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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1242321
審判番号 不服2008-12532  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-15 
確定日 2011-08-25 
事件の表示 特願2002- 70616「プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月26日出願公開、特開2003-271628〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成14年3月14日の特許出願であって、平成19年12月05日付けで拒絶理由の通知がなされ、平成20年2月8日付けで手続補正書の提出がなされ、同年4月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年5月15日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年2月8日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
プロジェクトに関する特徴情報とノウハウ情報との組が登録されるデータベースを用い、前記ノウハウ情報の蓄積と検索を支援するコンピュータに使用されるプロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラムであって、
前記コンピュータに、
プロジェクトに関する特徴情報のうち、少なくともキーワード以外の特徴情報を前記データベースに登録する機能、
前記登録された特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて当該プロジェクトの状況毎にノウハウ情報を関連付けて前記データベースに登録する機能、
指定された特徴情報に基づいて、前記データベースからノウハウ情報を検索する機能、
前記検索されたノウハウ情報を出力する機能、
を実現させるためのプロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム。」

なお、上記請求項1の記載の内、以下の各記載については、その文言自体や請求項1の記載のみからは、その意味するところが必ずしも明確ではないので、本審決においては、発明の詳細な説明の記載等を参酌して、以下のそれぞれの項に記載したような意味に解釈した。

(1)「特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて」について
該記載は、「プロジェクト単位ではなく特徴情報単位に『プロジェクトの状況』が関連付けられる」ことを意味しているのか、「特徴情報が関連づけられているプロジェクト単位に『プロジェクトの状況』が関連付けられる」ことを意味しているのかが定かでないが、本審決では、明細書の段落【0013】-【0016】、【0076】-【0079】等の記載を参酌し、後者の意味に解釈した。

(2)「プロジェクトの状況」及び「ノウハウ情報」について
「プロジェクトの状況」がプロジェクトにおけるどの様な状況を意味しているのか、また「ノウハウ情報」がどのような情報までを含むのかが明確でないが、「プロジェクトの状況」については、図8、図11、図16-18等の記載を参酌し、少なくとも、「プロジェクトで発生した問題点」を含むものと解釈した。また、「ノウハウ情報」については、請求項1で上記「プロジェクトの状況」毎に関連付けて登録されるものとされていることや、明細書の段落【0039】の記載等を考慮し、少なくとも、「上記プロジェクトで発生した問題点に対する対策」の情報を含むものと解釈した。

(3)「キーワード以外の特徴情報」について
「キーワード以外の特徴情報」がどの様な特徴情報を含んでいるのか明確でないが、明細書の段落【0014】、図3等の記載を参酌し、少なくとも、「プロジェクトの規模等を表す情報」を含むものと解釈した。

3.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された「特開2001-265580号公報」(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。

あ.「【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるクライアント/サーバシステムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例によるクライアント/サーバシステムは組織内で運用し、開発中及び過去の開発プロジェクトの情報を全て管理しているサーバ・コンピュータ1と、開発中の開発プロジェクトの情報のみを管理している複数のクライアント・コンピュータ2-1?2-nとをLAN回線100で接続して構成している。複数のクライアント・コンピュータ2-1?2-nは常にいくつかのプロジェクトグループからアクセスが可能なように各プロジェクト単位で複数台用意されている。
【0014】図2は図1のサーバ・コンピュータ1の構成を示すブロック図である。図2において、サーバ・コンピュータ1はサーバ・コンピュータ本体11と、キーボード12と、ディスプレイ13と、プロジェクト情報データベース14と、チェックリスト情報データベース15とから構成されている。
【0015】プロジェクト情報データベース14は組織内で過去に行われた開発プロジェクトの情報をプロジェクト単位に保管/管理し、過去のプロジェクトの情報をプロジェクト毎にマスタ・プロジェクト情報テーブル14aとして保管している。
【0016】また、チェックリスト情報データベース15は組織内で一般的に適用される定型的なプロジェクトのライフサイクルモデル、例えばROYCEのウォータフォールモデル等にしたがって区切られた各開発工程で行うレビューで使用するチェックリストの中で、プロジェクトに関係なく共通に使用することができるチェック項目を保管/管理し、それらの情報をマスタ・チェックリスト情報テーブル15aとして保管している。
【0017】図3は図2のマスタ・プロジェクト情報テーブル14aの構成例を示す図である。図3において、マスタ・プロジェクト情報テーブル14aは各プロジェクトA,B,C,…毎に設けられており、例えばウォータフォールモデルのライフサイクルモデルでソフトウェアの開発を行う組織の中のAプロジェクトの場合、Aプロジェクト固有情報41と、Aプロジェクト基本設計工程チェックリスト42と、Aプロジェクト機能設計工程チェックリスト43と、Aプロジェクト詳細設計工程チェックリスト44と、Aプロジェクトコーディング工程チェックリスト45と、Aプロジェクトテスト工程チェックリスト46とから構成されている。尚、図示していないが、プロジェクトB,C,…のマスタ・プロジェクト情報テーブル14aも上記と同様の構成となっている。
【0018】図4は図3のAプロジェクト固有情報41の構成例を示す図である。図4において、Aプロジェクト固有情報41はAプロジェクトの場合の情報を示しており、開発目的(開発の目的、開発の背景、機能提供時の効果)411と、開発項目と機能概要(機能と性能、信頼性と安全性、拡張性)412と、システム/製品の種別[システムや製品の特長から種類分けする(種別リストから選択する)]413と、開発規模[開発する画面数、帳票数、ソース行数等(全体規模で示す)]414と、動作環境(システムや製品の環境、運用と保守形態、技術的特徴)415と、開発工数[開発に要する人時、人日、人年等(全体規模で示す)]416との各情報から構成されている。尚、図示していないが、プロジェクトB,C,…のプロジェクト固有情報も上記と同様の構成となっている。
【0019】ここで、開発目的411は開発の目的、開発の背景、提供する機能による効果を示している。開発項目と機能概要412は機能と性能、信頼性や安全性、拡張性の概念を示している。システム/製品の種別413はデータベースや通信制御等の開発するシステムや製品の種別を、本実施例によるレビュー支援システムを使用する組織で事前に登録した種別一覧から選択して決定するシステム/製品の種別を示している。
【0020】開発規模414は設計書の枚数、設計する画面数、コーディングしたソースファイルの行数等の開発の設計量を示している。動作環境415は開発する製品が動作を保証するハードウェアやソフトウェアの環境、代表的な運用と保守との形態、技術的な特徴を示している。開発工数416は開発の全行程に要する時間を示している。
図5は図3のAプロジェクト基本設計工程チェックリスト42の構成例を示す図である。図5において、Aプロジェクト基本設計工程チェックリスト42は基本設計工程共通チェック項目421と、基本設計工程種別共通チェック項目422と、基本設計工程Aプロジェクト個別チェック項目423との各情報で構成され、それぞれのチェック項目424は[チェック内容](チェックする内容)、[合否判定結果]{合否判定結果(合格、不合格、条件付き合格、該当しない)}、[問題点](問題点の内容、原因区分、作り込み工程、重要度、問題発生箇所)、[修正・処置方法]{修正・処置方法の内容、修正箇所(ページ番号、仕様書項番、関数名、ライン番号)}、[修正確認](修正完了日、修正完了Rev)の各欄から構成されている。尚、図示していないが、プロジェクトB,C,…のプロジェクト基本設計工程チェックリストも上記と同様の構成となっている。」

い.「【0033】図16は図1のクライアント・コンピュータ2-1?2-nの構成を示すブロック図である。図16において、クライアント・コンピュータ2-1?2-nはクライアント・コンピュータ本体21と、キーボード22と、ディスプレイ23と、プリンタ24と、類似・プロジェクト情報データベース25と、当該・プロジェクト情報データベース26とから構成されている。
【0034】類似・プロジェクト情報データベース25には開発計画が完了した時点で、プロジェクトのメンバ(プロジェクトのリーダないしそれに準ずるものが望ましい)が、当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに登録した当該・プロジェクト固有情報を基にサーバ・コンピュータ1のプロジェクト情報データベース14から類似したプロジェクトを検索し、当該プロジェクトの類似・プロジェクトとして決定し、例えばAプロジェクト、Dプロジェクト、Eプロジェクトが類似・プロジェクトとして決定された場合、プロジェクト毎に、類似・プロジェクト情報テーブル25aとして保管されている。また、当該・プロジェクト情報データベース26には当該・プロジェクト情報テーブル26aが保管されている。
【0035】図17は図16の類似・プロジェクト情報テーブル25aの構成を示す図である。図17において、類似・プロジェクト情報テーブル25aは各プロジェクトA,D,E,…毎に設けられており、例えばAプロジェクトの場合であれば、Aプロジェクト固有情報41と、Aプロジェクト基本設計工程チェックリスト42と、Aプロジェクト機能設計工程チェックリスト43と、Aプロジェクト詳細設計工程チェックリスト44と、Aプロジェクトコーディング工程チェックリスト45と、Aプロジェクトテスト工程チェックリスト46とから構成されている。
【0036】尚、図示していないが、プロジェクトD,E,…の類似・プロジェクト情報テーブル25aも上記と同様の構成となっており、それら類似・プロジェクト情報テーブル25aの各構成内容は、上述した図4?図9と同様の内容となっている。
【0037】図18は図16の当該・プロジェクト情報テーブル26aの構成を示す図である。図18において、当該・プロジェクト情報テーブル26aは当該・プロジェクト固有情報71と、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72と、当該・プロジェクト機能設計工程チェックリスト73と、当該・プロジェクト詳細設計工程チェックリスト74と、当該・プロジェクトコーディング工程チェックリスト75と、当該・プロジェクトテスト工程チェックリスト76とから構成されている。
【0038】この当該・プロジェクト情報テーブル26aに保管される情報は開発計画が完了した時点で、プロジェクトのメンバ(プロジェクトのリーダないしそれに準ずるものが望ましい)によって入力される。
【0039】図19は図18の当該・プロジェクト固有情報71の構成を示す図である。図19において、当該・プロジェクト固有情報71は開発目的(開発の目的、開発の背景、機能提供時の効果)711と、開発項目と機能概要(機能と性能、信頼性と安全性、拡張性)712と、システム/製品の種別[システムや製品の特長から種類分けする(種別リストから選択する)]713と、開発規模[開発する画面数、帳票数、ソース行数等(全体規模で示す)]714と、動作環境(システムや製品の環境、運用と保守形態、技術的特徴)715と、開発工数[開発に要する人時、人日、人年等(全体規模で示す)]716との各情報で構成されている。
【0040】図20は図18の当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72の構成を示す図である。図20において、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72は基本設計工程共通チェック項目721と、基本設計工程種別共通チェック項目722と、基本設計工程当該・プロジェクト個別チェック項目723との各情報で構成され、それぞれのチェック項目724は[チェック内容](チェックする内容)、[合否判定結果]{合否判定結果(合格、不合格、条件付き合格、該当しない)}、[問題点](問題点の内容、原因区分、作り込み工程、重要度、問題発生箇所)、[修正・処置方法]{修正・処置方法の内容、修正箇所(ページ番号、仕様書項番、関数名、ライン番号)}、[修正確認](修正完了日、修正完了Rev)の各欄から構成されている。」

う.「【0045】図25は本発明の一実施例によるレビュー支援システムの動作を示すフローチャートであり、図26は本発明の一実施例によるレビュー支援システムの類似プロジェクト決定動作を示すフローチャートであり、図27は本発明の一実施例によるレビュー支援システムの各工程のチェック項目の決定動作を示すフローチャートである。
【0046】また、図28は本発明の一実施例によるレビュー支援システムの各工程のチェック項目の選出/決定動作を示すフローチャートであり、図29は本発明の一実施例によるレビュー支援システムのレビューによって摘出した問題点の修正/処置方法の決定動作を示すフローチャートであり、図30は図2のサーバ・コンピュータ1の各データベース(プロジェクト情報データベース14及びチェックリスト情報データベース15)の更新動作を示すフローチャートである。これら図1?図30を参照して本発明の一実施例によるレビュー支援システムの動作について説明する。
【0047】まず、プロジェクトの開発計画が完了した時点で、クライアント・コンピュータ2-1?2-n側の当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに当該・プロジェクト固有情報71を入力し、それを基にサーバ・コンピュータ1側の過去のプロジェクトの情報を格納しているプロジェクト情報データベース14から類似・プロジェクトを検索して決定し、クライアント・コンピュータ2-1?2-n側の類似・プロジェクト情報データベース25に登録する(図25ステップS1)。
【0048】続いて、サーバ・コンピュータ1側のチェックリスト情報データベース15から各工程毎に共通チェック項目、種別共通チェック項目を決定し、全チェック項目(内容)についてレビューした後、クライアント・コンピュータ2-1?2-n側の当該・プロジェクト情報データベース26に登録する。ここで、レビューの結果、共通チェック項目、種別共通チェック項目に修正/追加を行った場合、サーバ・コンピュータ1側のチェックリスト情報データベース15の更新を行う(図25ステップS2)。
【0049】各工程の作業を開始する時点で、開発計画の完了時点に決定した類似・プロジェクトの情報を参考にインプットに対するアウトプットの整合性をチェックする個別チェック項目を決定する(図25ステップS3)。
【0050】その後に、各工程毎に計画されたレビュー実施時に、それらのチェック項目にしたがってレビューを実施し(図25ステップS4)、問題点を摘出する(図25ステップS5)。類似・プロジェクト情報から同様の問題点に対する修正・処置事例を参考に、摘出した問題点の処置方法を決定し、処置を実施する(図25ステップS6)。
【0051】全ての問題点が解決された後に次工程の作業に移行し(図25ステップS7)、開発の最後にクライアント・コンピュータ2-1?2-n側にある当該・プロジェクト情報データベース26の情報を、サーバ・コンピュータ1のプロジェクト情報データベース14に登録する(図25ステップS8)。
【0052】次に、上述した個々の作業について詳細に説明する。上記のステップS1の処理は、図26に示すように、まずプロジェクトの開発計画が完了した時点で、プロジェクトのメンバ(プロジェクトのリーダないしそれに準ずるものが望ましい)がクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに、当該・プロジェクト固有情報71を構成している開発目的711、開発項目と機能概要712、システム/製品の種別713、開発規模714、動作環境715、開発工数716の各情報について入力する(図26ステップS11)。
【0053】但し、上記の各情報の中のシステム/製品の種別713に関しては本実施例によるレビュー支援システムを使用する組織で事前に取り決めて登録された種別一覧から選択して決定する。
【0054】入力した当該・プロジェクト固有情報71の各情報をキーにしてサーバ・コンピュータ1のプロジェクト情報データベース14を検索し、オペレータの判断で類似・プロジェクト(複数ある場合には2または3プロジェクト)を決定する(図26ステップS12)。
【0055】さらに、サーバ・コンピュータ1のプロジェクト情報データベース14のマスタ・プロジェクト情報テーブル14aに格納され、決定された類似プロジェクト情報をクライアント・コンピュータ2-1?2-nの類似・プロジェクト情報データベース25の類似・プロジェクト情報テーブル25aに、例えば決定した類似プロジェクトがAプロジェクト、Dプロジェクト、Eプロジェクトであった場合、図17に示すようにして登録する(図26ステップS13)。
【0056】上記のステップS2の処理は、図27に示すように、まずサーバ・コンピュータ1のチェックリスト情報データベース15のマスタ・チェックリスト情報テーブル15aを構成している基本設計工程マスタ・チェックリスト51、機能設計工程マスタ・チェックリスト52、詳細設計工程マスタ・チェックリスト53、コーディング工程マスタ・チェックリスト54、テスト工程マスタ・チェックリスト55の各チェックリストの中から、各工程毎に開発するシステムや製品に関係なく共通的なチェック項目を集めた共通マスタチェック項目と、データベースや通信制御等の開発するシステムや製品の種別に依存するチェック項目を集めた種別共通マスタチェック項目とを決定する。
【0057】種別共通マスタチェック項目は当該プロジェクトに適合するものを選択して決定する。当該プロジェクトがデータベース系のプロジェクトとすると、基本設計工程の場合には基本設計工程マスタ・チェックリスト51の構成要素である基本設計工程共通マスタチェック項目511及び基本設計工程データベース系種別共通マスタチェック項目512、機能設計工程の場合には機能設計工程マスタ・チェックリスト52の構成要素である機能設計工程共通マスタチェック項目521及び機能設計工程データベース系種別共通マスタチェック項目522、詳細設計工程の場合には詳細設計工程マスタ・チェックリスト53の構成要素である詳細設計工程共通マスタチェック項目531及び詳細設計工程データベース系種別共通マスタチェック項目532、コーディング工程の場合にはコーディング工程マスタ・チェックリスト54の構成要素であるコーディング工程共通マスタチェック項目541及びコーディング工程データベース系種別共通マスタチェック項目542、テスト工程の場合にはテスト工程マスタ・チェックリスト55の構成要素であるテスト工程共通マスタチェック項目551及びテスト工程データベース系種別共通マスタチェック項目552をそれぞれ選択して決定する(図27ステップS21)。
【0058】決定したチェック項目はクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの各情報である当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72、当該・プロジェクト機能設計工程チェックリスト73、当該・プロジェクト詳細設計工程チェックリスト74、当該・プロジェクトコーディング工程チェックリスト75、当該・プロジェクトテスト工程チェックリスト76の各工程毎のチェックリストに共通チェック項目及び種別共通チェック項目として登録する。
【0059】例えば、基本設計工程の場合には、基本設計工程共通マスタチェック項目511及び基本設計工程データベース系種別共通マスタチェック項目512を、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72の基本設計工程共通チェック項目721及び基本設計工程種別共通チェック項目722に登録する。」

え.「【0064】この後に、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの類似・プロジェクト情報データベース25の各類似・プロジェクト情報テーブル25aの各工程毎のチェックリストに登録した工程共通及び種別共通のチェック項目に関してグループ内でレビューを実施する(図27ステップS23)。
【0065】上記のレビューの結果、チェック項目に修正・追加がある場合(図27ステップS24)、チェック項目を再検討して内容の修正や過不足分の追加を行う(図27ステップS25)。
【0066】レビュー完了後、チェック項目の修正・追加を行った場合、サーバ・コンピュータ1のチェックリスト情報データベース15のマスタ・チェックリスト情報テーブル15a及びクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの各工程毎の共通チェックリスト及び種別共通チェックリストに関して、該当するチェック項目を修正・追加して更新する。
【0067】このように、タイムリにサーバコンピュータ1のチェックリスト情報データベース15のマスタ・チェックリスト情報テーブル15aを更新することで、組織内で同時に進行している別のプロジェクトへノウハウが迅速に水平展開される(図27ステップS26)。
【0068】上記のステップS3の処理は、図28に示すように、まず各工程の作業時に、インプットとアウトプットの整合性をチェックするため、インプットからチェック項目を決定する。
【0069】この時、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの類似・プロジェクト情報データベース25の類似・プロジェクト情報テーブル25aに登録している類似・プロジェクトに関する個別チェック項目、例えば類似・プロジェクトとしてAプロジェクトが決定された場合、基本設計工程ではAプロジェクト基本設計工程チェックリスト42の構成要素である基本設計工程Aプロジェクト個別チェック項目423、機能設計工程ではAプロジェクト機能設計工程チェックリスト43の構成要素である機能設計工程Aプロジェクト個別チェック項目433、詳細設計工程ではAプロジェクト詳細設計工程チェックリスト44の構成要素である詳細設計工程Aプロジェクト個別チェック項目443、コーディング工程ではAプロジェクトコーディング工程チェックリスト45の構成要素であるコーディング工程Aプロジェクト個別チェック項目453、テスト工程ではAプロジェクトテスト工程チェックリスト46の構成要素であるテスト工程Aプロジェクト個別チェック項目463のそれぞれがクライアント・コンピュータ2-1?2-nの類似・プロジェクト情報データベース25の類似・プロジェクト情報テーブル25aに登録されているので、それらを参考にする(図28ステップS31)。
【0070】決定したチェック項目をクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの各工程毎のチェックリストに当該プロジェクト個別チェック項目として登録する。
【0071】基本設計工程では当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72の構成要素である基本設計工程当該・プロジェクト個別チェック項目723、機能設計工程では当該・プロジェクト機能設計工程チェックリスト73の構成要素である機能設計工程当該・プロジェクト個別チェック項目733、詳細設計工程では当該・プロジェクト詳細設計工程チェックリスト74の構成要素である詳細設計工程当該・プロジェクト個別チェック項目743、コーディング工程では当該・プロジェクトコーディング工程チェックリスト75の構成要素であるコーディング工程当該・プロジェクト個別チェック項目753、テスト工程では当該・プロジェクトテスト工程チェックリスト76の構成要素であるテスト工程当該・プロジェクト個別チェック項目763へそれぞれ登録する(図28ステップS32)。
【0072】クライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの各工程毎のチェックリストに、これまで登録した全ての個別チェック項目に関してグループ内でレビューを実施する(図28ステップS33)。
【0073】レビューの結果、チェック項目に修正・追加がある場合(図28ステップS34)、チェック項目を再検討し、内容の修正、過不足分の追加を行う(図28ステップS35)。
【0074】レビュー完了後、チェック項目の修正・追加を行った場合、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの各工程毎の個別チェック項目に関して、該当するチェック項目を修正・追加して更新する(図28ステップS36)。
【0075】上記のステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS7の各処理は、図29に示すように、まずクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに登録した各工程のチェックリスト、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72、当該・プロジェクト機能設計工程チェックリスト73、当該・プロジェクト詳細設計工程チェックリスト74、当該・プロジェクトコーディング工程チェックリスト75、当該・プロジェクトテスト工程チェックリスト76を基に各工程毎に計画されたレビューを実施する(図29ステップS41)。
【0076】レビュー後、レビュー対象者はレビュー結果(合否判定等を含む)を、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに登録する。
【0077】例えば、基本設計工程では、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72の構成要素である基本設計工程当該・プロジェクトの全てのチェック項目に関して、各チェック項目724の項目の[合否判定結果]、[問題点]について登録する。」

お.「【0082】ここで問題点がある場合(図29ステップS43)、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの類似・プロジェクト情報データベース25の類似・プロジェクト情報テーブル25aから過去に同様の問題点が発生していないかどうかを検索する(図29ステップS44)。
【0083】そして、検索した問題点の修正・処置方法を参考に当該・プロジェクトで発生した問題点の処置方法を検討し、さらにその内容をレビューした結果、処置方法を決定し、処置を実施する(図29ステップS45)。
【0084】また、ここで問題点がなければ(図29ステップS46)、最後にクライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aに修正・処置方法、修正確認を登録する。
【0085】例えば、基本設計工程では、当該・プロジェクト基本設計工程チェックリスト72の構成要素である基本設計工程当該・プロジェクトの全てのチェック項目に関して、各チェック項目724の[修正・処置方法]、[修正確認]について登録する。」

か.「【0092】最後に、クライアント・コンピュータ2-1?2-nの当該・プロジェクト情報データベース26の当該・プロジェクト情報テーブル26aの全情報を、サーバ・コンピュータ1のプロジェクト情報データベース14に登録し、次期開発プロジェクトのために活用する(図30ステップS53)。」

また、上記記載事項を関連する図面と技術常識に照らせば以下のことがいえる。

(1)引用例でいうプロジェクト情報データベース(14)は、プロジェクト固有情報とチェックリストとの組が登録されるデータベースである。
(2)引用例のサーバ・コンピュータは、「プロジェクト情報データベースを用い、前記チェックリストの蓄積と検索を支援するコンピュータ」とも言い得るものである。
(3)引用例のサーバ・コンピュータは、該サーバ・コンピュータ上で動作するプログラムによって、その動作が規定されるものであり、そのプログラムは、当然に、上記サーバ・コンピュータに、以下の機能を実現させ得るものである。
ア.プロジェクト固有情報をプロジェクト情報データベース14に登録する機能。
イ.前記登録されたプロジェクト固有情報毎にチェックリストを関連付けて、前記プロジェクト情報データベース14に登録する機能。
ウ.指定されたプロジェクト固有情報に基づいて、前記プロジェクト情報データベースからチェックリストを検索する機能。
エ.検索されたチェックリストを出力する機能。

したがって、引用例には実質的に次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「プロジェクト固有情報とチェックリストとの組が登録されるデータベースを用い、前記チェックリストの蓄積と検索を支援するサーバ・コンピュータに使用されるプログラムであって、
前記サーバ・コンピュータに、
プロジェクト固有情報を前記データベースに登録する機能、
前記登録されたプロジェクト固有情報毎にチェックリストを関連付けて前記データベースに登録する機能、
指定されたプロジェクト固有情報に基づいて、前記データベースからチェックリストを検索する機能、
前記検索されたチェックリストを出力する機能
を実現させるためのプログラム。」

4.本願発明と引用発明との対比

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)上記「3.」の「あ.」の欄に摘記した引用例の段落【0018】の記載からも明らかなように、引用発明の「プロジェクト固有情報」は、キーワード以外の「プロジェクトの規模等を表す情報」を含むものであるから、本願発明の「プロジェクトに関する特徴情報」ないし「キーワード以外の特徴情報」に相当する。
(2)引用発明の「チェックリスト」と本願発明の「ノウハウ情報」とは、「過去のプロジェクトで得られた情報」である点で共通する。
(3)引用発明の「サーバ・コンピュータ」は、本願発明の「コンピュータ」に相当する。
(4)引用発明の「プログラム」と本願発明の「プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム」とは、「過去のプロジェクトで得られた情報の蓄積と検索を支援するコンピュータに使用されるプログラム」である点で共通する。
(5)引用発明の「前記登録されたプロジェクト固有情報毎にチェックリストを関連付けて前記データベースに登録する機能」と本願発明の「前記登録された特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて当該プロジェクトの状況毎にノウハウ情報を関連付けて前記データベースに登録する機能」とは、「前記登録された特徴情報毎に過去のプロジェクトで得られた情報を関連付けて前記データベースに登録する機能」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「プロジェクトに関する特徴情報と過去のプロジェクトで得られた情報との組が登録されるデータベースを用い、前記過去のプロジェクトで得られた情報の蓄積と検索を支援するコンピュータに使用されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
プロジェクトに関する特徴情報のうち、少なくともキーワード以外の特徴情報を前記データベースに登録する機能、
前記登録された特徴情報毎に過去のプロジェクトで得られた情報を関連付けて前記データベースに登録する機能、
指定された特徴情報に基づいて、前記データベースから過去のプロジェクトで得られた情報情報を検索する機能、
前記検索された過去のプロジェクトで得られた情報を出力する機能、
を実現させるためのプログラム。」である点。

(相違点1)
本願発明の「過去のプロジェクトで得られた情報」は「ノウハウ情報」であり、それに伴い、本願発明の「プログラム」は「プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム」と呼び得るものであるのに対し、引用発明の「過去のプロジェクトで得られた情報」は「ノウハウ情報」ではなく、引用発明の「プログラム」は「プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム」と呼び得るものではない点。

(相違点2)
本願発明の「前記登録された特徴情報毎に過去のプロジェクトで得られた情報を関連付けて前記データベースに登録する機能」は、「前記登録された特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて当該プロジェクトの状況毎に過去のプロジェクトで得られた情報(ノウハウ情報)を関連付けて前記データベースに登録する機能」であるのに対し、引用発明の「前記登録された特徴情報毎に過去のプロジェクトで得られた情報を関連付けて前記データベースに登録する機能」は「前記登録された特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて当該プロジェクトの状況毎に過去のプロジェクトで得られた情報(ノウハウ情報)を関連付けて前記データベースに登録する機能」ではない点。

5.判断

(1)上記相違点について

(相違点1について)
以下の事情を勘案すると、引用発明の「過去のプロジェクトで得られた情報」を「ノウハウ情報」とし、引用発明の「プログラム」を「プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
ア.新たなプロジェクトを進める際に、過去のプロジェクトにおけるノウハウ情報、すなわち、過去のプロジェクトで発生した問題点に対する対策の情報が有用であることは当業者に自明である。
イ.引用発明も、新たなプロジェクトを進める際に用いられるプログラムであり、該引用発明が用いられるコンピュータにおいて上記ノウハウ情報の蓄積、検索が行われることが有用であることも、当業者に自明である。
ウ.引用発明の「チェックリスト」に換えて、あるいは、加えて、「ノウハウ情報」を採用できない理由はない。
エ.上記「3.」の「お.」に摘記した引用例の段落【0082】、【0083】の記載からも明らかなように、上記ノウハウ情報に相当するものを検索可能とすることは、引用例に記載されたシステムでも現に行われていることであるし、該ノウハウ情報に相当するものを検索可能とする際、上記引用例に記載されたシステムのようにクライアント・コンピュータのデータベースに登録した範囲内での検索を行うようにするか、引用発明のチェックリストと同様、サーバのデータベースに登録された範囲全体での検索を行うようにするかは、当業者が必要に応じて適宜決定し得ることである。

(相違点2について)
上記「(相違点1について)」の欄で検討したように、引用発明の「過去のプロジェクトで得られた情報」を「ノウハウ情報(過去のプロジェクトで発生した問題点に対する対策の情報)」とすることは、当業者が容易に推考し得たことであるが、そのようにする場合に、該「ノウハウ情報」が「過去のプロジェクトで発生した問題点」、すなわち「プロジェクトの状況」に関連付けて登録されるべきことは、該「ノウハウ情報」の内容が「過去のプロジェクトで発生した問題点に対する対策」であることに照らせば当然のことであるから、上記「(相違点1について)」で検討したところにしたがって引用発明の「過去のプロジェクトで得られた情報」を「ノウハウ情報(過去のプロジェクトで発生した問題点に対する対策の情報)」とする際、引用発明の「前記登録された特徴情報毎に過去のプロジェクトで得られた情報を関連付けて前記データベースに登録する機能」についても、「前記登録された特徴情報毎にプロジェクトの状況を関連付けて当該プロジェクトの状況毎に過去のプロジェクトで得られた情報(ノウハウ情報)を関連付けて前記データベースに登録する機能」とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例の記載事項及び周知技術等から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-22 
結審通知日 2011-06-28 
審決日 2011-07-12 
出願番号 特願2002-70616(P2002-70616)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩間 直純  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 本郷 彰
飯田 清司
発明の名称 プロジェクトノウハウ蓄積・検索支援プログラム  
代理人 河井 将次  
代理人 中村 誠  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 河野 哲  

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