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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07D 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C07D 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 C07D |
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管理番号 | 1244088 |
審判番号 | 不服2008-29306 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-17 |
確定日 | 2011-10-20 |
事件の表示 | 特願2000-540121「HIVプロテアーゼ抑制剤重硫酸塩」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月22日国際公開、WO99/36404、平成14年 3月26日国内公表、特表2002-509136、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,1998年12月22日(外国庁受理 パリ条約による優先権主張 1998年1月20日 米国(US))の国際出願であって,平成19年12月4日付けの拒絶理由通知に対して,意見書が提出されずに平成20年8月8日付けで拒絶査定がされ,同年11月17日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに,同年12月17日に手続補正書が提出され,平成23年2月23日付けで審尋が通知され,同年5月24日に回答書が提出されたものである。 第2 平成20年12月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成20年12月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成20年12月17日付けの手続補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1である 「【請求項1】 下記式を有する重硫酸塩化合物。 【化1】 」 を 「【請求項1】下記式IIで表される重硫酸塩化合物であって、 【化1】 エタノール、アセトニトリル、エタノール‐ヘプタン及びアセトンからなる群から選択される溶媒から結晶化される前記化合物。」 とする補正を含むものである。 2 補正の目的 上記補正は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「化合物」について,「エタノール、アセトニトリル、エタノール‐ヘプタン及びアセトンからなる群から選択される溶媒から結晶化される」と限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が,本件出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3 独立特許要件の検討 本願明細書には,式IIで表される重硫酸塩化合物を結晶化される際に用いられる溶媒に関し,「アセトニトリル、イソプロパノール、エタノールまたはアセトン等の溶媒」(段落【0030】参照),「アセトニトリル、エタノール-ヘプタンまたはアセトン」(段落【0037】参照)と記載されているものの,具体例としては,実施例1の「エタノール」と「ヘプタン」の混合溶媒と,実施例2の「アセトン」しか記載されていない。(実施例1では,最初に化合物I(化合物Iの化学構造の記載は省略する。)の遊離塩基を200プルーフエタノール溶媒中で濃硫酸添加しているが,そこで得られた溶液(この時点では結晶化していない)をヘプタンと混合し,エタノール-ヘプタンの混合溶媒中で式IIの化合物の種晶を用いて結晶化している。) そして,結晶化の際の溶媒が異なれば,得られる結晶形態が異なることは,「イソプロパノールから得られた結晶はアセトニトリル、エタノール-ヘプタンまたはアセトンから得られた結晶とは異なる、粉体(powder)X-線回折パターンを示した。」(段落【0037】)との記載からみて明らかであるから,具体例のある「エタノール-ヘプタン」,「アセトン」以外の「エタノール」,「アセトニトリル」を溶媒として用いた場合にまで,同様の結晶が得られるといえない。 そうすると,「エタノール」,「アセトニトリル」の「溶媒から結晶化される」「式IIで表される重硫酸塩化合物」は,発明の詳細な説明に記載されているとはいえず,補正後の特許請求の範囲の請求項1の特許を受けようとする発明は,特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではない。 したがって,補正後の本件出願は特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないから,本件補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから,本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,その余のことを検討するまでもなく,本件補正は,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 平成20年12月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?2に係る発明は,出願当初の明細書の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきとものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-10-07 |
出願番号 | 特願2000-540121(P2000-540121) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(C07D)
P 1 8・ 121- WY (C07D) P 1 8・ 575- WY (C07D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 恵 |
特許庁審判長 |
井上 雅博 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 井上 千弥子 |
発明の名称 | HIVプロテアーゼ抑制剤重硫酸塩 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 箱田 篤 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 熊倉 禎男 |