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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B
管理番号 1246057
審判番号 不服2010-27944  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-10 
確定日 2011-11-04 
事件の表示 特願2001-226956号「航空機用空調システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月13日出願公開、特開2003- 42578号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年7月27日の出願であって、平成22年9月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年12月10日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成22年12月10日(受付日)の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年12月10日の手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「エンジン抽気の圧縮手段と、その圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段とを備え、前記水分分離手段の手前で抽気流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、その圧縮手段と膨張手段との間の抽気流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される低温空気流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせる熱交換部を有する航空機用空調システムにおいて、
前記低温空気流路を流れる低温空気であって前記熱交換部で熱交換された後の一部を、前記膨張手段と前記熱交換手段との間の前記低温空気流路に前記膨張手段の出口に設けた内部にノズルを有するジェットポンプから導入するリターン流路を設けたことを特徴とする航空機用空調システム。」と補正された。

上記の補正は、発明を特定するために必要な事項である「ジェットポンプ」について、「内部にノズルを有する」ことを限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号において規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに相当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が、独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載内容
引用刊行物:国際公開第97/37890号

原査定の理由に引用され、本願出願前に頒布された引用刊行物には、「一体化型環境制御システム」に関して、以下の記載がある。
なお、文末の( )は、日本語訳として用いた、引用刊行物のパテントファミリーである特表2001-515424号公報の対応箇所である。

ア.”The present invention relates to environmental control systems for providing conditioned air to loads such as aircraft cabins, and especially relates to environmental control systems utilizing turbine driven air cycle machines to provide pressurized, dehumidified, cooling air.”(明細書第1ページ第4?8行)
(本発明は、航空機室のような空調負荷に対して調整空気を供給するための環境制御システムに関連し、特にタービン駆動式の空気循環器を利用して、加圧、除湿、並びに冷却された空気を供給するための環境制御システムに関連する。)

イ.”In an aircraft operating environment utilizing such an air cycle machine in the aircraft's environmental control system to provide conditioned air to the aircraft cabin, flight deck, etc., supply air such as compressed, heated bleed air is typically directed or bled from a compressor stage of a gas turbine engine on the aircraft into the air cycle machine to be conditioned. The bleed or supply air is first passed in heat exchange relationship within a primary heat exchanger with a cooling fluid such as ram or ambient air. Next the supply air is compressed in the air cycle machine's compressor; passed again in heat exchange relationship with the cooling fluid within a secondary heat exchanger; and directed into the machine's turbine. Work done on the turbine by the compressed supply air causes a shaft mechanically secured to the turbine to rotate, and the shaft aids in driving a rotor of the compressor and in spinning the fan which is typically positioned within the flow of the cooling fluid or ram air. Ultimately the supply air having been expanded and hence cooled within the turbine is discharged to the load, in a manner well known in the art.
Many improvements on the basic operation of air cycle machine driven environmental control systems have been developed to increase their efficiency, and decrease operating penalties on the aircraft. For example, recirculated load or cabin air has been injected downstream of the turbine discharge to augment turbine discharge air, thereby enabling delivery of higher conditioned air flow rate. Additionally, reheaters and condensers with water collectors have been positioned in heat exchange relationship with the supply air to enhance removal of moisture from the supply air, while decreasing the proportion of moisture entering the turbine.”(明細書第1ページ第30行?第2ページ第30行)
(航空機飛行環境では、航空機の循環制御システム内の空気循環器のような機械を利用して、航空機の客室及びフライトデッキ等に調整空気を供給しており、圧縮され、加熱されたブリード空気のような供給空気は、一般的に航空機のガスタービンエンジンのコンプレッサ段から、調整を行うための空気循環器内に配向、すなわち抽気される。ブリード或いは供給空気は最初に、一次熱交換器内部において、ラム空気或いは外気のような冷却用空気と熱交換関係となる状態で流される。次に供給空気は空気循環器のコンプレッサにおいて圧縮され、さらに二次熱交換器内部において、冷却用流体と熱交換関係となる状態で流され、その後空気循環器のタービンに配向される。圧縮供給空気がタービンにもたらす作用により、タービンに機械的に固定されたシャフトが回転し、そのシャフトが、コンプレッサのロータの駆動を、並びに一般に冷却流体或いはラム空気の流れの中に配置されるファンの回転を助力する。最終的に、膨張され、その後タービン内部で冷却された供給空気は、当技術分野では周知の方法において、空調負荷に放出される。
効率を高め、かつ航空機における動作上の欠点を減らすために、空気循環器駆動式の環境制御システムの基本的な動作についての多くの改善例が開発されている。例えば、再循環された空調負荷すなわち機室内空気が、タービンから放出された空気の下流に注入され、タービンから放出される空気を増大させ、それにより、空気流をより高速で流せるようにしている。さらに、再熱器及び集水器を備えたコンデンサが、供給空気との熱交換関係となる状態で配置され、タービンに入る湿気を減らすと同時に、供給空気からの除湿を促進している。)

ウ.”The Two Pack ECS 12 includes an A-side shaft 14 to which are mechanically secured an A-side fan 16, A-side compressor 18, and A-side turbine 20, a B-side shaft 22 to which are mechanically secured a B-side fan 24, B-side compressor 26, B-side turbine 28. An A-side primary heat exchanger 30 and an A-side secondary heat exchanger 32 are secured within an A-side ram air duct 34 that directs ram or ambient air as a cooling fluid through the duct 34, which is also in fluid communication with the A-side fan 16. A B-side primary heat exchanger 36 and a B-side secondary heat exchanger 38 are secured within a B-side ram air duct 40 that directs ram or ambient air as a cooling fluid through the duct 40, which is also in fluid communication with the B-side fan 24. An A-side reheater 42 and A-side condenser 44 are in fluid communication with an A-side water collector 46, while similarly a B-side reheater 48 and B-side condenser 50 are in fluid communication with a B-side water collector 52.
An A-side supply fluid line 54 directs a supply air, such as bleed air from compressor stages of a gas turbine engine (not shown), sequentially through the A-side primary heat exchanger 30, compressor 18, secondary heat exchanger 32, reheater 42, condenser 44, and water collector 46 and turbine 20 so that the supply air is conditioned to satisfy air pressure, temperature and humidity requirements of an aircraft cabin or load 56. A B-side supply fluid line 58 similarly directs the supply air sequentially through the B-side primary heat exchanger 36, compressor 26, secondary heat exchanger 38, reheater 48, condenser 50, and water collector 52 and turbine 28. The A-side fluid line directs the conditioned air from the A-side turbine 20 through the A-side condenser and into a mixer 60 where the conditioned air from the A-side turbine 20 is mixed with conditioned air directed from the B-side turbine 28 through the B-side supply fluid line 58. The mixed, conditioned supply air is directed from the mixer 60 through a joint cabin induction line 62 out of the Two Pack ECS 12 and into the aircraft cabin 56. After an exposure period within the cabin 56, a cabin return line 64 directs a portion of the cabin air back to the Two Pack ECS 12 by way of an A-side recirculation line 66 and a B-side recirculation line 68 separately into the A-side supply fluid line 54 and B-side supply fluid line 58 at points on those fluid lines 54, 58 immediately downstream of the A-side turbine 20 and B-side turbine 28 to melt any accumulated ice therein, in a manner well known in the art.”(明細書第7ページ第25行?第9ページ第3行)
(TwoPackECS12は、A側ファン16が機械的に固定されたA側シャフト14、A側コンプレッサ18、並びにA側タービン20と、B側ファン24が機械的に固定されたB側シャフト22、B側コンプレッサ26、並びにB側タービン28とを備える。A側一次熱交換器30及びA側二次熱交換器32は、A側ラム空気ダクト34内に固定されており、ダクト34を通して、冷却用流体としてラム空気或いは外気を配向し、またA側ファン16と流体伝達する状態にもある。B側一次熱交換器36及びB側二次熱交換器38は、B側ラム空気ダクト40内に固定されており、ダクト40を通して、冷却用流体としてラム空気或いは外気を配向し、またB側ファン24と流体伝達する状態にもある。A側再熱器42及びA側コンデンサ44は、A側集水器46と流体伝達する状態にあり、同様にB側再熱器48及びB側コンデンサ50は、B側集水器52と流体伝達する状態にある。
A側供給流体ライン54は、概ねA側熱交換器30、コンプレッサ18、二次熱交換器32、再熱器42、コンデンサ44、集水器46並びにタービン20を通って、ガスタービンエンジン(図示せず)のコンプレッサ段からのブリード空気のような供給空気を配向し、その供給空気は、航空機室、すなわち空調負荷56の気圧、温度、並びに湿度に関する要件を満足するように調整される。B側供給流体ライン58は同様に、概ねB側熱交換器36、コンプレッサ26、二次熱交換器38、再熱器48、コンデンサ50、集水器52並びにタービン28を通って、供給空気を配向する。A側流体ラインは、A側タービン20からA側コンデンサを通り、混合器60内に調整空気を配向し、A側タービン20からの調整空気は、B側タービン28からB側供給流体ライン58を通って配向される調整空気と混合される。その混合された調整供給空気は、混合器60から接合キャビン誘導ライン62を通り、TwoPackECS12の外側に、かつ航空機室56内に配向される。機室56内にある期間晒された後、キャビン戻りライン64が、A側タービン20及びB側タービン28のすぐ下流にある流体ライン54、58上の点において、A側の還流ライン66及びB側の還流ライン68を経て、A側供給流体ライン54及びB側供給流体ライン58内に別々に、キャビン空気の一部をTwoPackECS12に戻し、当技術分野では周知の方法において、その中で任意の蓄積された氷を溶解させる。)(下線部は、引用刊行物のパテントファミリーである特表2001-515424号公報において、原文に照らすと翻訳が脱落した部分であるので、当審にて補った部分である。)

エ.Fig.2等及び技術常識から、A側集水器46は、圧縮された抽気から水分を分離するものであると認められる。また、Fig.2からは、A側集水器46の手前で供給空気を冷却する冷却手段として、A側コンプレッサ18とA側タービン20との間のA側流体ラインと、A側タービン20の出口に接続されたA側流体ラインとの間で熱交換を行わせるA側コンデンサ44を設けた点が認められる。

以上の記載ア.、イ.、ウ.、エ.及びFig.2を参照し、本願補正発明に則って整理すると、引用刊行物には以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「ガスタービンエンジンから抽気された供給空気を圧縮する手段であるA側コンプレッサ18と、圧縮された抽気から水分を分離するA側集水器46と、その下流に供給空気を膨張して冷却するA側タービン20とを備え、A側集水器46の手前で供給空気を冷却する冷却手段として、A側コンプレッサ18とA側タービン20との間のA側流体ラインと、A側タービン20の出口に接続されたA側流体ラインとの間で熱交換を行わせるA側コンデンサ44を有する、航空機室のような空調負荷に対して調整空気を供給するための環境制御システムにおいて、
航空機室56内の空気の一部を、A側タービン20のすぐ下流のA側コンデンサ44との間に導入するためのキャビン戻りライン64及びA側の還流ライン66を設けた、航空機室のような空調負荷に対して調整空気を供給するための環境制御システム。」

3.発明の対比
本願補正発明と、引用発明とを対比すると、引用発明の「ガスタービンエンジンから抽気された供給空気を圧縮する手段であるA側コンプレッサ18」は、本願補正発明の「エンジン抽気の圧縮手段」に相当し、引用発明の「圧縮された抽気から水分を分離するA側集水器46」は、本願補正発明の「圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段」に相当し、引用発明の「供給空気を膨張して冷却するA側タービン20」は、本願補正発明の「抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段」に相当し、引用発明の「A側コンプレッサ18とA側タービン20との間のA側流体ラインと、A側タービン20の出口に接続されたA側流体ラインとの間で熱交換を行わせるA側コンデンサ44」は、「圧縮手段と膨張手段との間の抽気流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される低温空気流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせる熱交換部」に相当し、引用発明の「航空機室のような空調負荷に対して調整空気を供給するための環境制御システム」は、本願補正発明の「航空機用空調システム」に相当する。
そして、引用発明の「航空機室56内の空気の一部を、A側タービン20のすぐ下流のA側コンデンサ44との間に導入するためのキャビン戻りライン64及びA側の還流ライン66を設けた」ことと、本願補正発明の「低温空気流路を流れる低温空気であって前記熱交換部で熱交換された後の一部を、前記膨張手段と前記熱交換手段との間の前記低温空気流路に前記膨張手段の出口に設けた内部にノズルを有するジェットポンプから導入するリターン流路を設けたこと」とは、「膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に空気を導入するためのリターン流路を設けた」ことにおいて共通する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「エンジン抽気の圧縮手段と、その圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段とを備え、前記水分分離手段の手前で抽気流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、その圧縮手段と膨張手段との間の抽気流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される低温空気流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせる熱交換部を有する航空機用空調システムにおいて、前記膨張手段と前記熱交換手段との間の低温空気流路に空気を導入するためのリターン流路を設けた航空機用空調システム。」

[相違点1]
膨張手段と熱交換手段との間に導入するための空気として、本願補正発明においては、「低温空気流路を流れる低温空気であって前記熱交換部で熱交換された後の一部」のものであるのに対し、引用発明においては、航空機室56内の空気の一部である点。

[相違点2]
リターン流路から膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に空気を導入するための手段として、本願補正発明においては、「内部にノズルを有するジェットポンプ」を用いて導入するのに対して、引用発明においては、どのように該低温空気通路に空気を導入するのか不明である点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。

[相違点1について]
引用発明において、膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に、航空機室56内の空気の一部を導入したのは、氷結防止のためである。(上記第2.2.ウ.の刊行物の末尾付近の記載を参照)そして、氷結防止のために膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に導入する空気として、氷結防止に必要とされる空気の温度等を考慮して、航空機室56内の空気に代えて、航空機室56内に供給される前のものとして、低温空気流路を流れる低温空気であって前記熱交換部で熱交換された後の空気を採用して、上記相違点1に係る本願補正発明とすることは、当業者が容易になし得ることである。

[相違点2について]
流体を流路に導入するために、内部にノズルを有するジェットポンプを用いることは周知(例えば、特開平7-208400号公報、特開平4-325799号公報、特開平4-298700号公報など参照)である。そして、リターン流路から膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に空気を円滑に導入するために、何らかの手段が必要であることは明らかであり、引用発明において、リターン流路から膨張手段と熱交換手段との間の低温空気流路に空気を導入するための手段として、上記周知技術を適用して「内部にノズルを有するジェットポンプ」とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

そして、本願補正発明の奏する効果についてみても、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者であれば予測できた範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができない。

5.結び
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上述のように却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成22年1月22日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
(以下「本願発明」という)

「エンジン抽気の圧縮手段と、その圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段とを備え、前記水分分離手段の手前で抽気流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、その圧縮手段と膨張手段との間の抽気流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される低温空気流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせる熱交換部を有する航空機用空調システムにおいて、前記低温空気流路を流れる低温空気であって前記熱交換部で熱交換された後の一部を、前記膨張手段と前記熱交換手段との間の前記低温空気流路に前記膨張手段の出口に設けたジェットポンプから導入するリターン流路を設けたことを特徴とする航空機用空調システム。」

2.引用刊行物とその記載内容
引用刊行物とその記載内容は、上記「第2.2.」に記載したとおりのものである。

3.発明の対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明から、「ジェットポンプ」についての限定を省いたものである。そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2.4.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.結び
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-01 
結審通知日 2011-09-06 
審決日 2011-09-20 
出願番号 特願2001-226956(P2001-226956)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F25B)
P 1 8・ 121- Z (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田々井 正吾  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 松下 聡
中川 眞一
発明の名称 航空機用空調システム  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  

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