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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1242687
審判番号 不服2008-23867  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-18 
確定日 2011-09-01 
事件の表示 特願2006-354516「デジタルマップの拡大縮小表示方法、デジタルマップの拡大縮小表示装置、及びデジタルマップの拡大縮小表示プログラムを格納した格納媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月 5日出願公開、特開2007-172633〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年6月2日に出願した特願平9-144274号の一部を平成18年12月28日に新たな特許出願としたものであって、平成20年8月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年10月20日付けで手続補正がなされたものであって、当審において、平成23年1月4日付け補正の却下の決定により、平成20年10月20日付けの手続補正を却下するとともに、同日付で拒絶理由を通知したところ、平成23年3月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成23年3月3日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項に特定される次のとおりのものである。

「縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報からなるデジタルマップの表示部位を表示画面内で拡大・縮小するデジタルマップの拡大縮小表示方法であり、
ポインティング手段に対する第1の操作に応じて、前記表示画面におけるデジタルマップの表示部位の拡大動作を指定し、ポインティング手段に対する第2の操作に応じて、前記表示画面におけるデジタルマップの表示部位の縮小動作を指定し、
前記ポインティング手段に対する第1の操作に応じて、前記表示画面内に表示されている地図情報を拡大して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階拡大された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の拡大処理を実行し、
前記ポインティング手段に対する第2の操作に応じて、前記表示画面内に表示されている地図情報を縮小して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階縮小された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の縮小処理を実行し、
前記ポインティング手段に対して連続的に前記第1の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の連続的な拡大処理を実行し、
前記ポインティング手段に対して連続的に前記第2の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の連続的な縮小処理を実行する
デジタルマップの拡大縮小表示方法。」

3.引用発明
当審で通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布されていた刊行物である特開平2-4285号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

a.「記憶装置に地図情報を格納し、上記地図情報を上記記憶装置から読み出し、表示装置に表示するようにした地図情報の表示装置において、
上記地図情報は、複数の倍率と夫々対応した複数枚の地図からなり、上記地図の夫々は、表示の優先度に応じた複数の階層レベルに区分されており、上記倍率に応じて、上記地図及び上記階層レベルが切り替えられることを特徴とする地図情報の表示装置。」(特許請求の範囲の記載。)

b.「記憶装置例えばCD-ROMに格納されている地図情報は、倍率に応じて複数枚例えば3枚の地図からなる。これらの地図は、倍率の小さい方、即ち、CRTディスプレイに表示される範囲の大きい方から順に0次メッシュ、1次メッシュ、2次メッシュと称される。」(第2頁、右上欄10行?15行の記載。)

c.「マイクロコンピュータ2からのデータが描画プロセッサ6に供給され、描画プロセッサ6により、画像データが形成され、描画データがカラーCRTディスプレイ8に供給される。」(第2頁、右下欄15行?18行の記載。)

d.「操作スイッチ9は、第2図に示す構成とされている。11は、カーソルキーを示し、カーソルキー11により、地図画面上をカーソルが移動し、画面スクロールがなされ、また、カーソルにより、機能選択がなされる。12Aは、ズームインキーを示し、12Bは、ズームアウトキーを示す。ズームインキー12Aを押すことにより、地図画面の拡大がなされ、ズームアウトキー12Bを押すことにより、地図画面の縮小がなされる。」(第3頁、左上欄4行?12行の記載。)

e.「前述のズームイン(拡大)及びズームアウト(縮小)は、地図のベクトルデータに対して、拡大或いは縮小の倍率と対応する係数を乗じる処理で実現される。この処理は、描画プロセッサ6によりなされる。0次メッシュの地図30がズームイン動作で拡大され、1次メッシュの大きさの地図31の大きさとなると、0次メッシュから1次メッシュに地図のレベルが変更される。即ち、1次メッシュの地図31がCD-ROM5から読み出される。1次メッシュの地図31がズームイン動作で拡大され、2次メッシュの大きさの地図32の大きさとなると、1次メッシュから2次メッシュに地図データのレベルが変更される。更に、ズームイン動作を行うと、一片がdの大きさの地図の表示がなされる。ズームアウト動作は、上述のズームイン動作と逆の方向でなされる。」(第4頁、右上欄15行乃至左下欄10行の記載。)

f.「表示される階層レベルが倍率によって変化するために、ズームインキ-12Aが押され続けて、表示される地図が拡大されるに従って、カラーCRTデイスプレイ8の地図画面に表示される情報量が増加し、詳細の程度が高くなる。例えばズームイン動作がされると、幹線道路以外により小さい道路が表示されたり、高速道路のインターチェンジの細部の表示がされる。道路以外の情報も、階層レベルが高くなるに従って表示されるものが増大する。」(第5頁、左上欄16行?右上欄5行)

g.「この発明は、連続的に或いは細かいステップで倍率を可変することが容易となり、アクセス回数の増加により動作速度が遅くなる問題が生じない利点がある。」(第5頁、左下欄6行?9行)

ここにおいて、記載bによれば「記憶装置に格納されている地図情報」は、「倍率に応じて、倍率の小さい方から、0次メッシュ、1次メッシュ及び2次メッシュと称される複数枚の地図からなる」地図情報である。
また、記載b及びcによれば、「地図情報」は、CD-ROMに格納され、データとして取り扱われるデジタル化されたデータである。
さらに、記載d及びeによれば、「地図画面上でズームインキーを押すと、地図画面の拡大がなされ、ズームアウトキーを押すと地図画面の縮小がなされるものであって、ズームイン及びズームアウトは、地図のベクトルデータに対して、拡大或いは縮小の倍率と対応する係数を乗じる処理であり、0次メッシュの地図がズームイン動作で拡大され、1次メッシュの大きさの地図の大きさの地図となると、0次メッシュから1次メッシュに地図のレベルが変更され、さらに、ズームイン動作で拡大されて、1次メッシュの地図が、2次メッシュの地図の大きさになると、1次メッシュから2次メッシュに地図データのレベルが変更されるものであって、ズームアウトの動作も同様の処理でなされる。」との動作が行われる。

してみると、引用例に記載された発明(以下、「引用発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「記憶装置に地図情報を格納し、上記地図情報を上記記憶装置から読み出し、表示装置に表示するようにした地図情報の表示装置において、
上記地図情報は、倍率に応じて、倍率の小さい方から、0次メッシュ、1次メッシュ及び2次メッシュと称される複数枚のデジタル化された地図からなり、上記地図の夫々は、表示の優先度に応じた複数の階層レベルに区分されており、
操作スイッチは、カーソルを地図画面上で移動させるためのカーソルキーと、ズームインキー及びズームアウトキーからなり、ズームインキーを押すと、地図画面の拡大がなされ、ズームアウトキーを押すと地図画面の縮小がなされるものであって、
ズームイン及びズームアウトは、地図のベクトルデータに対して、拡大或いは縮小の倍率と対応する係数を乗じる処理であり、0次メッシュの地図がズームイン動作で拡大され、1次メッシュの大きさの地図の大きさの地図となると、0次メッシュから1次メッシュに地図のレベルが変更され、さらに、ズームイン動作で拡大されて、1次メッシュの地図が、2次メッシュの地図の大きさになると、1次メッシュから2次メッシュに地図データのレベルが変更されるものであって、ズームアウトの動作は、ズームイン動作と逆の方向でなされ、
ズームインキ-が押され続けて、表示される地図が拡大されるに従って、カラーCRTデイスプレイの地図画面に表示される情報量が増加し、詳細の程度が高くなる
地図情報の表示装置。」

4.対比
引用発明と本願発明を対比する。

引用発明の「倍率の小さい方から、0次メッシュ、1次メッシュ及び2次メッシュと称される複数枚の地図からなるデジタル化された地図」は、補正後の発明の「縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報」に相当する。
そして、引用発明の「操作スイッチ」は、カーソルを移動させるための機能を備えているため、本願発明の「ポインティング手段」に相当し、そして、引用発明の操作スイッチの「ズームインキーを押す」、操作スイッチの「ズームアウトキーを押す」は、それぞれ地図の拡大、縮小動作を指示することから、本願発明の「ポインティング手段に対する第1の操作」、「ポインティング手段に対する第2の操作」に相当する。
また、引用発明の「0次メッシュの地図がズームイン動作で拡大され、1次メッシュの大きさの地図の大きさの地図となると、0次メッシュから1次メッシュに地図のレベルが変更され、さらに、ズームイン動作で拡大されて、1次メッシュの地図が、2次メッシュの地図の大きさになると、1次メッシュから2次メッシュに地図データのレベルが変更」は、拡大処理により拡大した地図の大きさと、次の段階の地図の大きさとを比較しており、そして、その比較結果に応じて、次の段階の地図を表示するか、現在の段階の地図を拡大した地図を表示するかを選択していることから、本願発明の「表示画面内に表示されている地図情報を拡大して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階拡大された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の拡大処理を実行し」に相当する。
また、引用発明の「ズームアウトの動作も同様の処理でなされる」によれば、引用発明も、本願発明の「表示画面内に表示されている地図情報を縮小して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階縮小された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の縮小処理を実行し」との構成を備える。
そして、引用発明の「ズームインキ-が押され続けて、表示される地図が拡大される」との記載によれば、本願発明の「連続的に前記第1の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の拡大処理を実行し」との構成を備えていることは明らかである。

したがって、両者は、以下の一致点と相違点とを有する。
〈一致点〉
縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報からなるデジタルマップの表示部位を表示画面内で拡大・縮小するデジタルマップの拡大縮小表示方法であり、
ポインティング手段に対する第1の操作に応じて、前記表示画面におけるデジタルマップの表示部位の拡大動作を指定し、ポインティング手段に対する第2の操作に応じて、前記表示画面におけるデジタルマップの表示部位の縮小動作を指定し、
前記ポインティング手段に対する第1の操作に応じて、前記表示画面内に表示されている地図情報を拡大して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階拡大された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の拡大処理を実行し、
前記ポインティング手段に対する第2の操作に応じて、前記表示画面内に表示されている地図情報を縮小して表示するか、若しくは、前記表示画面に表示されている地図情報より一段階縮小された地図情報を前記縮尺の異なる複数のデジタル化された地図情報の中から選択して表示することで、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の縮小処理を実行し、
前記ポインティング手段に対して連続的に前記第1の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の拡大処理を実行する、
デジタルマップの拡大縮小表示方法。

〈相違点1〉
本願発明では、連続的に前記第1の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の連続的な拡大処理を実行するのに対し、引用発明では、連続的な拡大であるか不明な点。 (下線は当審で付与、以下同様。)

〈相違点2〉
本願発明では、連続的に前記第2の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の連続的な縮小処理を実行するのに対し、引用発明において、連続的な第2の操作をした場合についての記載がない点。

5.判断
相違点につき検討する。
〈相違点1について〉
引用例の上記摘記した記載gによれば、「連続的或いは細かいステップで倍率を可変することが容易となり」と記載されており、引用例においても、連続的に第1の操作がなされた場合、拡大処理は、連続或いは細かいステップで、倍率が可変され、表示されるものであり、また、本願発明の「連続的な拡大処理」の処理内容は、その本願の当初の明細書の図8 Digital Map連続ズームのフローチャート及びその説明によると、現在表示中のデータを所定の縮小率でもって縮小表示する処理を繰り返す処理であり、引用発明と本願発明とは、上記相違点1に係る構成に実質的な差異はない。

〈相違点2について〉
引用発明では、「ズームアウトの動作も同様の処理でなされる」のであるから、 引用発明において、連続的な第1の操作がなされた場合と同様に、「連続的に前記第2の操作がなされた場合、表示画面内におけるデジタルマップの表示部位の連続的な縮小処理を実行する」ようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明から、当業者が予測し得る程度のものである。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.結語
以上により、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-30 
結審通知日 2011-07-05 
審決日 2011-07-19 
出願番号 特願2006-354516(P2006-354516)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 安島 智也
清水 稔
発明の名称 デジタルマップの拡大縮小表示方法、デジタルマップの拡大縮小表示装置、及びデジタルマップの拡大縮小表示プログラムを格納した格納媒体  
代理人 稲本 義雄  
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