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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F04D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04D |
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管理番号 | 1246156 |
審判番号 | 不服2010-29645 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-12-28 |
確定日 | 2011-11-04 |
事件の表示 | 特願2000-49758「送風機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年8月31日出願公開,特開2001-234888〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成12年2月25日の出願であって,平成22年9月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に,同日付け手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。 2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願の発明 本件補正により補正された,特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)は,以下のとおりのものと認められる。 「主体と複数のブレードからなり,各ブレードは該主体により回転軸を中心とする円周方向に沿って略放射状に配列した遠心式送風機用インペラを備え,該インペラを回転により遠心方向の空気流を発生する送風機において, 前記各ブレードは,前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパを成す少なくとも内径側の縁部に,スパン方向への型抜きが可能な角度で複数個の切り込み,階段状の段差のいずれか一つを施したことを特徴とする送風機。」 上記補正は,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブレード」の「型抜き」について「スパン方向への」との限定を付加し,同じく「ブレード」の「縁部」に「施す」構成について「複数個の切り込み,窪み,階段状の段差のいずれか一つ」という事項を,「複数個の切り込み,階段状の段差のいずれか一つ」と限定するものであり,また,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブレード」について,「各ブレードは該少なくとも内径側端部に,前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパの縁部に・・・」という記載を,「各ブレードは前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパを成す少なくとも内径側の縁部に・・・」とする補正は,発明を特定するための事項を実質的に変更するものではないから,上記補正は,平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本願補正発明が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-9083号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は家庭用の空調機器などに用いられる多翼送風機で,特に,樹脂成形された羽根車に関するものである。」 ・「【0002】 【従来の技術】従来のこの種の多翼送風機は,図6に示すように,渦巻き状のケーシング1の中に羽根車を収納した構成になっている。羽根車2は,図7に示すように,主板3に羽根4を環状に配設し,他端を副板5で保持した構造である。副板5の形状は羽根車の一体成形のためにリング状になっていることが多い。主板3の中央部にはボス部6が設けられており,モータ7の駆動軸8と連結されている。羽根車2の副板5と対抗するケーシング面には吸込口9が設けられ,空気が滑らかに流入するようにベルマウス10が形成されている。また,ケーシング1の端には吐出口11が形成されている。 【0003】このような構成において,モータを用いて羽根車を矢印12の方向に回転させることによって,吸込口9から吸引した空気を,羽根車2から遠心方向に吹き出し,その流れをケーシング1内で一方向にまとめて,吐出口11から吹き出す動作を行なっている。」 ・「【0014】本発明の請求項3にかかる羽根車は,主板上に複数の羽根を円環状に配設し,前記羽根の他端を連結する副板を備え,前記羽根は回転軸に垂直な面で切った断面における羽根形状が,前縁と最大反り位置の間で,かつ,背面側に少なくとも1つの凹部を有する。 【0015】上記構成によると,羽根の背面側の前縁と最大反り位置の間に少なくとも1つの凹部を設けたことにより,その部分での循環流による負圧や流れの混合効果によって,羽根背面側での流れの剥離を抑える効果が得られる。このため,流れの条件によって流入角度が多少変わっても,背面側での剥離を抑えることができるので,広い動作点に渡って,性能を維持することができる。 【0016】本発明の請求項4にかかる羽根車は,羽根の主板側の内径が副板側よりも小さく,前記凹部の位置が主板側ほど最大反り位置寄りにある請求項3に記載のものである。 【0017】上記構成によると,主板側ほど羽根の翼弦が長い,いわゆるテーパー型の羽根になる。テーパー型の羽根は,吸い込み口となる副板側は短い翼弦で開口部を広く取り,流れの主流となる主板側は翼弦の長い羽根で効率よく送風を行なう効果がある。この主板側と副板側で羽根背面側の凹部の位置を変えることによって,樹脂の一体成形羽根の場合にも凹部を設けることが可能になる。したがって,流れの条件によって流入角度が多少変わっても,背面側での剥離を抑えることができるので,広い動作点に渡って,性能を維持することができる。 【0018】本発明の請求項5にかかる羽根車は,羽根は主板側の内径が副板側よりも小さく,前記凹部の数が主板側と副板側で異なる請求項3に記載のものである。 【0019】上記構成によると,主板側の翼弦が長い羽根部分には凹部が多数設けられており,翼弦の短い副板側ではその数が少なくすることができる。翼弦の長さに応じて凹部の数を変えることにより,剥離防止効果を効果的に活かすことができ,広い動作点に渡って,性能を維持することができる。」 ・「【0024】 【実施例】以下,本発明の実施例について図面を用いて説明する。従来例と共通のものについては同じ番号を付してある。」 ・「【0032】(実施例3)図3は本発明の実施例3の羽根車の羽根の拡大図である。羽根車の構造は実施例1と同じく,羽根4が主板上に円環状に配設されており,他端を副板で支持した構造になっている。本羽根車は,羽根4の主板側の内径が副板側よりも小さく,実施例2と同様に背面側に凹部23を有している。羽根4の内径を主板側でRh,副板側でRsとすると,Rs>Rhとなっている。したがって,主板側の前縁を24とすると,副板側の前縁は25となり,その中間の前縁は26であらわされる。ここで,主板側から副板側まで反り線17は一定であり,そのため主板側の入口角β1と副板側の入口角β3は異なる値となっている。このように主板側と副板側で羽根内径が異なるテーパー型の羽根は,流入口となる副板側を広げることによって流入抵抗を減らすとともに,流れの主流となる主板側で長い翼弦を活かして有効に送風作用を行なう。」 ・「【0035】(実施例4)図4は本発明の実施例4の羽根車の羽根の拡大図である。羽根車の構造は実施例1と同じく,羽根4が主板上に円環状に配設されており,他端を副板で支持した構造になっている。本羽根車は,羽根4の主板側の内径が副板側よりも小さく,実施例3と同様に背面側に凹部23を有している。羽根4の内径を主板側でRh,副板側でRsとすると,Rs>Rhとなっている点やテーパー型羽根の効果などは実施例3(当審注:「実施例4」は上記のように「実施例3」の誤記と認められる。)と同様である。実施例3(当審注:「実施例4」は上記のように「実施例3」の誤記と認められる。)と異なる点は背面側に設けられた凹部の数である。 【0036】背面側には凹部23,27が設けられている。凹部23は主板側から副板側までスパン全体に渡って形成されているが,凹部27は主板側から副板側へ至る途中で切れている。三次元的に見ると,これらの凹部は羽根4の背面側に設けられた数本の溝である。 【0037】これらの凹部23,27の作用は,実施例2に示した内容と同じであり,凹部23,27に形成される二次流れによって,背面側の剥離が抑制される効果がある。ここで,スパン全体に渡る凹部23だけでなく,主板側の途中まで凹部27を設けることによって,より前縁に近い位置に凹部を設けることができるので,前縁付近の剥離を抑えることが可能になる。 【0038】このように,主板側から副板側まで一定の反り線17を用い,スパン方向に重なるように凹部23,27を設けることによって,スパン方向にねじれのない羽根となるので樹脂の一体成形が可能になるとともに,前縁近傍に凹部27を追加することによって前縁近くの剥離を効果的に抑えることができる。」 ・「【0043】また,羽根の背面側の前縁と最大反り位置の間に少なくとも1つの凹部を設けたことにより,その部分での循環流による負圧や流れの混合効果によって,羽根背面側での流れの剥離を抑え,広い動作点に渡って高性能を維持する効果が得られる。」 ・「【0045】また,テーパー型の羽根を採用し,かつ,主板側の翼弦が長い羽根部分には凹部が多数設け,翼弦の短い副板側ではその数を少なくするというように,翼弦の長さに応じて凹部の数を変えることにより,剥離防止効果を効果的に活かすことができる。」 ・引用例の【図6】には,羽根4を,主板により駆動軸を中心として環状かつ略放射状に配列したものが示されており,引用例の段落【0024】の,「以下,本発明の実施例について図面を用いて説明する。従来例と共通のものについては同じ番号を付してある。」との記載を参酌すると,引用例の実施例4の羽根車の羽根4も,主板により駆動軸を中心として環状かつ略放射状に配列したものと認められる。 ・引用例の段落【0034】の,「このように,主板側から副板側まで一定の反り線17を用い,スパン方向に重なるように凹部23を設けることによって,スパン方向にねじれのない羽根となるので樹脂の一体成形が容易になる。一体成形が可能になることによって,製作が簡単になるだけでなく,強度的にも丈夫なものができるという効果がある。」との記載を参酌すると,羽根4は,樹脂の一体成形により形成されるものであり,また,一般に,樹脂の一体成形により形成される部材の形状を決定するに当たり,なるべく型抜きが可能な形状を採用することが技術常識であることを考慮すると,引用例の【図4】には,スパン方向への型抜きが可能な角度で凹部27を設けることが示されている。 これらの記載事項及び図示内容を総合すると引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「主板と複数の羽根4からなり,各羽根4は該主板により駆動軸を中心として環状かつ略放射状に配列した,空気を遠心方向に吹き出す多翼送風機用の羽根車を備え,該羽根車を回転させることにより空気を遠心方向に吹き出す多翼送風機において, 前記各羽根4は,前記主板側の翼弦が長くなるテーパー型に形成し,かつ該テーパー型を成す少なくとも内径側の前縁近傍の背面側に,スパン方向への型抜きが可能な角度で,主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27を設けた多翼送風機。」 (3)対比 そこで,本願補正発明と引用発明とを対比すると,後者の「主板」は前者の「主体」に相当し,以下同様に,「羽根4」は「ブレード」に,「駆動軸」は「回転軸」に,「駆動軸を中心として環状かつ略放射状に配列」する態様は「回転軸を中心とする円周方向に沿って略放射状に配列」する態様に,「空気を遠心方向に吹き出す多翼送風機」は「遠心式送風機」に,「羽根車」は「インペラ」に,「羽根車を回転させることにより空気を遠心方向に吹き出す」態様は「インペラを回転により遠心方向の空気流を発生する」態様に,「多翼送風機」は「送風機」に,「主板側の翼弦が長くなるテーパー型に形成」する態様は「主体側の弦長が長くなるようテーパを形成」する態様にそれぞれ相当する。 後者の「凹部27」は,引用例の【図4】を参酌すると,「羽根4」の一部を切除して形成された形状ということができるから,後者の「凹部27」と,前者の「切り込み」とは,切除部との概念で共通している。そして,後者の「テーパー型を成す少なくとも内径側の前縁近傍の背面側に,主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27を設けた」構成において,「凹部27」の「主板側から副板側へ至る途中で切れ」た端部は,引用例の【図4】を参酌すると,テーパー型を成す少なくとも内径側の縁部に位置しているといえるから,後者の「テーパー型を成す少なくとも内径側の前縁近傍の背面側に,スパン方向への型抜きが可能な角度で,主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27を設けた」態様と,前者の「テーパを成す少なくとも内径側の縁部に,スパン方向への型抜きが可能な角度で複数個の切り込み,階段状の段差のいずれか一つを施した」態様とは,「テーパを成す少なくとも内径側の縁部に,スパン方向への型抜きが可能な角度で切除部を施した」との概念で共通している。 したがって両者は, 「主体と複数のブレードからなり,各ブレードは該主体により回転軸を中心とする円周方向に沿って略放射状に配列した遠心式送風機用インペラを備え,該インペラを回転により遠心方向の空気流を発生する送風機において, 前記各ブレードは,前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパを成す少なくとも内径側の縁部に,スパン方向への型抜きが可能な角度で切除部を施した送風機。」 の点で一致し,以下の点で相違している。 [相違点1] ブレードの内径側の縁部に施す切除部に関し,本願補正発明は,「切り込み」であるに対し,引用発明は,「凹部27」である点。 [相違点2] ブレードの内径側の縁部に施す切除部の数が,本願補正発明は,「複数個」であるのに対し,引用発明は,かかる特定がなされていない点。 (4)判断 上記相違点について,以下に検討する。 ・相違点1について 本願補正発明の「切り込み」は,本願の明細書の段落【0024】の,「ブレード4の内径側のテーパに設けられた切り込み1によって小さなたて渦が発生するため,ブレード4前縁からのブレード4スパン方向全域に及ぶ流れのはく離,あるいは渦の発生とそれによる広帯域音源となる乱流渦の発生が抑えられる。」との記載を参酌すると,小さなたて渦を発生させて,流れのはく離,あるいは渦の発生とそれによる広帯域音源となる乱流渦の発生を抑えるという作用効果を奏するものといえる。 一方,引用発明の「主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27」は,引用例の【図4】を参酌すると,その端部がテーパー型を成す少なくとも内径側の縁部の途中に位置しているから,当該端部ではたて渦が発生することは,当業者にとって自明の事項といえる。そして,引用例の段落【0037】の,「これらの凹部23,27の作用は,実施例2に示した内容と同じであり,凹部23,27に形成される二次流れによって,背面側の剥離が抑制される効果がある。ここで,スパン全体に渡る凹部23だけでなく,主板側の途中まで凹部27を設けることによって,より前縁に近い位置に凹部を設けることができるので,前縁付近の剥離を抑えることが可能になる。」との記載,及び段落【0043】の,「また,羽根の背面側の前縁と最大反り位置の間に少なくとも1つの凹部を設けたことにより,その部分での循環流による負圧や流れの混合効果によって,羽根背面側での流れの剥離を抑え,広い動作点に渡って高性能を維持する効果が得られる。」との記載を参酌すると,引用発明の「凹部27」は,循環流による負圧や流れの混合効果によって,背面側の剥離を抑制するという作用効果を奏するものといえる。 ところで,本願の明細書には,本願補正発明の「切り込み」の構成は具体的に記載されておらず,また,当該「切り込み」という用語の意味も記載されておらず,しかも,本願の図面において,【図1】に「切り込み1」として示された箇所も,【図2】(a)に示される「窪み2」及び【図3】に示される「階段状の段差3」と同様の形状であり,その具体的な構成が把握できる程度に示されているものとはいえないが,一般に,物品に「切り込み」を施すという記載により特定される事項は,当該物品の一部を切除して形成されたものということができる(必要であれば,特開昭54-105307号公報の「切込み3c」を参照。)。 そうすると,引用発明の「凹部27」も,本願補正発明の「切り込み」と同様に,「羽根4」の一部を切除して形成された構成からなるものであり,しかも,本願補正発明の「切り込み」と同様の作用効果を奏するものということができるから,相違点1は,実質的な相違点とはいえない。 ・相違点2について 引用例の段落【0019】には,「上記構成によると,主板側の翼弦が長い羽根部分には凹部が多数設けられており,翼弦の短い副板側ではその数が少なくすることができる。翼弦の長さに応じて凹部の数を変えることにより,剥離防止効果を効果的に活かすことができ,広い動作点に渡って,性能を維持することができる。」と記載されており,「主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27」を,翼弦の長さに応じて複数個設けることが示唆されているものといえるから,引用発明において,「主板側から副板側へ至る途中で切れる凹部27」を複数個設けた構成とすることは,当業者が任意になし得る設計的事項に過ぎない。 そうすると,相違点2は,格別のものではない。 そして,本願補正発明の全体構成により奏される作用効果も,引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。 したがって,本願補正発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおりであって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。 3.本願の発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,願書に最初に添付された明細書によれば,以下のとおりのものと認められる。 「主体と複数のブレードからなり,各ブレードは該主体により回転軸を中心とする円周方向に沿って略放射状に配列した遠心式送風機用インペラを備え,該インペラを回転により遠心方向の空気流を発生する送風機において, 前記各ブレードは該少なくとも内径側端部に,前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパの縁部に,型抜きが可能な角度で複数個の切り込み,窪み,階段状の段差のいずれか一つを施したことを特徴とする送風機。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例,及びその記載事項は,上記2.(2)に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は,上記2.で検討した本願補正発明において,「ブレード」の「型抜き」について「スパン方向への」との限定を省き,同じく「ブレード」の「縁部」に「施す」構成について「複数個の切り込み,階段状の段差のいずれか一つ」という事項を「複数個の切り込み,窪み,階段状の段差のいずれか一つ」とし,また,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブレード」について,「各ブレードは前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパを成す少なくとも内径側の縁部に・・・」という記載を,「各ブレードは該少なくとも内径側端部に,前記主体側の弦長が長くなるようテーパを形成し,かつ該テーパの縁部に・・・」とするものである。 そうすると,本願発明を特定する事項の全てを含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,上記2.(2)及び(3)に記載したとおり,引用発明に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-02 |
結審通知日 | 2011-09-06 |
審決日 | 2011-09-20 |
出願番号 | 特願2000-49758(P2000-49758) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F04D)
P 1 8・ 121- Z (F04D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 種子 浩明、田谷 宗隆 |
特許庁審判長 |
大河原 裕 |
特許庁審判官 |
藤井 昇 冨江 耕太郎 |
発明の名称 | 送風機 |
代理人 | 酒井 宏明 |
代理人 | 高村 順 |