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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H03B
管理番号 1240457
審判番号 無効2010-800185  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-10-13 
確定日 2011-07-19 
事件の表示 上記当事者間の特許第4453017号発明「水晶ユニットの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4453017号の請求項1ないし2に係る発明(以下、「本件特許発明1ないし2」という。)についての出願は、平成17年1月27日(分割に伴う遡及出願平成15年1月10日)に特許出願され、平成22年2月12日にその発明について特許の設定登録がなされたものである。
これに対して、平成22年10月13日に請求人京セラキンセキ株式会社より無効審判の請求がなされたところ、平成22年12月24日に被請求人有限会社ピエデック技術研究所より審判事件答弁書が提出され、平成23年4月6日に請求人より及び平成23年4月5日に被請求人よりそれぞれ口頭審理陳述要領書が提出され、平成23年4月19日に口頭審理が行われた。

第2 本件特許発明
本件特許発明1ないし2は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
水晶振動子とケースと蓋とを備えて構成される水晶ユニットの製造方法で、前記水晶振動子は、音叉基部とその音叉基部に接続された少なくとも第1音叉腕と第2音叉腕を備え、かつ、第1電極端子と前記第1電極端子と電気的極性が異なる第2電極端子を有する2電極端子を備えて構成される音叉型屈曲水晶振動子であって、
前記音叉型屈曲水晶振動子は基本波モード振動と2次高調波モード振動を備え、
前記基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が、前記2次高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(2)より大きくなるように、音叉形状と溝と電極の寸法を決定する工程と、
前記音叉基部と前記第1音叉腕と前記第2音叉腕を備えた音叉形状を形成する工程と、
前記第1音叉腕と前記第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々に溝を形成する工程と、
前記2電極端子の内の前記第1電極端子を形成するために、前記第1音叉腕の側面の電極と前記第2音叉腕の溝の電極とが同極になるように電極を配置する工程と、
前記2電極端子の内の前記第2電極端子を形成するために、前記第1音叉腕の溝の電極と前記第2音叉腕の側面の電極とが同極になるように電極を配置する工程と、
前記2電極端子を備えて構成される前記音叉型屈曲水晶振動子を収納するケースの固定部に導電性接着剤によって固定する工程と、
前記音叉型屈曲水晶振動子と前記ケースと前記蓋とを備えた水晶ユニットを構成するために、前記蓋を前記ケースに接続する工程と、を含むことを特徴とする水晶ユニットの製造方法。」(以下、「本件特許発明1」という。)
「【請求項2】
請求項1において、前記音叉型屈曲水晶振動子の前記第1音叉腕と前記第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々に形成された前記溝は、前記第1音叉腕と前記第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々の中立線の両側に形成され、前記中立線を含めた部分幅は0.05mmより小さく形成されていることを特徴とする水晶ユニットの製造方法。」(以下、「本件特許発明2」という。)


第3 請求人及び被請求人の主張の概要
1.請求人の主張の概要及び証拠
[請求の趣旨]
「特許第4453017号の請求項1、2に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。

[請求の理由]
本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された発明は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[証拠方法]
以下の甲第1号証?甲第13号証の書証を提出している。
・甲第1号証(以下、「甲1」と略す) : 特開昭56-65517号公報
・甲第2号証(以下、「甲2」と略す) : 実願昭52-109217号(
実開昭54-35870号)のマイクロフィルム
・甲第3号証(以下、「甲3」と略す) :
品田敏雄著「水晶発振子の理論と実際(改訂版)」オーム社 (昭和3
8年10月31日)
・甲第4号証(以下、「甲4」と略す) : 特開昭58-24884号公報
・甲第5号証(以下、「甲5」と略す) :
新電子技術展望シリーズ No.1「水晶振動子とその応用」科学技術
調査会、1981年5月25日、15?17頁、55?57頁、64?6
6頁
・甲第6号証(以下、「甲6」と略す) :
「水晶振動子の特性と発振回路について」(京セラウェブサイト)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/electro/pdf/add_pdf/hand_j.pdf
・甲第7号証(以下、「甲7」と略す) :
滝貞男監修「人工水晶とその電気的応用」日刊工業新聞社、昭和49年
5月30日、62?67頁、74?75頁、121?124頁
・甲第8号証(以下、「甲8」と略す) :
「水晶発振器の等価回路」(シチズンファインテックミヨタ株式会社)
http://cfm.citizen.co.jp/product/cvo_circuit.html
・甲第9号証(以下、「甲9」と略す) :
尾上守夫「屈曲振動水晶振動子の等価回路」電気通信学会誌、第37巻
11号、昭和29年11月、38?43頁
・甲第10号証(以下、「甲10」と略す) :
尾上守夫「水晶振動子の測定」電気通信学会誌、第43巻11号、昭和
35年11月、24?32頁
・甲第11号証(以下、「甲11」と略す) : 特開平1-311712号
公報
・甲第12号証(以下、「甲12」と略す) : 実願昭62-197980
号(実開平1-103913号)のマイクロフィルム
・甲第13号証(以下、「甲13」と略す) : 特開平5-199056号
公報
ただし、上記甲6及び甲8については、口頭審理陳述要領書の「6.証拠方法」における書証の提示と添付された書証とが入れ違っていたので、添付の書証に合わせて上記のようにした(なお、それによる「5.陳述の要領」の内容に影響はない。)。

2.被請求人の反論の概要と証拠
被請求人は、請求人の上記主張に対して、甲1及び甲2のいずれにも、「前記音叉型屈曲水晶振動子は基本波モード振動と2次高調波モード振動を備え、前記基本波モード振動のフィガーオブメリットM_(1)が、前記2次高調波モード振動のフィガーオブメリットM_(2)より大きくなるように、音叉形状と溝と電極の寸法を決定する工程」という発明特定事項Bを含む水晶ユニットの製造方法については記載も示唆もなく、請求人の上記主張は誤ったものである旨反論している。

[証拠方法]
以下の乙第1号証?乙第8号証の書証を提出している。
・乙第1号証(以下、「乙1」と略す) :
「超音波TECHNO」、Vol.6、No.11、1994年、73
?75頁
・乙第2号証(以下、「乙2」と略す) :
「水晶デバイス取扱いガイダンス」、日本水晶デバイス工業会技術委員
会編、1997年7月発行、1頁
・乙第3号証(以下、「乙3」と略す) : 特開平3-34714号公報
・乙第4号証(以下、「乙4」と略す) : 特開平6-164303号公報
・乙第5号証(以下、「乙5」と略す) : 川島宏文氏の「陳述書」
・乙第6号証(以下、「乙6」と略す) : 特開2005-354649号
公報
・乙第7号証(以下、「乙7」と略す) : 特開2008-306468号
公報
・乙第8号証(以下、「乙8」と略す) : 特開2006-246448号
公報


第4 本件特許発明に対する判断
1.争いのない事実
甲1(以下、「引用例」という。)から認定した引用発明(以下のア)、それを本件特許発明1ないし2と対比したことによる両者の一致点及び相違点(以下のイ?エ)については、平成23年2月22日付け通知書(審理事項通知書)で通知したが、同年4月19日に行った口頭審理に基づいて作成した第1回口頭審理調書の「陳述の要領」に記載したとおり、本件特許発明1ないし2と引用発明との一致点及び相違点の認定(以下のイ?エ)、並びに、相違点1及び相違点2の容易想到性の判断(以下のオ及びカ)については、当事者間に争いはない。

ア 甲1(引用例)から認定した引用例に記載された発明(以下、「引用発明」という。)は、以下のとおりである。
「第1の歯と第2の歯を備え、かつ第1電極端子と前記第1電極端子と異なる電気的極性を有する第2電極端子を備えた、音叉型屈曲水晶振動子の製造方法であって、音叉基部と第1の歯と第2の歯を備えた音叉形状を形成する工程と、第1の歯と第2の歯の各上面と下面の各々に溝を形成する工程と、前記第1電極端子を形成するために、第1の歯の側面の電極と第2の歯の溝の電極とが同極になるように電極を配置する工程と、前記第2電極端子を形成するために、第1の歯の溝の電極と第2の歯の側面の電極とが同極になるように電極を配置する工程とを含む、音叉型屈曲水晶振動子の製造方法。」

イ 本件特許発明1ないし2と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
音叉基部とその音叉基部に接続された少なくとも第1音叉腕と第2音叉腕を備え、かつ、第1電極端子と前記第1電極端子と電気的極性が異なる第2電極端子を有する2電極端子を備えて構成される音叉型屈曲水晶振動子の製造方法であって、前記音叉基部と前記第1音叉腕と前記第2音叉腕を備えた音叉形状を形成する工程と、前記第1音叉腕と前記第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々に溝を形成する工程と、前記2電極端子の内の前記第1電極端子を形成するために、前記第1音叉腕の側面の電極と前記第2音叉腕の溝の電極とが同極になるように電極を配置する工程と、前記2電極端子の内の前記第2電極端子を形成するために、前記第1音叉腕の溝の電極と前記第2音叉腕の側面の電極とが同極になるように電極を配置する工程と、を含むことを特徴とする音叉型屈曲水晶振動子の製造方法。

ウ 本件特許発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明1は、音叉型屈曲水晶振動子とケースと蓋とを備えて構成された水晶ユニットの製造方法であるのに対して、引用発明は、水晶振動子の製造方法である点。

<相違点2>
本件特許発明1は、音叉型屈曲水晶振動子をケースの固定部に導電性接着剤によって固定する工程、及び、ケースと蓋とを接続する工程を有するのに対して、引用発明には、そのような工程が記載されていない点。

<相違点3>
本件特許発明1は、音叉型屈曲水晶振動子は基本波モード振動と2次高調波モード振動を備え、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が、2次高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(2)より大きくなるように、音叉形状と溝と電極の寸法を決定する工程を有するのに対して、引用発明には、そのような工程が記載されていない点。

エ 本件特許発明2と引用発明とは、上記相違点1?3に加えて、以下の点でも相違する。
<相違点4>
本件特許発明2は、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々に形成された溝は、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の上面と下面の各々の中立線の両側に形成され、前記中立線を含めた部分幅は0.05mmより小さく形成されているのに対して、引用発明には、そのような構成が記載されていない点。

オ 相違点1の容易想到性の判断
音叉型の水晶振動子とケースと蓋とにより水晶ユニットを構成することは、甲2、甲11及び甲12に記載されているとおり、本件出願日前周知技術である。
よって、相違点1は、当該周知技術に基づいて当業者が容易になし得るものである。

カ 相違点2の容易想到性の判断
例えば、甲2には、水晶振動子を、本件特許発明1の「ケース」に相当するセラミックパッケージの所定の箇所に導電性ペーストを用いて固定することが記載されている(3頁2?8行)。さらに、甲2には、セラミックパッケージとガラス蓋とを接着することについても記載されている(3頁8?11行)。すなわち、水晶振動子などの圧電振動子をケースの固定部に導電性接着剤によって固定すること、及び、ケースと蓋とを接続することは、上記甲2、他にも、甲11?13に記載されているとおり、本件出願日前水晶ユニットの製造方法における周知技術である。
よって、相違点2は、当該周知技術に基づいて当業者が容易になし得るものである。

2.争いのある相違点3及び4の判断について
2-1.相違点3の判断について
相違点3の容易想到性の判断につき、相違点3に係る本件特許発明1の以下の構成を「発明特定事項B」という。
「音叉型屈曲水晶振動子は基本波モード振動と2次高調波モード振動を備え、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が、2次高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(2)より大きくなるように、音叉形状と溝と電極の寸法を決定する工程」
(1)請求人の主張の概要
甲1発明には、本件発明の発明特定事項Bで規定される、基本波モード振動と2次高調波モード振動におけるフイガーオブメリットの関係については明示的な記載はないが、上記発明特定事項Bで規定される要件は、実際には、全ての屈曲水晶振動子が自ずと満足する要件であるから、相違点3は何ら実質的な相違点とはならない。
ア 甲3に基づく主張
(ア)水晶振動子の共振動作状態が、L_(0)(インダクタンス)、C_(0)(キャパシタンス)、R_(0)(抵抗)の直列共振回路とこれに並列の電極間静電容量C_(1)からなる等価回路によって表すことができることは周知である(甲3、103頁、図4・3)。
(イ)フイガーオブメリットも水晶振動子において周知のものであり、フイガーオブメリットM_(0)は、以下の式で表されるものである(甲3、140頁、5・13式)
M_(0)=Q_(0)σ ・・・ (1)
ただし、Q_(0)={√(L_(0)/C_(0))}・1/R_(0) ・・・ (2)
σ=C_(0)/C_(1) ・・・ (3)
R_(0),C_(0),L_(0),C_(1)は、振動子の等価回路常数
(ウ)本件明細書の段落【0026】(後記(3)のアに摘記)の記載から、フイガーオブメリットM_(i)は、容量比r_(i)との関係で、「M_(i)=Q_(i)/r_(i)」(Q_(i)は品質係数)で与えられるところ、甲3におけるσは容量比の逆数に相当し、σ_(i)=1/r_(i)の関係にある。
(エ)等価回路常数R、C、Lの基本波モード振動における常数と、n次オーバートーン(高調波モード振動)における常数の関係について、以下の関係を有する(甲3、110頁、4・7式)。
L_(0)^((n))/L_(0)≒1
C_(0)/C_(0)^((n))≒n^(2)
R_(0)^((n))/R_(0)≒n^(2) ・・・ (4)
(オ)n次オーバートーンの場合に以下の関係が成り立つ(甲3、122頁、4・31式)。
Q_(0)^((n))=Q_(0)/n
σ^((n))=σ/n^(2) ・・・ (5)
また、1/σ^((n))=n^(2)・1/σ であるから、r^((n))=n^(2)・r_(0)
そしてまた、式(1)と式(5)から、
M^((n))=Q_(0)^((n))・σ^((n))=(Q_(0)/n)・(σ/n^(2))
=(1/n^(3))・Q_(0)σ=(1/n^(3))・M_(0)
この関係式からすると、高調波モード振動のフイガーオブメリットM^((n))は、次数nとともに小さくなり、また、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(0)は高調波モード振動のフイガーオブメリットM^((n))よりも常に大きくなるといえる。
なお、この点については、甲3の177頁に、「Mはオーバートーン次数とともに理論的にも当然降下して行く(4・3,4・4及び5・2参照)」と説明されているとおりである。
(カ)以上のことからすると、本件発明の発明特定事項Bで規定される事項は、全ての屈曲水晶振動子が自ずと満足する要件でしかないから、相違点3は実質的な相違点とはならない。

イ 甲9及び甲10に基づく主張
(ア)基本波モードで振動させる音叉型屈曲振動子が、M_(1)>M_(2)の関係を満足することは、以下のとおり明らかである。
甲9の39頁第1表及び40頁によれば、y軸に平行な電極を付与した屈曲振動子における容量比p_(0)(=C_(1)/C_(0))は以下の(7)式で表される。
p_(0)=ε_(0)ε_(11)Y/6e_(12)^(2)th^(2)(m/2) (th=tanh) ・・・ (7)
ここで、m=π(2n+1)/2 (甲7、64頁9行) ・・・ (8)
これらの式から、2次高調波モード振動(n=2)の容量比p_(2)と基本波モード振動(n=1)の容量比p_(1)の比は、以下の式となる。
p_(2)/p_(1)={{ε_(0)ε_(11)Y/6e_(12)^(2)th^(2)[π(4+1)/4]}/{ε_(0)ε_(11)Y/6e_(12)^(2)th^(2)[π(2+1)/4]}
=th^(2)[π(2+1)/4]/th^(2)[π(4+1)/4]
=(C_(02)/C_(1))/(C_(01)/C_(1))
=C_(02)/C_(01) ・・・ (9)
よって、p_(2)<p_(1) ・・・ (10)
なお、甲9における容量比pは、「等価直列容量/等価並列容量」(すなわち、C_(01)/C_(1)あるいはC_(02)/C_(1))と定義するのが正しい。そうすると、甲3及び甲10における容量比rとは、関係が逆になる(r_(1)=1/p_(1)、r_(2)=1/p_(2))から、(10)式の関係は、「r_(1)<r_(2) ・・・ (12)」となる。
この(12)式に示した結論は、甲10の26頁左欄13?14行に記載の「高次振動では容量比の増大にともなってMは悪化する」(「悪化する」とは、小さくなるという意味)、そして、「容量比が高調波振動モードにともなって大きくなる」との甲10における記載と合致し、甲10の25頁表2には、屈曲振動についての説明もあるから、高調波モード振動のフイガーオブメリットと基本波モード振動のフイガーオブメリットの大小関係に関する記載は、当然に屈曲振動についても当てはまる。
よって、(12)式、(1)式、及び、σと容量比rとの関係(σ_(i)=1/r_(i))から、「M_(1)>M_(2)」の関係が成り立つ。
(イ)M_(1)>M_(2)の関係が常に成り立つというのは、基本波モード振動で使用するごく一般的な音叉型屈曲水晶振動子を前提としたものであるところ、乙3及び乙4が開示しているのは、オーバートーン振動をさせることを前提として特殊な工夫を凝らした厚みすべり水晶振動子であり、該特殊な水晶振動子においてR_(1)>R_(3)の関係となったとしても、そのこと自体何ら請求人の主張と矛盾するところはないから、乙3及び乙4に基づく被請求人の主張は失当である。

(2)被請求人の反論の概要
ア 請求人が主張の根拠とする甲3の(4・31)式(審判請求書では(5)式)は、厚みすべり振動モードで振動する水晶振動子についてのものであって、本件特許発明1が対象とする屈曲振動モードで振動する水晶振動子についてのものではない。なぜなら、該(4・31)式は、甲3の(4・7)式から導かれたものであり、該(4・7)式は、厚みすべり振動子の等価回路における常数の関係を表す、甲3の(4・2)式を前提とするものである。
一方、本件特許発明1が対象とする音叉型屈曲水晶振動子は、屈曲振動モードで振動する水晶振動子であって、厚みすべり振動子で振動する水晶振動子ではない。
乙1の74頁の図7-3、図7-4に示されるとおり、「屈曲振動モード」と「厚みすべり振動モード」とでは、その振動方向や振動態様、また、水晶振動子の形状や電極配置は、全く異なる。
事実、音叉型屈曲水晶振動子の振動モード(屈曲振動モード)には、高調波モード振動として2次高調波モード振動が存在するが、厚みすべり振動モードには、奇数次の高調波モード振動しか存在せず(甲3、110頁9?17行、及び、乙2、1頁)、2次高調波モード振動は存在しない。
このように、厚みすべり振動モードに適用される上記(4・31)式を、屈曲振動モードで振動する本件特許発明1の音叉型屈曲水晶振動子に適用することに技術的な合理性はない。
イ 上記(4/7)式の「R_(0)^((n))/R_(0)≒n^(2)」は、厚みすべり水晶振動子において常に成り立つとはいえない。
すなわち、「R_(0)^((n))/R_(0)≒n^(2)」を変形すると、「R_(0)^((n))≒n^(2)・R_(0)」となるから、高調波モード振動における等価直列抵抗R_(0)^((n))は基本波モード振動における等価直列抵抗R_(0)よりも常に大きいこと、すなわち、
R_(0)^((n))>R_(0)を意味しているが、乙3(特許請求の範囲の請求項1)及び乙4(段落0002及び段落0009)の各記載内容からいえるように、
R_(0)^((n))>R_(0)なる関係は、厚みすべり水晶振動子において常に成り立つとはいえない。
よって、上記(4・7)式から導かれた甲3の(4・31)式も成り立たないから、n次モード振動におけるフイガーオブメリットM^((n))と基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(0)との関係を表す「M^((n))=(1/n^(3))・M_(0)」も成り立たない。したがって、請求人が「この関係式からすると、高調波モード振動のフイガーオブメリットM^((n))は、次数nとともに小さくなり、また、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(0)は高調波モード振動のフイガーオブメリットM^((n))よりも常に大きくなる。」(審判請求書17頁3?6行)と主張する点は誤りである。
また、「Mはオーバートーン次数とともに理論的にも当然降下して行く(4・3,4・4及び5・2参照)」という甲3の177頁の記載も、全ての厚みすべり水晶振動子に当てはまるものではなく、少なくとも、本件特許発明1が対象とする音叉型屈曲水晶振動子について述べられたものではない。
ウ 以上のとおり、甲1及び甲2のいずれにも、本件特許発明1の発明特定事項Bについては、開示もなければ示唆すらなく、実質的な相違点とはならないとする請求人の主張は誤ったものであるから、他の相違点について論じるまでもなく、本件特許発明1が、甲1及び甲2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
エ 音叉型屈曲水晶振動子においては、M_(1)、M_(2)を定義するQ_(1)、Q_(2)及びr_(1)、r_(2)(M_(1)=Q_(1)/r_(1)、M_(2)=Q_(2)/r_(2))のいずれもの大小関係は、R_(1)、R_(2)の大小関係に依存して変化し、かつ、陳述書(乙5)で示した乙6?8によれば、R_(1)>R_(2)の関係になることもあれば、R_(1)<R_(2)の関係になることもあるので、音叉型屈曲水晶振動子において、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が2次高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(2)よりも(3次以上の高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(n)についても同様)、常に大きくなる関係(M_(1)>M_(2))が成り立つとはいえない。
オ 甲3の(4・7)式の3番目の式(R_(0)^((n))/R_(0)≒n^(2))、及び該(4・7)式から導かれる(4・31)式は、厚みすべり水晶振動子においてさえも常に成り立つとはいえないことを、乙3及び乙4に基づいて明らかにしたが、音叉型屈曲水晶振動子においても常に成り立つとはいえないことは、乙6(段落0005)、乙7(段落0002)及び乙8(段落0005及び段落0019)から明らかである。したがって、M^((n))=(1/n^(3))・M_(0)の関係式に基づいて、請求人が「基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(0)は高調波モード振動のフイガーオブメリットM^((n))よりも常に大きくなる」と主張する点は、技術的に誤ったものである。

(3)当審の判断
当審は、相違点3について、以下のとおり容易想到とはいえないと判断する。
ア 本件明細書の発明の詳細な説明には、発明特定事項Bに係るフイガーオブメリットに関して、以下の記載がある。
「【0026】
更に詳述するならば、屈曲水晶振動子の誘導性と電気機械変換効率と品質係数を表すフイガーオブメリットM_(i)は品質係数Q_(i)値と容量比r_(i)の比(Q_(i)/r_(i))によって定義され(i=1のとき基本波振動、i=2のとき2次高調波振動、i=3のとき3次高調波振動)、屈曲水晶振動子の並列容量に依存しない機械的直列共振周波数f_(s)と並列容量に依存する直列共振周波数f_(r)の周波数差ΔfはフイガーオブメリットM_(i)に反比例し、その値M_(i)が大きい程Δfは小さくなる。従って、M_(i)が大きい程、屈曲水晶振動子の共振周波数は並列容量の影響を受けないので、屈曲水晶振動子の周波数安定性は良くなる。即ち、時間精度の高い音叉形状の屈曲水晶振動子が得られる。
【0027】
詳細には、前記音叉形状と溝と電極とその寸法の構成により、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(n)より大きくなる。即ち、M_(1)>M_(n)となる。但し、nは高調波モード振動の振動次数を表し、n=2、3のとき、2次、3次高調波モード振動のフイガーオブメリットである。一例として、基本波モード振動の周波数が32.768kHzで、W_(2)/W=0.5、t_(1)/t=0.34.l_(1)/l=0.48のとき、製造によるバラツキが生ずるが、音叉形状の屈曲水晶振動子のM_(1)、M_(2)はそれぞれM_(1)>65、M_(2)<30となる。即ち、高い誘導性と電気機械変換効率の良い(等価直列抵抗R_(1)の小さい)、品質係数の大きい基本波モードで振動する屈曲水晶振動子を得ることができる。その結果、基本波モード振動の周波数安定性が2次高調波モード振動の周波数安定性より良くなると共に、2次高調波モード振動を抑圧することができる。従って、本実施例の屈曲水晶振動子から構成される水晶発振器は基本波モード振動の周波数が出力信号として得られ、かつ、高い周波数安定性(優れた時間精度)を有する。また、本発明の基本波モード振動の基準周波数は10kHz?200kHzが用いられる。特に、32.768kHzは広く使用されている。」
これらの記載によると、発明特定事項Bと同じく、基本波モード振動のフイガーオブメリットM_(1)が高調波モード振動のフイガーオブメリットM_(n)より大きくなる(M_(1)>M_(n))ように、音叉形状と溝と電極とその寸法の構成を決定することが示され、一例として、基本波モード振動の周波数が32.768kHzで、W_(2)/W=0.5、t_(1)/t=0.34.l_(1)/l=0.48のとき、製造によるバラツキが生ずるが、音叉形状の屈曲水晶振動子のM_(1)、M_(2)はそれぞれM_(1)>65、M_(2)<30となることが示されている。該一例では、溝幅W_(2)と音叉腕幅Wとの比(W_(2)/W)、溝の厚みt_(1)と音叉腕の厚みtとの比(t_(1)/t)、溝の長さl_(1)と音叉型屈曲水晶振動子の全長lとの比(l_(1)/l)を決定することにより、M_(1)>M_(2)を得るものである。また、上記摘記した記載以外には、本件明細書又は図面に、屈曲水晶振動子における基本波モード振動及び2次以上の高調波モード振動の各フイガーオブメリット(M_(1)及びM_(n))について言及又は示唆をした記載はない。
してみると、本件発明は、一般的な屈曲水晶振動子の形状において基本波モード振動及び2次高調波モード振動の各フイガーオブメリット(M_(1)及びM_(2))がどのような特性関係にあるのかにかかわらず、高い誘導性と電気機械変換効率の良い(等価直列抵抗R_(1)の小さい)、品質係数の大きい基本波モードで振動する屈曲水晶振動子を得るために、M_(1)>M_(2)の関係を、屈曲水晶振動子における音叉形状と溝と電極とその寸法の構成を決定することにより得るようにしたといえるものである。そして、その点も含めて本件発明には進歩性があると判断して特許に至ったものである。
なお、本件明細書には、【課題を解決するための手段】として、【0004】に、「本発明は、以下の方法で従来の課題を有利に解決した屈曲モードで振動する音叉形状の水晶振動子又は幅縦モード水晶振動子又は厚みすべりモード水晶振動子から成る水晶発振器を具えた電子機器を提供することを目的とするものである。」旨が記載され、屈曲モード振動以外の振動モードである、幅縦モード水晶振動子又は厚みすべりモード水晶振動子を具えた電子機器を提供することも目的としているが、本件特許発明1ないし2は、請求項1ないし2の記載のとおり、音叉型屈曲水晶振動子(すなわち、振動モードとしては屈曲モード)に特定するものであるから、M_(1)>M_(2)は、屈曲モード振動以外の幅縦モード又は厚みすべりモードの水晶振動子への適用まで想定したものとはいえない。実際、幅縦モード水晶振動子の実施例を示した【0031】?【0037】においても、フイガーオブメリットについては何らの示唆もない。
イ 請求人は、甲1発明には、基本波モード振動と2次高調波モード振動におけるフイガーオブメリットの関係については明示的な記載はないが、本件発明の発明特定事項Bで規定される要件は、実際には、全ての屈曲水晶振動子が自ずと満足する要件であるから、相違点3は何ら実質的な相違点とはならないと主張する。
しかしながら、本件発明の発明特定事項Bで規定される要件が全ての屈曲水晶振動子が自ずと満足する要件といえるのであれば、この発明特定事項Bに係る音叉型屈曲水晶振動子については当然一般的に満足する要件であることを最低限証明する必要があるといえるところ、以下の(ア)及び(イ)のとおり、当該音叉型屈曲水晶振動子を対象として証明したものとは到底いえない。
(ア)甲3において、以下に示す各式は、その振動モードは厚みすべり振動であり(106頁13行、107頁10行、108頁下から6行、110頁6行)、発生するn次オーバートーンのnは、1,3,5,・・・という奇数である(110頁13行)ことは、明らかである。
・110頁の(4・7)式(上記(1)のアの(エ)の(4)式)
L_(0)^((n))/L_(0)≒1
C_(0)/C_(0)^((n))≒n^(2)
R_(0)^((n))/R_(0)≒n^(2)
・114頁の(4・9)式(上記(1)のアの(イ)の(2)式に相当)
Q_(0)=1/R_(0)・√(L_(0)/C_(0))
・これら(4・7)式及び(4・9)式より得られる122頁の(4・31)式(上記(1)のアの(オ)の(5)式)
Q_(0)^((n))=Q_(0)/n
σ^((n))=σ/n^(2)
また、甲3には、106頁の「4・2 等価回路常数」の冒頭の段落で、「集中定数で表わされた等価回路の素子定数の価は、振動の姿態、載出方位、電極の大きさなどによって種々の価が与えられる。最も一般的な例として、長辺及び厚み辷り振動について示そう。」、第2段落で、「このように導きだされた式[(4・2)(付記;厚みすべり振動の場合の式)及び(4・8)式(付記;長辺振動の場合の式)]は、その基礎としての仮定、すなわち完全平面にて囲まれた立方体で、振動子界面における弾性波の擾乱も無く、他のいかなる小さな振動の結合も無いという、実際には一寸難しい簡単な仮定の上に築かれている。」と記載されていることからも勘案すると、上記の各式は、最も一般的な例である厚みすべり振動において(それも一定の仮定の下で)成り立つものであるといえる。甲3の103頁の図4・3に示される等価回路が、水晶振動子の振動モードの種類によらず共通したものであることを何ら否定するものではないが(甲5?8)、上記のとおり、該等価回路の素子常数の値(価)が水晶振動子の特性を論ずる上で重要となるものである。
そして、上記の各式が音叉形の屈曲振動にまで当てはまるかについては、甲3には明示も示唆もないところ、音叉形の屈曲振動は、振動モードにおいて明らかに厚みすべり振動とはそのメカニズムが相違することを鑑みれば、当てはまらないと認識するのが自然である。また、この認識は、乙2の1頁にも記載のとおり、n次オーバートーンのnが1,3,5,・・・という奇数である点が、厚みすべり水晶振動子のオーバートーン振動に関する事項であることとも符合し、2次高調波モード振動をも有する音叉形屈曲水晶振動子とは符合しないことからも、窺えることである。
してみると、甲3に基づいた請求人の主張は、厚みすべり振動においては成り立つかもしれないが、音叉型水晶振動子による屈曲振動である本件特許発明1ないし2にはすべからく当てはまるとはいえないから、失当である。
(イ)請求人は、甲9及び甲10から、上記(1)のイの(ア)のとおり、水晶振動子の屈曲振動においても、「M_(1)>M_(2)」の関係が成り立つことを示したが、そのための前提は、以下の第1?第3に示す理由のとおり無理があるといわざるを得ず、採用することはできない。
第1に、甲9における屈曲振動は、輪郭屈曲振動であり、水晶振動子を1本の片持ち梁をモデルとしたものであるところ、本件特許発明1ないし2の音叉型屈曲水晶振動子は、その構造から片持ち梁が2本で構成されるものと考えることができるから、前提とするモデルとして同等に扱うことには無理があるといわざるを得ない。
第2に、請求人が甲9より採用した容量比p_(0)は、甲9の第1表に示されているとおり、節点Sが偶数の場合の容量比であるところ、この場合の容量比を採用した根拠(理由)については何ら説明がなく、そもそも音叉型屈曲水晶振動子は、輪郭屈曲振動で節点Sが偶数であり、またそれに伴い基準電極が1/2電極となる場合と、どのように結び付けられるものであるのか不明といわざるを得ない。そして、該第1表には、節点Sが奇数の場合の容量比も示されているのであるから、その場合について何ら論じることなしに、他方のみを採用して論じることが片手落ちであることは拭えない。してみると、請求人が採用した容量比p_(0)が妥当であると判断することは困難である。
第3に、請求人は、甲9及び甲10に基づく主張を、甲9における容量比p_(0)が「等価直列容量/等価並列容量」であり、甲10における容量比rとはその関係が逆であること(r_(i)=1/p_(i))を前提にして行っている。しかしながら、そもそも、当該技術分野において容量比は、甲10における容量比rが表す「等価並列容量/等価直列容量」が一般的であることは技術常識といえるところ、甲9においてそれを逆の関係で用いていることに何の注釈もないことは、おおよそ当該技術分野の学会誌の論文としては不自然といわざるを得ない。また、甲9及び10は、同じ著者による論文でもあるところ、著作年の違いによって用いる容量比の定義を逆にするようなことも不自然といわざるを得ない。そして、請求人は、甲9において容量比の定義が逆であることを示す証拠を何ら提示していない。してみると、請求人の上記前提は当を得たものとはいえない。なお、甲3では、上記「等価直列容量/等価並列容量」をσで表し(上記(1)のア)、容量比なる用語を用いていない。
(ウ)以下では、念のため、被請求人の反論についても検討する。
被請求人は、M_(1)>M_(2)の関係が、厚みすべり水晶振動子においても、常に成り立つことは誤りであることを、乙3及び乙4に基づいて反論しているが、当該反論は、明らかに厚みすべり水晶振動子とは振動モードが相違する本件特許発明1ないし2の音叉型屈曲水晶振動子において、M_(1)>M_(2)の関係が常に成り立つとはいえないことの証明に寄与するものとまではいえないから、採用の限りではない。
次に、被請求人は、乙6?8に基づいて、音叉型屈曲水晶振動子においてもM_(1)>M_(2)の関係が常に成り立つとはいえないことを反論している。すなわち、乙6?8は、等価直列抵抗Rの値に相当するCI(クリスタルインピーダンス)値について、概略、音叉型屈曲水晶振動子に設けた溝部の長さや形状を変えることにより、基本波と高調波それぞれにおけるCI値が相対的に変化するから、R_(1)とR_(n)(R_(2))との大小の関係が変わり得るもので、結局、M_(1)とM_(n)(M_(2))との大小の関係も変わること(M_(1)>M_(2)の関係が常に成り立つとはいえないこと)を主張する。しかしながら、乙6?8に記載された技術的事項は、音叉型屈曲水晶振動子に設けた溝部の長さや形状を変えることが、基本波と高調波それぞれにおけるCI値、ひいては基本波と高調波それぞれにおけるフイガーオブメリットMを変える要因となることを示しているにすぎず(その点において、本件特許発明1ないし2と通じるところがあるといえる。なお、乙6?8は、本件出願に対して公知の刊行物ではない。)、音叉型屈曲水晶振動子が自ずとM_(1)>M_(2)の関係を満足するものではないことの証左とはいえないから、採用に及ばない。
以上のとおり、被請求人の反論は採用に及ばないが、そうであったとしても、相違点3が容易想到とはいえないとした当審の判断を左右するものではない。

2-2.相違点4の判断について
上記2-1.で説示のとおり、相違点3は容易想到とはいえず、本件特許発明1を無効とすることはできないから、本件特許発明1を引用する本件特許発明2についても、相違点4の判断をするまでもなく、無効とすることはできない。
なお、請求人は、「中立線を含めた部分幅」がどこを指しているのか必ずしも判然としないと主張するが、この点について、溝は中立線の両側に形成されるものであり、また、「中立線を含めた部分幅」は溝を特定する要件であるから、「中立線を含めた部分幅」とは、被請求人が反論するとおり、中立線を含んで、中立線の一方の側に形成されている溝から他方の側に形成されている溝までの部分の幅を指すといえるものである。


第5 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1ないし2に係る発明の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-06-06 
出願番号 特願2005-49697(P2005-49697)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (H03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 弘亘崎間 伸洋  
特許庁審判長 岩崎 伸二
特許庁審判官 廣瀬 文雄
久保 正典
登録日 2010-02-12 
登録番号 特許第4453017号(P4453017)
発明の名称 水晶ユニットの製造方法  
代理人 小林 浩  
代理人 伊東 孝  
代理人 服部 誠  
代理人 加藤 志麻子  
代理人 須磨 光夫  
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