• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1246099
審判番号 不服2009-19410  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-09 
確定日 2011-11-02 
事件の表示 特願2000-538348「集積されたマイクロ光学システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月30日国際公開、WO99/49455、平成15年 8月19日国内公表、特表2003-524849〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月26日(パリ条約に基づく優先権主張外国受理 平成10年3月26日 平成11年3月26日 米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、平成20年10月21日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成21年4月28日付けで手続補正がなされ、同年6月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月9日付けで拒絶査定不服審判請求及び手続補正がなされたものである。
なおその後、平成22年11月30日付けで審尋がなされたが、請求人からは回答がなされなかった。

2.平成21年10月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年10月9日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正後の本願発明
平成21年10月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2ないし23、25ないし30は削除され、また、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2については、
本件補正前には、
「【請求項24】 互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各ウエハが表面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが各ダイの夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として各ダイの光学システムが少なくとも0.6の開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。」
とあったものが、
「【請求項2】 互いに接着された1より多くの透明のウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各ウエハが表面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが各ダイの夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として各ダイの光学システムが少なくとも0.6の開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。」
と補正された。
上記補正は、 本件補正前の請求項24に記載された発明を特定するために必要な事項である「ウエハ」について、「透明の」ものであるとの限定を付加するものである。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除、及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-251410号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項2】 半導体レーザおよび光検出器を半導体レーザのレーザ光出射面と光検出器の受光面を同方向に向けてバッファ層を介して同一基板上に形成し、前記レーザ光出射面と受光面の下部の基板に開口部を形成し、さらに該開口部を第1透明層で充填し、その第1透明層の下面に回折格子を形成し、前記第1透明層の下部に第2透明層を積層し、その第2透明層の下面にグレーティングレンズまたは屈折率分布レンズまたは凸レンズによる集光レンズを形成し、前記面発光レーザから出射されたレーザ光は、前記基板および第1透明層および回折格子および第2透明層を透過し、前記集光レンズで真下に向けて集光され、その集光レンズから離れた光記録媒体上に光スポットを形成し、光記録媒体で反射された反射光は、前記集光レンズおよび第2透明層を透過し、前記回折格子で前記光検出器の受光面に向かうように回折され、前記第1透明層を透過して前記光検出器に受光されることを特徴とする光ヘッド。」

イ.「【0025】図5に、光ヘッド101の製造方法を例示する。
(a)n-GaAs基板2の下面に、n-AlGaAs バッファ層47を成長させ、その下面に補強用ガラス基板11を密着させ、その上面にAl電極12を蒸着する。
(b)Al電極12およびn-GaAs基板2をエッチングして、レーザ光出射用の穴2bを加工する。
(c)Al電極12およびn-GaAs基板2の上に、プラズマCVD,スパッタリングなどの方法で、第1ガラス層3を堆積させ、研磨等の方法で平滑化するか、紫外線硬化樹脂などを充填、硬化させるなどを行ない、上記エッチング穴を補填する。
【0026】(d)第1ガラス層3の上面にフォトマスク露光プロセスにより回折格子4を作製する。すなわち、第1ガラス層3の上面にフォトレジストを塗布し,乾燥し,回折格子パターンを露光し,現像し,イオンビーム加工などにより回折格子4を作製する。
(e)第1ガラス層3の上に、屈折率の異なる第2ガラス層5をプラズマCVD,スパッタリングなどの方法で積層し、フォトマスク露光プロセスによりグレーティングレンズ6を作製する。
(f)補強用ガラス基板11を除去し、バッファ層47の下面に面発光レーザ1およびフォトダイオード7,7を作製する。」

ウ.「【0031】-第2実施例-
図10は、本発明の第2実施例の光ヘッド102の構成断面図である。この光ヘッド102は、図1の光ヘッド101における集光レンズ6がグレーティングレンズであったのに対して、凸レンズを用いたものである。」

エ.「【0034】-第5実施例-
図14は、本発明の第5実施例の光ヘッド105の構成断面図である。この光ヘッド105は、上記第1実施例から第3実施例の光ヘッド101,102,103の底面に、酸化ジルコニウム等のセラミック材料製のスライダ底補強層13を形成し、且つ、全体を浮上スライダ形状に加工したものである。浮上スライダを製膜プロセスによって光ヘッドと一体に成形するため、スライダ底面に対する光ヘッドの位置決め調整が不要となる。
【0035】光ヘッド105の浮上量は、光ヘッド105の形状や光記録媒体Rの線速度に依存するが、例えば26μm以下である。浮上量変動量は、定常トラッキング状態で浮上量の約10%であるから、浮上量26μmに対し、約2.6μmである。集光レンズ6の焦点深度は、λ/NA^(2) で近似されるから、λ=0.78μm,NA=0.55とすれば、約2.6μmとなる。このとき、浮上変動量2.6μmは集光レンズ6の焦点深度以下であるから、焦点ずれ補正の制御は不要となる。すなわち、集光レンズ6の焦点深度以下の浮上変動量にすればよい。ただし、光記録媒体Rは、記録面の情報読取側に透明保護層を持たないか又は透明保護層が屈折率1.0の媒質中における集光レンズのバックフォーカスから浮上量を減じて保護層屈折率を乗じた厚さ未満のものとする。透明保護層を持たないか又は透明保護層が厚さ100μm未満程度の場合、表面にホコリが付着すると読取に支障を生じるので、防塵構造のケース中に入れる必要がある。なお、焦点ずれ補正の制御が不要の場合は、図4,図12の回路中の焦点ずれ信号AFの検出部分も不要になる。」

特に図10に示される第2実施例に係るものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「半導体レーザおよび光検出器を半導体レーザのレーザ光出射面と光検出器の受光面を同方向に向けてバッファ層を介して同一基板上に形成し、前記レーザ光出射面と受光面の下部の基板に開口部を形成し、さらに該開口部をプラズマCVD,スパッタリングなどにより第1透明層で充填し、その第1透明層の下面に回折格子を形成し、前記第1透明層の下部にプラズマCVD,スパッタリングなどにより第2透明層を積層し、その第2透明層の下面に凸レンズによる集光レンズを形成した光ヘッド。」

(2-2)引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-290402号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
「【0021】図2、図3は、本発明の第2実施例を示したものである。第1実施例と対応する箇所には同一符号を付した(以下の実施例についても同様)。このうち図2は全体概要図であり、図3は分解斜視図である。半導体レーザ1は、出射光の発光点2に近い方の面3、つまり成長層側の面が第1のプレート16の下面17上に形成された電極(図示していない)上にマウントされている。シリコン基板6は、中央位置に開口部18がエッチングにより形成され、半導体レーザ1の出射光が入射する傾斜面7は、シリコン基板6の(111)の結晶面であり、そこに金の反射コートが施されている。
【0022】また、開口部18のX(+)側、Y(+)側2方向の稜線8に、半導体レーザ1の側面を当接させることにより、シリコン基板6に対する半導体レーザ1の位置決めをしている。また、シリコン基板6上には5つの光検出器19、20、21、22、23が形成されている。これら光検出器のうち、光検出器19、20はシリコン基板6の傾斜面7のY方向両側に位置し、受光面を各々X方向に3分割形成している。また、光検出器21、22は前記傾斜面7のX(+)側に位置し、このうち光検出器21は受光面をY方向に2分割形成されている。また、光検出器23は半導体レーザ1のX(-)側に位置している。
【0023】次に、シリコン基板6の上面24には、ガラスの平行平板状の第1のプレート16、さらに第2のプレート25、さらに第3のプレート26が順次積層され接合されている。また、第1のプレート16と第2のプレート25の接合面には、一部のみがハーフミラー27となるようにコーティングが施され、その他の面は全透過面となるように形成されている。さらに、第2のプレート25の下面28には、凹部29が形成されこの凹部29に偏光分離用の第1のホログラム30が形成されている。なお、第1のホログラム30の回折格子はX軸に対してほぼ45°方向を向いている。
【0024】次に、第2のプレート25の上面にも凹部32が形成され、この凹部32に第2のホログラム33及び球面状の凹面34が形成されている。なお、第2のホログラム33の回折格子はX軸に対してほぼ平行となっており、凹面34には反射コートが施されている。また、第3のプレート26の上面には、円形の凹部36が形成され、この凹部36に第3のホログラム37が形成されている。さらに凹部36には、対物レンズ13がその下面が嵌合するようにして位置決め固定されている。
【0025】なお、第2のプレート25、第3のプレート26の凹部29、32、36、及び第2のホログラム33、第3のホログラム37、及び凹面34はプレス成形により一体形成されている。また、半導体レーザ1、シリコン基板6、第1のプレート16、第2のプレート25、第3のプレート26、対物レンズ13によりレーザユニットを形成している。また、シリコン基板6と第1のプレート16、第2のプレート25、第3のプレート26は、各々複数個分の大きなプレート状のものを各々接合した後、同時に4角をカットして複数個のレーザユニットを同時に製造する。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「回折格子」及び「凸レンズによる集光レンズ」は、本願補正発明における「少なくとも2つの光学エレメント」に相当し、その中でも引用発明における「凸レンズによる集光レンズ」は、本願補正発明における「屈折エレメント」に相当する。

イ.引用発明における「・・さらに該開口部をプラズマCVD,スパッタリングなどにより第1透明層で充填し、その第1透明層の下面に回折格子を形成し、前記第1透明層の下部にプラズマCVD,スパッタリングなどにより第2透明層を積層し、その第2透明層の下面に凸レンズによる集光レンズを形成した光学ヘッド」によれば、
引用発明における「第1透明層」及び「第2透明層」は、互いに積層され、いずれも表面と底面とを有することは明らかであって、そのそれぞれの底面(下面)上に回折格子や凸レンズといった光学エレメントが形成されるものである点において、本願補正発明における「透明のウエハ」と共通する。
また、引用発明における「凸レンズによる集光レンズ」をはじめとする光学素子全体が、本願補正発明における「光学システム」に相当し、当然、所定の開口数を有するものである。
さらに、引用発明における「光学ヘッド」は、回折格子や凸レンズといった複数の光学エレメントなどが積層されることによって集積・小型化された構造体を含むものであり、本願補正発明における「集積されたマイクロ光学装置」に相当するといえる。

ウ.以上のことからすると、結局、本願補正発明と引用発明とは「互いに[積層]された1より多くの[透明層]から形成された[構造体]を含む集積されたマイクロ光学装置であって、各[透明層]が表面と底面とを有し、少なくとも2つの光学エレメントが[構造体]の夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として[構造体]の光学システムが[所定]の開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。」である点で共通するということができる。

よって、本願補正発明と引用発明とは、
「互いに[積層]された1より多くの[透明層]から形成された[構造体]を含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各[透明層]が表面と底面とを有し、少なくとも2つの光学エレメントが[構造体]の夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレメントであり、結果として[構造体]の光学システムが[所定]の開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1〕
夫々の面上に光学エレメントが形成され、互いに積層された1より多くの[透明層]及び[構造体]について、本願補正発明では「互いに接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され」て形成されたものであるのに対し、引用発明ではプラズマCVD,スパッタリングなどにより順次積層形成されたものである点。

〔相違点2〕
光学システムが有する開口数について、本願補正発明では「少なくとも0.6」と特定するのに対し、引用発明では特定がない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
〔相違点1〕について
引用発明の光学ヘッドにあっても集積構造の小さな素子であり、このような素子を作製する場合には、2次元配列状に複数の素子を一括して形成し、これを切り出して個々の素子を得るようにすることは技術的常套手段といえるものであることを考慮すると、結局かかる相違点は、夫々の面上に光学エレメントが形成された透明層の積層構造体を、本願補正発明では、まず予め、夫々の面上に光学エレメントが形成された透明層を個別に作成しておき、次いで、その個別に作成された透明層(すなわちウエハ)を接着するようにして得るものであるのに対し、引用発明では、膜形成技術などを用いて透明層を順次積層形成する毎にその面上に光学エレメントを形成していくものであるという製造上の違いであるといえる。しかしながら、引用例2には、引用発明の光ヘッドと同様、夫々の面上に光学エレメントが形成された複数の透明層を互いに積層した積層構造体を備える光ヘッドであって、該積層構造体を、まず予め、夫々の面上に光学エレメントが形成された透明層であるプレートを個別に形成しておき、次いで、その個別に作成されたプレートを接合することにより得ることが記載されており〔なお、この引用例2には、複数の素子(ユニット)を一括して配列形成し、これを切り出して個々の素子(ユニット)を得る点についても記載されている〕、引用発明においても、この引用例2に記載の積層構造体の製造に関する手法を採用し、夫々の面上に光学エレメントが形成され、互いに積層された1より多くの透明層を、プラズマCVD,スパッタリングなどにより順次積層形成されたものとすることに代えて、互いに接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断されて形成されたものとすることは当業者であれば容易になし得ることである。

なお、請求人は審判請求書において、「引用文献1は、プラズマCVD法や樹脂の充填により形成したガラス層を用いるものであり、複数の透明な(板状の)ウエハを用いる本願発明とは構造が異なる。従って、例え引用文献2(特開平05-290402号公報)等に、ウエハを張り合わす内容が記載されていても、これを引用文献1の第1ガラス層3や第2ガラス層5に置き換えることは構造上不可能であり、これらの記載から、磁気光学ヘッドをウエハレベルで作製することに想到することはできない。特に、引用文献1は、基板2に開口部が設けられ、例えば樹脂状のガラスをその開口部に充填するものであり、かかる樹脂状のガラスをウエハで置き換えることは不可能である。」旨主張している。しかしながら、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第96/27880号に記載(第1図を参照)された、引用発明の光ヘッドと同様の、夫々の面上に光学エレメントが形成された複数の透明層を互いに積層してなる積層型近接場光ヘッドに見られるように、基板の開口部には別途の充填層で充填しておき、残りの、夫々の面上に光学エレメントが形成され互いに積層された複数の透明層につき、引用例2に記載の上記技術事項を採用すればよいのであり、引用発明に対して、引用例2に記載の技術事項を適用することが技術的に不可能とまでいえるものではなく、したがって技術的阻害要因があるものではない。

〔相違点2〕について
光学ヘッドにおいて、対物レンズ系の開口数はきわめて基本的なパラメータであり、当該開口数を具体的にどの程度に定めるかは当業者にとって設計的事項であるところ、引用例1においては、「NA=0.55」の例示(上記「(2-1)エ.参照」)がなされているが、より高い記録密度とするために開口数を大きくすることは技術常識であって、例えばDVD光学系では開口数(NA)0.6と規格されており、また上記の国際公開第96/27880号には合成のNAを0.91とすることが記載(特に、7頁下から8行目を参照)されているように、開口数を「少なくとも0.6」とすることは当業者が適宜なし得ることである。

そして、上記各相違点を総合的に判断しても本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項から、当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成21年10月9日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項24に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年4月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項24に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項24】 互いに接着された1より多くのウエハから形成されたダイを含む集積されたマイクロ光学装置であって、
各ウエハが表面と底面とを有し、接着されたウエハが複数のダイを生じるように切断され、少なくとも2つの光学エレメントが各ダイの夫々の面上に形成され、該少なくとも2つの光学エレメントの少なくとも1つが屈折エレ
メントであり、結果として各ダイの光学システムが少なくとも0.6の開口数を有する集積されたマイクロ光学装置。」

1.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「ウエハ」について、「透明の」ものであるとの限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項24に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-03 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-20 
出願番号 特願2000-538348(P2000-538348)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 肇  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 井上 信一
早川 学
発明の名称 集積されたマイクロ光学システム  
代理人 山田 卓二  
代理人 田中 光雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ