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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1250315
審判番号 不服2010-25339  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-10 
確定日 2012-01-10 
事件の表示 特願2009-262347「電子部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月12日出願公開、特開2010- 34606〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年6月30日に出願した特願2005-192116号の一部を平成21年2月14日に新たな特許出願(特願2009-32082号)とし、さらにその出願の一部を平成21年11月17日に新たな特許出願(特願2009-262347号)としたものであって、平成22年8月6日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成22年11月10日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成22年7月20日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。
「フィーダベース上に部品取出位置まで収納テープ内の電子部品を供給する部品供給ユニットを複数並設して、この部品供給ユニットより供給された電子部品を吸着ノズルが取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、前記部品供給ユニットに装填された収納テープ内の電子部品の残数を管理し、電子部品の残数が所定の数になると古い収納テープに新しいテープを連結するスプライシングが必要であることを報知させる管理装置と、この管理装置による電子部品の残数が所定の数になり電子部品が前記所定の数供給された後に当該部品供給ユニットが処理する収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取出す前記吸着ノズルが下降して取出す位置を補正するように制御する制御装置とを設けたことを特徴とする電子部品装着装置。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は、次のとおりである。
1.特開2004-165273号公報(以下、「引用例1」という。)
2.特開2005-101586号公報(以下、「引用例2」という。)

(1)引用例1の記載事項
引用例1には、「電子回路部品装着システム」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「図1に本発明の一実施形態である電子回路部品装着システムを概略的に示す。10は本電子回路部品装着システムのベッドである。ベッド10上には、回路基板たるプリント配線板12をX軸方向(図1においては左右方向)に搬送する配線板コンベヤ14,基板保持装置たるプリント配線板保持装置16,部品装着装置18および部品供給装置20,22等が設けられている。部品装着装置18によって部品供給装置20,22から電子回路部品が取り出され、プリント配線板保持装置16に保持されたプリント配線板12に装着されることにより、電子回路が構成される。」(段落【0028】)
イ.「部品装着装置18を説明する。部品装着装置18は、部品保持装置30(図2参照)が部品保持装置移動装置32により、互いに直交するX軸方向およびY軸方向の成分を有する方向に直線移動させられて電子回路部品34(以下、部品34と略称する)を搬送し、プリント配線板12の装着面ないし上面である表面に装着するものとされている。そのため、部品保持装置移動装置32は、図1および図2に示すように、X軸スライド40およびX軸スライド移動装置42と、X軸スライド40上に設けられているY軸スライド44およびY軸スライド移動装置46とを備えている。X軸スライド移動装置42は、駆動源たるX軸スライド移動用モータ50,運動変換装置たるボールねじ52およびナット(図示省略)を備え、X軸スライド40をX軸方向に移動させる。Y軸スライド移動装置46は、駆動源たるY軸スライド移動用モータ54,運動変換装置たるボールねじ56およびナットを備え、Y軸スライド44をY軸方向に移動させる。
部品保持装置30は、Y軸スライド44上に設けられ、プリント配線板12の表面に平行な水平面内の任意の位置へ移動させられる。Y軸スライド44には、部品保持装置30,部品保持装置30を昇降させる部品保持装置昇降装置(図示省略),部品保持装置30をその軸線まわりに回転させる部品保持装置回転装置(図示省略)が設けられており、これら部品保持装置30等が部品装着ユニット58を構成している。部品装着ユニット58は、本実施形態においては、特開平4-372199号公報に記載の部品装着ユニットと同様に構成されており、説明を省略する。
Y軸スライド44にはまた、プリント配線板12に設けられた基準マークを撮像する撮像装置を構成する基準マークカメラ60および撮像時に基準マークおよびその周辺を照明する照明装置(図示省略)が設けられている。」(段落【0030】?【0032】)
ウ.「部品供給装置20は、部品供給テーブル90を備えている。部品供給テーブル90は、フィーダ支持台92と、フィーダ支持台92に着脱可能に取り付けられた複数のフィーダ82とを備え、位置を固定して設けられている。フィーダ支持台92は固定台である。複数のフィーダ82は、部品34をテープ化部品100の状態で保持し、フィーダ支持台92に、各供給部(供給位置)がX軸方向に並ぶ状態で搭載されている。なお、複数のフィーダをパレットに搭載し、パレットを支持台に取り外し可能に搭載するようにしてもよい。」(段落【0035】)
エ.「フィーダ82は、テープ化部品100を保持するテープ保持装置120(図2参照),送り装置122(図3参照)およびキャリヤテープ102から剥がされたカバーテープ104を収容するカバーテープ収容装置124(図3参照)等を備えている。フィーダ82は、特開2002-33596公報に記載のフィーダと同様に構成されており、詳細な説明は省略する。送り装置122は、テープ化部品100をフィーダ本体126の長手方向である(キャリヤテープ102ないしテープ化部品100の長手方向でもある)Y軸方向に一定ピッチずつ送るものであり、収容凹部106に保持された部品34が順次、供給部に位置決めされる。供給部は、部品34を供給するとき、前記部品装着装置18の部品受取位置に位置決めされた部品保持装置30の下方に位置し、部品保持装置30に部品34を供給する部分(位置)である。フィーダ82にはまた、図3に示すように、互いに接続された2つのテープ化部品100の接続部を検出する接続部検出装置132が設けられているが、これについては後に詳述する。
部品34の供給が進んでリール110に巻き付けられたテープ化部品100が終わりに近づけば、作業者がテープ化部品100を補給する。テープ化部品100が終わりに近づいた先のリール110(「先行テープ化部品100」と称する。)をテープ保持装置120から外すとともに、先行テープ化部品100をリール110から外し、次にテープ化部品100を供給する別のリール110(「後続テープ化部品100」と称する。)をテープ保持装置120に保持させるとともに、後続テープ化部品100の始端部をリール110から引き出し、図6に示すように、先行テープ化部品100の終端部140と、後続テープ化部品100の始端部142とを、接続部材たる接続片150と、同じく接続部材たる接続テープ152とにより接続(スプライシング)する。」(段落【0039】、【0040】)
オ.「本実施形態における接続テープ152は、送り方向における後端部(後続テープ化部品100の始端部142に貼り付けられる側の部分)にテープ化部品コードとしての二次元コード170が設けられている。つまり、接続テープ152は、コード付接続部材の一種であるコード付接続テープなのである。二次元コード170は、本実施形態では、後続テープ化部品100の部品34の型番,寸法,保持されている個数(部品34を1個も供給していない新品のテープ化部品100が保持する部品34の個数),テープ化部品100の幅,部品34の保持ピッチ,テープ化部品100の種類(エンボスキャリヤ型であるかパンチキャリヤ型であるか等),メーカ名,製造ロット番号等を表す。つまり、後続テープ化部品100のリール110に設けられたバーコード112と同じ情報を表すものである。二次元コード170の付設方法等については後に説明する。
接続部検出装置132は、後に説明するテープ化部品コード認識装置たるIDデコーダによって二次元コード170の認識が可能な状態にあることを検出する認識可能状態検出装置の一例である。」(段落【0043】、【0044】)
カ.「本電子部品装着システム12は、図9に示す制御装置200により制御される。制御装置200は、コンピュータ202を主体とするものであり、コンピュータ202は、CPU204,ROM206,RAM208,入力ポート210および出力ポート212がバスラインにより接続されたものである。入力ポート210には、前記基準マークカメラ60,部品カメラ72により撮像された画像のデータを解析する画像処理コンピュータ216,ホストコンピュータ218,接続部検出装置132,IDデコーダ190等、各種コンピュータおよび検出器や入力装置224等が接続されている。」(段落【0046】)
キ.「上記制御装置200とホストコンピュータ218とは共同して部品供給装置20,22の各フィーダ82およびトレイ84における部品34の残数管理を行う機能を有している。ホストコンピュータ218には、各フィーダ82,トレイ84の識別コードに対応付けてそれらに収容されている部品34の数である残数を記憶している部品残数メモリが設けられており、各フィーダ82,トレイ84が部品供給装置20,22に搭載される毎に、それらに現に収容されている部品34の数量である部品残数のデータを制御装置200に供給する。制御装置200は、それら供給された部品残数を記憶するとともに、各フィーダ82やトレイ84から部品34が1個供給される毎に1ずつ減ずることにより、部品残数のデータを更新する。また、後続テープ化部品100(あるいは新たなトレイ84)による部品供給が開始される毎に、部品残数のデータを後続テープ化部品100(あるいは新たなトレイ84)に保持されている正規の部品数のデータにリセットする。
上記「後続テープ化部品100による部品供給の開始」は種々の方法で検出することができるが、本実施形態においては、接続部検出装置132により2つのテープ化部品100の接続部が検出された後、先行テープ化部品100により所定数の部品34が供給された事実の検出によって検出される。接続部検出装置132により接続部が検出された際に、その接続部から部品供給位置まで延びる先行テープ化部品100に保持されている部品34の数は既知であるため、その既知の数の部品34が供給されたということは、後続テープ化部品100の始端が部品供給位置に達し、後続テープ化部品100による部品34の供給が開始されるということなのである。」(段落【0050】、【0051】)
ク.「また、部品34の供給が進んでリール110に巻き付けられたテープ化部品100が終わりに近づけば、制御装置200がその事実を作業者に報知する。具体的には、各フィーダ82,トレイ84の部品残数が設定数以下になった場合に、その旨を表示画面に表示するとともに、報知装置246を作動させるのである。作業者は、それに応じて、テープ化部品100の補給を行う。」(段落【0053】)
ケ.「本電子回路部品装着システムにおいて、プリント配線板12への部品34の装着時には、部品保持装置30が部品保持装置移動装置32によりフィーダ82の供給部へ移動させられ、前記部品保持装置昇降装置により下降させられて部品34を保持する。そして、部品保持装置30はプリント配線板12へ移動させられるのであるが、その途中で部品撮像システム70に至り、部品34が部品カメラ72により撮像されて中心位置誤差および回転位置誤差が取得される。回転位置誤差は、部品保持装置30が前記部品保持装置回転装置によって回転させられることにより修正され、中心位置誤差は、部品保持装置30の移動距離の修正により修正される。この際、基準マークの撮像に基づいて取得されたプリント配線板12の被装着位置の位置誤差および回転位置誤差の修正により生ずる部品34の中心位置のずれが合わせて修正される。そして、部品保持装置30は被装着位置上へ移動させられ、部品保持装置昇降装置により下降させられて部品34をプリント配線板12に装着する。」(段落【0055】)
コ.「部品34の供給が進み、フィーダ82のリール110に巻き付けられたテープ化部品100が少なくなってくれば、その事実が報知装置246および表示画面により報知され、それに応じて部品が少なくなったフィーダ82において部品34の補給が行われる。部品が少なくなったフィーダ82(接続可能フィーダ82)についてテープ化部品100の接続が作業者により行われる。部品切れが生ずる前にテープ化部品100の接続が可能であることが作業者に報知されるのであり、作業者はその報知に応じて、部品切れが発生する前に接続作業を行って部品34を補給することができる。接続可能フィーダ82におけるテープ化部品100の接続により、部品切れの発生が回避され、あるいは低減させられる。また、接続作業は表示画面の表示に従って、迅速かつ的確に行われる。また、接続可能フィーダ82の報知および接続可能フィーダ82におけるテープ化部品100の接続により部品34の補給が早めに行われ、補給遅れの発生が回避され、供給の信頼性が向上する。本電子回路部品装着システムにおいては、部品供給装置20が位置を固定して設けられているため、部品34の供給中であっても休止中であっても、テープ化部品100の接続作業を行うことができる。なお、作業者は、接続可能フィーダ82が1つ生じたときに接続を行ってもよく、設定数以上生じた場合に接続を行ってもよい。」(段落【0056】)
サ.「次に、RAM208に記憶された誤接続防止プログラムを図11のフローチャートに基づいて説明する。本誤接続防止プログラムにおいては、まずS10において、接続可能フラグがONにセットされているか否かが判定される。前述のように、いずれかのフィーダ82において部品残数が設定数以下になれば、先行テープ化部品100に後続テープ化部品100を接続することが可能になったことが作業者に報知されるが、それと同時に接続可能フラグがONにセットされる。しかし、通常は接続可能フラグはOFFであるため、S10の判定がNOとなり、誤接続防止プログラムの1回の実行が終了させられる。それに対して、S10の判定がYESになれば、S11において、接続部検出装置132により接続部が検出されたか否かが繰り返し実行される。上記接続可能報知に基づいて作業者がテープ化部品100の接続を行うため、やがて接続部が検出され、S11の判定がYESとなる。このときには、IDデコーダ190と接続テープ142に設けられた二次元コード170とが丁度正対する状態となっているため、S12において、IDデコーダ190によって接続テープ142に設けられた二次元コード170が認識される。
続いて、S13において、認識された二次元コード170が、設定テープ化部品コード識別コードたる先行テープ化部品コードと一対一に対応するものであるか否かが判定される。先行テープ化部品コードは、前述のように、フィーダ82のフィーダ支持台92への搭載時にバーコードリーダ230により読み取られてRAM208に記憶されたリール110のバーコード112の内容である。したがって、S13の判定がYESであれば、予定通りのテープ化部品100が接続されたこととなり、S14で接続可能フラグがリセットされ、そのまま供給作業が続けられる。それに対して、S13の判定がNOの場合には、誤ったテープ化部品100が接続されたことになり、その旨がS15で作業者に報知されるとともに、S16において、部品34の供給が停止させられる。」(段落【0058】、【0059】)
シ.「テープ化部品コード認識装置は、二次元コード170を認識するための専用のIDデコーダ190とされていたが、撮像装置を構成するCCDカメラで二次元コードを認識してもよい。例えば、基板基準マークを撮像する基準マークカメラを利用してテープ化部品コードを認識させてもよい。」(段落【0067】)
ス.上記キの「上記『後続テープ化部品100による部品供給の開始』は種々の方法で検出することができるが、本実施形態においては、接続部検出装置132により2つのテープ化部品100の接続部が検出された後、先行テープ化部品100により所定数の部品34が供給された事実の検出によって検出される。接続部検出装置132により接続部が検出された際に、その接続部から部品供給位置まで延びる先行テープ化部品100に保持されている部品34の数は既知であるため、その既知の数の部品34が供給されたということは、後続テープ化部品100の始端が部品供給位置に達し、後続テープ化部品100による部品34の供給が開始されるということなのである。」との記載、及び上記クの摘記事項からみて、引用例1には、制御装置200による部品34の残数が所定の数になり部品34が前記所定の数供給された後に後続テープ化部品100からの部品供給が開始される点が記載されているといえる。

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「フィーダ支持台92上に部品受取位置までテープ化部品100内の電子回路部品34(以下、「部品34」という。)を供給するフィーダ82を複数並設して、このフィーダ82より供給された部品34を部品保持装置30が保持してプリント配線板12上に装着する電子回路部品装着システムにおいて、前記フィーダ80に装填されたテープ化部品100内の部品34の残数を管理し、部品34の残数が所定の数になると先行テープ化部品100に後続テープ化部品100を接続するスプライシングが必要であることを報知させる制御装置200を設け、この制御装置200による部品34の残数が所定の数になり部品34が前記所定の数供給された後に後続テープ化部品100からの部品供給が開始される電子回路部品装着システム。」

(2)引用例2の記載事項
引用例2には、「電子部品実装機における電子部品の吸着位置補正装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
セ.「この発明は、テープフィーダ等により順次送り出される電子部品を適正位置で吸着するための電子部品実装機における電子部品吸着補正装置に関する。」(段落【0001】)
ソ.「この発明の課題は、テープフィーダに取り付けるテープに設けられた送り穴間のピッチのバラツキ、送り穴と部品収納穴との間の距離のバラツキ等により生じる電子部品の吸着位置のずれがあっても、部品収納穴の中心で電子部品を安定して吸着できる電子部品の吸着位置補正装置を提供することにある。」(段落【0004】)
タ.「次に、この発明の電子部品の吸着位置補正装置について説明する。
この発明の電子部品の吸着位置補正装置は、前記テープ10Aの部品収納穴11に収納された電子部品11Cをピッチ送りする前記テープフィーダ10と、電子部品11Cを吸着し、基板P上へ搭載する複数の吸着ノズル7を備えた吸着ヘッド6と、吸着ヘッド6に設けられ前記テープ10Aの部品収納穴11を認識する認識カメラ8と、CRT等の表示装置12に予め記憶されたテープ10Aの電子部品収納穴11の中心基準位置11Aの位置をマーク表示すると共に,認識カメラ8による電子部品収納穴11の撮像画像を表示する。そして、予め記憶されたテープ10Aの電子部品収納穴11の中心基準位置11A(図4参照)と前記認識カメラ8による検出画像から求めた電子部品収納穴11の中心位置11Bとの位置ずれを算出する。続いて、前記電子部品収納穴11の中心基準位置11Aの座標を変更補正する指令を出力する制御部19(図5参照)と、この位置ずれ量を記憶する記憶装置29(図5参照)と、前記制御部19による吸着ノズルの吸着位置座標を変更する指令を入力するスイッチ手段13とから構成される。」(段落【0010】)
チ.「テープ部品の架け替えのために部品供給部2にテープフィーダ10を取り付ける(ステップ1)。テープ10Aを取り替えると図4示すようなテープフィーダ10では、予め記憶されたテープ10Aの部品収納穴11の中心基準位置11Aと実際の部品収納穴11の中心位置11Bとの間で,位置ズレが生じている場合がある。」(段落【0012】)
ツ.「次に、制御部19は、前記予め記憶された部品収納穴11の基準中心位置11Aと認識カメラ8により撮像された部品収納穴11の検出画像から検出した部品収納穴11の中心位置11Bとの位置ズレを算出する。
制御部19は、吸着位置座標としての基準中心位置11Aの座標の変更を行う(ステップ8)。制御部19は認識カメラ8を部品収納穴11の上方から退避させた後、吸着ヘッド6を移動し吸着ノズルを電子部品の上方に移動する。
その後、実装機の動作指令を行えば,制御部19から吸着ヘッド6に対して、先に算出した位置ズレ量に基づく吸着位置補正座標としての基準中心位置11Aの座標に基づいて吸着ノズル7は、テープの部品収納穴11の基準中心位置11A上方に配置され、その後吸着ノズル7がZ軸モータ21により下降し、部品Cを吸着した後、上昇して電子部品を部品収納穴11から取り出す。
この状態で、認識カメラ9にて部品Cの位置認識をし(既知の方法にて実施)、実装する基板上まで移送し、電子部品の装着動作を行う。」(段落【0016】)

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、その意味、機能又は作用などからみて、後者の「フィーダ支持台92」は前者の「フィーダベース」に相当し、以下同様に、「部品受取位置」は「部品取出位置」に、「テープ化部品100」は「収納テープ」に、「電子回路部品34」又は「部品34」は「電子部品」に、「フィーダ82」は「部品供給ユニット」に、「部品保持装置30」は「吸着ノズル」に、「保持して」は「取出して」に、「プリント配線板12」は「プリント基板」に、「電子回路部品装着システム」は「電子部品装着装置」に、「先行テープ化部品100」は「古い収納テープ」に、「後続テープ化部品100」は「新しいテープ」に、「接続する」は「連結する」に、「制御装置200」は「管理装置」に、それぞれ相当する。
してみると、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「フィーダベース上に部品取出位置まで収納テープ内の電子部品を供給する部品供給ユニットを複数並設して、この部品供給ユニットより供給された電子部品を吸着ノズルが取出してプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、前記部品供給ユニットに装填された収納テープ内の電子部品の残数を管理し、電子部品の残数が所定の数になると古い収納テープに新しいテープを連結するスプライシングが必要であることを報知させる管理装置を設けた電子部品装着装置。」
そして、両者は、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明は、「この管理装置による電子部品の残数が所定の数になり電子部品が前記所定の数供給された後に当該部品供給ユニットが処理する収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取出す前記吸着ノズルが下降して取出す位置を補正するように制御する制御装置と」を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

5.判断
上記相違点について検討する。
引用例1には、「部品が少なくなったフィーダ82(接続可能フィーダ82)についてテープ化部品100の接続が作業者により行われる。部品切れが生ずる前にテープ化部品100の接続が可能であることが作業者に報知されるのであり、作業者はその報知に応じて、部品切れが発生する前に接続作業を行って部品34を補給することができる。」(上記コ参照)と記載されている。作業者が手作業で、先行テープ化部品100に後続テープ化部品100を接続した場合、接続箇所で部品収納部に位置ズレが生じる可能性が高いことは当業者ならば当然に予測し得ることであり、その場合、吸着ノズルと電子部品との間に位置ズレが生じてしまい、部品吸着ミスが発生し吸着率が悪くなることは、当業者にとって自明の事項であるから、引用発明においても、吸着ノズルと電子部品との間の位置ズレの問題は、自明の課題ということができる。
また、引用例1には、「後続テープ化部品100による部品供給の開始」が「制御装置200による部品34の残数が所定の数になり部品34が前記所定の数供給された後」であることが記載されている(上記ス参照)。そして、この「後続テープ化部品100による部品供給の開始」は、位置ズレの発生の可能性が急に高くなることを意味するものである。
さらに、引用例1には、「基板基準マークを撮像する基準マークカメラを利用してテープ化部品コードを認識させてもよい。」(上記シ参照)と記載されており、「プリント配線板12に設けられた基準マークを撮像する撮像装置を構成する基準マークカメラ60」(上記イ参照)を、収納テープを撮像するための認識カメラとして利用することが記載又は示唆されている。
一方、引用例2には、「テープに設けられた送り穴間のピッチのバラツキ、送り穴と部品収納穴との間の距離のバラツキ等により生じる電子部品の吸着位置のずれがあっても、部品収納穴の中心で電子部品を安定して吸着できる」(上記ソ参照)ようにすることを課題としていることが記載されており、上記ソ?チに摘記した事項から明らかなように、テープ部品の架け替えのためにテープ10Aを取り替えると、部品収納穴11に位置ズレが生じている場合があるので、その場合、認識カメラ8で部品収納穴11を撮像して部品収納穴11の位置ズレを算出し、それに結果に基づいて吸着ノズルの位置を補正することが記載されている。即ち、引用例2には、本願発明の用語を用いて表現すれば、「部品供給ユニットが処理する収納テープの電子部品を収納する収納凹部を撮像する認識カメラと、この認識カメラが撮像した画像を認識処理する認識処理装置と、この認識処理装置の認識処理結果に基づいて当該部品供給ユニットの電子部品を取出す前記吸着ノズルが下降して取出す位置を補正するように制御する制御装置」が記載されている。
そして、引用例2に記載された発明は、電子部品装着装置に関するものであり、引用発明と同一技術分野に属するものである。また、引用例2に記載された発明は、吸着ノズルと収納凹部との位置ズレを防止するという課題を有している点で、引用発明と課題が共通するものである。
そうすると、引用発明において、部品保持装置30(吸着ノズル)と部品34(電子部品)との間の位置ズレの課題を解決するために、引用例2に記載された発明を適用し、位置ズレが発生する時点、即ち、後続テープ化部品100からの部品供給が開始された時点である、制御装置200による部品34の残数が所定の数になり部品34が前記所定の数供給された後に、基準マークカメラ60で後続テープ化部品100の収納凹部を撮像し、その撮像した画像を認識処理し、その認識処理結果に基づいて部品保持装置30(吸着ノズル)の位置を補正するようにして、相違点に係る本願発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到できたことである。

そして、本願発明の効果は、引用例1及び2に記載された発明から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-02 
結審通知日 2011-11-08 
審決日 2011-11-22 
出願番号 特願2009-262347(P2009-262347)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 山岸 利治
倉田 和博
発明の名称 電子部品装着装置  
代理人 相澤 清隆  

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