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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1240119
審判番号 不服2008-24984  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-29 
確定日 2011-07-13 
事件の表示 特願2002- 78522「情報処理装置、及び、その制御方法、並びにコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 3日出願公開、特開2003-280961〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年3月20日の出願であって、平成20年5月26日付けで拒絶理由が通知され、同年7月29日付けで手続補正がなされたが、同年8月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し同年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年10月29日付けで手続補正がなされたものである。
そしてその後、平成23年2月15日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月15日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 平成23年4月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成23年4月15日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正内容
平成23年4月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のとおりに補正する補正事項を含むものである。

<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
ネットワークに接続され、ネットワークリソースに保存されたファイルに対して所定の処理を行う情報処理装置であって、
ネットワークリソース毎に、当該ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する第1の処理と、前記第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理とを設定する第1の設定手段と、
前記第1の処理及び前記第2の処理の実行により作成される実行結果ファイルの分類方法を設定する第2の設定手段と、
前記ネットワークリソースへのファイルの格納状況を監視する監視手段と、
前記監視手段で監視しているネットワークリソースにファイルが格納されたことを検出した場合、当該ファイルに対して、前記第1の設定手段で当該ネットワークリソースに対して設定した前記第1の処理を実行し、前記第1の処理を実行することにより得られた第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行する処理実行手段と、
前記実行処理手段が前記ファイルに対して前記第1の処理を実行することにより得られた前記第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果をそれぞれ、実行結果ファイルとして他のネットワークリソースに保存する保存手段とを備え、
前記第2の設定手段は、前記実行処理手段が前記ファイルに対して前記第1の処理を行うことで得られる前記第1の実行結果に基づき取得され得る前記ファイルの内容を示す特定情報と、当該特定情報が前記第1の実行結果に基づき得られた場合の保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報とに従って、前記実行結果ファイルの分類方法を設定し、前記保存先フォルダは階層構造で定義されており、
前記保存手段は、前記分類方法により前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成されている場合には当該フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させ、作成済みでない場合には前記分類方法に従って当該他のネットワークリソースに新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに、前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させる
ことを特徴とする情報処理装置。」

<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
ネットワークに接続され、ネットワークリソースに保存されたファイルに対して所定の処理を行う情報処理装置であって、
ネットワークリソース毎に、当該ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する第1の処理と、前記第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理とを設定する第1の設定手段と、
前記第1の処理及び前記第2の処理の実行により作成される実行結果ファイルの分類方法を設定する第2の設定手段と、
前記ネットワークリソースへのファイルの格納状況を監視する監視手段と、
前記監視手段で監視しているネットワークリソースにファイルが格納されたことを検出した場合、当該ファイルに対して、前記第1の設定手段で当該ネットワークリソースに対して設定した前記第1の処理を実行し、前記第1の処理を実行することにより得られた第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段が前記ファイルに対して前記第1の処理を実行することにより得られた前記第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果をそれぞれ、実行結果ファイルとして他のネットワークリソースに保存する保存手段とを備え、
前記第2の設定手段は、前記処理実行手段が前記ファイルに対して前記第1の処理を行うことで得られる前記第1の実行結果に基づき取得され得る前記ファイルの内容を示す特定情報と、当該特定情報が前記第1の実行結果に基づき得られた場合の保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報とに従って、前記実行結果ファイルの分類方法を設定し、前記保存先フォルダは階層構造で定義されており、
前記保存手段は、前記分類方法により前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成済みであり、当該フォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えないと判断する場合には、当該フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させ、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが作成済みでない、または、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えると判断する場合には、前記分類方法に従って当該他のネットワークリソースに新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させる
ことを特徴とする情報処理装置。」

2.本件補正に対する判断
本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保存手段」が、実行結果ファイルの保存先とされた「フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存」するための条件を、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成済みであり、当該フォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えないと判断する場合」に限定するものであって、それに伴い、「新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存」するための条件を「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが作成済みでない、または、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えると判断する場合」とするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(上記改正前の特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
(1)平成23年2月15日付けの拒絶理由通知に引用された特開平9-330196号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

あ.「【0009】この請求項1の発明によれば、画像読取手段からの画像読取データに対して、例えば、一枚の紙面の画像読取データ毎に画像ファイルが形成されて所定の記憶領域に格納される。このとき監視手段では記憶領域を監視しているから新たな画像ファイルが記憶領域に格納されると、これが監視手段で検出され、文字認識手段に対して新たに格納された画像ファイルに対する文字認識を行うように指示が行われる。よって、記憶領域への画像ファイルの格納が行われる毎に、オペレータの操作を介することなく文字認識手段による文字認識が行われる。」

い.「【0025】一方、文字認識制御部9では、起動されると、例えば図3に示すような、文字認識装置7での文字認識手順を指定する認識モード、文字認識部8で文字認識を行う際の諸条件、或いは、文字認識部8での文字認識結果の格納先等、文字認識を行う際の所定の条件を設定する、自動連続認識設定画面F1を表示する(ステップS1)。
【0026】そして、オペレータの入力装置での操作によって、各条件についての設定が行われると、設定された条件に対して受け付け処理を行い、設定条件を自動連続認識設定画面F1に表示すると共に、設定された所定条件を文字認識部8に通知する(ステップS2)。
【0027】ここで、自動連続認識設定画面F1で設定する設定条件としては、例えば文字認識装置7での文字認識手順を設定する認識モード及び文字認識部8での文字認識条件を指定する認識設定,文字認識対象の画像密度を特定する画像密度,文字認識部8での文字認識結果を格納する出力先ディレクトリ及び出力形式等がある。前記認識設定としては、文字認識対象が、英数字,記号等であるか、又はかな漢字等であるか,横書きか縦書きか,文字変形率(正体100%等),傾き補正の有無,自動枠抽出の有無,等がある。また、出力形式としてはテキストファイル作成,枠毎に保存,等がある。
【0028】そして、自動連続認識設定画面F1において、認識モードとして監視モードが設定されると(ステップS3)、文字認識制御部9ではディレクトリ監視処理を開始する。まず、図4に示す監視ディレクトリ設定画面F2を表示する(ステップS4)。この監視ディレクトリ設定画面F2は、文字認識対象の画像ファイルが蓄積されたか否かの監視を行うディレクトリを指定する画面であって、例えば文字認識制御部9で監視可能なドライブ一覧、ドライブ一覧で指定されたドライブのディレクトリ一覧、ディレクトリ一覧で指定されたディレクトリの画像ファイル一覧等を表示し、監視対象のディレクトリが特定されたとき、これを自動連続認識設定画面F1及び監視ディレクトリ設定画面F2に表示すると共に、監視ディレクトリとして登録する。
【0029】この場合、画像読取装置3からの画像読取データはディレクトリD1に格納されるから、オペレータがディレクトリ設定画面F2において、監視対象のディレクトリとして、ディレクトリD1を指定すると、これが監視ディレクトリとして登録される。
【0030】そして、自動連続認識設定画面F1において、自動認識開始が指示されると、指定された監視ディレクトリD1を参照し、現在保持している画像ファイルを特定する既ファイル特定情報を形成してこれを記憶する(ステップS5)。
【0031】次いで、監視ディレクトリD1に新たに画像ファイルが蓄積されたか否かを判定する(ステップS6)。
・・・中略・・・
【0034】そして、以後、監視処理の終了指示が行われるまでの間、ステップS6?ステップS8の処理を所定時間(例えば5秒)毎のサイクルで繰り返し実行する。ここで、ステップS4?ステップS8の処理が監視手段に対応している。」

う.「【0037】そして、文字認識部8から文字認識結果が入力された場合には、出力形式として指定された条件にしたがって文字認識ファイルを形成し、出力ディレクトリとして指定されたディレクトリに順次格納する。」

え.「【0051】なお、上記実施の形態においては、文書読取装置1を画像読取装置3と文字認識装置7と記憶装置11とで構成した場合について説明したが、画像読取装置3,文字認識装置7,記憶装置11をそれぞれ複数設けることも可能であり、この場合、上記監視モード選択時の処理(図2のステップS4?S8の処理に対応)では、特定のディレクトリのみを監視するようにしているから、各画像読取装置では予め設定した所定の記憶装置の所定のディレクトリに画像ファイルを格納するようにしておけば、文字認識制御部9では上記と同様に処理を行うことができ、これによって、何れかの画像読取装置で画像読取処理が終了したものから順に文字認識処理を行うようにすることができる。」

お.「【0055】また、上記実施の形態においては、前記監視モード選択時の処理では、一つのディレクトリを監視するようにした場合について説明したが、複数のディレクトリを監視するようにしてもよく、また、複数の記憶装置を通信回線15に接続した場合には、これら記憶装置についてもその複数のディレクトリについて監視するようにしてもよい。」

ここで、上記各記載事項を関連図面及び各種常識に照らせば、以下のことがいえる。

(ア)上記記載事項中の「文書読取装置」は、「自動連続認識設定画面F1」上において、設定された「監視ディレクトリ」に格納されたファイルに文字認識を行う際の諸条件、あるいは文字認識を行う際の所定の条件を設定する機能を有しているから、該「文書読取装置」は、当然に、「監視ディレクトリ」に格納されたファイルに実行する処理を設定する「設定手段」とも呼び得る手段を有している。
(イ)上記記載事項中の「文書読取装置」は、文字認識処理を実行することにより得られた実行結果を、「文字認識ファイル」として形成し「出力ディレクトリとして指定されたディレクトリ」に「格納」するから、該「文書読取装置」は、当然に、処理を実行することにより得られた実行結果を、実行結果ファイルとして、出力ディレクトリとして指定されたディレクトリに格納する「格納手段」とも呼び得る手段を有している。

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「通信回線を介して接続され、監視ディレクトリに格納されたファイルに対して所定の処理を行う文書読取装置であって、
監視ディレクトリ毎に、当該監視ディレクトリに格納されたファイルに実行する処理を設定する設定手段と、
前記監視ディレクトリへのファイルの格納状況を監視する監視手段と、
前記監視手段で監視している監視ディレクトリにファイルが格納されたことを検出した場合、当該ファイルに対して、前記設定手段で当該監視ディレクトリに対して設定した前記処理を実行する文字認識部と、
前記文字認識部が前記ファイルに対して前記処理を実行することにより得られた実行結果を、実行結果ファイルとして、出力ディレクトリとして指定されたディレクトリに格納する格納手段と、を有する文書読取装置。」

(2)平成23年2月15日付けの拒絶理由通知に引用された特開平8-6954号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

お.「【0019】この処理は、例えば図3のフローチャートに従って行うものとする。まず、上記ステップS216の処理で格納された画像ファイルから1ページ単位に画像データをジョブコントローラ102内に設けられたRAMに読出し(ステップS301)、各文字位置を検出する。そして、所定量だけ文字の切り出して文字認識を行ない、その画像中の文字による文章の言語を判断する(ステップS303)。この判断結果に基づき、次のステップS304では、当該文書画像は翻訳可能であるかどうかを判断する。実施例では、英文画像を翻訳することを前提としているので、他の言語、例えばフランス語やロシア語等は対象外となり、翻訳不可と判断する。尚、言語の判別であるが、各言語の辞書を予め記憶装置110に記憶し、文字認識された結果の単語がどの辞書に含まれるか、更には、各言語特有の文字の存在の有無により判断するものとする。また、言語が判別できるまで、切り出す文字の量を増やすものとする。すなわち、各言語に共通な単語がある場合には、1つの言語に絞り込むことができるまで処理を行う。また、ここでは英文の翻訳を前提としているので、文字認識用辞書として英文用を用いて、入力した文書が英文でないとき翻訳不可とするようにしても良い。
・・・中略・・・
【0028】こうして、文字認識が行われると、認識結果である文字コード(アスキーコード)が順に得られるから、それを記憶装置110にファイルとして格納する(ステップS403)。以下、ステップS404で、全画像に対する文字認識処理が完了したと判断されるまで、上記処理を繰り返す。この結果、記憶装置110には、オリジナルの画像ファイルとその認識して得られたテキストファイルが生成されることになる。
【0029】さて、文字認識処理が完了すると、次にステップS405に進んで、上記処理で生成されたテキストデータを所定量単位(1センテンス単位)にを読み込み(ステップS405)、邦文への翻訳処理を行う(ステップS406)。この結果、邦文のテキストコード(例えばJISコード)が生成されるから、それを記憶装置110に順に格納していく。そして、この処理が完了したと判断(ステップS408)されるまで繰りかえす。」

2-3.本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明の「通信回線」、「文書読取装置」はそれぞれ、本願補正発明の「ネットワーク」、「情報処理装置」に相当する。
(2)引用発明の「監視ディレクトリ」は、「ネットワーク」(通信回線)に接続された「記憶装置」11上において監視対象とされるフォルダ(ディレクトリ)であるから、本願補正発明の「ネットワークリソース」に相当する。
(3)引用発明の「設定手段」は、「ネットワークリソース」(監視ディレクトリ)毎に、当該「ネットワークリソース」(監視ディレクトリ)に格納されたファイルに対して実行する処理を設定するための手段であるから、引用発明の「設定手段」と本願補正発明の「第1の設定手段」とは、「ネットワークリソース毎に、当該ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する」処理を設定する手段である点で共通する。
(4)引用発明の「文字認識部」と本願補正発明の「処理実行手段」とは、「監視手段」で監視している「ネットワークリソース」(監視ディレクトリ)にファイルが格納されたことを検出した場合、当該ファイルに対して、設定した処理を実行する手段である点で共通する。
(5)引用発明の「格納手段」と本願補正発明の「保存手段」とは、上記共通する「実行手段」が実行することにより得られた実行結果ファイルを、「ネットワークリソース」(監視ディレクトリ)とは異なる保存先フォルダである「他のネットワークリソース」(出力ディレクトリとして指定されたディレクトリ)に保存する手段である点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ネットワークに接続され、ネットワークリソースに保存されたファイルに対して所定の処理を行う情報処理装置であって、
ネットワークリソース毎に、当該ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する処理を設定する第1の設定手段と、
前記ネットワークリソースへのファイルの格納状況を監視する監視手段と、
前記監視手段で監視しているネットワークリソースにファイルが格納されたことを検出した場合、当該ファイルに対して、前記設定手段で当該ネットワークリソースに対して設定した前記処理を実行する実行手段と、
前記実行手段が前記ファイルに対して前記処理を実行することにより得られた実行結果を、実行結果ファイルとして、他のネットワークリソースに保存する手段と、を備える情報処理装置。」である点。

(相違点1)
本願補正発明の「第1の設定手段」は、「ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する第1の処理と、第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理」とを設定するものであり、それに伴い、本願補正発明の「処理実行手段」は、「第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理」を実行し、「保存手段」は、「第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果」を保存するものであるのに対し、引用発明の「第1の設定手段」(設定手段)は、「第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理」についての設定をするものではなく、それに伴い、引用発明の「処理実行手段」(文字認識部)は、「第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理」を実行するものでなく、「保存手段」(格納手段)も、「第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果」を保存するものではない点。

(相違点2)
本願補正発明においては、第1の処理及び前記第2の処理の実行により作成される「実行結果ファイル」の分類方法を設定するための「第2の設定手段」を有しており、該「第2の設定手段」は、第1の「実行結果に基づき取得され得る前記ファイルの内容を示す特定情報」と、「当該特定情報が前記第1の実行結果に基づき得られた場合の保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報」とに従って、実行結果ファイルの分類方法を設定するものであり、それに伴い、「保存手段」が保存する「実行結果ファイル」の保存先も、該「分類方法」に従って決定されるのに対し、引用発明においては、実行結果ファイルの分類方法を設定するための手段を有しておらず、それに伴い、引用発明の「保存手段」(格納手段)が保存する「実行結果ファイル」の保存先も、該設定された「分類方法」に従って決定されるものではない点。

(相違点3)
本願補正発明における「保存手段」は、実行結果ファイルを保存する際、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成済みであり、当該フォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えないと判断する場合」は当該フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させ、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが作成済みでない、または、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えると判断する場合」は当該他のネットワークリソースに新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させるよう場合分けをするものであるのに対し、引用発明における「保存手段」(格納手段)は、実行結果ファイルを保存する際、そのような場合分けを行うか否か記載がない点。

2-4.判断
上記相違点について検討する。

(相違点1)について
以下の事情を勘案すると、引用発明の「第1の設定手段」(設定手段)を、「ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する第1の処理と、第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理」とを設定するものとし、それに伴い、引用発明の「処理実行手段」(文字認識部)を「第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理」を実行するものとし、「保存手段」(格納手段)も、「第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果」を保存するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(1)上記「2-2.」の「(2)」の「お.」の欄に摘記した引用例2の記載からも伺い知れるように、情報処理装置(文書ファイリング装置)において、第1の処理(文字認識処理)の実行結果が所定の条件を満たす場合に第2の処理(翻訳処理)を実行するよう設定し、実行して得られる、第1の実行結果及び第2の実行結果をそれぞれ保存する、といったように、1つのリソースに対して複数の処理を条件付きで実行するようにしてもよいことは、公知の技術である。
(2)引用発明においても、第1の処理の実行結果(文字認識結果)が所定の条件を満たす場合に、続けて第2の処理を条件付きで実行するように処理内容を設定することが有用な場合があることは、当業者に自明であるし、また、そのようにできない理由はない。
(3)引用発明において、第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に、続けて第2の処理を条件付きで実行するようにする場合には、引用発明の「第1の設定手段」(設定手段)を、「ネットワークリソースに保存されたファイルに実行する第1の処理と、第1の処理の実行結果が所定の条件を満たす場合に前記第1の処理の処理に引き続き実行する第2の処理」とを設定するものとし、それに伴い、引用発明の「処理実行手段」(文字認識部)を「第1の実行結果が前記所定の条件を満たす場合には、前記第1の実行結果に対して前記第2の処理」を実行するものとし、「保存手段」(格納手段)も、「第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果」を保存するものとすることは当然であり、また、そのようにできない理由はない。

(相違点2)について
以下の事情を勘案すると、引用発明においても、第1の処理及び前記第2の処理の実行により作成される「実行結果ファイル」の分類方法を設定するための「第2の設定手段」を有し、該「第2の設定手段」を、第1の「実行結果に基づき取得され得る前記ファイルの内容を示す特定情報」と、「当該特定情報が前記第1の実行結果に基づき得られた場合の保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報」とに従って、実行結果ファイルの分類方法を設定するものとし、それに伴い、「保存手段」(格納手段)が保存する「実行結果ファイル」の保存先も、該「分類方法」に従って決定されるものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(1)情報処理分野において、処理の実行により作成されるファイルを、処理の実行結果に基づき取得され得るファイルの内容を示す情報と保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報を利用して階層状に分類するようにすることは、例えば上記平成23年2月15日付けの拒絶理由通知に引用された特開平10-240901号公報(第4,5,19,25?55段落)や特開平11-238072号公報(第8,15?22段落)等に記載があるように周知である。
(2)一般に、何らかの処理を実行した結果得られるファイルの保存先を、あらかじめ指定された固定の保存先フォルダのみとしたり、得られるファイルの内容等に基づいて異なる保存先フォルダに保存するよう分類・振り分け等したりすることは、得られるファイルの内容等に基づき当業者が設計事項として適宜決定すべき事項であり、その際の分類方法として、上記(1)のような周知の技術を採用するか否かも当業者が設計事項として適宜決定すべき事項である。
(3)引用発明においても、処理の実行により作成される「実行結果ファイル」の内容等に基づいて異なる保存先フォルダに保存するように分類するのが有用な場合があることは、当業者に自明である。
(4)引用発明に上記「(相違点1)について」の欄で検討したところにしたがって「第2の処理」をも実行する情報処理装置としたものにおいても、上記(3)のように「実行結果ファイル」を分類する際に、上記(1)のような周知の技術を用いてファイルを分類するようにできない理由はない。(なお第1の実行結果ファイルも第2の実行結果ファイルもファイルの内容は同じであるような場合には、分類はいずれか一方のファイルに対して行えばよいことは当業者に自明である。)
(5)上記(1)?(4)のことは、取りも直さず、引用発明において、第1の処理及び前記第2の処理の実行により作成される「実行結果ファイル」の分類方法を設定するための「第2の設定手段」を有し、該「第2の設定手段」を、第1の「実行結果に基づき取得され得る前記ファイルの内容を示す特定情報」と、「当該特定情報が前記第1の実行結果に基づき得られた場合の保存先フォルダとの対応関係を示す対応関係情報」とに従って、実行結果ファイルの分類方法を設定するものとし、それに伴い、「保存手段」(格納手段)が保存する「実行結果ファイル」の保存先も、該「分類方法」に従って決定されるものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(相違点3)について
以下の事情を勘案すると、引用発明における「保存手段」(格納手段)が実行結果ファイルを保存する際、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成済みであり、当該フォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えないと判断する場合」は当該フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させ、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが作成済みでない、または、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えると判断する場合」は当該他のネットワークリソースに新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させるよう場合分けをすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(1)情報処理分野において、ファイルを保存する際に、保存先とされたフォルダが存在しない場合に新たにフォルダを作成するようにすることは、例えば上記平成23年2月15日付けの拒絶理由通知に引用された特開2001-188697号公報(第73段落)等に記載があるように周知であるし、また、ファイルを保存する際に、保存先とされたフォルダに格納されたファイルの数が所定の数に達した場合、つまり換言すれば、保存先とされたフォルダにファイルを保存した結果許容されるファイル数を超えると判断される場合に、新たにフォルダを作成するようにすることも、例えば特開平11-164234号公報(第20,21,30段落)や特開2002-41343号公報(第4段落)等に記載があるように周知である。
(2)引用発明においても、実行結果ファイルを保存する際に、上記(1)に示した周知の技術が有用な場合があることは、当業者に自明であるし、また、そのようにできない理由はない。
(3)情報処理分野において、一連の処理により複数のファイルが得られるような場合に、該複数のファイルを複数のフォルダに散逸して保存するより、一まとまりのファイル群として同一のフォルダにまとめて保存することが管理上有用な場合があることは当業者に自明である。
(4)引用発明において、上記「(相違点1)について」の欄で検討したところにしたがって「第1の実行結果、及び前記第1の実行結果に対して前記第2の処理を実行することにより得られる第2の実行結果」を保存する際、上記(3)に示したように、複数の「実行結果ファイル」が同一のフォルダに保存されるようにすることは当然であり、また、そのようにできない理由はない。
(5)上記(1)?(4)のことは、取りも直さず、引用発明における「保存手段」(格納手段)が実行結果ファイルを保存する際、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが、既に前記他のネットワークリソース中に作成済みであり、当該フォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えないと判断する場合」は当該フォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させ、「実行結果ファイルの保存先とされたフォルダが作成済みでない、または、前記実行結果ファイルの保存先とされたフォルダに前記実行結果ファイルを保存した結果、当該フォルダに保存が許容されるファイル数を超えると判断する場合」は当該他のネットワークリソースに新たにフォルダを作成させ、新たに作成したフォルダに前記第1の実行結果及び前記第2の実行結果に基づきそれぞれ作成される当該実行結果ファイルを保存させるよう場合分けをすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年10月29日付け手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものである。
そして、その平成20年10月29日付け手続補正書の請求項1に記載された事項は、前記「第2」の「1.」の<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したもとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-13 
結審通知日 2011-05-16 
審決日 2011-05-31 
出願番号 特願2002-78522(P2002-78522)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
P 1 8・ 575- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 工藤 嘉晃  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 岩崎 伸二
加内 慎也
発明の名称 情報処理装置、及び、その制御方法、並びにコンピュータプログラム  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 永川 行光  
代理人 永川 行光  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
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