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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1244339 |
審判番号 | 不服2010-21166 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-21 |
確定日 | 2011-09-26 |
事件の表示 | 特願2007-164933「情報通信端末およびサーバ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月 8日出願公開、特開2007-293902〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成9年11月12日を出願日とする特願平9-310408号の一部を平成19年6月22日に新たな出願としたものであって、平成22年3月23日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月31日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、同年6月14日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年9月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 補正却下の決定 1.補正却下の決定の結論 平成22年9月21日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 2.理由 (2-1)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 ネットワークを通じてサーバ装置と接続され、前記サーバ装置により受信されて、蓄積されている自分宛の電子メールの受信データを取得するようにする情報通信端末であって、 前記サーバ装置から自分宛の受信データの一覧リストを受信する受信手段と、 前記受信手段により受信された一覧リストと、当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける取得項目と、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示する表示手段と、 前記表示手段に表示されている一覧リストから所望の受信データを複数選択する選択手段と、 前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記取得項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求し、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求する制御手段と、 を備えたことを特徴とする情報通信端末。」 と補正されている。 上記補正は、補正前の請求項2に係る発明の「表示手段」に関して、「当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける入力処理項目を表示する表示手段」及び「前記表示手段は、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目を前記入力処理項目としてさらに表示し」と記載されていたものを、補正により、「当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける取得項目と、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示する表示手段」と限定するものである。 したがって、該補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規程に適合するか)否かについて以下に検討する。 (2-2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-223209号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与したものである。 (a)「【0002】 【従来の技術】電子メールシステムは、電子メールを蓄積する手段であるメールボックスを備えた電子計算機と、前記メールボックスに電子メールを送信したり、あるいは、前記メールボックスから電子メールを受信したりする利用端末装置を通信回線で接続したシステムである。」 (b)「【0010】前記の様に、あるファイルを電子計算機から利用端末装置に受信して、利用端末装置の補助記憶装置等に格納することを、ダウンロードという。 【0011】従来、電子メールの送受信を行う電子メールシステムにて、自分宛に送信されてきた電子メールを、電子計算機上のメールボックスから利用端末装置の補助記憶装置に取り出す場合には、次の2つの方法が行われている。 【0012】すなわち、メールボックス中の自分宛の受信メールの一覧を表示させ、この中から必要な電子メールを選択し、選択した電子メールを利用端末装置の補助記憶装置にダウンロードする方法と、自分宛の複数の電子メールのすべてを一括して利用端末装置にダウンロードする方法である。」 よって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。 「電子計算機と利用端末装置を通信回線で接続し、自分宛に送信されてきた電子メールのファイルを、電子計算機上のメールボックスから利用端末装置の補助記憶装置にダウンロードする場合に、メールボックス中の自分宛の受信メールのファイルの一覧を表示させ、この中から必要な電子メールのファイルを選択し、選択した電子メールのファイルを利用端末装置の補助記憶装置にダウンロードする、電子メールシステム。」 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である”超初心者のためのダウンロード入門”,YOMIURI PC,読売新聞社,1997年11月1日,第2巻 第11号,p.48-49(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。なお、数字を丸で囲う表記は、数字を<>で挟むものに置き換えた。また、下線は当審で付与したものである。 (c)「スクリーンセーバーをダウンロードしてみよう <1>「ニフティマネジャー」を起動する 画面下のタスクバーから「スタート」「プログラム」「NIFTY MANAGER」の順に選び、接続。 <2>フォーラムを開く 「TOP」ボタンをクリックして「NIFTY-Serve TOP」の画面を表示したら、「フォーラム/ステーション」「ソフトウエア」「言語/OS」「Windows Forum」「Windows実用ソフトフォーラム」の順に選ぶ。 <3>データを選ぶ 「オープニングメッセージ」の画面を一読する。「データライブラリー」ボタンをマウスの左ボタンでクリックして新しい画面を表示する。 <4>一覧表示させる 「データライブラリー:<Windows実用ソフトフォーラム>」から「スクリーンセーバ」をダブルクリックして選ぶ。すると、内容が一覧表示されるので、スクロール(画面右の「▼」「▲」の所のついている部分をマウスの左ボタンでクリックして、ぺージを上下に動かす)してダウンロードしたい項目を探す。 <5>ファイルの内容を磯認する 項目をマウスでダブルクリックすると「データライブラリーの補足説明」が表示され、パソコンに取り込むために必要な条件などを読むことができる。 <6>ダウンロード開始 ダウンロードしたい項目を、マウスの左ボタンでクリックして反転させたら「ダウンロード」ボタンを押す。「ダウンロード」画面が表示されるので、項目が正しければ再び「ダウンロード」ボタンをマウスの左ボタンでクリックする。ダウンロードの経過を画面に表示しながらデータが送られてくる。 <7>ファイルを開く ダウンロードされたファイルはハードディスク内の「Program File]の中にある「Nifty」フォルダに自動的に作成された「Download」フォルダーに保存されているので確認しよう。」(第48ページ第2欄?第49ページ第3欄) (d)「複数のデータを一括してダウンロード 大量のデータを一括してダウンロードする場合に便利な機能なので覚えておこう。<4>の手順までは同じだ。<6>複数項目を選ぶ「スクリーンセーバ」をダブルクリックして選び、「ダウンロード」したい複数の項目の頭にあるチェックボックスを、マウスの左ボタンでクリックして印をつけて、「ダウンロード」ボタンを押す。」(第49ページ第3?4欄) (e)上記(c)<4>の「内容」及び(d)の「項目」がダウンロードの対象となるデータを指すことは、上記記載及び図から明らかである。 よって、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。 「ダウンロードの対象となるデータを一覧表示し、ダウンロードしたい複数のデータの項目の頭にあるチェックボックスをマウスの左ボタンでクリックして印を付けて「ダウンロードボタン」を押すことにより、複数のデータを一括してダウンロードする技術。」 原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-181781号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与したものである。 (f)「【0043】PHS端末6は、ステップS206において、ボイスメールを削除するか否かを入力させるとともに、削除するボイスメールを指定させる。利用者は、図14に示す表示を確認して、ボイスメールを削除するか否かを、表示部18をタッチペン41によってタッチするか、キー入力部15から入力するとともに、図10に示すように表示された受信インデックスから削除するボイスメールを指定する。なお、削除するボイスメールは、1件だけに限らず、複数件指示してもよい。次に、PHS端末6では、ステップS208へ進み、利用者によってボイスメールの削除が指示されたか否かを判断する。そして、削除が指示されない場合には、ステップS208における判断結果は「NO」となり、当該処理を終了する。この場合、新たにボイスメールを受信しても保存されない。 【0044】一方、削除が指示された場合には、ステップS208における判断結果は「YES」となり、ステップS210へ進む。ステップS210では、自動的にサービス管理局2(電話回線網4)に電話をかける。次に、ステップS212に進み、サービス管理局2に該当ボイスメールの削除を指示する。削除の指示を送信し終えると、ステップS214へ進み、自動的に回線を切断する。そして、ステップS216において、処理結果を受信インデックスに反映させる。すなわち、指定されたボイスメールに関する着信日時および発信者の電話番号を削除するとともに、件数を指定件数分だけデクリメントする。この結果、受信インデックスが表示された場合、図10に示す件数の表示が更新される。これに対して、サービス管理局2では、ステップS220において、削除の指示を受信したか否かを判断する。そして、削除の指示を受信していなければ、当該処理を終了する。一方、削除の指示を受信した場合には、ステップS220における判断結果は「YES」となり、ステップS222へ進む。ステップS222では、メールBOXの該当ボイスメールを削除し、当該処理を終了する。」 よって、引用例3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が開示されていると認められる。 「PHS端末6において、受信したボイスメールの受信インデックスから削除したいボイスメールを複数件指定し、削除の指示をサービス管理局に送信することにより、メールBOXの該当ボイスメールを削除する技術。」 (2-3)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「通信回線」は、本願補正発明の「ネットワーク」に相当する。また、引用発明1の「電子計算機」は、自分宛に送信されてきた電子メールのファイルをメールボックスに蓄積し、該ファイルを利用端末に提供する機能を有しているといえるから、本願補正発明の「サーバ装置」に相当する。また、引用発明1の「利用端末装置」は、本願補正発明の「情報通信端末」に相当する。また、引用発明1の「自分宛に送信されてきた電子メールのファイルを」「ダウンロード」することは、本願補正発明の「サーバ装置」から「蓄積されている自分宛の電子メールの受信データを取得する」ことに相当する。よって、引用発明1の「利用端末装置」と本願補正発明の「情報通信端末」とは、「ネットワークを通じてサーバ装置と接続され、前記サーバ装置により受信されて、蓄積されている自分宛の電子メールの受信データを取得するようにする情報通信端末」である点で一致する。 引用発明1は、電子計算機上のメールボックス中の自分宛の受信メールのファイルの一覧を表示させるシステムであるから、「前記サーバ装置から自分宛の受信データの一覧リストを受信する受信手段」と、「前記受信手段により受信された一覧リストを表示する表示手段」を備えているものと認定できる。よって、引用発明1と本願補正発明とは、「前記サーバ装置から自分宛の受信データの一覧リストを受信する受信手段」と、「前記受信手段により受信された一覧リストを表示する表示手段」を備える点で一致する。 引用発明1で表示される「ファイルの一覧」は、本願補正発明の「一覧リスト」に相当する。また、引用発明1の「必要な電子メールのファイル」は、本願補正発明の「所望の受信データ」に相当する。そうすると、引用発明1は、メールボックス中の自分宛の受信メールのファイルの一覧を表示させ、この中から必要な電子メールのファイルを選択するシステムであるから、引用発明1が、前記表示手段に表示されている一覧リストから所望の受信データを選択する選択手段を備えることは明らかである。 引用発明1は、受信メールの一覧から選択した電子メールのファイルを利用端末装置の補助記憶装置にダウンロードするものである。そして、ダウンロードを実行するにあたり、サーバ装置にデータの取得を要求することは必須であるから、引用発明1が、受信データの取得を要求する制御を行う制御手段を備えることは明らかである。よって、引用発明1が、前記選択手段によって受信データが選択されているときに、前記選択手段が選択している受信データを送信するよう前記サーバ装置に要求する制御手段を備えることは明らかである。 したがって、両者は、 「ネットワークを通じてサーバ装置と接続され、前記サーバ装置により受信されて、蓄積されている自分宛の電子メールの受信データを取得するようにする情報通信端末であって、 前記サーバ装置から自分宛の受信データの一覧リストを受信する受信手段と、 前記受信手段により受信された一覧リストを表示する表示手段と、 前記表示手段に表示されている一覧リストから所望の受信データを選択する選択手段と、 前記選択手段によって受信データが選択されているときに、前記選択手段が選択している受信データを送信するよう前記サーバ装置に要求する制御手段と、 を備えた情報通信端末。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本願補正発明は、一覧リストと、当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける取得項目と、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示する表示手段を備え、前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記取得項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求し、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求する制御手段を備えるのに対し、 引用発明1は、前記選択手段によって選択された受信データを取得する処理を行うものではあるが、複数の受信データが選択可能で、複数の受信データを一括して処理をするよう制御するものであるか否かが明確ではない。また、引用発明1は、削除する処理を行うことは記載がない。また、一覧リストに含まれる受信データに対する処理を実行する入力処理項目を備えるか否かが明確ではない。そして、一覧リストと、取得項目と削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示するものではない。そのため、前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記取得項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求し、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求する制御をおこなうものではない。 (2-4)当審の判断 上記相違点について検討する。 複数のデータを選択し、一括で処理することは常とう手段(引用発明2の複数のデータを一括してダウンロードする点及び引用発明3の受信インデックスから削除するボイスメールを複数件指示する点を参照)である。 また、選択されたデータに対する処理として、複数の処理を想定することは通常のことであり、その際の処理の内容をどのようなものとするかは当業者が適宜選択し得るものであって、メールボックスに対する処理として、メールの取得だけでなく、削除をも行うことはシステムが通常備えるべき機能であるといえる。なお、メールボックスから複数選択されたデータを一括で削除することは本願原出願日前に周知(引用発明3や、「M.Steven Baker、”NET WORTH from UNIX REVIEW”、”デスクトップ・メール:POPとIMAP”、UNIX MAGAZINE、株式会社アスキー、1997年5月1日、第12巻、第5号、p.66-71」の特にp.71の「削除マークのついたメッセージを永久的に削除する」の記載を参照)の技術である。 また、アイコンボタンのような所定の「項目」をデータとともに画面に表示し、該項目を選択することで、選択された複数のデータに対する所定の処理の要求を実行することは常とう手段(引用発明2のダウンロードボタンを参照)である。そして、このようなアイコンボタンのような所定の項目が、複数準備されること、すなわち、データともに複数の項目が同一画面上に表示されることは一般的なことである。 したがって、引用発明1において、一覧リストと、当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける取得項目と、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示する表示手段を備え、前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記取得項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求し、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求する制御手段を備えるように構成することは当業者が適宜なし得るものである。 なお、複数のメールを選択し、受信や削除などの機能を同一画面に表示されたアイコンボタンにより選択して、一括して処理することは本願原出願日前に周知(刊行物「伊勢雅英、米田聡、”最適メールソフトを選ぶ”、”インターネットメールの仕組み 徹底検証!メールソフトの実力を見る”、DOS/V magazine、ソフトバンク株式会社、1997年9月1日、第6巻、第17号、p.212-230」において、特にp.228の「Becky!では、メールサーバ上におけるメールの取捨選択が、リモートメールボックスによって可能だ。」、「電信八号では,(一般的な設定では)メールの受信時にメールの取捨選択を行う。」、「電信八号とBecky!が受信メールの選択機能を持っていた。不必要なメールは受信拒否だけでなくサーバから削除もできる」の記載や、図を参照。)である。該周知技術は、前記相違点の判断に関する2つの常とう手段及び周知技術をすべて含むものであるから、引用発明1に該周知技術を適用して、「一覧リストと、当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける取得項目と、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目とを含む入力処理項目を同一画面上に表示する表示手段を備え、前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記取得項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求し、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求する制御手段を備える」ように構成することで、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願補正発明が奏する効果は当業者が引用発明1及び周知技術から予想できる範囲内のものである。 (2-5)むすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 以上のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年5月31日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ネットワークを通じてサーバ装置と接続され、前記サーバ装置により受信されて、蓄積されている自分宛の電子メールの受信データを取得するようにする情報通信端末であって、 前記サーバ装置から自分宛の受信データの一覧リストを受信する受信手段と、 前記受信手段により受信された一覧リストと、当該一覧リストに含まれる受信データを取得する処理を実行するための入力を受け付ける入力処理項目を表示する表示手段と、 前記表示手段に表示されている一覧リストから所望の受信データを複数選択する選択手段と、 前記選択手段によって複数の受信データが選択されているときに前記入力処理項目が選択された場合、前記選択手段が選択している複数の受信データを一括して送信するよう前記サーバ装置に要求する制御手段と、 を備えたことを特徴とする情報通信端末。 【請求項2】 請求項1に記載の情報通信端末であって、 前記表示手段は、前記サーバ装置から対応する受信データを削除する削除項目を前記入 力処理項目としてさらに表示し、 前記制御手段は、前記削除項目が入力された場合、前記選択手段によって選択された受 信データを一括して削除するよう前記サーバ装置に要求することを特徴とする情報通信端末。」 2.引用例 原査定の拒絶理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 2.(2-2)」に記載したとおりである。 3.対比、判断 本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から補正による限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-07-27 |
結審通知日 | 2011-08-02 |
審決日 | 2011-08-15 |
出願番号 | 特願2007-164933(P2007-164933) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 佐藤 匡 |
発明の名称 | 情報通信端末およびサーバ装置 |
代理人 | 稲本 義雄 |