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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1244269
審判番号 不服2010-5718  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-15 
確定日 2011-09-30 
事件の表示 特願2009-149859号「電子部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月3日出願公開、特開2009-283949号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年6月30日に出願した特願2005-192116号の一部を平成21年6月24日に新たな特許出願としたものであって、平成21年12月15日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成22年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。
「フィーダベース上に部品取出位置まで収納テープ内の電子部品を供給する部品供給ユニットを複数並設して、この部品供給ユニットより供給された電子部品を吸着ノズルが取出位置より取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、前記部品吸着ユニット毎に設けられ前記収納テープ同士を連結した連結テープを検出する継ぎ目検出装置と、前記継ぎ目検出装置が前記連結テープを検出後、継ぎ足された新しい収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取り出す位置を補正するように制御する制御装置とを設けたことを特徴とする電子部品装着装置。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は、次のとおりである。
引用例1 特開平6-85492号公報
引用例2 特開2005-101586号公報
引用例3 特開2005-5289号公報

(1)引用例1の記載事項
引用例1には、「部品装着装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「【産業上の利用分野】本発明は、テーピングした部品をプリント基板に装着する部品装着装置に関する。」(段落【0001】)
イ.「以下に従来の部品装着装置について説明する。図3に示すように、装置本体1上に部品を供給する部品供給部2と、部品認識部3と、部品を吸着する吸着ノズル4を有する装着ヘッド5を直線的に移動可能とした第一の駆動軸6と、第一の駆動軸6と直交して配設された第二の駆動軸7を備えている。またプリント基板8も装置本体1上の所定の位置に位置決めされる構成である。
また、図4に示すように、部品供給部2は、装置本体1に取り外し可能に設置されるメインボディ9に部品を帯状に包装したキャリアテープ10に一定ピッチで開けられた送り孔にかみ合い、かつキャリアテープ10を前送りするためのスプロケット11と、スプロケット11を一定ピッチで間欠送りするラチェット12と、ラチェット12を本体駆動部からの作用を受けて動かすためのフィードレバー13が配設されている。
以上のように構成された部品装着装置について、以下その動作を説明する。装着ヘッド5はNC制御された第一,第二の駆動軸6,7によって部品供給部2上に移動し、供給された部品を吸着ノズル4で吸着する。フィードレバー13が、装置本体1上の所定位置を行き来する装着ヘッド5の動きに同期して動かされることにより、ラチェット12と、スプロケット11が駆動されてキャリアテープ10が位置決めされ、吸着ノズル4による部品の吸着が可能となる。
次に装着ヘッド5は部品認識部3上に移動し、一定時間静止するが、このとき部品の吸着状態が部品認識部3によって認識される。しかる後、装着ヘッド5はプリント基板8の所定の位置に、部品認識部3の認識結果による位置ずれなどの補正を行った上で部品を装着する。吸着ノズル4が部品を吸着する際、その吸着の安定性はキャリアテープ10の位置決め時のばらつきに依存し、キャリアテープ10の位置決め時のばらつきは部品供給部2のスプロケット11の寸法精度やキャリアテープ10の製造ロットごとの寸法ばらつきに依存することになる。」(段落【0003】?【0006】)
ウ.「【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来の構成では、微小チップ状の部品の吸着のとき、部品供給部2ごとに、あるいはキャリアテープ10を着け替える度ごとに吸着時において、装着ヘッド5が吸着に関してもっとも有利な位置(一般には部品の吸着ノズル4の軸に直行する平面における図心と吸着ノズル4の軸心が重なる位置)にあることを確認した上で実装動作を開始する必要があり、装着する効率が悪いという問題点を有していた。
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、微小チップ状の部品の吸着時においても部品供給部のスプロケットの寸法ばらつきやキャリアテープの製造ロットごとの寸法ばらつきの影響を最小として効率よく装着する部品装着装置を提供することを目的とする。
」(段落【0007】?【0008】)
エ.「【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の部品装着装置は、装着ヘッドに配設した部品供給位置認識カメラで、部品装着動作の前に部品の各供給位置における部品位置決め情報を所定回数だけ認識・記憶し、その記憶をもとにその後の部品吸着時の吸着位置補正を行う構成としたものである。
【作用】この構成において、部品装着の動作前に各部品の供給位置における部品位置決め情報を所定回数認識・記憶し、その記憶をもとにその後の部品吸着時の吸着位置を補正するので部品供給部のスプロケットの寸法ばらつきやキャリアテープの製造ロットごとの寸法ばらつきの影響を最小とすることとなる。」(段落【0009】?【0010】)
オ.「本発明の一実施例において、前述の従来例について説明した構成部分と同じ部分については、同一符号を付しその説明は省略する。
本実施例の特徴とするところは、図1に示すように、前述従来の構成に装着ヘッド5に配設した部品供給位置認識カメラ(認識手段)14を設けたことにある。」(段落【0012】?【0013】)
カ.「装着ヘッド5がNC制御された第一及び第二の駆動軸6,7によって部品供給部2上に移動し、部品供給位置認識カメラ14が供給された部品を画像認識する。すなわちまず、最初に図2(a)に示すように、所定の部品供給部の部品供給位置上の所定位置(x_(0),y_(0))に位置きめされた部品供給位置認識カメラ14が供給された部品16の外形画像を取り込み、図2(b)に示すように、外形画像を二値化処理の後、図心位置を求めその座標を(x_(1),y_(1))とし、(Δx_(1),Δy_(1))=(x_(1),y_(1))-(x_(0),y_(0))を求める。次に図2(c)に示すように、スプロケット15を矢印aで示した方向に1ピッチ分だけ送り、部品17についても部品16と同じ手順で(Δx_(2),Δy_(2))を求める。ここでスプロケットがnピッチ送りにて1回転するとすれば、n回上記の手順を繰り返して(Δx_(n),Δy_(n))を求め、(数1)によって(x,y)を計算する。
【数1】 (x,y)=(x_(0),y_(0))+(ΣΔx_(n)/n,ΣΔy_(n)/n)
すなわち、図2(d)に示すように、このときの(x,y)の値を、この供給部における部品の位置と考え、吸着時の吸着ノズル4の軸心の座標として以降の吸着・装着動作を行うことにより部品供給部2のスプロケット11の寸法ばらつきに起因する吸着位置と部品位置のずれを最小とすることができる。またこの方法によればキャリアテープ10の製造ロットごとの寸法ばらつきや、部品供給部2のユニット個々の本体への取り付け誤差による、吸着位置に対する部品位置のばらつきを最小とすることができる。」(段落【0015】?【0017】)
キ.図1及び図3には、装置本体1上に複数並設された部品供給部2が図示されている。
ク.上記カ.の「部品供給位置認識カメラ14が供給された部品を画像認識する。」との記載からみて、部品装着装置は、認識カメラ14が撮像した画像を認識処理する認識処理手段を備えていることは明らかである。また、上記エ.及びカ.の記載からみて、部品装着装置は、認識処理手段の認識処理結果に基づいて当該部品供給部2の吸着位置を補正する制御手段を備えていることは明らかである。
ケ.上記ウ.の「微小チップ状の部品の吸着のとき、部品供給部2ごとに、あるいはキャリアテープ10を着け替える度ごとに吸着時において、装着ヘッド5が吸着に関してもっとも有利な位置(一般には部品の吸着ノズル4の軸に直行する平面における図心と吸着ノズル4の軸心が重なる位置)にあることを確認した上で実装動作を開始する必要があり、装着する効率が悪いという問題点を有していた。本発明は上記従来の問題点を解決するもので、微小チップ状の部品の吸着時においても部品供給部のスプロケットの寸法ばらつきやキャリアテープの製造ロットごとの寸法ばらつきの影響を最小として効率よく装着する部品装着装置を提供することを目的とする。」との記載、及び上記エ.の「本発明の部品装着装置は、装着ヘッドに配設した部品供給位置認識カメラで、部品装着動作の前に部品の各供給位置における部品位置決め情報を所定回数だけ認識・記憶し、その記憶をもとにその後の部品吸着時の吸着位置補正を行う構成としたものである。」との記載などからみて、引用例1に記載された部品装着装置は、新しいキャリアテープ10が着け替えられた後に、着け替えられたキャリアテープ10内の部品16,17を撮像し、吸着位置を補正することは明らかである。

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「装置本体1上に部品供給位置までキャリアテープ10内の部品を供給する部品供給部2を複数並設して、この部品供給部2より供給された部品を吸着ノズル4が部品供給位置より取出してプリント基板8上に装着する部品装着装置において、新しいキャリアテープ10が着け替えられた後に、着け替えられたキャリアテープ10内の部品16,17を撮像する部品供給位置認識カメラ14と、この認識カメラ14が撮像した画像を認識処理する認識処理手段と、この認識処理手段の認識処理結果に基づいて当該部品供給部2の吸着位置を補正する制御手段とを設けた部品装着装置。」

(2)引用例2の記載事項
コ.「この発明は、テープフィーダ等により順次送り出される電子部品を適正位置で吸着するための電子部品実装機における電子部品吸着補正装置に関する。」(段落【0001】)
サ.「この発明の課題は、テープフィーダに取り付けるテープに設けられた送り穴間のピッチのバラツキ、送り穴と部品収納穴との間の距離のバラツキ等により生じる電子部品の吸着位置のずれがあっても、部品収納穴の中心で電子部品を安定して吸着できる電子部品の吸着位置補正装置を提供することにある。」(段落【0004】)
シ.「次に、この発明の電子部品の吸着位置補正装置について説明する。
この発明の電子部品の吸着位置補正装置は、前記テープ10Aの部品収納穴11に収納された電子部品11Cをピッチ送りする前記テープフィーダ10と、電子部品11Cを吸着し、基板P上へ搭載する複数の吸着ノズル7を備えた吸着ヘッド6と、吸着ヘッド6に設けられ前記テープ10Aの部品収納穴11を認識する認識カメラ8と、CRT等の表示装置12に予め記憶されたテープ10Aの電子部品収納穴11の中心基準位置11Aの位置をマーク表示すると共に,認識カメラ8による電子部品収納穴11の撮像画像を表示する。そして、予め記憶されたテープ10Aの電子部品収納穴11の中心基準位置11A(図4参照)と前記認識カメラ8による検出画像から求めた電子部品収納穴11の中心位置11Bとの位置ずれを算出する。続いて、前記電子部品収納穴11の中心基準位置11Aの座標を変更補正する指令を出力する制御部19(図5参照)と、この位置ずれ量を記憶する記憶装置29(図5参照)と、前記制御部19による吸着ノズルの吸着位置座標を変更する指令を入力するスイッチ手段13とから構成される。」(段落【0010】)
ス.「次に作用を図3のフローチャートで説明する。
テープ部品の架け替えのために部品供給部2にテープフィーダ10を取り付ける(ステップ1)。テープ10Aを取り替えると図4示すようなテープフィーダ10では、予め記憶されたテープ10Aの部品収納穴11の中心基準位置11Aと実際の部品収納穴11の中心位置11Bとの間で,位置ズレが生じている場合がある。
このため、まず、吸着ヘッド6に設けた認識カメラ8がテープ10Aの予め記憶された部品収納穴11の中心基準位置に移動する(ステップ2)。次に認識カメラ8に設けた照明装置が点灯(ステップ3)、部品収納穴11を撮像する(ステップ4)。このときの照明は、予め設定された最適な照明(不図示)により、部品収納穴11のエッジ部が最も強調される照明パターンで照明される。次に部品収納穴11が認識カメラ8により撮像され、この撮像画面がCRT画面に表示されると共に予め記憶されている部品収納穴11の中心基準位置11Aが表示される(ステップ5)。
ここで、作業者が目視により部品収納穴11の中心基準位置11Aを示すマークが部品収納穴11の撮像画面における部品収納穴11の中心位置11Bと一致しているかどうかを判断する。一致していれば,予め記憶された中心基準位置11Aが吸着位置11Bとみなされ通常の吸着動作手順に移行する(ステップ6にてNO)。
一致していなければ、作業者は,スイッチ手段13を押す(ステップ6にてYES)。
CPUは、この部品収納穴11の検出画像から、部品収納穴11の中心位置11Bを算出し、その中心位置をCRTに追加表示する(ステップ7)。
この部品収納穴11の中心位置11Bの検出は、部品収納穴11の各辺の濃淡からエッジを検出し、各辺のエッジ位置から各辺の最小二乗法による直線を求め4交点を算出し、4点の平均から部品収納穴11の中心位置11Bを求める検出方法により行う。また、この検出方法に代えて、エッジデータから部品収納穴11の面積に基づく重心演算により部品収納穴11の中心を求める検出方法。或いは部品収納穴11のサイズが予め既知である場合には、部品収納穴11のパターンデータを登録し、パターンマッチングにより部品収納穴11の中心位置11Bを求める検出方法。を採用してもよい。
次に、制御部19は、前記予め記憶された部品収納穴11の基準中心位置11Aと認識カメラ8により撮像された部品収納穴11の検出画像から検出した部品収納穴11の中心位置11Bとの位置ズレを算出する。
制御部19は、吸着位置座標としての基準中心位置11Aの座標の変更を行う(ステップ8)。制御部19は認識カメラ8を部品収納穴11の上方から退避させた後、吸着ヘッド6を移動し吸着ノズルを電子部品の上方に移動する。
その後、実装機の動作指令を行えば,制御部19から吸着ヘッド6に対して、先に算出した位置ズレ量に基づく吸着位置補正座標としての基準中心位置11Aの座標に基づいて吸着ノズル7は、テープの部品収納穴11の基準中心位置11A上方に配置され、その後吸着ノズル7がZ軸モータ21により下降し、部品Cを吸着した後、上昇して電子部品を部品収納穴11から取り出す。
この状態で、認識カメラ9にて部品Cの位置認識をし(既知の方法にて実施)、実装する基板上まで移送し、電子部品の装着動作を行う。」(段落【0012】?【0016】)

(3)引用例3の記載事項
セ.「【発明の属する技術分野】
本発明は、部品供給部のテープフィーダから電子部品を取り出して基板に実装する電子部品実装装置に関するものである。」(段落【0001】)
ソ.「図1において、電子部品実装装置1は電子部品を供給する部品供給部2を備えており、部品供給部2に設けられたフィーダベース3の上面には、テープフィーダ4が複数基配列されている。」(段落【0013】)
タ.「本実施の形態に示す電子部品実装装置では、このスプライシングに際し、テープ接合用の接着テープ30のみならず、送り穴閉塞用の接着テープ31を突き合わせ線の近傍に位置する送り穴7b上に貼着するようにしている。接着テープ31には、長手方向にスリット31aが設けられており、スプロケット21のピン21aが送り穴7bに下方から嵌合する際に、ピン21aがスリット31aを介して上方に突出可能となっており、テープ送りに支障がないようになっている。
この送り穴閉塞は、後述するようにキャリアテープ7A,7Bの継ぎ目を送り穴7bを利用して自動的に検出することができるように、継ぎ目をその他の部分と区別することを目的として行われるものである。そして継ぎ目を検出することにより、個々の供給リールによって供給される一連のキャリアテープ7の供給開始時点を特定することができ、したがって次回のテープスプライシング実行のタイミングを正確に予測することができる。
次にこの継ぎ目検出について説明する。図3に示すように、ピックアップ位置である切り欠き部23aの手前側には、キャリアテープ7の送り穴7bを検出するためのセンサ25が配設されている。センサ25は投光部25aおよび受光部25bを備えており、投光部25aから投光された光を受光部25bで受光することにより、キャリアテープ7の送り穴7bの有無を検出する。
受光部25bからの送り穴検出信号は、フィーダ制御部24の継ぎ目検出部24aに送られる。継ぎ目検出部24aは、以下に説明する送り穴検出信号に基づき、キャリアテープ7の継ぎ目を検出する。検出結果は、電子部品実装装置の制御部11に送られる。
送り穴検出信号について説明する。図5(a)に示すように、カバー部材23の切り欠き部23aの前後には複数の開口が設けられている。切り欠き部23aの前方側のスプロケット21に相当する位置には、ピン21aの逃がし用の溝部23bが設けられており、キャリアテープ7の送り穴7bから上面側に突出した送りピン21aがカバー部材23と干渉しないようになっている。
切り欠き部23aの後方側には、センサ25の位置に対応して開口部23cが設けられており、キャリアテープ7が走行するテープ送り経路27にも開口部23cの位置に対応して同様の開口部27aが設けられている。図5(b)に示すように、送り穴7bがセンサ25の光軸aの位置にあるときには、開口部27aの下方に位置する投光部25aから投光された光が、開口部27a、送り穴7bおよび開口部23cを透過して受光部25bによって受光されることにより、送り穴7bの存在を示す受光信号が発信される。そして送り穴7b以外の範囲が光軸aの位置にあるときには、送り穴が存在しないことを示す遮光信号が発信される。
すなわちキャリアテープ7が継合されていない通常範囲がセンサ25の検査位置を通過する際には、図7(a)に示すように、送り穴検出信号は、キャリアテープ7における送りピッチpに応じた間隔で受光・遮光が反復するパターンの信号となる。これに対し、図5(c)に示すように、テープスプライシングが行われ送り穴7bの上面が接着テープ31で閉塞された継ぎ目が光軸aの位置にあるときには、投光部25aから投光された光は送り穴位置においても接着テープ31によって遮光される結果、接着テープ31が貼着された範囲については全て遮光信号が発信される。」(段落【0032】?【0038】)

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、その機能又は作用などからみて、後者の「装置本体1」は前者の「フィーダベース」に相当し、以下同様に、「部品供給位置」は「部品取出位置」又は「取出位置」に、「キャリアテープ10」は「収納テープ」に、「部品」は「電子部品」に、「部品供給部2」は「部品供給ユニット」に、「吸着ノズル4」は「吸着ノズル」に、「プリント基板8」は「プリント基板」に、「部品装着装置」は「電子部品装着装置」に、「部品供給位置認識カメラ14」は「認識カメラ」に、「吸着位置」は「部品を取り出す位置」に、「認識処理手段」は「認識処理装置」に、「制御手段」は「制御装置」に、それぞれ相当する。
してみると、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、
[一致点]
「フィーダベース上に部品取出位置まで収納テープ内の電子部品を供給する部品供給ユニットを複数並設して、この部品供給ユニットより供給された電子部品を吸着ノズルが取出位置より取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取り出す位置を補正するように制御する制御装置とを設けた電子部品装着装置。」である点で一致し、次の点で相違する(かっこ内は、本願発明の対応する用語を示す。)。

[相違点1]
本願発明は、「前記継ぎ目検出装置が前記連結テープを検出後、継ぎ足された新しい収納テープ」について「撮像する」のに対して、引用発明は、新しいキャリアテープ10(収納テープ)が着け替えられた後に、着け替えられたキャリアテープ10(収納テープ)について撮像する点。
[相違点2]
本願発明では、認識カメラは「収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する」のに対して、引用発明では、部品供給位置認識カメラ14(認識カメラ)はキャリアテープ10(収納テープ)内の部品16,17(電子部品)を撮像する点。
[相違点3]
本願発明は、「前記部品吸着ユニット毎に設けられ前記収納テープ同士を連結した連結テープを検出する継ぎ目検出装置」を設けたのに対して、引用発明は、そのような装置を設けていない点。

5.判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用発明は、部品の吸着時における「部品供給部のスプロケットの寸法ばらつきやキャリアテープの製造ロットごとの寸法ばらつきの影響を最小」(上記摘記事項ウ.参照)とすることを課題とし、そのために、新しいキャリアテープ10(収納テープ)が着け替えられた後に、着け替えられたキャリアテープ10(収納テープ)内の部品16,17(電子部品)を撮像し、吸着位置を補正するように構成したものである。
ところで、収納テープを連結テープで連結して新たな収納テープを継ぎ足すことは、当該技術分野において従来から一般に行われていることである(例えば、特開2005-104557号公報には、「部品実装機100では、従来、部品テープ103に包装されている電子部品104が全て基板上に実装されてしまうと、作業員は、リール102の交換のため部品実装機100の実装動作を停止させていた。」(段落【0004】参照)、「近年、実装動作の停止を防ぐため、引き出されている部品テープ103の終端がリールの表面に近づくと、その部品テープ103の終端を、新たな交換用のリール102に巻き付けられた部品テープ103の先端につなぎ合わせるといった作業が行われている。」(段落【0005】参照)と記載されるとともに、「従来のエンボステープ103aを備えた部品テープ103のつなぎ合わせ方法では、エンボステープ103aの終端と先端とをつなぐための専用のテープが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。」(段落【0006】参照)、「【特許文献1】実開昭62-168364」(段落【0011】参照)と記載されている。)。しかも、テープの連結作業は、新しいキャリアテープを着け替えるという作業をもう少し効率化させるために採用されるようになった手段であり、新しいキャリアテープを着け替える作業と関連する作業であり、着け替え作業の一環ということができる。そして、連結テープで古いテープと新しいテープとを連結するという、人がする作業には個人差があり、この連結作業により新しいテープには収納凹部のずれが大きくなるという問題が発生することは、従来周知の事項である(例えば、特開平1-173881号公報の2ページ左上欄8行?18行には、「前記テーピング部品を用いて一層生産性を向上させるために、長尺のテーピング部品の端部同士を継ぎ合わせて更に長尺のテーピング部品にして前記自動装着装置に供給するようにしているが、これら両テーピング部品の端部同士の位置決めや継ぎ合わせは、一般に作業者の手作業で行なわれているために、両テーピング部品の継ぎ目部分の隣接する両電子部品のピッチが他の電子部品間のピッチと正確に合わずにピッチ不良を発生させ、前記自動装着装置によるテーピング部品の送り等に支障を来す欠点があった。」と記載されている。)。
そうすると、引用発明において、着け替えられたキャリアテープ10と同様、継ぎ足された新しいキャリアテープについても認識カメラ14で撮像して吸着位置を補正するようにすることは、当業者であれば容易に思い付くことであり、そのために、何らかの検出手段を設けて継ぎ足されたキャリアテープを検出するようにし、相違点1に係る本願発明のように構成するようなことは、当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点2について
引用例2には、「テープ10Aの部品収納穴11を認識する認識カメラ8と」「予め記憶されたテープ10Aの電子部品収納穴11の中心基準位置11A(図4参照)と前記認識カメラ8による検出画像から求めた電子部品収納穴11の中心位置11Bとの位置ずれを算出する。続いて、前記電子部品収納穴11の中心基準位置11Aの座標を変更補正する指令を出力する制御部19(図5参照)と、この位置ずれ量を記憶する記憶装置29(図5参照)と、前記制御部19による吸着ノズルの吸着位置座標を変更する指令を入力するスイッチ手段13とから構成される。」(上記摘記事項シ.参照)と記載されており、本願発明の「収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取り出す位置を補正するように制御する制御装置とを設けた電子部品装着装置」に相当する構成が記載されていると認められる。
そして、引用例1及び2に記載された発明は、どちらも収納テープの部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置に関する発明であり(上記摘記事項ア.及びコ.参照)同一技術分野に属するものである。しかも、これらの発明は、どちらも部品の吸着位置のずれを防止する点で課題が共通するものである(上記摘記事項ウ.及びサ.参照)。
そうすると、引用発明において、部品を撮像する認識カメラ14に代えて引用例2に記載された電子部品収納穴11(収納凹部)を撮像する認識カメラ8を採用し、相違点2に係る本願発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到できたことである。

(3)相違点3について
引用例3には、「電子部品実装装置1は電子部品を供給する部品供給部2を備えており、部品供給部2に設けられたフィーダベース3の上面には、テープフィーダ4が複数基配列されている。」(上記摘記事項ソ.参照)と記載され、さらに「送り穴閉塞用の接着テープ31を突き合わせ線の近傍に位置する送り穴7b上に貼着するようにしている。」(上記摘記事項タ.参照)、「この送り穴閉塞は、後述するようにキャリアテープ7A,7Bの継ぎ目を送り穴7bを利用して自動的に検出することができるように、継ぎ目をその他の部分と区別することを目的として行われるものである。」(同上)、「ピックアップ位置である切り欠き部23aの手前側には、キャリアテープ7の送り穴7bを検出するためのセンサ25が配設されている。センサ25は投光部25aおよび受光部25bを備えており、投光部25aから投光された光を受光部25bで受光することにより、キャリアテープ7の送り穴7bの有無を検出する。」(同上)と記載されていることからも明らかなように、フィーダベース3上にテープフィーダ4を複数並設した電子部品装着装置において、テープフィーダ4毎に、キャリアテープ7Aと7Bを接合した接着テープ31によって閉塞された送り穴を検出することによって継ぎ目を検出するセンサ25を設けたものが記載されている。すなわち、引用例3には、本願発明の「部品吸着ユニット毎に設けられ収納テープ同士を連結した連結テープを検出する継ぎ目検出装置」に相当する構成を設けたものが記載されていると認められる。
そして、引用例1及び3に記載された発明は、どちらも収納テープの部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置に関する発明であり(上記摘記事項ア.及びセ.参照)同一技術分野に属するものである。しかも、相違点1についての上記判断に基づいて引用発明を継ぎ足されたキャリアテープにも対応できるようにした場合、継ぎ足された新しいキャリアテープを検出する何らかの手段が必要となるから、継ぎ足された新しいキャリアテープの検出手段として、引用例3に記載されたセンサ25(継ぎ目検出装置)を適用し、相違点3に係る本願発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到できたことである。

そして、本願発明の効果は、引用例1ないし3に記載された発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用例1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-04 
結審通知日 2011-07-26 
審決日 2011-08-15 
出願番号 特願2009-149859(P2009-149859)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 倉田 和博
山岸 利治
発明の名称 電子部品装着装置  
代理人 相澤 清隆  

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