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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1250418
審判番号 不服2009-12969  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-16 
確定日 2012-01-12 
事件の表示 平成11年特許願第103144号「番組検索装置及び番組検索方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月20日出願公開、特開2000-293539〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年4月9日の出願であって、平成20年12月8日付けで拒絶理由通知がなされ、平成21年2月9日付けで手続補正がなされたが、同年4月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成21年7月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年7月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
平成21年7月16日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ユーザ操作に応じて、当該ユーザが視聴する番組、又は当該ユーザが予約する番組を選択する選択手段と、
上記選択手段により選択され、上記ユーザに視聴された番組の視聴時間、及び上記ユーザに予約された番組の時間長に応じて上記ユーザのジャンルに関する嗜好を学習する学習手段と、
上記学習手段の学習結果に基づいて、上記ユーザのジャンルに関する嗜好に応じた番組を複数の番組の中から検索する番組検索手段と
を具える番組検索装置。」
と補正された。

上記補正は、実質的に、補正前の請求項1における「視聴された番組の情報」、「予約された番組の情報」、「ユーザの嗜好」を、それぞれ、「視聴された番組の視聴時間」、「予約された番組の時間長」、「ユーザのジャンルに関する嗜好」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-162027号公報(以下、「引用例1」という。)、及び、原査定の備考欄において引用された特開平10-150626号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「【請求項7】ユーザ属性によつて分類された一般ユーザグループ及び又は情報利用状況に基づく分類項目と情報内容とからなる一般ユーザ選択嗜好データを記憶する記憶手段と、
上記記憶手段から読み出される上記一般ユーザ選択嗜好データと特定ユーザの基本的情報選択嗜好データとに基づいて上記特定ユーザ固有の初期ユーザモデルを形成する初期ユーザモデル形成手段と、
上記初期ユーザモデルに基づいて、上記特定ユーザに適合した情報を検索する検索手段とを具えることを特徴とする情報検索装置。
【請求項8】上記情報検索装置は、
上記初期ユーザモデル及び上記特定ユーザの情報選択履歴に基づいて学習ユーザモデルを形成する学習ユーザモデル形成手段を具え、
上記学習ユーザモデルに基づいて、上記特定ユーザに適合した情報を検索することを特徴とする請求項7に記載の情報検索装置。」

B.「【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は情報検索方法及びその装置に関し、例えば、放送衛星を介して配信される多数のテレビジヨン番組の中から、視聴者が必要とする番組を検索する番組検索方法及びその装置に適用して好適なものである。」

C.「【0010】(1)衛星放送受信システムの全体構成
図1において1は全体として衛星放送受信システムを示し、パラボラアンテナ3で受信された放送信号は、受信復号装置(IRD:Integrated Receiver/Decoder)2で復調及び圧縮復号される。この結果得られる映像/音声信号SV1は、続くVHS方式のVCR(Video Cassette Recorder) 6に送出される。
【0011】VCR6は、映像/音声信号SV1を内部に装填されているビデオテープに記録し、又は、当該映像/音声信号SV1をそのまま出力ラインからモニタ装置4に送出することにより、これをモニタ表示する。
【0012】また視聴者がリモートコマンダ5を操作すると、当該操作に応じた指令が赤外線信号IRに変換されて、受信復号装置2に送出される。受信復号装置2は、当該指令に基づいてチヤンネル切り換え、ユーザデータの登録/読み出し、当該受信復号装置2に接続された各機器(VCR6、VCR7、DVD8及びMD9)への制御信号CONTの送出等、種々の動作を実行する。制御信号CONTは制御ラインを介してVCR6に送出される。この制御信号CONTによつてVCR6が制御対象として指定されているとき、当該制御信号CONTによつてVCR6が制御される。これに対して制御信号CONTの制御対象として、VCR6に制御ラインを介して順次接続された機器(8mm方式のVCR7、デイジタルビデオデイスクプレーヤ(DVD:Digital Video Disc)8、ミニデイスクプレーヤ(MD:Mini Disc)9及びモニタ装置4)のいずれかが指定されているとき、VCR6は制御信号CONTをそのまま続く8mm方式のVCR7に送出する。」

D.「【0027】図2の受信復号装置2において、EPG情報を基にユーザが所望とする番組を検索する情報検索機能部のブロツクを図3に示す。すなわち図3において知識ベース部11、ユーザモデル記憶/活用部14及びEPGデータ記憶部18として受信復号装置2のEEPROM38(図2)が割り当てられ(但し、ユーザモデル記憶/活用部14の活用部はCPU29(図2)が割り当てられる)、ユーザモデル形成部13及び情報フイルタ部19としてCPU29(図2)が割り当てられ、EPGデータ入力部17としてフロントエンド20(図2)が割り当てられ、ユーザプロフアイル入力部12及びユーザ操作部15としてリモコン5及びフロントパネル40(図2)が割り当てられ、検索要求発信部16としてIR受信部16及びCPU29(図2)が割り当てられ、推薦情報表示部50としてMPEGビデオデコーダ25(図2)が割り当てられ、さらに表示制御部51としてNTSCエンコーダ27(図2)が割り当てられている。因みに、知識ベース部11のデータは、受信復号装置2の製品出荷時にはEEPROM38に記憶され、外部から衛星又はモデム34を介して新たなデータを取り込むことにより、更新可能とされている。この知識ベース部11のデータを更新可能としない場合には、当該知識ベース部11のデータとして予め記憶されているデータをROM37に記憶させておけば良い。また、フロントエンド20(図2)やモデム34(インタネツトの場合)を介して取り込まれたEPGデータは、SRAM36に記憶される。」

E.「【0028】図3のユーザ操作部15によつて番組ガイドの操作キーが選択されると、図2のCPU29はMPEGビデオデコーダ25(推薦情報表示部50)を制御し、モニタ装置4に放送番組選択画面を表示させる。ユーザはこの画面上においてカーソルを所望の番組位置に移動し、リモートコマンダ5をクリツクすることにより、所望の番組を選択指定することができる。」

F.「【0073】推薦情報表示部50は、ジヤンル優先テーブルに従つて並べ替えられたEPGデータを、所定の表示形態に従つてモニタ装置4に表示する。この結果図27に示すように、モニタ装置4の表示画面4Aには、番組ガイド請求時に放映中の番組がその放送局等を示す文字及び又は図形の組み合わせで一覧表として表示され、この一覧表のうち、情報フイルタ部19によつて優先順位が付けられたものだけ、太枠で囲まれる。この太枠にはジヤンル別に色が付けられており、ユーザはこの色を参考にしながら太枠で囲まれた番組の中から所望の番組をカーソルで指定することにより選択する。」

G.「【0075】(3-4)学習ユーザモデルの形成及び活用
受信復号装置2は、ユーザモデル記憶/活用部14(図3)において記憶された初期ユーザモデルを、ユーザの視聴履歴によつて更新することによつて学習ユーザモデルを形成する。
【0076】すなわち、ユーザモデル記憶/活用部14は、図28(A)及び(B)に示す時間帯別ジヤンル視聴頻度データテーブル及び時間帯別チヤンネル視聴頻度データテーブルを有し、ユーザが例えば5分以上同一番組を見たときには、当該時間帯の対応するジヤンル頻度データ及びチヤンネル頻度データに1ポイントを加え、50分以上同一番組を見たときには、当該時間帯の対応するジヤンル頻度データ及びチヤンネル頻度データに2ポイント加える。また5分以上同一番組を見た場合には、当該番組のEPGデータをEPGデータ記憶部18の記録フアイルに加える。
【0077】ユーザモデル記憶/活用部14は、このようにして得られた時間帯別ジヤンル視聴頻度データ及び時間帯別チヤンネル視聴頻度データに基づいて、特定ユーザの初期ユーザモデルを更新する。初期ユーザモデルは、図23について上述した生活場面別ジヤンル視聴率を表す初期データテーブルと、当該生活場面別ジヤンル視聴率を曜日時刻に対応したデータに変換する特定ユーザ固有の対応関数とで構成される。従つて、ユーザモデル記憶/活用部14は、視聴履歴によつて更新される時間帯別ジヤンル視聴頻度データに基づいて初期ユーザモデルを更新し、これにより学習ユーザモデルを形成する。初期ユーザモデルの更新手法としては、時間帯別ジヤンル視聴頻度データのポイント数を初期ユーザモデルの各視聴率データ(嗜好値)に加算、又は、当該ポイント数の大きさに応じて初期ユーザモデルの各視聴率データ(嗜好値)を重み付けする手法等がある。
【0078】かくして、ユーザが番組ガイドを請求すると、ユーザモデル記憶/活用部14内の学習ユーザモデルによつてジヤンル優先テーブルが作成され、情報フイルタ部19に送出される。従つてモニタ装置4には学習ユーザモデルによつて決定された推薦番組が表示され、ユーザは自分の視聴履歴に基づいた番組ガイドを見ることができる。」

上記A.?G.の記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「ユーザ操作に応じて、当該ユーザが視聴する番組を選択するユーザ操作部と、
上記ユーザが5分以上同一番組を見たときには1ポイント、50分以上同一番組を見たときには2ポイントを当該時間帯の対応するジャンル頻度データに加え、得られた時間帯別ジャンル視聴頻度データに基づいてユーザの嗜好値を更新することによって学習ユーザモデルを形成するユーザモデル記憶/活用部と、
上記ユーザモデル記憶/活用部内の学習ユーザモデルに基づいて、ジャンル優先テーブルを作成し、該ジャンル優先テーブルに従って並べ替えられた番組ガイドとして推薦番組をモニタ装置に表示する推薦情報表示部と
を具える情報検索装置。」

(引用例2)
H.「【0027】システム制御部18は、図示しないリモコン送信器からタイマ予約要求が供給されると、タイマ予約の内容(チャンネル,録画開始時刻,録画終了時刻)を記憶する。なお、記憶装置11は、このタイマ予約を、この記録装置11に設けられた操作部のキー操作によっても行なうことができる。
【0028】システム制御部18は、タイマ予約の内容を録画番組時間帯学習装置21へ供給する。録画番組時間帯学習装置21は、タイマ予約の内容を予め設定した期間(例えば過去数ヵ月分)記憶し蓄積する。録画番組時間帯学習装置21は、蓄積したタイマ予約の内容に基づいて、利用者がよく録画するチャンネルと時間帯を学習する。録画番組時間帯学習装置21は、学習の結果である録画番組時間帯情報21aをシステム制御部18へ供給する。」

I.「【0034】システム制御部18は、録画番組時間帯学習装置21から供給される録画番組時間帯情報21aに基づいて曜日毎に利用者が録画を希望すると思われる時間帯とチャンネルとを把握し、その時間帯がタイマ予約がなされていない時間帯である場合は、利用者が録画を希望すると思われる時間帯の前後所定時間に亘って利用者が録画を希望すると思われるチャンネルの放送番組を記録する。」

上記H.及びI.の記載を参照すると、引用例2には、次の技術が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の技術」という。)
「タイマ予約の内容を蓄積し、蓄積したタイマ予約の内容に基づいて、利用者がよく録画するチャンネルと時間帯を学習することによって、利用者が録画を希望すると思われる時間帯とチャンネルを把握すること。」

(3)対比
本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(あ)引用例1記載の発明における「ユーザ操作部」は、ユーザが視聴する番組を選択する点において、本願補正発明における「選択手段」に相当するものである。

(い)引用例1記載の発明において、ユーザが番組を見る際にはユーザ操作部でその番組を選択していると解される。
そして、引用例1記載の発明における「ユーザモデル記憶/活用部」は、ユーザが上記番組を見た時間に応じて異なるポイントをジャンル頻度データに加え、得られた時間帯別ジャンル視聴頻度データに基づいてユーザの嗜好値を更新することによって学習ユーザモデルを形成するものであるので、本願補正発明における「上記選択手段により選択され、上記ユーザに視聴された番組の視聴時間に応じて上記ユーザのジャンルに関する嗜好を学習する学習手段」に相当する。

(う)引用例1記載の発明における「上記ユーザモデル記憶/活用部内の学習ユーザモデル」は、本願補正発明における「上記学習手段の学習結果」に相当する。
そして、引用例1記載の発明における「推薦情報表示部」は、上記学習ユーザモデルに基づいて作成したジャンル優先テーブルに応じて、番組ガイド内の推薦番組を検索して表示するものであり、前記ジャンル優先テーブルはユーザのジャンルに関する嗜好を反映したものである。
してみると、引用例1記載の発明における「上記ユーザモデル記憶/活用部内の学習ユーザモデルによってジャンル優先テーブルを作成し、該ジャンル優先テーブルに従って並べ替えられた番組ガイドとして推薦番組をモニタ装置に表示する推薦情報表示部」は、本願補正発明における「上記学習手段の学習結果に基づいて、上記ユーザのジャンルに関する嗜好に応じた番組を複数の番組の中から検索する番組検索手段」としての機能を有するものである。

(え)引用例1記載の発明における「情報検索装置」は、検索対象とする情報が番組であるので、本願補正発明における「番組検索装置」に相当する。

上記(あ)?(え)の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「ユーザ操作に応じて、当該ユーザが視聴する番組を選択する選択手段と、
上記選択手段により選択され、上記ユーザに視聴された番組の視聴時間に応じて上記ユーザのジャンルに関する嗜好を学習する学習手段と、
上記学習手段の学習結果に基づいて、上記ユーザのジャンルに関する嗜好に応じた番組を複数の番組の中から検索する番組検索手段と
を具える番組検索装置。」
である点。

(相違点)
相違点1:選択手段により選択する対象とする番組が、本願補正発明においては「ユーザが視聴する番組、又は当該ユーザが予約する番組」であるのに対し、引用例1記載の発明においては「ユーザが視聴する番組」のみである点。

相違点2:本願発明における「学習手段」は「ユーザに視聴された番組の視聴時間」に加えて「ユーザに予約された番組の時間長」に応じてユーザのジャンルに関する嗜好を学習しているのに対し、引用例1記載の発明においては「ユーザに予約された番組の時間長」に応じて学習するものとはされていない点。

(4)判断
そこで、上記相違点1及び2について検討する。

(相違点1について)
引用例1記載の発明の衛星放送受信システムでは、上記(2)のC.の記載を参照すると、受信されて復調及び復号された放送信号をVCRによって録画できるとともに、視聴者によるリモートコマンダの操作に応じた制御信号によって前記VCRを制御できるようになっている。
また、上記(2)のD.の記載を参照すると、上記リモートコマンダ(リモコン)は、ユーザ操作部に含まれるものである。
そして、一般に、放送信号を録画できるシステムにおいて、利用者が録画したい番組を予約できるようになっていることは、例えば引用例2に見られるように通常のことである。
ここで、本願補正発明における「予約」は視聴する番組の予約を意味していると解されるが、そのように視聴する番組を予約することも、上記引用例1記載の発明のように録画する番組を予約することも、将来放送される番組を予め選択しておくという点で共通することであるから、引用例1記載の発明において、VCRを操作できる「ユーザ操作部」で、ユーザが予約する番組を選択できるようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
上記引用例2によれば、引用例1記載の発明の装置と同様に、受信番組に関するユーザの操作を学習する装置において、タイマ予約の内容を蓄積し、蓄積したタイマ予約の内容に基づいて、利用者がよく録画するチャンネルと時間帯を学習することによって、利用者が録画を希望すると思われる時間帯とチャンネルを把握することは、広く知られていることである。
また、上記相違点1について検討したのと同様に、視聴する番組をタイマ予約することと録画する番組をタイマ予約することとは、将来放送される番組を予め選択しておくという点で共通することであるから、上記引用例2記載の技術を、視聴する番組の予約に関するものとして用いることも、ごく普通に考えられることである。
よって、引用例1記載の発明において、上記引用例2記載の技術を適用することによって、ユーザに視聴された番組の情報に加えて、ユーザに予約された番組の予約内容に応じてユーザの嗜好を学習するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、引用例1記載の発明は、「ユーザに視聴された番組の視聴時間」という、ユーザが実際に番組を視聴した時間長に応じて学習するものであるから、上記引用例2記載の技術のように、ユーザに予約された番組の予約内容に応じて学習する場合には、ユーザが将来的に視聴するであろう番組の時間長である「ユーザに予約された番組の時間長」とすることは、ごく普通に考えられることである。

(本願補正発明の作用効果について)
そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、及び引用例2記載の技術から当業者が容易に予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明、及び引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成21年7月16日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成21年2月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「ユーザ操作に応じて、当該ユーザが視聴する番組、又は当該ユーザが予約する番組を選択する選択手段と、
上記選択手段により選択され、上記ユーザに視聴された番組の情報、及び上記ユーザに予約された番組の情報に基づいて上記ユーザの嗜好を学習する学習手段と、
上記学習手段の学習結果に基づいて、上記ユーザの嗜好に応じた上記番組を複数の番組の中から検索する番組検索手段と
を具える番組検索装置。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、及び原査定の備考欄において引用された引用例2とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、実質的に、上記2.で検討した本願補正発明における「視聴された番組の視聴時間」、「予約された番組の時間長」、「ユーザのジャンルに関する嗜好」の限定を省いて「視聴された番組の情報」、「予約された番組の情報」、「ユーザの嗜好」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1記載の発明、及び引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明は、同様に、引用例1記載の発明、及び引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明、及び引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-09 
結審通知日 2011-11-15 
審決日 2011-11-28 
出願番号 特願平11-103144
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今村 剛  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 間野 裕一
石川 正二
発明の名称 番組検索装置及び番組検索方法  
代理人 田辺 恵基  

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