときには“NO”となって処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ109)。リプレイゲームでない入賞のときには、CPU31によってホッパ駆動回路41が制御され、所定枚数のメダルがホッパ38によってコイン受け皿20へ払い出される(図9,ステップ110)。
【0050】
例えば、「2枚チェリー」の小当たり入賞の場合には2枚のメダルが払い出され、「4枚チェリー」の小当たり入賞の場合には4枚のメダルが払い出される。また、「ベル」の小当たり入賞の場合には6枚のメダル、「スイカ」の小当たり入賞の場合には8枚のメダルが払い出される。また、「BB」,「RB」の大当たり入賞の場合にはそれぞれ15枚のメダルが払い出される。
【0051】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ111)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ112)。このBBゲームでは一般遊技およびボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。BBゲーム中の一般遊技では小当たり入賞が高確率で発生する。また、ボーナスゲームは複数回の高配当ゲームが一組となったゲームである。BBゲーム中のこの一般遊技においても、内部抽選によって小当たり入賞の当選フラグが立った場合には、その入賞態様に応じた報知音が上述したようにスピーカ39から出力される。
【0052】
BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ113)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ114)。このRBゲームでは上記のボーナスゲームが1回行える。従って、小当たり入賞では上記のように僅かなメダルしか獲得することが出来ないが、RBゲームやBBゲームではこのように多数回の遊技が行えるため、通常、大量のメダルを獲得することが可能である。
【0053】
その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。この際、スタートレバー15は時間t2例えば4.1秒の間隔をおいて操作する必要がある。例えば、図10(d)に示すように前回のスタートレバー操作から時間t2以内に次のレバー操作をすると、リール回転不可音が同図(b)に示すタイミングでスピーカ39から出力される。ここで同図(c)は前回の遊技において最後に停止するリールの回転状態を示しており、このリールは前回遊技の回転開始時から時間t2経過後に回転し出す。このような場合には、次の遊技の小当たり入賞当選報知音も時間t2経過後から出力される。
【0054】
このような本実施形態によれば、遊技者は、スピーカ39から出力される報知音A?Dを聞くことにより、内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを、各停止ボタン16?18の操作をする前に予め知ることが出来る。従って、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。もしも、この小当たり入賞当選報知が行われない場合、遊技者は各リール3?5にどの図柄を停止表示させたらよいか分からないが、本実施形態によれば停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来、停止ボタン操作は容易になる。
【0055】
さらに本実施形態では、小当たり入賞当選報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した複数の音A?Dを発生させ、小当たり入賞の種類をも遊技者に報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選したかを予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。従って、停止ボタン操作はより容易に行える。
【0056】
また、小当たり入賞当選フラグが立つと報知音A?Dが鳴るため、遊技者はその音を楽しむことも出来るようになる。例えば、報知音Aを「パオー」といった象の叫び声,報知音Bを「ガオー」といった虎の叫び声というように、各報知音を動物の叫び声などにしたりすることにより、報知音の面白味も増し、スロットマシン遊技の興趣は向上する。
【0057】
なお、上記実施形態では、内部抽選当選報知音を小当たり入賞の各種類に1対1に対応させて複数種類出力させる構成としたが、必ずしも1対1に対応させる必要はない。例えば、報知音をA,Bの2種類とし、入賞態様決定手段で小当たり入賞が決定された場合に報知音Aをスピーカ39から出力し、大当たり入賞が決定された場合に報知音Bをスピーカ39から出力する構成としてもよい。この場合には、報知音A,Bの違いから小当たり入賞の当選フラグが立ったことを知ることが出来る。ただし、小当たり入賞の種類については知ることが出来ない。
【0058】
本構成によっても、内部抽選によって小当たり入賞当選フラグが立ったことを予め知ることが出来、各リール3?5に停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来る。従って、停止ボタン操作は容易になり、また、報知音を楽しむことも出来る。
【0059】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第2の実施形態について説明する。
【0060】
本実施形態によるスロットマシンの構成は上記の第1の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており、これら以外の構成は上記実施形態によるスロットマシンと同じである。
【0061】
つまり、上記実施形態によるスロットマシンでは確率抽選処理(図8,ステップ103)で小当たり入賞が抽選されると、この小当たり入賞が報知手段によって必ず遊技者に報知された。しかし、本実施形態によるスロットマシンでは、確率抽選処理で小当たり入賞が抽選されても、必ずしもこの小当たり入賞が報知されるとは限らない。また、入賞態様決定手段で小当たり入賞以外の入賞態様が決定されても、小当たり入賞が予兆報知される場合がある。また、上記実施形態ではスピーカ39によって報知手段が構成されていたが、本実施形態では各リール3?5の各バックランプ57a?57cによって報知手段が構成されている。
【0062】
以下にこの本実施形態によるスロットマシンについて詳述する。
【0063】
本実施形態によるスロットマシンでは、ROM32に入賞態様報知選択抽選確率テーブルが記憶されている。この報知選択抽選確率テーブルは入賞態様決定手段で決定された入賞態様を所定確率で遊技者に報知する際に参照される。
【0064】
図11に例示する報知選択抽選確率テーブルは、図6に示す入賞確率テーブルにおける3枚賭けの確率テーブルに対応して示されている。つまり、この報知選択抽選確率テーブルの上段には、図6に示す3枚賭け時のヒット区画データである数値データa3?g3の各値が示されている。また、下段には3枚賭け一般遊技時の報知区画データの各値が示されている。ここで、乱数発生器36は0?65535(=2^(16))の範囲の乱数を発生するものとしている。
【0065】
同テーブルによれば、入賞判定時に0?200の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は大当たり入賞となって「BB」当選フラグが立ち、201?380の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は中当たり入賞となって「RB」当選フラグが立つ。同様に、381?10000の範囲にある乱数が抽出されれば、各役の小当たり入賞当選フラグが立ち、10001?18000の範囲にある乱数が抽出されれば、「再遊技」当選フラグが立ち、18001?65535の範囲にある乱数が抽出されれば、「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0066】
また、入賞判定時にサンプリング回路37によって381?770または20381?20800の範囲にある乱数が抽出されていれば、「スイカ」当選フラグの予兆報知が行われる。つまり、381?770の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立った場合には、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。また、20381?20800の範囲にある乱数が抽出されて「ハズレ」当選フラグが立っている場合にも、この「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。一方、771?800の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立っていても、この範囲の乱数は「スイカ」当選フラグ報知区画データの範囲外であるため、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は行われない。
【0067】
すなわち、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われても、必ずしも内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っているとは限らず、また、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われていなくても、内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っていないとは限らない。「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は所定の信頼度の下で行われており、図11に示すテーブルの場合には、「スイカ」当選フラグが立っている場合にこの入賞態様報知が行われる確率は390/810で約48%{(381?770の390)/(381?770の390と20381?20800の420との和)}になっている。また、「スイカ」当選フラグが立っていない場合にこの入賞態様報知が行われる確率は420/810で約52%になっている。この結果、入賞態様報知は約52%の確率ではずれることになる。
【0068】
このような入賞態様報知は小当たり入賞の他の各当選フラグや、大当たり,中当たり入賞の「BB」,「RB」当選フラグや、「再遊技」当選フラグについても同様に行われる。ただし、入賞態様報知の信頼度は全ての役において一率である必要はなく、メダル投入枚数や遊技状態によって異ならせてもよい。例えば、図11に示すテーブルでは、「ベル」当選フラグの報知が当たっている確率は1000/1100で約91%であり、この報知がはずれている確率は100/1100で約9%である。
【0069】
次に、本実施形態による遊技処理について図12に示すフローチャートおよび図13に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0070】
同フローチャートのステップ121?123は第1の実施形態の図8に示すフローチャートの101?103と同じであり、まず、CPU31によってメダルBETの有無が判別される(ステップ121)。メダルBETが有った場合には次にスタートレバー15の操作が有ったか否かが判別され(ステップ122)、この操作が有った場合には、前述した確率抽選処理(ステップ123)によって入賞態様が決定される。次に、リール3,4,5の回転処理が行われる(ステップ124)。
【0071】
スタートレバー15の操作が図13(h)に示すタイミングで行われると、各リール3?5は同図(a),(b),(c)に示すようにスタートレバー15の操作に応じて一斉に回転し出す。また、ステップ123の確率抽選処理は同図(i)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作時に行われる。
【0072】
次に、この確率抽選処理に引き続き、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは図13(j)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作直後に行われる。上述したように入賞態様の報知選択抽選処理は、図11に例示する報知選択抽選確率テーブルを用いて行われ、入賞判定時にサンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、この確率テーブルの報知区画データのどの区画に属する値になっているか判断されることによって行われる。この報知選択抽選結果もRAM33の所定領域に書き込まれ、入賞態様が予兆として報知される場合にはステップ125で報知フラグがセットされる。セットされるこの報知フラグは、報知する入賞態様の種類をも表すものとする。
【0073】
次に、この報知選択抽選処理によって小当たり入賞報知フラグが立ったか否か、つまり、サンプリングされた乱数値が小当たり入賞報知区画データに属する値か否かが判断される(ステップ126)。サンプリングされた乱数値が小当たり入賞報知区画データに属し、小当たり入賞報知フラグが立っている場合には、次に、リールランプ点灯制御処理(ステップ127)が行われる。また、小当たり入賞報知フラグが立っていない場合には、処理はステップ128に移る。
【0074】
前述した第1の実施形態では、小当たり入賞予兆報知の際に参照されるフラグは小当たり入賞当選フラグであったが、本実施形態では予兆報知の際に小当たり入賞報知フラグが参照される。従って、上述したように、小当たり入賞は所定の信頼度の下で報知され、その報知が当たっている場合もあり、外れている場合もある。さらに、入賞態様決定手段でハズレ入賞態様が決定された場合にも、小当たり入賞予兆報知が行われる場合がある。
【0075】
ステップ127のリールランプ点灯制御処理では、ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され、第1リール3の各バックランプ57a?57cが小当たり入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。ここで、ランプ駆動回路48,各バックランプ57a?57cおよびマイコン30は小当たり入賞を予兆報知する報知手段を構成している。また、各リール3?5に内蔵された各バックランプ57a?57cはメダル投入時に一斉に点灯している。
【0076】
例えば、「2枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで、第1リール3の上段のバックランプ57aだけが図14(a)に示すように消灯される。この際、第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。また、「4枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じた同様なタイミングで、第1リール3の中断のバックランプ57bだけが同図(b)に示すように消灯される。また、「ベル」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで、第1リール3の下段のバックランプ57cだけが同図(c)に示すように消灯される。また、「スイカ」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで、第1リール3の全てのバックランプ57a?57cが同図(d)に示すように消灯される。
【0077】
その後、リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ128)。このリール停止は、例えば図13(d),(e),(f)に示すタイミングで行われ、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18の各ボタン操作後に行われる。なお、ここでは便宜上、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18がこの順番に操作され、各リール3?5が第1リール3,第2リール4,第3リールの順番で停止する場合について説明している。しかし、各リール3?5の停止順序はこれに限定されるものではなく、例えば、第1リール停止ボタン16,第3リール停止ボタン18,第2リール停止ボタン17のように、ランダムな操作順序により停止するようにしてもよい。
【0078】
次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ129)。入賞が得られなかったときには処理は初めのステップ121に戻り、また、入賞判定の結果リプレイゲームであるときは、処理はステップ122のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ130)。
【0079】
その後の処理は、第1の実施形態で説明した図9に示すフローチャートのステップ110?114に従って同様に行われる。
【0080】
このような本実施形態によれば、遊技者は、スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cのうち、第1リール3のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより、小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って、各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。
【0081】
さらに本実施形態では、報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した4つの態様で第1リール3の各バックランプ57a?57cを点灯制御し、小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また、各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため、遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。
【0082】
また、小当たり入賞態様の報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、報知選択抽選確率テーブル(図11参照)に示すような所定確率で行われる。また、入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って、小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣は向上する。
【0083】
なお、上記実施形態の説明においては、第1リール3の各バックランプ57a?57cを個別に点灯制御して小当たり入賞態様の種類を報知する構成としたが、各リール3?5毎に各バックランプ57a?57cを同時に点灯制御して小当たり入賞態様の種類を報知する構成としてもよい。例えば、「2枚チェリー」小当たり入賞予兆報知の場合には第1リール3の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させ、「4枚チェリー」小当たり入賞予兆報知の場合には第2リール4の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させる。また、「ベル」小当たり入賞予兆報知の場合には第3リール5の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させ、「スイカ」小当たり入賞予兆報知の場合には各リール3?5の全バックランプ57a?57cを同時に消灯させる。
【0084】
また、上記実施形態の説明においては、報知手段は、入賞態様決定手段で「ハズレ」入賞態様が決定されたときにも小当たり入賞態様の予兆報知をする構成について説明したが、小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず、小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。
【0085】
また、前述した第1の実施形態では、小当たり入賞態様およびその種類を、スピーカ39から出力される複数の音によって報知する構成として説明したが、上記の第2実施形態と同様に、各バックランプ57a?57cを複数の態様で点灯制御して報知する構成とすることも可能である。また、前述した第1の実施形態では小当たり入賞当選フラグが立つと必ず複数の音で予兆報知する構成について説明したが、第2の実施形態で説明したような報知選択抽選確率テーブル(図11参照)を使用して、所定確率で小当たり入賞の予兆報知をする構成としてもよい。
【0086】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第3の実施形態について説明する。
【0087】
本実施形態によるスロットマシンの構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており、これら以外の構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンと同じである。つまり、この第3の実施形態によるスロットマシンは、第2の実施形態と比較し、報知選択抽選処理(図12,ステップ125)およびリールランプ点灯制御処理(ステップ127)の各内容が異なっている。これに伴い、制御回路のROM32に記憶されているテーブルも異なっている。
【0088】
第2の実施形態によるスロットマシンでは、報知選択抽選処理は、報知選択確率抽選テーブル(図11参照)が参照されて報知する入賞態様が選択され、この入賞態様に応じた報知情報が選択されて予兆報知が行われた。しかし、この第3の実施形態によるスロットマシンの報知選択抽選処理は、後述するように、デモ抽選テーブル選択テーブルが参照され、遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルが選択される。さらに、選択されたデモ抽選テーブルが参照され、抽選乱数に応じて報知情報が選択されて予兆報知が行われる。
【0089】
また、第2の実施形態によるスロットマシンでは、リールランプ点灯制御処理は、第1リール3の各バックランプ57a?57cが個別に点灯制御されて行われた。しかし、この第3の実施形態によるスロットマシンでは、後述するように、各リール3?5毎に各バックランプ57a?57cが同時に点灯制御されて行われる。
【0090】
以下にこの第3の実施形態によるスロットマシンについて詳述する。
【0091】
本実施形態によるスロットマシンでは、図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16?図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。
【0092】
デモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグからNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図19(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており、データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0093】
当選フラグは図19(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより、その時の当選フラグが示されている。
【0094】
例えば、GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ、FLGCTRのデータが02Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグは4枚チェリーになる。従って、その時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.2のデモ抽選テーブルになる。このNo.2のデモ抽選テーブルは図16に示され、同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により、リールランプ消灯パターンの種類が選択される。例えば、No.2のデモ抽選テーブルで抽選値49の欄の組合せが選択されると、リールランプ消灯パターンはパターン2になる。
【0095】
また、遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタが4枚チェリーの上記の場合において、No.2のデモ抽選テーブルで最下欄の抽選値30の欄の組合せが選択されると、リールランプ消灯パターンはパターン3になる。また、GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ、FLGCTRのデータが04Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはスイカになる。この時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.4のデモ抽選テーブルになる。
【0096】
このNo.4のデモ抽選テーブルも図16に示され、同テーブルから抽選値14の欄が抽選によって選択されると、この時の演出態様組合せも、リールランプ消灯パターンはパターン3になる。つまり、異なる当選フラグが成立するゲームにおいても、予兆報知パターン決定用乱数の値によっては、同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。
【0097】
このようにして当選フラグの種類は、その時の遊技状態によって定まるリールランプ消灯パターンの種類によって遊技者に報知されるが、その信頼度は一様ではない。例えば、一般遊技中における4枚チェリーフラグ当選の予兆報知が上記のように行われたとしても、その時に必ずしも4枚チェリーフラグが当選しているとは限らない。つまり、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選している際にその予兆報知が行われる確率はX(=0?100)%であり、また、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選していないのにその予兆報知が行われる確率は(100-X)%である。
【0098】
また、第2の実施形態と同様に本実施形態においても、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各リール3?5の表示を演出して入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。この報知手段によって演出される表示態様には5種類ある。
【0099】
第1の表示態様は「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様であり、報知手段は、スタートレバー15の操作直後に各リール3?5の各バックランプ57a?57cを消灯せずに点灯したままの状態にする。第2の表示態様は図20(a)に示す「リールランプ消灯パターン1」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第1リール3の各バックランプ57a?57cが消灯する。第3の表示態様は同図(b)に示す「リールランプ消灯パターン2」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第2リール4の各バックランプ57a?57cが消灯する。第4の表示態様は同図(c)に示す「リールランプ消灯パターン3」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第3リール5の各バックランプ57a?57cが消灯する。第5の表示態様は同図(d)に示す「リールランプ消灯パターン4」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に全リール3?5の各バックランプ57a?57cが消灯する。
【0100】
なお、各リール3?5に内蔵された各バックランプ57a?57cはメダル投入時に一斉に点灯している。
【0101】
「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様は、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「はずれ」になり、デモ抽選テーブルNo.17が選択される場合や、フラグカウンタが「リプレイ」になり、デモ抽選テーブルNo.0が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン1」の表示態様は、「2枚チェリー」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「2枚チェリー」になり、デモ抽選テーブルNo.1,No.5,No.9,No.13が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン2」の表示態様は、「4枚チェリー」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「4枚チェリー」になり、デモ抽選テーブルNo.2,No.6,No.10,No.14が選択される場合に高い確率で現れる。
【0102】
また、「リールランプ消灯パターン3」の表示態様は、「ベル」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「ベル」になり、デモ抽選テーブルNo.3,No.7,No.11,No.15が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン4」の表示態様は、「スイカ」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「スイカ」になり、デモ抽選テーブルNo.4,No.8,No.12,No.16が選択される場合に高い確率で現れる。
【0103】
本実施形態による遊技処理も、上述した第2の実施形態で用いられた図12に示すフローチャートおよびこれに続く図9に示すフローチャートと同様に表される。次に、これらフローチャートおよび図13に示すタイミングチャートを参照して本実施形態による遊技処理について説明する。
【0104】
本実施形態においても、まず、CPU31によってメダルBETの有無が判別される(図12,ステップ121)。メダルBETが有った場合には次にスタートレバー15の操作が有ったか否かが判別され(ステップ122)、この操作が有った場合には、前述した確率抽選処理(ステップ123)によって入賞態様が決定される。次に、リール3,4,5の回転処理が行われる(ステップ124)。
【0105】
次に、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは前述したように図13(j)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作直後に行われる。この報知選択抽選処理は、図21に示すフローチャートに従って行われる。
【0106】
まず、RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図19(a)参照)が参照され、その時の遊技状態が把握される(図21、ステップ201)。次に、FLGCTR領域に格納されたデータが参照され、当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に、その時の遊技状態および当選したフラグの種類から、デモ抽選テーブル選択テーブル(図15参照)を参照してNo.0?No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に、RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。
【0107】
このカウント値Cは0?127の範囲で変化しており、抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり、このカウント値Cから、ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され、減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。減算結果Aが負にならない場合には、次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206)、その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ、負になった場合にはその抽選値Rの欄のリールランプ消灯パターンが予兆報知される演出態様に選択される(ステップ208)。
【0108】
例えば、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選した場合には上述したようにNo.2のデモ抽選テーブルが選択されるが、この際の表示態様の選択抽選処理は次のように行われる。まず、ステップ204でリフレッシュ・カウンタ値Cとして15が抽出されたとすると、ステップ205のC-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値3がまずセットされ、減算結果A=15-3=12になる。この減算結果Aは正であるため、次にテーブルの次段の抽選値10が抽選値Rにセットされ、減算結果A=12-10=2の正負が判断される。この減算結果Aも正であるため、次にテーブルの次段の抽選値5が抽選値Rにセットされ、減算結果A=2-5=-3の正負が判断される。この減算結果Aは負であるため、抽選値5の欄のリールランプ消灯パターン1が予兆報知態様に選択される。
【0109】
この報知選択抽選結果はRAM33の所定領域に書き込まれ、ステップ125で報知フラグがセットされる。ここで、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターンなし」が選択された場合には、報知フラグはセットされない。また、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン1」が選択された場合には、「2枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされ、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン2」が選択された場合には、「4枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされる。また、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン3」が選択された場合には、「ベル」小当たり入賞報知フラグがセットされ、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン4」が選択された場合には、「スイカ」小当たり入賞報知フラグがセットされる。
【0110】
次に、この報知選択抽選処理によって小当たり入賞報知フラグが立ったか否かが判断される(図12,ステップ126)。この小当たり入賞報知フラグが立っている場合には、次に、リールランプ点灯制御処理(ステップ127)が行われる。また、小当たり入賞報知フラグが立っていない場合には、処理はステップ128に移る。
【0111】
ステップ127のリールランプ点灯制御処理では、ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され、各リール3?5の各バックランプ57a?57cが入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。
【0112】
例えば、予兆報知フラグが「2枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には、図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで、第1リール3の各バックランプ57a?57cが図20(a)に示すように消灯される。この際、第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。上述したようにこの表示態様は「リールランプ消灯パターン1」に対応しており、「2枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。また、予兆報知フラグが「4枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、第2リール4の各バックランプ57a?57cが図20(b)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン2」に対応しており、「4枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。
【0113】
また、予兆報知フラグが「ベル」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、第3リール5の各バックランプ57a?57cが図20(c)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン3」に対応しており、「ベル」小当たり時に高い確率で現れる。また、予兆報知フラグが「スイカ」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、全リール3?5の各バックランプ57a?57cが図20(d)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン4」に対応しており、「スイカ」小当たり時に高い確率で現れる。
【0114】
その後、リール3,4,5の停止制御が行われる(図12,ステップ128)。このリール停止は、例えば図13(d),(e),(f)に示すタイミングで行われ、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18の各ボタン操作後に行われる。
【0115】
次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ129)。入賞が得られなかったときには処理は初めのステップ121に戻り、また、入賞判定の結果リプレイゲームであるときは、処理はステップ122のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ130)。
【0116】
その後の処理は、第1の実施形態で説明した図9に示すフローチャートのステップ110?114に従って同様に行われる。
【0117】
このような本実施形態によっても、遊技者は、スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより、小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って、各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。
【0118】
さらに本実施形態でも、報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した態様で各リール3?5の各バックランプ57a?57cを点灯制御し、小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また、各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため、遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。
【0119】
また、小当たり入賞態様の報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、デモ抽選テーブル(図16?図18参照)を用いた乱数抽選による所定確率で行われる。また、入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って、小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣は向上する。
【0120】
なお、上記実施形態においても、小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず、小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。
【0121】
このような各構成によっても上記の各実施形態と同様な効果が奏される。
【0122】
また、上記各実施形態においては本発明による遊技機をスロットマシンに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、パチンコ機といった弾球遊技機や、その他のアミューズメント機器に適用してもよい。
【0123】
本発明をパチンコ機に適用する場合、上記各実施形態のスロットマシンにおけるスタートレバー操作、入賞態様決定用乱数抽出、リール回転開始、といった遊技の流れは、パチンコ機においては、ある特定の入賞口へのパチンコ球の入賞、入賞態様決定用乱数抽出、パチンコ機に組み込まれたスロットマシン・リールの回転開始、といった遊技の流れに置き換えられる。また、上記各実施形態のスロットマシンで、リールの図柄がある特定の態様で停止表示されたときに行われたメダルの払い出しは、パチンコ機においては、アタッカやチューリップといった変動入賞装置を開放させ、多くの出球を遊技者に付与するというように、パチンコゲーム上での特典を与えることに置き換えられる。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを、報知手段が発生する報知音や、報知手段が点灯制御するリールバックランプの点灯等によって予め知ることが出来るため、遊技者は停止ボタン操作を容易に行えるようになる。また、報知手段が小当たり入賞の種類をも遊技者に報知する構成とすれば、遊技者による停止ボタン操作はより容易に行えるようになる。また、遊技者は小当たり入賞の予兆報知が行われたときに報知音を聞いたりランプの表示態様を見て楽しむことも出来、遊技の興趣は増すようになる。また、この報知を所定確率で行う構成とすれば、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣はさらに向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】
図1に示すスロットマシンの回転リールユニットを示す斜視図である。
【図3】
図2に示す回転リールユニットを構成する回転リールの構造を示す斜視図である。
【図4】
図1に示すスロットマシンの表示窓に記された入賞ラインが順次有効化される状態を示す図である。
【図5】
図1に示すスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図6】
本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞確率テーブルを示す図である。
【図7】
本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるシンボルテーブルを示す図である。
【図8】
本発明の第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図9】
本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第2のフローチャートである。
【図10】
本発明の第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知音が出力されるタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図11】
本発明の第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞態様報知選択抽選確率テーブルを示す図である。
【図12】
本発明の第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図13】
本発明の第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理における回路各部のタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図14】
本発明の第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって点灯制御されるリールバックランプの表示態様を示す図である。
【図15】
本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
【図16】
本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第1のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図17】
本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図18】
本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図19】
(a)は第3の実施形態によるスロットマシンのRAMに記憶された遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域の内容、(b)は同RAMに記憶されたフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域の内容を示す図である。
【図20】
本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって点灯制御されるリールバックランプの表示態様を示す図である。
【図21】
本発明の第3の実施形態における報知選択抽選処理の内容を示すフローチャートである。
【図22】
従来のスロットマシンにおけるリールバックランプの点灯状態を示す図である。
【符号の説明】
1…スロットマシン
2…前面パネル
3,4,5…第1,第2,第3リール
6,7,8…窓
9…メダル投入口
10,11,12…BETスイッチ
13…クレジット数表示部
14…クレジット/精算切換スイッチ
15…スタートレバー
16,17,18…停止ボタン
19…透音孔
20…メダル受皿
21…メダル払出口
22…配当表示部
23…有効化ライン表示ランプ
24…液晶表示部
L1,L2A,L2B,L3A,L3B…入賞ライン
57a,57b,57c…バックランプ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-04-01 
結審通知日 2008-03-27 
審決日 2008-04-09 
出願番号 特願2000-109295(P2000-109295)
審決分類 P 1 123・ 121- ZA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 土屋 保光池谷 香次郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
伊藤 陽
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3232076号(P3232076)
発明の名称 遊技機  
代理人 小松 陽一郎  
代理人 井口 嘉和  
代理人 辰巳 忠宏  
代理人 岩渕 正樹  
代理人 中尾 真一  
代理人 井口 喜久治  
代理人 田中 康久  
代理人 松永 暁太  
代理人 辻村 和彦  
代理人 長沢 幸男  
復代理人 宇田 浩康  
代理人 松永 暁太  
代理人 岩渕 正樹  
代理人 渡辺 浩司  
代理人 井崎 康孝  
代理人 中込 秀樹  
代理人 佐藤 玲太郎  
代理人 長沢 幸男  
代理人 渡辺 浩司  
代理人 中込 秀樹  
代理人 岩渕 正紀  
代理人 豊岡 静男  
代理人 井口 嘉和  
代理人 長沢 美智子  
代理人 福田 あやこ  
代理人 今井 博紀  
代理人 佐藤 玲太郎  
復代理人 山崎 道雄  
代理人 大西 剛  
復代理人 中村 理紗  
代理人 大西 剛  
代理人 豊岡 静男  
代理人 田中 康久  
代理人 岩渕 正紀  
代理人 長沢 美智子  
代理人 今井 博紀  
復代理人 辻 淳子  
代理人 森本 純  
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