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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1240829
審判番号 不服2010-2817  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-09 
確定日 2011-07-28 
事件の表示 特願2004- 33019「電気光学パネル」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月25日出願公開、特開2005-227313〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
平成16年 2月10日:特許出願
平成21年 7月31日:拒絶理由
平成21年 9月29日:意見及び手続補正
平成21年11月12日:拒絶査定
平成22年 2月 9日:審判請求
平成22年 2月 9日:手続補正(以下「本件補正」という。)
平成22年12月16日:審尋
(回答書は提出されなかった)

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
本件補正は,特許請求の範囲を補正することを含むものであって,その請求項1についてする補正の目的は,請求項1の発明特定事項である「前記引出配線を保護する絶縁部材」及び「前記複数の引出配線は,夫々その側面および上面が前記絶縁部材により覆われ」を,「前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材」及び「前記引出配線は,下部電極と,前記下部電極の上面を覆う,前記下部電極より低抵抗のコート部材とで構成され,前記引出配線における,前記コート部材の上面及び側面と,前記下部電極の側面とが,前記保護部材により覆われ」と限定して減縮するものであるから,請求項1についてする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2(以下単に「特許法第17条の2」という。)第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。

そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)が特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか,すなわち,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて,以下に検討する。

2 本件補正後発明
本件補正後発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。



支持基板上において,一対の電極間に電気光学機能層を狭持し形成される複数の電気光学素子と,前記電極に夫々導通すると共に前記電気光学素子による表示領域の外側に引出された複数の引出配線と,前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材とを具備する電気光学パネルであって,
前記引出配線は,下部電極と,前記下部電極の上面を覆う,前記下部電極より低抵抗のコート部材とで構成され,
前記引出配線における,前記コート部材の上面及び側面と,前記下部電極の側面とが,前記保護部材により覆われ,
隣り合う引出配線の間に前記保護部材の形成されない領域が設けられることを特徴とする電気光学パネル。

3 引用例
原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願日よりも前に頒布された刊行物である特開2001-272924号公報(以下「引用例」という。)には,各図とともに以下の事項が記載されている。

記載事項ア
「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は電気光学装置及びその製造方法に係り,特に,電気光学装置の基板上に形成された配線パターンの構造に関する。」

記載事項イ
「【0002】【従来の技術】一般に,電気光学パネルの一例としての液晶パネルにおいては,例えば,図10に示すように,2枚の透明基板1,2をシール材7によって貼り合わせ,このシール材7の内側に図示しない電気光学材料である液晶が封入されて,透明基板上に液晶層を配置している。
【0003】透明基板1は,透明基板2の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部1aを備え,この基板張出部1aの表面上には,シール材7の内側領域である液晶封入領域の内部から引き出された配線部3a,3bを有する配線パターンが形成される。ここで,配線部3aは透明基板1上の透明電極から引き出されたものであり,配線部3bは透明基板3b上の透明電極から上下導通部としてのシール材7の一部を経て導電接続されたものである。この配線パターンは,透明基板1,2の表面(相互に対向する内表面)上に形成された透明電極と同時に形成されたものであり,一般にITO(インジウムスズ酸化物)からなる。
【0004】上記配線パターンの配線部3a,3bの先端部は,外部のフレキシブル基板等の配線部材,コネクタ類,ICチップ等などの液晶パネルを駆動するための信号を供給する外部回路に対して導電接続される端子部3dとなっている。これらの端子部3dは透明基板1の基板張出部1aの外縁に沿って並列配置されている。
【0005】上記端子部3dに対して各種部材が実装された後,最終的に,液晶パネルに付着した塵埃や水分などイオン性の汚染物に起因する配線パターンの電解腐食(電蝕,或いは,コロージョン)を防止するために,上記基板張出部1aの表面上にシリコーン樹脂などが塗布され,封止される。
【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,近年の液晶装置においては,表示容量が増大して電極及び配線の線幅や間隔が狭小化してきているとともに,電気光学パネル駆動の高デューティ化に伴って駆動電圧が上昇してきているために,配線パターンにコロージョンが発生しやすくなってきており,上記のような樹脂封止のみではコロージョンを十分に防止することが困難になってきている。
【0007】そこで本発明は上記問題点を解決するものであり,その課題は,電気光学装置において,基板上に露出形成された配線パターンのコロージョンを防止するための構造及び製法を提供することにある。」

記載事項ウ
「【0018】[第1実施形態]図1は本実施形態における電気光学パネルである液晶パネル10の一部を拡大して示す拡大部分断面図であり,図2は液晶パネル10の拡大部分平面図である。
【0019】本実施形態の液晶パネル10は,図10に示す従来例とほぼ同様の基本構造を備えており,透明基板11と12とがシール材17を介して貼り合わせられる。シール材17の内側に電気光学物質材料である液晶18が封入されて,透明基板上に液晶が配置される。透明基板11の透明基板12と対向する面(対向面)上には,シール材17の付着される部分の内側(すなわち液晶封入領域に相当する部分)にストライプ状の複数のITOからなる透明電極13が形成され,これと同時に,基板張出部11aの表面上にもITOからなる配線パターンである配線部13a,13bが形成されている。配線部13a,13bの先端部は端子部13dとして用いられる。配線部13aは透明電極13に導電接続されている。
【0020】透明電極13の上には,酸化シリコンなどからなる図示しない絶縁膜(オーバーコート膜)が必要に応じて形成され,その上にさらに,配向膜14が塗布形成される。
【0021】また,透明基板12の透明基板11と対向する面上にも,ITOからなる透明電極15が形成される。表示領域では,透明電極15は,透明基板11上の電極13と直交する方向に延在するストライプ状に配置される。その上に必要に応じて図示しない絶縁膜が形成され,さらにその上に配向膜16が積層形成される。透明電極15は上下導通部を介して上記配線部13bに導電接続される。
【0022】次に,上記のように形成された液晶表示パネル10の基板張出部11aの表面に対して,酸素(O_(2))プラズマ処理を施し,露出した透明基板11の表面を清浄化するとともに,基板張出部11a上の配線部13a,13bの全表面に薄い絶縁酸化膜19を形成する。酸素プラズマ処理は,酸素ガスに,必要に応じて適宜の不活性ガス(Arガス)等を混合したものを,高電圧の印加によってプラズマ化し,このプラズマに被処理材をさらすものである。酸素プラズマ処理は低温で処理できる点で好ましい。
【0023】特に,大気圧化(当審注:「大気圧化」は「大気圧下」の誤記である。)で上記プラズマを被処理材(液晶表示パネル)に吹き付ける大気圧プラズマ装置にて処理を行うことが製造効率上好ましい。」

記載事項エ
「【0025】絶縁酸化膜19は,3nm以上で,20nm以下の厚さ,及び,酸化前の配線部13a,13bの厚さの1/3以下の厚さ,或いは,酸化後の配線部の厚さの1/2以下の厚さに形成することが好ましい。」

記載事項オ
「【0032】本実施形態では,ITOからなる配線部の表面を酸化処理することによって配線間の絶縁性を確保しているので,酸化シリコン等の絶縁材料を塗布する必要がなく,絶縁材料を塗布する場合に比べて密着性や機密性(当審注:「機密性」は「気密性」の誤記である。)の点で優れているため,膜厚が薄くても充分な絶縁性を確保することができる。また,配線パターンを全面的に絶縁酸化膜19が被覆するようにしているためにパターニングの必要がなく,さらに,他部材に導電接続される端子部13d上にも絶縁酸化膜19が形成されていることにより,端子部間において発生するコロージョンも確実に防止することができる。」

記載事項カ
「【0057】以上説明した本発明の電気光学装置及びその製造方法は,上述の図示例にのみ限定されるものではなく,本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0058】本実施形態においては,液晶パネルを有する液晶装置を例として説明したが本発明の電気光学装置としては,エレクトロルミネッセンスパネル,プラズマディスプレイパネル,フィールドエミッションダイオードパネルなどのパネルを備えた電気光学装置に適用できる。」

これら記載事項及び各図を考慮して引用例に記載された発明を分説して記載すると,下記のとおりとなる(以下,この発明を「引用発明」といい,また,分説された構成を「構成要件A」などという。)。

A 透明基板(11)と透明基板(12)とがシール材(17)を介して貼り合わせられ,シール材(17)の内側に電気光学物質材料である液晶(18)が封入された液晶パネル(10)であって,
B 透明基板(11)の透明基板(12)と対向する面上には,シール材(17)の付着される部分の内側にストライプ状の複数のITOからなる透明電極(13)が形成され,
C これと同時に,基板張出部(11a)の表面上にもITOからなる配線パターンである配線部(13a,13b)が形成され,配線部(13a,13b)の先端部は端子部(13d)として用いられ,配線部(13a)は透明電極(13)に導電接続され,
D 透明基板(12)の透明基板(11)と対向する面上にも,ITOからなる透明電極(15)が形成され,表示領域では,透明電極(15)は,透明基板(11)上の透明電極(13)と直交する方向に延在するストライプ状に配置され,
E 透明電極(15)は上下導通部を介して上記配線部(13b)に導電接続され,
F 次に,上記のように形成された液晶表示パネル(10)の基板張出部(11a)の表面に対して,酸素プラズマ処理を施し,露出した透明基板(11)の表面を清浄化するとともに,基板張出部(11a)上の配線部(13a,13b)の全表面に薄い絶縁酸化膜(19)を形成し,
G 絶縁酸化膜(19)は,3nm以上で,20nm以下の厚さ,及び,酸化前の配線部(13a,13b)の厚さの1/3以下の厚さ,或いは,酸化後の配線部の厚さの1/2以下の厚さに形成することが好ましく,
H 絶縁材料を塗布する場合に比べて密着性や気密性の点で優れているため,膜厚が薄くても充分な絶縁性を確保することができ,配線パターンを全面的に絶縁酸化膜(19)が被覆するようにしているためにパターニングの必要がなく,基板上に露出形成された配線パターンのコロージョンを防止する,
I 液晶パネル(10)。

4 対比
本件補正後発明と引用発明を対比すると以下のとおりとなる。

(1) 引出配線
構成要件BないしEからみて,引用発明の「配線部(13a,13b)」と本件補正後発明の「引出配線」は,(後述の一応の相違点を除いた)「表示領域の外側に引出された複数の引出配線」の点で一致する。

(2) 保護部材
構成要件FないしHからみて,引用発明の「絶縁酸化膜(19)」と本件補正後発明の「保護部材」は,「前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材」の点で一致する。
また,構成要件G及び技術常識を勘案すると,引用発明の「絶縁酸化膜(19)」と本件補正後発明の「保護部材」は,「隣り合う引出配線の間に前記保護部材の形成されない領域が設けられる」という構成を備える点で一致する。

(3) 電気光学パネル
引用発明の「液晶パネル(10)」は本件補正後発明の「電気光学パネル」に相当する。

そうしてみると,本件補正後発明と引用発明は,
「表示領域の外側に引出された複数の引出配線と,前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材とを具備する電気光学パネルであって,
隣り合う引出配線の間に前記保護部材の形成されない領域が設けられる電気光学パネル。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点1)
本件補正後発明の「電気光学パネル」は「支持基板上において,一対の電極間に電気光学機能層を狭持し形成される複数の電気光学素子と,前記電極に夫々導通すると共に前記電気光学素子による」表示領域の外側に引出された複数の引出配線と,前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材とを具備するものであるのに対して,引用発明の「液晶パネル(10)」は,一応,これが明らかではない点。

(相違点2)
本件補正後発明の「引出配線」は「下部電極と,前記下部電極の上面を覆う,前記下部電極より低抵抗のコート部材とで構成され,前記引出配線における,前記コート部材の上面及び側面と,前記下部電極の側面とが,前記保護部材により覆われ」という構成を備えるのに対して,引用発明の「配線部(13a,13b)」は,これが明らかではない点。

5 判断
(相違点1について)
構成要件A,B及びD並びに技術常識からみて,引用発明における「透明電極(13)」と「透明電極(15)」が交差する領域部分が,「透明電極(13)」と「透明電極(15)」の間に「液晶(18)」を挟持して画像を構成する最小単位(以下「画素」という。)であることは,技術的に見て明らかである。また,引用発明はこの「画素」をマトリクス状に多数備える。したがって,引用発明の「画素」と本件補正後発明の「電気光学素子」は,「一対の電極間に電気光学機能層を狭持し形成される複数の電気光学素子」の点で一致する。
さらに,構成要件C及びEを考慮すると,引用発明の「配線部(13a,13b)」は,「前記電極に夫々導通すると共に前記電気光学素子による表示領域の外側に引出された複数の引出配線」である。
そして,構成要件AないしFからみて,引用発明の「画素」,「配線部(13a,13b)」及び「絶縁酸化膜(19)」は,いずれも,「透明基板(11)」に接して「透明基板(12)」の側にある。したがって,引用発明の「液晶パネル(10)」は,「透明基板(11)」上において「画素」,「配線部(13a,13b)」及び「絶縁酸化膜(19)」を具備する。
そうしてみると,相違点1は実質的な相違点とはいえない。

あるいは,以下のように考えることもできる。
引用例の【0058】(記載事項カ)を考慮すると,引用発明の「液晶パネル(10)」をパッシブマトリクス型エレクトロルミネッセンスパネルに変更して具体化することは当業者が容易にできることである。また,「パッシブマトリクス型エレクトロルミネッセンスパネル」が「支持基板上において,一対の電極間に電気光学機能層を狭持し形成される複数の電気光学素子と,前記電極に夫々導通すると共に前記電気光学素子による表示領域の外側に引出された複数の引出配線と,前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材とを具備する」ことは技術的に見て明らかである。
そうしてみると,引用発明において相違点1に係る構成を備えるように変更することは当業者が容易にできることである。

(相違点2について)
引用発明の「配線部(13a,13b)」の材質はITOであるところ,ITOからなる配線の配線抵抗を改善するために「下部電極と,前記下部電極の上面を覆う,前記下部電極より低抵抗のコート部材」で配線を構成することは周知技術(必要ならば,特開2003-228059号公報の図4及びその説明,特開2003-163080号公報の段落0031?0037,0025),特開2003-15604号公報の0071ないし0077,特開2001-76885号公報の図7及びその説明を参照。)であるから,当業者がこの周知技術を採用することは必要に応じて容易にできることである。
そして,引用発明において周知技術を採用してなるものは,当然に「前記引出配線における,前記コート部材の上面及び側面と,前記下部電極の側面とが,前記保護部材により覆われ」という構成を備えたものとなる。

6 備考
引用発明の「絶縁酸化膜(19)」は,密着性や気密性の点で優れており,また,配線パターンを全面的に被覆するものである(構成要件H)。したがって,引用発明の「絶縁酸化膜(19)」が塵埃や水分などの付着から引出配線を保護する機能に加えて,引出配線が断線するような(深い)傷が入るのを防止する機能をもある程度奏することは,技術的にみて明らかである。
したがって,引用発明の「絶縁酸化膜(19)」と本件補正後発明の「保護部材」は,「前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材」の点で一致する。

また,本件補正後発明の作用効果は,引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。

7 小括
以上のとおり,本件補正後発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成21年9月29日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの下記のものである(以下「本願発明」という。)。



支持基板上において,一対の電極間に電気光学機能層を狭持し形成される複数の電気光学素子と,前記電極に夫々導通すると共に前記電気光学素子による表示領域の外側に引出された複数の引出配線と,前記引出配線を保護する絶縁部材とを具備する電気光学パネルであって,
前記複数の引出配線は,夫々その側面および上面が前記絶縁部材により覆われ,
隣り合う引出配線の間に前記絶縁部材の形成されない領域が設けられることを特徴とする電気光学パネル。

2 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は「第2 補正の却下の決定」の「3 引用例」に記載したとおりである。

3 対比及び判断
本願発明は,本件補正後発明の「前記引出配線を保護する絶縁部材からなる保護部材」及び「前記引出配線は,下部電極と,前記下部電極の上面を覆う,前記下部電極より低抵抗のコート部材とで構成され,前記引出配線における,前記コート部材の上面及び側面と,前記下部電極の側面とが,前記保護部材により覆われ」という構成を,「前記引出配線を保護する絶縁部材」及び「前記複数の引出配線は,夫々その側面および上面が前記絶縁部材により覆われ」という構成に拡張するものである。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含みさらに構成を減縮したものに相当する本件補正後発明が「第2 補正の却下の決定」で述べた理由により引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,しかも,本願発明が相違点2に係る構成を備えない点を考慮すると,本願発明は引用例に記載された発明と同一である,あるいは,引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 小括
以上のとおり,本願発明は引用例に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定に違反するものであるから特許を受けることができない。あるいは,本願発明は引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 総括
したがって,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-02 
結審通知日 2011-06-03 
審決日 2011-06-16 
出願番号 特願2004-33019(P2004-33019)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 久則  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 吉川 陽吾
樋口 信宏
発明の名称 電気光学パネル  
代理人 木下 茂  

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