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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1245037 |
審判番号 | 不服2010-14606 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-01 |
確定日 | 2011-10-12 |
事件の表示 | 特願2005- 51370「データ処理装置及び構成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-236106〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成17年2月25日の出願であって、平成20年2月21日付けで手続補正がなされ、平成21年10月8日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年12月11日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成22年3月29日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し同年7月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成22年7月1日付けの手続補正についての却下の決定 [結論] 平成22年7月1日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 平成22年7月1日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成21年12月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正前の請求項」という。)1?6を、平成22年7月1日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正後の請求項」という。)1?4に補正したものである。補正前の請求項1と補正後の請求項1は、以下のとおりである。 [補正前の請求項1] 「【請求項1】 複数のデータ処理手段と、 前記複数のデータ処理手段に実行させるデータ処理の内容と前記複数のデータ処理手段間の接続経路とを構成する構成手段とを有し、 前記構成手段は、 前記複数のデータ処理手段のうちの第1のデータ処理手段が処理したデータを前記複数のデータ処理手段のうちの第2のデータ処理手段が処理するように前記接続経路を構成するとともに、前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれが第1の処理を実施するように前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれのデータ処理の内容を構成し、 前記第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力されるタイミングで、前記第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更し、 前記第1のデータ処理手段により第2の処理が実施されたデータに対して前記第2のデータ処理手段により第2の処理が実施されるタイミングで、前記第2のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第2のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更することを特徴とするデータ処理装置。」 [補正後の請求項1] 「【請求項1】 複数のデータ処理手段と、 前記複数のデータ処理手段に実行させるデータ処理の内容と前記複数のデータ処理手段間の接続経路とを構成する構成手段とを有し、 前記構成手段は、 前記複数のデータ処理手段のうちの第1のデータ処理手段が処理したデータを前記複数のデータ処理手段のうちの第2のデータ処理手段が処理するように前記接続経路を構成するとともに、前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれが第1の処理を実施するように前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれのデータ処理の内容を構成し、 前記第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力されるタイミングで、前記第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更し、 前記第1のデータ処理手段により第2の処理が実施されたデータに対して前記第2のデータ処理手段により第2の処理が実施されるタイミングで、前記第2のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第2のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更するように、前記複数のデータ処理手段へ供給する構成データを所定のデータ切り替えタイミングで切り替える切り替え手段を有することを特徴とするデータ処理装置。」 本件補正は、補正後の請求項1と補正前の請求項1と比較すると、「前記複数のデータ処理手段へ供給する構成データを所定のデータ切り替えタイミングで切り替える切り替え手段」をさらに備えることを付加するものであるが、補正前の請求項1に記載された発明には「切り替え手段」に関する手段を有することの特定はなされていないので、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。 したがって、本件補正は特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、補正後の請求項1と補正前の請求項1と比較すると、請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号、第3号、第4号の請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れを目的とするものでもないことは明らかである。 よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 以上のように、本件補正は却下すべきものではあるが、仮に、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとした場合について、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-54646号公報(平成16年2月19日発行。以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 A.「【0098】 以上の演算は、図17に示すようなパイプライン処理で実行される。 なお、図17(A)はクロックを示し、図17(B)のRRはレジスタユニット(RGU)13124からデータA?Dの読み出し処理を示し、図17(C),(E),(G)のICは接続網CCN経由でのデータ転送処理を示し、図17(D)のAdd1/0は演算器OP1、OP2による演算処理を示し、図17(F)のmulは演算器OP3よる演算処理を示し、図17(H)のWBはレジスタユニット(RGU)13124への演算結果の書き込み処理を示している。 【0099】 本実施形態に係るピクセルエンジン(PXE)13122は、上述したようにデータパスを動的に再構築可能である。 これにより、ピクセルエンジン(PXE)13122は、演算回路を使用して、演算をパイプライン状に実行している際に、演算器間の電気的接続を変更することが可能である。 また、前記のように動的に演算器間の構成を変更することで、遅滞なく異なる演算が行える。 【0100】 また、ピクセルエンジン(PXE)13122は、個々の演算器に対して付加されている制御回路が、次に行うべき演算に関する情報を保持し、一連の演算の終了を検出した際に、自動的に次の演算に向けた制御に切り替える機能を有する。 そして、ピクセルエンジン(PXE)13122では、接続網CCNの個々の接続点に対し付与された制御回路が、次にとるべき接続構成に関する情報を保持し、一連のデータ転送の終了を検出した際に、個々の制御回路が自動的に接続点を制御を切り替える機能を有する。 【0101】 次に、動的再構築の実現方法について説明する。 【0102】 動的再構築の実現方法1 まず、図18および図19に関連付けて動的再構築の第1の実現方法について説明する。 この場合、図18に示すように、各演算器OP、接続網制御回路CCNに対する制御回路301は、現在の制御情報(現制御情報)CIFMと、次に行うべき制御に関する情報(次制御情報)NIFMの2つを保持する。 そして、演算データOPDTは、それが演算に使用する最終データであることが識別可能な制御信号CTLと同期して送られてくる。 制御回路301は、最終データであることが識別された場合、現在実行中の演算の完了と同時に、現制御情報CIFMを次制御情報NIFMで書き換える。 これにより、演算回路の制御を変更することが可能であり、異なる演算を実行することが可能となる。 【0103】 接続回路網CCNに関しても同様であり、図19に示すように、制御信号CTLにより最終データであることが識別された場合、制御回路301は、現在実行中のデータ転送の完了と同時に、現制御情報CIFMを次制御情報NIFMで書き換える。 これにより、接続回路網の制御を変更することが可能であり、異なる電気的接続を実現することが可能となる。 【0104】 次に、図20?図22に関連付けて動的再構築の第2の実現方法について説明する。 【0105】 動的再構築の実現方法2 前述したようなな、演算回路と接続回路網からなる演算装置を使用して、異なる演算を連続して実行する場合、図20に示すように、演算1と演算2が時間的に重複する区間(演算1と演算2の重複区間)が生じる。 この間、演算回路と接続回路網上には異なる演算に対するデータが同時に存在する。 この区間では、演算1の最終データが、演算回路上に存在する一方で、一部の回路は演算2に対応する制御が行われている。 そのため、演算1の最終データが、演算2を行っている演算器または、演算2に対応する制御となっている接続網制御回路に到達した場合、それらが演算の終了と認識して演算2に対する制御から演算3に対する制御に切り替わり、以後の残りの演算2に対する演算が正常に行われない可能性がある。 これに対処した動的再構築の実現例を以後述べる。 【0106】 この場合、図21に示すように、各演算器OP、接続網制御回路CCNに対する制御回路301は、現在の制御情報(現制御情報)CIFMと現在実行中の演算を識別するための情報(現識別情報)CDSCと、次に行うべき制御に関する情報(次制御情報)NIFMと、次に実行する演算を識別するための情報(次識別情報)NDSCを保持する。 演算データOPDTは、それが、演算に使用する最終データであることが識別可能な情報、およびそのデータが演算1に対するものか、演算2に対するものかを識別可能な情報を示す制御信号CTLと同期して送られてくる。 制御回路301は、送られてきたデータが、最終データであり、かつ現識別情報CDSCで示される演算に対するものであることが識別された場合、現在実行中の演算の完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報CDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換える。 これにより、継続して入力されてくるストリームデータに対し、異なる演算に適切なタイミングで切り替えることが可能となる。 【0107】 接続回路網CCNに関しても同様であり、図22に示すように、現在実行中のデータ転送の完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報IDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換える。 これにより、継続して入力されてくるデータに対し、異なる電気的接続に適切なタイミングで切り替えることが可能となる。」(段落【0098】-【0107】) B.図面【図17】の記載 【図17】の記載及び上記摘記A.段落【0098】の記載から、(D)Add1/0の演算器OP1、OP2による演算が(F)mulの演算器OP3による演算に、(E)ICの接続網CCN経由でのデータ転送で連動されている状態を読み取ることができる。 C.図面【図20】の記載 【図20】及び上記摘記B.から、各演算器OPによる演算内容がICの接続網CCN経由でのデータ転送で連動されるように構成されている状態を読み取ることができる。 演算1の最終演算の次の演算のために、第1の演算器(【図17】におけるOP1、OP2)における処理が、演算1の処理内容である演算処理から、演算2の処理内容である演算処理に切り替わっていることを読み取ることができる。 また、演算1の最終演算の次の演算のために、第2の演算器(【図17】におけるOP3)における処理が、演算1の処理内容であるAddの演算処理から、演算2の処理内容であるmulの演算処理に切り替わっていることを読み取ることができる。 さらに、演算1と演算2の重複区間以外の区間では、各演算器における処理が演算1のみの処理、もしくは、演算2のみの処理となる状態となっていることを読み取ることができる。 以上の記載によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「ピクセルエンジン(PXE)13122は、データパスを動的に再構築可能であり、 ピクセルエンジン(PXE)13122は、演算回路を使用して、演算をパイプライン状に実行している際に、演算器間の電気的接続を変更することが可能であり、 ピクセルエンジン(PXE)13122は、個々の演算器に対して付加されている制御回路が、次に行うべき演算に関する情報を保持し、一連の演算の終了を検出した際に、自動的に次の演算に向けた制御に切り替える機能を有し、 ピクセルエンジン(PXE)13122では、接続網CCNの個々の接続点に対し付与された制御回路が、次にとるべき接続構成に関する情報を保持し、一連のデータ転送の終了を検出した際に、個々の制御回路が自動的に接続点を制御を切り替える機能を有し、 演算回路と接続回路網からなる演算装置を使用して、異なる演算を連続して実行する場合、演算1と演算2が時間的に重複する区間(演算1と演算2の重複区間)が生じ、この間、演算回路と接続回路網上には異なる演算に対するデータが同時に存在し、この区間では、演算1の最終データが、演算回路上に存在する一方で、一部の回路は演算2に対応する制御が行われており、 演算1と演算2の重複区間以外の区間では、各演算器における処理が演算1のみの処理、もしくは、演算2のみの処理となる状態となっており、 各演算器OP、接続網制御回路CCNに対する制御回路301は、現在の制御情報(現制御情報)CIFMと現在実行中の演算を識別するための情報(現識別情報)CDSCと、次に行うべき制御に関する情報(次制御情報)NIFMと、次に実行する演算を識別するための情報(次識別情報)NDSCを保持し、 演算データOPDTは、それが、演算に使用する最終データであることが識別可能な情報、およびそのデータが演算1に対するものか、演算2に対するものかを識別可能な情報を示す制御信号CTLと同期して送られてきて、 制御回路301は、送られてきたデータが、最終データであり、かつ現識別情報CDSCで示される演算に対するものであることが識別された場合、現在実行中の演算の完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報CDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換え、 継続して入力されてくるストリームデータに対し、異なる演算に適切なタイミングで切り替えることが可能であり、 接続回路網CCNに関しても同様であり、現在実行中のデータ転完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報IDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換え、 演算器OP1、OP2による演算が演算器OP3による演算に、ICの接続網CCN経由でのデータ転送で連動されるように構成されており、 また、演算1の最終演算の次の演算のために、第1の演算器(OP1、OP2)における処理が、演算1の処理内容である演算処理から、演算2の処理内容である演算処理に切り替わり、 演算1の最終演算の次の演算のために、第2の演算器(OP3)における処理が、演算1の処理内容であるAddの演算処理から、演算2の処理内容であるmulの演算処理に切り替わり、 継続して入力されてくるデータに対し、異なる電気的接続に適切なタイミングで切り替えることが可能となるピクセルエンジン(PXE)13122。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 引用発明の「各演算器OP」は、複数個の演算器であり、演算は、データ処理の一つであるので、本願補正発明の「複数のデータ処理手段」に相当する。 引用発明のピクセルエンジン(PXE)13122は、「個々の演算器に対して付加されている制御回路が、次に行うべき演算に関する情報を保持し、一連の演算の終了を検出した際に、自動的に次の演算に向けた制御に切り替える機能を有し」、また、「接続網CCNの個々の接続点に対し付与された制御回路が、次にとるべき接続構成に関する情報を保持し、一連のデータ転送の終了を検出した際に、個々の制御回路が自動的に接続点を制御を切り替える機能を有」するものであるので、引用発明は、本願補正発明の「前記複数のデータ処理手段に実行させるデータ処理の内容と前記複数のデータ処理手段間の接続経路とを構成する構成手段」に相当する構成を有していると言える。 引用発明は、演算器OP1、OP2による演算が演算器OP3による演算に、ICの接続網CCN経由でのデータ転送で連動されるように構成されているので、引用発明は、演算器OP1、OP2で演算した内容を演算器OP3で演算するように構成されていると言える。そして、引用発明の「第1の演算器(OP1、OP2)」と「第2の演算器(OP3)」は、本願補正発明の「第1のデータ処理手段」と「第2のデータ処理手段」に相当するものであるので、引用発明は、本願補正発明の「前記複数のデータ処理手段のうちの第1のデータ処理手段が処理したデータを前記複数のデータ処理手段のうちの第2のデータ処理手段が処理するように前記接続経路を構成する」に相当する機能を有していると言える。 引用発明の「演算1」と「演算2」は、本願補正発明の「第1の処理」と「第2の処理」に相当する。そして、引用発明は、演算1と演算2の重複区間以外の区間では、各演算器における処理が演算1のみの処理となっている場合があるので、引用発明は、本願補正発明の「第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれが第1の処理を実施するように前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれのデータ処理の内容を構成」することに相当する動作を行っていると言える。 引用発明は、異なる演算を連続して実行する場合、演算1と演算2が時間的に重複する区間(演算1と演算2の重複区間)が生じ、この間、演算回路と接続回路網上には異なる演算に対するデータが同時に存在し、この区間では、演算1の最終データが、演算回路上に存在する一方で、一部の回路は演算2に対応する制御が行われており、また、演算1の最終演算の次の演算のために、第1の演算器(OP1、OP2)における処理が、演算1の処理内容である演算処理から、演算2の処理内容である演算処理に切り替わりる処理がなされているので、引用発明は、本願補正発明の「前記第1のデータ処理手段」で「第2の処理を実施すべき」「タイミングで、前記第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更」することに相当する処理が行われていると言える。 また、引用発明は、演算1の最終演算の次の演算のために、第2の演算器(OP3)における処理が、演算1の処理内容であるAddの演算処理から、演算2の処理内容であるmulの演算処理に切り替わるものであるので、引用発明は、本願補正発明の「前記第1のデータ処理手段により第2の処理が実施されたデータに対して前記第2のデータ処理手段により第2の処理が実施されるタイミングで、前記第2のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第2のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更する」ことに相当する処理が行われていると言える。 引用発明は、個々の演算器に対して付加されている制御回路が、次に行うべき演算に関する情報を保持し、一連の演算の終了を検出した際に、自動的に次の演算に向けた制御に切り替える機能と、接続網CCNの個々の接続点に対し付与された制御回路が、次にとるべき接続構成に関する情報を保持し、一連のデータ転送の終了を検出した際に、個々の制御回路が自動的に接続点を制御を切り替える機能を有しており、かつ、各演算器OP、接続網制御回路CCNに対する制御回路301は、現在の制御情報(現制御情報)CIFMと現在実行中の演算を識別するための情報(現識別情報)CDSCと、次に行うべき制御に関する情報(次制御情報)NIFMと、次に実行する演算を識別するための情報(次識別情報)NDSCを保持し、演算データOPDTは、それが、演算に使用する最終データであることが識別可能な情報、およびそのデータが演算1に対するものか、演算2に対するものかを識別可能な情報を示す制御信号CTLと同期して送られてきて、制御回路301は、送られてきたデータが、最終データであり、かつ現識別情報CDSCで示される演算に対するものであることが識別された場合、現在実行中の演算の完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報CDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換え、継続して入力されてくるストリームデータに対し、異なる演算に適切なタイミングで切り替えることが可能であり、接続回路網CCNに関しても同様であり、現在実行中のデータ転完了と同時に、現制御情報CIFM、現識別情報IDSCをそれぞれ次制御情報NIFM、次識別情報NDSCで書き換え、継続して入力されてくるデータに対し、異なる電気的接続に適切なタイミングで切り替えているので、引用発明は、本願補正発明の「複数のデータ処理手段へ供給する構成データを所定のデータ切り替えタイミングで切り替える切り替え手段」に相当する手段を有していると言える。 そして、引用発明の「ピクセルエンジン(PXE)13122」と本願発明の「データ処理装置」は、データの処理をする装置てある点で共通する。 すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 一致点 「複数のデータ処理手段と、 前記複数のデータ処理手段に実行させるデータ処理の内容と前記複数のデータ処理手段間の接続経路とを構成する構成手段とを有し、 前記構成手段は、 前記複数のデータ処理手段のうちの第1のデータ処理手段が処理したデータを前記複数のデータ処理手段のうちの第2のデータ処理手段が処理するように前記接続経路を構成するとともに、前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれが第1の処理を実施するように前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれのデータ処理の内容を構成し、 前記第1のデータ処理手段で第2の処理を実施すべきタイミングで、前記第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更し、 前記第1のデータ処理手段により第2の処理が実施されたデータに対して前記第2のデータ処理手段により第2の処理が実施されるタイミングで、前記第2のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第2のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更するように、前記複数のデータ処理手段へ供給する構成データを所定のデータ切り替えタイミングで切り替える切り替え手段を有することを特徴とするデータ処理装置。」 一方、両者は次の点で相違する。 相違点 本願補正発明は、第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力されるタイミングで、第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を第1の処理から第2の処理に変更するものであるのに対し、引用発明は、第1のデータ処理手段で第2の処理を実施すべきタイミングで、第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を第1の処理から第2の処理に変更するものではあるが、第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力されるタイミングで、第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を第1の処理から第2の処理に変更することについての特定がなされていない点。 (4)当審の判断 上記相違点について検討する。 引用発明は、演算1の最終演算の次の演算のために、第1の演算器(OP1、OP2)における処理が、演算1の処理内容である演算処理から、演算2の処理内容である演算処理に切り替わり、演算1の最終演算の次の演算のために、第2の演算器(OP3)における処理が、演算1の処理内容であるAddの演算処理から、演算2の処理内容であるmulの演算処理に切り替わるものであり、また、個々の演算器に対して付加されている制御回路が、次に行うべき演算に関する情報を保持し、一連の演算の終了を検出した際に、自動的に次の演算に向けた制御に切り替える機能と、接続網CCNの個々の接続点に対し付与された制御回路が、次にとるべき接続構成に関する情報を保持し、一連のデータ転送の終了を検出した際に、個々の制御回路が自動的に接続点を制御を切り替える機能を有している。 上記のように、引用発明は一連の演算の終了を検出した際において、次の演算に向けた制御に切り替えるものであるが、演算処理を切り換えるタイミングとして、最終データに対する演算完了後のどのようなタイミングを用いるかは、当業者が設計時に適宜選択して設定し得る事項であるので、引用発明において、演算処理を切り換えるタイミングとして、一連の演算の終了を検出することに代えて、第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力される時をそのタイミングとして採用して、本願補正発明のように構成することに格別の困難性は認められない。 また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、引用発明から当業者が予測できるものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成22年7月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年12月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 複数のデータ処理手段と、 前記複数のデータ処理手段に実行させるデータ処理の内容と前記複数のデータ処理手段間の接続経路とを構成する構成手段とを有し、 前記構成手段は、 前記複数のデータ処理手段のうちの第1のデータ処理手段が処理したデータを前記複数のデータ処理手段のうちの第2のデータ処理手段が処理するように前記接続経路を構成するとともに、前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれが第1の処理を実施するように前記第1及び前記第2のデータ処理手段のそれぞれのデータ処理の内容を構成し、 前記第1のデータ処理手段に第2の処理を実施すべきデータが入力されるタイミングで、前記第1のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第1のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更し、 前記第1のデータ処理手段により第2の処理が実施されたデータに対して前記第2のデータ処理手段により第2の処理が実施されるタイミングで、前記第2のデータ処理手段が第2の処理を実施するように前記第2のデータ処理手段のデータ処理の内容を前記第1の処理から前記第2の処理に変更することを特徴とするデータ処理装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。 (2)当審の判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「前記複数のデータ処理手段へ供給する構成データを所定のデータ切り替えタイミングで切り替える切り替え手段」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-17 |
結審通知日 | 2011-08-19 |
審決日 | 2011-08-30 |
出願番号 | 特願2005-51370(P2005-51370) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 緑川 隆 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
安久 司郎 安島 智也 |
発明の名称 | データ処理装置及び構成方法 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康徳 |