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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1248682
審判番号 不服2011-2355  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-01 
確定日 2011-12-16 
事件の表示 特願2001-64860「パチンコ機のラウンド更新方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年9月17日出願公開、特開2002-263299〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成13年3月8日の出願であって、拒絶理由に対して平成22年10月19日付けで手続補正がなされ、その後、同年11月4日付けでなされた拒絶査定に対し、平成23年2月1日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされたものである。
また、当審において、平成23年5月17日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から同年7月14日に回答書が提出されている。

第二.平成23年2月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年2月1日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正後の本願発明
本件補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本願補正発明」という。)は次のとおりである。
「特別図柄表示装置の表示結果が大当り図柄であった場合に、可動入賞装置の大入賞口を所定時間の範囲で開放するラウンドを開始させ、該ラウンドの終了及び再開を、該ラウンド時における大入賞口に設ける特定領域と前記特定領域以外の領域のいずれかに案内される領域の内、前記特定領域への遊技球の通過に基づいて行うパチンコ機のラウンド更新方法であって、
前記特定領域を一個の遊技球が通過した時点で次ラウンドの開始が保証されると共に、次ラウンドに移行せずに一のラウンドが継続され、複数個の遊技球が通過した時点で一のラウンドを終了させることを特徴とするパチンコ機のラウンド更新方法。」
(下線部は補正によって追加又は変更された箇所。)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「大入賞口に設ける特定領域」を「大入賞口に設ける特定領域と前記特定領域以外の領域のいずれかに案内される領域の内、前記特定領域」と限定する補正である。
そうしてみると、該補正は、補正前の発明特定事項を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用された文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-347201号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
【0015】図1は第一種の遊技機(パチンコ遊技機)の遊技盤1の正面図である。
【0022】始動口7への遊技球の入賞に基づき、所定の乱数が抽出されて、画像表示装置4の画像遊技つまり複数の識別情報(図柄)の可変表示が行われ、その抽出された乱数値が大当たりであれば、可変表示が所定の組み合わせ態様で停止されて、大当たり(特別遊技状態)が発生する。大当たりが発生すると、変動入賞装置5の開閉扉9が所定期間、球を受け入れない閉状態から球を受け入れやすい開状態に変換される特別遊技が行われる。この特別遊技は、変動入賞装置5内の継続入賞口24への入賞を条件に、規定ラウンド繰り返される。
【0074】そして、大当たりが発生すると、変動入賞装置5の第1のカウントスイッチ26の第1の規定入賞数(左の案内経路22の規定入賞数)、第2のカウントスイッチ27の第2の規定入賞数(右の案内経路23の規定入賞数)、および全体規定入賞数の3つの規定入賞数が設定され、変動入賞装置5を遊技球を受け入れない閉状態から遊技球を受け入れやすい開状態に開放する特別遊技が行われる。
【0075】この場合、1ラウンド目は第1の規定入賞数、第2の規定入賞数、全体規定入賞数に初期値が設定され、変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、変動入賞装置5が閉止される。この際、変動入賞装置5のV入賞口24のV通過を条件に次のラウンドが継続可とされる。
【0076】2ラウンド目からは前のラウンドにおける変動入賞装置5の最初のV通過時に取得された最大カウント決定用乱数を基に、第1の規定入賞数、第2の規定入賞数、全体規定入賞数が設定され、変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、変動入賞装置5が閉止される。これが、変動入賞装置5のV入賞口24のV通過を条件に規定ラウンド繰り返される。
【0077】即ち、変動入賞装置5の開放中、変動入賞装置5へ入賞した遊技球が変動入賞装置5内部の複数の案内経路22、23のいずれの案内経路を通過するかによって、変動入賞装置5の1回のラウンドの開放動作の終了条件が異なってくる。このため、遊技者はいかに多くの遊技球を変動入賞装置5に入賞させようと、工夫をしながら遊技を行うようになり、この場合複数の案内経路22,23のいずれかの規定入賞数が大きければ、その大きい方の入賞を狙って遊技球を発射させるようになる。よって、特別遊技状態であっても、遊技球の発射位置等に工夫をしながら遊技を行うこととなり、遊技者に技術介入の余地を与えるために、遊技の興趣を高めることができる。
【0081】また、複数の案内経路22,23の規定入賞数を設定することで、技術介入性を高めつつも、全体規定入賞数を設定することで、1回の開放動作にて変動入賞装置5に入賞する遊技球数に上限を設けることができる。このため、遊技者の技量がかなり高い場合であっても、1回の大当たりで、遊技機から極端に多くの出玉を獲得されることがなく、遊技店が安心して営業を行える。なお、全体規定入賞数に変動入賞装置5のV通過数を含めても良い。
【0107】図26、図27は、第二種の遊技機の遊技盤70、変動入賞装置71を示す。これは、遊技領域72に設けた始動口73,74に遊技球が入賞すると、変動入賞装置71の開閉翼75a,75bが1,2回開閉し、このとき遊技球が変動入賞装置71内に入賞して、その入賞球が変動入賞装置71内の所定領域のVゾーン76を通過すると、遊技者に特典を付与する大当たりを発生する。大当たり状態になると、変動入賞装置71の開閉翼75a,75bが、所定の動作時間(例えば、29秒)の間、開閉を繰り返し、1ラウンドの特別遊技を行う。この開閉翼75a,75bの開閉動作中に、変動入賞装置71内に入賞した入賞球が再びVゾーン76を通過すると、次のラウンドを継続可となって、その開閉動作の終了後に開閉翼75a,75bが再び開閉動作を再開し、これを規定ラウンド繰り返す。
【0112】以上、第二種の遊技機について説明を行ってきたが、この第二種の遊技機に、前述の第一種の遊技機の動作を適用するような遊技機であっても良い。例えば、ラウンド中に開閉翼75a,75bが開閉を繰り返すものでなく、ラウンド中を通して開閉翼75a,75bが開放を維持するものでも良い。また、継続入賞口(Vゾーン76)への遊技球の入賞にともなって、直ちに次ラウンドに移行するものに限らず、各規定入賞数の入賞を待って、あるいは開閉(開放)動作の規定の終了時間の経過を待って、継続を行うようにしても良い。

摘記した上記の記載(段落【0081】以前)や図面等によれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「始動口7への遊技球の入賞に基づき、所定の乱数が抽出されて、画像表示装置4の複数の識別情報の可変表示が行われ、その抽出された乱数値が大当たりであれば、前記可変表示が所定の組み合わせ態様で停止されて、大当たりが発生すると、変動入賞装置5の開閉扉9が所定期間、球を受け入れない閉状態から球を受け入れやすい開状態に変換される特別遊技が行われ、前記特別遊技は、前記変動入賞装置5内の継続入賞口24への入賞を条件に規定ラウンド繰り返され、前記変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数と前記継続入賞口24への入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、前記変動入賞装置5が閉止されるパチンコ遊技機であって、
前記変動入賞装置5が閉止される際、前記継続入賞口24を遊技球が通過したことを条件に次のラウンドが継続可とされるパチンコ遊技機。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
引用発明の「画像表示装置4」は、本願補正発明の「特別図柄表示装置」に相当し、以下同様に、
「前記可変表示が所定の組み合わせ態様で停止されて、大当たりが発生すると」は「特別図柄表示装置の表示結果が大当り図柄であった場合に」に、
「変動入賞装置5」は「可動入賞装置」に、
「開閉扉9」は「大入賞口」に、
「所定期間、球を受け入れない閉状態から球を受け入れやすい開状態に変換される」は「所定時間の範囲で開放する」に、
「特別遊技が行われ」は「ラウンドを開始させ」に、
「変動入賞装置5内の継続入賞口24」は「大入賞口に設ける特定領域」に、
「パチンコ遊技機」は「パチンコ機」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明においては「変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数と前記継続入賞口24への入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、前記変動入賞装置5が閉止され」(本願補正発明の「ラウンドの終了」に相当)、「特別遊技は、前記変動入賞装置5内の継続入賞口24への入賞を条件に規定ラウンド繰り返され」る(本願補正発明の「ラウンドの再開」に相当)。
そして、引用発明の「変動入賞装置5内の継続入賞口24への入賞」は、本願補正発明の「前記特定領域への遊技球の通過」に相当し、変動入賞装置5の閉止条件に「変動入賞装置5内の継続入賞口24への入賞」が絡んでいるから、引用発明は本願補正発明の「ラウンドの終了及び再開を、該ラウンド時における大入賞口に設ける特定領域と前記特定領域以外の領域のいずれかに案内される領域の内、前記特定領域への遊技球の通過に基づいて行う」に相当する機能を有するものということができ、そのためのラウンド更新方法を備えたパチンコ遊技機であるといえる。

b.引用発明においては、継続入賞口24(本願補正発明の「特定領域」に相当)を遊技球が通過したことを条件に次のラウンドが継続可とされるのであり、その通過が一個であればよいことも明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「前記特定領域を一個の遊技球が通過した時点で次ラウンドの開始が保証される」に相当する機能を有するものであるといえる。

c.引用発明の「第1、第2の規定入賞数」及び「全体規定入賞数」は、図18からみて、いずれも3以上の数であるとともに、引用文献1の段落【0074】?【0077】及び【0081】等の記載から、引用発明の「第1の規定入賞数」、「第2の規定入賞数」及び「全体規定入賞数」は、それぞれ左の案内経路の入賞数の上限値、右の案内経路23の入賞数の上限値及びこれらの入賞数と継続入賞口24への入賞数との合計の上限値と認められるので、引用発明において「前記変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数と前記継続入賞口24への入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、前記変動入賞装置5が閉止される」ことは、変動入賞装置71の一部又は全部の領域を複数個の遊技球が通過した時点で、そのラウンドを終了させるものといえる。
また、引用発明は、継続入賞口24(本願補正発明の「特定領域」に相当)に入賞した時点で偶然全体規定入賞数に達した場合は変動入賞装置5が閉止するものの、継続入賞口24への入賞だけで変動入賞装置5を閉止しようというものではない。
そうしてみると、引用発明と本願補正発明は、“前記特定領域を一個の遊技球が通過しただけでは次ラウンドに移行せずに一のラウンドを継続し、少なくとも前記大入賞口の一部の領域を複数個の遊技球が通過した時点で一のラウンドを終了させる”点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「特別図柄表示装置の表示結果が大当り図柄であった場合に、可動入賞装置の大入賞口を所定時間の範囲で開放するラウンドを開始させ、該ラウンドの終了及び再開を、該ラウンド時における大入賞口に設ける特定領域と前記特定領域以外の領域のいずれかに案内される領域の内、前記特定領域への遊技球の通過に基づいて行うパチンコ機のラウンド更新方法であって、
前記特定領域を一個の遊技球が通過した時点で次ラウンドの開始が保証されると共に、前記特定領域を一個の遊技球が通過しただけでは次ラウンドに移行せずに一のラウンドを継続し、少なくとも前記大入賞口の一部の領域を複数個の遊技球が通過した時点で一のラウンドを終了させるパチンコ機のラウンド更新方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願補正発明は「特定領域を一個の遊技球が通過した時点で次ラウンドに移行せずに一のラウンドを継続し、前記特定領域を複数個の遊技球が通過した時点で一のラウンドを終了させる」のに対し、引用発明は「変動入賞装置5へ入賞した遊技球のうち、左の案内経路22の入賞数が第1の規定入賞数に達すると、もしくは右の案内経路23の入賞数が第2の規定入賞数に達すると、もしくはこれらの入賞数と前記継続入賞口24への入賞数の合計が全体規定入賞数に達すると、前記変動入賞装置5が閉止される」点。

(3)相違点の検討及び判断
[相違点1について]
第一種の弾球遊技機において、大入賞口の入賞個数、開放回数又は開放時間が所定数又は所定時間に達した時点や1個のV入賞があった時点で次ラウンドに移行させることは、例えば、特開2000-325575号公報(特に段落【0041】及び【0053】)、特開2000-102655号公報(特に段落【0058】及び【0060】?【0061】)及び特開平7-80145号公報(特に段落【0061】、【0062】及び【0092】)に記載されるように従来周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
また、引用文献1に記載された他の実施例(第二種の弾球遊技機)においては、Vゾーン76への遊技球の入賞にともなって、直ちに次ラウンドに移行するものだけでなく、直ちには次ラウンドに移行せず変動入賞装置71の第1、第2の規定入賞数あるいは全体規定入賞数の入賞を待って移行するものも開示されている(特に、摘記した段落【0107】及び【0112】を参照)。
すなわち、弾球遊技機の大当り動作において、ラウンドを終了させ次のラウンドに移行させる条件としては、様々な事項が採用されていることが分かる。
さらに、引用発明においては、左右の案内経路22,23の入賞数と継続入賞口24への入賞数の合計が全体規定入賞数に達することによっても、変動入賞装置5が閉止されるから、例えば、全体規定入賞数が3で、遊技球が立て続けに3個継続入賞口24に入賞した場合、変動入賞装置5は継続入賞口24への1個の入賞では閉止せず、3個目の入賞で閉止することになる。
そうしてみると、引用文献1に記載された他の実施例におけるVゾーン76への遊技球の入賞は、引用発明の「継続入賞口24への入賞」に対応するものであるから、周知技術及び引用文献1に記載された他の実施例の次ラウンド移行条件(以下「引用文献1に記載された事項」という。)を考え合わせると、引用発明において継続入賞口24への1個の入賞では変動入賞装置5を閉止せず、前記継続入賞口24への複数個の入賞をもって変動入賞装置5を閉止するようにして、上記相違点1に係る本願補正発明のような構成とすることも、パチンコ機の技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得ることといえる。

なお、回答書において請求人は、引用文献1の遊技機を第二種の遊技機として主張を展開しているが(5頁1行?6頁6行)、拒絶査定では引用文献1に記載された発明について、「特に段落【0015】?【0079】参照」と記載しており、第一種の遊技機としていることが明らかであるから、請求人の主張は当を得ない。
また、回答書において請求人は、引用文献1の発明について「入賞球が受け棚79に入ると、必ずカウントスイッチ80,81を通過し、それによって、ラウンドが継続する」(5頁19、20行)としているが、引用文献1には、段落【0107】に「Vゾーン76を通過すると、次のラウンドを継続可」と記載されていることから、Vゾーン76(本願補正発明の「特定領域」に相当)を通過すると、次のラウンドが継続可能になるものが開示されているといえる。
さらに、回答書において請求人は、本願請求項1の発明について、遊技球が特定領域スイッチを通過した後、遊技球が特定領域を通過した場合のみ、ラウンドの終了及び再開ができるものである旨説明しているが(5頁21行?6頁2行)、請求項1の記載に基づいていない上、本願明細書に記載されている実施例は、段落【0016】に「第1実施の形態のパチンコ機10は、前記ラウンド終了条件〔大入賞口1が所定時間開放するか、又は一定数(大入賞口入賞数最大値m5)の遊技球が入賞すること〕に加えて、2個(所定数)の遊技球が特定領域21を通過することをラウンド終了条件として有しており」と記載され、段落【0019】に「1個の遊技球22が特定領域21を通過すると、特定領域スイッチ2がオンされると共に、図5中「2ラウンド」で示す次回のラウンドの開始、すなわち、ラウンドの更新が保証される。」と記載されるように、遊技球が特定領域スイッチを通過した後、遊技球が特定領域を通過した場合のみ、ラウンドの終了及び再開ができるものではない。

(4)まとめ
以上のように上記相違点1は、当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明、周知技術及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明、周知技術及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成23年2月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年10月19日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「特別図柄表示装置の表示結果が大当り図柄であった場合に、可動入賞装置の大入賞口を所定時間の範囲で開放するラウンドを開始させ、該ラウンドの終了及び再開を、該ラウンド時における大入賞口に設ける特定領域への遊技球の通過に基づいて行うパチンコ機のラウンド更新方法であって、
前記特定領域を一個の遊技球が通過した時点で次ラウンドの開始が保証されると共に、次ラウンドに移行せずに一のラウンドが継続され、複数個の遊技球が通過した時点で一のラウンドを終了させることを特徴とするパチンコ機のラウンド更新方法。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用文献記載事項
原査定における引用文献及びその記載事項は、上記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比及び判断
本願発明は、上記「第二」で検討した本願補正発明の「大入賞口に設ける特定領域と前記特定領域以外の領域のいずれかに案内される領域の内、前記特定領域」を「大入賞口に設ける特定領域」とし、特定領域についての限定を省いたものといえる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第二.3.(4)」に記載したとおり、引用発明、周知技術及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、周知技術及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第四.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-10-13 
結審通知日 2011-10-19 
審決日 2011-11-02 
出願番号 特願2001-64860(P2001-64860)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 香川 沙絵河本 明彦  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 瀬津 太朗
秋山 斉昭
発明の名称 パチンコ機のラウンド更新方法  
代理人 小野塚 薫  
代理人 萼 経夫  
代理人 宮崎 嘉夫  

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