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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1240473
審判番号 不服2009-17906  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-24 
確定日 2011-07-19 
事件の表示 特願2004-173089「ユーザコンテンツ管理方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月27日出願公開、特開2005- 25734〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成16年6月10日の出願であって、平成21年6月15日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して同年9月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
平成21年9月24日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

(1)[補正却下の決定の結論]
平成21年9月24日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

(2)[補正却下の決定の理由]
(a)補正の内容
本件補正によると、少なくとも、その特許請求の範囲の請求項1は、
「コンテンツを開発して保存し、複数種類の通信方法を使用して、複数のユーザ端末に対し前記コンテンツを配信するユーザコンテンツ管理方法であって、
前記複数種類の通信方法の1つを使用して、前記複数のユーザ端末の1つから送信された前記コンテンツの要求を受信するステップと、
前記コンテンツの要求を受信すると、前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形で生成されコンテンツ記憶手段に格納されたコンテンツを探索し、該コンテンツの要求により要求されたコンテンツを読み出して、該ユーザ端末との通信で使用する通信方法に依存した形にコンテンツを翻訳し、キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該共通の識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する翻訳ステップと、
前記翻訳されたコンテンツを前記ユーザ端末との通信で使用する通信方法により配信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」
と補正されている。

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「キャリアまたは機種ごとに特有な種々の情報である特有情報が前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を読み出し該ユーザ端末に特有なサービスを盛り込んだコンテンツに翻訳する」を、「キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該共通の識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する」とするものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。

(b)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第01/65376号(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下のような記載がある。
(ア)「そのため企業戦略を考える上で広報や宣伝そしてEC(エレクトリックコマース)サイトとして、企業が情報等のコンテンツを提供或いは発信するためにWebサーバーを設置することが不可欠なこととなってきている。
しかしながら、前記のようにインターネット端末として通常のパソコン等を対象としたWebサーバーを設置することは容易であるが、これら通常のパソコン並びに前記インターネット接続機能を持った携帯電話をも対象とするWebサーバーを設置することは、携帯電話サービスを提供する各キャリア(携帯電話事業者)毎にインターネットへのアクセス方式が、通常のパソコン等において動作する閲覧ソフトにおけるアクセス方式と個々に異なっているために、コンテンツの提供側にあっては、図15に示すように、提供するコンテンツをこれら個々のアクセス方式に対応したファイル形式に予め作成して登録しておく必要があり、このためコンテンツデータの更新を行う場合には、各アクセス方式の各コンテンツデータ毎に更新作業を実施することが必要となってコンテンツの更新作業が著しく煩雑となり、これら更新等のメンテナンスにかかる費用が増大するとともに、更新期間が長くなって有益なコンテンツを迅速に提供できないという問題があった。」(第1頁第26行?第2頁第13行)

(イ)「よって、本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、コンテンツ提供者にあっては、これらコンテンツデータのメンテナンスや開発等を容易に実施することのでき、アクセス利用者にあっては、使用しているインターネット端末の種別が異なる場合においても同一のアドレス(URL)にて同一のコンテンツを入手でき、使用しているインターネット端末の種別等を意識する必要のないコンテンツ提供方法を提供することを目的としている。」(第2頁第23行?第29行)

(ウ)「前記した問題を解決するために、本発明のコンテンツ提供方法は、インターネット網に接続可能なインターネット端末に対し、該インターネット網に接続されたサーバコンピュータを用いてコンテンツデータを提供するコンテンツ提供方法であって、前記インターネット端末へ配信するコンテンツデータを、該インターネット端末のアクセス方式に対応する記述形式に変換する記述形式変換ステップと、該記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータを該インターネット端末に対して配信する配信ステップと、を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、所定形式のファイル形式にてコンテンツデータをコンピュータ(サーバー)に登録しておくだけで、前記記述形式変換ステップにてアクセスしてきたインターネット端末のアクセス方式に対応した記述形式に前記コンテンツデータが変換されてアクセスしてきたインターネット端末に配信されるようになることから、従来のように、膨大なコンテンツの各要素をアクセス方式毎の各記述形式に予め変換しておく必要がなく、これらコンテンツデータを所定形式の1ファイル形式にて1元的に管理できるようになり、これらコンテンツの更新作業における時間や費用を大幅に削減でき、よって、これらコンテンツデータのメンテナンスや開発等を容易に実施することが可能となる。」(第3頁第3行?第20行)

(エ)「本発明のコンテンツ提供方法は、前記端末データベースには、各種インターネット端末或いは閲覧ソフトにおいて使用される絵文字を所定の統一絵文字に変換するために使用する絵文字テーブルを特定する絵文字テーブル特定情報が登録され、前記インターネット端末より送信されてくる要求メッセージに含まれる絵文字をそのインターネット端末の種別に該当する絵文字テーブルを用いて統一絵文字に変換する統一絵文字変換ステップと、前記記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータ中に含まれる統一絵文字を、配信するインターネット端末の絵文字に変換する固有絵文字変換ステップと、を含むことが好ましい。
このようにすれば、従来においては、通常において端末の機種等が異なる場合には、端末に組み込まれている絵文字も異なっていることから、これら端末の種別毎の絵文字をコンテンツ作成者は習熟しておく必要があったが、これら端末の機種等の違いに伴う絵文字の違いを習熟することなく、コンテンツ作成者は絵文字を使用することができる。」(第6頁第13行?第26行)

(オ)「次いで、本実施例のサーバコンピュータ6が、各社キャリアのコンピュータ端末1a並びに携帯電話端末1b、1c、1dにコンテンツデータの配信を行う状況の処理概要を、図3に基づき説明すると、例えばキャリアB社の携帯電話端末1bよりサーバコンピュータ6へアクセスする場合に、まずサーバコンピュータ6は、該携帯電話端末1bからの要求メッセージのヘッダに含まれているユーザーエージェント情報より、該携帯電話端末1bのキャリアの種別とその端末の機種を特定可能な情報を抽出し、この情報に該当するキャリアのアクセス方式(マークアップ言語)の種別や端末の表示性能等の情報を、前記端末情報テーブルより入手するとともに、前記要求メッセージにより要求されたコンテンツデータをコンテンツデータベースより入手する。
このコンテンツデータベースより読み出されたコンテンツデータは、アクセスしてきた携帯電話端末1bのキャリア会社Bのアクセス方式であるHDML形式のファイルに変換されるとともに、該ファイル変換において、前記にて入手した携帯電話端末1bの端末情報である表示性能等の情報に基づき、該携帯電話端末1bの表示装置(LCDパネル)の表示行数並びに桁数に合致したレイアウトの表示になるように、前記変換されたHDMLファイルが例えばページ分割される等のように適宜修正されて携帯電話端末1bへ送信、配信されるようになっており、図3に示すように・・・(中略)・・・これら全てのアクセス端末は同一のサーバコンピュータ6よりコンテンツデータを入手できるようになることから、コンテンツの提供者は、提供する情報を前記サーバコンピュータ6に登録、更新することで、同一のサーバアドレス(URL)にてキャリアの異なる携帯電話やコンピュータ端末の全てにコンテンツを配信することができるようになっている。」(第11頁第20行?第12頁第18行)

(カ)「次いで、前記要求メッセージの中に含まれている絵文字並びに文字コードを、前記端末タイプ識別処理にて取得したキャリア会社並びに端末機種の情報に該当して絵文字テーブルに登録されている変換内容に基づき、該当する絵文字や文字コードを所定のものに変換する。
これら所定の文字コードに変換された要求メッセージに基づき、要求されているコンテンツデータを特定し、該当するコンテンツデータをコンテンツデータベース(DB)より取得し、ドキュメントオブジェクトモデル(DOM)を作成する。
これらドキュメントオブジェクトモデル(DOM)の作成後において、・・・(中略)・・・表示すべき画面の内容を確定する。
この確定した内容に対して、コンテンツの変換、絵文字の変換処理を行い、ユーザに応答する。」(第15頁第14行?第16頁第1行)

(キ)「これらファイル変換されたコンテンツデータ中に引用画像が存在する場合には、該引用画像の画像データ変換の処理を実施する。具体的には、図8に示すように・・・(中略)・・・一義的に画像変換を実施してキャッシュのデータを更新するようにしても良い。
また、これら画像データの変換とともに、変換されたコンテンツデータ中における絵文字並びに文字コードの変換処理を実施する。これら処理内容は、前記要求メッセージにおける絵文字と文字コードの変換と合わせて一連の処理として図13のフローに基づき具体的な処理内容として説明すると、要求メッセージで指定されたURLがサーブレット等のサーバサイドプログラムの実行である場合、要求メッセージに含まれる絵文字コードを「絵文字テーブル」を検索することによって、統一絵文字コードに変換する。また、また、要求メッセージを指定のサーバサイドプログラムが想定する文字コードに変換する。この後、サーバサイドプログラムを実行し、結果としてコンテンツを取得する。
・・・(中略)・・・
このようにして得られたコンテンツの文字コードを出力端末の文字コードに変換するとともに、コンテンツに含まれる全ての絵文字コードを「絵文字テーブル」を検索することによって出力端末用の絵文字コードに変換し、ユーザに応答する。」(第17頁第15行?第18頁第25行)

以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「インターネット網に接続可能なインターネット端末(各社キャリアのコンピュータ端末1a並びに携帯電話端末1b、1c、1d)に対し、該インターネット網に接続されたサーバコンピュータを用いてコンテンツデータを提供するコンテンツ提供方法であって、
前記サーバコンピュータは、所定形式の1ファイル形式にてコンテンツデータを登録しておくコンテンツデータベースと端末情報データベースを有し、
前記インターネット端末より送信されてくる要求メッセージより前記インターネット端末のキャリアの種別とその端末の機種を特定可能な情報を抽出し、この情報に該当するキャリアのアクセス方式(マークアップ言語)の種別や端末の表示性能等の情報を、前記端末情報データベースより取得するステップと、
前記要求メッセージにより要求されたコンテンツデータを前記コンテンツデータベースより入手し、該コンテンツデータを、前記所定形式の1ファイル形式から該インターネット端末のアクセス方式に対応する形式のファイルに変換する記述形式変換ステップと、
前記端末情報データベースには、各種インターネット端末或いは閲覧ソフトにおいて使用される絵文字を所定の統一絵文字に変換するために使用する絵文字テーブルを特定する絵文字テーブル特定情報が登録され、前記記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータ中に含まれる全ての統一絵文字を、前記絵文字テーブルを検索することによって配信するインターネット端末の絵文字に変換する固有絵文字変換ステップと
変換されたコンテンツデータを要求メッセージを送信したインターネット端末に対して配信する配信ステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ提供方法。」

(c)対 比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「インターネット端末(各社キャリアのコンピュータ端末1a並びに携帯電話端末1b、1c、1d)」は、本願補正発明の「複数のユーザ端末」に相当する。
引用発明の「インターネット網に接続可能なインターネット端末(各社キャリアのコンピュータ端末1a並びに携帯電話端末1b、1c、1d)に対し、該インターネット網に接続されたサーバコンピュータを用いてコンテンツデータを提供するコンテンツ提供方法」は、本願補正発明の「コンテンツを開発して保存し、複数種類の通信方法を使用して、複数のユーザ端末に対し前記コンテンツを配信するユーザコンテンツ管理方法」に相当する。
引用発明の「前記インターネット端末より送信されてくる要求メッセージ」は、本願補正発明の「前記複数のユーザ端末の1つから送信された前記コンテンツの要求」に相当する。
引用発明は、前記インターネット端末より送信されてくる要求メッセージを受信することは明らかであるから、本願補正発明の「前記複数種類の通信方法の1つを使用して、前記複数のユーザ端末の1つから送信された前記コンテンツの要求を受信するステップ」を有する。
引用発明の「所定形式の1ファイル形式」、「コンテンツデータ」、「コンテンツデータベース」は、それぞれ本願補正発明の「前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形」、「コンテンツ」、「コンテンツ記憶手段」に相当し、引用発明のコンテンツデータベースに登録された所定形式の1ファイル形式の「コンテンツデータ」は、本願補正発明の「前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形で生成されコンテンツ記憶手段に格納されたコンテンツ」に相当する。
引用発明の「前記要求メッセージにより要求されたコンテンツデータを前記コンテンツデータベースより入手し」は、本願補正発明の「前記コンテンツの要求を受信すると、前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形で生成されコンテンツ記憶手段に格納されたコンテンツを探索し、該コンテンツの要求により要求されたコンテンツを読み出して」に相当する。
引用発明の「該コンテンツデータを、前記所定形式の1ファイル形式から該インターネット端末のアクセス方式に対応する形式のファイルに変換する」は、本願補正発明の「該ユーザ端末との通信で使用する通信方法に依存した形にコンテンツを翻訳し」に相当する。
引用例発明の「各種インターネット端末或いは閲覧ソフトにおいて使用される絵文字」は、本願補正発明の「キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報」と「キャリアまたは機種ごとに特有な、絵文字情報である特有情報」である点で共通する。
引用発明の「所定の統一絵文字」は、本願補正発明の「該類似する絵文字情報に共通の識別情報」と「キャリアまたは機種ごとに特有な絵文字情報の識別情報」の点で共通する。
引用発明の「前記記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータ中に」「統一絵文字」が含まれていることは、本願補正発明の「キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合」と、「キャリアまたは機種ごとに特有な、絵文字情報である特有情報の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合」の点で共通する。
引用発明の「各種インターネット端末或いは閲覧ソフトにおいて使用される絵文字を所定の統一絵文字に変換するために使用する絵文字テーブルを特定する絵文字テーブル特定情報が登録され、前記記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータ中に含まれる全ての統一絵文字を、前記絵文字テーブルを検索することによって配信するインターネット端末の絵文字に変換する固有絵文字変換ステップ」は、本願補正発明の「キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該共通の識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する」と「キャリアまたは機種ごとに特有な、絵文字情報である特有情報が識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する」点で共通する。
引用発明の「変換されたコンテンツデータを要求メッセージを送信したインターネット端末に対して配信する配信ステップ」は、本願補正発明の「前記翻訳されたコンテンツを前記ユーザ端末との通信で使用する通信方法により配信するステップ」に相当する。

そうすると、本願補正発明の用語を用いると両者は、
「コンテンツを開発して保存し、複数種類の通信方法を使用して、複数のユーザ端末に対し前記コンテンツを配信するユーザコンテンツ管理方法であって、
前記複数種類の通信方法の1つを使用して、前記複数のユーザ端末の1つから送信された前記コンテンツの要求を受信するステップと、
前記コンテンツの要求を受信すると、前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形で生成されコンテンツ記憶手段に格納されたコンテンツを探索し、該コンテンツの要求により要求されたコンテンツを読み出して、該ユーザ端末との通信で使用する通信方法に依存した形にコンテンツを翻訳し、キャリアまたは機種ごとに特有な、絵文字情報である特有情報が該絵文字情報の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する翻訳ステップと、
前記翻訳されたコンテンツを前記ユーザ端末との通信で使用する通信方法により配信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」
で一致するものであり、次の点で相違している。

本願補正発明は、キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該共通の識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳するのに対し、引用発明は、「統一絵文字」がキャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字に共通に割当てられていることが記載されていない点。

(d)当審の判断
上記相違点について検討する。
複数の携帯電話事業者毎に同種の類似する絵文字が設定されており、送信元の携帯電話事業者の端末に特有な絵文字を送信先の携帯電話事業者の端末に送信する際、送信先の端末用の同種の絵文字に変換することは、本願出願前周知(例えば、特開2004-88196号公報段落【0029】?【0032】「図2においては、ハート型の絵文字4a、4b、4cがそれぞれの接続業者毎に登録されており、例えば、A社の端末装置からハート型の絵文字4aをメールサーバを介して他の接続業者の端末装置に送信する場合には、・・・中略・・・その蓄積されたデータの中から、前記C社の電話型の絵文字4cに対応したA社の電話型の絵文字4aまたはB社の電話型の絵文字4bを検索し、それぞれの接続業者毎の絵文字の形式で相互に変換できる。」の記載、特開2004-96454号公報段落【0043】、【0044】「変換テーブルTには、各通信業者毎に設定されている絵文字とそれに対応する文字列(絵文字の意味を文章化した文字列)が登録されている。なお、図3の例では通信業者A用の絵文字と、通信業者B用の絵文字が示されているが、さらに多くの通信業者用の絵文字を登録することも可能である。・・・中略・・・通信業者Bでは「F649」,「F75B」,「F75B」である。」、【0064】「例えば当該絵文字を送信先で使用可能な絵文字に変換して送ることも可能で・・・中略・・・発信元から発信先に送るメールデータに絵文字「F8A1」が使われていた場合に、その絵文字「F8A1」を送信先通信事業者Bで使用可能な絵文字「F664」に変換して送ることが可能である。」の記載、特開2003-337739号公報段落【0029】「図2(d)に示すように、携帯電話A用の絵文字を、他機種用の絵文字の同様(あるいは類似)のものに変換する処理なども行う。」の記載参照)である。
そして、引用例には、「前記記述形式変換ステップにて変換されたコンテンツデータ中に含まれる統一絵文字を、配信するインターネット端末の絵文字に変換する固有絵文字変換ステップと、を含むことが好ましい。このようにすれば、従来においては、通常において端末の機種等が異なる場合には、端末に組み込まれている絵文字も異なっていることから、これら端末の種別毎の絵文字をコンテンツ作成者は習熟しておく必要があったが、これら端末の機種等の違いに伴う絵文字の違いを習熟することなく、コンテンツ作成者は絵文字を使用することができる。」(第6頁第19行?第26行)と記載されており、端末の機種等の違いに伴う絵文字の違いというのは、同一の絵文字でないことは明らかであり、類似または同種の絵文字と解される。
したがって、上記周知技術を考慮すれば、引用発明において、キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に「統一絵文字」を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該「統一絵文字」により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

また、本願補正発明により奏される効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が予想し得る範囲内のものと認められる。

(e)結論
そうすると、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年4月13日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「コンテンツを開発して保存し、複数種類の通信方法を使用して、複数のユーザ端末に対し前記コンテンツを配信するユーザコンテンツ管理方法であって、
前記複数種類の通信方法の1つを使用して、前記複数のユーザ端末の1つから送信された前記コンテンツの要求を受信するステップと、
前記コンテンツの要求を受信すると、前記複数種類の通信方法のいずれにも依存しない形で生成されコンテンツ記憶手段に格納されたコンテンツを探索し、該コンテンツの要求により要求されたコンテンツを読み出して、該ユーザ端末との通信で使用する通信方法に依存した形にコンテンツを翻訳し、キャリアまたは機種ごとに特有な種々の情報である特有情報が前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を読み出し該ユーザ端末に特有のサービスを盛り込んだコンテンツに翻訳する翻訳ステップと、
前記翻訳されたコンテンツを前記ユーザ端末との通信で使用する通信方法により配信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」

第4 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 (2)(b)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「キャリアまたは機種ごとに特有な、同一ではないが類似する絵文字情報である特有情報が該類似する絵文字情報に共通の識別情報を割当てられて、前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を該共通の識別情報により読み出し、該ユーザ端末に特有な類似する絵文字を盛り込んだコンテンツに翻訳する」を、「キャリアまたは機種ごとに特有な種々の情報である特有情報が前記コンテンツ記憶手段に格納されている場合は、前記コンテンツに関連する特有情報を読み出し該ユーザ端末に特有のサービスを盛り込んだコンテンツに翻訳する」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-18 
結審通知日 2011-05-20 
審決日 2011-06-01 
出願番号 特願2004-173089(P2004-173089)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西出 隆二木村 雅也  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 佐藤 匡
安久 司郎
発明の名称 ユーザコンテンツ管理方法およびシステム  
復代理人 濱中 淳宏  
代理人 阿部 和夫  
代理人 谷 義一  
復代理人 市原 政喜  

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