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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09J
管理番号 1249306
審判番号 不服2007-34042  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-17 
確定日 2011-12-01 
事件の表示 平成11年特許願第523091号「プラスチック分離層」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月29日国際公開、WO99/20707、平成14年 5月 8日国内公表、特表2002-513444〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は1998年10月9日〔パリ条約による優先権主張外国庁受理 1997年10月16日 ドイツ(DE)〕を国際出願日とする出願であって、平成19年4月17日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年7月13日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年9月11日付けで拒絶査定がなされ、同年12月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、平成22年8月23日付けで審判合議体による拒絶理由の通知がなされ、平成23年2月24日付けで意見書とともに手続補正書が提出されたものである。

そして、本願請求項1?8に係る発明は、平成19年7月13日付けの手続補正及び平成23年2月24日付けの手続補正により補正された明細書(以下、当該補正後の明細書を「本願明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「接着剤に対して剥離特性を有するプラスチック層の製造方法において、剥離剤がプラスチック層の内部に配置され、この層と共に押し出され、剥離剤が重合の間にプラスチック中に配合されるかまたはプラスチックマトリックス中に強固に埋め込まれており、プラスチック層がプラスチックからなる支持体層と一緒に同時押し出されることを特徴とするプラスチック層の製造方法。」

2.当審による拒絶の理由
平成22年8月23日付けの審判合議体による拒絶の理由は、理由5として、『この出願の請求項1?11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。』という理由を含むものであって、その(4)ケ.において、『刊行物1の第4欄第22?24行には、「同時に押出し、基材層…混合物押出層…の積層体を作製した。」との記載があるところ(摘記1e)、同時押し出し法は、単なる周知慣用の常套手段にすぎない。また、刊行物1の第3欄第35?37行には、「基材としては、紙、…フィルム…等が用いられる。」との記載があり(摘記1d)、刊行物2の段落0016には、「支持体としては、…各種紙類、ポリエチレン…等の合成樹脂」との記載があるところ(摘記2b)、支持体の材料として「プラスチック」や「紙」を選択することも、当業者にとって自明の技術事項にすぎない。よって、本願請求項6?8に係る発明は、刊行物1?2に記載された発明であり、刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。』との指摘をしているものである。

3.刊行物及びその記載事項
(1)刊行物1
本願優先権主張日前に頒布された刊行物であって、審判合議体による拒絶理由通知において「刊行物1」として引用された「特開平5-70746号公報」には、次の記載がある。

摘記1a:請求項3
「紙、布、フィルム等からなる基材の上に、ポリオレフィン樹脂と、シリコーン樹脂とシリコーン系微粉末とからなる剥離剤組成物との混合物層が押出し積層されたことを特徴とする剥離シート。」

摘記1b:段落0007
「上記変性シリコーン化合物からなる剥離剤は、実質的に粘着剤層への移行がなく、押出ラミネート方式、コーティング方式のいずれの場合においても優れた剥離力を示すが、変性シリコーン化合物の混合割合が2重量%以下では実用上の剥離効果が充分でなく、一方、3重量%を越えて添加すると、シート表面に筋状の表面粗れが発生して表面外観が悪くなり、実用性がなくなる。」

摘記1c:段落0013
「上記の如きシリコーン樹脂とシリコーン系微粉末とからなる剥離剤組成物を用いて押出法により剥離シートを製造する場合は、シリコーン含有率により一概に規定できないが、該剥離剤は概ねポリオレフィン系樹脂に対して1?15重量%、より好ましくはシリコーン含有率50%の場合6?12重量%混合され、ペレタイザーで混練ペレット化され、混合物押出層用樹脂とされる。二軸押出機を用いてのマスターバッチ作製も可能である。」

摘記1d:段落0015?0016
「また、ポリオレフィン樹脂に対し可塑剤的効果の期待ができるポリビニルエーテル等を添加しても良い。また、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリン、粉末シリカ、ゼオライト、カーボンブラック等を添加することにより剥離性をコントロールでき、重ね貼り可能な粘着テープを得ることも可能で、更に筆記性付与効果もある。更にまた、エンボス加工を併用して剥離性をコントロールすることも可能である。…かくして得られた混合物押出層用樹脂は押出ラミネーターにより基材上に押出され、基材上に剥離層を形成する。本発明に用いられる基材としては、紙、布、不織布、フィルム、金属箔、及びこれらの積層物等が用いられる。」

摘記1e:段落0018?0021
「実施例1
L-LDPE「モアテック0628D」(出光石油化学株式会社製、M.I.=6、密度=0.915)に対し、参考例で得られた合成物4%及びアミノ変性シリコーン「KF865」(信越化学工業株式会社製)1%、シリコーン系微粉末「トレフィルE601」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)3%を添加し、ペレタイザーによりダイス温度200℃で混合物押出層(剥離層)用ペレットを作製した。接着増強層として、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂「CMPS V-203」(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)を別に用意した。…
基材として上質紙(クリーム色、坪量=74g/m^(2))を用い、通常の共押出しラミネーターにより、接着増強層用樹脂をダイス温度250℃、は混合物押出層(剥離層)用ペレットをダイス温度260℃で同時に押出し、基材層-接着増強層-混合物押出層(剥離層)の3層構造の積層体を作製した。接着増強層の厚さは20μm、混合物押出層(剥離層)の厚さは20μmであった。
得られた剥離シートについて下記の要領にて剥離力、及び残留接着力を測定した。測定結果を表1に示した。また、剥離シートの表面状態(筋の有無)を肉眼で評価した:
〇:良好 ×:不良 …
剥離力測定:
アクリル系粘着剤「X-489-019E-3」(サイデン化学株式会社製)を剥離層に25g/m^(2)(ドライ)で塗布、120℃×1分乾燥した。この上にミラーコート紙(坪量=84g/m2)を貼り合わせ、自重5?7kgのローラー掛けを行った。このサンプルを常温で1日間、5kg/20cm×30cm圧力下で放置した後、剥離力を測定した。測定方法は低速域(0.3m/分)剥離はオートグラフ引張り試験機「ストログラフ-R」(株式会社東洋精機製作所製)で、高速域(3m/分、20m/分、200m/分)剥離は高速剥離試験機(テスター産業株式会社製)を使用し、剥離角度180度で測定した。測定時の条件は23℃、65%RHであった。…
残留接着力測定:
標準粘着テープとしてのアクリル系粘着クラフトテープ「ネオクラフトテープ」(リンテック株式会社製、SUSステンレスに対する初期接着力は950g/25mm)を幅25mm×長さ210mmに調整し供試した。このテープを自重4.5kgのゴムローラーで5mm/秒の速度で1往復加圧して剥離シートと張り合わせ、荷重20g/cm^(2) 、70℃、65%RHで20時間エージングした。」

(2)刊行物2
本願優先権主張日前に頒布された刊行物であって、審判合議体による拒絶理由通知において「刊行物2」として引用された「特開平5-169595号公報」には、次の記載がある。

摘記2a:請求項1
「剥離用シートについて、支持体の少なくとも1面に電子線硬化性シリコーン樹脂と、メチル基当量が300以下の電子線硬化性バインダーからなる剥離層を塗設してなる剥離用シート。」

摘記2b:段落0016
「本発明に用いられる支持体としては、グラシン紙、上質紙、板紙、塗工層を設けたコーテッド紙、キャスト紙などの各種紙類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成樹脂、…合成樹脂フィルムとの貼り合わせ品などを指し、一般に剥離シートの支持体として使用できるものはすべて本発明においても使用できる」

(3)周知例A
本願優先権主張日前に頒布された刊行物であって、本願優先権主張日前の一般的な技術水準を示すための「周知例A」として提示する「特表平8-508688号公報」には、次の記載がある。

摘記A1:第4頁第1?5行
「該第二オレフィンポリマーフィルムが、ポリエチレンイミンオクタデシルカルバミド、ポリビニルオクタデシルカルバメート及びそれらの混合物より成る群から選択される剥離剤材料が高剪断混合によって中に分散されている第一オレフィンポリマーフィルムと共に同時押出又は同時流延された、請求の範囲第12項記載のダイヤパー構成体。」

摘記A2:第6頁第22?25行
「コープマン(Korpman)による米国特許第4,379,806号には、感圧接着剤層及び裏地フィルム(感圧接着剤層又は裏地フィルムのいずれかが剥離剤を含有する)の同時押出が開示され、その他の剥離剤と共に、メタクリル酸ステアリルとアクリロニトリルとのコポリマーが開示されている。」

摘記A3:第7頁第6?10行
「この剥離剤を含有する第一のオレフィンポリマーは、感圧接着剤のための剥離フィルムを形成させるために、第二のオレフィン系フィルムと共に同時押出される。」

摘記A4:第10頁第9?22行
「組合せにおいて、第一オレフィン系ポリマーは感圧接着剤のための比較的柔らかい剥離表面を提供し、他方、第二オレフィンポリマーは硬い支持体又は裏地を提供する。…剥離ライナーは、第二オレフィンポリマー側に接着剤がコーティングされ且つ第一オレフィンポリマー側によって剥離性が提供される自己巻きテープとしての働きをすることができる。」

摘記A5:第25頁第3?11行
「市場には、シリコーン被覆及びポリビニルオクタデシルカルバメート(PVOC)被覆フィルム又はテープのようないくつかのタイプの剥離テープがある。かかるデザインは、テープを形成する紙又はフィルム上への剥離の連続コーティングを必要とする。これは大きな労力を要し、所望の剥離レベルを達成するためにはコーティングの適用範囲及び被覆重量を注意深く制御しなければならない。本発明のテープを用いることによって、一工程同時押出プロセスで剥離フィルムが製作されるという利点がもたらされる。」

4.刊行物1に記載された発明
摘記1aの「紙、布、フィルム等からなる基材の上に、ポリオレフィン樹脂と、シリコーン樹脂とシリコーン系微粉末とからなる剥離剤組成物との混合物層が押出し積層されたことを特徴とする剥離シート。」との記載、摘記1cの「剥離剤は概ねポリオレフィン系樹脂に対して1?15重量%…混合され、ペレタイザーで混練ペレット化され、混合物押出層用樹脂とされる。」との記載、摘記1dの「かくして得られた混合物押出層用樹脂は押出ラミネーターにより基材上に押出され、基材上に剥離層を形成する。」との記載、及び摘記1eの「実施例1…基材として上質紙(クリーム色、坪量=74g/m^(2))を用い、通常の共押出しラミネーターにより、接着増強層用樹脂をダイス温度250℃、は混合物押出層(剥離層)用ペレットをダイス温度260℃で同時に押出し、基材層-接着増強層-混合物押出層(剥離層)の3層構造の積層体を作製した。…標準粘着テープ…(…初期接着力は950g/25mm)を…剥離シートと張り合わせ…た。」との記載からみて、刊行物1には、
『接着力を有する粘着テープに張り合わされる混合物押出層(剥離層)の作製方法であって、シリコーン樹脂とシリコーン系微粉末とからなる剥離剤組成物が、ポリオレフィン樹脂に対して混合され、混合物押出層用樹脂とされ、かくして得られた混合物押出層用樹脂は押出ラミネーターにより紙、布、フィルム等からなる基材上に押出され、基材上に剥離層を形成する、混合物押出層(剥離層)の作製方法。』についての発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「接着力を有する粘着テープに張り合わされる混合物押出層(剥離層)の作製方法」は、「ポリオレフィン樹脂」というプラスチックを成分とする「混合物押出層用樹脂」から形成される「層」の「作製方法」であって、「接着力を有する粘着テープ」に対して剥離できる「剥離層」の「作製方法」に関するものであるから、本願発明の「接着剤に対して剥離特性を有するプラスチック層の製造方法」に相当し、
引用発明の「シリコーン樹脂とシリコーン系微粉末とからなる剥離剤組成物」は、本願発明の「剥離剤」に相当し、
引用発明の「剥離剤組成物が、ポリオレフィン樹脂に対して混合され、混合物押出層用樹脂とされ」は、
第一に、その「剥離剤組成物」が「ポリオレフィン樹脂」に対して混合されて「混合物押出層」というプラスチックからなる「層」を構成するものであって、当該「混合物押出層」の内部に当該「剥離剤組成物」が配置され得るものと解されるから、本願発明と同様に「剥離剤がプラスチック層の内部に配置」されるものと解され、
第二に、その「剥離剤組成物」が「混合物押出層用樹脂」を構成する成分の一つとして共に「押出」されるものであることは、摘記1aの「ポリオレフィン樹脂と、…剥離剤組成物との混合物層が押出し積層され」との記載からも明らかであるから、本願発明と同様に「この層と共に押し出」されるものと解され、
第三に、平成23年2月24日付けの意見書の『エ.について 「強固」とは、上記した、例えば、ベースポリマーと拡散しうるシリコン油又はワックスとの物理的混合物である』との釈明を参酌するに、引用発明においても「ポリオレフィン樹脂」にシリコーン系の「剥離剤組成物」が物理的に混合されて「混合物押出層用樹脂」とされていることから、本願発明と同様に「剥離剤が…プラスチックマトリックス中に強固に埋め込まれ」ているものと解されるから、
本願発明の「剥離剤がプラスチック層の内部に配置され、この層と共に押し出され、剥離剤が…プラスチックマトリックス中に強固に埋め込まれており」に相当し、
引用発明の「かくして得られた混合物押出層用樹脂は押出ラミネーターにより紙、布、フィルム等からなる基材上に押出され」は、その「混合物押出層(用樹脂)」及び「基材」が本願発明の「プラスチック層」及び「支持体層」に相当し、その「押出ラミネーター」によって「混合物押出層」と「基材」が一緒になることも明らかであることから、本願発明の「プラスチック層が…支持体層と一緒に…される」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明は、『接着剤に対して剥離特性を有するプラスチック層の製造方法において、剥離剤がプラスチック層の内部に配置され、この層と共に押し出され、剥離剤がプラスチックマトリックス中に強固に埋め込まれており、プラスチック層が支持体層と一緒にされるプラスチック層の製造方法。』である点において一致し、
(α)支持体層が、本願発明においては「プラスチック」からなるのに対して、引用発明においては「紙、布、フィルム等」からなるものである点、
(β)一緒にする方法が、本願発明においては「同時押し出」であるのに対して、引用発明においては「押出ラミネーター」によるものである点、
の2つの点において相違している。

6.判断
上記相違点(α)及び(β)について検討する。

(1)相違点(α)について
相違点(α)について、引用発明の「フィルム等からなる基材」を構成する材料は、一般にプラスチックからなるのが普通であることから、この点に実質的な差異は認められない。
また、例えば、摘記2bの「支持体としては、…上質紙…などの各種紙類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成樹脂…などを指し、一般に剥離シートの支持体として使用できるものはすべて本発明においても使用できる」との記載、摘記A4の「第二オレフィンポリマーは硬い支持体又は裏地を提供する」との記載、及びポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂がプラスチックの一種であることを参酌するに、支持体の材料として「プラスチック」を選択することは、当業者にとって周知慣用の常套手段にすぎない。
してみると、支持体層の材料について、引用発明の「フィルム等からなる基材」を構成する材料として「プラスチック」を採用することは、当業者にとって格別の創意工夫を要することではない。

(2)相違点(β)について
相違点(β)について、例えば、摘記1eの「接着増強層用樹脂をダイス温度250℃、…混合物押出層(剥離層)用ペレットをダイス温度260℃で同時に押出し」との記載、及び摘記A3の「この剥離剤を含有する第一のオレフィンポリマーは、感圧接着剤のための剥離フィルムを形成させるために、第二のオレフィン系フィルムと共に同時押出される。」との記載を参酌するに、2つの層を「同時押し出」によって一緒にする同時押出法は、当業者にとって周知慣用の常套手段にすぎない。
してみると、2つの層を一緒にする方法について、引用発明の「押出ラミネーター」によるものから、周知慣用の「同時押し出」によるものに変更することは、当業者にとって格別の創意工夫を要することではない。

(3)本願発明の効果について
次に、本願発明の効果について検討するに、引用発明は、本願明細書の段落0004の「剥離剤がプラスチック層の内部に配置され、これと共に押し出し可能である」という構成と同じ構成を有するものであるから、本願明細書の段落0005の「これにより製造がかなり簡単になり、剥離特性の程度が容易に調節できる」という効果を必然的に奏するものと認められる。
そして、例えば、摘記A5には、「一工程同時押出プロセスで剥離フィルムが製作」された場合には、大きな労力を要することがないという利点がもたらされる旨の記載があるところ、同時押出法を採用した場合の利点については、当業者にとって技術常識の範囲内にすぎないから、本願発明に当業者にとって格別予想外の顕著な効果があるとは認められない。

(4)請求人の主張について
また、平成23年2月24日付け意見書の『引用文献のいずれにも、本願発明1の特徴である「層がプラスチックからなる支持体層と一緒に押し出される」ことは記載も示唆もない。…本願発明の「製造がかなり簡単になり、剥離特性の程度が容易に調整できる」…効果について記載も示唆もない』との主張について、支持体層をプラスチック素材で構成すること、及び2つの層を同時押出法で一緒にすることは、当業者にとって周知慣用の常套手段にすぎず、本願発明に当業者にとって格別予想外の顕著な効果がないことは、上記のとおりであるから、当該主張は採用できない。

(5)まとめ
以上総括するに、本願発明は、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である刊行物1に記載された発明(並びに刊行物2及び周知例Aに示される周知技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

7.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-24 
結審通知日 2011-07-06 
審決日 2011-07-20 
出願番号 特願平11-523091
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 泰之  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 木村 敏康
細井 龍史
発明の名称 プラスチック分離層  
代理人 二宮 浩康  
代理人 久野 琢也  
代理人 山崎 利臣  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 星 公弘  

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