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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B44F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B44F |
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管理番号 | 1245855 |
審判番号 | 不服2011-2247 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-01-31 |
確定日 | 2011-10-27 |
事件の表示 | 特願2008-329999「装飾用シート及び装飾用シール」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 8日出願公開、特開2010-149387〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成20年12月25日の出願であって、同22年2月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月30日に手続補正がなされ、同年7月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月16日に手続補正がなされ、同年10月22日付けで拒絶査定がされた。 これに対し、平成23年1月31日に拒絶査定に対する審判請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、当審において、同年4月21日付けで審尋がなされ、指定期間内に回答がなかったものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本願発明 本件補正は、特許請求の範囲を補正するもので、補正前後の請求項1は、以下のとおりである。 【補正前の請求項1】 「光を反射する粉状材を含む光反射シートと、 前記光反射シートの上に圧着される透明な透明シートと、 略円形の平らな底面と、該底面と反対側に膨出する凸部を備える装飾部材と、 前記光反射シートが剥離可能に設けられる剥離紙とを備える装飾用シールであって、 シート積層体は、圧着された前記光反射シート及び前記透明シートからなり、当該透明シートに色彩が互いに異なる少なくとも2つの領域を有する図柄が設けられ、 当該装飾部材は当該シート積層体の上に設けられ、色彩を有し、 前記シート積層体には切り込みが輪郭線に沿って形成され、前記装飾部材は前記輪郭線の上に載置される装飾用シール。」 【補正後の請求項1】 「光を反射する粉状材を含む光反射シートと、 前記光反射シートの上に圧着される透明な透明シートと、 略円形の平らな底面と、該底面と反対側に膨出する凸部を備える装飾部材と、 前記光反射シートが剥離可能に設けられる剥離紙とを備える装飾用シールであって、 シート積層体は、圧着された前記光反射シート及び前記透明シートからなり、当該透明シートに色彩が互いに異なる少なくとも2つの領域を有する図柄が設けられ、 当該装飾部材は当該シート積層体の上に設けられ、色彩を有し、 前記シート積層体には切り込みが輪郭線に沿って形成され、前記装飾部材は前記輪郭線の上に載置され、 前記装飾部材の一部における前記底面の略中心は、前記輪郭線の上に載置されるように、さらに、当該載置された前記装飾部材が構成する前記装飾用シールの装飾部の外縁が、前記輪郭線よりも外側に延出し、前記シート積層体が構成する前記装飾用シールの表面部の外縁が、前記装飾部の外縁よりも内側となるように、配置される装飾用シール。」 上記補正は、装飾部材の配置について、「装飾部材の一部における底面の略中心は、輪郭線の上に載置されるように、さらに、当該載置された前記装飾部材が構成する装飾用シールの装飾部の外縁が、前記輪郭線よりも外側に延出し、シート積層体が構成する前記装飾用シールの表面部の外縁が、前記装飾部の外縁よりも内側となるように、配置される」なる事項を付加するものであって、請求人が審判請求理由(3-2)で主張するとおり、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか(いわゆる「独立特許要件」)について、検討する。 2.刊行物記載の発明 (1)刊行物1 原審の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である「DECO VENUS[デコヴィーナス]vol.1,日本,株式会社実業之日本社,2008年 4月21日,41ページ」(以下「刊行物1」という。)には、以下が記載されている。 ア.写真01とその解説欄 「携帯にシルバーラメ入りのシートとフラワー柄をデザインしたシートを貼ります。空気が入らないよう注意。」 イ.写真02とその解説欄 「シートの端は・・・引っ張って、無駄な部分はカッターでカットします。」 ウ.写真08とその解説欄 「ストーンをのせる際は、花びらのデザインと同じ色のストーンをキレイにのせていくようにします。。」 エ.写真01、02、07、08 フラワー柄部分は、色彩が異なる複数の領域からなること、 濃いピンク、イエローに着色されたフラワー柄部分の中にシルバーの部分があること、 フラワー柄の輪郭である黒く着色された部分にはシルバーの部分がないこと、 ストーンが、略円形で、色彩を有し、膨出する凸部を備えていること、 が看取できる。 オ.右下のToolsの欄 ストーンが、色彩を有し、略円形の平らな底面を備えていることが看取できる。 ストーンに注目すると、上記エ.より「略円形で、膨出する凸部」を有し、オ.より「略円形の平らな底面」を有する。写真07からストーンの側面形状が看取でき、「底面と反対側に膨出する凸部」を備えるものであることが理解できる。 これら記載を、技術常識を踏まえ、補正発明に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「シルバーラメ入りのシートと、 空気が入らないよう貼られたフラワー柄をデザインしたシートと、 略円形の平らな底面と、該底面と反対側に膨出する凸部を備えるストーンと、 を備える装飾用部材であって、 シート積層体は、空気が入らないよう貼られた前記シルバーラメ入りのシート及び前記フラワー柄をデザインしたシートからなり、当該フラワー柄をデザインしたシートに色彩が互いに異なる少なくとも2つの領域を有する図柄が設けられ、 当該ストーンは当該シート積層体の上に設けられ、色彩を有し、 前記シート積層体は、無駄な部分はカッターでカットされる、装飾用部材。」 (2)刊行物2 原審の拒絶査定(明記はないが、審判請求理由によれば実質的に記載されていたと推認される。)、及び当審の審尋に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である「DECO VENUS[デコヴィーナス]vol.2,日本,株式会社実業之日本社,2008年10月18日,53ページ」(以下「刊行物2」という。)には、以下が記載されている。 ア.左上の説明欄 「シール状になっているデコシールや・・・。」 イ.ワンポイントデコレーションシート(リボン) 左下の赤地に黒い縁のシートの左下、及び右側中程のやや下の突出した先端部分には、シールが確認できるが、当該シートの右下、及び、左側中程のやや下の突出した先端部分には、シールが確認できず、ビーズの縁が外縁をなしていること、 が看取できる。 ウ.ワンポイントデコレーションシート(イニシャルハート) 真中の赤いものは、当該シートの外縁がシールの外縁によって形成されている、すなわち、ビーズの外縁がシールの外縁より内側となるように貼付されていることが看取できる。 エ.ワンポイントデコレーションシート(スマイル) 左端の桃色のものは、当該シートの外縁がビーズの外縁によって形成されている、すなわち、ビーズの外縁がシールの外縁より外側となるように貼付されていることが看取できる。 これら記載を、技術常識を踏まえ、整理すると、刊行物2には、以下の事項(以下、「刊行物2事項」という。)が記載されていると認められる。 「ビーズの一部が構成する装飾要素の外縁が、デコシールの輪郭線よりも外側に延出し、デコシールの表面部の外縁が、ビーズの一部が構成する装飾要素の外縁よりも内側となるように配置されるデコシール。」 3.対比 補正発明と刊行物1発明とを対比する。 刊行物1発明の「シルバーラメ入りのシート」は補正発明の「光を反射する粉状材を含む光反射シート」に相当し、同様に、「空気が入らないよう貼られ」は「圧着され」に、「ストーン」は「装飾部材」に、相当する。 刊行物1発明の「フラワー柄をデザインしたシート」と、補正発明の「透明シート」とは、「図柄シート」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「装飾用部材」と、補正発明の「装飾用シール」とは、「装飾用部材」である限りにおいて一致する。 刊行物1発明の「無駄な部分はカッターでカットされる」と、補正発明の「切り込みが輪郭線に沿って形成され」とは、「切断により分離される」である限りにおいて一致する。 したがって、両者は、以下の点で一致する。 「光を反射する粉状材を含む光反射シートと、 圧着される図柄シートと、 略円形の平らな底面と、該底面と反対側に膨出する凸部を備える装飾部材と、 を備える装飾用部材であって、 シート積層体は、圧着された前記光反射シート及び前記図柄シートからなり、当該図柄シートに色彩が互いに異なる少なくとも2つの領域を有する図柄が設けられ、 当該装飾部材は当該シート積層体の上に設けられ、色彩を有し、 前記シート積層体は切断により分離される、装飾用部材。」 そして、以下の点で相違する。 相違点1:図柄シートについて、補正発明は「光反射シートの上に」圧着される「透明な透明シート」であるが、刊行物1発明は明らかでない点。 相違点2:補正発明は、「光反射シートが剥離可能に設けられる剥離紙」とを備え、シート積層体には「切り込みが輪郭線に沿って形成され」る「装飾用シール」であるが、刊行物1発明は、剥離紙を有するか不明であり、シート積層体は「無駄な部分はカッターでカットされる」「装飾用部材」である点。 相違点3:補正発明は「装飾部材は前記輪郭線の上に載置され、前記装飾部材の一部における前記底面の略中心は、前記輪郭線の上に載置されるように、さらに、当該載置された前記装飾部材が構成する前記装飾用シールの装飾部の外縁が、前記輪郭線よりも外側に延出し、前記シート積層体が構成する前記装飾用シールの表面部の外縁が、前記装飾部の外縁よりも内側となるように、配置される」が、刊行物1発明は明らかでない点。 4.判断 相違点1について検討する。 刊行物1においては、上記エ.のとおり、濃いピンク、イエローに着色されたフラワー柄部分の中にシルバーの部分があるが、フラワー柄の輪郭である黒く着色された部分にはシルバーの部分がないことから、「光反射シート」の上に「図柄シート」が存在し、「図柄シート」は透明であると解するのが妥当である。 なお、刊行物1において、仮にこれが逆であるとしても、両者のいずれを上とするかは、フラワー柄を強調するか、シルバーラメを強調するかという美観上の観点から、当業者が適宜決定すべき事項にすぎない。 よって、相違点1は技術的に格別なものではない。 相違点2について検討する。 装飾用部材において、「剥離可能に設けられる剥離紙」とを備え、「切り込みが輪郭線に沿って形成され」る「シール」は、特開2000-301893号公報の段落0009、登録実用新案第3144121号公報の段落0005?0006にみられるごとく周知である。 取扱上の観点から、周知技術を適用し、相違点2に係るものとすることに困難性は認められない。 相違点3について検討する。 装飾部材をいかに配置するかは、そもそも美観の問題にすぎず、技術的意義は認められない。 仮に、この点を考慮したとして、一応、検討する。 刊行物2事項は、上記のとおりであり、「ビーズ」は補正発明の「装飾部材」に、同様に「装飾要素」は「装飾部」に、「デコシール」は「装飾用シール」に、相当する。 そして、刊行物2事項を効果的に実現するためには、「装飾部材の一部における底面の略中心は、輪郭線の上に載置」する必要があることは明らかである。 刊行物1発明、刊行物2事項はともに、装飾部材に関するものであるから、美観の観点から、刊行物2事項を適用することに困難性は認められない。 請求人は、審判請求理由で、装飾効果を主張しているが、上記のとおり、技術的効果ではない。仮に、かかる効果を検討したとしても、刊行物2事項により予測しうるものにすぎない。 また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。 したがって、補正発明は、刊行物1発明、刊行物2事項、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、出願の際独立して特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の1.【補正前の請求項1】 のとおりのものと認める。 2.刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である刊行物1、及びその記載事項は、上記第2.の2.(1)のとおりである。 3.対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 両者は、上記第2.の3.同様の一致点、相違点1、2、及び以下の相違点4を有する。 相違点4:本願発明は「装飾部材は前記輪郭線の上に載置され」るが、刊行物1発明は明らかでない点。 4.判断 相違点1、2については、上記第2.の4.と同様である。 相違点4について検討する。 装飾部材と輪郭線との関係については、刊行物1の写真06の解説欄に「開閉部分のエッジにもストーンをのせます。」と記載されているごとく、装飾部材を輪郭線部分にも載置することは、美観の観点から、適宜選択すべき事項にすぎない。 また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。 したがって、本願発明は、刊行物1発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-18 |
結審通知日 | 2011-08-23 |
審決日 | 2011-09-08 |
出願番号 | 特願2008-329999(P2008-329999) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B44F)
P 1 8・ 575- Z (B44F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 青木 正博 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
千葉 成就 刈間 宏信 |
発明の名称 | 装飾用シート及び装飾用シール |
代理人 | 正林 真之 |