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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1241184
審判番号 不服2009-19049  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-06 
確定日 2011-08-01 
事件の表示 特願2003-422595「電子部品装着システム及び電子部品装着方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月 7日出願公開、特開2005-183679〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成15年12月19日の出願であって、平成21年7月2日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明

本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成21年6月15日付け手続補正及び平成21年10月6日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明3」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項3】
収納部材に収納された電子部品を供給する複数の部品供給ユニットと、この部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置とを備えた電子部品装着システムにおいて、
前記部品供給ユニット毎に電子部品の収納数及び電子部品切れの予告に係る情報を記憶する記憶手段と、順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する送信手段とを前記電子部品装着装置に設ける共に、
前記送信手段により送信された前記部品切れ予告情報を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記部品切れ予告情報に基づいて当該電子部品に係る新たな収納部材を前記部品供給ユニットに装填してどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報を入力するための入力手段とを備えた監視コンピュータとを備え、
前記監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて前記表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示する
ことを特徴とする電子部品装着システム。」

3.引用刊行物とその記載事項

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は次のとおりである。

刊行物1 特開2002-111298号公報
刊行物2 特開平7-94896号公報
刊行物3 特開2001-127487号公報

(1)刊行物1に記載された発明

刊行物1(特開2002-111298号公報)には、「稼働分析装置、稼働分析システム、稼働分析プログラムおよび稼働分析方法」に関して、図面とともに次の記載がある。

(ア)「【0003】部品実装ラインは、回路基板への部品の装着を自動で行う生産ラインの1種であり、一例として、回路基板を一枚ずつ供給する基板供給装置、回路基板にクリーム半田を印刷するクリーム半田印刷機、印刷されたクリーム半田の状態を検査するクリーム半田印刷検査機、部品を基板に接着するための接着剤を塗布する接着剤塗布機、部品を回路基板に高速に装着する高速装着機、異形部品を始めとする多種類の部品を回路基板に装着する多機能装着機、部品装着後の回路基板上の部品の欠品や位置ずれ等を検査する装着部品検査機、クリーム半田を溶融し部品の電極と回路基板上のランドとの半田付けを行うリフロー装置、半田付けの状態や部品の装着状態等を外観により検査する外観検査機、実装された回路基板を収納する基板収納装置などから構成され、これら複数の種類の装置が直列状に連結されており、回路基板は1枚ずつこれらの装置を順次経ることにより実装生産される。」

(イ)「【0030】また、上記目的を達成するために、本願の第12発明の稼働分析装置は、部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置から部品を保持し回路基板に実装する部品保持手段と、を備えた部品実装機を含んで連結した部品実装ラインの稼働状況を分析する稼働分析装置であって、実装工場内にある前記部品実装ラインとインターネットを始めとする通信手段で接続し、前記部品実装ラインから前記通信手段を介して稼働率、停止時間、品種切替え時間または前記部品保持手段の部品保持率を含む設備情報、および実装タクト実績値または標準の実装タクトより伸びた余分なタクトであるタクトロスを含むタクト情報を収集し、または、前記部品実装ラインからフロッピディスクまたはCDロムを始めとする記録媒体を介して前記設備情報およびタクト情報を収集する送受信部と、前記部品実装ラインの各部品実装機の設備情報およびタクト情報を監視するために前記設備情報およびタクト情報を表示する表示部と、前記送受信部が前記設備情報およびタクト情報を収集し、前記表示部が前記設備情報およびタクト情報を表示するように制御する制御部と、を備えたものである。」

(ウ)「【0065】図1は、部品実装ライン100と、部品実装ライン100から設備情報を収集し部品実装ライン100を管理する管理装置101と、を備えた部品実装システム120を示す。図2は、本実施の形態の稼働分析システムの全体システム構成を示し、実装システム120を有する実装機納入先の各工場と実装機供給メーカとの間を例えばインターネットを始めとするネットワーク3(この限りでなく通信ができる通信手段であれば良い。但し、インターネットであれば情報の送受が高速でできるので好適である。)で接続し、各工場の稼働状況を監視し分析するものを示す。
【0066】図1において、100は、個々の部品実装機105?111が連結された部品実装ラインで、接続ユニット103a?103f、113a、113bを経て各部品実装機105?111の回路基板1枚に実装する時間である実装タクト、標準実装タクト(部品1点当たりを標準で実装可能なタクトである標準タクトで回路基板1枚分の実装を行うとした場合の実装タクト)より伸びた余分なタクトであるタクトロス等のタクト情報、および稼働率、停止時間、品種切替え時間等の設備情報を管理装置101に収集する。図2において、図1に示す部品実装ライン100a?100cを有する部品実装機納入先の各工場A?Cの管理装置101a?101cと、実装機供給メーカが有する稼働分析装置1とをインターネット3で接続している。管理装置101a?101cからインターネット3を介して各工場の部品実装ライン100の個々の部品実装機の実装タクト等のタクト情報および稼働率等の設備情報が稼働分析装置1に収集され、これらのタクト情報および設備情報は稼働分析し易いデータ構造に変換され設備稼働情報データベース2(以後、設備稼働情報DBと呼ぶ)に蓄積される。稼働分析装置1では、実装タクトや稼働率が目標に達しているかを監視し、目標に達してなければ要因分析を行う。例えば、要因が特定の部品実装機のタクトロスにあれば、そのタクトロスをおさえる実装順序の最適化や部品供給装置5の配置の最適化を行い、最適化を行ったNCデータをインターネット3を介して該当する工場の管理装置101へフィードバックする。管理装置101は、フィードバックされた最適化後NCデータを該当の部品実装機へ該当する接続ユニットを介して転送する。また、要因が、特定の部品実装機の実装タクトが部品実装ライン100の中で遅くなっていることにある場合は、稼働分析装置1では、該当部品実装ライン100の各部品実装機への部品の再振り分けを行い、タクトバランスが取れた各部品実装機のNCデータに生成し直してNCデータを該当する工場の管理装置101へフィードバックする。」

(エ)「【0075】1 部品実装システム120の構成
部品実装システム120は、部品が実装されていない回路基板に部品を装着することにより、回路基板の実装生産を行う生産システムであり、図1に示すように、管理装置101、LAN装置102、接続ユニット103a?103f、113a,113bおよび部品実装ライン100から構成されている。部品実装ライン100は、供給装置104、クリーム半田印刷機105、クリーム半田印刷検査機106、接着剤塗布機107、高速装着機108a、多機能装着機108b、装着部品検査機109、リフロー装置110、外観検査機111および収納装置112から構成されている。
【0076】なお、高速装着機108a、多機能装着機108bは、部品実装機の1種であり、チップ部品を回路基板上に面実装するものであり、マウンタともいう。(以下、省略)」

(オ)「【0087】部品実装ライン100において、高速装着機108aおよび多機能装着機108bは、それぞれ部品を回路基板上に装着する装着機の一種類である。高速装着機108aは、主に小型チップ部品を高速に回路基板上に装着することを目的としており、多機能装着機108bは、異形部品を含む多くの種類のチップ部品を回路基板上に装着することを目的としており、部品を回路基板上に装着する点において共通している。
【0088】高速装着機108aの構成を図3(a)に示す。図3(a)において、11は部品供給部で、部品を供給する部品供給装置5を移動テーブル6上に搭載している。部品供給装置5は、図で詳細に示していないが、同一種類の部品を一定ピッチで複数収納した部品収納テープをリール状にしたものを搭載し、部品収納テープを部品収納ピッチで間欠送りすることにより部品を1個ずつ供給する。部品供給部11は、実装する部品の種類に応じて必要数だけ部品供給装置5を移動テーブル6上に搭載する。移動テーブル6は矢印12に示す方向に移動し、実装する部品供給装置5が部品供給位置に合致するように位置決めする。9は、回路基板10を搭載し、XY方向に移動位置決めするXYテーブルである。4は、実装ヘッドで、間欠回転する回転テーブル8と、回転テーブル8の外周に一定ピッチで配置された部品吸着ノズル7と、を備えている。部品供給位置に位置決めされた部品供給装置5から部品を取出す位置にある部品吸着ノズル7が部品供給装置5から供給された部品を吸着すると、回転テーブル8は矢印13の方向に部品吸着ノズル7の配置ピッチ毎に間欠回転する。部品を吸着した部品吸着ノズル7は、回転テーブル8の順次間欠回転により、回転テーブル8の外周上において部品を吸着した位置と反対側の対向する位置に来た時に、回路基板10上の実装位置に部品を実装する。XYテーブル9は、部品吸着ノズル7が実装する部品の実装位置に合わせて回路基板10を位置決めする。201は、部品供給部11、XYテーブル9および実装ヘッド4等を制御する制御部である。」

(カ)「【0093】従って、ここでは、部品実装ライン100において、複数台の装着機が直列に接続されており、また各装着機には接続ユニットが接続されているものと想定し、複数台の装着機のうちのn番目の装着機を装着機n108とし、n番目の接続ユニットを接続ユニットn113とする。以下において、高速装着機108aの説明に代えて装着機n108について説明し、また接続ユニット113aの説明に代えて接続ユニットn113について説明する。
【0094】(5-1)装着機n108
装着機n108の制御系の構成は、図4に示すように、制御部201、装着制御部202、装着部203、データ記憶部204、送受信部205、入力部206、画面制御部207および表示部208からなっている。
【0095】装着部203は、高速装着機においては、図3(a)で示した、部品供給部11、XYテーブル9および実装ヘッド4に相当する。送受信部205は、接続ユニットn113の装着機側送受信部301と接続されている。送受信部205と接続ユニットn113の装着機側送受信部301との間の通信は、本実施の形態ではRS-232C規格に基づいて行われるが、これに限定するものではない。
【0096】(a)データ記憶部204
データ記憶部204は、図8に示す設備情報211、図9に示すNCデータ220を記憶している。
【0097】設備情報211は、図8に一例として示すように、生産管理情報とカセット情報(部品供給装置5、即ちパーツカセットに関する情報)とから構成されている。生産管理情報は、生産予定枚数、生産予定回路数、生産枚数、・・・、稼働率、吸着率・・などの情報を含んでおり、カセット情報は、部品供給装置5の配置位置を示す番号であるZNO.、部品名称、部品供給装置5の部品残数などの情報を含んでいる。
【0098】?【0104】(省略)
【0105】(c)送受信部205
送受信部205は、接続ユニットn113から設備情報211またはNCデータ220をアップロードする旨の要求を受信すると、受信した前記要求を制御部201へ出力する。制御部201の指示により、データ記憶部204に記憶されている設備情報211またはNCデータ220を読み取り、接続ユニットn113へ送信する。
【0106】また、送受信部205は、接続ユニットn113から新規に作成した、もしくは1度アップロードして上位で最適化し直したNCデータ220を受け取り、受け取ったNCデータ220を制御部201の指示によりデータ記憶部204に記憶させる。
【0107】(d)制御部201
制御部201は、装着機の各部の制御を行い、設備情報211、NCデータ220のアップロード、NCデータ220のダウンロードをするために、上記したように、装着制御部202、送受信部205等に指示を行い制御する。
【0108】また、制御部201は、入力部206からオペレータからの指示命令を受け取り、受け取った指示命令に応じた処理を行う。また、画面制御部207へ画面表示に関する指示命令と表示内容を出力する。
【0109】(5-2)接続ユニットn113
接続ユニットn113は、図5に示すように、装着機側送受信部301、管理装置側送受信部302、制御部303およびデータ記憶部304から構成されている。
【0110】?【0116】(省略)
【0117】(b)装着機側送受信部301
装着機側送受信部301は、制御部303から設備情報211またはNCデータ220のアップロードの要求を受け取り、受け取った要求を装着機n108へ送信する。装着機n108から設備情報211またはNCデータ220を受信すると、受信した設備情報211またはNCデータ220を制御部303へ出力する。
【0118】また、装着機側送受信部301は、制御部303から装着機n108へダウンロードするNCデータ220を受け取り、受け取ったNCデータ220を装着機n108へ送信する。
【0119】(c)管理装置側送受信部302
管理装置側送受信部302は、管理装置101から設備情報211、NCデータ220または実装タクト実績値のアップロード要求を受け取り、受け取った前記要求を制御部303へ出力する。また、制御部303から設備情報211、NCデータ220または実装タクト実績値を受け取り、受け取った設備情報211、NCデータ220または実装タクト実績値を管理装置101へ送信する。」

(キ)「【0295】次に、図25(a)の例では、ライン稼働率が20時以後目標値40を下回っている。この原因を調べるため、図25(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の部品吸着ノズル7の吸着率の推移を表示させて見ると、20時以後吸着率が目標値46(吸着率の目標値を99.99%に設定している)を下回っていることがわかる(ステップS317)。これにより、ライン稼働率の低下の原因は吸着率の低下にあることが判明する。そこで、更に、装着機1の吸着率が低下した原因を分析する。
【0296】まず、装着機1の部品吸着ノズルの種類別の吸着率の推移を調べ(図8の設備情報211には表示していないが、各装着機n108より部品吸着ノズルの種類別の吸着率を収集するものとする)、もし特定の部品吸着ノズルのみの吸着率が低下していたら(ステップS318)、吸着ノズルで不良が発生したのが原因である。この場合は、吸着ノズルを交換するよう該当の実装機納入先工場の管理装置101へメッセージを送る。もし必要であれば、部品吸着ノズルを補修パーツとして該当の実装機納入先工場へ発送する手配を行う(ステップS319)。
【0297】次に、装着機1の部品供給装置5(パーツカセット)の種類別の吸着率の推移を調べ(これも設備情報211の中の1データとして収集される)、もし特定の部品供給装置5のみの吸着率が低下していたら(ステップS320)、部品供給装置5で不良が発生したのが原因である。この場合は、部品供給装置5を交換するよう該当の実装機納入先工場の管理装置101へメッセージを送る。もし必要であれば、部品供給装置5を補修パーツとして該当の実装機納入先工場へ発送する手配を行う(ステップS321)。
【0298】?【0304】(省略)
【0305】また、図28(a)の事例において、20時から22時の間にライン稼働率が低下している。この原因を調べるため、図28(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の20時から22時の間における停止時間の内訳をグラフ表示させる。図によると、20時から22時の間において、部品切れ停止時間が大きいことがわかる。部品切れ停止時間が大きいことがライン稼働率が低下した原因であることが判明する(ステップS330)。この場合は、部品切れの生じた部品供給装置5を速やかに交換することが肝要であるが、例えば、1つの部品供給装置5が供給する部品の使用数に応じて、その部品供給装置5を複数の部品供給装置5から供給するように分割して使用すると、部品切れそのものが発生することがなくなる。そのために、同一の部品供給装置5を複数に分割する最適化を行う選択肢もある(ステップS331)。(以下、省略)」

(ク)「【0385】(4-9)ステップS331の最適化の動作
ステップS331の最適化の動作について、高速装着機の場合の例を図39に示すフローチャートを用いて説明する。
【0386】ステップS331の最適化の目的は、使用数の多い部品の部品供給装置5を複数に分割することにより、部品の減少量を分散させ、生産中に部品切れが発生しないようにすることである。
【0387】最初に、装着機n108で使用する各部品供給装置5において、回路基板の生産品種で使用する部品数を見積もる(ステップS501)。そのために、まず、NCプログラム221の各部品毎のステップ数をカウントすると、回路基板1枚の実装に使用する各部品供給装置5の部品使用数が得られる。この、各部品供給装置5の部品使用数に、その品種の生産枚数を乗ずると、生産品種における部品使用数が求まる。
【0388】この部品使用数と部品供給装置5内の部品残数とを比較すると、その品種の生産中に部品切れが発生するか判断できる(ステップS502)。もし、部品使用数の方が多ければ、その部品供給装置5でその品種の生産中に部品切れが発生する。」

(ケ)上記記載事項(オ)から、「部品供給部11は、実装する部品の種類に応じて必要数だけ部品供給装置5を移動テーブル6上に搭載する」ものであるから、「部品供給装置5」は、「複数」であるものと解される(段落【0088】)。

(コ)図4及び上記記載事項(カ)から、高速装着機108aは、制御部201に接続された送受信部205を有するとともに、制御部201がデータ記憶部204に部品供給装置5の配置位置を示す番号であるZNO.、部品名称、部品供給装置5の部品残数などからなる図8のカセット情報を記憶していることから、部品供給装置5毎に供給部品に係る情報を記憶するデータ記憶部204を有するものと解される(段落【0096】、【0097】及び【0105】)。

(サ)上記記載事項(イ)から、稼働分析装置1は、「前記部品実装ラインの各部品実装機の設備情報およびタクト情報を監視するために前記設備情報およびタクト情報を表示する表示部」を有するものであるから、収集した設備情報を表示するものと解される。

(シ)上記記載事項(キ)から、稼働分析装置1は、収集した設備情報およびタクト情報を処理して表示するとともに、メッセージを送ることにより管理装置101にも表示するものと解される。

そうすると、上記記載事項(ア)?(シ)及び図面の記載からみて、上記刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「部品収納テープを間欠送りすることにより部品を供給する複数の部品供給装置5と、部品供給装置5から部品を取出して回路基板10上に部品を実装する高速装着機108aを備えた部品実装システム120において、
高速装着機108aの制御系は、生産管理情報とカセット情報からなる設備情報211を記憶しているデータ記憶部204と、データ記憶部204に記憶されている設備情報211を送信する送受信部205を有し、
部品実装システム120は上記設備情報211を収集する管理装置101を備え、管理装置101から上記設備情報211を収集する稼働分析装置1に接続され、収集した情報を処理して管理装置101に表示する、部品実装システム120。」

(2)刊行物2に記載された発明

刊行物2(特開平7-94896号公報)には、「電子部品装着システム」に関して、図面とともに次の記載がある。

(ス)「【0004】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、部品供給部より供給されたチップ部品をプリント基板に装着する電子部品自動装着装置と、該電子部品自動装着装置の部品供給部のための部品を収納する材料置場とを有した電子部品装着システムにおいて、前記電子部品自動装着装置の部品残数または部品切れの情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された部品残数または部品切れの情報を表示するものであり前記材料置場の近傍に設けられた部品切れ表示装置とより構成したものである。
【0005】
【作用】表示装置は記憶手段の記憶した部品残数または部品切れの情報を電子部品自動装着装置の部品供給部のための部品を収納する材料置場の近傍にて操作者に表示する。」

(セ)「【0020】このようにして順次種々の部品供給装置23よりチップ部品2の吸着が行われると、各装置23のテープリール13内のチップ部品2は除々に減ってゆき、ライン番号NO.3の装置番号NO.4の電子部品自動装着装置8のリール番号25の部品供給装置23の図示しないテープの終端がフォトセンサ34の位置を通り過ぎ、該センサ34に図示しない反射板の反射する光が受光されるとテープエンドであることが検出され、装置8の図示しないCPUはプリント基板1枚に使用される該部品供給装置23が供給するチップ部品2の数と今までに要したプリント基板1枚に部品装着を行う時間から該テープエンドの検出が行われた時点でテープ中に残っている部品2の数が決まっているので部品切れが発生するまでの残時間を計算してこの残時間とともに部品切れの予告情報を自己のRAM47に記憶するとともにパソコン36に送出し、パソコン36はこの情報を吸い上げる。するとパソコン36はこの情報を自己のRAM45に記憶するとともにCRT37に表示する。また、この部品切れ情報は自己の装置8の図示しないCRTにも表示されそのラインの担当者が部品切れを確認できるようにする。」

(ソ)「【0021】このようにして各ライン1の各装置8の部品切れの予告検出が行われ、その都度パソコン36に各装置8よりRS232Cのインターフェースコネクタを介して予告情報が送出され、CRT37にはその順番に部品切れ情報が表示され、例えば図5に示すように部品切れの情報が表示される。この時、材料置場11の作業者は該CRT37に表示された部品切れ予告あるいは部品切れとなった部品2を収納するテープリール13をCRT37をその都度確認しながらテープリール棚14より用意して各ライン1毎にカウンタ机15上に用意して置いておく。1つのテープリール13を用意した後CRT37を直ちに確認できるのでテープリール13を準備する時間が短くて済む。・・・
【0022】・・・用意が終わったテープリール13については、CRT37の画面より消去するが、この操作は先ず操作部40の消去キー41を押して次にテンキー43を押してCRT37の図5の画面の左端の番号を入力することにより特定し、実行キー42を押すことで画面上より当該番号の部品切れの情報が消去される。この時、テンキー43を押した後には当該番号の欄が色分けあるいはカーソルにより表示されて分かるようにしてもよい。(以下、省略)」

上記記載事項(ス)?(ソ)及び図面の記載からみて、上記刊行物2には次の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。

「部品供給部より供給されたチップ部品をプリント基板に装着する各ラインの各電子部品自動装着装置8を有する電子部品装着システムにおいて、前記電子部品自動装着装置8の部品残数または部品切れの情報を記憶する記憶手段47と、部品切れの予告情報を自己の記憶手段47に記憶するとともにパソコン36に送出する電子部品自動装着装置8のCPUと、上記部品切れの予告情報を吸い上げて自己のRAM45に記憶するとともにCRT37に表示するパソコン36と、より構成した電子部品装着システム。」

(3)刊行物3に記載された発明

刊行物3(特開2001-127487号公報)には、「プリント基板実装システムを対象とした部品管理装置および部品管理方法」に関して、図面とともに次の記載がある。

(タ)「【0007】また、生産性の問題とは別にプリント基板実装工程には「掛け違い」という問題がある。掛け違いは、カセットを部品実装設備に装着する際、装着位置を間違えた結果、本来使われないはずの部品がプリント基板に実装されたり、部品がプリント基板上の誤った位置に実装されてしまうことである。掛け違いが発生すると、完成したプリント実装基板は不良品となり商品価値はない。また、その生産のために使われた部品や時間、人的工数も無駄となり、生産性の面でも大きなマイナスである。掛け違いはリール交換、カセット交換、いずれの場合でも発生しうる。
【0008】従来、プリント基板実装工程に関しては、上記のリール交換やカセット交換の時期予測、部品在庫切れ防止、および掛け違い防止などをまとめて「部品管理処理」と言っている。そして、部品管理の手段の一つとして、IPC(Intelligent Parts Cassette)という技術がある。IPCは、カセットの一種であり、半導体メモリを備えている点を特徴とする。このメモリには、当該カセットが保持するリールに搭載された部品の種類および部品残数などの情報が管理されている。IPCを採用した実装システムでは、サーバが各IPCからこれらの情報を読み出して、各カセット(IPC)ごとに、搭載した部品の種類が間違っていないかどうかの判定とリール交換時期の予測を行うとともに、全IPCの情報を総合して実装システム全体での部品消費量を求めて、その結果を部品在庫管理にも利用する。」

(チ)「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関わる部品管理装置を備えるプリント基板実装システムの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。先ず、実装システムの構成と、構成各部が部品実装に関して行う一般的な処理とについて説明し、その後、部品管理処理について詳しく説明する。
1. 実装システムの構成
1.1 実装システムの概要
図1は本実施の形態における部品実装システムAの概要を示す模式図である。
【0015】実装システムAは、大きく分けてシステムサーバ1、実装ライン2、部品在庫棚3から成る。システムサーバ1と実装ライン2、システムサーバ1と部品在庫棚3、はそれぞれ回線Nで接続されている。システムサーバ1は、実装システムAにおけるプリント基板製造の工程を管理するものであり、その管理作業の中に部品管理を含む。システムサーバ1は、本実施の形態における部品管理装置の実体である。
【0016】実装ライン2は、システムサーバ1の管理下でプリント基板製造処理を実行する。実装ライン2は、ベルトコンベア25に沿って、プリント基板上に配線を設ける装置(図外)、プリント基板上に電子回路部品を実装する装置(以下「実装設備」)20a?20n、基板上に実装された電子回路部品を固定する装置(図外)、完成したプリント実装基板の検査装置(図外)など、複数の装置が連ねられて成る。実装ライン2を構成する実装設備20a?20nはそれぞれコントローラ23を有し、コントローラ23は回線Nを介してシステムサーバ1と接続されている。実装システムAにおいて実装ラインは1つだが、実装システムは複数のラインを有することもある。」

(ツ)「【0030】図1に示す通り、実装設備20は、部品管理のためのコントローラ23と、バーコード読み取り用のバーコードリーダ24とを有しコントローラ23は回線Nを介してシステムサーバ1に接続されている。実装設備20は、カセットを着脱可能なカセットポジションZ1?Znを複数の有しており、カセットポジションに装着されたカセットから供給される部品をロータリヘッド22で吸着し、吸着した部品をプリント基板上の実装位置まで運んで実装する。各カセットポジションには、カセットポジション識別情報(図3、実装情報300の実装設備名欄320、カセットポジション欄330の内容に対応)をバーコードおよび文字の形式で印刷したバーコードシートが貼付されている。各カセットポジションへのカセットの着脱は、センサを介してコントローラ23に監視されている。
【0031】カセット21には部品リールを搭載でき、部品リールから1つずつ部品を取出してはロータリヘッド22に供給する。カセット21上の部品リールは交換可能であり、部品を使い切った場合、製造する基板機種の切替えの場合にリール交換が行われる。部品リールには、部品品番などの情報が文字およびバーコードの形式で印刷されたバーコードシートが貼付されている。」

(テ)「【0044】また、部品実装を行っているうちに、カセット21上の部品リールの部品を使い切ってしまうと、部品リールの交換が必要となる。部品リールに部品がなくなると、この部品リールが搭載されている実装設備のコントローラ23がシステムサーバ1に部品切れ(実装設備名、カセットポジションの情報を含む)を通知し、システムサーバ1は実装ライン2を停止させると共に、管理者への部品リール交換指示を出す。交換指示には部品切れとなったカセットポジション(実装設備名を含む)と、当該カセットポジションに対応する部品品番(実装情報300から得られる)との情報が含まれる。
【0045】指示を受けた管理者は、当該カセットポジションに装着されたカセットを取り外し、搭載されている空の部品リールを新しい部品リールと交換する。交換の際にはバーコードリーダ24で、カセットのバーコード、交換前後の2つの部品リールのバーコードを読み取って、「掛け違い」がないことをシステムサーバ1に確認する。また、この読み取りの結果に応じて、当該カセットの交換履歴情報500のうち初期部品数欄530が、交換後部品リールの部品数情報の値に更新される。」

(ト)「【0062】また、上記実装処理の途中でカセットの部品切れが発生すると(S907:Yes)、システムサーバ1は実装ライン2を停止させると共に、管理者に部品リール交換を行わせる(S908)。この時、システムサーバ1は、管理者によって入力されるバーコード情報に基づいて掛け違いチェックを行う。なお、システムサーバ1は、定期的に部品切れ予測処理を行い、部品切れの近いカセット(カセットポジション)を管理者に通知する(S906)。」

(ナ)「【0068】また、制御部11は、部品切れ予測処理のタイミングを決定し、予測部13に処理実行を指示する。そして、予測部13による予測処理の結果を、入出力部15を介して管理者に、送受信部14を介して実装システム2、部品在庫棚3に、それぞれ通知する。予測部13は、メモリ12内の各種情報の一部を参照してカセット(カセットポジション)ごとに部品切れ時期を予測し、その結果を制御部11に出力する。
【0069】予測部13による予測処理は以下の順序で行われる:
(1)実装ライン2上で稼働中の(実際に部品実装を行っている)カセットとそのカセットポジションとを特定し、各カセットの1つ1つについて、(2)?(5)を繰り返す;
(2)当該カセットに装備されている部品リールが現在保持している部品残数を求める;
(3)(2)で求めた部品残数であと何個のプリント基板(現在製造中の機種)が製造できるかを求める;
(4)(3)で求めた数のプリント基板を製造するまでにかかる時間(部品切れ予測時間)を求める;
(5)(4)で求めた部品切れ予測時間を管理部11に出力する。・・・
【0070】?【0072】(省略)
【0073】図11は、システムサーバ1のモニタに表示される「部品切れ予測グラフ」(実装設備1台分)1100である。グラフ1100は横軸がカセットポジション、縦軸が上記の計算で求められた部品切れ予測時間である。グラフ1100には、カセットポジションは部品切れ予測時間をもとにソートされており、部品切れ予測時間の短いものほど左側にくるようになっている。また、グラフにはリール交換の準備開始の目安として警告ライン1110が表示される。ここでは、90分という部品切れ予測時間を警告ラインとしている。
【0074】管理者は、部品切れ予測時間が警告ラインを下回っているカセットポジションをチェックし、当該カセットポジションのカセットに搭載される部品の種類(部品品番)を実装情報300から調べると、当該部品品番の部品リールを部品在庫棚3から取出しておき、部品切れとなりしだいリール交換を行う。また、システムサーバ1は、管理者が部品在庫棚3から補充用の部品リールを取出す際の便宜のために、部品切れ予測時間が警戒ラインを下回ったカセットポジション上のカセットに搭載されている部品リールと同じ部品品番の部品リールが格納された部品棚31の警告ランプ33を点灯させておく。
【0075】・・・部品切れ時の掛け違い防止処理上記の部品リール交換処理において、管理者は、カセットポジション用バーコード、カセット用バーコード、交換前後の部品リールのバーコードをバーコードリーダ24で読み取り、交換後の部品リールが正しいか、部品リール交換後のカセットを正しいカセットポジションに戻したかかどうか、システムサーバ1による掛け違い防止チェック(3点照合チェック)を受ける。その手順を、以下に図面を参照しながら説明する。
【0076】図12は、部品切れ時の部品リール交換の処理を示す模式図である。管理者は、部品切れ予測グラフ1100を参照し、予測時間が警告ライン1110を下回るカセットポジションがあれば、システムサーバ1の端末から当該カセットポジション1210のカセット1220に関する交換履歴情報500を表示させ、当該カセットに補充すべき部品の部品品番を確認すると、当該部品品番を有する部品リール1240を部品在庫棚3から取出しておく。
【0077】そして、実際に部品切れとなった時点で、当該カセットポジション1210からカセット1220を取り外し、搭載されている部品リール1230を新しい部品リール1240に交換する。その際、管理者は、カセットポジション1210のバーコード1211(又はカセット1220のバーコード1221)、新旧部品リールのバーコード1231,1241をバーコードリーダで読み取り、読み取られた情報は、システムサーバ1に通知される。
【0078】上記の部品リール交換処理に対して、システムサーバ1は先ず、カセットポジション1210の情報をチェックし、当該カセットポジション1210が実際に部品切れとなっているかどうか、部品切れ予測グラフ1100の情報を元に確認する。部品切れとなっていなければ、間違ったカセットポジションのカセットを取り外したことになるので、当該実装設備のコントローラ23に警告メッセージを表示させる。次いで、システムサーバ1は、新旧部品リールのバーコード1231、1241に含まれる部品品番が一致することを確認する。両者が不一致であれば、誤った部品リールを装着しようとしていることになるので、システムサーバ1は、当該実装設備のコントローラ23に警告メッセージを表示させる。
【0079】こうして、読み込まれたバーコード情報をもとにシステムサーバ1が掛け違いのチェックを行うので、リール交換時の掛け違いは防止できる。(以下、省略)」

(ニ)「【0089】図15は、機種切替え時のカセット交換の処理を示す模式図である。先ず、管理者は、交換リスト1400が出力されると、これに従って必要な部品品番の部品リールを搭載した交換用カセット1550を用意する。その際、管理者はカセット1540のバーコード1541と部品リール1550のバーコード1551をバーコードリーダで読み取る。システムサーバ1は、この情報をもとに交換カセット1540用に交換履歴情報500を生成する。
【0090】そして、システムサーバ1から機種切替えの指示が出ると、管理者は、用意した交換用カセット1540を実装設備20の対象カセットポジション1510に装着する。その際、管理者は、先ず、交換リストの交換要否欄1443において「要交換」となっているカセットポジション1510のバーコード1511をバーコードリーダ24で読み取る。すると、システムサーバ1は、内蔵する交換リストの情報と、交換用カセットの交換履歴情報500とを元に、当該カセットポジション1510に装着すべきカセットのカセットIDを当該実装設備のコントローラ23に表示させる。
【0091】管理者は、当該カセットポジション1510から旧カセット1520を取り外し、コントローラ23が表示したカセットIDを有する交換カセット1540を当該カセットポジション1510に装着するその際、管理者は交換カセット1540上の部品リール1550のバーコード1551をバーコードリーダ24で読み取る。システムサーバ1は、このバーコード1551に含まれる部品品番情報と交換リストの情報のうち当該カセットポジション1510に対応する部品品番(部品品番欄1442の内容)とが一致することを確認する。両者が不一致であれば、誤った交換カセットを装着しようとしていることになるので、システムサーバ1は、当該実装設備のコントローラ23に警告メッセージを表示させる。
【0092】一方、2つの部品品番が一致すれば、正しい交換カセットが装着されたこととなり、システムサーバ1は交換リスト情報の交換確認欄1444に交換完了を示す「完」という内容を設定する。以上の処理は、当該実装設備において、交換要否欄1443の内容が「交換要」となった全てのカセットポジションについて確認欄1444の内容が「完」となるまで繰り返される。
【0093】このように、管理者は交換リストを参照しながらカセット交換を行い、その際にはバーコードの情報に基づいてシステムサーバ1が掛け違いチェックを行うので、掛け違いなしに速やかにカセット交換ができる。(以下、省略)」

上記記載事項(タ)?(ニ)及び図面の記載からみて、上記刊行物3には次の発明(以下、「刊行物3発明」という。)が記載されているものと認められる。

「部品リールから1つずつ部品を取出してロータリヘッド22に供給するカセット21と、カセットポジションZ1?Znに装着されたカセット21から供給される部品をプリント基板上に実装する実装設備20とを備えた、部品実装システムAにおいて、
部品残数などの情報が管理されているメモリ12と、カセットに装備されている部品リールが現在保持している部品残数から部品切れ予測時間を求めて部品切れ予測時間をシステムサーバ1の制御部11に出力してカセットポジションを含み、警告ライン1110が引かれた部品切れ予測グラフを表示し、
部品リールに部品がなくなると、この部品リールが搭載されている実装設備のコントローラ23が回線Nを介してシステムサーバ1に実装設備名、カセットポジションの情報を含む部品切れを通知し、システムサーバ1は管理者へ部品切れとなったカセットポジションと当該カセットポジションに対応する部品品番の情報を含む部品リール交換指示を出し、指示を受けた管理者は、交換の際にバーコードリーダ24で交換前後の2つの部品リールのバーコードを読み取って、掛け違いがないことをシステムサーバ1に確認して搭載されている空の部品リールを新しい部品リールと交換する、部品実装システムA。」

4.発明の対比・判断

4-1.刊行物1発明を主たる引用例とする場合

(1)一致点
本願発明3と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「部品収納テープを間欠送りすることにより部品を供給する複数の部品供給装置5」は、その機能からみて、本願発明3の「収納部材に収納された電子部品を供給する複数の部品供給ユニット」に相当し、以下同様に、「部品供給装置5から部品を取出して回路基板10上に部品を実装する高速装着機108a」は「この部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置」に、「部品実装システム120」は「電子部品装着システム」に相当する。
刊行物1発明の「高速装着機108aの制御系は、生産管理情報とカセット情報からなる設備情報211を記憶しているデータ記憶部204と、データ記憶部204に記憶されている設備情報211を送信する送受信部205を有し」は、本願発明3の「前記部品供給ユニット毎に電子部品の収納数及び電子部品切れの予告に係る情報を記憶する記憶手段と、順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する送信手段とを前記電子部品装着装置に設ける」と対比して、少なくとも、「電子部品に係る情報を記憶する手段と、その情報を出力する送信手段とを電子部品装着装置に設ける」ものである点において共通するものである。
刊行物1発明の「部品実装システム120は上記設備情報211を収集する管理装置101を備え、管理装置101から上記設備情報211を収集する稼働分析装置1に接続され、収集した情報を処理して管理装置101に表示する」は、本願発明3の「前記送信手段により送信された前記部品切れ予告情報を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記部品切れ予告情報に基づいて当該電子部品に係る新たな収納部材を前記部品供給ユニットに装填してどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報を入力するための入力手段とを備えた監視コンピュータとを備え、前記監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて前記表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示する」と対比して、少なくとも、「電子部品に係る情報を収集して表示し、当該情報を処理して表示する」ものである点において共通するするものである。

したがって、両者は、本願発明3の表記にならえば、
「収納部材に収納された電子部品を供給する複数の部品供給ユニットと、この部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置とを備えた電子部品装着システムにおいて、電子部品に係る情報を記憶する手段と、その情報を出力する送信手段とを電子部品装着装置に設けるとともに、電子部品に係る情報を収集して表示し、当該情報を処理して表示する、電子部品装着システム」である点において一致している。

(2)相違点
一方、両者は、以下の点で相違する(以下、「相違点1」という)。
[相違点1]
本願発明3は、「前記部品供給ユニット毎に電子部品の収納数及び電子部品切れの予告に係る情報を記憶する記憶手段と、順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する送信手段とを前記電子部品装着装置に設ける共に、
前記送信手段により送信された前記部品切れ予告情報を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記部品切れ予告情報に基づいて当該電子部品に係る新たな収納部材を前記部品供給ユニットに装填してどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報を入力するための入力手段とを備えた監視コンピュータとを備え、
前記監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて前記表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示する」ものであるのに対し、
刊行物1発明では、「高速装着機108aの制御系は、生産管理情報とカセット情報からなる設備情報211を記憶しているデータ記憶部204と、データ記憶部204に記憶されている設備情報211を送信する送受信部205を有し、
部品実装システム120は上記設備情報211を収集する管理装置101を備え、管理装置101から上記設備情報211を収集する稼働分析装置1に接続され、収集した情報を処理して管理装置101に表示する」ものである点。

(3)相違点についての検討
上記相違点1は、要するに、本願発明3が、電子部品に係る部品切れの予告情報に係るレベルに到達した場合にその情報を表示し、当該部品に係る新たな収納部材に係る情報を入力し、その情報と部品切れに係る部品登録イベント情報に基づいて上記表示を異なる態様で表示することにより、部品切れが起こった場合に、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまわないようにするための具体的構成を有するのに対し、刊行物1発明が、設備情報211を収集し、さらにその収集した情報を処理して表示することにより、稼働状況を監視し分析するための構成であることによるものである。すなわち、上記相違点1は、電子部品装着システムにおいて、本願発明3が電子部品の部品切れを制御対象としているのに対し、刊行物1発明が電子部品装着システムの稼働率の管理を制御対象としていることに基づくものということができる。この点について、本願の明細書の発明の発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題に関する以下の記載がある。

「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、部品切れが起こった場合に、当該部品切れに係る電子部品を収納した収納部材を部品供給ユニットに装填して電子部品装着装置にセットする場合に、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまう場合がある。
【0004】
そこで本発明は、部品切れが起こった場合に、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまわないようにすることを目的とする。」

電子部品装着システムにおいて、部品切れが発生することは上記刊行物1の記載事項(ク)にもあるとおりであり、新たな部品の装填を作業者が行う場合、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまわないようにすることは、システムによるサポートを行うか否かは別として、生産活動において従来から考慮されている普遍的課題である。
そこでまず、部品切れを予告することについてのシステムによるサポートについて検討するに、刊行物2発明は、刊行物1発明及び本願発明3と同様の技術分野に属する電子部品装着システムにおいて、電子部品自動装着装置8の部品残数または部品切れの情報を記憶する記憶手段47と、部品切れの予告情報を自己の記憶手段47に記憶するとともにパソコン36に送出する電子部品自動装着装置8のCPUと、上記部品切れの予告情報を吸い上げて自己のRAM45に記憶するとともにCRT37に表示するパソコン36と、より構成したものであり、上記予告情報は、「装置8の図示しないCPUはプリント基板1枚に使用される該部品供給装置23が供給するチップ部品2の数と今までに要したプリント基板1枚に部品装着を行う時間から該テープエンドの検出が行われた時点でテープ中に残っている部品2の数が決まっているので部品切れが発生するまでの残時間を計算してこの残時間とともに部品切れの予告情報を自己のRAM47に記憶する」(上記記載事項(セ))ものであるから、上記相違点1の「順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する」ものに相当するものである。
次に、作業者が部品を誤って装填しないようにするためのシステムによるサポートについて検討するに、刊行物2発明は、上記表示に基づいて作業者がCRT37を確認して、部品切れの情報を消去するものであるが(上記記載事項(ソ))、これら一種の確認作業の一部をシステムのサポートによって行うか否かは設計事項であるところ、刊行物3発明は、部品実装システムにおいて、部品の「掛け違い」という問題を防止するため、「部品リールに部品がなくなると、この部品リールが搭載されている実装設備のコントローラ23が回線Nを介してシステムサーバ1に実装設備名、カセットポジションの情報を含む部品切れを通知し、システムサーバ1は管理者へ部品切れとなったカセットポジションと当該カセットポジションに対応する部品品番の情報を含む部品リール交換指示を出し、指示を受けた管理者は、交換の際にバーコードリーダ24で交換前後の2つの部品リールのバーコードを読み取って、掛け違いがないことをシステムサーバ1に確認して搭載されている空の部品リールを新しい部品リールと交換する」ようにしたものである。これらの部品交換において、バーコードリーダ24で交換前後の2つの部品リールのバーコードを読み取って、掛け違いがないことをシステムサーバ1に確認している情報は、「部品登録イベント情報」にほかならない。すなわち、上記のような部品切れに係る収納部材がどの部品供給ユニットのものであるかや、どの電子部品に係るものかなどという、いわゆる部品登録イベント情報は、作業者が部品の装填を行うために本来必要な情報に基づくものであり、上記刊行物1には、図8にカセット情報として部品供給装置5の配置位置を示す番号であるZNO.、部品名称、部品供給装置5の部品残数などの情報が採用されていることが記載され、上記刊行物2には、図5に部品切れの情報として「部品名」、「ライン番号」、「装置番号」、「リール番号」、「残時間」が表示されていることが記載され、上記刊行物3には、図11にカセット番号、部品切れ予告時間などが表示されることが記載されているように、具体的にどのような情報を表示し、どのような情報を部品登録イベント情報として採用するかは、個別の作業の必要に応じて選択し得る設計事項に過ぎない。
さらに、部品が装填されたことに対して、刊行物3発明では掛け違いがある場合に警告メッセージが表示され、掛け違いがない場合には「一致することを確認する」(上記記載事項(ナ)の段落【0078】)とあるだけでその手段は明らかではないものの、部品交換においては正しい交換カセットが装着されたことにより、交換確認欄1444に交換完了を示す「完」が表示されるようになっている(上記記載事項(ニ)の段落【0091】及び【0092】)ことに照らせば、作業者が確認する必要がある場合には適宜分かりやすく表示して部品の装着が、正しかったか掛け違いがあったのかを認識させることは必要に応じて行い得ることであって、具体的にどのような情報をどのように表示して作業者に認識させるかや、どのコンピュータに送信して表示させるかといったことは、作業工程の配置や確認を要する作業に応じて適宜設定する設計事項にすぎず、作業者が上記部品が装填されたことや装填された部品が一致することなどを確認するための表示として、部品登録イベント情報に基づいて部品切れ予告情報の態様をそれまでとは「異なる態様」で表示することは当業者が適宜設定し得たことである。
そうすると、刊行物1発明は、刊行物2発明及び刊行物3発明と同じ技術分野に属するものであり、上記普遍的課題はいずれの発明にも共通するものであるから、刊行物1発明に、刊行物2発明の電子部品切れ予告情報を送出して表示する構成、及び刊行物3発明の新たな部品を装填して確認する手段を適用し、その確認ための表示を適宜設定することにより、上記相違点1に係る本願発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)本願発明の効果について
本願発明3が奏する「本発明は、監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示するので、管理者は部品切れに係る部品供給ユニットに部品切れに係る電子部品を収納した収納部材を間違い無く取り付けたことを確認することができる。また、部品切れが起こった場合に、作業者が誤って部品切れに係る電子部品を収納した収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまうことが防止できる。」といった効果は、いずれも刊行物1?3に記載された発明から当業者が予測できるものである。

(5)まとめ
したがって、本願発明3は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-2.刊行物3発明を主たる引用例とする場合

(1)一致点
本願発明3と刊行物3発明とを対比すると、刊行物3発明の「実装設備20」は、その機能からみて、本願発明3の「電子部品装着装置」に相当するから、刊行物3発明の「部品リールから1つずつ部品を取出してロータリヘッド22に供給するカセット21と、カセットポジションZ1?Znに装着されたカセット21から供給される部品をプリント基板上に実装する実装設備20とを備えた」は、実質的に、本願発明3の「収納部材に収納された電子部品を供給する複数の部品供給ユニットと、この部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置とを備えた」に相当し、同様に、「部品実装システムA」は、「電子部品装着システム」に相当する。
刊行物3発明の「部品残数などの情報が管理されているメモリ12と、カセットに装備されている部品リールが現在保持している部品残数から部品切れ予測時間を求めて部品切れ予測時間をシステムサーバ1の制御部11に出力してカセットポジションを含み、警告ライン1110が引かれた部品切れ予測グラフを表示し」は、その機能からみて実質的に、本願発明3の「前記部品供給ユニット毎に電子部品の収納数及び電子部品切れの予告に係る情報を記憶する記憶手段と、順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する送信手段とを前記電子部品装着装置に設ける共に、前記送信手段により送信された前記部品切れ予告情報を表示する表示手段」に相当する。
刊行物3発明の「部品リールに部品がなくなると、この部品リールが搭載されている実装設備のコントローラ23が回線Nを介してシステムサーバ1に実装設備名、カセットポジションの情報を含む部品切れを通知し、システムサーバ1は管理者へ部品切れとなったカセットポジションと当該カセットポジションに対応する部品品番の情報を含む部品リール交換指示を出し、指示を受けた管理者は、交換の際にバーコードリーダ24で交換前後の2つの部品リールのバーコードを読み取って」は、コントローラ23ないしシステムサーバ1が本願発明3の「監視コンピュータ」の機能を含むものであるから、実質的に、本願発明3の「該表示手段に表示された前記部品切れ予告情報に基づいて当該電子部品に係る新たな収納部材を前記部品供給ユニットに装填してどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報を入力するための入力手段とを備えた監視コンピュータとを備え」に相当する。

したがって、両者は、本願発明3の表記にならえば、
「収納部材に収納された電子部品を供給する複数の部品供給ユニットと、この部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置とを備えた電子部品装着システムにおいて、
前記部品供給ユニット毎に電子部品の収納数及び電子部品切れの予告に係る情報を記憶する記憶手段と、順次前記部品供給ユニットより電子部品装着装置が取出してプリント基板上に装着することにより前記収納部材に収納された電子部品の数が減少して前記電子部品切れ予告情報に係るレベルに到達した場合には当該電子部品に係る部品切れ予告情報を出力する送信手段とを前記電子部品装着装置に設ける共に、
前記送信手段により送信された前記部品切れ予告情報を表示する表示手段と、該表示手段に表示された前記部品切れ予告情報に基づいて当該電子部品に係る新たな収納部材を前記部品供給ユニットに装填してどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報を入力するための入力手段とを備えた監視コンピュータとを備えた、電子部品装着システム。」である点において一致している。

(2)相違点
一方、両者の相違点は、以下のとおりである(以下、「相違点2」という)。
[相違点2]
本願発明3は、「前記監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて前記表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示する」のに対し、刊行物3発明では「掛け違いがないことをシステムサーバ1に確認して搭載されている空の部品リールを新しい部品リールと交換する」ものであり、表示については明らかではない点。

(3)相違点についての検討
部品供給ユニットより電子部品を取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置を備えた電子部品装着システムにおいて、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまわないようにすることは、システムによるサポートを行うか否かは別として、生産活動において従来から考慮されている普遍的課題であるところ、本願発明3は、部品切れが起こった場合に、作業者が誤って部品切れに係る収納部材以外のものを装填した部品供給ユニットを電子部品装着装置にセットしてしまわないようにすることを発明が解決しようとする課題としている点において、刊行物3発明と軌を一にするものである。そのための解決手段として、本願発明3は「前記監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて前記表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示する」構成を有するものであるが、部品切れに係る収納部材がどの部品供給ユニットのものであるかや、どの電子部品に係るものか、という情報は、作業者が部品の装填を行うために本来必要な情報であり、上記刊行物1には、図8にカセット情報として部品供給装置5の配置位置を示す番号であるZNO.、部品名称、部品供給装置5の部品残数などの情報が採用されていることが記載され、上記刊行物2には、図5に部品切れの情報として「部品名」、「ライン番号」、「装置番号」、「リール番号」、「残時間」が表示されていることが記載され、上記刊行物3には、図11にカセット番号、部品切れ予告時間などが表示されることが記載されているように、具体的にどのような情報を表示し、どのような情報を部品登録イベント情報として採用するかは、個別の作業の必要に応じて選択し得る設計事項に過ぎない。
さらに、電子部品に係る収納部材を正しく収納したことを作業者が確認又は認識できるようにすることは、上記刊行物3にも「システムサーバ1は、新旧部品リールのバーコード1231、1241に含まれる部品品番が一致することを確認する。両者が不一致であれば、誤った部品リールを装着しようとしていることになるので、システムサーバ1は、当該実装設備のコントローラ23に警告メッセージを表示させる。」(上記記載事項(ナ)の段落【0078】)や、「システムサーバ1は、このバーコード1551に含まれる部品品番情報と交換リストの情報のうち当該カセットポジション1510に対応する部品品番・・・とが一致することを確認する。・・・2つの部品品番が一致すれば、正しい交換カセットが装着されたこととなり、システムサーバ1は交換リスト情報の交換確認欄1444に交換完了を示す「完」という内容を設定する。」(上記記載事項(ニ)の段落【0091】及び【0092】)と記載されているように、刊行物3発明は、作業者が交換する部品を収納した場合や新たな部品を収納した場合、部品の正誤について確認や認識ができるように考慮されており、そのための表示として、部品登録イベント情報に基づいて部品切れ予告情報の態様をそれまでとは「異なる態様」で表示することは当業者が適宜設定し得たことである。
そうすると、刊行物3発明は、刊行物1発明及び刊行物2発明と同じ技術分野に属するものであり、上記普遍的課題はいずれの発明にも共通するものであるから、刊行物3発明に刊行物1発明及び刊行物2発明を適用して、上記相違点2に係る本願発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)本願発明3の効果について
本願発明が奏する効果は、刊行物1?3に記載された発明から当業者が予測できるものであることは、上記4-1.(4)に述べたとおりである。

(5)まとめ
したがって、本願発明3は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-3.審判請求人の主張について

審判請求人は、審判請求書の平成21年12月16日付け手続補正書において、上記刊行物3には、本願発明3に係る「『どの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと(その部品供給ユニットに収納した新しい)電子部品との関連を登録したという部品登録イベント情報』について、何ら記載も示唆もされていないことは明らかであります。」(【本願発明が登録されるべき理由】の「(4)本願発明と引用文献との対比」の項参照)と述べるとともに、上記刊行物3から本願発明3が奏する「『監視コンピュータはどの部品供給ユニットにどの電子部品に係る収納部材を収納したかに係る情報及び部品切れに係る当該部品供給ユニットと電子部品との関連を登録した旨の部品登録イベント情報に基づいて表示手段に表示していた前記部品切れ予告情報の態様を異なる態様で表示するので、管理者は部品切れに係る部品供給ユニットに部品切れに係る電子部品を収納した収納部材を間違い無く取り付けたことを確認することができます。』という作用効果はもちろん、対象の部品供給ユニットが多数有った場合においても、作業者が作業の途中にて部品供給ユニットへの収納部材(部品供給リール)の取り付け状況を容易に確認することができるという作用効果も到底期待することはできません。」と述べて、本願は特許されるべき旨主張している。
しかしながら、本願発明3は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることは上記のとおりであり、審判請求人が主張する本願発明3が奏する効果も部品切れに対応して作業者が部品を交換したことを認識して得られる一般的な効果に過ぎず、本願発明3において従来用いられなかったような特異な部品登録イベント情報を用いたり、格別の表示方法で作業者の認識を高めたというものではないから、当業者が予測できないような効果を奏するものとは認められない。
また、審判請求人は、審尋に対する平成23年1月24日付けの回答書において、同旨のことを主張しているが、上記の判断を左右する主張ではない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

5.むすび

以上、4-1.及び4-2.に示したとおり、本願発明3、すなわち、本願の請求項3に係る発明は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項3に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項1、2、4ないし8に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2011-05-13 
結審通知日 2011-05-17 
審決日 2011-05-30 
出願番号 特願2003-422595(P2003-422595)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 川上 溢喜
特許庁審判官 山岸 利治
倉田 和博
発明の名称 電子部品装着システム及び電子部品装着方法  
代理人 相澤 清隆  

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