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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1249320
審判番号 不服2008-11968  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-12 
確定日 2011-12-27 
事件の表示 特願2004-551991「カプセル封入された汚れ除去剤を含むチューイングガムおよび糖菓組成物、その製造方法および使用」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月27日国際公開、WO2004/043388、平成18年 2月23日国内公表、特表2006-506422〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成15年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成14年11月12日,米国(US))を国際出願日とする出願であって,平成20年2月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年5月12日に拒絶査定に対する不服審判の請求がなされるとともに,同年6月11日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年6月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年6月11日付けの手続補正(以下,「本件補正」という)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は,補正前の特許請求の範囲請求項1の記載(平成19年10月2日付け手続補正書によるもの):
「【請求項1】中核と,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングからなる汚れ除去チューイングガム組成物であって,
この中核およびコーティングの少なくとも1つが,水溶性ポリマー内にカプセル封入された陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の群から選択される少なくとも1つの汚れ除去剤の汚れを除去するのに有効な量を含有し,
このカプセル封入された汚れ除去剤が汚れ除去に有効な量を組成物から放出することを可能にする仕方で存在する上記の汚れ除去チューイングガム組成物。」を,
「【請求項1】中核と,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングからなる汚れ除去チューイングガム組成物であって,
この中核およびコーティングの少なくとも1つが,エチレンアクリル酸ポリマー,ポリビニルアルコールブロックポリマー,澱粉が加えられたポリエチレンポリマー,ポリラクテート,澱粉をベースとするポリマー,メチルメタクリレートポリマー,エチルメタクリレートポリマー,エチレンと一酸化炭素とのコポリマー,ヒドロキシプロピル化澱粉(アミロース70%),メチルセルロース,エチルセルロース,セルロースジアセテートで変性された天然ポリマー,押し出されたジャガイモ澱粉,カプロラクトンポリエステル,アクリルアミドブロックポリマー,エチレンオキサイドポリマー,ポリ(アクリロニトリル)ポリマー,ポリ(アクリルアミド)ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマー内にカプセル封入された陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の群から選択される少なくとも1つの汚れ除去剤の汚れを除去するのに有効な量を含有し,
このカプセル封入された汚れ除去剤が汚れ除去に有効な量を組成物から放出することを可能にする仕方で存在する上記の汚れ除去チューイングガム組成物。」
と補正することを含むものである。なお,下線部は補正箇所を示す。

2.補正の目的について
特許請求の範囲請求項1についての上記の補正は,「水溶性ポリマー」を,「エチレンアクリル酸ポリマー,ポリビニルアルコールブロックポリマー,澱粉が加えられたポリエチレンポリマー,ポリラクテート,澱粉をベースとするポリマー,メチルメタクリレートポリマー,エチルメタクリレートポリマー,エチレンと一酸化炭素とのコポリマー,ヒドロキシプロピル化澱粉(アミロース70%),メチルセルロース,エチルセルロース,セルロースジアセテートで変性された天然ポリマー,押し出されたジャガイモ澱粉,カプロラクトンポリエステル,アクリルアミドブロックポリマー,エチレンオキサイドポリマー,ポリ(アクリロニトリル)ポリマー,ポリ(アクリルアミド)ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマー」に限定するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について
そこで,本件補正後の特許請求の範囲請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先権主張日前に頒布された国際公開第01/067884号(以下,「刊行物1」という),特開平04-222558号公報(以下,「刊行物2」という)には,それぞれ下記の事項が記載されている。

ア.刊行物1(以下の摘示事項は,刊行物1に対応する特表2003-526352号公報より引用した訳文によるものである)
(1a)「【請求項1】コアと,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングとを含んでなる汚れ除去性チューインガム組成物であって,前記コア及びコーティングの少なくとも一つが(当審注:誤訳により,上記公報の訳文には「の少なくとも一つ」が欠けている),アニオン性及び非イオン性表面活性剤からなる群から選択される汚れ除去有効量の少なくとも1つの汚れ除去剤を含んでなり,前記汚れ除去剤が該汚れ除去剤の有効量が該組成物から放出されるのを可能にするやり方で存在している汚れ除去性チューインガム組成物。」(第23頁クレーム1,対応公報第2頁特許請求の範囲請求項1参照)

(1b)「練り磨き,うがい薬及び他の歯磨き組成物とは違って,ガム組成物は,送逹剤におけるユニークな問題を提示する。チューインガム組成物は,典型的には,そのガム組成物に嵩高さを提供する非水溶性ガムベースであるが,そのガムベースと相溶性を有する物質を必ず捕捉するガムベースを含んでなる。追加量の物質を添加することは,その物質がそのガム組成物の結着性,感覚性及び/又は味覚性に悪影響をもたらし得るので問題になる。」(第2頁22行?第3頁2行(注:ページ左端の行表示による,以下同じ),対応公報段落【0006】後段参照)

(1c)「従って,歯を包含する歯科材料の清浄化のための汚れ除去剤を提供することは,そのような汚れ除去剤がチューインガム組成物中に効果的に組み込まれて,有効量の汚れ除去剤を提供するやり方で咀嚼プロセス中にそこから放出されれば,当該技術分野において有意な進歩であろう。そうすれば,そのチューインガム組成物は,ユーザーに咀嚼の満足を与えるだけでなく,有益な歯科的効果も与えるであろう。」(第3頁3行?9行,対応公報段落【0007】前段参照)

(1d)「本発明のチューインガム組成物の1つの側面に従えば,汚れ除去剤は,チューインガム組成物の製造中に添加される,即ち,甘味料,フレーバー付与剤及びそれらに類したものと一緒に添加される。本発明の別の側面において,汚れ除去剤は,汚れ除去性チューインガム組成物の製造の諸終盤工程の1つ,好ましくは最終工程のときに添加される。出願人は,このプロセス変更が,汚れ除去剤をガムベースと直接混合するとしたら起こり得るような,汚れ除去剤の固い結合を伴うことなしに,汚れ除去剤をガム組成物中に取り込むことを確認した。かくして,単に緩くガム組成物中に含有されるに過ぎない汚れ除去剤は,典型的な咀嚼行為中に効果的に放出されることができる。かくして,汚れ除去剤の実質的部分はガムベースから自由である。」(第6頁6行?17行,対応公報段落【0012】後段参照)

(1e)「本チューインガム組成物発明の好ましい側面は,そのコートに汚れ除去剤を添加することである。汚れ除去剤は,好ましくはシロップコーティングの後に塗布される。次いで,汚れ除去剤でのコーティングの前に高強度甘味料をコートするのが好ましい。汚れ除去剤の塗布は,好ましくは,フレーバー付与剤溶液の塗布と交互に行われる。本発明の実施において,汚れ除去剤は,溶液として塗布されても,乾燥負荷として塗布されても,塗布可能な場合には溶融されて塗布されてもよい。脂肪酸塩には乾燥負荷が好ましいかもしれない。チューインガム組成物をコーティングするに際して,コーティングシロップの塗布は,平均ガム片重量が要求されるコーティング重量に到達するまで,好ましくは,コートが最終ペレット重量の20?30重量%を構成するまで続けられる。」(第9頁27行?第10頁7行,対応公報段落【0020】参照)

(1f)「表1に記載したチューインガム組成物のサンプル1及び2は,慣用法により製造された。ガムベースを加熱して,そのベースの物理的及び化学的構成に悪影響を及ぼすことなく十分に軟化させた。次いで,その溶融したガムベースと充填剤を混合釜に加えた。糖アルコール,グリセリン,フレーバー,及び高強度甘味料を混合しながら,汚れ除去剤を最後に添加して,均質混合物を得た。次いで,この混合物を混合釜から取り出して,慣用的な技術により,望まれる大きさの片にロールしてから等級化した。」(第13頁下から4行?第14頁4行,対応公報段落【0029】参照)

(1g)「ガムコアは,Aと同じ慣用法により製造された。溶融したガムベースと充填剤を混合釜に加えて混合を始めた。糖アルコール,グリセリン,フレーバー,及び高強度甘味料混合物を混合しながら少しずつ加えて均質混合物を得た。次いで,この混合物を混合釜から取り出して,慣用的な技術によりコアに形成した。
そのコアをコーティング鍋に入れて必要に応じてバラバラに壊した。70重量%のマルチトール,並びに二酸化チタン,アラビアガム及び水を含有するシュガーレス溶液を70?80℃に加熱した。コーティング鍋を連続的に回転させながら,その溶液を幾層にもガムコア片上にスプレーしかつスプレーの間に乾燥させて,滑らかで一様なガムコアのコートが確実にできるようにした。
最終ペレット重量の約8%までのコーティングを構築した。次いで,アセスルファームKを加えてから,上記のコーティング溶液でもう1層覆ってから乾燥させた。
水を65?75℃に加熱してから汚れ除去剤をゆっくり加えることにより,表2に示した汚れ除去剤の20%溶液を調製した。ゆっくり攪拌することで泡の生成を避けながら,透明な溶液が得られるまでその溶液を混合した。全コーティング操作中,その溶液を同じ温度に保った。
高強度甘味料層を乾燥した後,汚れ除去剤を含有する溶液及びフレーバー付与剤を交互に加えて,各々の層を次の層を塗布する前に乾燥させながら,全てのそれぞれの材料を加えた。コートが最終ペレット重量の24重量%を構成するまでそのコーティング溶液でこのコーティングプロセスを続けた。
次いで,25重量%の殻重量が得られるまで,慣用的な仕上げ溶液でそのコーティングの表面を覆った。次いで,そのペレットを,慣用的なやり方で艶出し鍋中でカンデリラワックスで艶出しした。」(第15頁1行?末行,対応公報段落【0032】【0033】参照)

イ.刊行物2
(2a)「【請求項1】a)粒状形態のフレーバーを含有するコア;および
b)このコアをカプセル化するマトリックス,ただし,このマトリックスは強力甘味料を含有する親水性重合体の外側コーティングを有し,外側コーティングは親水性重合体および強力甘味料の溶液から調整され,強力甘味料は重合体溶液中,溶液の約0.1?約50重量%の量で存在し,外側コーティングはコア重量の約2?約100重量%の量で存在するものとするを含有し;
c)このカプセル化するマトリックスがコア中のフレーバーを保護し,得られるフレーバーデリバリーシステムに苦味を生じさせることなく高濃度でのフレーバーの配合を可能にし,そして一貫した味の放出を助長するものである可食組成物に増強されたフレーバーおよび甘味を付与するための自由流動粒状デリバリーシステム。」(特許請求の範囲【請求項1】)

(2b)「【請求項13】下記段階:(1)請求項12記載の方法でフレーバーデリバリーシステムを調整すること;
(2)段階1で調整されたフレーバーデリバリーシステムをガムベースと残りのチューインガム成分との均質な混合物に添加すること;および
(3)得られた混合物を適当なチューインガム形状に成型すること,を包含する,改良されたフレーバー強度および持続性のあるフレーバー放出特性を有するチューインガム組成物の調整方法。」(特許請求の範囲【請求項13】)

(2c)「【0004】このような研究の一つの結果として,遊離のフレーバー油をガムベースに添加した場合には,初期フレーバー油の僅か約5?40%のみが咀嚼時にガムより放出されるということが解った。残存フレーバー油の80%もがガムベースに非可逆的に結合し,咀嚼により放出が不可能であると考えられる。」(段落【0004】)

(2d)「【0016】以上の方法の外に,Gergelyの米国特許4,452,821号は長時間に渡り延長されたフレーバー芳香および/または薬学的活性成分の供給を可能にするとされる,菓子製品,特にチューインガムに関するものである。これは,フレーバー,芳香または薬学的活性成分を,官能基を有するワックス,ただし固溶液の均質な混合物を形成するワックス,の中の固溶液または混合物として存在させることにより達成される。ワックスは実際には官能基を含んでおらず,フレーバー,芳香または薬学的活性成分とは実質的に非混和性である。」(段落【0016】)

(2e)「殆どの例においては,この種の変性フレーバーがチューインガム組成物に配合される場合,ガムベース,および,特にエラストマー成分がフレーバーを封鎖してしまうため,咀嚼中のフレーバー放出が妨げられる。更に従来からガム処方中に使用される可塑剤および軟化剤は,水分の取り込みを増大させ,それに伴いフレーバーの移行や損失も増大させる傾向を有するため,咀嚼時に放出されるはずのフレーバーの含有量が更に減少し,結果的に,放出時間や刺激も減少するのである。」(段落【0017】後段)

(2f)「フレーバー油を大量に配合した場合,得られる粒子は過剰に刺激のある苦い味を示し,オフノートが感じられる。逆に,このような苦みを回避するためにフレーバー強度を低下させると,粒子のフレーバー濃度が低下し,所望のフレーバー刺激を得るためには,特定の製品に大量の粒子を添加しなければならないという不都合が生じる。即ち,これらの試みの何れを用いた場合においても,それに関わらず,フレーバー刺激の持続性は制限されてしまう。」(段落【0018】後段)

(2g)「【0046】典型的には,液体フレーバーの液滴を形成し,次にこれを,ゼラチン,およびアラビアゴムのような付着性バインダー,およびグルタルアルデヒドのようなケラチン交叉結合剤,およびケイ酸ナトリウムから調整したマイクロカプセル中に入れる。」(段落【0046】前段)

(2h)「【0047】特定の実施態様においては,コアは噴霧乾燥のみ,または固体担体組成物と組合せて,種々のフレーバー組成物を用いて調整してよい。種々の従来の物質を用いてよいが,糖およびポリオールが噴霧乾燥フレーバーのために使用されている最も一般的な固体担体である。特定の粉末フレーバー組成物は何れにおいても本発明では重要ではない。一般的に,噴霧乾燥フレーバー組成物は,約50?95重量%の量で存在する担体を有し,残りはフレーバー油またはエッセンスで構成される。デリバリーシステムのコアは粉末フレーバー組成物である。フレーバー組成物の他に,甘味料,薬剤,充填剤等の付加的な成分も添加してよい。」(段落【0047】)

(2i)「【0049】本発明のコアおよびカプセル化マトリックスの両方とも,親水コロイドを用いて調整してよい。適当な親水コロイドは一般的にガム,ペクチン,アルギネート,粘液,膜形成炭水化物およびこれらの混合物よりなる群から選択してよい。特に親水コロイドは,アラビアゴム,トラガカント,カラヤ,ガッティ,寒天,アルギネート,カラジーナン,フセラン,サイリウムおよびこれらの混合物よりなる群から選択される物質であってよい。親水コロイドはまた,ポリビニルピロリドン,ゼラチン,デキストラン,キサンチン,カードラン,セルロース,メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,低メトキシペクチン,プロピレングリコールアルギネート,ポリデキストロース,変性澱粉,マルトデキストリンおよびこれらの混合物から選択してもよい。」(段落【0049】)

(2j)「【0051】外側コーティングが活性有効成分のための進歩した保護を与えると同時に,苦味や刺激を伴うことなく高濃度でフレーバーを含有できるために極めて増強された先行性のフレーバー供給も得られることが本発明の利点の一つである。」(段落【0051】前段)

(2k)「コーティングマトリックスは,フレーバーの他に,甘味料,薬剤および保護,制御放出または味マスキングのためのコーティングを必要とするその他の粒状物質のようなコア物質に対して有用である。」(段落【0059】後段)

(2)対比
上記刊行物1には,「コアと,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングとを含んでなる汚れ除去性チューインガム組成物であって,前記コア及びコーティングの少なくとも一つが,アニオン性及び非イオン性表面活性剤からなる群から選択される汚れ除去有効量の少なくとも1つの汚れ除去剤を含んでなり,前記汚れ除去剤が該汚れ除去剤の有効量が該組成物から放出されるのを可能にするやり方で存在している汚れ除去性チューインガム組成物。」(上記記載(1a)参照)に係る発明が記載されている。

そこで,本願補正発明と上記刊行物1に記載された発明(以下,「刊行物1記載の発明」という)とを比較すると,上記刊行物1記載の発明における「コア」は,本願補正発明における「中核」に相当するから,両者は,

「中核と,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングからなる汚れ除去チューイングガム組成物であって,
この中核およびコーティングの少なくとも1つが,陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の群から選択される少なくとも1つの汚れ除去剤の汚れを除去するのに有効な量を含有し,
この汚れ除去剤が汚れ除去に有効な量を組成物から放出することを可能にする仕方で存在する上記の汚れ除去チューイングガム組成物」
である点で一致し,一方,下記の点で相違する。

(相違点)
本願補正発明においては,陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の群から選択される少なくとも1つの汚れ除去剤の汚れを除去するのに有効な量が,「エチレンアクリル酸ポリマー,ポリビニルアルコールブロックポリマー,澱粉が加えられたポリエチレンポリマー,ポリラクテート,澱粉をベースとするポリマー,メチルメタクリレートポリマー,エチルメタクリレートポリマー,エチレンと一酸化炭素とのコポリマー,ヒドロキシプロピル化澱粉(アミロース70%),メチルセルロース,エチルセルロース,セルロースジアセテートで変性された天然ポリマー,押し出されたジャガイモ澱粉,カプロラクトンポリエステル,アクリルアミドブロックポリマー,エチレンオキサイドポリマー,ポリ(アクリロニトリル)ポリマー,ポリ(アクリルアミド)ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマー内にカプセル封入」されて,中核およびコーティングの少なくとも1つに含有されているのに対して,刊行物1記載の発明においては,アニオン性及び非イオン性表面活性剤からなる群から選択される汚れ除去有効量の少なくとも1つの汚れ除去剤が,単にコア及びコーティングの少なくとも一つに含まれている点。

(3)相違点についての検討及び判断
刊行物1記載の発明においては,チューインガム組成物の非水溶性ガムベースがそのガムベースと相溶性を有する物質を補足してしまうという問題があり,そのために物質をさらに追加すると,今度はその追加された物質がガム組成物の結着性や感覚性,味覚性に悪影響を及ぼすという問題のあることが指摘され(上記記載(1b)参照),そして,歯の清浄化のための汚れ除去剤をチューインガム組成物に含有させるときは,汚れ除去剤が組成物中に効果的に組み込まれて,有効量の汚れ除去剤を咀嚼プロセス中に放出されるようにすれば効果的であることが記載されている(上記記載(1c)参照)。
具体的には,チューインガム組成物に添加される汚れ除去剤はチューインガム組成物の製造の最終工程に添加されることが望ましく,このような場合,汚れ除去剤は固い結合を伴うことなく単に緩くガム組成物中に含有されるため,咀嚼行為中に汚れ除去剤が効果的に放出されることが記載され(上記記載(1d)参照),コートなしのガムの場合は製造工程の最後に汚れ除去剤を添加し(上記記載(1f)参照),コート有りの場合はシロップコーティングの後に汚れ除去剤とフレーバー付与剤の塗布を交互に行うことが記載されている(上記記載(1e)(1g)参照)。
一方,上記刊行物2には,フレーバーを含有するコアと,これをカプセル化するマトリックスからなり,このカプセル化するマトリックスがコア中のフレーバーを保護し,苦みを生じさせることなく高濃度のフレーバーの配合を可能にし,一貫した味の放出を助長するフレーバーデリバリーシステムが記載されており(上記記載(2a)参照),このフレーバーデリバリーシステムをガムベースとチューインガム成分との混合物に添加してチューインガム組成物を調整することが記載されている(上記記載(2b)参照)。また,カプセル化されるフレーバーは液体(上記記載(2g)参照)でも粉末(上記記載(2h)参照)でもよいこと,カプセル化マトリックスは親水コロイドを用いて調整してもよいことが記載され,例としてメチルセルロースやエチルセルロースなどの水溶性ポリマーが挙げられている(上記記載(2i)参照)。
そしてこのようなフレーバーデリバリーシステムを開発した経緯には,遊離のフレーバー油をガムベースに添加した場合は,初期のフレーバー油の5?40%のみが咀嚼時に放出されるだけで残存フレーバー油の80%がガムベースに非可逆的に結合して咀嚼による放出を不可能にしているという問題があったこと(上記記載(2c)参照),またワックス中にフレーバーを固溶液又は混合物として存在させた変性フレーバーをチューインガム組成物に配合した場合(上記記載(2d)参照)においても,ガムベースのエラストマー成分がフレーバーを封鎖し,かつ組成物中の可塑剤や軟化剤が水分の取り込みを増大させてフレーバーの移行や損失を増大させるため咀嚼時に放出されるフレーバー量が更に減少してしまうこと(上記記載(2e)参照),そのためにフレーバー油を大量に配合した場合は苦みやオフノートが感じられる(上記記載(2f)参照)という問題点のあったことが記載されている。
ここで,刊行物1記載のチューインガム組成物と,刊行物2に記載されているチューインガム組成物は,汚れ除去剤とフレーバーという配合成分の違いはあるものの,有効成分の大半がガムベースと結合することにより咀嚼中に放出される量が減少し,これを補うべく多量の有効成分を配合しようとすると苦みなどを生ずる等の問題点があることでは共通しているものであり,刊行物2に記載されているチューインガム組成物が,フレーバーを含有するコアとこれをカプセル化するマトリックスからなる構成を有することにより,苦みを生じさせることなく高濃度のフレーバーの配合を可能にし一貫した味の放出を可能にするという効果が得られる(上記記載(2a)(2j)参照)のであれば,同じ問題点を有しているチューインガム組成物中への汚れ除去剤の配合において,同様な効果を得ることを目的として,刊行物2に記載されている技術的事項を応用することは容易である。
加えて,刊行物2には,従来においてもフレーバー芳香とともに薬学的活性成分の供給が試みられていたことが記載され(上記記載(2d)参照),さらに,コア物質として,フレーバーのみならず甘味料,薬剤,及び保護・制御放出または味マスキングのためのコーティングを必要とするその他の物質なども添加してもよい旨の記載(上記記載(2h)(2k)参照)があることから,このようなフレーバー以外の物質として歯面への有効成分であるところの歯の汚れ除去剤を着想することも容易である。
したがって,刊行物1記載の発明において,汚れ除去剤をメチルセルロースやエチルセルロースなどの水溶性ポリマーからなるカプセル内に封入してチューイングガム組成物の中核あるいはコーティングに含有させること,すなわち上記相違点に挙げられた構成を採用することは,当業者であれば容易になし得ることであり,このような構成を採用した効果も予測される範囲内のものにすぎない。

なお,請求人は請求の理由において,「引用文献2のカプセル化剤は本願記載の糖類,炭水化物,ガム,セルロースに相当するので,本願記載の水溶性ポリマーとは区別されるべきである。」と主張しているが,本願明細書段落【0028】に記載されている「水溶性ポリマー」はその定義が明確でなく(例えば,メチルセルロース,エチルセルロースは引用例2においても用いられているものであり,また,メチルメタクリレートポリマー,エチルメタクリレートポリマーなど,通常水溶性ポリマーには分類されないポリマーも含まれ,さらに,糖類,炭水化物,ガム,セルロースのなかでも水溶性ポリマーに分類されるものも存在する),かつ,「水溶性ポリマー」として実際にどのようなポリマーを使用したかも明らかでないことから,引用文献2に記載されているカプセル化剤と本願補正発明において用いられている「水溶性ポリマー」とを区別することはできず,請求人の上記主張は理由がないものである。

したがって本願補正発明は,刊行物1及び2に記載された発明,及び本願の優先権主張日前周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成20年6月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1ないし30に係る発明は,平成19年10月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし30に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,請求項1に係る発明は以下のとおりである。
「【請求項1】中核と,少なくとも1つの層を有する任意のコーティングからなる汚れ除去チューイングガム組成物であって,
この中核およびコーティングの少なくとも1つが,水溶性ポリマー内にカプセル封入された陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤の群から選択される少なくとも1つの汚れ除去剤の汚れを除去するのに有効な量を含有し,
このカプセル封入された汚れ除去剤が汚れ除去に有効な量を組成物から放出することを可能にする仕方で存在する上記の汚れ除去チューイングガム組成物。」(以下,「本願発明」という)

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物およびその記載事項は,前記「第2 3.(1)引用刊行物の記載事項」に記載したとおりである。

3.本願発明と刊行物1記載の発明との対比・判断
前記「第2 3.(2)対比」及び「第2 3.(3)相違点についての検討及び判断」において検討した本願補正発明は,上記本願発明において,「水溶性ポリマー」を,「エチレンアクリル酸ポリマー,ポリビニルアルコールブロックポリマー,澱粉が加えられたポリエチレンポリマー,ポリラクテート,澱粉をベースとするポリマー,メチルメタクリレートポリマー,エチルメタクリレートポリマー,エチレンと一酸化炭素とのコポリマー,ヒドロキシプロピル化澱粉(アミロース70%),メチルセルロース,エチルセルロース,セルロースジアセテートで変性された天然ポリマー,押し出されたジャガイモ澱粉,カプロラクトンポリエステル,アクリルアミドブロックポリマー,エチレンオキサイドポリマー,ポリ(アクリロニトリル)ポリマー,ポリ(アクリルアミド)ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマー」に限定するものであり,言い換えれば本願発明の構成要件にさらなる構成要件を付加したものである。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 3.(3)相違点についての検討及び判断」において検討したとおり,刊行物1及び2に記載された発明並びに本願の優先権主張日前周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることから,本願発明も同様の理由により,刊行物1及び2に記載された発明並びに本願の優先権主張日前周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,本願の優先権主張日前に頒布された上記刊行物1及び2に記載された発明並びに本願の優先権主張日前周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-14 
結審通知日 2011-07-26 
審決日 2011-08-09 
出願番号 特願2004-551991(P2004-551991)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 關 政立  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 秋月 美紀子
▲高▼岡 裕美
発明の名称 カプセル封入された汚れ除去剤を含むチューイングガムおよび糖菓組成物、その製造方法および使用  
代理人 結田 純次  
代理人 三輪 昭次  
代理人 高木 千嘉  
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