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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62D |
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管理番号 | 1241177 |
審判番号 | 不服2009-7545 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-08 |
確定日 | 2011-08-01 |
事件の表示 | 特願2006- 48488号「四輪車の車輪配置構造」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月19日出願公開、特開2007-182203号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成18年2月24日(パリ条約による優先権主張2005年12月29日、(TW)台湾)の出願であって、平成21年1月5日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年1月9日)、これに対し、同年4月8日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年4月30日付けで手続補正(前置補正)がされたものである。これに対し、当審において平成22年3月4日付けで拒絶理由を通知したところ(発送日:同年3月5日)、応答期間内である同年8月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 本願の各請求項に係る発明は、平成22年8月3日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項によって特定されるものと認められるが、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 前輪と、二つの側輪と、後輪と、より構成される四輪車の車輪配置構造において、 前記前輪は、駆動力とステアリング機能を具有し、トランス構造及びステアリングと連結されることで方向転換が制御され、 前記二つの側輪は、自由に回転し、両者の軸心は等しい直線上に位置するが異なる軸にそれぞれ設置され、 前記後輪は、自由に方向転換し、一つのホルダーにより車体と連結され、 ることを特徴とする四輪車の車輪配置構造。」 2.引用例等及びその記載事項 当審の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2005-313720号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (A)「【0010】 図1に示すように車輪型走行装置は、第1、第2車輪支持部3、4に駆動車輪1と補助車輪2とを支持して形成される。第1、第2車輪支持部3、4は、回転ヒンジ6を介して垂直回転自在に連結され、連結状態において平面視において円形状をなす。なお、図1(b)においては、理解を容易にするように、第1車輪支持部3は、第2車輪支持部4より下方に位置するように示されているが、同一面に配置されるものであってもよい。 【0011】 上記第1車輪支持部3には、2個の駆動車輪1、1と、1個の補助車輪2とが支持される。駆動車輪1は、互いに逆方向に回転駆動可能であり、円形形状の中心線上で、円周に接近した位置に配置される。また、補助車輪2は、上記2個の駆動車輪1間を結ぶ線分を底辺とする二等辺三角形の頂点位置に配置され、結果、第1車輪支持部3上の車輪は、円周上において90°ピッチで3箇所を占有する。 【0012】 一方、第2車輪支持部4には、1個の補助車輪2が支持される。第2車輪支持部4上の補助車輪2は、駆動車輪1、1間を結ぶ線分を挟んで第1車輪支持部3上の補助車輪2と反対位置に配置され、これら2個の補助車輪2と、2個の駆動車輪1とは、ほぼ菱形の頂点に位置する。第1、第2車輪支持部3、4上の補助車輪2は、旋回(水平回転)自在に車輪支持部3、4に連結される。 (B)「【0022】 図5に本発明の第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態の説明において、上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素は図中に同一符号を付して説明を省略する。 この実施の形態において、第1車輪支持部3には1個の駆動車輪1と2個の補助車輪2が配置される。補助車輪2と駆動車輪1とは、上述した実施の形態における駆動車輪1と補助車輪2とを入れ替えた位置に配置され、補助車輪2は、回転ヒンジ6と平行で、円形形状の直径方向に、駆動車輪1は補助車輪2を結ぶ線分の垂直二等分線上に配置される。 【0023】 また、この実施の形態において駆動車輪1は水平回転操作、すなわち操舵操作が可能であり、さらに、台1車輪支持部2上の補助車輪2は、旋回不能とされる。 したがってこの実施の形態において、図5(a)に示すように、駆動車輪1を90°水平回転させて横方向に操舵した後、駆動車輪1を駆動すると、円形形状の中心周りに信地旋回を行うことができる。」 (C)図5(a)及び図5(b)からみて、2個の補助車輪2は、自由に回転し、両者の軸心は等しい直線上に位置するが異なる軸にそれぞれ設置されているものと認められる。 (D)記載事項(A)の段落【0012】における「第2車輪支持部4には、1個の補助車輪2が支持される」との記載、「第1、第2車輪支持部3、4上の補助車輪2は、旋回(水平回転)自在に車輪支持部3、4に連結される」との記載から、「1個の補助車輪2」は、自由に方向転換するものと認められる。 図面と共に、上記記載事項(A)?(D)を総合すると、引用例1には、 「駆動車輪1と、2個の補助車輪2と、1個の補助車輪2と、より構成される車輪型走行装置において、 前記駆動車輪1は、操舵操作が可能であり、 前記2個の補助車輪2は、自由に回転し、両者の軸心は等しい直線上に位置するが異なる軸にそれぞれ設置され、 前記1個の補助車輪2は、自由に方向転換する、 車輪型走行装置。」に関する発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 (1)本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明でいう「駆動車輪1」は、本願発明でいう「前輪」に相当し、以下同様に、「2個の補助車輪2」は「二つの側輪」に、「1個の補助車輪2」は「後輪」に、「車輪型走行装置」は「四輪車」に、それぞれ相当する。 また、駆動車輪1は、駆動力を具有していることが明らかであり、かつ操舵操作が可能なことからステアリング機能を具有していることも明らかである。 そして、引用発明においても、各車輪の配置について記載されていることが明らかであるから、車輪型走行装置の車輪配置構造が記載されているものと認められる。 (2)上記の対比関係からみて、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「前輪と、二つの側輪と、後輪と、より構成される四輪車の車輪配置構造において、 前記前輪は、駆動力とステアリング機能を具有し、 前記二つの側輪は、自由に回転し、両者の軸心は等しい直線上に位置するが異なる軸にそれぞれ設置され、 前記後輪は、自由に方向転換する、四輪車の車輪配置構造。」 [相違点1] 本願発明では、前輪が「トランス構造及びステアリングと連結されることで方向転換が制御され」るのに対して、引用発明では、そのようになっていない点。 [相違点2] 本願発明では、後輪が、「一つのホルダーにより車体と連結され」るのに対して、引用発明では、そのように明記されていない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 [相違点1]について 引用発明における車輪型走行装置(四輪車)は、無人運転を前提としたものであるが、無人運転の四輪車も有人運転の四輪車もきわめて一般的なものであって、一方の構成を他方の構成に適用することは当業者が容易になし得ることである。また、無人運転の車両に対して、有人運転のための操舵装置(ステアリング)を設けることは周知の技術思想でもある(例えば、特開2003-252214号公報、特開平9-164970号公報、実願昭63-96358号(実開平2-18108号)のマイクロフィルム等参照)。そして、トランス構造及びステアリングを備えることも周知の技術手段であり(例えば、当審の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開昭61-135877号公報等を参照)、この周知の技術手段を引用発明に適用して、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 なお、請求人は、引用文献1においては有人運転を想定していないことから、これに有人用のステアリングを設けることは思いつかないことである旨主張しているが、上述したように無人運転の車両に対して、有人運転のための操舵装置(ステアリング)を設けることは周知の技術思想であるから、上記主張には首肯できない。 [相違点2]について 後輪を車体と連結するにあたって、後輪が回転可能なように保持するための部材を設けて車体と連結することは自明のことであるから、後輪を「一つのホルダーにより車体と連結され」るようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明の奏する作用効果について検討しても、引用発明に記載された事項及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に記載された事項及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に記載された事項及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-17 |
結審通知日 | 2011-02-18 |
審決日 | 2011-03-22 |
出願番号 | 特願2006-48488(P2006-48488) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B62D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石原 幸信 |
特許庁審判長 |
千馬 隆之 |
特許庁審判官 |
田口 傑 小関 峰夫 |
発明の名称 | 四輪車の車輪配置構造 |
代理人 | 小原 英一 |