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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1241000
審判番号 不服2009-9478  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-30 
確定日 2011-08-04 
事件の表示 特願2001-262173「半導体ウェーハの製造方法及び半導体ウェーハ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月14日出願公開、特開2003- 77924〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年8月30日の出願であって、平成21年3月25日付けで拒絶査定がされ、それに対して、同年4月30日に審判が請求されるとともに、同年5月27日に手続補正書が提出された。その後、前置審査において同年9月15日付けで拒絶理由が通知され、同年11月18日に手続補正書が提出された。その後、当審において平成22年12月3日付けで審尋がされ、平成23年2月7日に回答書が提出されたものである。


第2 本願発明
請求項1?8に係る発明のうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】シリコン基板の表面にシリコン単結晶をエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハを、作為的に酸化膜を形成することなく窒化ガスを含む雰囲気ガス中で900℃から1200℃までの範囲の熱処理温度かつ1secから60secまでの範囲の熱処理時間で急速加熱・急冷処理をすることにより熱処理し、前記エピタキシャル層表面から内部に空孔を注入して、酸素析出核を形成することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。」


第3 引用例の記載と引用発明
1 引用例とその記載内容
前置審査における拒絶の理由で引用した、本願の出願の日前に日本国内において頒布された刊行物である特表2001-509319号公報(以下「引用例」という。)には、「理想的な酸素析出シリコンウエハおよびそれのための酸素外方拡散の無い方法」(発明の名称)について、図1とともに、次の記載がある(下線は当審で付加。以下同じ。)。

ア 発明の背景
「発明の背景 本発明は、電子部品の製造において使用される半導体材料基板、特にシリコンウエハの製造に関する。特に、本発明は、本質的にいずれかの任意の電子デバイス製造法の熱処理サイクル中に、酸素析出物の理想的な不均一深さ分布をウエハが形成することを可能にするシリコンウエハの処理法に関する。
半導体電子部品のほとんどの製造方法のための出発材料である単結晶シリコンは、種単結晶を溶融シリコンに浸漬し次いで遅い引出によって成長させるいわゆるチョクラルスキー法によって一般に製造されている。溶融シリコンは、石英ルツボに収容されているので、種々の不純物によって汚染され、不純物の中で主たるものは酸素である。固化シリコンにおける酸素の実際の凝離係数によっておよび溶融塊の温度でのシリコン中における酸素の溶解性によって決まる濃度に酸素が達するまで、シリコン溶融塊の温度で、酸素が結晶格子に入る。当該濃度は、電子デバイスの製造方法に典型的な温度における固形シリコンにおける酸素の溶解性よりも高い。結晶が溶融塊から成長し冷却されると、酸素の溶解性は急速に減少し、これにより、得られるスライスまたはウエハにおいて、酸素は過飽和濃度で存在する。
電子デバイスの製造において一般的に使用される熱処理サイクルは、酸素が過飽和になっているシリコンウエハにおいて酸素の析出を生じさせる。ウエハにおける析出位置に依存して、析出は有害または有益である。ウエハの活性デバイス領域に位置する酸素析出物は、デバイスの動作を損い得る。しかし、ウエハのバルクに位置する酸素析出物は、ウエハに接触するようになり得る望ましくない金属不純物を捕捉し得る。金属を捕捉するウエハのバルクに位置する酸素析出物の使用は、内的または本質的なゲタッリング(IG)と一般に呼ばれる。」(10頁3?25行)

イ 好ましい態様の詳細な説明
「好ましい態様の詳細な説明 本発明によれば、本質的に電子デバイス製造プロセスの間に、IG目的のために充分な密度の酸素析出物を有するウエハバルクおよび充分な深さのデニューデッドゾーンを形成する理想的な析出ウエハを見いだした。好都合なことには、この理想的な析出ウエハは、半導体シリコン製造工業において通常に使用されている用具を使用してかなり短時間で製造される。この方法は、酸素が電子デバイス製造プロセスの間に析出する手順を「プリント」または決めるシリコンにおける「鋳型」を創り出す。
本発明の理想的な析出ウエハのための出発材料は、従来のチョクラルスキー結晶成長法に従って成長された単結晶インゴットからスライスされた単結晶シリコンウエハである。そのような方法、ならびに標準的なシリコンのスライス、ラッピング、エッチングおよび磨き技術が、例えば、シムラ(F.Shimura)の「Semiconductor Silicon Crystal Technology」、Academic press,Inc.、1989年および「Si1icon Chemical Etching」(J.Grabmaier編)、Springer-Verlag、New York、1982年に開示されている。
チョクラルスキー成長シリコンは、典型的には、約5x10^(17)?約9x10^(17)原子/cm^(3)(ASTM標準F-121-83)の範囲の酸素濃度を有する。ウエハの酸素析出挙動は理想的な析出ウエハにおける酸素濃度から本質的に切り離されるようになるので、出発ウエハは、チョクラルスキー法によって得られる範囲内または範囲外さえに入る酸素濃度を有していてよい。」(15頁15行?16頁5行)
「図1を参照すると、本発明の理想的な析出ウエハ1のための出発材料が、前表面3、後表面5、および前表面と後表面との間の仮想的な中央面7を有する。本明細書において、用語「前」および「後」とは、ウエハの2つのほぼ平面状の主表面を区別するために使用される。用語としてのウエハの前表面は、電子デバイスが後に設けられる表面を必ずしも意味するのではなく、また、用語としてのウエハの後表面は、電子デバイスが設けられる表面と反対側の主表面を必ずしも意味するのではない。加えて、シリコンウエハは典型的にいくらかの総合厚さ変化(TTV)、たわみおよび反りを有するので、前表面の全ての地点と後表面の全ての地点との間の中間点は、正確に平面内にないことがある。実際に、TTV、あわみおよび反りは一般にはわずかなものであるので、近似的には、中間点は、前表面と後表面との間のほぼ等距離である仮想的な中間平面内にあると言うことができる。
本発明の方法の第1の態様において、ウエハ1は工程S_(1)において酸素含有雰囲気中で熱処理され、ウエハ1を包囲する表面酸化物層9を成長させる。一般に、酸化物層は、シリコン上に形成する本来の酸化物層(約15オングストローム)よりも大きい厚さを有する。好ましくは、酸化物層は、少なくとも約20オングストロームの厚さを有する。いくつかの態様において、少なくとも約25オングストローム、さらに少なくとも約30オングストロームの厚さを有する。現在まで得られている実験的証拠は、約30オングストローム越える厚さを有する酸化物層は、望ましい効果を阻害しない状態で、付加的な利点をほとんどまたは全く与えない。
工程S_(2)において、ウエハを高温に加熱し、ウエハ1における結晶格子空孔13の数密度を増加させる熱処理にウエハを付す。好ましくは、この熱処理工程は、ウエハを急速に目標温度に加熱し、かなり短時間で該温度でアニールする急速熱的アニーラーにおいて行われる。一般に、ウエハは、1150℃以上、好ましくは少なくとも1175℃、より好ましくは少なくとも1200℃、最も好ましくは少なくとも1200℃?1275℃の温度に付される。
本発明の第1の態様において、急速熱的アニール工程は、窒化雰囲気、すなわち、露出シリコン表面を窒化できるアンモニアなどの窒素含有化合物ガスまたは窒素ガス(N_(2))を含有する雰囲気の存在下で、行う。雰囲気は、全体的に窒素または窒素化合物ガスからなってよく、あるいはアルゴンのような非窒化ガスを付加的に含んでいてよい。ウエハにおける空格子点濃度の増加は、即時でない場合に、アニール温度達成時に、ほとんど達成される。ウエハは、少なくとも1秒間、典型的には少なくとも数秒間(例えば少なくとも3秒間)、好ましくは数十秒間(例えば、20、30、40または50秒間)、ウエハの所望特性に応じて、約60秒までの時間で(これは、工業的な急速熱的アニーラーの限界に近い)、ほぼこの温度で一般に保持される。得られるウエハは、ウエハにおけるかなり均一な空格子点濃度(数密度)を有する。」(16頁27行?18頁7行)
「工程S_(2)の完了後、ウエハは、工程S_(3)において、結晶格子空格子点が単結晶において比較的移動しやすい温度範囲を通って、急速に冷却される。この温度範囲を通って、ウエハの温度が低下するにつれて、空格子点は、酸化物層9に拡散して消滅し、その結果、空格子点の濃度分布の変化につながり、その変化の程度は、ウエハがこの温度範囲内に維持される時間の長さに依存する。ウエハがこの温度範囲で、無限の時間維持されれば、空格子点濃度は、ウエハバルク11全体が、再度実質的に均一になり、その濃度は、加熱処理工程の完了直後の結晶格子空格子点の濃度よりも実質的に小さい平衡値である。しかしながら、ウエハの急冷によって、結晶格子空格子点の非-均一性拡散を達成することができ、その最大空格子点濃度は、中央面7またはその付近であり、空格子点濃度は、ウエハの前表面3および裏面5の方向に減少する。一般に、この温度範囲内の平均冷却速度は、1秒当たり少なくとも約5℃で、好適には1秒当たり少なくとも約20℃である。デニューデッドゾーンの所望の深さに応じて、平均冷却速度は、好適には1秒当たり少なくとも約50℃、より好適には1秒当たり少なくとも約100℃であり、1秒当たり約100?約200℃の範囲の冷却速度がある種の用途について現在好適である。ウエハを、結晶格子空格子点が単結晶シリコンにおいて比較的移動しやすい、上記温度範囲からはずれた温度に冷却しても、冷却速度は、ウエハの析出特性に対し実質的に影響を与えないようであるため、ごく狭い限界的なものではないようである。好適には、冷却工程は、加熱工程が実施されるのと、同じ雰囲気下に実施することができる。
工程S_(4)において、ウエハは、酸素析出加熱処理に付される。例えば、ウエハは、温度800℃で4時間、次いで温度1000℃で6時間アニールする。これとは別の態様として、好適には、ウエハは、電子デバイス製造法の第1工程として温度約800℃の炉に装入する。この温度で炉に装入すると、予め急速加熱アニールしたウエハは、酸素析出に関し、異なった挙動を示す別の領域を有する。高濃度空格子点領域(ウエハバルク)において、酸素は、ウエハが炉内部に入るにつれて急速にクラスター化する。装入温度に達する時点までに、クラスター化工程は、終了し、空格子点の初期濃度のみに応じてクラスター分布が達成される。低濃度空格子点領域(ウエハ表面付近)では、ウエハは、予め存在する酸素析出物核形成中心を欠如する、通常のウエハに類似の拳動を示す。すなわち、酸素のクラスター化が観察されない。温度が800℃を越えて上昇するつれて、または温度が一定である場合、空格子点豊富領域のクラスターは、成長して析出物を形成し、これにより消費される一方、空格子点欠乏領域においては何も生じない。ウエハを種々の空格子点濃度領域に分割することによって、テンプレートは、ウエハを炉に装入すると瞬時に固定される酸素析出パターンが描かれれることによって、効果的に形成される。」(19頁13行?20頁19行)
「本発明の第3具体例によれば、工程S_(1)(熱酸化工程)は、省略し、出発ウエハは、天然酸化物層以外の酸化物層を有しない。しかしながら、このようなウエハを窒素雰囲気下にアニールすると、その効果は、天然酸化物層よりも厚みがより厚い酸化物層(強化酸化物層)を有するウエハを窒素中でアニールしたときに観察される効果とは、異なったものになる。強化酸化物層を含有するウエハをアニールすると、直後ではないにしても、アニール温度に達することによって、実質的に均一な空格子点濃度の増加が、ウエハのほぼ全体で達成される。さらに、空格子点濃度は、所定のアニール温度でアニール時間の関数として実質的に増加しないようである。しかしながら、ウエハが天然酸化物層以外のいずれの酸化物層をも欠如する場合で、ウエハの前表面および裏面を窒素中でアニールすると、得られるウエハは、ウエハの断面積についてほぼU字形の空格子点濃度(数密度(number density))分布を有する。すなわち、最大濃度は、前表面および裏面から数ミクロンの位置または数ミクロン以内の位置に存在し、相対的に一定でより小さい濃度は、ウエハバルク全体に存在し、はじめて、ウエハバルクの最小濃度は、強化酸化物層を有するウエハで得られる濃度にほぼ等しくなる。さらに、アニール時間の増加は、天然酸化物層以外の酸化物層を欠如するウエハにおける空格子点濃度の増加をもたらす。
実験結果の示唆するところによれば、天然酸化物層以外に酸化物層を有しないウエハと、強化酸化物層を有するウエハとについての、この挙動上の差異は、酸素分子または他の酸化性ガスを雰囲気中に含めることで、回避することができる。」(22頁9行?29行)
「本発明の方法の出発物質は、研磨シリコンウエハであってよく、これとは別の態様として、予めラップされ、エッチングされているが、研磨していないシリコンウエハであってもよい。加えて、ウエハは、空格子点または自己格子間点欠陥(主要な固有の点欠陥)を有することができる。例えば、ウエハは、中心から周縁部にかけて優勢な空格子点であってもよく、中心から周縁部にかけて優勢な自己格子間欠陥であってよく、またはウエハは、自己格子間欠陥優勢材料の軸方向に沿って対称的なリングによって囲まれた、空格子点優勢材料の中心コアーを有することができる。
エピタキシャル層を、理想的な析出ウエハ上に蒸着する必要がある場合、本発明の方法は、エピタキシャル蒸着の前後のいずれかに実施することができる。蒸着前に実施する場合、本発明方法の実施後でエピタキシャル蒸着の前にウエハの酸素析出核形成中心を安定化させることが、望ましい。蒸着後に実施する場合、本発明の方法に必要な冷却速度を達成できる限り、エピタキシャル蒸着の直後にエピタキシャル反応器によって本発明の方法を実施することが望ましい。」(23頁25行?24頁10行)

ウ ここで、引用例の「本発明の理想的な析出ウエハのための出発材料は、従来のチョクラルスキー結晶成長法に従って成長された単結晶インゴットからスライスされた単結晶シリコンウエハである。」(15頁23?25行)の記載、及び「エピタキシャル層を、理想的な析出ウエハ上に蒸着する必要がある場合、本発明の方法は、エピタキシャル蒸着の前後のいずれかに実施することができる。」(24頁5?6行)の記載から、引用例において、析出ウエハのための出発材料は、「単結晶シリコンウエハ上にエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウエハ」であることは、当業者にとって明らかである。

2 引用発明
上記ア?ウによれば、引用例には、次の発明が記載されているといえる(以下「引用発明」という。)。

「析出ウエハのための出発材料としての単結晶シリコンウエハ上にエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウエハを、熱酸化工程は省略し、天然酸化物層以外の酸化物層を有することなく、窒化雰囲気の存在下で、急速に目標温度に加熱し、1150℃以上の温度に付し、少なくとも1秒間、ウエハの所望特性に応じて約60秒までの時間で保持する、結晶格子空孔13の数密度を増加させる熱処理に付し、急速に冷却する。その後、酸化析出熱処理に付す、シリコンウエハの製造方法。」


第4 対比
1 本願発明と引用発明とを対比すると、
ア 単結晶シリコンウエハはシリコン基板でもあるから、引用発明の「析出ウエハのための出発材料としての単結晶シリコンウエハ上にエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウエハ」は、本願発明の「シリコン基板の表面にシリコン単結晶をエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハ」に相当する。

イ 引用発明の「熱酸化工程は省略し、上記ウエハは、天然酸化物層以外の酸化物層を有することなく」は、本願発明の「作為的に酸化膜を形成することなく」に相当する。

ウ 引用発明の「窒化雰囲気の存在下」で熱処理を付すことは、本願発明の「窒化ガスを含む雰囲気ガス中」で熱処理することに相当する。

エ 熱処理の温度について、引用発明の「1150℃以上の温度」と、本願発明の「900℃から1200℃までの範囲の熱処理温度」とは、1150℃から1200℃までの範囲で重なっており、その範囲で両者は一致する。

オ 熱処理の時間について、引用発明の「少なくとも1秒間、ウエハの所望特性に応じて約60秒までの時間」は、本願発明の「1secから60secまでの範囲の熱処理時間」に相当する。

カ 引用発明の「急速に目標温度に加熱し」、「急速に冷却する」熱処理を付すことは、「急速加熱・急冷処理すること」により熱処理を行うことと、技術的に同義である。

キ 引用発明では、「結晶格子空孔13の数密度を増加させる熱処理に付し」ているから、本願発明と同様に、「熱処理し、空孔を注入」するものといえる。

ク 引用発明の「シリコンウエハの製造方法」は、本願発明の「半導体ウェーハの製造方法」に相当する。

2 そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

〈一致点〉
「シリコン基板の表面にシリコン単結晶をエピタキシャル成長したエピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハを、作為的に酸化膜を形成することなく窒化ガスを含む雰囲気ガス中で900℃から1200℃までの範囲の熱処理温度かつ1secから60secまでの範囲の熱処理時間で急速加熱・急冷処理をすることにより熱処理し、空孔を注入する半導体ウェーハの製造方法。」

〈相違点〉
空孔の注入について、本願発明は、「エピタキシャル層表面から内部に空孔を注入して、酸素析出核を形成する」のに対し、引用発明では、そのような特定がない点。


第5 相違点についての検討
引用発明は、「析出ウエハのための出発材料」として、「エピタキシャルウエハ」を用いているから、シリコン基板の表面にエピタキシャル層を有する上記「エピタキシャルウエハ」の構成からみて、引用発明においても、空孔は「エピタキシャル層表面から内部に」注入されていると考えるのが、自然であり、合理的である。
そして、引用発明において、「結晶格子空孔13の数密度を増加させる熱処理に付し」、その後、「酸化析出熱処理に付す」ことから、引用発明も空孔を注入して、酸素析出核を形成するものであることは、当業者にとって明らかである。
そうすると、上記相違点は実質的なものではない。

以上のとおり、本件発明と引用発明との相違点は実質的なものではなく、両者は同一であるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。


第6 結言
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-24 
結審通知日 2011-05-31 
審決日 2011-06-20 
出願番号 特願2001-262173(P2001-262173)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後谷 陽一加藤 浩一  
特許庁審判長 相田 義明
特許庁審判官
近藤 幸浩
松田 成正
発明の名称 半導体ウェーハの製造方法及び半導体ウェーハ  
代理人 高橋 詔男  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  

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