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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1245196
審判番号 不服2010-20880  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-16 
確定日 2011-10-13 
事件の表示 特願2004-106535「床材及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月20日出願公開、特開2005-290812〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年3月31日の出願であって,平成22年6月9日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年9月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同時に手続補正がなされたものである。
その後,平成23年2月23日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年4月20日付けで回答書が提出された。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成22年9月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容・目的
平成22年9月16日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲について,補正前(平成22年2月10日付けの手続補正書参照。)の請求項1を,以下のように補正することを含むものである。
「上層から順に化粧層、透明性樹脂層及び着色層が積層された床材用化粧シートであって、当該化粧層は少なくとも着色基材層、絵柄層、接着剤層、合成樹脂層及び表面保護層が順に積層されたものであり、該透明性樹脂層は化粧層の該着色基材層側に積層されてなる床材用化粧シートの当該着色層側に木質材料が積層されてなる床材であって、
当該木質材料に達しないように、少なくとも化粧層を貫通して透明性樹脂層に達する深さの溝部が形成されている、ことを特徴とする床材。」

上記補正事項は,請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「基材層」を「着色基材層」と限定し,化粧層側から透明性樹脂層に向かって形成されている「溝部」について,「少なくとも化粧層を貫通して透明性樹脂層に達する深さである」ことを限定したものと認められるから,本件補正は,少なくとも,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。
そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。

2.独立特許要件違反(特許法第29条第2項違反)
2-1.引用刊行物
(1)刊行物1
本願出願前に頒布された刊行物である,特開2003-286768号公報(以下,「刊行物1」という。)には,以下の記載がある。(下線は当審にて付与。)
(1a)「【請求項1】 基材に原紙と印刷層と保護層から成る化粧シートを原紙側を基材と貼着し、化粧シート側から切削による溝を形成する化粧材において、溝の深さが化粧シートの原紙に達するまでの深さであり、化粧シートの原紙が着色シートであることを特徴とする化粧材。」
(1b)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、住宅などの壁面や床面に用いられる溝加工化粧材に関するものである。」
(1c)「【0013】本発明の化粧材の基材4としては、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、ケイ酸カルシウム板、パルプセメント板などの周知の建築材料が使用できる。中でも経済性、切削性、化粧シートの接着性などから合板やMDFなどの木質系基材の使用が好ましい。
【0014】次に、本発明の化粧シートの原紙3としては紙、樹脂シート、樹脂強化紙、などの周知のシート材料が使用できる。中でも燃焼時に有害なガスを発生しない、オレフィン系樹脂シートの使用が好ましい。
【0015】化粧シートの原紙3には予め溝着色と同様の色に着色するため、染料、顔料が添加されている。原紙3には溝着色と同様の色を維持するため、また、溝着色塗料によって変化しないために、周知の安定剤、充填剤、撥水材を添加することが好ましい。また、原紙3の少なくとも一方の面にコロナ放電処理、オゾン処理などの接着性を高める加工を施しておくことも好ましい。
【0016】着色原紙3には意匠性を高めるために木目印刷や絵柄などの印刷2が施されている。隠蔽性を高めるために、必要に応じて木目印刷などの意匠印刷の下にベタ印刷を施したり、更に意匠性を高めるために凹凸加工を施しても良い。」
(1d)「【0017】印刷層2の上には耐汚染性や耐摩耗性を高めるために保護層1が設けられる。保護層1は透明又は着色透明の周知の塗料を上塗りするか、樹脂シートを貼り合わせるか、又はその両方が設けられる。保護層1の上に更に印刷層や凹凸加工や保護層を設けても良く、その構成は本発明の化粧材の用途によって適宜選択される。こうして保護層1と印刷層2と原紙層3によって化粧シートが構成される。」
(1e)「【0018】本発明の化粧材の製造工程としては、初めにラミネーターやプレスなどを用いて、上記の基材4に化粧シートを接着剤などで貼着する。次ぎに意匠性を高めるために、カッターやルーターなどで溝6を切削加工する。溝の形状はV字形、U字形、丸形などが意匠を考慮して選択される。【0019】溝の深さが200μ以下の浅めの溝を設定する場合は、図1のように化粧シート原紙3の厚みを200μ以上にすると、溝6を切削加工しただけで、原紙断面7は溝塗料と同様の色に着色されているため、溝塗装はせずに加工を終了でき、安価で意匠性の高い溝加工化粧板が得られる。」
(1f)「【0022】濃灰色の無機系顔料と紫外線防止材、酸化防止剤を混入した200μ厚さのポリオレフィン系樹脂シート原紙に表裏両面にコロナ放電処理を施し、表側にウレタン系樹脂インクを用いて木目模様を印刷し、保護層としてエチレン系樹脂60μを積層し、さらにウレタン系樹脂を15μ被覆し、機械エンボス加工して化粧シートを得た。次ぎに12mmのMDF基材に上記化粧シートをエチレン酢酸ビニル樹脂系接着剤を介して接着し、表面がエンボス加工された化粧板を得た。意匠性を高めるために深さ180μの溝を化粧シート側から切削加工により形成し、意匠性の高い溝加工化粧板を得た。」
(1g)【図1】には,切削加工された溝6が,保護層1を貫通して原紙3には達しているが,原紙3を貫通することなく,基材4にまでは達していないことが記載されている。

上記記載事項(1a)?(1g)及び図面の記載からみて,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「印刷2が施された着色原紙3,透明な保護層1,さらに印刷層や凹凸加工や保護層を積層して化粧シートを構成し,木質系の基材に該化粧シートを貼着してなる化粧材であって,
化粧シート側から,基材に達せず,着色原紙3に達する深さの溝が形成されている化粧材。」
(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
本願出願前に頒布された刊行物である,特開平8-230113号公報(以下,「刊行物2」という。)には,以下の記載がある。
(2a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、印刷及びエンボスの施された化粧シートの製造方法に関し、木質系のボード類、無機質系のボード類、金属系のボード類などの表面に接着剤を用いて貼り合わせて化粧板などとして用いるための化粧シート及びその製造方法に関する。」
(2b)「【0008】本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、塩化ビニル樹脂以外の樹脂材料を用いて、塩化ビニル樹脂シートを上回る特性をもった化粧シート及びその製造方法を提供することであり、特に化粧シートの後加工性に適した適度な柔軟性と優れたエンボス再現性、そして積層接着(密着)強度のある優れた耐久性と意匠性を得ることにある。」
(2c)「【0031】基材シート1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテン、ポリブテン、エチレンコポリマーなどポリオレフィン系の合成樹脂を主体とする樹脂が使用され、該基材シート1として隠蔽性を付与したシートを用いる場合は、これらの樹脂に無機顔料、有機顔料など隠蔽性着色剤を添加するか、若しくは、印刷方式、コーティング方式により隠蔽性の着色インキ、塗料などを用いて着色したシートを用いるものである。
【0032】基材シート1の表面に任意の印刷模様2が施され、前記印刷模様2は、溶剤タイプのグラビア印刷インキを用いてグラビア印刷方式により前記基材シート1表面に施したものである。
【0033】該基材シート1表面には、前記印刷模様2上より、接着性樹脂層3と、熱可塑性樹脂層4とが、溶融樹脂を共押出しすることによりこの順に積層され、該熱可塑性樹脂層4表面には、エンボス模様5が施されている。なお前記接着性樹脂層3と熱可塑性樹脂層4は、透明乃至不透明、好ましくは透明乃至半透明である。」
(2d)「【0041】また、上記第1の発明の化粧シートには、前記エンボス模様5上より熱可塑性樹脂層4表面に、化粧シート表面の保護層として、透明乃至半透明なトップコート層7が積層されていてもよい。」

上記記載事項(2a)?(2d)及び図面の記載からみて,刊行物2には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「着色した基材シート1,印刷模様2,接着性樹脂層3,熱可塑性樹脂層4,及び,トップコート層7が順に積層され,木質系のボードなどに貼り合わせて化粧板などとして用いるための化粧シート。」
(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

2-2.補正発明と刊行物1記載の発明との対比
刊行物1記載の発明の「化粧材」は,床面に用いられることが想定されているから(記載事項(1b)参照),補正発明1の「床材」に相当しており,刊行物1記載の発明の「印刷2が施された着色原紙3」は,補正発明の「着色層」に相当し,刊行物1記載の発明の「基材4に達せず,着色原紙3に達する深さの溝」は,補正発明の「木質材料に達しないように、少なくとも化粧層を貫通して透明性樹脂層に達する深さの溝部」に相当している。
そして,刊行物1記載の発明の「透明な保護層1」は,耐汚染性や耐摩耗性を高めるためのものであるから(記載事項(1d)参照),補正発明の「透明性樹脂層」に相当している。
さらに,刊行物1記載の発明の「印刷層や凹凸加工や保護層」は,印刷や凹凸によって意匠性を高めたり保護層によって化粧材を保護したりするものであり,その実施例として「ウレタン系樹脂を15μ被覆し、機械エンボス加工して」なるものが記載されており(記載事項(1f)参照),それに対して,補正発明の「化粧層」は,着色基材層,絵柄層,接着剤層,合成樹脂層及び表面保護層からなり,着色基材層や絵柄層によって意匠性を高めたり,表面保護層によって床材をさらに保護したりするものであるし,本願の実施例を記載した段落【0035】には,化粧層の実施例として,ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂からなる表面保護層にエンボス加工をして凹凸模様を形成したものが記載されていることなどから考えると,刊行物1記載の発明の「印刷層や凹凸加工や保護層」は補正発明の「化粧層」に対応していると認められる。

したがって,両者は,以下の点で一致している。
「上層から順に化粧層,透明性樹脂層及び着色層が積層された床材用化粧シートであって,床材用化粧シートの当該着色層側に木質材料が積層されてなる床材であって,
当該木質材料に達しないように、少なくとも化粧層を貫通して透明性樹脂層に達する深さの溝部が形成されている,床材。」

そして,以下の点で相違している。
(相違点1)
補正発明は,化粧層が,少なくとも着色基材層,絵柄層,接着剤層,合成樹脂層及び表面保護層が順に積層されたものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,化粧層が,このような層構成を有するものではない点。

(相違点2)
相違点1に関連して,補正発明は,透明性樹脂層が化粧層の着色基材層側に積層されているのに対し,刊行物1記載の発明は,化粧層に着色基材層を有するものではないために,透明性樹脂層が化粧層の着色基材層側に積層されているものではない点。

2-3.判断
(相違点1について)
刊行物2記載の発明の「着色した基材シート1」,「印刷模様2」,「接着性樹脂層3」,「熱可塑性樹脂層4」及び「トップコート層7」が,相違点1に係る補正発明の化粧層の「着色基材層」,「絵柄層」,「接着剤層」,「合成樹脂層」及び「表面保護層」にそれぞれ相当しており,補正発明において用いられている化粧層の構成は公知である。
そして,例えば特開2003-13587号公報(段落【0042】?【0043】参照。)に,基体シート1,絵柄印刷層2,透明樹脂層3及び表面保護層4を積層してなり,床材に貼付して用いられる床用シートにおいて,表面保護層4を複数層から構成することが記載されていること,及び,刊行物2記載の発明の化粧シートが耐久性と意匠性を得るためのシートであること(記載事項(2b)参照。)から考えて,刊行物1記載の発明の化粧層として,刊行物2記載の発明の複数層からなる化粧シートを採用することは,それによって当業者が予測できない格別の作用効果を奏するものではなく,当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
したがって,上記相違点1は,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明から当業者が容易になし得たことである。

(相違点2について)
上記のように,刊行物1記載の発明の化粧層を刊行物2記載の発明の化粧層に置き換えて,相違点1の補正発明に係る構成することは,当業者が適宜なし得たことであり,その際に,透明性樹脂層を,化粧層の最下層である「着色基材層」側に積層すること,すなわち相違点2に係る補正発明の構成は,当業者が必然的に採用する構成にすぎない。

(請求人の主張に対して)
請求人は,刊行物1記載の発明において,一般的な化粧層に該当するのは印刷層2及び保護層1からなる層であって,刊行物1に,保護層1の上に印刷層や凹凸加工や保護層を設けても良い旨の記載はあるものの,この印刷層2と保護層1からなる化粧層の上にさらに刊行物2記載の発明の化粧シートを形成することは当業者が決して考えない旨,及び,補正発明の床材を上から眺めた場合,化粧層中の着色基材層及び絵柄層を視認するとともに,透明性樹脂層を介して着色層を視認することができ,あたかも溝部が着色されているかのような視覚的効果が奏され,補正発明は,意匠的に優れたものとなる旨主張している。

上記主張について検討する。
刊行物1記載の発明の「印刷2が施された着色原紙3」及び「透明な保護層1」からなる層が一般的な化粧層に該当するか否かにかかわらず,刊行物1記載の発明が,「印刷2が施された着色原紙3」及び「透明な保護層1」からなる層の上にさらに「印刷層や凹凸加工や保護層」を積層する構成を備えたもの,つまり,印刷2や保護層1の上にさらに同様の作用をもたらす「印刷層や保護層」を積層したものであることは明らかである。
そして,刊行物2記載の発明や本願発明に採用されている化粧層(シート)は,着色基材層,絵柄層,接着剤層,合成樹脂層及び表面保護層が順に積層されたものであって,刊行物1記載の発明の「印刷2が施された着色原紙3」や「透明な保護層1」と同様の作用を有する層を備えてはいるものであるが,上記のように,刊行物1記載の発明は,「印刷2が施された着色原紙3」や「透明な保護層1」の上にさらに同様の作用をもたらす「印刷層や保護層」を積層する構成を採用しているのであるから,刊行物1記載の発明の「印刷層や凹凸加工や保護層」として,刊行物2記載の発明の少なくとも5層からなる化粧シートを選択して採用することを妨げる要因があるとは認められず,請求人の「当業者が決して考えない」との主張は根拠に乏しいものである。
また,補正発明の「着色層」及び「透明性樹脂層」の上にさらに着色基材層,絵柄層,接着剤層,合成樹脂層及び表面保護層を備えた化粧層を積層すれば,床材を上から眺めた場合,化粧層中の着色基材層や絵柄層を視認できて,意匠的に着色層や絵柄層を重ねたなりの作用が生じること,および,表面保護層を重ねたことにより強度的にそれなりに向上することは,当然のことであって,補正発明が,その化粧層を,少なくとも着色基材層,絵柄層,接着剤層,合成樹脂層及び表面保護層が順に積層されたものに特定したことによって予測できない格別な作用・効果を奏するものであるとは認められない。

したがって,刊行物1記載の発明の「印刷層や凹凸加工や保護層」として,刊行物2記載の発明の化粧シートを採用することは,当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項であって,上記請求人の主張は採用できない。


3.補正の却下の決定のまとめ
以上のことから,補正発明は,刊行物1,2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明
1.本願発明
平成22年9月16日付けの手続補正は却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成22年2月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものと認める。
「着色層、透明性樹脂層並びに少なくとも基材層、絵柄層、接着剤層、合成樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧層からなる床材用化粧シートの当該着色層側に木質材料が積層されてなる床材であって、
当該木質材料に達しないように、化粧層側から透明性樹脂層に向かって溝部が形成されている、
ことを特徴とする床材。」
(以下,「本願発明」という。)

2.引用刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された,上記刊行物1には,「第2 2.2-1.(1)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。
(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された,上記刊行物2には,「第2 2.2-1.(2)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明は,補正発明の「基材層」についての限定事項,及び,「溝部」についての深さについての限定事項を省いたものである。
そうすると,本願発明を特定するために必要な事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が,前記「第2 2.2-3.」に記載したとおり,刊行物1,2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1,2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって,本願発明は刊行物1,2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

-付言-
請求人は,平成23年4月20日付けの回答書において,さらに「着色層」を「着色樹脂層」に限定する補正案を提示しているが,刊行物1の記載事項(1c)には,「着色層」(着色原紙3)を樹脂シートから構成することが記載されており,上記補正案によっても,本審決の結論を覆すには至らない。
 
審理終結日 2011-08-12 
結審通知日 2011-08-16 
審決日 2011-09-01 
出願番号 特願2004-106535(P2004-106535)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E04F)
P 1 8・ 121- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎瓦井 秀憲  
特許庁審判長 鈴野 幹夫
特許庁審判官 仁科 雅弘
宮崎 恭
発明の名称 床材及びその製造方法  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  

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