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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1241008
審判番号 不服2009-17519  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-17 
確定日 2011-08-04 
事件の表示 特願2002-130784「コミュニケーションエージェントシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月14日出願公開、特開2003-323389〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年5月2日の出願であって、平成20年4月25日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年7月7日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年10月27日付けの最後の拒絶の理由の通知に対して、同年12月22日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成21年6月17日付けで同手続補正の却下の決定がされるとともに、同日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し同年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、平成23年2月15日付けで審尋がされたものである。

第2 平成21年9月17日付けの手続補正についての却下の決定
[結論]
平成21年9月17日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正後の本願発明
平成21年9月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「表示画面上の一部にオペレーティングシステムから独立した仮想空間を表現するステップと;
自端末利用者との自律的対話能力を有し、変化するシーンに応じて姿勢や服装を選択可能で、かつ自律的に前記自端末利用者に入力を促して入手したデータである名前、身長、及び体重対応の自端末エージェントを前記仮想空間において活動させるステップと;
相手端末の種類を特定するための端末情報を取得するステップと;
取得した前記端末情報に基づいて、前記自端末エージェントを前記相手端末の前記仮想空間において最適活動させるための送信データを作成するステップと;
作成された前記送信データを前記自端末エージェントとともに前記相手端末に送達させるステップと;
前記相手端末の前記仮想空間において前記自端末エージェントが活動することにより入手した情報を自端末で受信するステップと;
を前記自端末を構成するコンピュータが実行するコミュニケーションエージェント制御方法。」(下線は、当審が付与。)と補正された。

本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェント」について「変化するシーンに応じて姿勢や服装を選択可能で、かつ自律的に前記自端末利用者に入力を促して入手したデータである名前、身長、及び体重対応の自端末エージェント」と限定するものであって、特許法17条の2第4項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用例の記載
(1)引用例1
平成20年4月25日付けの拒絶の理由の通知に示され、かつ平成23年2月17日付けの審尋に記載された平成21年11月19日付け前置報告書にも示された特開2001-229271号公報(平成13年8月24日出願公開。以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネットのような情報ネットワークを利用し、擬人化されたエージェントのキャラクタにガイドさせてユーザーに種々のサービスを提供する情報ネットワークを利用したサービスの提供方法及びそれを利用するサービスの使用方法に関する。」(段落【0001】)

イ 「0066】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。本発明の実施の形態のサービスの提供システムのハードウェアのシステム構成は、図1に示すようなものであり、情報ネットワークにはインターネット1を利用し、当該サービスサイトのWWWサーバー2に対して多数のユーザー端末3がこのインターネット1によって結ばれる。
【0067】ユーザー端末3にはメール機能、スケジュール機能、チャット機能等の必要な機能が組み込まれた通信ソフトとWWWブラウザソフトがインストールされており、WWWサーバー2に対してはWWWブラウザを利用し、ユーザーが契約しているインターネット接続サービスプロバイダのアクセスポイントからインターネット1を介してアクセスする。
【0068】<WWWサーバー>WWWサーバー2は、インターネット1に接続されていて、インターネット1上の各種のエージェントサーバー、例えば、検索エージェント、ニュースエージェント、ショッピングエージェント等のエージェントサーバーにリンクしている。また、当該サービスのために広告スポンサー企業のWWWサーバーともリンクすることができる。
【0069】WWWサーバー2はさらに、当該サービスを行うために必要なサーバーやデータベース、例えば、メールサーバー6、チャットサーバー7、オンラインショッピングサーバー8、バーチャルショッピングサーバー9,バーチャルバンキングサーバー10、データベース11とLAN12によって接続されている。なお、WWWサーバー2の規模が大きく、高性能であれば、これらのサーバーの機能をWWWサーバー2内に統合させることができる。」(段落【0066】?【0069】)

ウ 「【0075】次に、本サービスの提供システムの機能を説明する。ユーザー端末3のOSのスタートアップ時に自動的に起動するプログラムとして設定し、あるいはウィンドウズ画面の展開後に当該プログラムをユーザーが起動させることにより、画面上の任意の場所に図2、図3、図4それぞれにおいて(i)に示すランプアイコン(以下、説明の便宜上「マジックランプ」と称する)A1が常駐アイコンとして表示される(図10のフローチャートのステップS00)。
【0076】この常駐アイコンA1に対して、画面上でカーソルA2を例えば3回以上往復させるようなあらかじめ定められた起動操作をすれば、画面(ii)に示すようにマジックランプA1から煙と共にエージェントを擬人化したキャラクタA3が現れると共に自動的にWWWサーバー2に対する接続手続を実行する(図10のステップS02,S14,S18?S22)。なお、ここでキャラクタA3は擬人化されているが、ここでいう擬人化とは、あたかも人のような動作をすれば足り、犬型や熊型など動物を模したものや想像上の物体でもよい。
【0077】この接続手続が完了すれば、画面(iii)に示すようにキャラクタA3からの噴出しA4に、それまでのアクセス履歴に応じて異なるメッセージと共に選択ボタンA5を表示させる(ステップS24?S34)。」(段落【0075】?【0077】)

エ 「【0079】噴出しA4に表示するメッセージには、次のようなものがある。
【0080】(1)「ご主人様、ご用は何でしょうか」(通常時:ステップS34)、(2)「金貨が少なくなりました。補充されますか?」(バーチャルバンクの保有バーチャル金貨が残り少なくなっている場合:ステップS26)、(3)「新しい服がほしいなあ。」(季節の変わり目、あるいは同じパーツを一定期間装着し続けている場合:ステップS32)。」(段落【0079】?【0080】)

オ 「【0083】(1)メニュー選択
1.1検索サービス
図2の(iii)の画面において、選択ボタンA5(ここでは、「マジックボタン」)にカーソルA2をおいてポインティングデバイスの左ボタンをクリックすると(あるいは、それに相当するキー操作、以下、ポインティングデバイスとしてマウスを代表させて説明するが、トラックポイント、タッチパッド等のポインティングデバイスについても相当する操作を行うこととする)、画面(iv)に示すメニューA6がWWWサーバー2側から送られてきて表示される。このメニューA6には、WWWサーバー2が提供するサービスがリストアップされている。ここでは、上述したサービス機能がリストアップされている(図11におけるステップS38-1?S38-3)。」(段落【0083】)

カ 「【0097】1.4メールサービス
ユーザーがユーザー端末3から、図2の画面(iv)のメニューからメールサービスを選択すれば、通信ソフトのメール機能が起動する。そして画面(v)と同様の態様でキャラクタA3共にメッセージ入力用の噴出しが表示される。そこで、送信先アドレスとメッセージを入力し、送信ボタンをクリックすれば、画面(vi)、(vii)と同様に、キャラクタA3は絨毯に乗って出発するアニメーションを表示する。そしてWWWサーバー2に対してメールデータを送信する(図15のフローチャートのステップS400-1?S400-4)。
【0098】WWWサーバー2側では、宛先のメールアドレスのドメイン名が当該サイトのものである場合には該当者のメールポストに保存し、またドメイン名が当該サイトのものでなければ、送信メールをインターネット1を通じて宛先のメールアドレスを管理するメールサーバーに届ける(ステップS400-5)。
【0099】送信先のユーザーがこのメールポストにアクセスしてメールを読み出すと、同じサービスを利用しているユーザーであれば、図5(i)の画面に示すように、送信先のキャラクタA3と共に噴出しにメール到着のメッセージを表示させる(ステップS400-6,S400-7)。
【0100】この噴出しA4から「読む」ボタンをクリックすれば、図5(ii)の画面に示すように、送信元のキャラクタA3′がマジックランプA1から出現し、その噴出しA4′に、例えば、「×××様、○○○からのメールをお届けに上がりました」と表示させる。
【0101】これに対して送信先のユーザーが「開く」ボタンをクリックすれば、画面(iii)に示すように、ご主人様からのメッセージは、「×××…」というものです。このお返事は、私がここで承ります。次の欄に書き込んで下さい。」といったメッセージを表示させる。
【0102】これに対して、送信先のユーザーが噴出しに書き込み、「返信」ボタンを押すと、当該ユーザー端末3のメーラーがこれを返信メールとして取り扱い、送信元のキャラクタと共に返信メッセージのデータを送信元のメールポストに保存する(ステップS400-8?S400-11)。
【0103】そして、送信元のユーザーが次にメール閲覧を行うと、WWWサーバー2はメールポストから返信メールを読み出してユーザー端末3に送信し、キャラクタA3と共に噴出しに返信メッセージを表示させる(ステップS400-12?S400-13)。さらにメッセージを送りたい場合には、再度メッセージを入力することにより、ステップS400-3からの処理を繰り返すことになる(ステップ400-14,S400-15)。
【0104】こうして、当該サービスのユーザー同士の間でメールをやり取りする場合、送信元のユーザーが用いているキャラクタA3を送信先にも出現させてメールを届け、また返信メールがあればそれを受け取って送信元に戻らせるという使い方ができる。」(段落【0097】?【0104】)

以上の記載によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「擬人化されたエージェントのキャラクタにガイドさせてユーザーに種々のサービスを提供する情報ネットワークを利用したサービスの提供方法において、
ユーザー端末の画面上の任意の場所にランプアイコンが常駐アイコンとして表示され、このランプアイコンに対して起動操作をすれば、ランプアイコンから煙と共にエージェントを擬人化したキャラクタが現れ、
キャラクタからの噴出しに、それまでのアクセス履歴に応じて異なるメッセージを表示させ、
噴出しに表示するメッセージには、「ご主人様、ご用は何でしょうか?」、「金貨が少なくなりました。補充されますか?」、「新しい服がほしいなあ。」のようなものがあり、
送信元のユーザーが送信元のユーザー端末からメールサービスを選択すれば、通信ソフトのメール機能が起動し、送信元のキャラクタと共にメッセージ入力用の噴出しが表示され、送信先アドレスとメッセージを入力し、送信ボタンをクリックすれば、送信元のキャラクタは絨毯に乗って出発するアニメーションを表示し、WWWサーバーに対してメールデータを送信し、
WWWサーバー側では、送信先のメールポストに保存し、
送信先のユーザーがこのメールポストにアクセスしてメールを読み出すと、送信先のキャラクタと共に噴出しにメール到着のメッセージを表示させ、この噴出しから「読む」ボタンをクリックすれば、送信元のキャラクタがランプアイコンから出現し、その噴出しに、例えば、「×××様、○○○からのメールをお届けに上がりました」と表示させ、
これに対して送信先のユーザーが「開く」ボタンをクリックすれば、「ご主人様からのメッセージは、「×××…」というものです。このお返事は、私がここで承ります。次の欄に書き込んで下さい。」といったメッセージを表示させ、
これに対して、送信先のユーザーが噴出しに書き込み、「返信」ボタンを押すと、送信先のユーザー端末のメーラーがこれを返信メールとして取り扱い、送信元のキャラクタと共に返信メッセージのデータを送信元のメールポストに保存し、
送信元のユーザーが次にメール閲覧を行うと、WWWサーバーはメールポストから返信メールを読み出して送信元のユーザー端末に送信し、送信元のキャラクタと共に噴出しに返信メッセージを表示させる
方法。」

(2)引用例2
当審において新たに引用するARATO、「人工知能」を操るSSTP、DOS/V magazine 2001 6/1、ソフトバンクパブリッシング(株)、平成13年6月1日、10巻11号、128?135頁(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

キ 「このサービスはOSに依存しない形で行われるため,可能性はローカルマシン内で閉じません。」(129頁中欄5?7行)

ク 「SSTPが「何か。」用のプロトコルというのは分かったが,肝心の問題がまだだった。「何か。」はいったい何なのだろう? その答えはデスクトップマスコットだ。
「何か。」を起動すると,デスクトップに人物と小動物が出現する。それらが通称「偽AI」(「人工無能」を強化したようなもの。人工無能のような意味不明な発言はしにくいように設計されている)に従って会話をしたり, SSTPメッセージを受信すると対応したメッセージを発言する。
登場する人物や会話の内容は第三者が自由に作成することができ,アイドルや歴史上の人物,オリジナルキャラ,アイコンやメモ帳といった無機的なアイテムまで,いろいろなキャラクターが存在している。」(129頁中欄下から2行?130頁左欄11行)

ケ 「キャラクターの描画やアニメーションの外観などは「シェル」,偽AIの行動は「ゴースト」というレイヤーがサポートする。」(130頁中欄下から8?6行)

コ 「「何か。」をインストールしよう
●「何か。」の場合
「何か。」はインストーラを持っていない。アーカイブを解凍して,それを適当なフォルダ(C:¥Program Files¥Nanika¥)などに入れるだけでいい。実行するときはSAKURA.EXE をダブルクリックしよう。
元祖SSTPサーバーソフト「あれ以外の何かwith”任意”」はこれだけで動作したが,「何か。」にはデフォルトのシェルが入っていないので,適当なシェル, もしくはゴースト/シェルのセットをインストールする必要がある。
ゴーストやシェルのインストールは簡単だ。SAKURA.EXEを実行すると「何とかして下さい。」と書かれたウィンドウが出るので,そのウィンドウにゴーストのアーカイブファイルをドロップすればいい。これで自動的にインストールされる。
今号の付録CD-ROMに,ゴーストとして夢蛍氏作成の「まゆら」(http://members.tripod.co.jp/m_a_y_u_r_a/)と楠見くれあ氏作成の「奈留」(http://www.try-net.or.jp/?cla/rein/), シェルははがね氏作成の「偽メモ帳シェル+バルーン」(http://homepagel.nifty.com/hagane/index.htm)を収録した。」(130頁右欄1?下から1行)

サ 129頁右上部にある図2には、デスクトップマスコットの説明として、「(丸数字3)会話内容で表情やポーズも変化する。」との記載がある。

シ 130頁下部にある画面3には、「何とかしてください。」と表示されたウインドウが記載され、その説明として、「「何か。」を最初に起動すると表示されるインストールウィンドウ。ここにゴーストやシェルをアーカイブのままドロップすればいい。」

ス 130頁下部にある画面5には、ゴースト「奈留」という名前の人物のデスクトップマスコットが表示されている。

セ 130頁下部にある画面6には、ゴースト「まゆら」という名前の人物のデスクトップマスコットが表示されている。

3 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明において、ユーザー端末の画面は、キャラクタ等を表示しているから、引用発明の「画面」は、本願補正発明の「表示画面」に相当する。
引用発明において、ユーザー端末の画面上の任意の場所でキャラクタが現れているが、このキャラクタが現れている画面上の場所である空間は、本願補正発明の「仮想空間」に相当する。また、引用発明において、キャラクタが現れている空間が画面の一部であることは明らかである。
引用発明の「ユーザー」及び「ユーザー端末」は、本願補正発明の「利用者」及び「端末」に相当する。また、引用発明の「送信元のユーザー端末」及び「送信先のユーザー端末」は、それぞれ本願補正発明の「自端末」及び「相手端末」に相当する。さらに、引用発明の「送信元のユーザー」は、送信元のユーザー端末のユーザであることは明らかであるから、本願補正発明の「自端末利用者」に相当する。
引用発明の「送信元のキャラクタ」は、送信元のエージェントを擬人化したものであり、送信元のユーザー端末のキャラクタであることは明らかであるから、本願補正発明の「自端末エージェント」に相当する。
引用発明において、送信元のキャラクタは、噴出しを通じて送信元のユーザと自律的に対話していることは明らかであるから、送信元のキャラクタは、送信元のユーザとの自律的対話能力を有しているといえる。
引用発明において、送信元のキャラクタが仮想空間において活動していることは明らかである。
引用発明において、送信元のユーザー端末からのメールを読み出した送信先のユーザー端末において、送信元のキャラクタがランプアイコンから出現し、その噴出しに、例えば、「×××様、○○○からのメールをお届けに上がりました」と表示されることから、送信元のユーザー端末において、送信元のキャラクタが送信先のユーザー端末において活動させるための送信データを作成し、また、作成された送信データを送信元のキャラクタとともに送信先のユーザー端末に送達させるようにしているのは明らかである。したがって、引用発明は、本願補正発明の「前記自端末エージェントを前記相手端末の前記仮想空間において活動させるための送信データを作成するステップ」及び「作成された前記送信データを前記自端末エージェントとともに前記相手端末に送達させるステップ」に相当する構成を有している。
引用発明において、送信先のユーザー端末において、送信元のキャラクタが「ご主人様からのメッセージは、「×××…」というものです。このお返事は、私がここで承ります。次の欄に書き込んで下さい。」といったメッセージを表示させ、これに対して、送信先のユーザーが噴出しに書き込み、「返信」ボタンを押すと、送信先のユーザー端末のメーラーがこれを返信メールとして取り扱い、送信元のキャラクタと共に返信メッセージのデータを送信元のメールポストに保存し、送信元のユーザーが次にメール閲覧を行うと、WWWサーバーはメールポストから返信メールを読み出して送信元のユーザー端末に送信し、送信元のキャラクタと共に噴出しに返信メッセージを表示させることから、引用発明の「返信メッセージ」は、本願補正発明の「前記相手端末の前記仮想空間において前記自端末エージェントが活動することにより入手した情報」に相当する。したがって、引用発明の上記構成は、本願補正発明の「前記相手端末の前記仮想空間において前記自端末エージェントが活動することにより入手した情報を自端末で受信するステップ」に相当する。
引用発明において、送信元のキャラクタを、送信元のユーザー端末を構成するコンピュータが実行して制御していることは明らかであり、また、送信元のキャラクタは、送信元のユーザーと対話することによりコミュニケーションを行っているといえるから、引用発明の「方法」は、本願補正発明の「前記自端末を構成するコンピュータが実行するコミュニケーションエージェント制御方法」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「表示画面上の一部に仮想空間を表現するステップと;
自端末利用者との自律的対話能力を有する自端末エージェントを前記仮想空間において活動させるステップと;
前記自端末エージェントを前記相手端末の前記仮想空間において活動させるための送信データを作成するステップと;
作成された前記送信データを前記自端末エージェントとともに前記相手端末に送達させるステップと;
前記相手端末の前記仮想空間において前記自端末エージェントが活動することにより入手した情報を自端末で受信するステップと;
を前記自端末を構成するコンピュータが実行するコミュニケーションエージェント制御方法。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本願補正発明では、オペレーティングシステムから独立した仮想空間であるのに対し、引用発明では、仮想空間がオペレーティングシステムから独立しているかについて明確な記載がない点。
<相違点2>
本願補正発明では、変化するシーンに応じて姿勢や服装を選択可能で、かつ自律的に自端末利用者に入力を促して入手したデータである名前、身長、及び体重対応の自端末エージェントであるのに対し、引用発明では、この構成について明確な記載がない点。
<相違点3>
本願補正発明では、相手端末の種類を特定するための端末情報を取得するステップと、取得した端末情報に基づいて、自端末エージェントを相手端末の仮想空間において最適活動させるための送信データを作成するステップを有するのに対し、引用発明では、自端末エージェントを相手端末の仮想空間において活動させるための送信データを作成することについては記載があるが、相手端末の種類を特定するための端末情報を取得すること、その取得した端末情報に基づいて、自端末エージェントを最適活動させることについて明確な記載がない点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1及び2についての検討>
引用例2には、デスクトップマスコットをデスクトップに出現させる技術において、OSに依存しない形で実行され、また、デスクトップマスコットは、会話内容でポーズが変化し、さらに、「何とかして下さい。」と書かれたウィンドウが出るので,そのウィンドウに「奈留」や「まゆら」などの名前を持つ人物であるデスクトップマスコットのゴーストのアーカイブファイルをドロップして、デスクトップマスコットのゴーストがインストールされる技術が記載されている。
ここで、引用例2に記載された技術の「デスクトップマスコット」は、本願補正発明の「自端末エージェント」に相当する。また、引用例2に記載された技術において、デスクトップマスコットを出現させているが、このデスクトップマスコットが現れている画面上の場所である空間は、本願補正発明の「仮想空間」に相当する。さらに、引用例2に記載された技術の「OSに依存しない形で実行され」る構成は、本願補正発明の「オペレーティングシステムから独立した」構成に相当する。
加えて、引用例2に記載された技術の「会話内容」及び「ポーズ」は、それぞれ本願補正発明の「変化するシーン」及び「姿勢」に相当する。また、引用例2に記載された技術において、会話内容でポーズが変化しているが、この構成は、会話内容でポーズを選択可能とすることで可能となることは明らかである。したがって、引用例2に記載された技術の「会話内容でポーズが変化する」構成は、本願補正発明の「変化するシーンに応じて姿勢や服装を選択可能」である構成に相当する。なお、仮に、本願補正発明の「姿勢や服装」は、「姿勢及び服装」を意味するとした場合であっても、変化するシーンに応じて人物の服装を変えることは一般的に行われていることであるから、変化するシーンに応じて、姿勢に加え、服装も選択可能とすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
また、引用例2に記載された技術において、「何とかして下さい。」と書かれたウィンドウが出る構成とは、自律的にユーザーに対し入力を促している構成といえる。さらに、引用例2に記載された技術の「名前を持つ人物であるデスクトップマスコット」は、本願補正発明の「名前対応の自端末エージェント」に相当する。したがって、引用例2に記載された技術において、「何とかして下さい。」と書かれたウィンドウが出るので,そのウィンドウにデスクトップマスコットのゴーストのアーカイブファイルをドロップしてインストールされる、名前を持つ人物であるデスクトップマスコットは、本願補正発明の「自律的に自端末利用者に入力を促して入手したデータである名前対応の自端末エージェント」に相当する。そして、人物について身長及び体重と対応させることは一般的に行われていることであるから、名前に加え、身長及び体重にも対応させるようにすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
そして、引用発明及び引用例2に記載された技術の属する技術分野は、画面に表示されるキャラクタである点で共通する。
したがって、引用発明において、引用例2に記載された技術を適用して、オペレーティングシステムから独立した仮想空間とするように構成し、また、変化するシーンに応じて姿勢や服装を選択可能で、かつ自律的に自端末利用者に入力を促して入手したデータである名前、身長、及び体重対応の自端末エージェントとするように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点3についての検討>
相手方端末への送信データを作成する端末において、相手方端末の端末情報を取得し、その端末情報に適合させた送信データに変換する技術は、例えば、特開2002-7296号公報(特に、段落【0056】?【0060】参照。)及び特開平11-341074号公報(特に、段落【0030】、【0094】及び【0116】?【0120】参照。)に記載されているように、本願出願前周知である。したがって、引用発明において、当該周知技術を適用して、相手端末の種類を特定するための端末情報を取得するステップと、取得した端末情報に基づいて、自端末エージェントを相手端末の仮想空間において最適活動させるための送信データを作成するステップを有するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、引用発明、引用例2に記載された技術及び周知技術から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 平成20年7月7日付けの手続補正書による補正
1 本願の請求項1の記載
平成21年9月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1の記載は、平成20年7月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。

「表示画面上の一部にオペレーティングシステムから独立した仮想空間を表現するステップと;
自端末利用者との自律的対話能力を有し、少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェントを前記仮想空間において活動させるステップと;
相手端末の種類を特定するための端末情報を取得するステップと;
取得した前記端末情報に基づいて、前記自端末エージェントを前記相手端末の前記仮想空間において最適活動させるための送信データを作成するステップと;
作成された前記送信データを前記自端末エージェントとともに前記相手端末に送達させるステップと;
前記相手端末の前記仮想空間において前記自端末エージェントが活動することにより入手した情報を自端末で受信するステップと;
を前記自端末を構成するコンピュータが実行するコミュニケーションエージェント制御方法。」(下線は、当審が付与。)

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1に記載された「少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェント」は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載したものでない。したがって、平成20年7月7日付けの手続補正書による補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

3 当審の判断
本願の請求項1に記載された「少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェント」が、当初明細書等に明示的に記載された事項及び当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえないかについて、以下検討する。
まず、「姿勢」及び「服装」に関して、当初明細書等(特に、段落【0034】、【0036】及び図4参照。)には、エージェントオブジェクトにおける画像データに、エージェントと利用者との対話内容や、OSの環境などによって変化するシーンに応じて、エージェントのポーズ(姿勢)や服装を変えて画面表示するための複数の画像が含まれることが記載されているにとどまり、姿勢や服装に応じて自端末エージェントが選択可能であることは記載されていない。
次に、「名前」、「身長」及び「体重」に関して、当初明細書等(特に、段落【0039】及び図5参照。)には、エージェントのプログラムオブジェクトにより管理される管理データにエージェント情報として名前、身長及び体重が含まれることが記載されているにとどまり、名前、身長及び体重に応じて自端末エージェントが選択可能であることは記載されていない。
したがって、本願の請求項1に記載された「少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェント」は、当初明細書等に明示的に記載された事項及び当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえない。

なお、審判請求人は、平成21年9月17日付け審判請求書において「補足すると、平成20年7月7日付けでした手続補正「自端末利用者との自律的対話能力を有し、少なくとも姿勢、服装、名前、身長、及び体重に応じて選択可能な自端末エージェントを前記仮想空間において活動させるステップ」は、当初明細書及び図面における段落[0036],[0039]、図4,図5などの記載に基づいて行われましたが、この補正には審判請求人の錯誤が含まれており、上記補正後請求項1(下記補正後請求項4も同様)は、同記載に整合するように、限定的減縮を目的として改めて補正しました。」(下線は、当審が付与。)と述べているから、審判請求人は、前記「2 原査定の拒絶の理由」に記載されている拒絶の理由が妥当である旨、審判請求時に認めていたと認められる。

4 むすび
以上のとおり、平成20年7月7日付けの手続補正書による補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-01 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-21 
出願番号 特願2002-130784(P2002-130784)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 55- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北岡 浩鈴村 理絵子  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 安久 司郎
中野 裕二
発明の名称 コミュニケーションエージェントシステム  
代理人 和久田 純一  
代理人 松倉 秀実  
代理人 川口 嘉之  
代理人 平川 明  
代理人 高田 大輔  
代理人 今堀 克彦  
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