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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1247098
審判番号 不服2011-4504  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-28 
確定日 2011-11-17 
事件の表示 特願2001-249123「真空処理装置及び真空処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月28日出願公開、特開2003- 60005〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年8月20日の出願であって、平成20年7月14日に手続補正がなされ、平成22年4月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月14日に手続補正がなされ、同年11月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成23年2月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成22年6月14日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「真空中で処理対象物を搬送し且つ処理を行う真空処理装置であって、
所定の処理用真空槽と連通可能な第1の搬送部と、
前記第1の搬送部に対して一つのゲートバルブのみを介して連通し且つ所定の処理用真空槽と連通可能な第2の搬送部とを備え、
前記第1の搬送部には、第1の搬送ロボットが設けられ、
前記第2の搬送部には、第2の搬送ロボットが設けられ、
前記第2の搬送部内の前記第1の搬送部側には、前記第1及び第2の搬送ロボットの回転方向に沿って複数の移送ステージが隣接配置され、当該複数の移送ステージを介して前記第1の搬送部と前記第2の搬送部のいずれへも処理対象物を搬送できるように構成されていることを特徴とする真空処理装置。」

3.刊行物記載の発明
これに対し、本願出願前に頒布され、原審で引用された刊行物である特開平10-270527号公報(以下「刊行物1」という。)には、次のように記載されている。

ア.段落0002?0008
「【0002】
【従来の技術】金属薄膜や絶縁物薄膜は、半導体装置や液晶装置等に広く用いられている。その薄膜を形成するために、半導体基板やガラス基板等の成膜処理対象物を真空雰囲気に置いて処理する方法として、スパッタリング方法やCVD方法等の様々な方法が開発されており、形成したい薄膜の種類に応じ、適切な薄膜形成方法を選択できるようになっている。そのような薄膜形成工程以外にも、例えばドライエッチング工程等を含め、多様な処理が真空雰囲気を利用して行われている。
【0003】・・・。
【0004】図6の符号101は、マルチチャンバー方式の従来技術の複合型真空処理装置を示しており、搬送室102を中心とし、8個の真空槽(a?h)が設けられている。各真空槽のうち、符号aと符号hで示すものはカセット室であり、符号b?dで示すものはCVD室、符号e?gで示すものは、スパッタ室である。
【0005】真空雰囲気を用いる処理のうち、CVD工程では真空槽内に薄膜材料である反応性ガスが導入され、エッチング工程では腐食性のエッチングガスが、スパッタリング工程では不活性なスパッタリングガスが導入される。・・・。
【0006】この図6に示した複合型真空処理装置101では、各真空槽(a?h)から放出されたガスが、他の真空槽を汚染しないように、搬送室102内を仕切板103によって仕切り、第1室Aと第2室Bの2室に分けており、カセット室aと、反応性ガスを用いるCVD室b?dを第1室A側に接続し、スパッタリングガスを用いるスパッタ室e?gと、カセット室hを第2室B側に接続している。
【0007】第1室Aと第2室B内には、搬送ロボット105_(1)、105_(2)と、ステージ106_(1)、106_(2)がそれぞれ設けられており、また、仕切板103には2個の仕切バルブ108_(1)、108_(2)が設けられている。通常の状態では各仕切バルブ108_(1)、108_(2)は閉じておき、第1室Aと第2室Bとの間を仕切り、相互に汚染されないように構成している。
【0008】処理対象物を第1室Aと第2室Bとの間で移動させるときは、仕切バルブ108_(1)、108_(2)を開け、搬送ロボット105_(1)、105_(2)を動作させ、第1室A内のステージ106_(1)上に載置された処理対象物は、第2室B内の搬送ロボット105_(2)によって第2室B内に搬入し、第2室B内のステージ106_(2)上に載置された処理対象物は、第1室A内の搬送ロボット105_(1)によって第1室A内に搬入する。処理対象物の移動が終了すると、直ちに仕切バルブ108_(1)、108_(2)を閉じ、第1室Aと第2室Bとの間を仕切る。」

イ.図6
第1室Aの第2室B側にステージ106_(1)が配置され、第2室Bの第1室A側にステージ106_(2)が配置されることが看取できる。

上記記載を、技術常識を踏まえ、本願発明に照らして整理すると、上記刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「真空中で処理対象物を搬送し且つ処理を行う真空処理装置であって、
CVD室b?dと連通可能な第1室Aと、
前記第1室Aに対して2個の仕切バルブ108_(1)、108_(2)を介して連通し且つスパッタ室e?gと連通可能な第2室Bとを備え、
前記第1室Aには、搬送ロボット105_(1)が設けられ、
前記第2室Bには、搬送ロボット105_(2)が設けられ、
前記第1室Aの前記第2室B側には、ステージ106_(1)が配置され、前記第2室Bの前記第1室A側には、ステージ106_(2)が配置され、当該ステージ106_(1)、106_(2)を介して前記第1室Aと前記第2室Bのいずれへも処理対象物を搬送できるように構成されている真空処理装置。」

4.対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明における「CVD室b?d」は本願発明における「所定の処理用真空槽」に相当し、同様に「第1室A」は「第1の搬送部」に、「仕切バルブ108_(1)、108_(2)」は「ゲートバルブ」に、「スパッタ室e?g」は「所定の処理用真空槽」に、「第2室B」は「第2の搬送部」に、「搬送ロボット105_(1)」は「第1の搬送ロボット」に、「搬送ロボット105_(2)」は「第2の搬送ロボット」に、「ステージ106_(1)、106_(2)」は「複数の移送ステージ」に、相当する。

また、刊行物1発明の「前記第1室Aの前記第2室B側には、ステージ106_(1)が配置され、前記第2室Bの前記第1室A側には、ステージ106_(2)が配置され」と、本願発明の「前記第2の搬送部内の前記第1の搬送部側には、前記第1及び第2の搬送ロボットの回転方向に沿って複数の移送ステージが隣接配置され」とは、「前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間には複数の移送ステージが配置され」である限りにおいて、一致する。

そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致する。
「真空中で処理対象物を搬送し且つ処理を行う真空処理装置であって、
所定の処理用真空槽と連通可能な第1の搬送部と、
前記第1の搬送部に対してゲートバルブを介して連通し且つ所定の処理用真空槽と連通可能な第2の搬送部とを備え、
前記第1の搬送部には、第1の搬送ロボットが設けられ、
前記第2の搬送部には、第2の搬送ロボットが設けられ、
前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間には複数の移送ステージが配置され、当該複数の移送ステージを介して前記第1の搬送部と前記第2の搬送部のいずれへも処理対象物を搬送できるように構成されている真空処理装置。」

そして、以下の点で相違する。
相違点1:ゲートバルブの数について、本願発明は「一つのみ」であるが、刊行物1発明は「2個」である点。
相違点2:複数の移送ステージについて、本願発明は「前記第2の搬送部内の前記第1の搬送部側には、前記第1及び第2の搬送ロボットの回転方向に沿って複数の移送ステージが隣接配置され」るが、刊行物1発明は「前記第1室Aの前記第2室B側には、ステージ106_(1)が配置され、前記第2室Bの前記第1室A側には、ステージ106_(2)が配置され」る点。

相違点1について検討する。
刊行物1発明におけるゲートバルブは、真空雰囲気の異なる第1の搬送部と第2の搬送部との間で、処理対象物を搬送するために設けられたものであるから、ゲートバルブが「2個」でないと、装置として成り立たないという事情は見いだせない。
ゲートバルブが「2個」の場合、それぞれ駆動機構が必要であり、「一つのみ」のものと比較して、構造が複雑になることは明らかである。
よって、装置の簡素化の観点から、ゲートバルブを「一つのみ」とすることは、例えば、特開平10-308430号公報の図1にもみられるごとく、設計的事項にすぎない。

相違点2について検討する。
刊行物1発明における複数の移送ステージは、移送ステージを介して処理対象物のやり取りのためのものであるから、両搬送部に一つずつ配置しなければならない必然性はない。
本願発明における「前記第2の搬送部内の前記第1の搬送部側には、前記第1及び第2の搬送ロボットの回転方向に沿って複数の移送ステージが隣接配置され」る技術的意義は、発明の詳細な説明によると「第1?第3の移送ステージ31?33を介して上記第1及び第2の搬送ロボット21、22間において基板6のやり取りができるように」(段落0024)するためのものである。
刊行物1発明、本願発明、いずれにおいても、第1、第2の搬送ロボット間に、複数の移送ステージが存在すれば十分であり、複数の移送ステージの位置を「第2の搬送部内の前記第1の搬送部側」と特定したことによる技術的意義は認められない。
複数の移送ステージの位置について検討すると、ともに第1の搬送部に配置する、ともに第2の搬送部に配置する、両搬送部に一つずつ配置する、の3とおりがあるにすぎないから、例えば、上記特開平10-308430号公報の図1にもみられるごとく、「ともに第2の搬送部に配置する」を選択し、相違点2に係るものとすることに困難性は認められない。

なお、請求人は、審判請求理由で、刊行物1発明は「二つの室内にはそれぞれステージが一つしかないため、多くのプロセスを必要とする工程において処理速度を向上させることは困難」と主張する。
しかし、処理速度は、各処理用真空槽が行う処理内容、処理順序(処理対象物の流れ)によって異なるものであるから、請求人の主張は根拠がない。

また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとも認められない。

5.むすび
本願発明は、刊行物1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-14 
結審通知日 2011-09-20 
審決日 2011-10-03 
出願番号 特願2001-249123(P2001-249123)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之松岡 美和  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 菅澤 洋二
千葉 成就
発明の名称 真空処理装置及び真空処理方法  
代理人 石島 茂男  
代理人 阿部 英樹  
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