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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1242349 |
審判番号 | 不服2009-19648 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-14 |
確定日 | 2011-08-25 |
事件の表示 | 特願2005-114781「通信装置および方法、通信システム、並びにプログラム記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-304039〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成10年2月19日に出願した特願平10-37015号の一部を平成17年4月12日に新たな特許出願としたものであって、平成21年7月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年10月14日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、平成22年11月15日付けで審尋がなされ、平成23年1月11日に回答書が提出されたものである。 第2.平成21年10月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年10月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 平成21年10月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)による特許請求の範囲は、以下のとおりである。 「【請求項1】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と近距離無線通信する近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記通信手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項2】 前記アクセス情報は、前記第2の他の通信装置のアドレス情報を含む 請求項1に記載の通信装置。 【請求項3】 前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段をさらに備える 請求項1に記載の通信装置。 【請求項4】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と近距離無線通信する近距離無線通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記通信ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項5】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置との近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を制御する通信制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報の、前記第1の通信路を利用しての受信を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項6】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して前記第2の通信装置と近距離無線通信する第1の近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して第3の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置と前記第2の通信路を利用して通信するのに必要な前記第3の通信装置のアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、前記第1の通信路を利用した近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第2の通信装置から送信されてくる前記アクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記通信手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の通信路を利用して前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項7】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して近距離無線通信する近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項8】 前記アクセス情報は、前記第2の他の通信装置を特定するIDである 請求項7に記載の通信装置。 【請求項9】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して近距離無線通信する近距離無線通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信ステップと、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項10】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を制御する通信制御ステップと、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御する認証処理制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報の、前記第1の通信路を利用しての受信を制御し、 前記認証処理制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記第2の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項11】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して近距離無線通信する第1の近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して第3の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置と前記第2の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第2の通信装置から送信されてくる前記アクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項12】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と近距離無線通信する近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の他の通信装置を特定するIDと、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記IDに基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項13】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と近距離無線通信する近距離無線通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信ステップと、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の他の通信装置を特定するIDと、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップにより受信された前記IDに基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項14】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置との近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を制御する通信制御ステップと、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御する認証処理制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記通信装置と前記第1の他の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第1の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の他の通信装置を特定するIDと、前記第2の通信路を利用した通信に必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報の、前記第1の通信路を利用しての受信を制御し、 前記認証処理制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップにより受信された前記IDに基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第2の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項15】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して前記第2の通信装置と近距離無線通信する第1の近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して第3の通信装置と前記近距離無線通信よりも広範囲の通信を行う通信手段と、 前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第2の通信装置を特定するIDと、前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置と前記第2の通信路を利用して通信するのに必要な、前記第3の通信装置のアクセス情報とを保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記IDと前記アクセス情報とを、近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との距離が近距離の範囲である場合、前記第2の通信装置から送信されてくる、前記IDと、前記第3の通信装置のアクセス情報を、前記第1の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記IDに基づいて、前記第2の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第2の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項16】 前記主情報は、画像データである 請求項1、請求項7、または請求項12に記載の通信装置。 【請求項17】 前記第1の他の通信装置は、携帯型の装置である 請求項1、請求項7、または請求項12に記載の通信装置。」 一方、本件補正前の特許請求の範囲は、平成20年12月12日付けの手続補正による、以下のとおりである。 「【請求項1】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記通信手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項2】 前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段をさらに備える 請求項1に記載の通信装置。 【請求項3】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と通信する通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記通信ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項4】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置との通信を制御する通信制御ステップ、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報の、前記第2の通信路を利用しての受信を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項5】 第1の他の通信装置と通信する通信装置であって、 前記第1の他の通信装置が、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の通信装置と第1の通信路を利用して通信するのに必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用した近距離無線通信により、前記第1の他の通信装置に送信する近距離無線通信手段と を備える通信装置。 【請求項6】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して第3の通信装置と通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の通信装置と近距離無線通信を行う第1の近距離無線通信手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置と前記第1の通信路を利用して通信するのに必要な前記第3の通信装置のアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、前記第2の通信路を利用した近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第2の通信装置から送信されてくる前記アクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記通信手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の通信路を利用して前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項7】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記第2の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項8】 前記アクセス情報は、前記第2の他の通信装置を特定するIDである 請求項7に記載の通信装置。 【請求項9】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して通信する通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信ステップと、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記第1の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項10】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して通信を制御する通信制御ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御する認証処理制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第1の通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報の、前記第2の通信路を利用しての受信を制御し、 前記認証処理制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップの処理により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記第1の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項11】 第1の他の通信装置と通信する通信装置であって、 前記第1の他の通信装置が、前記第1の他の前記通信装置とは異なる第2の他の通信装置と通信路を確立するのに必要なアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、近距離無線通信により、前記第1の他の通信装置に送信する近距離無線通信手段と を備える通信装置。 【請求項12】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の通信装置と近距離無線通信を行う第1の近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第1の通信装置が、第3の通信装置と通信路における通信を確立するのに必要なアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第2の通信装置から送信されてくる前記アクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項13】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記近距離無線通信手段は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の他の通信装置を特定するIDと、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記近距離無線通信手段により受信された前記IDに基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の他の通信装置と主情報を送受信する 通信装置。 【請求項14】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の通信方法であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置と通信する通信ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置と近距離無線通信を行う近距離無線通信ステップと、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理ステップと を含み、 前記近距離無線通信ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の他の通信装置を特定するIDと、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理ステップの処理は、前記近距離無線通信ステップにより受信された前記IDに基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の他の通信装置と主情報を送受信する 通信方法。 【請求項15】 第1の他の通信装置および第2の他の通信装置と通信する通信装置の処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録するプログラム記録媒体であって、 第1の通信路を利用して前記第1の他の通信装置との通信を制御する通信制御ステップと、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の他の通信装置との近距離無線通信を制御する近距離無線通信制御ステップと、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御する認証処理制御ステップと を含む処理をコンピュータに実行させ、 前記近距離無線通信制御ステップの処理は、前記第2の他の通信装置から送信されてくる、前記第2の他の通信装置を特定するIDと、前記第1の通信路を利用した通信に必要な前記第1の他の通信装置のアクセス情報の、前記第2の通信路を利用しての受信を制御し、 前記認証処理制御ステップの処理は、前記近距離無線通信制御ステップにより受信された前記IDに基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を制御し、 前記通信制御ステップの処理は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第1の他の通信装置との主情報の送受信を制御する プログラムを記録するプログラム記録媒体。 【請求項16】 第1の他の通信装置と通信する通信装置であって、 前記通信装置を特定するIDと、前記第1の他の通信装置が、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の通信装置と第1の通信路を利用して通信するのに必要な、前記第2の他の通信装置のアクセス情報とを保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記IDと前記アクセス情報とを、近距離無線通信により、前記第1の他の通信装置に送信する近距離無線通信手段と を備える端末装置。 【請求項17】 第1の通信装置と第2の通信装置とから構成される通信システムであって、 前記第1の通信装置は、 第1の通信路を利用して第3の通信装置と通信する通信手段と、 前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用して前記第2の通信装置と近距離無線通信を行う第1の近距離無線通信手段と、 前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行う認証処理手段と を備え、 前記第2の通信装置は、 前記第2の通信装置を特定するIDと、前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置と第1の通信路を利用して通信するのに必要な、前記第3の通信装置のアクセス情報とを保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記IDと前記アクセス情報とを、近距離無線通信により、前記第1の通信装置に送信する第2の近距離無線通信手段と を備え、 前記第1の近距離無線通信手段は、前記第2の通信装置から送信されてくる、前記IDと、前記第3の通信装置のアクセス情報を、前記第2の通信路を利用して受信し、 前記認証処理手段は、前記第1の近距離無線通信手段により受信された前記IDに基づいて、前記第1の通信路における通信を確立するか否かの認証についての処理を行い、 前記通信手段は、前記認証が認められた場合、前記第1の通信路における通信を確立し、前記近距離無線通信手段により受信された前記アクセス情報に基づいて前記第3の通信装置と主情報を送受信する 通信システム。 【請求項18】 前記主情報は、画像データである 請求項1、請求項7、または請求項13に記載の通信装置。 【請求項19】 前記第2の他の通信装置は、携帯型の装置である 請求項1、請求項7、または請求項13に記載の通信装置。」 (2)補正の適否 補正後の特許請求の範囲の請求項(以下、「新請求項」という。)と補正前の特許請求の範囲の請求項(以下、「旧請求項」という。)との対応関係について検討する。 イ)新請求項1及び3は、それぞれ、旧請求項1及び2と対応するが、新請求項2は、対応する旧請求項がない。 ロ)新請求項4は、旧請求項3と対応する。 ハ)新請求項5は、旧請求項4と対応する。 ニ)新請求項6は、旧請求項6と対応する。 ホ)新請求項7及び8は、それぞれ、旧請求項7及び8と対応する。 ヘ)新請求項9は、旧請求項9と対応する。 ト)新請求項10は、旧請求項10と対応する。 チ)新請求項11は、旧請求項12と対応する。 リ)新請求項12は、旧請求項13と対応する。 ヌ)新請求項13は、旧請求項14と対応する。 ル)新請求項14は、旧請求項15と対応する。 ヲ)新請求項15は、旧請求項17と対応する。 ワ)新請求項16は、旧請求項18と対応する。 カ)新請求項17は、旧請求項19と対応する。 ヨ)旧請求項5、11、16は、削除された。 したがって、新請求項2は、補正前の特許請求の範囲に対応する請求項をもたないものであり、新請求項2を追加することは、いわゆる増項補正にあたるものであり、特許請求の範囲の限定的減縮に該当しない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明でないことは明らかである。 (3) むすび したがって、上記手続補正は、平成18年法律第55条改正法の附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 平成21年10月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年12月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項5】 第1の他の通信装置と通信する通信装置であって、 前記第1の他の通信装置が、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の通信装置と第1の通信路を利用して通信するのに必要な前記第2の他の通信装置のアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用した近距離無線通信により、前記第1の他の通信装置に送信する近距離無線通信手段と を備える通信装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-321806号公報(以下、「引用例」という。)には、「呼出し機能付き通信装置」として、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【請求項1】 ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網および直接通信可能な通信網を含む少なくとも2つの通信網に接続可能な通信装置において、複数の通信装置間で通信するときに、発信側の通信装置が前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上で割り当てられた前記発信側の通信装置のネットワークアドレスを前記直接通信可能な通信網によって前記発信側通信装置から着信側の通信装置に送信することにより、前記着信側の通信装置が前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上で前記ネットワークアドレスに対して接続することにより前記発信側の通信装置と前記の着信側の通信装置が通信を開始し、それ以降は、前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上で通信を行なう機能を有することを特徴とする呼出し機能付通信装置。」(2頁1欄2?17行) ロ.「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、通信料金を節約するためにインターネットなど、ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網を利用する場合、前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上では互いにネットワークアドレスで通信を行なうが、前記ネットワークアドレスはダイナミックに割り当てられるため、接続する相手のネットワークアドレスが接続する度に変わり、前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上で直接的に通信できないという課題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、この発明は前記ダイナミックにネットワークアドレスを割り当てる機能を有する通信網上で通信するために必要な発信側の通信装置の前記通信網上のネットワークアドレスを直接通信可能な通信網によって着信側の通信装置に送信し、着信側の通信装置が前記通信網上の前記ネットワークアドレスに対して接続することにより発信側通信装置と着信側通信装置が通信を開始し、以降、前記通信網上で通信を行なうことを可能にした。」(2頁1欄35行?2欄6行) ハ.「(実施例2)以下に、この発明の他の実施例を図3を用いて説明する。 【0011】ISDN、またはアナログ電話回線で接続可能なインターネット201と、ISDNとアナログ電話回線へのインタフェ-スを持つ発信側通信装置202と、着信側通信装置203がある。発信側通信装置202は、着信側通信装置203のISDN、またはアナログ電話回線の電話番号を知っている。発信側通信装置202に、着信側通信装置203への通信要求が発生した場合の動作を説明する。 【0012】発信側通信装置202は、ISDN205を用いてインターネットアクセスネット201から発信側通信装置202自身のネットワークアドレスとなるIPアドレス210を取得する。発信側通信装置202は、インターネット201に接続したまま、着信側通信装置203にアナログ電話回線206経由で、IPアドレス210を着信側通信装置203に通知する。着信側通信装置203も同様に、ISDN208を用いてインターネットアクセスポイント207を経由し、前記インターネット201に接続する。ここでインターネット201から着信側通信装置203自身のネットワークアドレスとなるIPアドレス211を取得する。 【0013】着信側通信装置203は、発信側通信装置202のIPアドレス210と着信側通信装置203自身の前記IPアドレス211を用いて、インタ-ネット201経由で発信側通信装置202と着信側通信装置203間の通信ル-ト209を確立する。また、通信ル-ト209は、発信側通信装置202が発信側通信装置202自身のIPアドレス210と着信側通信装置203のIPアドレス211を用いて、インタ-ネット201経由で発信側通信装置202と着信側通信装置203間に確立できることも勿論である。また、発信側通信装置202と着信側通信装置203の前記アナログ電話回線206は、前記IPアドレス210を着信側通信装置203、或いは着信側通信装置203の取得する前記IPアドレス211を発信側通信装置に送受信したあと切断される。 【0014】以降、発信側通信装置202、および着信側通信装置203それぞれのインターネット201への接続が切れない限り、発信側通信装置202と着信側通信装置203間の通信ル-ト209は持続する。ここで、発信側通信装置202と着信側通信装置203と前記インタ-ネット201への接続の手段が、アナログ電話回線で、発信側通信装置202と着信側通信装置203間でIPアドレスを送受信する手段がISDNであっても同じ様に動作することは勿論である。 【0015】また、本実施例においては、発信側通信装置202、および着信側通信装置203にISDNとアナログ電話回線へのインタフェ-スを有するものとしているが、前記通信装置が、PHS通信機能、携帯電話機能等を有していた場合には、インタ-ネット201への接続手段、発信側通信装置202から着信側通信装置203にIPアドレスを送信する手段それぞれが、PHS通信機能、携帯電話機能、ポケベル機能であっても同じ様に動作することは勿論である。 【0016】また、本実施例では、発信側通信装置202のIPアドレスをインタ-ネット201から割当られているが、発信側通信装置202のIPアドレスが、スタティックに割り当てられている場合においても、前記の発信側通信装置202がインタ-ネット201からIPアドレス210を割り当てられた以降の処理は、同様に行うことができるのは勿論である。」(3頁3欄31行?4欄44行) 摘記事項ハ及び図3によれば、着信側通信装置と発信側通信装置とは、アナログ電話回線経由で通信し、また、インターネット経由でも通信するものであるから、着信側通信装置及び発信側通信装置は、アナログ電話手段とインターネット通信手段を備えることは自明である。 引用例の段落【0012】の「発信側通信装置202は、インターネット201に接続したまま、着信側通信装置203にアナログ電話回線206経由で、IPアドレス210を着信側通信装置203に通知する。」という記載からすれば、着信側通信装置のアナログ電話手段は、発信側通信装置のインターネット通信手段のIPアドレスを受信する手段を備えているということができる。 また、引用例の段落【0013】には、「着信側通信装置203は、発信側通信装置202のIPアドレス210と着信側通信装置203自身の前記IPアドレス211を用いて、インタ-ネット201経由で発信側通信装置202と着信側通信装置203間の通信ル-ト209を確立する。」と記載されており、着信側通信装置のアナログ電話手段は、受信したIPアドレスを、着信側通信装置のインターネット通信手段に送信することにより、インターネット経由で通信するものであるといえる。 したがって、上記摘記事項、及びこの分野の技術常識より、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「着信側通信装置のインターネット通信手段と通信する、着信側通信装置のアナログ電話手段であって、 前記着信側通信装置のインターネット通信手段が、発信側通信装置のインターネット通信手段とインターネット経由で通信するのに必要な前記発信側通信装置のインターネット通信手段のIPアドレスを受信する手段と、 前記受信する手段により受信された前記IPアドレスを、前記着信側通信装置のインターネット通信手段に送信する手段と を備える着信側通信装置のアナログ電話手段。」 (2)対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「着信側通信装置のアナログ電話手段」と本願発明の「通信装置」とは、「通信手段」である点で一致している。 引用発明の「着信側通信装置のインターネット通信手段」と本願発明の「第1の他の通信装置」とは、「第1の他の通信手段」である点で一致している。 引用発明の「発信側通信装置のインターネット通信手段」と本願発明の「第2の他の通信装置」とは、「第2の他の通信手段」である点で一致している。 引用発明の「インターネット経由で通信する」ことは、本願発明の「第1の通信路を利用して通信」することと実質的に相違しない。 引用発明の「IPアドレス」は、本願発明の「アクセス情報」に相当する。 引用発明の「着信側通信装置のアナログ電話手段」は、受信したIPアドレスを、着信側通信装置のインターネット通信手段に送信するものであるから、受信したIPアドレスを記憶し、保持するものであることは技術的に自明である。 したがって、引用発明の「IPアドレスを受信する手段」は、本願発明の「アクセス情報を保持する保持手段」を含んでいるといえる。 また、引用発明は、着信側通信装置において、アナログ電話手段からインターネット通信手段にIPアドレスが送信されるものであり、この送信は「第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用」したものであるといえる。 したがって、両者は、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「第1の他の通信手段と通信する通信手段であって、 前記第1の他の通信手段が、前記第1の他の通信手段とは異なる第2の他の通信手段と第1の通信路を利用して通信するのに必要な前記第2の他の通信手段のアクセス情報を保持する保持手段と、 前記保持手段により保持されている前記アクセス情報を、前記第1の通信路とは異なる第2の通信路を利用することにより、前記第1の他の通信手段に送信する手段と を備える通信手段。」 (相違点1) 「第1の他の通信手段」及び「通信手段」に関して、本願発明では、「第1の他の通信装置」及び「通信装置」であり、それぞれが別々の装置であるのに対して、引用発明では、それぞれが、装置(着信側通信装置)の内部の構成である点。 (相違点2) 「第2の他の通信手段」に関して、本願発明では、「第2の他の通信装置」であるのに対して、引用発明では、装置(発信側通信装置)の内部の構成である点。 (相違点3) 「第2の通信路」に関して、本願発明は「近距離無線通信」を用いているのに対し、引用発明では、特定されていない点。 (相違点4) 「アクセス情報」を「前記第1の他の通信手段に送信する手段」が、本願発明では、「近距離無線通信手段」であるのに対して、引用発明では、特定されていない点。 (3)判断 相違点1?4について、まとめて検討する。 相互に接続される複数の手段からなるものを装置として構成する場合に、各手段を別々の装置として構成し、装置間を赤外線通信等の近距離無線通信により接続することは、例えば、特開平9-321848号公報、特開平8-321859号公報、特開平3-162024号公報に示されるように周知事項と認められる。 引用発明の着信側通信装置は、「第1の他の通信手段」(インターネット通信手段)と「通信手段」(アナログ電話手段)とからなるものであるが、上記周知事項を考慮すれば、これらを、「第1の他の通信装置」と「通信装置」という別々の装置として構成すること、「第2の通信路」が「近距離無線通信」を用いるようにすること、及び「通信装置」が「近距離無線通信手段」を備えることは、当業者が容易になし得たものである。 また、引用発明の発信側通信装置の「第2の他の通信手段」を、「第2の他の通信装置」として構成することも、同様に当業者が容易になし得たものである。 したがって、引用発明において、上記相違点1?4に係る構成を採用することに格別の困難性は認められない。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-29 |
結審通知日 | 2011-06-30 |
審決日 | 2011-07-12 |
出願番号 | 特願2005-114781(P2005-114781) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 勝広 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
新川 圭二 田中 庸介 |
発明の名称 | 通信装置および方法、通信システム、並びにプログラム記録媒体 |
代理人 | 稲本 義雄 |