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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1245290
審判番号 不服2010-3313  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-16 
確定日 2011-10-20 
事件の表示 特願2000-217806「遊技情報提供装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月31日出願公開、特開2002- 32293〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年7月18日の出願であって、平成21年6月19日付けの拒絶理由通知に対し、同年8月20日付けで意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされ、同年9月8日付けの最後の拒絶理由通知に対し、同年10月28日付けで意見書が提出されたが、同年12月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年2月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。

2.平成22年2月16日付け手続補正についての補正却下の決定

[結論]
平成22年2月16日付け手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正
平成22年2月16日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成21年8月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正前の請求項」という。)1?3を、平成22年2月16日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正後の請求項」という。)1?3に補正し、平成21年8月20日付けの手続補正書の発明の詳細な説明の段落【0006】を、平成22年2月16日付けの手続補正書の発明の詳細な説明の段落【0006】に補正したものである。
補正後の請求項1は、以下のとおりである。

「【請求項1】
処理装置と、記憶装置と、携帯電話とを備え、
記憶装置には、会員毎の携帯電話の種類等を特定できる会員データベースと、提供する遊技情報と、が記憶されており、
前記データベースには、各会員に対応させて携帯電話のメールアドレスが登録されており、
処理装置は、
会員毎に設定された条件を満たすと、
遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類を、前記会員データベースに登録されているメールアドレスから特定し、所定の遊技情報を記憶装置から読み出し、該所定の遊技情報を、遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して当該会員の携帯電話に送信し、
会員の携帯電話は、
前記処理装置にて変換されたデータ形式の所定の遊技情報を受信すると、その受信した所定の遊技情報を記憶する、
遊技情報提供装置。」

(2)補正事項の検討
本件補正における請求項1に関する補正事項は、補正前の請求項1に記載した事項である「遊技情報を記憶し」について、「提供する遊技情報と、が記憶されており」とする補正、「データベース」について、「前記データベースには、各会員に対応させて携帯電話のメールアドレスが登録されており」とする補正、「処理装置は会員毎に設定された条件を満たすと、送信する会員の携帯電話の種類を前記会員データベースから特定し、所定の遊技情報を記憶装置から読み出し、該所定の遊技情報を前記送信する会員の携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して会員の携帯電話に送信し」について、「処理装置は、会員毎に設定された条件を満たすと、遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類を、前記会員データベースに登録されているメールアドレスから特定し、所定の遊技情報を記憶装置から読み出し、該所定の遊技情報を、遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して当該会員の携帯電話に送信し」とする補正をしたものである。
そこで、本件補正おける請求項1に関する補正事項が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているか否かについて検討する。

本願の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、上記の補正事項における「データベース」及び「メールアドレス」に関連して、図面とともに以下の事項が記載されている。

「 【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の遊技情報提供装置の一実施の形態の概略構成図である。本実施の形態では、パチンコ店等の遊技店の遊技情報、例えば遊技店の各遊技機の情報等を提供する遊技情報提供装置について説明する。
遊技店40には、複数台の遊技機(図示せず)やホールコンピュータ41等が設けられている。ホールコンピュータ41は、各遊技機の情報(例えば、出玉数、大当り回数等)、遊技者の情報等を管理している。ホールコンピュータ41には、通信装置42、インターネット等の情報伝達手段50との中継点となるルータ43等が店舗内LAN等の通信回線44を介して接続されている。
また、情報伝達手段50には、端末装置30?32と、端末装置30?32に対して種々の情報を提供する処理装置10とが接続されている。端末装置30?32としては、携帯電話等を用いることができる。また、端末装置30?32は、それぞれの種類に対応する形式の情報のみを判別することができる。処理装置10は、各端末装置の種類を判別する機能を有している。
通信回線44や情報伝達手段50は、有線でも無線でもよい。
【0006】
次に遊技店40から処理装置10に送信される遊技情報について説明する。
図4は、遊技店40から処理装置10に送信された会員情報に基づいて、処理装置10の記憶装置に記憶される会員データベース100を示す。会員データベース100は、会員ID101、会員の氏名102、会員に遊技情報を提供する方法(取得方法)103、会員のメールアドレス104やFAX番号105、後述する纏めフラグ106、会員に遊技情報を提供する予定時間107、遊技情報が更新されたことを連絡する必要があるか否かを示す更新連絡フラグ108、遊技情報の一種である優良台情報を送信するか否かを示す優良台情報フラグ109、遊技情報の一種である遊技機の稼動状況を送信するか否かを示す稼動状況フラグ110、会員に指定機種の遊技情報を送信するか否かを示す指定機種情報111等からなる。
送信する各情報が、本発明の遊技店の遊技情報に対応する。
なお、纏めフラグ106が“1”の場合には指定された遊技情報を纏めて送信し、纏めフラグ106が“0”の場合には指定された遊技情報を個々に送信することを示している。また、更新連絡フラグ108、優良台情報フラグ109、稼動状況フラグ110が“0”の場合には当該遊技情報を送信せず、“1”の場合は当該遊技情報を送信することを示している。
図4に示す会員データベース100では、会員ID“1234”の“山田”に、遊技情報が更新されたことをメールアドレス“A@A.COM”に連絡することが設定されている。また、会員ID“5678”の“佐藤”に、“優良台情報”と“稼動状況”と“機種A”に関する機種遊技情報を“纏めて”、“22時”にFAX番号“123-456-7890”に送信することが設定されている。
【0007】
図5は、会員情報を、例えば、ホールコンピュータ41の入力装置(図示していない)から入力する場合に、ホールコンピュータ41の入力装置の表示手段に表示される入力画面の例である。図5に示す入力画面で入力された会員の各遊技情報は、図4に示す会員データベース100として記憶装置に記憶される。
【0008】
次に、端末装置における、各遊技情報の表示例を説明する。
図7は、“優良台情報”の表示画面400を示す。“優良台情報”の表示画面400には、例えば、日時、遊技店40の名称、機種名、対応する機種の中で大当たり回数が多い遊技台のベスト1?3とその大当たり回数が表示されている。
図8は、“稼動状況”の表示画面500を示す。“稼動状況”の表示画面500には、例えば、日時、遊技店40の名称、遊技店40に設置されている遊技台の機種名と設置台数と稼動台数が表示されている。
図9は、“指定機種”の各遊技台の情報の表示画面600である。“指定機種”の各遊技台の情報の表示画面600には、例えば、日時、遊技店40の名称、指定機種名、指定機種の各遊技台の情報(各遊技台の大当たり回数、始動数等)が表示されている。
図10?13は、その他の表示画面の例である。図10は会員のスランプグラフ、図11は所定の遊技台の特賞履歴、図12は所定の遊技台の時間別特賞分布、図13は会員の貯玉状況を示す。このように、種々の遊技情報を提供することができる。
【0009】
図1に示すように、ホールコンピュータ41は、各遊技台から送信された遊技台情報等に基づいて提供遊技情報(“優良台情報”、“稼動状況”、“指定機種”の各台情報等)を作成する。提供遊技情報は、通信回線44を介して通信装置42に送信される。通信装置42は、所定時間毎、予め定められた時間等の任意の時間に、遊技店40内のルータ43、情報伝達手段50を介して、処理装置10に提供遊技情報を送信する。
なお、ホールコンピュータ41に通信機能を持たせてもよい。この場合には、通信装置42を省略することができる。
また、提供遊技情報を作成するのは、処理装置10や通信装置42でもよい。
【0010】
ここで、会員が処理装置10にアクセスして、所定の提供遊技情報を取得する手順を説明する。
例えば、端末装置30(A社携帯電話)の使用者が、遊技店40の遊技情報を取得する場合には、遊技店40の遊技情報を提供する処理装置10のアドレス(例えば、処理装置10のホームページのアドレス)を指定して処理装置10にアクセスする。例えば操作キーでアドレスを入力して送信操作をする。(例えば、送信キーを操作する。)また、操作キーでアドレスを入力しなくても、遊技店からの所定のメッセージの中にアドレスが含まれていて、カーソルを移動することによって選択し、送信操作をすれば発信される形態でもよい。アドレスの送信方法に関しては、その他種々の方法がある。
これにより、端末装置30の表示手段には、会員IDの入力画面(図示していない)が表示される。会員は操作キー等で会員IDを入力して送信操作をする。
これにより、端末装置30の表示手段には、図6に示すメニュー画面300が表示される。メニュー画面300には、例えば、日時、遊技店40の名称、選択メニューが表示される。会員は、選択メニューの中から取得したい遊技情報を選択する。例えば、“稼動状況表示”を選択する。遊技情報を選択する方法は、例えばカーソルを“稼動状況表示”に移動させ、所定の選択キーを操作する。そして、送信操作をすると、端末装置30は、“稼動状況”が選択されたことを示す情報識別信号と端末装置30の種類を示す端末種類識別信号を含んだ情報要求信号を処理装置10に送信する。
処理装置10は、情報要求信号に含まれている情報識別信号に対応する遊技情報(この場合、遊技情報の中の“稼動状況”の情報)を、情報要求信号に含まれている端末種類識別信号に対応する形式で端末装置30に送信する。
端末装置30は、処理装置10から送信された“稼動状況”の情報を受信すると、受信した“稼動状況”の情報を記憶し、表示手段に、例えば表示画面500を表示する。この時、処理装置から送信された”稼動状況“の情報は端末装置30の形式に対応しているため、端末装置30の使用者は、表示手段に表示されている”稼動状況“の情報を確実に判別することができる。なお、処理装置10から送信された情報を記憶し、プリンタ等から出力することもできる。
端末装置31(B社携帯電話)の使用者や端末装置32(PC)の使用者が、遊技店40の遊技情報を取得する手順も同様である。この時、処理装置10は、端末装置31、32の種類に対応した形式の遊技情報を端末装置31、32に送信する。
また、前述のように会員IDを必ず入力することにしてもよいし、所定の種類の遊技情報が選択された場合に(例えば、貯玉情報等)入力することにしてもよい。
【0011】
次に、処理装置10の処理について詳述する。
図2は、本発明の遊技情報提供装置の一実施の形態で用いられる処理装置10の第1の実施の形態の概略図である。
本実施の形態の処理装置10は、提供情報処理手段60と端末種類識別手段20と、記憶手段2?6から構成されている。本実施の形態の処理装置10は、提供情報処理手段60と端末種類識別手段20とから構成されている。提供情報処理手段60、端末種類識別手段20は、処理装置10とは別に設けてもよいし、処理装置10が実行する機能として構成することもできる。また、記憶手段2?6は、個々に設けてもよいし、1つの記憶手段で構成してもよい。
処理装置10の提供情報処理手段60は、遊技店40等から送信された提供情報1を受信すると、処理装置10にアクセス可能な端末装置の種類に対応する形式に変換し、変換した提供情報を各端末装置の種類に対応させて記憶する。例えば、図2に示すように、A社携帯電話の形式に変換されたA社携帯電話用提供情報2、B社携帯電話の形式に変換されたB社携帯電話用提供情報3、D社携帯電話の形式に変換されたD社携帯電話用提供情報4、パソコン(PC)の形式に変換されたPC用提供情報5、メールの形式に変換されたメール用提供情報6を記憶する。
【0012】
このように、処理装置10に各端末装置の種類に対応した形式の提供情報が記憶されている状態で、端末装置30から処理装置10に遊技情報の提供を要求する情報要求信号が送信された場合について説明する。
まず、端末装置30(A社携帯電話)の使用者(会員)が、遊技店40の遊技情報を取得するために、遊技店40の遊技情報を提供している処理装置10のアドレスを端末装置30に設定して処理装置10にアクセスする。例えば、端末装置30のキーを操作してアドレスを入力して、通話キーを操作する。
これにより、端末装置30は、A社の携帯電話であることを示す端末種類識別信号(例えば,Aq201)を含んだ呼出信号(例えば、http://www.aaa.com/xxx.cgi.Aq201)を送信する(図2の(1))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、端末装置30から送信された呼出信号を受信すると、呼出信号に含まれている端末種類識別信号に基づいて、端末装置30がA社のq201という携帯電話であることを識別する。
端末種類識別手段20は、A社携帯電話用提供情報2にアクセスして(図2の(2))、A社携帯電話の形式の会員ID入力画面情報を読み出し(図2の(3))、読み出した会員ID入力画面情報を端末装置30に送信する(図2の(4))。
端末装置30は、会員ID入力画面情報を受信すると、受信した会員ID入力画面情報を記憶し、表示手段に会員ID入力画面を表示する。
そして、使用者(会員)が端末装置30に会員IDを入力して(暗証番号を入力する場合もある)送信キーを操作すると、端末装置30は、会員IDを処理装置10に送信する(図2の(5))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、端末装置30から送信された会員ID(暗証番号)と、会員データベース等に記憶されている会員ID(暗証番号)とを比較して認証を行う。認証がOKであれば、A社携帯電話用提供情報2にアクセスして(図2の(6))、A社携帯電話の形式のメニュー画面情報を読み出し(図2の(7))、読み出したメニュー画面情報を端末装置30に送信する(図2の(8))。認証がNGであれば、会員IDの再入力を促すメッセージ等を端末装置30に送信する。
端末装置30は、処理装置10から送信されたメニュー画面情報を受信すると、例えば図6に示すメニュー画面300を表示手段に表示する。
メニュー画面300でいずれかのメニュー(提供を要求する情報)が選択され、送信操作が行われると、端末装置30は、選択された遊技情報を示す情報識別信号と、端末種類識別信号を含む情報要求信号を処理装置10に送信する(図2の(1))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、端末装置30から送信された情報要求信号を受信すると、情報要求信号に含まれている端末種類識別信号に対応する形式の情報(この場合、A社形態電話用提供情報2)の中から、情報要求信号に含まれている情報識別信号に対応する遊技情報を読み出して(図2の(5))、端末装置30に送信する(図2の(6))。
端末装置30は、受信した遊技情報を記憶(受信処理や表示手段への表示処理等のために遊技情報を一時記憶する場合も含む)して、表示手段に表示する。この場合、処理装置から送信された遊技情報を記憶し、プリンタから出力することもできる。
【0013】
同様に、端末装置31(B社携帯電話)の使用者(会員)が、遊技店40の遊技情報を取得するために、遊技店40の遊技情報を提供している処理装置10のアドレスを、端末装置31に設定して処理装置10にアクセスする。例えば、端末装置31の入力キーを使用して、処理装置10のアドレスを入力し、送信キーを操作する。
これにより、端末装置31は、取得したい遊技情報を示す情報識別信号と端末装置のい種類を示す端末種類識別信号(例えば、Bn502)を含んだ呼出信号を(例えば、http://www.aaa.com/xxx.cgi.Bn502)を送信する(図2の(1)’)を送信する。端末装置の種類を判別する。
処理装置10の端末種類識別手段20は、呼出信号に含まれている端末種類識別信号に基づいて、端末装置31が、B社のn502という携帯電話であることを判別する。
以下、前記と同様の方法で、認証を行う。そして、その後、端末装置31から送信された情報要求信号に含まれている情報識別信号に対応する遊技情報のうち、情報要求信号に含まれている端末種類識別信号に対応する形式の遊技情報、この場合B社携帯電話用提供情報3の中から情報識別信号に対応する遊技情報を読み出して端末装置31に送信する。
端末装置31は、受信した遊技情報を記憶(もしくは一時記憶)して、表示手段に表示したり、印刷手段から出力する。
【0014】
次に、処理装置の第2の実施の形態を図3により説明する。
本実施の形態の処理装置10は、記憶手段11と端末種類識別手段20とから構成されている。端末種類識別手段20は、処理装置10とは別に設けてもよいし、処理装置が実行する機能として構成することもできる。処理装置10は、遊技店40等から送信された提供情報1を受信すると、記憶手段11に記憶する。記憶手段11に記憶する提供情報の形式は、どのような形式でもよい。例えば、遊技店40等から送信された遊技情報をそのままの形式で記憶してもよい。
このように、処理装置10の記憶手段11に提供情報が記憶されている状態で、端末装置30から処理装置10に遊技情報の提供を要求する情報要求信号が送信された場合について説明する。
まず、端末装置30(A社携帯電話)の使用者(会員)が、遊技店40の遊技情報を取得するために、遊技店40の遊技情報を提供している処理装置10のアドレスを端末装置30に設定して処理装置10にアクセスする。例えば、端末装置30のキーを操作してアドレスを入力して、送信操作をする。
これにより、端末装置30は、A社の携帯電話であることを示す端末種類識別信号(例えば,Aq201)を含んだ呼出信号(例えば、http://www.aaa.com/xxx.cgi.Aq201)を送信する(図3の(5))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、端末装置30から送信された呼出信号に含まれている端末種類識別信号に基づいて、端末装置30が、A社のq201という携帯電話であることを判別する。
端末種類識別手段20は、記憶装置11に記憶された提供情報1の会員ID入力画面情報を読み出し(図3の(6))、A社携帯電話の形式に変換して、端末装置30に送信する。(図3の(7))
端末装置30は、会員ID入力画面情報を受信すると、受信した会員ID入力画面情報を記憶し、表示手段に会員ID入力画面を表示する。
そして、使用者(会員)が端末装置30に会員IDを入力して(暗証番号を入力する場合もある)送信キーを操作すると、端末装置30は、会員IDを処理装置10に送信する(図3の(8))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、端末装置30から送信された会員ID(暗証番号)と、会員データベース等に記憶されている会員ID(暗証番号)とを比較して認証を行う。認証がOKであれば、記憶装置11からメニュー画面情報を読み出し(図3の(9))、読み出したメニュー画面情報をA社携帯電話の形式に変換して、端末装置30に送信する。(図3の(10))
端末装置30は、処理装置10から送信されたメニュー画面情報を受信すると、例えば図6に示すメニュー画面300を表示手段に表示する。
メニュー画面300でいずれかのメニュー(提供を要求する情報)が選択され、送信操作が行われると、端末装置30は、選択された遊技情報を示す情報識別信号を含む情報要求信号を処理装置10に送信する(図3の(11))。
処理装置10の端末種類識別手段20は、記憶手段11から情報要求信号に含まれている情報識別信号に対応する遊技情報を記憶手段11から読み出し(図3の(12))、A社携帯電話に対応する形式に変換して端末装置30に送信する。(図3の(13))
端末装置30は、受信した遊技情報を記憶(受信処理や表示手段への表示処理等のために遊技情報を一時記憶する場合も含む)して、表示手段に表示する。この場合、処理装置10から送信された遊技情報を記憶し、プリンタから出力することもできる。
【0015】
以上のように、第1の実施の形態の処理装置では、端末装置30?32の種類に対応した形式の遊技情報を予め記憶手段に記憶させている。この第1の実施の形態の処理装置では、予め各端末装置の種類に対応した形式の遊技情報を記憶手段に記憶させておくため、遊技情報の提供の要求に対して迅速に応答することができる。
また、第2の実施の形態の処理装置では、端末装置30?32からの情報要求信号を受信してから、遊技情報を端末装置30?32の種類に対応した形式に変換して、端末装置30?32の送信する。この第2の実施の形態の処理装置では、記憶手段に記憶する遊技情報は1種類であるため、記憶手段の容量が少なくてすむ。
【0016】
以上では、端末装置から情報要求信号が送信された場合について説明したが、処理装置から各端末装置に遊技情報を提供することもできる。この場合には、例えば、会員データベースを用いる。すなわち、会員データベースには、各会員毎に、送信する遊技情報の種類、送信時間等が記憶されている。そこで、送信時間が設定されている会員に対しては、送信時間に達した時点で、送信が要求されている遊技情報を送信する。送信時間が設定されていない会員に対しては、送信が要求されている遊技情報が更新される毎、あるいは所定の時間毎等にその遊技情報を送信する。
また、各遊技情報が更新された時に、遊技情報が更新されたことを会員に通知するのが好ましい。
また、図15に示すように、会員データベースの更新フラグが“1”に設定されている会員に対しては、例えば所定の遊技情報が更新された時に更新遊技情報だけをその会員に送信し、当該会員からの遊技情報要求信号を受信するまで待つようにしてもよい。これによれば、会員は、提供情報1が更新された時を判別できるので、更新された時だけ提供情報1をアクセスして受信することができる。勿論、更新遊技情報は、更新される毎に送信してもよいし、所定の時間毎に送信してもよい。
また、会員情報100の纏めフラグ106が“1”に設定されている会員には、図14に示すように、例えば、1日分の提供情報1を纏めて記憶しておき、設定された送信時間に送信してもよい。
また、処理装置は、処理装置側の記憶手段に記憶されている提供情報を読み出して端末装置に送信したが、提供情報を記憶する記憶手段の場所は限定されない。例えば、遊技店のホールコンピュータに設けられている記憶手段に提供情報を記憶させておくこともできる。この場合には、処理装置は、端末装置に遊技情報を送信する時に、遊技店内の記憶手段をアクセスして、所定の遊技情報を読みだす。例えば、メニュー画面300で、会員IDに対応する貯玉情報を読み出す“貯玉確認”が選択された時には、遊技店内の記憶手段をアクセスする等、遊技情報の種類別にアクセスする記憶手段を選択してもよい。
また、貯玉情報は、処理装置10側に記憶させておいてもよい。」
(段落【0005】-【0016】)

上記の段落【0006】には「会員データベース100は、会員ID101、会員の氏名102、会員に遊技情報を提供する方法(取得方法)103、会員のメールアドレス104やFAX番号105、・・・等からなる。」との記載があるが、該メールアドレス及びその利用内容についての記載は、上記の段落【0006】の「図4に示す会員データベース100では、会員ID“1234”の“山田”に、遊技情報が更新されたことをメールアドレス“A@A.COM”に連絡することが設定されている。」との記載のみである。
そして、「遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類を、前記会員データベースに登録されているメールアドレスから特定し」との構成を示す内容が当初明細書等に記載されている、と言い得るためには、少なくとも、会員データベースに登録された「メールアドレス」が「携帯電話のメールアドレス」を含むものであること、及び、該会員データベースに登録された「携帯電話のメールアドレス」が「遊技情報を送信するべき会員の携帯電話の種類を特定する」ために利用されることが当初明細書等において記載されている必要があるが、本願の当初明細書等には、そのいずれについても記載がなされていない。
また、当該構成は、当初明細書等の記載から自明な事項であるとも認められない。

なお、審判請求人は審判請求の理由において、以下の点(1)?(4)を主張している。
(1)段落【0016】によれば、会員の携帯電話からの情報要求信号がない場合であっても、所定の条件を満足した場合、処理装置から会員の携帯電話に、遊技情報を会員の携帯電話の種類に応じたデータ形式で送信することが示されている。
(2)その際、会員の携帯電話の種類に応じたデータ形式で送信するために、会員の携帯電話の種類を特定する手段が必要であることは明らかである。
(3)段落【0016】には、「この場合、会員データベースを用いる」と記載されている。従って、会員の携帯電話の種類を特定するために、会員データベースを用いることは当初明細書に示唆されている。
(4)段落【0006】によれば、会員データベースに登録される情報の中で、会員の携帯電話の種類を特定しうる情報はメールアドレス以外にないのであるから、会員データベースから会員の携帯電話の種類を特定する方法として、メールアドレスを用いることは明らかである。また、メールアドレスのドメイン部分は携帯電話会社によって異なるから、携帯電話の種類を特定できるものである。
以下に審判請求人の主張内容について検討する。
(1)出願人が補正の根拠として挙げる当初明細書等の段落【0006】及び【0016】には、所定の時間や、遊技情報が更新されたタイミングにおいて、会員情報データベースに記憶された会員のメールアドレスやFAX番号に対して、遊技情報や更新の通知を送信することが記載されているのみであり、処理装置から会員の携帯電話に遊技情報を送信するにあたり、会員の携帯電話の種類に応じたデータ形式に変換して送信することについて、明示的な記載はない。
(2)電子メールで遊技情報を送信する場合において、そもそも会員の携帯電話の種類に応じたデータ形式の変換を行うことは当初明細書等に記載されておらず、明らかではないのであるから、当該データ形式の変換のために、会員の携帯電話の種類を特定する必要があることも明らかではない。
(3)「会員データベースを用いる」とは、単に会員データベースから送信先としてメールアドレスを取得することを示すものであるので、当該記載が会員の携帯電話の種類を特定するために、会員データベースを用いること示唆しているという根拠とはならない。
(4)会員データベースに登録される情報の中で、会員の携帯電話の種類を特定しうる情報はメールアドレス以外にないとしても、このことから直ちにメールを送信すべき会員の携帯電話の種類を特定する必要性が導き出されることにはならず、まして、会員データベースのメールアドレスを会員の携帯電話の種類を特定するために用いることが明らかとなるものでもない。

以上のとおり、本件補正によって追加された事項は、当初明細書等に記載した事項でなく、また当初明細書等に記載した事項から自明な事項でもない。また、本件補正によって追加された事項は、当初明細書等のすべての記載事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(3)補正却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.平成21年8月20日付け手続補正について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1は平成21年8月20日付け手続補正書によれば以下のとおりに補正されていることになる。

「【請求項1】
処理装置と記憶装置と携帯電話とを備え、
記憶装置は会員毎の携帯電話の種類等を特定できる会員データベースと遊技情報を記憶し、
処理装置は会員毎に設定された条件を満たすと、送信する会員の携帯電話の種類を前記会員データベースから特定し、所定の遊技情報を記憶装置から読み出し、該所定の遊技情報を前記送信する会員の携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して会員の携帯電話に送信し、
会員の携帯電話は前記変換されたデータ形式の所定の遊技情報を受信すると、その受信した所定の遊技情報を記憶する遊技情報提供装置。」

(1)原査定における拒絶理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

平成21年8月20日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



(1)補正後の請求項1の、「記憶装置は会員ごとの携帯電話の種類等を特定できる会員データベースと遊技情報を記憶し」との記載について 出願人は意見書において、補正の根拠として、上記構成が当初明細書の段落【0006】に記載されていると主張している。
しかしながら、当初明細書(特に段落【0006】)、及び、図面(特に図4)を精査しても、「会員データベース」に記憶される項目として、「会員ID」、「会員の氏名」、「会員に遊技情報を提供する方法(取得方法)」、「会員のメールアドレスやFAX番号」、「纏めフラグ」、「予定時間」、「更新連絡フラグ」、「優良台情報フラグ」、「稼働状況フラグ」、「指定機種情報」が記載されているのみである。ここで、「取得方法」は、電子メールやFAX等、会員が情報提供を受ける際に希望する手段を指定する情報であって、会員の携帯電話の機種を判別できる情報でないことは明らかである。また、「指定機種情報」は、会員が情報の提供を希望する遊技機の機種のことであって、会員の携帯電話の機種ではない。
したがって、会員データベースに、会員ごとの携帯電話の種類を特定できる情報を記憶することは、当初明細書等に記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。
(2)補正後の請求項1の、「・・・送信する会員の携帯電話の種類を前記会員データベースから特定し、・・・会員の携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して会員の携帯電話に送信し」との記載について 出願人は意見書において、補正の根拠として、上記構成が当初明細書の段落【0010】及び【0016】に記載されていると主張している。
しかしながら、当初明細書等の記載によれば、上記(1)に示したとおり、会員データベースに会員の携帯電話の種類を特定できる情報はない。更に、段落【0006】及び【0016】の記載を総合しても、所定のタイミング、又は会員が指定した時間に、遊技情報や更新情報を、登録されたメールアドレス又はFAX番号に送信することが記載されているのみであって、その際に会員の携帯電話の機種を特定することも、該機種に対応するデータ形式に変換することも記載されていない。
また、段落【0010】には、携帯端末からのアクセスがあったときに、該携帯端末が送信する端末種類識別信号に基づいて情報の形式を変換する動作が記載されているのであって、上記構成の根拠とはならない。
したがって、会員の携帯電話の種類を会員データベースから特定し、該携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して送信するとの構成は、当初明細書等に記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。
したがって、請求項1?3、及び、明細書の段落【0004】、【0017】に係る補正は、当初明細書の範囲内でしたものでない。

(2)当審の判断
(拒絶理由の前記(1)について)
当初明細書等の段落【0006】、及び、図面【図4】には、「会員データベース」に記憶される項目として、「会員ID」、「会員の氏名」、「会員に遊技情報を提供する方法(取得方法)」、「会員のメールアドレスやFAX番号」、「纏めフラグ」、「予定時間」、「更新連絡フラグ」、「優良台情報フラグ」、「稼働状況フラグ」、「指定機種情報」が記載されているのみである。そして、「取得方法」は、電子メールやFAX等、会員が情報提供を受ける際に希望する手段を指定する情報であり、会員の携帯電話の機種を判別できることに利用する情報であることの記載及び示唆はなされていない。
したがって、会員データベースに、会員ごとの携帯電話の種類を特定できる情報を記憶することは、当初明細書等に記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

(拒絶理由の前記(2)について)
当初明細書等の記載によれば、会員データベースに会員の携帯電話の種類を特定するための情報が存在することを示す記載がなされているとは認められない。また、段落【0006】及び【0016】の記載によっても、所定のタイミング、又は会員が指定した時間に、遊技情報や更新情報を、登録されたメールアドレス又はFAX番号に送信することが記載されているのみであって、その際に会員の携帯電話の機種を特定することも、該機種に対応するデータ形式に変換することも記載されていない。
段落【0010】には、携帯端末からのアクセスがあったときに、携帯端末が送信する端末種類識別信号に基づいて情報の形式を変換する動作が記載されているのであって、上記構成の根拠とはならない。
したがって、会員の携帯電話の種類を会員データベースから特定し、該携帯電話の種類に対応するデータ形式に変換して送信するとの構成は、当初明細書等に記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

そのため、平成21年8月20日付けの手続補正書による補正によって追加された事項は、当初明細書等に記載した事項でなく、また当初明細書等に記載した事項から自明な事項でもない。また、当該補正によって追加された事項は、当初明細書等のすべての記載事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

(3)むすび
以上のとおり、平成21年8月20日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないため、同法第49条第1号の規定に基づき、本願は拒絶をされるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-22 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-05 
出願番号 特願2000-217806(P2000-217806)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 昌宏菅原 浩二  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 安久 司郎
佐藤 匡
発明の名称 遊技情報提供装置  
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所  

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