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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1250709
審判番号 不服2010-1949  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-28 
確定日 2012-01-18 
事件の表示 特願2004-505106号「鎮静および鎮痛システムの無菌操作を可能にするシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月27日国際公開、WO03/97111、平成17年 9月 2日国内公表、特表2005-525873号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年5月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年5月16日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年9月18日付けで拒絶査定がなされたところ、同査定を不服として平成22年1月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで明細書の特許請求の範囲についての手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年1月28日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。
「患者に結合されて、前記患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、
ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースは無菌ユーザインタフェースであり、前記入力は、無菌状態を壊さずに行われる、ユーザインタフェースと、
1つまたは複数の薬剤を前記患者に供給する薬剤送出コントローラと、
前記患者健康モニタおよび前記薬剤送出コントローラ間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは前記少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセットを有し、前記信号を受信し、それに応答して、前記パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する、電子コントローラと
を備える鎮静および鎮痛システム。」

3.引用例の記載事項
(1)刊行物1
本願優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開第99/62403号(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(括弧内の和文は、対応する公表特許公報である特表2002-516692号公報を援用したものである。)
(ア)「The invention provides apparatuses and methods to safely and effectively deliver a sedative, analgesic, amnestic or other pharmaceutical agent (drug) to a conscious, nonintubated, spontaneously-ventilating patient. The invention is directed to apparatuses and methods for alleviating a patient's pain and anxiety before and/or during a medical or surgical procedure and for alleviating a patient's postoperative or other post-procedural pain or discomfort while simultaneously enabling a physician to safely control or manage such pain and/or anxiety. The costs and time loss often associated with traditional operating room settings or other requirements or desires for the presence of anesthetists may thus be avoided.」(第15頁第21行?第16頁第7行)
(本発明は、意識があり、喉頭などに挿管がされず、自発的に換気する患者に鎮静剤、鎮痛剤、記憶消失剤、または他の医薬物質(薬剤)を安全かつ効果的に送達するための装置および方法を提供する。本発明は、医療もしくは手術手法前および/または医療もしくは手術手法中の患者の苦痛および不安を緩和し、患者の術後もしくは他の手法後の苦痛または不快を緩和し、その一方で同時に医師がこのような苦痛および/または不安を安全に制御または管理することを可能にするための装置および方法に関する。従来の手術室環境に伴うことの多いコストおよび時間の損失が避けられ、またはその他、麻酔士の存在が必要とされるもしくは所望させることもなくなり得る。)

(イ)「FIG. 1 shows a care system 10 constructed in accordance with this invention, providing sedative, analgesic and/or amnestic drugs to a conscious, non-intubated, spontaneouslyventilating patient undergoing a medical or surgical procedure by a procedural physician. The system 10 has a generally columnar housing 15 with various storage compartments 16 therein for storage of user and patient interface devices, and a base 17 supported on castor wheels 18. A drug delivery system 40 delivers a mixture of one or more gaseous sedative, analgesic or amnestic drugs in combination with oxygen (02) gas to a patient, and includes a one-way airway circuit 20 connected at one end to a face mask 30 and at the other end to a manifold valving system contained within housing 15. FIGS. 3A and 3B show from a side-elevation perspective, airway circuit 20, face mask 30, and exhaust hose 32 through which scavenged patient exhaled gases are exhausted to a safe location.」(第22頁第21行?第23頁第11行)
(図1は、処置を行う医師による医療または手術手法を受けている、意識があり、挿管されておらず、自発的に通気する患者に対して、鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤を提供する、本発明に従って構築された看護システム10を示す。システム10は、ユーザおよび患者インターフェースデバイスを格納するための様々な格納コンパートメント16を有するほぼ円柱状のハウジング15、およびキャスター車輪18上で支持されているベース17を有する。薬剤送達システム40は、1つまたはそれ以上のガス状の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤の混合物を、酸素(O2)ガスと組み合わせて、患者に送達し、一端がフェースマスク30に接続され、他端がハウジング15内に収容されたマニホールド弁システムに接続された一方向気管回路20を有する。図3Aおよび図3Bは、気管回路20、フェースマスク30、および患者の吐き出した掃気されたガスを安全なロケーションに排出させる排出ホース32を、側面斜視図で示す。)

(ウ)「Also shown in FIGS. 1 and 2 are various user interface devices, including a display device 35 integrated into the top surface of apparatus 10 which displays patient and system parameters and operation status of the apparatus, a printer 37 which prints, for example, a hard copy of patient parameters indicating the patient's physiological condition and the status of various system alarms with time stamps, and a remote control device 45 which permits a physician to interact with apparatus 10. The various patient and user interface devices are described in more detail below.」(第24頁第8?17行)
(患者およびシステムパラメータ、ならびに装置の動作状態を表示する装置10の上表面に一体化された表示デバイス35、例えば、患者の生理学的症状および時間スタンプを有する様々なシステムアラームの状態を示す患者パラメータのハードコピーを印刷するプリンタ37、および医師が装置10と相互作用できるようにする遠隔制御デバイス45を含む、様々なユーザインターフェースデバイスもまた図1および図2に示される。様々な患者およびユーザインタ-フェースデバイスについては、以下にさらに詳細に説明する。)

(エ)「FIG. 4A is a block diagram overview of a preferred embodiment of the invention. FIG. 4B is an overview data flow diagram depicting the drug delivery management steps performed by the software/logic control of microprocessor controller 14 in a preferred embodiment of the invention. In FIG. 4A, one or more patient health monitors 12a (which may include one or more known patient physiological condition monitors such as pulse oximeters, capnometers, other ventilatory monitors, noninvasive blood pressure monitors, EKG, EEG and others, as well as a patient consciousness monitoring system, are electronically coupled, through suitable A-D converters where appropriate, to electronic controller 14, described above. Patient health monitors 12a generate electronic feedback signals representing actual patient physiological data which are converted to electronic signals and then provided to controller 14. Now referring to FIG. 4B, electronic controller 14, e. g., through appropriate software and/or logic, compares the received electronic patient feedback signals 13b with the safety data set 15b stored in a memory device (such as an EPROM device).
The stored safety data set 14a (FIG. 4A) contains at least one set of data parameters representing safe and undesirable patient physiological conditions. Based on the comparison of the actual monitored patient physiological data 13b with the safety data set 14a, controller 14 determines whether the monitored patient physiological data is outside of a safe range (FIG. 4B, 16b). If the monitored patient data is outside of a safe range, electronic controller 14 sends instruction commands (signals) to drug delivery controller 2a (FIG. 4A) instructing drug delivery controller 2a to conservatively manage (e. g., reduce or cease) drug delivery (FIG. 4B, 18b). Drug delivery controller 2a may be a standard solenoid valve-type electronic flow controller known to those skilled in the art.」(第25頁第4行?第26頁第11行)
(図4Aは、本発明の好ましい実施の形態の概略ブロック図である。図4Bは、本発明の好ましい実施の形態におけるマイクロプロセッサコントローラ14のソフウェア/論理制御によって行われる薬剤送達管理ステップを示す概略データフロー図である。図4Aにおいて、患者意識モニタリングシステムだけでなく、1つまたはそれ以上の患者健康モニタ12a(パルス酸素濃度計、カプノメータ、他の通気モニタ、非侵襲性の血圧モニタ、EKG、EEG等の1つまたはそれ以上の既知の患者の生理学的症状モニタを含み得る)は、上記のように、必要に応じて適切なA-D変換器を通して、電子コントローラ14に電子的に接続されている。患者健康モニタ12aは、電子信号に変換され、次いでコントローラ14に提供される実際の患者の生理学的データを示す電子フィードバック信号を生成する。ここで、図4Bを参照すると、電子コントローラ14は、例えば、適切なソフトウェアおよび/または論理を通して、受信された患者の電子フィードバック信号13bを、メモリデバイス(EPROMデバイスなど)に格納された安全データセット15bと比較する。
格納されている安全データセット14a(図4A)は、安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状を示す少なくとも1つのセットのデータパラメータを含む。実際にモニタされた患者の生理学的データ13bと安全データセット14aとの比較に基づいて、コントローラ14は、モニタされた患者の生理学的データが安全な範囲の外にあるかどうかを決定する(図4B、16b)。モニタされた患者のデータが安全範囲外である場合には、電子コントローラ14は、指示コマンド(信号)を薬剤送達コントローラ2a(図4A)に送信し、薬剤送達コントローラ2aに薬剤送達を控えめに管理する(例えば、減少させるか、または停止する)よう指示する(図4B、18b)。薬剤送達コントローラ2aは、当業者に既知の標準的なソレノイド弁型電子フローコントローラであり得る。)

(オ)「Still referring to FIG. 5, user interface system 16 (described in more detail in FIGS. 18 and 22) displays electronic signal values stored in or provided to electronic controller 14, such values reflecting the status of one or more of the patient's physiological state, the patient's level of consciousness, and/or the status of various care system parameters. User interface system 16 includes devices that permit the nonanesthetist to interact with the care system via controller 14 (e. g., input patient information, pre-set drug dosages, silence alarms) such as keyboard 230 (FIG. 2) and/or remote control unit 45 (FIG. 1). Patient and care system information is displayed by means of graphical and numeric display devices, e. g., 35 (FIG. 1), LEDs incorporated into housing 15 (FIG. 1) and/or on remote control unit 45.」(第28頁第4?17行)
(再び図5を参照する。ユーザインターフェースシステム16(図18および図22Aにさらに詳細に記載する)は、電子コントローラ14に格納されるか、または電子コントローラ14に提供される電子信号値を表示する。このような値は1つまたはそれ以上の患者の生理学的症状、患者の意識レベル、および/または様々な看護システム状態のパラメータを反映する。ユーザインターフェースシステム16は、キーボード230(図2)および/または遠隔制御ユニット45(図1)などの麻酔士でない者がコントローラ14を介して看護システムと相互作用する(例えば、患者情報を入力する、薬剤投与量を予め設定する、アラームを止める)ことを可能にするデバイスを含む。患者および看護システム情報は、グラフィカルおよび数値表示デバイス(例えば、35)(図1)、ハウジング15(図1)に設けられたLED、および/または遠隔制御ユニット45によって表示される。)

(カ)「A care system for alleviating patient pain, anxiety and discomfort associated with medical or surgical procedures said system comprising:
a patient health monitor device coupled to a patient and generating a signal reflecting at least one physiological condition of the patient;
a drug delivery controller supplying one or more drugs to the patient;
a memory device storing a safety data set reflecting safe and undesirable parameters of at least one patient physiological condition;
an electronic controller interconnected between the patient health monitor, the drug delivery controller and the safety data set; wherein said electronic controller manages the application of the drugs in accord with the safety data set.」(第87頁 特許請求の範囲 請求項1)
(医療または手術手法に関連する患者の苦痛、不安、および不快を緩和するための看護システムであって、
患者に接続され、前記患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号を生成する患者健康モニタと、
1つまたはそれ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリデバイスと、
前記患者健康モニタと、前記薬剤送達コントローラと、前記安全データセットとの間で相互接続され、前記安全データセットに従って前記薬剤の投与を管理する電子コントローラと
を備える看護システム。)

上記記載事項について検討する。
上記(エ)及び(カ)の記載事項及び第4A図の図示内容からみて、電子コントローラは、患者モニタデバイスで生成された、患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号を受信し、前記信号と、少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを比較し、前記安全データセットに従って薬剤の投与を管理するものといえる。

そこで、これら記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「患者に接続され、前記患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号を生成する患者健康モニタと、
麻酔士でない者が電子コントローラを介して看護システムと相互作用することを可能にするユーザインターフェースシステムと、
1つまたはそれ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
前記患者健康モニタと、前記薬剤送達コントローラとの間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは、前記信号を受信し、当該信号と、少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを比較し、前記安全データセットに従って薬剤の投与を管理する電子コントローラと
を備える看護システム。」

(2)刊行物2
本願優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、米国特許第5732712号明細書(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(括弧内の和文は当審による仮訳である。)
(キ)「This invention relates to an apparatus which provides a visual display of a surgical site, and more particularly, to a sterile encapsulated operating room flat panel video monitor and flat panel video monitor support used in conjunction with an endoscopic camera and instrument to provide an image of a surgical area.」(第1欄第9?14行)
(この発明は、外科手術の現場の視覚的なディスプレイを提供する装置、特に、外科手術区域の画像を提供するために内視鏡のカメラおよび道具と共に使用される、無菌に閉じ込められた手術室用の平らなパネルビデオモニターおよび平らなパネルビデオモニター支持装置に関する。)

(ク)「Another problem associated with the advent of endoscopic procedures utilizing video equipment is that since additional equipment is brought into the operating room, there is a concern for preventing contamination by the equipment of the sterile field of the operating room. Electronic equipment including TV monitors tend to naturally induce or create an electric charge causing dust which contains microbes to collect on this equipment wherein such microbes can then be transmitted to the sterile operating field of the operating room or surgical area. It has been found that a surgeon placing his hand near a TV monitor displaying an image of the surgical area can attract undesirable microbes via the differential in electrostatic charge between the surgeon's hand and the TV or monitor screen.」(第1欄第56行?第2欄第5行)
(ビデオ機器を利用する内視鏡の処置の出現に関連した別の問題は、付加的な設備が手術室へもたらされるので、手術室の無菌の領域の設備による汚染を防止することに対する懸念がある。テレビモニターを含む電子機器は、病原菌を含む塵を機器に集まらせる電荷を引き起こすまたは生成する傾向があり、病原菌は手術室又は外科手術の区域の無菌の操作領域に伝えられ得る。外科手術区域の画像を表示するテレビモニターの近くに手を置いた外科医が、外科医の手とテレビ又はモニターの画面の間の静電気の差によって、望ましくない病原菌を引き寄せ得ることがわかった。)

(ケ)「According to a first embodiment as shown in FIGS. 1 and 2, the sterile encapsulated operating room flat panel video monitor and flat panel video monitor support device 10 includes a video support stand 12 for securing a video monitor module or video monitor 40 thereto.」(第3欄第58?62行)
(第1及び第2図に示されるような最初の実施例によれば、無菌に閉じ込められた手術室用の平らなパネルビデオモニターおよび平らなパネルビデオモニター支持装置(10)は、ビデオモニターモジュール又はビデオモニター(40)をその上に固定するためのビデオ支持スタンド(12)を含む。)

(コ)「As shown in FIG. 2a, monitor mount 30 may be of a box-like configuration for receiving the monitor module 40 through a front opening sized to receive the monitor module. In use, a sterile drape 50 is placed over the monitor mount 30 securing the monitor module 40 and over a desired length of angular support arm 18 and vertical support 16. Sterile drape 50 is constructed of a substantially transparent, liquid and gas impermeable material such as polyurethane or the like. Sterile drape 50 comprises a flexible body 52, a closed distal end 54 which lies adjacent to the monitor module 40, and an open proximal end 53 which may be sealed against the support stand 12 by means of tape or adhesive 58.」(第4欄第41?52行)
(第2a図に示されるように、モニターマウント(30)は、モニターモジュールを受け入れるような大きさにされた前側の開口を通してモニターモジュール(40)を受け入れるような箱状の構造でもよい。使用においては、無菌ドレープ(50)がモニターモジュール(40)を固定するモニターマウント(30)の上に、及び角度支持アーム(18)及び垂直支持装置(16)の所望の長さの部分の上に、被せられる。無菌ドレープ(50)は、ポリウレタン又は同様の、本質的に透明で、液体及び気体不透過性の材料から構成される。無菌ドレープ(50)は、柔軟なボディ(52)、モニターモジュール(40)に隣接して配置される閉じた遠位端(54)、及びテープ又は接着剤(58)によって、支持スタンド(12)に対してシールされ得る開放した近位端(53)を含む。)

(サ)「Monitor module 40 may include a plurality of membrane switches 42 which are located adjacent to the monitor module screen 43.(・・・中略・・・)Accordingly, the surgeon may directly control the type of image being viewed without having to instruct other operating room personnel as to the type of desired image to be viewed. Furthermore, since the monitor module 40 is isolated from the sterile operating field via the drape 50, the surgeon may freely manipulate the image by switches 42 without concern for loss of sterility.」(第6欄第16?30行)
(モニターモジュール(40)は、モニターモジュール画面(43)に隣接して位置する複数の薄膜スイッチ(42)を含んでもよい。(・・・中略・・・)従って、外科医は、直接、他の手術室職員に命じる必要なしに表示されている画像のタイプを希望の画像のタイプが表示されるように制御してもよい。さらに、モニターモジュール(40)は、ドレープ(50)によって無菌手術領域から隔離されているので、外科医は、自由に、無菌状態を失うことなく、スイッチ(42)によって画像を操作し得る。)

これら記載事項及び図示内容を総合すると、刊行物2には、次の発明が記載されている。
「薄膜スイッチ(42)を含むモニターモジュール(40)を、無菌ドレープ(50)によって無菌手術領域から隔離し、無菌状態を失うことなくスイッチ(42)を操作することができるようにした、無菌ドレープ(50)を備えたモニターモジュール(40)。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「患者に接続され」は、本願発明の「患者に結合されて」に相当し、以下同様に、
「患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号」は「患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号」に、
「患者健康モニタ」は「患者健康モニタデバイス」及び「患者健康モニタ」に、
「1つまたはそれ以上の薬剤」は「1つまたは複数の薬剤」に、
「薬剤送達コントローラ」は「薬剤送出コントローラ」に、
「少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセット」は「少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセット」に、
「当該信号と、少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを比較し」は「それに応答して」に、
「安全データセットに従って薬剤の投与を管理する」は「パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する」に、
「看護システム」は「鎮静および鎮痛システム」にそれぞれ相当する。
引用発明の「電子コントローラ」は、「前記信号(患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号)を受信し、当該信号と、少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを比較し、前記安全データセットに従って薬剤の投与を管理する」ものであるから、少なくとも一人の患者の生理学的症状の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを有するものといえる。
引用発明の「麻酔士でない者が電子コントローラを介して看護システムと相互作用することを可能にするユーザインターフェースシステム」と、本願発明の「ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースは無菌ユーザインタフェースであり、前記入力は、無菌状態を壊さずに行われる、ユーザインタフェース」とは、「ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインターフェース」という概念で共通している。

そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両発明は次の点で一致する。
(一致点)
「患者に結合されて、前記患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、
ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェースと、
1つまたは複数の薬剤を前記患者に供給する薬剤送出コントローラと、
前記患者健康モニタおよび前記薬剤送出コントローラ間で相互接続される電子コントローラであって、前記電子コントローラは前記少なくとも1つの生理的状態のパラメータを反映するデータセットを有し、前記信号を受信し、それに応答して、前記パラメータに従って前記薬剤の投与を管理する、電子コントローラと
を備える鎮静および鎮痛システム。」

そして、両発明は次の点で相違する。
(相違点)
「ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェース」が、本願発明では「無菌ユーザインタフェースであり、」「入力は、無菌状態を壊さずに行われる」ものであるのに対し、引用発明では、入力が無菌状態を壊さずに行われるかどうか不明であって、また、無菌ユーザインタフェースを有していない点。

5.判断
上記相違点について検討する。
刊行物2に記載された発明は「薄膜スイッチ(42)を含むモニターモジュール(40)を、無菌ドレープ(50)によって無菌手術領域から隔離し、無菌状態を失うことなくスイッチ(42)を操作することができるようにした、無菌ドレープ(50)を備えたモニターモジュール(40)。」というものであって、「モニターモジュール(40)」は「薄膜スイッチ(42)を含む」ものであるから、「ユーザが入力を行うことを可能にするユーザインタフェース」といえるものであり、「無菌ドレープ(50)を備えたモニターモジュール(40)」は、「無菌状態を失うことなくスイッチ(42)を操作することができるように」、「無菌ドレープ(50)によって無菌手術領域から隔離」されたものであることから、「無菌ユーザインタフェース」といえるものである。

一方、引用発明のユーザインターフェース(ユーザインターフェースシステム)は、麻酔士でない者が操作することを可能にするものであって、上記3(1)(ア)の記載事項及び第1図の図示内容を併せ見れば、手術室において外科医が操作することが想定されたものといえる。
そして、手術室内の機器であって外科医が入力等の操作するものを、入力が無菌状態を壊さずに行われるようにするために、無菌状態とすることは、一般的に行われていることであることから、引用発明に、刊行物2に記載された発明の「無菌ユーザインタフェース」を適用し、前記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の効果も、引用発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

なお、請求人は、審判請求書の「4.本願発明と引用例との対比」の欄において、ユーザインタフェースが無菌ユーザフェースであるという点は、刊行物1および2のいずれにも記載されていない、との旨の主張をしているが、上記のとおり、刊行物2に記載された発明の「無菌ドレープ(50)を備えたモニターモジュール(40)」は「無菌ユーザインタフェース」といえるものであるから、当該主張を採用することはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-22 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-05 
出願番号 特願2004-505106(P2004-505106)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 寛  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 寺澤 忠司
蓮井 雅之
発明の名称 鎮静および鎮痛システムの無菌操作を可能にするシステムおよび方法  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
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