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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1240508 |
審判番号 | 不服2009-16979 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-14 |
確定日 | 2011-07-21 |
事件の表示 | 特願2007- 98995「電子メール通信装置、電子メール通信システム及びそれらに用いる電子メール通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月23日出願公開、特開2008-257485〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成19年4月5日の出願であって、平成21年3月19日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年5月18日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年7月1日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し同年9月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成21年9月14日付けの手続補正についての却下の決定 [結論] 平成21年9月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 平成21年9月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成21年5月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正前の請求項」という。)1?13を、平成21年9月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正後の請求項」という。)1?13に補正したものである。補正後の請求項1は、以下のとおりである。 「【請求項1】 電子メールの送信時にその送信先の電子メールアドレスが携帯電話機の電子メールアドレスか否かを判定するアドレス判定手段と、 前記電子メールに添付する画像を前記携帯電話機にて表示可能でかつ予め設定された固定のサイズ及びファイル形式に変換する画像変換手段と、 前記アドレス判定手段にて前記携帯電話機の電子メールアドレスと判定された時に前記送信先への電子メールに前記画像変換手段にて変換された画像を添付する手段とを有し、 前記電子メールに添付して送信する画像を読取る原稿読取り手段を含み、 前記画像変換手段は、前記原稿読取り手段が読取った画像を前記携帯電話機にて表示可能でかつ予め設定された固定のサイズ及びファイル形式に変換することを特徴とする電子メール通信装置。」 本件補正による請求項1は、補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示可能なサイズ」について「かつ予め設定された固定の」との限定を付加する補正をしたものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-78837号公報(平成16年3月11日発行。以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 A.「【0009】 本発明は上述の問題点に鑑み、送信画像を、自動的に受信端末に適したサイズで生成、送信することができる情報処理装置および撮像装置、それらの制御方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 上記の問題を解決するために、送信用画像データを送信する送信手段を備えた情報処理装置であって、少なくとも送信先の受信端末の種別を判断する判断手段と、前記判断手段での判断結果に応じて、第1の画像データ、および/または、第1の画像データの縦横サイズを縮小した第2の画像データを前記送信用画像データとして選択する選択手段と、を備える情報処理装置及びその制御方法ならびにプログラムを提供する。 また、送信用画像データを送信する送信手段を備えた撮像装置であって、送信先端末の属性を判断する判断手段と、前記判断手段における判断に応じて、送信画像として、第1の画像データ、および/または、第1の画像データの縦横サイズを縮小した第2の画像データの生成を行うか否かを判断する、画像処理制御手段を備える撮像装置及びその制御方法ならびにプログラムを提供する。 【0011】 【発明の実施の形態】 以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 【0012】 (実施形態1) 図1は、実施形態1における情報処理装置としての撮像装置の機能構成を示す図である。図の各ブロックは機能概念を示すものであり、ハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現できるところはソフトウェアで実現してもよい。 【0013】 図中101は、CCD等の電子センサを備え光学像を電気信号に変換する撮像部、102は撮像部101で得られた撮影画像情報に対し各種画像処理を行う画像処理部である。 【0014】 画像処理部102は図示のように、撮像部101からの撮影画像情報を、第1の画像データとしての主画像データとしてバッファメモリ105に格納する主画像生成部103、主画像データの縦横サイズを縮小した第2の画像データとしてのサムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納するサムネイル画像生成部104、そして、主画像データおよび主画像データに関する画像情報を1つの画像ファイルとして生成してメモリカード107に記録する画像ファイル生成部106を含む。103,104,106の各処理部において共通の処理を行う部分に関しては共有するような構成をとってもよい。 【0015】 バッファメモリ105は、撮影された静止画像および動画像を一時的に記憶するメモリであり、所定枚数の静止画像または所定時間の動画像を記憶するのに十分な記憶容量を有する。メモリ107は着脱自在な記憶媒体、例えばフラッシュメモリ等を用いたメモリカードであり、半導体メモリまたは磁気ディスク等からなる記録部とインタフェースおよびコネクタ等にて構成される。もちろん、この107の記憶媒体はメモリカードではなく取り外しができない内蔵型のメモリとして構成されていても構わない。また、バッファメモリ105、メモリカード107とも1系統のみ図示したが、複数あってもよい。 【0016】 画像ファイル生成部106は、例えば、現在幅広く採用されている、1つのデータファイル中に主画像データと縮小画像データ(サムネイル画像データ)をまとめて収容するDCFフォーマットに従い静止画像ファイルをメモリカード107に記録する。これにより記録した静止画像ファイルは、多くのメーカの撮像装置やコンピュータ上で取り扱うことができる。 【0017】 図2は、DCF基本ファイルの概略構成を示す図である。ヘッダには、主画像データに関する画像情報として、画像データの構成、画像の記録位置、画像データの特性、画像入力機器のメーカー名やモデル名、画像データやデジタルデータの生成日時、ファイル形式や画像サイズなどが記録される。そして、図示のように、サムネイル画像および主画像データを所定の形式(例えばJPEG)で記録することができる。 【0018】 画像ファイル生成部106は、主画像データを含む画像ファイルをDCF拡張ファイルとして作成し、これとは別にサムネイル画像データをDCFサムネイルファイルとして作成してそれぞれメモリカード107に記録してもよい。動画像ファイルに関しても同様で、1つのデータファイルの中に動画像本体である主画像データと動画像から1フレーム取り出した静止画であるサムネイル画像データをまとめて収容して画像ファイルを作成しメモリカード107に記録してもよいし、主画像データを含む画像ファイルとは別にサムネイルファイルを作成しメモリカード107に記録してもよい。なお、メモリカード107の画像データ容量削減のため、サムネイル画像データを画像ファイルに含めないようにしてもよいし、サムネイルファイルを作成しないようにしてもよい。これら画像ファイルの作成に関する設定は、後述する設定部108において、ユーザが入力部109あるいは通信部115やコンピュータ接続インタフェース(図示せず)を介して外部からデータを転送して不揮発性メモリ111等に設定および設定変更できるようにしてもよい。またはメモリカード107などに保存されている設定データを使用してもよい。 【0019】 図1の設定部108は、各種ボタンやダイヤルやタッチパネルあるいは視覚検知や音声認識装置等からなる入力部109、液晶表示パネル(LCD)や発光素子(LED)および発音素子等からなる出力部110、電気的にデータを記録/消去可能なEEPROMなどの不揮発性メモリ111等で構成され、本実施形態の撮像装置における各処理の設定に関するデータをユーザの操作により変更可能とするものである。設定されるデータには、例えば静止画・動画モード/圧縮率/記録画素数/セルフタイマなど撮像手段に関する設定データ、画像データ送信方法(電子メール/FTPなど)/画像データ送信先設定/通信インタフェース設定など画像データ送信手段に関する設定データ、日付・時刻等の一般的な設定データなどがある。 【0020】 画像データ送信部112は、受信端末へ画像データを送信する際の宛先情報に基づいて受信端末の属性を判定する端末属性判定部113と、上記端末属性に基づいて送信するべき画像データを選択する画像データ選択部114と、公衆有線/無線通信網またはローカル有線/無線通信網を介して、公衆電話回線網またはインターネットもしくはローカルネットワークに接続するための通信プロトコルおよび電子メールやFTPクライアント等のアプリケーションを備えた通信部115等で構成される。 【0021】 端末属性判定部113は、不揮発性メモリ111あるいはバッファメモリ105に設定されている画像データ送信先設定の宛先情報を解析し、少なくとも受信端末の種別(以下、「受信端末の属性」という。)を判定する。受信端末の属性を判定する。宛先情報とは、画像データ送信方法がSMTPに従う電子メール送信の場合であれば電子メールアドレスであり、FTP送信の場合であればFTPサーバアドレスおよび送信先フォルダ(ディレクトリ)などである。この情報は、入力部109からユーザが入力してもよいが、通信部115やコンピュータ接続インタフェース(図示せず)を介して外部からデータを取得してもよいし、メモリカード107などに保存されていて、そこから取得するようにしてもよい。 【0022】 端末属性判定部113が分類する属性に関しては、受信端末が携帯電話であると携帯電話サービス会社や端末の規定により電子メールに添付できるファイルの最大サイズやブラウザで表示できるファイルの最大サイズに制限がある場合が多いことなどから、本実施形態では、携帯電話以外の「端末属性1」と携帯電話用の「端末属性2」の2種類の属性を規定する。なお、本実施形態では説明の便宜上2種類としたが、これに限るものではなく、携帯電話サービス会社種別や受信端末の種類、受信端末にインストールされているソフトウエアの種類などに応じて3種類以上の端末属性を定義することも可能である。 【0023】 通常、携帯電話では電子メールアドレスのドメイン名は携帯電話サービス会社毎に設定されることが多く、画像データ送信方法が電子メール送信の場合、指定された電子メールアドレスのドメイン名から携帯電話サービス会社を特定することが可能である。そこで、例えば、不揮発メモリ111に、図3に示すような構造の、各属性毎に対応するドメイン名を記述した「ドメイン-属性対応リスト」をあらかじめ記憶させておく。そして、端末属性判定部113は、このドメイン-属性対応リストを参照して、宛先情報の電子メールアドレスにおけるドメイン名が「端末属性2」に属するかどうかを判断する。図3の対応リストを参照する場合には、「dodomo.ne.jp」「gzweb.ne.jp」「ip-t.ne.jp」のいずれかに合致するか否かを判断することになる。「端末属性2」に属するいずれかのドメインに合致すれば、その受信端末は携帯電話であると特定できる。逆に、宛先情報の電子メールアドレスにおけるドメイン名が「端末属性2」に属するいずれのドメインにも合致しなければ、携帯電話以外の端末であることを示す「端末属性1」であると判定できる。 【0024】 また、電子メールアドレスのドメイン名だけでは受信端末の属性を判断することができない場合には、ユーザ入力に基づき書き換え可能なアドレス帳などの宛先情報データベースを記憶し、これに基づいて属性を判断するようにしてもよい。例えば、不揮発メモリ111に、図4に示すような構造の、少なくとも電子メールアドレスとそれに対応する端末属性とを記述した「電子メールアドレス帳」をあらかじめ記憶させておく。そして、端末属性判定部113は、この電子メールアドレス帳を参照して、宛先情報の電子メールアドレスに対応する端末属性を判定する。 【0025】 画像データ送信方法がFTP(File Transfer Protocol)送信の場合には、次のように端末属性を判定する。まず、不揮発メモリ111に、図5に示すような構造の、FTPサーバのアドレスおよび転送先フォルダおよび対応する端末属性を記述した「FTPサーバアドレス帳」をあらかじめ記憶させておく。そして、端末属性判定部113は、このFTPサーバアドレス帳を参照して、宛先情報のFTP接続先に対応する端末属性を判定する。 【0026】 なお、図4、図5に示したようなアドレス帳は、入力部109からのユーザ操作で作成されるようにしてもよいが、通信部115やコンピュータ接続インタフェース(図示せず)を介して外部からデータを取得し、または、メモリカード107などに保存されているものから取得して、それに基づき作成されるようにしてもよい。また、アドレス帳からの宛先指定についても同様である。 【0027】 画像データ選択部114は、端末属性判定部113で判定された端末属性に応じて、送信すべき画像データとして画像ファイル/主画像データ/サムネイル画像データのいずれかを選択する。その選択は例えば次のように行う。まず、例えば不揮発メモリ111に、図6に示すような、各属性毎に対応する送信すべき画像データを記述した「属性-送信画像データ対応リスト」をあらかじめ記憶させておく。そして、画像データ選択部114は、この属性-送信画像データ対応リストを参照し、端末属性判定部113で判定された端末属性に対応する、送信すべき画像データを選択する。例えば、図6のリストを用いる場合には、「端末属性1」であれば「主画像データ」を、「端末属性2」であれば「サムネイル画像データ」を送信すべき画像データとして選択することになる。 【0028】 なお、本実施形態では説明の便宜上、送信すべき画像データとして「主画像データ」と「サムネイル画像データ」の2種類としたが、これに限るものではなく、画像ファイル全部や画像ファイルの一部あるいはサムネイル画像の一部などの種別も考えられ、3種類以上の画像データ種別を作成することも可能である。 【0029】 また、図6に示したような「属性-送信画像データ対応リスト」はユーザが変更できない領域にあらかじめ格納されていてもよいし、入力部109からユーザ操作により変更可能としてもよい。また、通信部115やコンピュータ接続インタフェース(図示せず)を介して外部からそのようなリストを取得し、または、メモリカード107などに保存されていたリストを取得するようにしてもよい。 【0030】 次に、図7のフローチャートを用いて本実施形態における撮像装置の動作を説明する。 【0031】 入力部109からの入力に基づいて、または、タイマや外部からのセンサー入力など何らかのトリガによって、撮像動作が開始すると(ステップS701)、主画像生成部103は、撮像部101が光学像を電気信号に変換して得た画像データを主画像データとしてバッファメモリ105に格納し(ステップS702)、続いてサムネイル画像生成部104が、サムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納する(ステップS703)。 【0032】 次に、画像ファイル生成部106は、主画像データおよび主画像データに関する画像情報を1つの画像ファイルとして生成してメモリカード107に記録する(ステップS704)。次に、端末属性判定部113は、図3?図5に示したようなデータベースを利用して前述の方法により受信端末の端末属性を判定し(ステップS705)、画像データ選択部114は、端末属性判定部113で判定された端末属性に基づいて、図6に示したようなデータベースを利用して前述の方法により送信すべき画像データを選択する(ステップS706)。ここで、通信部115は、送信すべき画像データとして「主画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105における主画像データを電子メール送信もしくはFTP送信などの指定された送信方法によって宛先情報が示す送信先に送信し(ステップS707)、送信すべき画像データとして「サムネイル画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105に存在するサムネイル画像データを送信先に送信する(ステップS708)。」(第4頁第48行?第8頁第29行) 以上の記載によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「送信画像を、自動的に受信端末に適したサイズで生成、送信することができる情報処理装置および撮像装置を提供することを目的とし、 携帯電話以外の「端末属性1」と携帯電話用の「端末属性2」の2種類の属性を規定し、 不揮発メモリ111に、各属性毎に対応するドメイン名を記述した「ドメイン-属性対応リスト」をあらかじめ記憶させておき、端末属性判定部113は、このドメイン-属性対応リストを参照して、宛先情報の電子メールアドレスにおけるドメイン名が「端末属性2」に属するかどうかを判断するもので、 撮像部101からの撮影画像情報を、第1の画像データとしての主画像データとしてバッファメモリ105に格納する主画像生成部103、主画像データの縦横サイズを縮小した第2の画像データとしてのサムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納するサムネイル画像生成部104、そして、主画像データおよび主画像データに関する画像情報を1つの画像ファイルとして生成してメモリカード107に記録する画像ファイル生成部106を含み、 撮像動作が開始すると、主画像生成部103は、撮像部101が光学像を電気信号に変換して得た画像データを主画像データとしてバッファメモリ105に格納し、続いてサムネイル画像生成部104が、サムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納し、 画像データ選択部114は、端末属性判定部113で判定された端末属性に応じて、送信すべき画像データとして画像ファイル/主画像データ/サムネイル画像データのいずれかを選択し、 「端末属性1」であれば「主画像データ」を、「端末属性2」であれば「サムネイル画像データ」を送信すべき画像データとして選択し、 通信部115は、送信すべき画像データとして「主画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105における主画像データを電子メール送信もしくはFTP送信などの指定された送信方法によって宛先情報が示す送信先に送信し、送信すべき画像データとして「サムネイル画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105に存在するサムネイル画像データを送信先に送信する、 情報処理装置。」 また、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-312446号公報(平成13年11月9日発行。以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 B.「【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、最近は、電子メールを送受信する端末として、上記パーソナルコンピュータやワークステーションのような汎用コンピュータだけでなく、汎用OS(operating system)を搭載したPDA(personal digital assistans)や、専用OSを搭載したPDA、携帯電話機、簡易型携帯電話システム(例えばPHS(商標)等)端末(以下、これら携帯電話機や簡易型携帯電話システム端末を纏めて携帯電話機と呼ぶことにする)、ページャ(pager)端末など各種の携帯情報端末が使用されている。また、今後は、それら以外にも、例えばビデオカメラやデジタルスチルカメラやAV(オーディオビジュアル)機器、家庭用ゲーム機、セットトップボックス、各種家庭電化製品等の様々な電子機器が、電子メールの受信端末になることも考えられる。 【0008】ところが、前述した汎用コンピュータに比べて、上記PDAや携帯電話機、ページャ端末等の携帯情報端末は、一般に、内蔵している記憶手段の容量が少なく、このため、例えば電子メールに添付されたファイルを開く(或いは見る)ような場合に使用される、各種のファイル形式に対応したアプリケーションソフト(ビューアも含む)をインストールしておく(或いは新たにインストールする)ことが困難であることが多い。 【0009】また、専用OSを搭載した携帯情報端末(PDAや携帯電話機等)は、一般に、予め決められたファイル形式にしか対応していないことが多く、したがってこの場合、当該予め決められたファイル形式の添付ファイルしか開く(或いは見る)ことができず、そのファイル形式以外の添付ファイルは開くこと(或いは見ること)もできなくなる。言い換えると、専用OSを搭載した携帯情報端末に対して電子メールにファイルを添付して送信する場合には、その専用OSに対応した、予め決められたファイル形式の添付ファイルを用意して送信しなければならないことになる。 【0010】特に、上記携帯電話機の場合は、採用している通信方式の相違や、携帯電話サービスを提供している携帯電話サービス会社の相違によって、それぞれの携帯電話機の仕様やOSの種類も異なっていることが多く、このため、開く(或いは見る)ことのできるファイル形式もそれぞれ異なっていることが多い。なお、同一の通信方式、或いは同じ携帯電話サービス会社にかかる携帯電話機であっても、そのOSのバージョンや機器の型式によっては、開く(或いは見る)ことのできるファイル形式が異なっていることもあり得る。 【0011】なお、これら携帯情報端末の製造者若しくはサービスセンタ等において、アプリケーションソフトの更新或いは書き換えを行うことが可能であったとしても、一般ユーザによるアプリケーションソフトの更新や書き換えについては出来なくなされていること場合も多い。したがって、一般ユーザは、サービスセンタ等においてアプリケーションソフトの更新或いは書き換えを行った場合を除いて、当初からインストールされていたアプリケーションのみしか使用できない。 【0012】また、上記各種携帯情報端末は、それぞれが備えた表示手段の表示能力に合った状態でしか情報を表示することが出来ないことが多い。この場合、受信端末において、添付ファイルのファイル形式自体には対応しおり、当該ファイルを開くことが出来たとしても、例えばその開かれたファイル内容を表示するための画像サイズや最大色数等が、当該受信端末の表示手段の表示能力を超えているような場合には、そのファイル内容を表示すること(見ること)が出来なくなる。 【0013】以上のようなことから、上記各種の携帯情報端末が電子メールを受信する場合、テキストデータについては問題なく(端末独自の文字は除く)見ることができたとしても、添付ファイルについては受信端末の対応可能なファイル形式や能力に大きく依存し、受信した添付ファイルを開けない(或いは見ることができない)状態になることが多発すると考えられる。 【0014】さらに、今後登場してくると思われる、上記ビデオカメラやデジタルスチルカメラやAV機器、各種家庭電化製品等の様々な電子機器が電子メールの受信機能を備えた場合も、それぞれ各電子機器毎に異なるOSや機能が設定されると考えられるため、この場合も、上記携帯情報端末の場合と同様に電子メールに添付されて送信されてきた添付ファイルが開けない(或いは見られない)という問題が発生すると考えられる。 【0015】そこで、本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、電子メールにファイルを添付して送信し、その添付ファイルを受信端末で開く(或いは見る)場合において、当該電子メールに添付されて送信された添付ファイルのファイル形式やそのファイル内容を表示する際の画像サイズや最大色数等がどのようなものであったとしても、受信端末においてその添付ファイルの内容を表示可能とする情報処理装置及び方法、情報処理システム、媒体を提供することを目的とする。」(第5頁第7欄第17行?第6頁第9欄第3行) C.「【0072】次に、本実施の形態の電子メールプログラム67Aにおいて、一例として上記キャプチャプログラム67Gと連携して画像を取り込んで画像ファイルを生成すると共に、前述したように受信端末への電子メールアドレスのドメイン名から、その受信端末の対応能力を判定(必要に応じて付加情報を使用して判定)することにより、当該受信端末の対応能力に対応するように上記画像ファイルを変換し、さらにこの変換された画像ファイルを添付して電子メールを送信することを行う際の処理の流れと、その処理途中でデスクトップ画面上に表示されるダイアログ等の表示例等について説明する。なお、以下に説明する処理の流れは、パーソナルコンピュータのCPU51が上記電子メールプログラムやキャプチャプログラム等に基づいて行う処理である。 【0073】先ず、本実施の形態の送信端末として、上記カメラ及び外部メモリIF付きパーソナルコンピュータ1(315)における画像撮影及び画像ファイルの作成から、当該画像ファイルを添付ファイルとした電子メールの送信までの全体の処理の流れを、図5に示す。 【0074】この図5において、電子メールプログラムが起動し、さらに画像を取り込んで画像ファイルを添付した電子メールを作成して送信する場合、CPU51は、先ず、ステップS1として、電子メールプログラムと連携して動作するキャプチャプログラムを起動させ、前記CCDビデオカメラ102を動作可能にする。なお、キャプチャプログラムが取り込む画像は、CCDビデオカメラ102により撮影されたものだけではく、デジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラにより撮影された画像、フラットヘッドスキャナやフィルムスキャナ等からの画像、外部メモリ等の各種記録メディアに記録されている画像等であってもよい。このように、CCDビデオカメラ102による撮影を行わずに、例えば、外部接続されたビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ等により撮像された画像や、前記記録メディアから読み出された画像、通信回線を介して供給された画像等を使用する場合には、当該ステップS1のカメラ起動処理を省略し、例えばキャプチャプログラムの起動のみを行うようにする。 【0075】次に、CPU51は、ステップS2として、電子メールプログラムに従い、電子メールの本文のコメントとして使用する文章等をユーザに対して入力するよう要求し、ユーザから例えばキーボード5やタッチパッド6からの手書き入力に基づく文字等により文章が入力されるのを待つ。 【0076】次に、ステップS2のコメント入力が終わったなら、CPU51は、ステップS3として、キャプチャプログラムによる画像撮影処理待ちの状態となり、さらにユーザの指示に従って、写真の撮影とその撮影画像データの取り込みを行う。すなわちこの時のCPU51は、キャプチャプログラムに従い、CCDビデオカメラ102等により撮影された画像を取り込み、その画像ファイルを生成する。なお、CCDビデオカメラ102による撮影を行わずに、例えば、外部接続されたビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ等により撮像された画像や、前記記録メディアから読み出された画像、通信回線を介して供給された画像等を使用する場合には、このステップS3において、それらの画像を取り込む処理のみを行うようにする。また、言うまでもないが、ステップS2のコメント入力処理とステップS3の画像取り込み処理(撮影処理)はその順番が異なってもかまわない。」(第12頁第21欄第33行?同頁第22欄第43行) D.「【0119】次に、図7のステップS13における送信用画像の作成処理の詳細な流れを図13に示す。 【0120】図7のステップS13の判定処理に進むと、CPU51は、電子メールプログラム及びキャプチャプログラムに従い、先ず、この図13のステップS41の処理として、変数cSize,nColor,nRatioを初期化する。ここで、変数cSizeには、CCDビデオカメラ102で撮影或いは外部から取り込んだ元画像のサイズと、受信端末或いは受信端末のユーザが所有するパーソナルコンピュータ等が受信して表示可能な最大画像サイズのうち、小さい方のサイズを設定する。また、変数nColorには、CCDビデオカメラ102で撮影或いは外部から取り込んだ元画像の色数と、受信端末或いは受信端末のユーザが所有するパーソナルコンピュータ等が受信して表示可能な最大色数のうち、小さい方の色数を設定する。また、変数nRatioには、画像の圧縮率のデフォルト値を設定する。 【0121】次に、CPU51は、電子メールプログラム及びキャプチャプログラムに従い、ステップS42の処理として、上記CCDビデオカメラ102で撮影或いは外部から取り込んだ元画像のサイズを、上記設定した変数cSizeに合うように変換し、また、上記CCDビデオカメラ102で撮影或いは外部から取り込んだ元画像の色数を、上記設定した変数nColorに合うように変換する。 【0122】次に、CPU51は、電子メールプログラム及びキャプチャプログラムに従い、ステップS43の処理として、上記画像サイズ及び色数が変換された画像を、上記設定した変数nRatioの圧縮率で圧縮し、受信端末或いは受信端末のユーザが所有するパーソナルコンピュータ等で受信可能な所望の画像フォーマットのファイルとして一旦保存する。なお、画像フォーマットの詳細については後述する。」(第16頁第30欄第46行?第17頁第31欄第28行) (3)対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 引用発明は、携帯電話以外の「端末属性1」と携帯電話用の「端末属性2」の2種類の属性を規定し、不揮発メモリ111に、各属性毎に対応するドメイン名を記述した「ドメイン-属性対応リスト」をあらかじめ記憶させておき、端末属性判定部113は、このドメイン-属性対応リストを参照して、宛先情報の電子メールアドレスにおけるドメイン名が「端末属性2」に属するかどうかを判断しており、また、この端末属性に基づいて画像データを選択して電子メールを送信しているので、引用発明における「端末属性判定部113」が有する機能は、本願補正発明の「電子メールの送信時にその送信先の電子メールアドレスが携帯電話機の電子メールアドレスか否かを判定するアドレス判定手段」が有する機能に一致する。 引用発明は、送信画像を、自動的に受信端末に適したサイズで生成、送信することができる情報処理装置および撮像装置を提供することを目的としており、携帯電話用の「端末属性2」であれば、「サムネイル画像データ」を送信すべき画像データとして選択して電子メール送信しているので、引用発明の「サムネイル画像データ」は、本願補正発明の「携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式」の「画像」に相当する。そして、引用発明の「サムネイル画像生成部104」は、「撮像部101からの撮影画像情報を、第1の画像データとしての主画像データとしてバッファメモリ105に格納する主画像生成部103、主画像データの縦横サイズを縮小した第2の画像データとしてのサムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納する」ものであるので、引用発明の「サムネイル画像生成部104」は、本願補正発明の「電子メールに添付する画像を前記携帯電話機にて表示可能な」「サイズ及びファイル形式」で「生成する」「画像」生成「手段」である点で共通する。 引用発明の「通信部115」は、「送信すべき画像データとして「主画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105における主画像データを電子メール送信もしくはFTP送信などの指定された送信方法によって宛先情報が示す送信先に送信し、送信すべき画像データとして「サムネイル画像データ」が選択された場合は、バッファメモリ105に存在するサムネイル画像データを送信先に送信する」ものであり、画像データを電子メール送信する場合に電子メールに画像が添付されて電子メール送信されていることは明らかであるので、引用発明は、本願補正発明における「アドレス判定手段にて前記携帯電話機の電子メールアドレスと判定された時に前記送信先への電子メールに前記」「画像」「生成手段にて」「生成された画像を添付する手段」に相当する機能を有していると言える。 引用発明は、「撮像動作が開始すると、主画像生成部103は、撮像部101が光学像を電気信号に変換して得た画像データを主画像データとしてバッファメモリ105に格納し、続いてサムネイル画像生成部104が、サムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納」して、画像データを電子メール送信しているので、引用発明の「撮像部101」、「主画像生成部103」、「サムネイル画像生成部104」は、本願補正発明の「電子メールに添付して送信する画像を」「取得する手段」に相当する。 そして、引用発明は、電子メール送信を行う情報処理装置であるので、引用発明の「情報処理装置」は、本願補正発明の「電子メール通信装置」に相当するものである。 すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 一致点 「電子メールの送信時にその送信先の電子メールアドレスが携帯電話機の電子メールアドレスか否かを判定するアドレス判定手段と、 前記電子メールに添付する画像を前記携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式で生成する画像生成手段と、 前記アドレス判定手段にて前記携帯電話機の電子メールアドレスと判定された時に前記送信先への電子メールに前記画像生成手段にて生成された画像を添付する手段とを有し、 前記電子メールに添付して送信する画像を取得する手段を含み、 前記画像生成手段は、画像を前記携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式で生成することを特徴とする電子メール通信装置。」 一方、両者は次の点で相違する。 相違点1 本願補正発明は、電子メールに添付する画像を携帯電話機にて表示可能でかつ予め設定された固定のサイズ及びファイル形式に変換しているのに対し、引用発明は、携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式の画像を生成しているが、予め設定された固定のサイズであることの特定がなされていない点。 相違点2 本願補正発明は、取得した画像を携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式に変換するものであるのに対し、引用発明は、撮像部101が光学像を電気信号に変換して得た画像データを主画像データとしてバッファメモリ105に格納し、続いてサムネイル画像生成部104が、サムネイル画像データを生成してバッファメモリ105に格納するものであり、取得した画像を変換する「画像変換手段」を具備するものではない点。 相違点3 本願補正発明では、電子メールに添付して送信する画像を取得する手段が画像を読取る原稿読取り手段であるのに対し、引用発明は、画像を取得する手段が、撮像を行う撮影部である点。 (4)当審の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1及び相違点2についての検討) 引用例2には、画像を取り込んで画像ファイルを生成すると共に、受信端末への電子メールアドレスのドメイン名から、その受信端末の対応能力を判定することにより、受信端末の対応能力に対応するように画像ファイルを変換し、さらにこの変換された画像ファイルを添付して電子メールを送信することが記載されており(上記摘記C.段落【0072】)、引用例2に記載のものは、引用発明と同じ課題を有し、また、同じ技術分野に属するものである。 そして、引用例2には、外部から取り込んだ元画像のサイズと、受信端末等が受信して表示可能な最大画像サイズのうち、小さい方のサイズを変数に設定し、外部から取り込んだ元画像のサイズを、設定した変数に合うように変換し、受信端末等で受信可能な所望の画像フォーマットのファイルとして保存することが記載されており(上記摘記D.)、これらの構成は、表示可能でかつ予め設定された固定のサイズ及びファイル形式に画像を変換することにほかならない。よって、引用例2に記載されている当該構成を引用発明に適用して、本願補正発明のように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。 (相違点3についての検討) 引用例2には、「取り込む画像は、CCDビデオカメラ102により撮影されたものだけではく、デジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラにより撮影された画像、フラットヘッドスキャナやフィルムスキャナ等からの画像、外部メモリ等の各種記録メディアに記録されている画像等であってもよい。」との記載がなされているので(上記摘記C.段落【0074】)、引用発明において、引用例2に記載されているようなフラットヘッドスキャナやフィルムスキャナ等を画像を取得する手段として適用し、本願補正発明のように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。 また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、引用発明、引用例2から当業者が予測できるものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成21年9月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同年5月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 電子メールの送信時にその送信先の電子メールアドレスが携帯電話機の電子メールアドレスか否かを判定するアドレス判定手段と、 前記電子メールに添付する画像を前記携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式に変換する画像変換手段と、 前記アドレス判定手段にて前記携帯電話機の電子メールアドレスと判定された時に前記送信先への電子メールに前記画像変換手段にて変換された画像を添付する手段とを有し、 前記電子メールに添付して送信する画像を読取る原稿読取り手段を含み、 前記画像変換手段は、前記原稿読取り手段が読取った画像を前記携帯電話機にて表示可能なサイズ及びファイル形式に変換することを特徴とする電子メール通信装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。 (2)当審の判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「表示可能なサイズ」の限定事項である「かつ予め設定された固定の」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明、引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-18 |
結審通知日 | 2011-05-24 |
審決日 | 2011-06-06 |
出願番号 | 特願2007-98995(P2007-98995) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西出 隆二、木村 雅也 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
鈴木 重幸 安久 司郎 |
発明の名称 | 電子メール通信装置、電子メール通信システム及びそれらに用いる電子メール通信方法 |
代理人 | ▲柳▼川 信 |