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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1240928
審判番号 不服2009-3462  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-16 
確定日 2011-07-25 
事件の表示 特願2003-125818「情報処理装置及び情報処理方法ならびに記憶媒体、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月25日出願公開、特開2004-334339〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成15年4月30日の特許出願であって、平成20年9月18日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年11月21日付けで手続補正がなされ、平成21年1月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年2月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年3月18日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成21年3月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年3月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
(1)補正前の請求項
「 【請求項1】
入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置であって、
前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割手段と、
前記各検索手段により算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段と、
前記各検索手段が前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定手段により設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出手段と、
前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度と、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを、総合類似度の高い順にソーティングして表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度をグラフ表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の検索手段は、
前記分割手段により分割された各領域のうち、テキスト領域から文字認識により抽出されたテキストデータに基づいて全文検索する手段と、
前記テキストデータに基づいて概念検索する手段と、
前記分割手段により分割された各領域のうち、イメージ領域から抽出された特徴量に基づいてイメージ検索する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分割手段により分割された各領域のうち、前記各検索手段に対応する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する検索領域指定手段を更に備え、
前記総合類似度算出手段は、前記各検索手段が前記検索領域指定手段により指定された領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定手段により設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分割手段により分割された各領域のうち、検索時に重視する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する領域指定手段を更に備え、
前記設定手段は、前記領域指定手段で指定された領域の重み付けが大きくなるように前記重み付け係数を設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出された総合類似度が所定値以下の場合に、前記入力される文書画像をベクトルデータに変換する変換手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記変換手段は、
前記入力される文書画像中の文字を認識する文字認識手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記変換手段は、
前記入力される文書画像を前記分割手段により分割された領域ごとにベクトルデータに変換することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置における情報処理方法であって、
分割手段が、前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割工程と、
設定手段が、前記各検索手段により算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定工程と、
総合類似度算出手段が、前記各検索手段が前記分割工程において分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定工程において設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出工程と、
表示手段が、前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
前記表示工程は、
前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度と、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを、総合類似度の高い順にソーティングして表示することを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記表示工程は、前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度をグラフ表示することを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記複数の検索手段は、
前記分割工程において分割された各領域のうち、テキスト領域から文字認識により抽出されたテキストデータに基づいて全文検索する手段と、
前記テキストデータに基づいて概念検索する手段と、
前記分割工程において分割された各領域のうち、イメージ領域から抽出された特徴量に基づいてイメージ検索する手段と
を備えることを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記分割工程において分割された各領域のうち、前記各検索手段に対応する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する検索領域指定工程を更に備え、
前記総合類似度算出工程は、前記各検索手段が前記検索領域指定工程において指定された領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定工程において設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出された積算値を加算することにより総合類似度を算出することを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記分割工程において分割された各領域のうち、検索時に重視する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する領域指定工程を更に備え、
前記設定工程は、前記領域指定工程において指定された領域の重み付けが大きくなるように前記重み付け係数を設定することを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記算出された総合類似度が所定値以下の場合に、前記入力される文書画像をベクトルデータに変換する変換工程を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記変換工程は、
前記入力される文書画像中の文字を認識する文字認識工程を備えることを特徴とする請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記変換工程は、
前記入力される文書画像を前記分割工程において分割された領域ごとにベクトルデータに変換することを特徴とする請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項19】
請求項10乃至18のいずれか1つに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項20】
請求項10乃至18のいずれか1つに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。」

(2)補正後の請求項
「 【請求項1】
入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置であって、
前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各領域のうち、検索時に重視する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する領域指定手段と、
前記各検索手段で検索することにより算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段と、
前記領域指定手段によって指定された領域について、前記設定手段によって設定された重み付け係数が大きくなるように前記重み付け係数を変更し、前記領域指定手段によって指定されなかった領域について、前記設定手段によって設定された重み付け係数が小さくなるように前記重み付け係数を変更する変更手段と、
前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出した各類似度と、前記変更手段により変更された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出手段と、
前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示手段と、を備え、
前記変更手段において変更された重み付け係数が閾値以下になる領域は、前記検索手段による検索を行わないことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度と、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを、総合類似度の高い順にソーティングして表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度をグラフ表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の検索手段は、
前記分割手段により分割された各領域のうち、テキスト領域から文字認識により抽出されたテキストデータに基づいて全文検索する手段と、
前記テキストデータに基づいて概念検索する手段と、
前記分割手段により分割された各領域のうち、イメージ領域から抽出された特徴量に基づいてイメージ検索する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出された総合類似度が所定値以下の場合に、前記入力される文書画像をベクトルデータに変換する変換手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記変換手段は、
前記入力される文書画像中の文字を認識する文字認識手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記変換手段は、
前記入力される文書画像を前記分割手段により分割された領域ごとにベクトルデータに変換することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置における情報処理方法であって、
分割手段が、前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割工程と、
領域指定手段が、前記分割工程において分割された各領域のうち、検索時に重視する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する領域指定工程と、
設定手段が、前記各検索手段で検索することにより算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定工程と、
変更手段が、前記領域指定工程において指定された領域について、前記設定工程において設定された重み付け係数が大きくなるように前記重み付け係数を変更し、前記領域指定工程において指定されなかった領域について、前記設定工程において設定された重み付け係数が小さくなるように前記重み付け係数を変更する変更工程と、
総合類似度算出手段が、前記分割工程において分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出した各類似度と、前記変更工程において変更された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出工程と、
表示手段が、前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示工程と、
前記変更工程において変更された重み付け係数が閾値以下になる領域は、前記検索手段による検索を行わないことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
前記表示工程は、
前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度と、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを、総合類似度の高い順にソーティングして表示することを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記表示工程は、前記抽出された類似する画像データそれぞれの総合類似度をグラフ表示することを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記複数の検索手段は、
前記分割工程において分割された各領域のうち、テキスト領域から文字認識により抽出されたテキストデータに基づいて全文検索する手段と、
前記テキストデータに基づいて概念検索する手段と、
前記分割工程において分割された各領域のうち、イメージ領域から抽出された特徴量に基づいてイメージ検索する手段と
を備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記算出された総合類似度が所定値以下の場合に、前記入力される文書画像をベクトルデータに変換する変換工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記変換工程は、
前記入力される文書画像中の文字を認識する文字認識工程を備えることを特徴とする請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記変換工程は、
前記入力される文書画像を前記分割工程において分割された領域ごとにベクトルデータに変換することを特徴とする請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか1つに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項16】
請求項8乃至14のいずれか1つに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。」


2.独立特許要件について
本件補正のうち、請求項1に係る補正は、補正前の請求項1を引用した請求項6に記載した発明を特定するために必要な事項である重み付け係数の設定に関して、「前記領域指定手段によって指定されなかった領域について、前記設定手段によって設定された重み付け係数が小さくなるように前記重み付け係数を変更する」点を限定し、また、検索手段に関して、「前記変更手段において変更された重み付け係数が閾値以下になる領域は、前記検索手段による検索を行わない」点を限定したものあって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)引用例
(1-1)引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-319231号公報(以下、「引用例1」という)には、下記の事項が記載されている。

(あ)「【0017】入力画像は、例えば、イメージスキャナ607によって文書等が読み込まれ、カラー画像、または、白黒多値画像または二値画像として外部記憶装置604等に記憶される。」

(い)「【0022】次に、図1に戻り、ステップS101では、入力画像に対して領域分割処理を実行する。領域分割処理とは、画像を、その内容の種別に従ったブロック(領域)に分割する処理である。例えば、画像中のテキスト部分、イメージ部分、表部分等の種別に従ったブロックに分割する処理である。このような領域分割処理の具体的内容は種々提案されており、例えば、特開平06-068301号公報等において開示されている。」

(う)「【0046】この集合S2のなかから、入力画像にもっとも近いものを以下のように選び出す。上記検索では、双方の対応するブロックについて、ブロック位置とブロックサイズを比較し、距離計算を行った。今度は、各対応するブロックの中身の比較をして、さらに距離計算を行う。それには、テキストブロック同士の比較とイメージブロック同士の比較がある。入力画像と登録画像との対応するテキストブロックをTXTB2,TXTBとする。対応付けは、ブロックの中心のX座標を第1キー、Y座標を第2キーとしてソートした場合に同順位にあるブロックを対応させることで行う。これらのテキストブロックを2値化してOCR(光学的文字認識)を行えば文字列が得られる。そしてTXTB2の文字列とTXTBの文字列をDPマッチング(Dynamic Programming:動的計画法)の手法で比較することにより、
TXTB2にあって、TXTBにない文字の個数:n1
TXTB2になくて、TXTBにある文字の個数:n2
TXTB2とTXTBと対応する文字列が異なっている文字の個数:n32,n3(n32は、TXTB2のほうの文字数、n3はTXTBのほうの文字数である)
が求められる。DPマッチングは、例えば、情報科学講座「音声認識」(新美康永著、共立出版)の107ページにも開示されている公知の技術である。
【0047】図5は、TXTB2とTXTBの各文字列をDPマッチングした例の説明図である。図で各文字列は太線で表されている。Eの部分は、文字列が一致した部分、Xの部分は上記1(TXTB2にあって、TXTBにない文字)の部分、Yの部分は上記2(TXTB2になくて、TXTBにある文字)の部分、Zの部分は上記3(TXTB2とTXTBと対応する文字列が異なっている文字)の部分である。
【0048】この結果、2つのテキストブロックTXTB2とTXTBの距離を次のように計算できる。
【0049】D(TXTB2,TXTB)=(n1+n2+n32+n3)/NC
ここで、NCはTXTB2の文字数とTXTBの文字数の合計である。
【0050】このようにして、対応するテキストブロックについて距離が求まる。また、入力画像と登録画像との間で、テキストブロック数が一致しない場合も考えられる。たとえば、入力画像のほうがテキストブロック数が多くて、TXTB2に対応する登録画像のテキストブロックがないならば、距離は1となる。このようにして、すべてのテキストブロックについて求まった距離を合計したものをテキストブロック距離と呼ぶことにする。
【0051】今度は、イメージブロックについて入力画像と登録画像との比較である。入力画像のイメージブロックIMGB2と登録画像のイメージブロックIMGBが対応するものとする。対応付けは、ブロックの中心のX座標を第1キー、Y座標を第2キーとしてソートした場合に同順位にあるブロックを対応させることで行う。IMGB2を二値化してできる画像について、全画素数に対する黒画素数の比(すなわち、黒画素数÷全画素数)ratio(IMGB2)を求める。同様にして、ratio(IMGB)を求める。
【0052】
|ratio(IMGB2)-ratio(IMGB)|
をIMGB2とIMGBとの距離とする。対応するイメージブロックがない場合は、距離は最大値の1とする。そして、全イメージブロックについての距離の合計値をイメージブロック距離と呼ぶことにする。
【0053】さて、入力画像と登録画像との詳細識別距離dを
d=テキストブロック距離+β×イメージブロック距離
で求める。ここで、βは前に述べたαと同様で、イメージブロック距離にかける重みづけファクターである。画像の識別がうまくいくように実験的にβをもとめるのが望ましいが、イメージブロックのほうがテキストブロックよりも精度良く抽出できる(つまり信頼性が高い)ので、おおまかに1より大きい値(たとえば2)にしてもよい。上記dを第2識別関数と呼ぶ。
【0054】さて、集合S2のすべての登録画像と入力画像との詳細識別距離dを求め、ステップS206では、最小の詳細識別距離d0について、所定の値δと比較する。δよりd0が小さければ、このd0を与える集合S2の登録画像を入力画像と一致する登録画像だと判定する。」

(え)「【0060】たとえば、文書画像を検索したい場合、手元に探し出したい文書画像とほとんど同じであるが、少し違っている文書画像があり、原本の文書画像をデータベースから取り出したいという用途がある。この場合、データベースが前記実施形態のように構成されていれば、手元にある文書画像ともっとも似通った文書画像の検索を、手作業によらず、行うことができる。このような用途としては、手元の文書画像は原本を何回もコピーしたものによるものであるために、印刷状態が悪くなったものであった場合、原本から再び印刷状態の良好な文書を取り出したいというケースがある。」

(お)上記(え)には、引用例1に記載された実施形態の用途として、手元にある文書画像ともっとも似通った文書画像を検索することが記載され、また、実施形態では上記(あ)に、文書等がイメージスキャナで読み込まれて入力画像となることが記載されているので、引用例1には、入力される文書画像に類似する文書画像を検索する画像処理装置が記載されている。

(か)上記(う)には、文字列をDPマッチングの手法で比較することによりテキストブロックの比較を行い、全画素数に対する黒画素数の比の差からイメージブロックの比較を行うことが記載されているので、引用例1には、テキストブロックの比較とイメージブロックの比較を行う複数の検索手段が記載されているといえる。

(き)上記(い)には、入力画像をテキスト部分とイメージ部分のブロックに分割する処理を行うことが記載されているので、引用例1には、入力される文書画像をテキスト部分とイメージ部分のブロックに分割する分割手段が記載されているといえる。

(く)上記(う)には、「すべてのテキストブロックについて求まった距離を合計したものをテキストブロック距離と呼ぶことにする。」、「全イメージブロックについての距離の合計値をイメージブロック距離と呼ぶことにする。」と記載されているので、テキストブロック距離はすべてのテキストブロックについて算出した距離の値を積算したものということができ、イメージブロック距離はすべてのイメージブロックについて算出した距離の値を積算したものということができる。

(け)上記(う)には、βをイメージブロック距離にかける重みづけファクターとすると、入力画像と登録画像との詳細識別距離dは、
d=テキストブロック距離+β×イメージブロック距離
で求まること、及び、βの値は実験的に求めた値か1より大きい値とすることが記載されているので、引用例1に記載された構成は、イメージブロックに対して重みづけファクターを設定する何らかの設定手段を有しているといえる。
また、引用例1には、テキストブロックについて算出した距離の値を積算したテキストブロック距離と、イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離に前記設定手段で設定された重みづけファクターをかけた値とを加算することにより詳細識別距離dを算出する算出手段が記載されているといえる。

よって、上記(あ)乃至(け)及び関連図面の記載から、引用例1には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「入力される文書画像に類似する文書画像を検索する、テキストブロックの比較による検索手段とイメージブロックの比較による検索手段を有する画像処理装置であって、
前記入力される文書画像を前記テキストブロックと前記イメージブロックに分割する分割手段と、
前記イメージブロックに対して重みづけファクターを設定する設定手段と、
前記分割手段により分割された各ブロックのうち、前記テキストブロックについて算出した距離の値を積算したテキストブロック距離と、前記イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離に前記設定手段で設定された前記重みづけファクターをかけた値とを加算することにより詳細識別距離を算出する算出手段と
を備える画像処理装置。」

(1-2)引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-148793号公報(以下、「引用例2」という)には、下記の事項が記載されている。

(こ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合メディア文書の類似検索方法及び装置及び複合メディア文書の類似検索プログラムを格納した記憶媒体に係り、特に、複合メディア文書データベースについて、類似した複合メディア文書を検索するための複合メディア文書の類似検索方法及び装置及び複合メディア文書の類似検索プログラムを格納した記憶媒体に関する。」

(さ)「【0067】蓄積部60は、与えられた文書をメモリ70に蓄積する。また、各特徴情報から当該特徴情報を含んでいた文書への索引を作成する。文書比較部80は、例示された複合メディア文書とメモリ70に蓄積された複合メディア文書との特徴情報を比較することにより、類似度を求め、類似度の高いものを出力する。複合メディア文書としての類似度は、テキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの個々の類似度計算結果に基づいた評価値を計算したものとする。例えば、テキスト情報、画像情報、音声情報などの類似度に関しては、多次元ベクトル空間モデルに基づき、各特徴情報を多次元ベクトル空間上へマッピングし、多次元ベクトル空間上の例示された文書の特徴情報と蓄積された文書の特徴情報との2点間の距離が近ければ、類似度が高くなるように設定するというアプローチを採用することが可能である。また、蓄積された文書の類似度を降順に並べることで順位付けをし、類似度を判定することも可能である。」

(し)「【0070】ステップ104) 蓄積部60は、与えられた文書及び、各特徴情報から当該特徴情報を含んでいた文書への索引を作成し、メモリ70に格納する。次に、複合メディア文書検索フェーズの動作を説明する。図6は、本発明の複合メディア文書検索フェーズのフローチャートである。
ステップ201) 検索条件入力部30は、検索条件入力装置20であるキーボードから文書のファイル名を入力させたり、マウスを操作させて文書のアイコンをクリックさせたり、前回の検索結果で得られた文書をマウスでクリックさせることで、検索キーとして入力する複合メディア文書を取得する。この時、文書中のどの部分の類似性を重視するかという重みの値と、検索結果として返却する文書数kを利用者から取得する。あるいは、システムのデフォルト値を利用する。
【0071】ステップ202) 次に、複合メディア文書解析部40は、複合メディア文書蓄積フェーズの処理と同様に、複合メディア検索条件入力部30から入力された複合メディア文書の構文解析を行い、テキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの文書の構成要素を検出する。
ステップ203) 特徴情報抽出部50が、複合メディア文書蓄積フェーズと同様に、テキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの文書構成要素の特徴情報を、特徴情報が格納されていた文書のID、エレメント名や出現位置の情報と共に抽出し、例示された文書のテキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの文書の構成要素について特徴情報を抽出する。当該処理をすべての構成要素の数分繰り返す。
【0072】ステップ204) 文書比較部80は、例示された文書の特徴情報とメモリ70に蓄積された文書の特徴情報とを比較し、個々の特徴情報毎に類似度を計算し、それらの計算結果に基づいた評価値を複合メディア文書としての類似度として計算する。類似度の計算方法は後述する。」

(す)「【0083】(5) 第5の類似度計算方法:テキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの類似度をそれぞれ計算し、検索条件入力部30で取得した文書中のどの部分の類似性を重視するかという重みの値、あるいは、システムのデフォルト値に基づいて、テキスト情報、画像情報、音声情報、構造情報などの類似度それぞれに与えられた個別の重みの値を掛け、線形和をとる。この線形和をとったものが、複合メディア文書としての類似度に相当する。」

(せ)上記(し)には、「文書中のどの部分の類似性を重視するかという重みの値と、検索結果として返却する文書数kを利用者から取得する。」と記載されているので、引用例2に記載された類似検索装置では、利用者の指示に基づいて、類似性を重視する部分の指定と、指定された部分についての重みの値の設定とが行われているといえる。

よって、上記(こ)乃至(せ)の記載及び関連図面の記載から、引用例2には、実質的に下記の事項が記載されている。
「入力された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報と、蓄積された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報を比較し、個々の特徴情報毎に類似度計算を行うことで、入力された文書と類似した文書を検索する検索装置において、
類似度は特徴情報間の距離が近ければ類似度が高くなるアプローチを採用し、
利用者の入力により、類似性を重視する部分の指定と、指定された部分についての重みの値の設定とが行われ、
テキスト情報、画像情報の類似度それぞれに個別の前記重みの値を掛けて線形和をとること。」


(2)対比
(2-1)本件補正発明と引用発明との対応関係について
(ア)引用発明の「類似する文書画像」、「テキストブロックの比較による検索手段とイメージブロックの比較による検索手段」、「前記テキストブロックと前記イメージブロックに分割する」、「重みづけファクター」は、本件補正発明の「類似する画像データ」、「種別の異なる複数の検索手段」、「属性ごとの領域に分割する」、「重み付け係数」に相当する。
(イ)引用発明の「画像処理装置」は、「入力される文書画像に類似する文書画像を検索」するものであるから、本件補正発明の「情報処理装置」に相当する。
(ウ)引用発明の「前記イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離」は、イメージブロックの比較による検索手段で検索することで算出された値であるから、引用発明と本件補正発明は、検索手段で検索することにより算出される値に対して、重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段を有している点で共通する。
(エ)引用例1には、テキストブロック内から抽出された特徴量である文字列を用いてテキストブロックの比較が行われ、イメージブロック内から抽出された特徴量である黒画素数を用いてイメージブロックの比較が行われることが上記(う)に記載されているので、引用発明の検索も本件補正発明の「対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出」を行っているといえる。
(オ)引用発明と本件補正発明は、前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出した値と、前記重み付け係数とにより総合値を算出する総合値算出手段を有している点で共通している。

(2-2)本件補正発明と引用発明の一致点について
上記の対応関係から、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。
「入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置であって、
前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割手段と、
前記検索手段で検索することにより算出される値に対して重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段と、
前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出した値と、前記重み付け係数とにより総合値を算出する総合値算出手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。」

(2-3)本件補正発明と引用発明の相違点について
本件補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。
(相違点1)
本件補正発明は、「前記分割手段により分割された各領域のうち、検索時に重視する領域を、ユーザの指示に基づいて指定する領域指定手段」を有しているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

(相違点2)
本件補正発明は、各検索手段で検索することにより「類似度」が算出され、また、設定手段で「各検索手段で検索することにより算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定」しているのに対し、引用発明は、各検索手段で検索することにより「距離」が算出され、また、設定手段で「前記イメージブロックに対して重みづけファクターを設定」している点。

(相違点3)
本件補正発明は、「前記領域指定手段によって指定された領域について、前記設定手段によって設定された重み付け係数が大きくなるように前記重み付け係数を変更し、前記領域指定手段によって指定されなかった領域について、前記設定手段によって設定された重み付け係数が小さくなるように前記重み付け係数を変更する変更手段」を有しているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

(相違点4)
総合値算出手段について、本件補正発明は、「前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて前記各検索手段で検索することにより算出した各類似度と、前記変更手段により変更された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出手段」であるのに対し、引用発明は「前記分割手段により分割された各ブロックのうち、前記テキストブロックについて算出した距離の値を積算したテキストブロック距離と、前記イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離に前記設定手段で設定された前記重みづけファクターをかけた値とを加算することにより詳細識別距離を算出する算出手段」である点。

(相違点5)
本件補正発明は、「前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示手段」を有しているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

(相違点6)
本件補正発明は、「前記変更手段において変更された重み付け係数が閾値以下になる領域は、前記検索手段による検索を行わない」のに対し、引用発明はそのような処理を行っていない点。

(3)当審の判断
(3-1)相違点1乃至相違点4、及び相違点6について
検索する情報と蓄積された情報の特徴量毎に算出した類似度を示す値に特徴量毎の重みを加味して加算することで、蓄積された情報から類似情報を検索する検索装置において、特定の重みの値を大きくすることに対応して他の重みの値を小さくすることは、例えば、特開2001-134765号公報の段落【0040】?【0045】及び図7に、ユーザが検索において重視する領域を指定すると、重視する領域については大きな値の重みによって計算し、重視していない領域については小さな値の重みによって計算することが記載され、特開平11-212993号公報の段落【0034】に、特徴量毎の類似度に対して特徴量毎の重みを全ての重みの和で除算した値で乗算する計算式、即ち、ユーザによって特定の特徴量に対応した重みを大きな値に変更すると、特定の特徴量の類似度に乗算される重みの値は大きくなるが、他の特徴量の類似度に乗算される重みの値は小さくなる類似度の計算式が記載されているように、周知技術である。

また、特徴量等の検索要素に対して重みを加味することで必要性の高い情報を検索する検索装置では、重みが小さな検索要素による検索等の処理を行わないことは、例えば、特開平10-240765号公報では、重みが0とされた特徴量についてはオブジェクトの検索や距離計算を行わないことが段落【0025】?【0033】に記載され、特開2000-112961号公報では、重みが0とされた特徴量については検索処理を行わないことが段落【0070】?【0073】、【0096】及び図18に記載され、特開2000-67080号公報では、重み付け値が閾値以下のキーワードを検索対象から除外することが段落【0048】に記載されているように、周知技術である。

さらに、引用文献2には、上記2.(1)(1-2)に記載したように、
「入力された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報と、蓄積された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報を比較し、個々の特徴情報毎に類似度計算を行うことで、入力された文書と類似した文書を検索する検索装置において、
類似度は特徴情報間の距離が近ければ類似度が高くなるアプローチを採用し、
利用者の入力により、類似性を重視する部分の指定と、指定された部分についての重みの値の設定とが行われ、
テキスト情報、画像情報の類似度それぞれに個別の前記重みの値を掛けて線形和をとること。」
の事項が記載されている。

してみると、引用発明に引用例2に記載された事項及び上記周知技術を適用することで、以下のa.?e.の構成を設けることに格別の技術的困難性は認められないから、上記相違点1乃至4及び6は、引用発明に引用例2に記載された事項及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
a.利用者の指示に基づいて類似性を重視するブロックを指定する指定手段を設けること。
b.テキストブロックについて算出した類似性を示す値及びイメージブロックについて算出した類似性を示す値に対してそれぞれ重みづけファクターを設定する設定手段を設けること。
c.指定手段で指定されたブロックに対する重みづけファクターを大きな値に変更するとともに指定されなかったブロックに対する重みづけファクターを小さな値に変更する変更手段を設けること。
d.各ブロックについて算出した類似性を示す値と、前記変更手段で変更された重みづけファクターの値との積算値を算出し、各算出した積算値を加算する算出手段を設けること。
e.前記変更手段で変更された重みづけファクターの値が小さいブロックについては検索を行わないこと。

(3-2)相違点5について
複数の検索手段を用いて類似情報を検索する検索装置において、検索結果のデータとともに、当該検索結果のデータに利用した検索手段が何であるかを表示することは、例えば、原査定の備考欄において参考文献として引用された特開平10-254903号公報の段落【0182】?【0186】に、複数のアルゴリズムを用いて対象の画像との類似度の計算を行い対象の画像に近い画像を検索する検索装置において、検索結果であるデータ画像と使用したアルゴリズムの名称を表示することが記載され、特開2002-7413号公報の段落【0060】及び図7に、検索結果である画像と当該画像のテキスト検索の類似度及び画像特徴検索の類似度等を表示することが記載されているように周知技術である。

してみると、引用発明に上記周知技術を適用することで、検索結果の表示において類似すると算出された文書画像だけではなく、検索の際に利用した検索手段の名称も表示させて相違点5の構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(3-3)本件補正発明の作用効果について
また、本件補正発明の作用効果も、引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
よって、本件補正発明は、引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成21年3月18日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成20年11月21日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置であって、
前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割手段と、
前記各検索手段により算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段と、
前記各検索手段が前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定手段により設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出手段と、
前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記第2 2.(1)に記載したとおりである。

(3)対比
(3-1)本願発明と引用発明との対応関係について
(ア)引用発明の「類似する文書画像」、「テキストブロックの比較による検索手段とイメージブロックの比較による検索手段」、「前記テキストブロックと前記イメージブロックに分割する」、「重みづけファクター」は、本願発明の「類似する画像データ」、「種別の異なる複数の検索手段」、「属性ごとの領域に分割する」、「重み付け係数」に相当する。
(イ)引用発明の「画像処理装置」は、「入力される文書画像に類似する文書画像を検索」するものであるから、本願発明の「情報処理装置」に相当する。
(ウ)引用発明の「前記イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離」は、イメージブロックの比較による検索手段で検索することで算出された値であるから、引用発明と本願発明は、検索手段により算出される値に対して、重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段を有している点で共通する。
(エ)引用例1には、テキストブロック内から抽出された特徴量である文字列を用いてテキストブロックの比較が行われ、イメージブロック内から抽出された特徴量である黒画素数を用いてイメージブロックの比較が行われることが上記(う)に記載されているので、引用発明と本願発明は、各検索手段が分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した値と、設定手段により設定された重み付け係数とにより総合値を算出する総合値算出手段を有している点で共通している。

(3-2)本願発明と引用発明の一致点について
上記の対応関係から、本願発明と引用発明は、下記の点で一致する。
「入力される文書画像に類似する画像データを検索する、種別の異なる複数の検索手段を有する情報処理装置であって、
前記入力される文書画像を属性ごとの領域に分割する分割手段と、
前記検索手段により算出される値に対して、重み付けを行うための重み付け係数を設定する設定手段と、
前記検索手段が前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した値と、前記設定手段により設定された前記重み付け係数とにより総合値を算出する総合値算出手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。」

(3-3)本願発明と引用発明の相違点について
本願発明と引用発明は、下記の点で相違する。
(相違点1)
本願発明は、各検索手段で検索することにより「類似度」が算出され、また、設定手段で「各検索手段により算出される各類似度に対してそれぞれ重み付けを行うための重み付け係数を設定」しているのに対し、引用発明は、各検索手段で検索することにより「距離」が算出され、また、設定手段で「前記イメージブロックに対して重みづけファクターを設定」している点。

(相違点2)
総合値算出手段について、本願発明は、「前記各検索手段が前記分割手段により分割された各領域のうち、対応する領域から抽出した特徴量を用いて算出した各類似度と、前記設定手段により設定された前記各重み付け係数との積算値を算出し、該算出した積算値を加算することにより総合類似度を算出する総合類似度算出手段」であるのに対し、引用発明は「前記分割手段により分割された各ブロックのうち、前記テキストブロックについて算出した距離の値を積算したテキストブロック距離と、前記イメージブロックについて算出した距離の値を積算したイメージブロック距離に前記設定手段で設定された前記重みづけファクターをかけた値とを加算することにより詳細識別距離を算出する算出手段」である点。

(相違点3)
本願発明は、「前記算出された総合類似度に基づいて抽出された類似する画像データと、該類似する画像データそれぞれに対する、前記総合類似度の算出に使用した検索手段の種別とを表示する表示手段」を有しているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

(4)判断
(4-1)相違点1及び2について
引用文献2には、上記第2 2.(1)(1-2)に記載したように、
「入力された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報と、蓄積された文書のテキスト情報及び画像情報から抽出した特徴情報を比較し、個々の特徴情報毎に類似度計算を行うことで、入力された文書と類似した文書を検索する検索装置において、
類似度は特徴情報間の距離が近ければ類似度が高くなるアプローチを採用し、
利用者の入力により、類似性を重視する部分の指定と、指定された部分についての重みの値の設定とが行われ、
テキスト情報、画像情報の類似度それぞれに個別の前記重みの値を掛けて線形和をとること。」
の事項が記載されている。

してみると、引用発明に引用例2に記載された事項を適用することで、以下のa.及びb.の構成を設けることに格別の技術的困難性は認められないから、上記相違点1及び2は、引用発明及び引用例2に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
a.テキストブロックについて算出した値及びイメージブロックについて算出した値に対してそれぞれ重みづけファクターを設定する設定手段を設けること。
b.各ブロックについて算出した値と、前記設定手段で設定された重みづけファクターの値との積算値を算出し、各算出した積算値を加算する算出手段を設けること。

(4-2)相違点3について
複数の検索手段を用いて類似情報を検索する検索装置において、検索結果のデータとともに、当該検索結果のデータに利用した検索手段が何であるかを表示することは、上記第2 2.(3)(3-2)に記載したように周知技術である。

してみると、引用発明に上記周知技術を適用することで、検索結果の表示において類似すると算出された文書画像だけではなく、検索の際に利用した検索手段の名称も表示させて相違点3の構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(4-3)本願発明の作用効果について
また、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-25 
結審通知日 2011-05-27 
審決日 2011-06-09 
出願番号 特願2003-125818(P2003-125818)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波内 みさ  
特許庁審判長 岩崎 伸二
特許庁審判官 加内 慎也
飯田 清司
発明の名称 情報処理装置及び情報処理方法ならびに記憶媒体、プログラム  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
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