• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G05B
管理番号 1245434
審判番号 不服2008-31667  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-15 
確定日 2011-10-19 
事件の表示 特願2003-523310「プロセス制御システムのための共有利用方式によるデータ処理」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月 6日国際公開、WO03/19310、平成17年 1月13日国内公表、特表2005-501323〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2002年8月14日(パリ条約による優先権主張2001年8月21日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成19年 9月11日 拒絶理由通知書発送
平成20年 3月11日 意見書及び手続補正書提出
平成20年 5月13日 拒絶理由(最後の理由)通知書発送
平成20年 8月13日 意見書及び手続補正書提出
平成20年 9月16日 補正(平成20年8月13日付け)の却下の決定及び拒絶査定発送
平成20年12月15日 審判請求書及び手続補正書提出
平成22年 3月16日 審尋発送
平成22年 9月16日 回答書提出
平成22年10月26日 拒絶理由通知書(平成22年10月21日付け)発送
平成23年 4月21日 意見書及び手続補正書提出


2.本願発明
本願請求項1ないし35に係る発明は、上記の平成23年4月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし35に記載されたとおりのものであって、そのうちの請求項19に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりであると認める。
「 【請求項19】
遠隔ユーザが接続可能で、プロセス制御システムに利用されるデータ処理システムであって、
各々がデータを取得・処理するように構成された、ローカルネットワークを介して通信可能に接続されている一群の冗長サーバと、
相互にかつ一群の前記冗長サーバと通信可能に接続されている複数の冗長データヒストリアンと、
一群の前記冗長サーバとインターネットを介して通信可能に接続されている複数の物理的に離れたプロセスプラントとを備え、
複数の前記プロセスプラントが複数のビジネスエンティティと関連付けされており、
一群の前記冗長サーバは、複数の前記プロセスプラントのデバイスが生成したプロセス制御情報を処理しかつ前記インターネットを介してユーザによりアクセス可能な分析結果を、複数の前記プロセスプラントのそれぞれについて、前記プロセス制御情報から生成するデータ処理アプリケーションを実行するように構成されている、データ処理システム。」


3.各引用例の記載事項及び引用発明
(1)引用例1の記載事項及び引用発明
当審で通知した平成22年10月21日付け拒絶理由通知書で引用した、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である国際公開第98/26337号(以下、「引用例1」という。)、には、以下の技術的事項が記載されている。なお、括弧内は、翻訳文である。

ア.引用例1の明細書第9ページ第36ないし第10ページ第4行
「Now referring to FIG. 2, there is illustrated a distributed process control system generally designated by the numeral 50 having a number of drops 52 each of which is constructed in accordance with the present invention. As will be described herein, each of the drops 52 of the distributed process control system 50 utilizes a non vendor-specific workstation or personal computer (commercially available from a number of suppliers and may be connected with other drops 52 via an international standards-based network such as a data highway 54. 」
( 図2を参照すると、それぞれが本発明に応じて構成されている多数のドロップ52を有した、符号50で典型的に表される分散処理制御システムが示されている。ここで説明するように、分散処理制御システム50のそれぞれのドロップ52は、(多くの業者から入手可能な)販売者独自でないワークステーションやパーソナルコンピュータを用いており、また、データハイウェイ54などの国際標準準拠のネットワークを介して他のドロップ52と接続してもよい。)

なお、当該ア.の記載には、左側の丸括弧「(」に対応する右側の丸括弧「)」が存在しないが、当該ア.の記載の内容からみて、「・・・a number of suppliers ) and may be・・・」との誤記であると認定して、翻訳した。

イ.引用例1の明細書第10ページ第31行ないし第11ページ第9行
「Each of the drops 52 includes a primary workstation or personal computer 58 and, for purposes of the present invention, a backup workstation or personal computer 60. The primary and backup workstations 58, 60 are each connected with the other drops 52 via the non-proprietary, international standards-based data highway 54. In the drop 52 illustrated in detail in FIG. 2, the primary workstation 58 receives information from selected points in the industrial process 62 via an I/O interface device 64. Such information received by the primary workstation 58 is manipulated in a selected manner by control software resident on the primary workstation 58 and represented symbolically by the numeral 66. It should be understood that the configuration and operation of the control software 66 depends upon the nature of the industrial process 62.
The primary workstation 58 also includes a non-proprietary software suite generally designated by the numeral 68. 」
(ドロップ52の各々は、主ワークステーションあるいはパーソナルコンピュータ58と、本発明のための、バックアップワークステーションあるいはパーソナルコンピュータ60を有する。主及びバックアップワークステーション58、60は、それぞれ、非独自の国際標準準拠のデータハイウェイ54を介してその他のドロップ52と接続される。図2で詳細に示したドロップ52において、主ワークステーション58は、I/Oインタフェース装置64を介して工業プロセス62内の選択されたポイントから情報を受け取る。主ワークステーション58から受け取るこのような情報は、主要ワークステーション58上に存在し、参照符号66で表される制御ソフトウエアによって選択された方法で操作される。制御ソフトウエア66の構成と動作は工業プロセス62の特性に応じて決まることを理解すべきである。
主ワークステーション58はまた、典型的に参照符号68で表される非独自ソフトウエアセットを有する。)

ウ.引用例1の明細書第11ページ第39行ないし第12ページ第2行
「The software suite 68 may further include an historian software package 74 operable to record the input information generated during operation of the industrial process 62 for archival storage purposes. 」
(ソフトウエアセット68はさらに、アーカイブへ保存するために工業プロセス62の作業中に生成される入力情報を記録するのに作動可能なヒストリアンソフトウエアパッケージ74を含んでいてもよい。)

エ.引用例1の明細書第12ページ第35行ないし第13ページ第9行
「The backup workstation 60 also runs on an open architecture operating system and includes a non-proprietary software suite generally designated by the numeral 84. The software suite 84 is identical to the software suite 68 and therefore includes the same non-proprietary software packages described with respect to software suite 68. The software packages in the Software Suite 84 are operable to permit personnel associated with the industrial process 62 to interface with the industrial process 62 in a selected manner through the backup workstation 60. Thus, as illustrated in FIG. 2, the software suite 84 includes a data logger software package 86, a man-machine-interface (MMI) software package 88, an historian software package 90, a spreadsheet software package 92, a calculator software package 94 and a drafting software package 96. 」
(バックアップワークステーション60はまた、オープンアーキテクチャのオペレーティングシステム上で作動し、典型的に参照符号84で表される非独自ソフトウエアセットを有している。ソフトウエアセット84は、ソフトウエアセット68と同一であり、したがって、ソフトウエアセット68に関して説明したのと同様な非独自ソフトウエアパッケージを有する。ソフトウエアセット84内のソフトウエアパッケージは、工業プロセス62の関係者が、バックアップワークステーション60を介して、選択される方法で、工業プロセス62とインタフェースをとれるように作動可能である。よって、図2に示すように、ソフトウエアセット84には、データロガーソフトウエアパッケージ86と、マン-マシン-インタフェース(MMI)ソフトウエアパッケージ88と、ヒストリアンソフトウエアパッケージ90と、スプレッドシートソフトウエアパッケージ92と、計算用ソフトウエアパッケージ94と、製図用ソフトウエアパッケージ96とが含まれている。)

オ.引用例1の明細書第13ページ第17ないし41行
「As previously described, during normal operation of the distributed process control system 50, the primary workstation 58 operates to control the operation of the industrial process 62 by monitoring information provided from the industrial process 62 through I/O interface device 64, manipulating such information according to a predetermined set of rules utilizing the control software 66 resident on the primary workstation 58 and thereafter providing output information passed through the I/O interface 64 to the industrial process 62 to control the operation thereof.
The backup workstation 60 includes a monitoring function illustrated generally at 100 connected via line 102 to a monitoring function 104 of the primary workstation 58. The line 102 connecting the primary and backup workstations 58, 60 is preferably a non vendor-specific, international standards-based data highway. The backup workstation 60 also monitors the operation of the industrial process 62 on line 106 since it also receives the same information that is passed through the I/O interface device 64 to the primary workstation 58. The backup workstation 60 performs the same data manipulation as the primary workstation 58 and according to the same predetermined set of rules utilizing control software 82. 」
(既に述べた通り、分散処理制御システム50の通常の作動中、主ワークステーション58は、I/Oインタフェース装置64を介して工業プロセス62から与えられる情報を監視し、主ワークステーション58上にある制御ソフトウエア66を利用して所定の一連の規則にしたがってこうした情報を操作し、その後工業プロセス62の操作を制御するためにI/Oインタフェース64を通して工業プロセス62に出力情報を与えることにより、工業プロセス62の操作を制御するよう作動する。
バックアップワークステーション60は回線102を介して主ワークステーション58の監視機能104に接続される、参照符号100で典型的に表される監視機能を有している。主及びバックアップワークステーション58、60を接続する回線102は、販売者独自でない、国際標準準拠のデータハイウェイであることが好ましい。バックアップワークステーション60はまた、I/Oインタフェース装置64を介して主ワークステーション58に送られる同じ情報も受け取るので、回線106上の工業プロセス62の操作も監視する。バックアップワークステーション60は、制御ソフトウエア82を利用した同じく所定の一連の規則にしたがって、主ワークステーション58と同様なデータ操作を実行する。)

上記のイ.には、主ワークステーション58がデータハイウェイ54に接続され、また、バックアップワークステーションがデータハイウェイ54に接続されていることが示されているから、主ワークステーション58とバックアップワークステーションがデータハイウェイ54を介して接続されているといえる。また、上記のオ.には、主ワークステーション58とバックアップワークステーションが回線102を介して接続されていることについても開示がある。
さらに、上記のウ.には、ソフトウエアセット68にヒストリアンソフトウエアパッケージ74が含まれていることが開示されており、上記のイ.には、主ワークステーション58がソフトウエアセット68を有していることが開示されているから、ヒストリアンソフトウエアパッケージ74と主ワークステーション58とが通信可能であることは、明らかである。
また、上記のエ.には、バックアップワークステーション60がソフトウエアセット84を有しており、さらに、ソフトウエアセット84にはヒストリアンソフトウエアパッケージ90が含まれていることの開示があるから、ヒストリアンソフトウエアパッケージ90とバックアップワークステーション60とが通信可能であることは、明らかである。

以上を考慮して、上記ア.ないしオ.の記載事項を、本願発明の記載に沿って整理すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「工業プロセス(62)の操作を制御する分散処理制御システム(50)であって、
各々が情報を受け取り、操作するように構成され、データハイウェイ(54)及び回線(102)を介して接続されている主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)と、
相互にかつ主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)と通信可能に接続されているヒストリアンソフトウエアパッケージ(74)及びヒストリアンソフトウエアパッケージ(90)と、
主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)とI/Oインタフェース装置(64)を介して通信可能に接続されている工業プロセス(62)とを備え、
主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)は、工業プロセス(62)の出力情報を処理し、工業プロセス(62)について、工業プロセス(62)の出力情報から生成する制御ソフトウエア(66,82)を実行するように構成されている、分散処理制御システム。」


(2)引用例2の記載事項
当審で通知した上記拒絶理由通知書で引用した、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特表2000-514220号公報(以下、「引用例2」という。)、には、以下の技術的事項が記載されている。

ア.第4ページ第24ないし28行
「 本発明による自動化システムの主な利点は、必要な計算能力が自動化設備の外側の、特に中央計算センターのなかの、マスター-コンピュータから調達され得るので、設備事業者自体が固有のマスター-コンピュータ(ホスト-ステーション)を必要とせず、したがってそのための購入費用、維持および保守を省略し得ることにある。」

イ.第5ページ第19ないし26行
「設備7の外側に、たとえば計算センタ-8のなかに、スーパーコンピュータとして構成されたマスター-コンピュータ9が配置されており、このマスター-コンピュータは第3の送信-/受信装置10およびデータ遠隔伝送のためのデータ伝送媒体11、たとえば無線接続、衛星接続または遠隔通信回路網を介して、設備7の送信-/受信装置3および6と通信する。送信-/受信装置10およびデータ伝送媒体11を介して、マスター-コンピュータ9は別の設備12、13のなかの別の、ここには示されていない送信-/受信装置と通信する。」

ウ.図1
図1には、「設備7」、「設備12」及び「設備13」について、物理的に離れているように図示されている。


4.対比
本願発明と、引用発明とを対比すると、引用発明の「工業プロセス(62)」は、そのプロセスの操作を制御することができるから、本願発明の「プロセス制御システム」を有しているということができるし、そのプロセスを行うためのプラントを有することは明らかである。
また、引用発明の「分散処理制御システム(50)」は、「工業プロセス(62)」の制御を行う上でのデータ処理を行っているといえるから、本願発明の「データ処理システム」に相当する。
また、引用発明の「回線(102)」は、主及びバックアップワークステーションを相互に接続する回線であるし、「データハイウェイ(54)」は、上記のア.に示すように、「国際標準準拠のネットワーク」を含むから、引用発明の「データハイウェイ(54)及び回線(102)」が、本願発明の「ローカルネットワーク」に相当するといえる。
また、「主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)」は、「データハイウェイ(54)及び回線(102)」を介して接続しているから、当然に通信可能ということができるし、バックアップの機能を有するから、本願発明の「一群の冗長サーバ」に相当する。
同様に、引用発明の「ヒストリアンソフトウエアパッケージ(74)およびヒストリアンソフトウエアパッケージ(90)」は、バックアップの機能を有するから、本願発明の「複数の冗長データヒストリアン」に相当する。
そして、引用発明の「I/Oインタフェース装置(64)」は、通信装置という点で、本願発明の「インターネット」と共通する。
また、引用発明の「工業プロセス(62)の出力情報」は、当該プロセスを実行する何らかの装置が出力する情報であって、当該情報に基づいて制御を行う情報であるから、本願発明の「プロセスプラントのデバイスが生成したプロセス制御情報」に相当する。
また、引用発明の「制御ソフトウエア(66,82)」が本願発明の「データ処理アプリケーション」に相当することは明らかであるし、「主ワークステーション(58)及びバックアップワークステーション(60)」は、当該「制御ソフトウエア(66,82)」を実行することにより、プロセスの制御操作を行っており、そのような制御操作を行うことは、分析結果を実行することに相当する。

以上から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「プロセス制御システムに利用されるデータ処理システムであって、
各々がデータを取得・処理するように構成された、ローカルネットワークを介して通信可能に接続されている一群の冗長サーバと、
相互にかつ一群の前記冗長サーバと通信可能に接続されている複数の冗長データヒストリアンと、
一群の前記冗長サーバと通信装置を介して通信可能に接続されているプロセスプラントとを備え、
一群の前記冗長サーバは、前記プロセスプラントのデバイスが生成したプロセス制御情報を処理しかつ通信装置を介して分析結果を、前記プロセスプラントについて、前記プロセス制御情報から生成するデータ処理アプリケーションを実行するように構成されている、データ処理システム。」である点。

<相違点1>
本願発明のデータ処理システムは、遠隔ユーザが接続可能であり、通信装置がインターネットであって、サーバの分析結果をインターネットを介してユーザによりアクセス可能であるのに対して、引用発明の分散処理制御システムは、遠隔ユーザが接続可能ではなく、通信装置がI/Oインタフェース装置であって、ワークステーションの分析結果をインターネットを介してユーザによりアクセス可能でない点。

<相違点2>
本願発明のデータ処理システムのプロセスプラントは、複数で物理的に離れており、複数のビジネスエンティティと関連付けされているのに対して、引用発明の分散処理制御システムの工業プロセスは、複数でなく物理的に離れておらず、複数のビジネスエンティティと関連付けされていない点。


5.相違点についての検討及び判断
(1)相違点1について
データ処理システムにおいて、プラントとサーバとをインターネットで接続し、遠隔ユーザが接続可能であり、サーバの分析結果をインターネットを介してユーザによりアクセス可能とすることは、当審で通知した上記拒絶理由通知書で提示した特開平10-97966号公報の【0011】段落や【0017】段落に示すほかに、特開平11-259123号公報の【0010】段落や【0014】段落に示すように、周知の技術的事項である。
当該周知の技術的事項を考慮すれば、引用発明の分散処理制御システムについて、遠隔ユーザが接続可能となるように構成し、通信装置をインターネットで構成し、ワークステーションの分析結果をインターネットを介してユーザによりアクセス可能としたことは、当業者にとって、格別に困難な事項とはいえない。

(2)相違点2について
上記の3.(2)イ.及びウ.を参照すると、引用例2には、データ処理システムが対象とするプラントについて、複数のプラントを物理的に離すように構成することが示されているといえる。
また、上記の3.(2)ア.には、プラントの事業者とデータ処理システムの事業者とが異なるビジネスエンティティであり、そのため、プラントの事業者が、データ処理システムの購入費用や維持費用を節減できる効果が示されている。
そのような費用の節減の効果が生じるためには、プラントの事業者とデータ処理システムの事業者とが一対一に対応する必要はなく、複数のプラント事業者が、相互に異なるビジネスエンティティであり、それらのビジネスエンティティとデータ処理システムの事業者とを対応させるかどうかは、経済法則に応じて決定すればよい程度の事項である。
さらに、データ処理システムのプロセスプラントが、複数で物理的に離れており、複数のビジネスエンティティと関連付けされていることは、当審で通知した上記拒絶理由通知書で提示した特開平10-97966号公報の【0010】段落に示すほかに、国際公開第00/62138号の明細書第10ページ第15ないし24行に示すように、周知の技術的事項である。
以上を考慮すれば、引用発明の分散処理制御システムについて、工業プロセスを、複数で物理的に離して、複数のビジネスエンティティと関連付けさせるように構成することは、当業者にとって、格別に困難な事項とはいえない。

また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用例2記載の事項、並びに上記の周知の技術的事項からみて、当業者の予側の範囲を超えるものとはいえない。

以上から、本願発明は、引用発明及び引用例2記載の事項、並びに上記の周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得た発明である。


6.むすび
したがって、本願請求項19に係る発明は、上記引用発明及び引用例2記載の事項、並びに上記の周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-18 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-06 
出願番号 特願2003-523310(P2003-523310)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二階堂 恭弘  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 刈間 宏信
長屋 陽二郎
発明の名称 プロセス制御システムのための共有利用方式によるデータ処理  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ