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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1241851
審判番号 不服2009-10736  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-08 
確定日 2011-08-10 
事件の表示 平成11年特許願第 24623号「セルラ方式移動無線通信システムにおけるセルの選択方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月 8日出願公開、特開平11-275628〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成11年2月2日(優先権主張1998年2月6日、フランス)の出願であり、平成21年3月6日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年6月8日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものであって、その請求項11に係る発明は、平成20年12月26日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項11に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「異なる無線アクセス手段に対応する異なる型のサービスが利用可能である異なる型のセルを含む、セルラ方式移動無線ネットワークのための移動交換センタであって、通信を確立するために移動局が前記セルラ方式移動無線通信ネットワークへのアクセスの際にセルを選択するために、
前記通信のために必要なサービスの型に応じて、サービスの点でより良いセルを構成するセルの型を決定する手段を含むことを特徴とする、移動交換センタ。」

第2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-205679号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、音声通信、画像通信、データ通信といった伝送速度、保留時間がそれぞれ全く異なる呼に対する区別は行わない。したがって、例えば高トラヒックエリアでデータ通信を行う場合、従来のセル選択方法でセル半径の小さなセルを選択すると、ハンドオーバが頻発することになり、ハンドオーバ処理量の増加以外に、ハンドオーバによる一時的にデータ転送が途切れることから、伝送レート、伝送品質が著しく低下する。また、保留時間が短く、品質の若干の低下を許容する音声通信を行う場合、端末が高速移動中であると、従来技術3を用いて大セルが選択されると、保留時間、呼種別に関係なく高速移動中の呼が、回線数が少ない大セルの基地局に集中することになる。さらには、上記従来技術で発呼時に選択された基地局の回線に空きがない場合は、接続不能となり、通話時のチャネル切替時に同一セル種の無線基地局に空き回線がなければ、切り戻りにより回線品質の劣化が増大し、さらには強制回線切断となる。
【0005】本発明の目的は、マルチレイヤセルシステムにおいて、あらじめ呼の種別、端末の移動速度、もしくはデータ通信時の回線利用予想時間の情報をもとに、端末が接続すべき最も適したセル種を選択し通信回線を設定する方法を提供することにある。
【0006】また、本発明の他の目的としては、上記セル選択方法もしくは既存のセル選択方法を用いて決定されたセルを構成する無線基地局へ回線接続時に、同回線に空きがない場合、他のレイヤのセル種を選択し通信回線を設定する方法を提供することにある。
【0007】さらに、本発明の他の目的としては、回線接続中にチャネル切替の必要が発生し、同一セル種の無線基地局に空き回線がない場合、チャネル切替先として他のセル種(他のレイヤのセル)を選択し通信回線を設定する方法を提供することにある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0009】図1は、本願発明のセル選択装置付PS(Personal Station)100の内部構成を示す概略図である。セル選択装置付PS100は、電波の送受信を行うRF部110、PS-BS間もしくはPS-衛星間の無線回線の制御を行う無線回線制御部116、各プログラム、データ記憶保持するメモリ等の記憶部103、上記各プログラムに基づいて各処理を行うCPU102、電話番号等の入力を行うためのキーパッド入力装置、ディスプレイ表示等を制御するマン-マシンインタフェース部104、PC・PDA等の各端末との接続を制御するPCインタフェース部105等から構成されている。
【0010】RF部110は、大セルをカバーする無線基地局(BS;Base Station)340、通信衛星等と通信をするための大セルシステム用RF部112と中セルシステム用RF部113と小セルをカバーする無線基地局と通信を行うための小セルシステム用RF部112と各セルシステムに対して共通の機能部である共通RF部111と、PSの位置測定に用いるGPS(Global Positioning System)衛星からの測位用電波を受信するGPS用RF部115などから構成される。」(段落【0004】?【0010】)

(イ)「【0013】図2は、図1に示したPS100のマン-マシンインタフェース部104を示した図である。PSにおけるマン-マシーンインタフェース部(以下、MMI部とする。)104は、PSのユーザである加入者がPSに対する指示を入力する入力部と、PSが加入者にPSの状態もしくは情報を出力する出力部から構成される。詳述すると、マン-マシンインタフェース部104は、TV電話時に用いる受像用のカメラ201と、受話器であるスピーカ202、送話器であるマイク211と、画像表示及び文字表示のためのディスプレイ203と、着番号入力及び各機能設定用のキーパッド207と、ユーザが「音声」等の呼種別を指定する際に用いる呼種別選択ボタン204等から構成される。さらに、セル選択装置360もしくはセル選択機能付PSにおいて、無線回線BUSY時にセル切替を要求する場合に通話料金を優先してセル切替を行うことを命令する「料金優先」208ボタンと、より通話品質が高いセルシステムを優先してセル切替を行うことを命令する「品質優先」209ボタン備えており、あらかじめ通信前に優先方法を設定することができる。
【0014】図3は、本願発明のPSを適応する移動通信ネットワークシステムの構成を示す。
【0015】このネットワークは複数の移動端末100,300,302等を収容する。小セル用無線基地局320は小セル321をサービスエリアとする。中セル用無線基地局330は複数の小セル321から構成される中セル331をサービスエリアとする。大セル用無線基地局340は複数の中セル331から構成される大セル341をサービスエリアとする。小セル用基地局制御局(以下、小セル用BSCとする。)322は、複数の小セル用BS320を収容する。中セル用基地局制御局(以下、中セル用BSCとする。)332は、複数の中セル用BS330を収容する。大セル用基地局制御局(以下、大セル用BSCとする。)342は複数大セル用BS340を収容する。またこれら各BSCは、移動通信交換局(以下、MSCとする。)350と接続されている。さらに当該MSC350は、セル選択装置360と位置情報データベース(以下、位置情報DBとする。)を備えている。このMSC350は関門交換局380を介して、他移動通信網390や固定電話303を収容する固定通信網391と接続され呼の交換接続を行う。
【0016】セル選択装置360は、セル選択機能を有さないPSとBSとの通信に使用されるセルをPSから送られてくる情報等に基づいて選択するものである。
【0017】図3に示した移動通信ネットワークの大セル341が通信衛星によってカバーしてもよい。大セル用BSC342は地球局243を備えており、この地球局は衛星回線を介して通信衛星240と通信を行うことで、衛星中継をして無線端末と接続される。」(段落【0013】?【0017】)

(ウ)「【0019】図5は、セル選択テーブル133の論理的構成の概略を示した例である。
【0020】セル選択の際に、PS100からBS、BSC、MSCを介してセル選択装置に提供される情報には、例えば呼種別501、回線使用予想時間505、端末移動速度508などがある。呼種別501は、通信により送られる情報の内容を示すものであり、具体的には「音声」502/「画像」503/「データ」504などである。回線使用予想時間505は、通信回線を占有するであろう時間を通信前に予め予想される時間を示すものであり、具体的には「短時間」507/「長時間」506等のクラス情報、もしくは「33分」などの実際の予想時間である。端末移動速度508については、端末の移動速度を意味しており「高速」510/「低速」509等の速度クラス情報、もしくは「100km/h」などの実際の移動速度で提供される。セル選択テーブル306は、上記各情報の組み合わせに基づいて選択されるべきセルを決定する構成をもつ。
【0021】ここで、セル選択テーブル306上を使用したセル選択について具体例をあげて説明する。今、発側PS100からBS、BSC、MSCを介して呼種別501として「データ」504、回線使用予想時間505として「長時間」506、端末移動速度として「高速」510が送信されてきた場合を考える。この条件を図5のセル選択テーブル510上に配置すると、「データ」504と「長時間」506と「高速」510との交点に存在するセル種別は「大セル」であり、この「大セル」が選択される。
【0022】図6は、PS100における発呼時のデータ等の呼種別入力シーケンスを示した図である。
【0023】発呼を開始しようとするPS100のユーザが、着PSの端末番号などの電話番号をキーパッドから入力する(602)。次に、優先設定ボタン208,209から優先設定入力を行う(603)。なお、PCもしくはPDA等が接続され、データ通信を行う際は、PC,PDA側から着PSの端末番号および、優先設定情報が送信することも可能である。次に呼種別の入力(呼種別選択ボタンから入力)があるかないかを識別する(604)。604の処理で、呼種別の入力が行われた場合(605)は、入力された呼種別をこれから発呼する呼の種別として設定する。一方、604の処理で、呼種別の入力が行われない場合、あらかじめPSごとに設定されているデフォルトの呼種別を、これから発呼される呼の種別とする(607)。なお、PCもしくはPDA等が接続されている場合は、これら装置から呼種別が通知されることもある。最後に、ユーザは発呼ボタン(通話ボタン)を押し発呼を開始する(608)。また、PCもしくはPDAにPSが接続されている場合は、これら装置から発呼の指示がされる場合もある。
【0024】図7は、セル選択装置360の発側セル選択の処理フローチャートを示したものである。セル選択装置360は、MSC350からの発側セル選択処理実行要求メッセージを受信すると、発側セル選択処理を起動させる(701)。発側セル選択処理では、まず発側PSからBS-BSC-MSCを介して送信されるセル選択要求メッセージに含まれる呼種別501(「音声」/「画像」/「データ」など。)の識別を行い(702)、識別された呼種別情報をメモリに記憶する。ここで呼種別「データ」504と共に回線予想時間505(「長時間」/「短時間」クラスもしくは「25分」等の数値など。)も発側PSから送信されている場合は回線使用時間505もメモリに記憶する。また、同様に発側PSから端末移動速度508(「低速」/「高速」速度クラスもしくは「60km」等の数値など。)も送信されて来た場合には、端末移動速度508の識別を行い(1312)同情報もメモリに記憶する。次に、セル選択装置のメモリ上に記憶された上記各情報をセル選択テーブル580上に割当て、発側PSが接続すべき最良のセル種を選択(704)する。次に発側BSから送信されるBSのセル種が選択された最良のセル種と一致するか否かを確認し(705)、不一致の場合は、発側PSに対して、セル切替(BS切替)の指示を行う(517)。ここで切替先として指定されるセル種は、704の処理によって選択された最良のセル種を用いる。切替先のセル種を含むセル種切替を指示するセル切換必要メッセージを生成しセル選択応答メッセージを網側インタフェース部502からMSCへ送信し(708)、処理を終了する(709)。
【0025】一方、発側PSと接続されているるBSのセル種が704の処理で選択された最良のセル種と一致する場合は、発側PSに対してセル切替不要の指示を行うものとする(706)。この処理で、セル切替不要を指示するセル切替不要メッセージを生成し網側インタフェース部からMSCへ送信し(708)、処理を終了する(709)。」(段落【0019】?【0025】)

(エ)「【0039】図12は、セル選択装置360もしくは、セル選択機能付PS100で実行されるBUSY対応セル切替処理プログラム132の動作フローチャートを示す。
【0040】BUSY対応セル選択切替処理プログラム550は起動されるのは以下の場合である。
【0041】(1)セル選択機能付PS100が、発側セル選択処理によって決定した最適な接続先BS120,130,140もしくは通信衛星に対して発呼のための無線回線の確立要求を行った際に、同BSからPS-BSの回線に空きがないと通知された場合(無線回線BUSY通知)。
【0042】(2)着側MSCが、着側PS-着側BS-着側BSC-着側MSC間のいづれかの回線がBUSYであると通知され、セル選択装置360に対して回線BUSY対応処理を要求する場合。
【0043】以上の(1)(2)のときに回線BUSYのBSもしくはBSC・MSCのセル種が、BUSY対応セル切替処理に情報として渡される。例えば、PS-中セル用BS間の回線BUSYであればセル種として「中セル」が渡される。つまり、発呼に失敗したCPUなどの制御部が判断した場合にこの失敗したセル種をメモリ上に記憶するのである(1201)。
【0044】次に、ユーザが優先設定ボタン208,209を押すことで入力される優先通信指標「品質優先」通信もしくは「料金優先」通信を識別する(1202)。
【0045】1202において「料金優先」通信が選択されるとメモリ103に記憶されている回線BUSYセル種が階層的セル種の最小セル種であるか否かの識別を行う(1203)。例えば、回線BUSYセル種が「小セル」の場合は、最小セル種となる。1203の処理の結果、最小セル種の場合は、1サイズ大きなセル種を選択し(1204)本処理を終了する(1209)。1203の処理の結果、最小セル種ではない場合は、1サイズ小さなセル種を選択し(1206)本処理を終了し(1209)する。
【0046】一方、1202において「品質優先」通信が選択されると、メモリ103に記憶されている回線BUSYセル種が階層的セル種の最大セル種であるか否かの識別を行う(1205)。1205の処理の結果、最大セル種の場合は、1サイズ小さなセル種を選択し(1206)本処理を終了する(1209)。1205処理の結果が最大セル種ではない場合は、1サイズ大きなセル種を選択し(1204)本処理を終了(1209)する。
【0047】PS100もしくはMSC350は、1204もしくは1206の処理で選択されたセル種が本処理の出力となり同セル種のBSへの接続要求を再度行う。
【0048】図13は、PS100から発呼の際のセル選択手順を含めた呼接続シーケンスを示す。
【0049】PS100は小セルBS320との間で無線リンク確立処理1301、PSからBS320-BSC322を介して呼設定メッセージ(1303,1304)をMSC350へ送信する。本メッセージには、呼設定に必要とされる一般的な接続情報の他に、セル選択処理時に利用される呼種別501と端末移動速度508等の情報が付加される。呼設定メッセージ1304を受信したMSC350は、セル選択装置360に対して、呼種別501と端末移動速度508等の情報を含むセル選択要求メッセージ1305を送信する。セル選択装置360では発側セル選択処理510を起動し、同処理終了後にセル選択応答メッセージ1306をMSC350へ返送する。同メッセージの情報として、セル切替が不要とされている場合すなわちセル選択OK(1351)なら、PS100に対して呼設定受付メッセージ1309,1311,1312送信し、網側(着信側)に対してはイニシャルアドレスメッセージ(以下、IAMメッセージとする。)1310を送信し、回線接続処理1316を行った後に通信を開始する(1317)。一方、セル切替が要求された場合つまりセル切替NG(1352)のときは、一般的な情報要素の他に切替先のセル種を情報として含む解放完了メッセージ(1318)をPS100へ送信する。PS100は切替先として指示されたセル種のBS330に対して、無線リンク確立処理(1321)後、呼設定メッセージ1322,1323,1324をMSC350へ転送する。MSC350はPS100へ呼設定受付メッセージ1326,1327,1328を返送し、IAMメッセージ1310を着側網1390である着信側MSCもしくは関門交換局などへ送信しする。最後に回線接続処理1316,1331,1330,1329、を行った後に通信を開始する(1332)。」(段落【0039】?【0049】)

以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「大きなサービスエリアから成る大セルと、該大セルより小さなサービスエリアから成る中セルと、該中セルより小さなサービスエリアより構成される移動通信ネットワークにおいて、移動無線端末PSが無線基地局BSへ通信回線を接続する際に、最も適したセル種を選択する方法であって、
大セル用基地局制御局BSCは地球局を備えており、この地球局は衛星回線を介して通信衛星と通信を行うことで、衛星を中継して移動端末と接続されてもよく、
移動無線端末PSは、
大セルをカバーする無線基地局BS、通信衛星等と通信をするための大セルシステム用RF部112と中セルをカバーする無線基地局BSと通信を行うための中セルシステム用RF部113と小セルをカバーする無線基地局BSと通信を行うための小セルシステム用RF部112と各セルシステムに対して共通の機能部である共通RF部111などから構成されるRF部110と、
「音声」、「画像」、「データ」等の呼種別を指定する際に用いる呼種別選択ボタン204と、無線回線BUSY時にセル切替を要求する場合に通話料金を優先してセル切替を行うことを命令する「料金優先」208ボタンと、より通話品質が高いセルシステムを優先してセル切替を行うことを命令する「品質優先」209ボタンとを備え、
発呼を開始しようとする移動無線端末PSのユーザが、着移動無線端末PSの端末番号などの電話番号をキーパッドから入力し、優先設定ボタン208,209から優先設定入力を行い、次に呼種別の入力(呼種別選択ボタンから入力)を行い、入力された呼種別をこれから発呼する呼の種別として設定し、
移動通信交換局MSCは、セル選択装置と位置情報データベースを備え、
セル選択装置は、セル選択テーブルを有し、セル選択機能を有さない移動端末PSと無線基地局BSとの通信に使用されるセルを移動無線端末PSから送られてくる情報等に基づいて選択するものであり、移動通信交換局MSCからの発側セル選択処理実行要求メッセージを受信すると、発側セル選択処理を起動させ、発側移動無線端末PSからBS-BSC-MSCを介して送信されるセル選択要求メッセージに含まれる呼種別(「音声」/「画像」/「データ」など。)の識別を行い、識別された呼種別情報、回線予想時間505(「長時間」/「短時間」クラスもしくは「25分」等の数値など。)、端末移動速度508(「低速」/「高速」速度クラスもしくは「60km」等の数値など。)をメモリに記憶し、セル選択装置のメモリ上に記憶された上記各情報をセル選択テーブル上に割当て、発側移動無線端末PSが接続すべき最良のセル種を選択し、発側BSから送信されるBSのセル種が選択された最良のセル種と一致するか否かを確認し、不一致の場合は、発側移動無線端末PSに対して、セル切替(BS切替)の指示を行い、ここで切替先として指定されるセル種は、選択された最良のセル種を用い、一方、発側移動無線端末PSと接続されているBSのセル種が選択された最良のセル種と一致する場合は、発側移動無線端末PSに対してセル切替不要の指示を行うセル選択方法。」

第3 対 比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「移動無線端末PS」は、本願発明の「移動局」に相当する。
引用発明の「移動通信交換局MSC」は、本願発明の「移動交換センタ」に相当する。
引用発明は、「音声」、「画像」、「データ」等の呼種別があることから、音声通信、画像通信、データ通信といったサービスが各セルで利用可能であることは明らかであり、これらは本願発明の「異なる型のサービス」に相当する。
引用発明の「大きなサービスエリアから成る大セルと、該大セルより小さなサービスエリアから成る中セルと、該中セルより小さなサービスエリアにより構成される移動無線通信ネットワーク」は、通信衛星等と通信をするための大セルシステム、中セルをカバーする無線基地局BSと通信を行う中セルシステム、及び小セルをカバーする無線基地局BSと通信を行う小セルシステムに対応するサービスが利用可能である異なる型のセルを含むセルラ方式移動無線ネットワークであるから、本願発明の「異なる無線アクセス手段に対応する異なる型のサービスが利用可能である異なる型のセルを含む、セルラ方式移動無線ネットワーク」と「異なる無線アクセス手段において異なる型のサービスが利用可能な異なる型のセルを含む、セルラ方式移動無線ネットワーク」の点で共通する。
引用発明の「セル選択装置」は、「移動通信交換局MSC」に備えられ、発側移動無線端末PSから送信されるセル選択要求メッセージに含まれる呼種別(「音声」/「画像」/「データ」など。)から、発側移動無線端末PSが接続すべき最良のセル種を選択しているから、本願発明の「通信を確立するために移動局が前記セルラ方式移動無線ネットワークへのアクセスの際にセルを選択するために、前記通信のために必要なサービスの型に応じて、サービスの点でより良いセルを構成するセルの型を決定する手段」と「通信を確立するために移動局が前記セルラ方式移動無線通信ネットワークへのアクセスの際にセルを選択するために、前記通信のために必要なサービスの型に応じて、より良いセルを構成するセルの型を決定する手段」の点で共通する。

したがって、本願発明の用語を用いて表現すると両者は、
「異なる無線アクセス手段において異なる型のサービスが利用可能である異なる型のセルを含む、セルラ方式移動無線ネットワークのための移動交換センタであって、通信を確立するために移動局が前記セルラ方式移動無線通信ネットワークへのアクセスの際にセルを選択するために、
前記通信のために必要なサービスの型に応じて、より良いセルを構成するセルの型を決定する手段を含むことを特徴とする、移動交換センタ。」
で一致するものであり、次の点で相違している。

本願発明では、「異なる無線アクセス手段に対応する異なる型のサービスが利用可能である異なる型のセル」を選択するために、「通信のために必要なサービスの型に応じて、サービスの点でより良いセルを構成するセルの型を決定する」のに対し、引用発明の音声通信、画像通信、データ通信といったサービスは、大セルシステム、中セルシステム、小セルシステムに対応する異なる型のサービスではなく、「大セル」、「中セル」、「小セル」が異なる無線アクセス手段に対応する異なる型のサービスが利用可能である異なる型のセルであるか明らかではなく、サービスの型に応じて、サービスの点でより良いセル種を決定しているか明らかではない点。

第4 当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例には、「セル選択機能付PSにおいて、無線回線BUSY時にセル切替を要求する場合に通話料金を優先してセル切替を行うことを命令する「料金優先」208ボタンと、より通話品質が高いセルシステムを優先してセル切替を行うことを命令する「品質優先」209ボタン備えており、あらかじめ通信前に優先方法を設定することができる。」(段落【0013】)及び「ユーザが優先設定ボタン208,209を押すことで入力される優先通信指標「品質優先」通信もしくは「料金優先」通信を識別する(1202)。
【0045】1202において「料金優先」通信が選択されるとメモリ103に記憶されている回線BUSYセル種が階層的セル種の最小セル種であるか否かの識別を行う(1203)。例えば、回線BUSYセル種が「小セル」の場合は、最小セル種となる。1203の処理の結果、最小セル種の場合は、1サイズ大きなセル種を選択し(1204)本処理を終了する(1209)。1203の処理の結果、最小セル種ではない場合は、1サイズ小さなセル種を選択し(1206)本処理を終了し(1209)する。
【0046】一方、1202において「品質優先」通信が選択されると、メモリ103に記憶されている回線BUSYセル種が階層的セル種の最大セル種であるか否かの識別を行う(1205)。1205の処理の結果、最大セル種の場合は、1サイズ小さなセル種を選択し(1206)本処理を終了する(1209)。1205処理の結果が最大セル種ではない場合は、1サイズ大きなセル種を選択し(1204)本処理を終了する。」(段落【0044】?【0046】)と記載されており、セルのサイズ(大セル、中セル、小セル)に対応して通信品質と料金(本願発明の「サービスの型」に相当する。)が異なることが示唆されている。
そして、異なる通信網(本願発明の「異なる無線アクセス手段」に相当する。)と、それらに接続可能な無線端末装置からなる移動通信システムにおいて、無線端末装置が利用しようとするサービスに応じて最適なサービスを提供する通信網に接続することは、本願の優先日前周知の技術である。(例えば、国際公開第96/28947号第11頁第16行?第13頁第16行、特表平9-504155号公報第9頁第11行?第11頁第16行、特開平8-265846号公報段落【0020】?【0025】の記載参照。)
したがって、引用発明において、「大セル」、「中セル」、「小セル」を異なる無線アクセス手段に対応する異なる型のサービスが利用可能な異なる型のセルとし、「通信のために必要なサービスの型に応じて、サービスの点でより良いセルを構成するセルの型を決定する」ようにすることは、当業者が容易になし得ることある。

また、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。


第5 むすび
以上のとおり、本願請求項11に係る発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-09 
結審通知日 2011-03-15 
審決日 2011-03-28 
出願番号 特願平11-24623
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桑江 晃  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 青木 健
清水 稔
発明の名称 セルラ方式移動無線通信システムにおけるセルの選択方法  
代理人 坪倉 道明  
代理人 小野 誠  
代理人 川口 義雄  
代理人 金山 賢教  
代理人 渡邉 千尋  
代理人 大崎 勝真  
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