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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1240816 |
審判番号 | 不服2009-12873 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-15 |
確定日 | 2011-07-28 |
事件の表示 | 特願2007-208860「カメラモジュール及び光学フィルタ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月24日出願公開、特開2008- 17505〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯、本願発明 本願は、平成15年9月30日を国際出願日とする出願である特願2005-509297号の一部を分割して、平成19年8月10日に出願(特願2007-208860号)されたものであり、本願の発明は、平成20年9月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「撮像用レンズが取り付けられたレンズユニットと、該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージとよりなるモジュール構造体と、 前記撮像素子と前記撮像用レンズとの間に配置された光学フィルタと を有するカメラモジュールであって、 前記光学フィルタの側面を含む周囲部分の少なくとも一部が金属膜により被覆されており、該金属膜は前記光学フィルタが前記カメラモジュールに組み込まれる前に予め前記光学フィルタに形成されていることを特徴とするカメラモジュール。」 2 引用文献の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-373977号公報(以下「引用文献」という。)には、図面と共に以下の記載がある。 〈技術分野〉 「 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、CCD、CMOS等を用いた固体撮像装置、特に、二次元画像撮像素子の小型化実装方法に関するものである。」 〈従来の技術〉 「 【0002】 【従来の技術】 従来、固体撮像素子をビデオカメラ、ディジタルスティルカメラ等の機器に搭載するためには、これら機器のプリント配線基板に半田付けをする目的からセラミックやプラスチックに端子を設けた容器に固体撮像素子を収納し、ガラス等の透光性の蓋(以下、カバーガラスという)で密閉封止する方法が広く用いられている。 【0003】 図5はこのような従来例の固体撮像装置を示す断面図である。図中1は固体撮像素子チップであり、その一方の表面に受光部1aや能動回路部(図示せず)等が形成されている。2は容器であり、固体撮像素子チップ1を気密封止すると共に機器へ組み込むための保持部材としての機能を持っている。通常、容器2はアルミナセラミック等の焼結体や、粉末シリカ等のフィラーを混錬したエポキシ樹脂等で成型され、複数の半田付用端子2aが設けられている。 【0004】 容器2の内部には、固体撮像素子チップ1が設けられ、固体撮像素子チップ1の電極と複数の半田付用端子2aとが金属ワイヤ2bによって電気的に接続されている。また、各半田付用端子2aの下部は機器搭載のプリント配線板10上に半田10aで電気的且つ機械的に接続されている。更に、容器2の上部の開口部には、カバーガラス3が接着剤4で固定され、固体撮像素子チップ1は密閉封止されている。カバーガラス3の一方又は両方の表面には、主に光線201の反射防止機能を持つ光学薄膜3aが形成されている。 【0005】 一方、撮影レンズ200と固体撮像素子チップ1の間には、視感度を肉眼と一致させる目的で赤外線吸収フィルター(色ガラスフィルター)101、偽色を防止する目的で光学ローパスフィルター102,103が設けられている。これらのフィルターはそれぞれ着色した色ガラス、複屈折を有する結晶板等で構成するのが一般的で、これらを透明接着剤106で貼り合せることで光学フィルター100として構成され、光学系に挿入されている。 【0006】 光学フィルター100の空気との界面には、反射防止の目的、更には赤外カット効果を向上する目的等で光学薄膜104,105が形成されている。また、ゴミの付着によって画像が損なわれるのを防ぐ目的で、光学フィルター100とカバーガラス3の間にはゴム製のシール3bが設けられている。」 〈第1の実施形態〉 「 【0013】 (第1の実施形態) 図1は本発明の固体撮像装置の第1の実施形態を示す断面図である。なお、図1では図5の従来装置と同一部分は同一符号を付している。図1において、1はCCD、CMOS等の固体撮像素子チップであり、複数の画素が2次元に配列されている。固体撮像素子チップ1は気密封止及び保護部材としての容器2内に収納されている。容器2には上部に開口部が設けられ、下部には複数の半田付用端子2aが設けられている。固体撮像素子チップ1の電極(図示せず)と容器2の各半田付用端子2aとは金属ワイヤ2bで電気的に接続されている。また、各半田付用端子2aの下部は従来と同様にプリント配線基板上に半田を用いて電気的且つ機械的に接続されている。なお、図1ではプリント配線基板、撮影レンズ等については省略している。 【0014】 また、本実施形態では、容器2の開口部に固体撮像素子チップ1を気密封止するための蓋(透光性蓋)として色ガラスフィルター(赤外線吸収フィルター)101が接着剤4で接着されている。色ガラスフィルター101としては、例えば旭テクノグラス(株)製視感度補正フィルターCF-50(商品名)やドイツ ショット社製BG-18(商品名)等が用いられる。また、容器2の内部の色ガラスフィルター101の光入射側とは反対側の表面には光学ローパスフィルター102が透明接着剤106で接着されている。この接着剤としては作業効率を高めるために紫外線硬化接着剤が好ましい。 【0015】 光学ローパスフィルター102は容器2の開口部に収納可能となっていて受光部1aよりも広い面積である。光学ローパスフィルター102の材質としては水晶、ニオブ酸リチウム等複屈折性を有する結晶の板等である。ここで、従来例では、気密性を保つため、接着剤4には熱硬化型エポキシ接着剤が多く用いられているが、本実施形態では透明接着剤106の特性を維持する目的で、硬化温度の比較的低い紫外線硬化型エポキシ接着剤、もしくは熱併用紫外線硬化型エポキシ接着剤を用いている。 【0016】 また、色ガラスフィルター101、光学ローパスフィルター102の空気との界面には可視光線の反射防止、赤外線カット特性(赤外線反射)を向上する目的で光学薄膜104,105が形成されている。この場合、光学薄膜104は赤外線のカット特性を向上するための光学薄膜、光学薄膜105は可視光線の反射防止のための光学薄膜である。なお、これらの光学薄膜104,105の位置は逆であってもよいが、受光部1aに近い方に可視光線の反射防止のための光学薄膜を形成するのが望ましい。 【0017】 このように本実施形態では、色ガラスフィルター101の光入射側とは反対側の表面に光学ローパスフィルター102を接着し、この色ガラスフィルター101を用いて容器2の内部を機密封止しているので、固体撮像素子チップ1の気密封止と光学フィルターとしての機能を兼用することができる。また、ゴミ防止目的のシールも不要となるので、従来に比べて大幅に装置を小型化、ローコスト化することができる。更に、色ガラスフィルター101をカバーガラスと兼用しているだけであるため、色むら等が発生することがなく、画像品質を高品位に維持することができる。」 〈第2の実施形態〉 「 【0018】 (第2の実施形態) 図2は本発明の第2の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、色ガラスフィルター101の光入射側に透明接着剤106を用いて光学ローパスフィルター103が接着されている。また、光学ローパスフィルター103の表面に赤外線のカット特性を向上するための光学薄膜104が形成されている。その他の構成は図1と同様である。 【0019】 光学ローパスフィルターを複屈折性の結晶板で構成する場合、結晶方位の異なる二枚の板を貼り合わせることが一般的である。そこで、本実施形態では、結晶方位の異なる光学ローパスフィルター102、103を色ガラスフィルター101の両面にそれぞれ接着することで、熱膨張率の違いによる反りの発生を抑制している。」 〈第3の実施形態〉 「 【0020】 (第3の実施形態) 図3は本発明の第3の実施形態を示す断面図である。本実施形態では、色ガラスフィルター101の両面に接着された光学ローパスフィルター102及び103の大きさを固体撮像素子チップ1の受光部1aよりもやや大きくし、光学ローパスフィルター102の端部から色ガラスフィルター101にかけて遮光マスク107が設けられている。その他の構成は図2と同様である。 【0021】 受光部1a以外に入射した光線(図示せず)、特に、金属ワイヤ2bに入射した光線が乱反射し、更に光学ローパスフィルター102の表面もしくは光学薄膜105で反射して受光部1aに再入射すると画像の品質を著しく損なう。本実施形態では、これを回避する目的で、受光部1aを覆わないように受光部1aを除く領域に遮光マスク107が設けられている。遮光マスク107は光を透過しないばかりでなく、反射をも防止する特性のものが用いられる。更に、遮光マスク107としては、図3に示すように受光部1aと平行な平面のみならず、これにほぼ垂直な面、例えば、光学ローパスフィルター102の端面をも覆うことが望ましい。 【0022】 なお、遮光マスクの107の形成方法としては、例えば、黒色樹脂の被膜を印刷やフォトリソグラフィの手法等により形成する方法、クロム、酸化クロム等の金属、金属酸化物被膜をメッキ、真空成膜等により形成する方法等を用いることができる。」 3 対比 (1)引用発明 引用文献に記載された第3の実施形態(図3)を引用文献に記載された発明として認定する。第3の実施形態は、「その他の構成は図2と同様である」(段落【0020】)から、第2の実施形態(図2)の一部を変更したものであり、第2の実施形態は、「その他の構成は図1と同様である」(段落【0018】)から、第1の実施形態(図1)の一部を変更したものである。 第1の実施形態は、「固体撮像素子チップ1は気密封止及び保護部材としての容器2内に収納され」、「容器2には上部に開口部が設けられ、下部には複数の半田付用端子2aが設けられ」、「固体撮像素子チップ1の電極・・・と容器2の各半田付用端子2aとは金属ワイヤ2bで電気的に接続され」(段落【0013】)、 「容器2の開口部に固体撮像素子チップ1を気密封止するための蓋(透光性蓋)として色ガラスフィルター(赤外線吸収フィルター)101が接着剤4で接着され」、「容器2の内部の色ガラスフィルター101の光入射側とは反対側の表面には光学ローパスフィルター102が透明接着剤106で接着され」(段落【0014】)、 「光学ローパスフィルター102は容器2の開口部に収納可能となって」(段落【0015】)いるものである。 第2の実施形態は、「色ガラスフィルター101の光入射側に透明接着剤106を用いて光学ローパスフィルター103が接着されている」(段落【0018】)ものである。 第3の実施形態は、「光学ローパスフィルター102の端部から色ガラスフィルター101にかけて遮光マスク107が設けられ」(段落【0020】)、「遮光マスク107としては、図3に示すように受光部1aと平行な平面のみならず、これにほぼ垂直な面、例えば、光学ローパスフィルター102の端面をも覆うことが望ましい」(段落【0021】)もので、「遮光マスクの107の形成方法としては、・・・クロム、酸化クロム等の金属、金属酸化物被膜をメッキ、真空成膜等により形成する方法等を用いることができる」(段落【0022】)ものである。 また、第3の実施形態は、従来の技術と同様に撮影レンズを用いるものであるから、レンズを含めて装置として、発明を認定する。 以上より、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「撮影レンズと、 固体撮像素子チップ1は気密封止及び保護部材としての容器2内に収納され、 容器2には上部に開口部が設けられ、下部には複数の半田付用端子2aが設けられ、 固体撮像素子チップ1の電極と容器2の各半田付用端子2aとは金属ワイヤ2bで電気的に接続され、 容器2の開口部に固体撮像素子チップ1を気密封止するため色ガラスフィルター101が接着剤4で接着され、 容器2の内部の色ガラスフィルター101の光入射側とは反対側の表面には光学ローパスフィルター102が透明接着剤106で接着され、光学ローパスフィルター102は容器2の開口部に収納可能となっており、 色ガラスフィルター101の光入射側に透明接着剤106を用いて光学ローパスフィルター103が接着され、 光学ローパスフィルター102の端部から色ガラスフィルター101にかけて遮光マスク107が設けられ、 遮光マスク107は、受光部1aと平行な平面のみならず、これにほぼ垂直な面、光学ローパスフィルター102の端面をも覆い、 遮光マスクの107の形成方法としては、金属被膜をメッキ、真空成膜等により形成する方法を用いる 撮像装置と からなる装置。」 (2)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (a)「撮像用レンズが取り付けられたレンズユニット」 引用発明は、「撮像用レンズ」といえる「撮影レンズ」を有しているが、「レンズユニット」を有していないから、本願発明と相違する。 (b)「該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージ」 引用発明の撮像装置は、「固体撮像素子チップ1」が「容器2内に収納され」、「容器2の開口部に固体撮像素子チップ1を気密封止するため色ガラスフィルター101が接着剤4で接着され」るから「撮像素子が取り付けられたパッケージ」といえ、また、撮像素子は、撮影レンズ(撮像用レンズ)に対向するように取り付けられるから、引用発明の撮像装置は、「該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージ」といえる。 (c)「前記撮像素子と前記撮像用レンズとの間に配置された光学フィルタ」 引用発明の「色ガラスフィルター101」、「光学ローパスフィルータ102」、「光学ローパスフィルター103」は、光学フィルタである。そして、「色ガラスフィルター101の光入射側とは反対側の表面には光学ローパスフィルター102が透明接着剤106で接着され」、「色ガラスフィルター101の光入射側に透明接着剤106を用いて光学ローパスフィルター103が接着され」ており、「色ガラスフィルター101」、「光学ローパスフィルータ102」、「光学ローパスフィルター103」は、「前記撮像素子と前記撮像用レンズとの間に配置された光学フィルタ」といえる。 (d)「モジュール構造体」、「カメラモジュール」 引用発明は、上記(a)のとおり、「レンズユニット」を有しておらず、「レンズユニット」と「パッケージ」とからなる「モジュール構造体」を有しているとはいえず、また、引用発明は、「モジュール構造体」と「光学フィルタ」とを有する「カメラモジュール」ではないから、本願発明と相違する。 (e)「前記光学フィルタの側面を含む周囲部分の少なくとも一部が金属膜により被覆されており、該金属膜は前記光学フィルタが前記カメラモジュールに組み込まれる前に予め前記光学フィルタに形成されている」 引用発明の「光学フィルタ」は、色ガラスフィルター101、光学ローパスフィルター102、光学ローパスフィルター103から構成される(上記(c))。色ガラスフィルター101と光学ローパスフィルター102とは、透明接着剤106で接着され、色ガラスフィルター101と光学ローパスフィルター102とは、透明接着剤106で接着されているから、色ガラスフィルター101、光学ローパスフィルター102、光学ローパスフィルター103は、それぞれ別々に製造されるものであり、それぞれ端面を有するものである。すなわち、引用発明の「光学フィルタ」は、色ガラスフィルター101の端面、光学ローパスフィルター102の端面、光学ローパスフィルター103の端面を有するものである。また、引用発明においては、「遮光マスク107は、受光部1aと平行な平面のみならず、これにほぼ垂直な面、光学ローパスフィルター102の端面をも覆」うものであり、端面はほぼ垂直な面であるから、側面といえる。 したがって、引用発明の「光学フィルタ」は、色ガラスフィルター101の側面、光学ローパスフィルター102の側面、光学ローパスフィルター103の側面を有するものである。 引用発明は、 「光学ローパスフィルター102の端部から色ガラスフィルター101にかけて遮光マスク107が設けられ、 遮光マスク107は、受光部1aと平行な平面のみならず、これにほぼ垂直な面、光学ローパスフィルター102の端面をも覆い、 遮光マスクの107の形成方法としては、金属被膜をメッキ、真空成膜等により形成する方法を用いる」 ものであるから、光学ローパスフィルター102の端部から、光学ローパスフィルター102の端面をも覆い、色ガラスフィルター101にかけて金属被膜が設けられているものである。そして、この金属被膜は、引用発明の「光学フィルタ」である、色ガラスフィルター101、光学ローパスフィルター102、光学ローパスフィルター103(上記(c))が撮像装置(装置)に組み込まれた後には設けることは困難であるから、組み込まれる前に予め光学フィルタに形成されているといえる。 引用発明においては、「光学フィルタ」の一部である光学ローパスフィルター102の端面に金属被膜を設けており、光学ローパスフィルター102の端面(側面)は、「前記光学フィルタの側面を含む周囲部分の少なくとも一部」といえ、光学ローパスフィルター102の端面に金属被膜を設けることは、「前記光学フィルタの側面を含む周囲部分の少なくとも一部が金属膜により被覆されており、該金属膜は前記光学フィルタが装置に組み込まれる前に予め前記光学フィルタに形成されている」ことといえる。 しかしながら、上記「装置」が、本願発明においては、「前記カメラモジュール」であり、引用発明においては、「前記カメラモジュール」でない点で相違する。 (3)一致点、相違点 以上より、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「撮像用レンズと、該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージと、 前記撮像素子と前記撮像用レンズとの間に配置された光学フィルタと を有する装置であって、 前記光学フィルタの側面を含む周囲部分の少なくとも一部が金属膜により被覆されており、該金属膜は前記光学フィルタが前記装置に組み込まれる前に予め前記光学フィルタに形成されていることを特徴とする装置。」 (相違点) 「装置」が、本願発明では「カメラモジュール」であり、引用発明では「カメラモジュール」でなく、本願発明においては、「カメラモジュール」が「撮像用レンズが取り付けられたレンズユニットと、該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージとよりなるモジュール構造体」を有しているのに対し、引用発明においては、撮像用レンズを有しているものの、「撮像用レンズが取り付けられたレンズユニット」を有しておらず、「モジュール構造体」も有していない点 4 相違点の判断等 (1)相違点について レンズ、フィルタ、撮像素子をモジュールとすることは周知技術であり、このモジュールはカメラモジュールといえる。このことは、例えば、特開2003-219284号公報、特開2003-101002号公報、特開平2002-223378号公報、特開2001-245217号公報、特開2000-125212号公報に示されている。 引用発明の装置は、撮像する装置であり、上記周知技術も撮像する装置の技術であるから、上記周知技術を引用発明の装置に適用することに困難性はなく、上記周知技術を引用発明の装置に適用して、引用発明の装置をカメラモジュールとすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、引用発明は、「該撮像用レンズに対向するように撮像素子が取り付けられたパッケージ」といえる撮像装置を有しており、この撮像装置は光学フィルタを有しているものであり、引用発明の装置をカメラモジュールとする際、撮像用レンズと上記パッケージとをモジュールとするのであるから、撮像用レンズを撮像レンズが取り付けられたレンズユニットとし、このレンズユニットと上記パッケージとをモジュール構造体とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (2)請求人の主張について 請求人は、審判請求書の理由において「引用文献1において、ローパスフィルター102の周囲とその下の色ガラスフィルタ101の表面を遮光マスク107で連続して覆うためには、ローパスフィルター102を撮像装置に組み込んでから遮光マスク107を形成する必要があります。」と主張している。 しかしながら、上記3(2)(e)のとおり、「金属被膜は、引用発明の「光学フィルタ」である、色ガラスフィルター101、光学ローパスフィルター102、光学ローパスフィルター103(上記(c))が撮像装置(装置)に組み込まれた後には設けることは困難であるから、組み込まれる前に予め光学フィルタに形成されているといえ」、請求人の主張のように「ローパスフィルター102の周囲とその下の色ガラスフィルタ101の表面を遮光マスク107で連続して覆うためには、ローパスフィルター102を撮像装置に組み込んでから遮光マスク107を形成する」ものとはいえないから、請求人の主張は採用できない。 (3)効果等 以上のように、相違点に係る構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明の構成は、上記のとおり当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、残る請求項2?3に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のように審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-27 |
結審通知日 | 2011-05-31 |
審決日 | 2011-06-13 |
出願番号 | 特願2007-208860(P2007-208860) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関谷 隆一、日下 善之 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
▲徳▼田 賢二 小池 正彦 |
発明の名称 | カメラモジュール及び光学フィルタ |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 山口 昭則 |