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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F04B
管理番号 1250821
審判番号 不服2009-5052  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-06 
確定日 2012-01-16 
事件の表示 平成10年特許願第331318号「流体静力学的なアキシャルピストン機械」拒絶査定不服審判事件〔平成11年8月10日出願公開,特開平11-218072〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は,平成10年11月20日(パリ条約による優先権主張1997年11月24日,ドイツ国)の出願であって,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成23年4月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「1つのシリンダドラム内に軸方向摺動可能に支承された複数のピストンを備えた流体静力学的な斜板式アキシャルピストン機械であって,ピストンがそれぞれ1つのすべりシューを介して1つのすべり面に支持されており,かつ流体静力学的に負荷軽減されており,すべりシューが,すべり面に向いたすべりシュープレートを備えており,かつすべりシュープレートとは逆の側でピストンに結合されており,その場合,すべりシュープレートにシールウェブが形成されており,かつ,すべりシューが,ピストンからすべり面へ通じた孔を備えている形式のものにおいて,
すべりシュー(6)のすべりシュープレート(7)においてすべりシュー(6)の摺動面を形成しているシールウェブ(15)が,凹面として形成されており,該凹面が,すべりシュー(6)の外周(da)を起点として前記孔(9)の領域内まで達しており,
流体静力学的なアキシャルピストン機械が液圧モータとして使用されており,
すべりシュー(6)のシールウェブ(15)が凹面として形成されていることにより,負荷軽減力(F_(E))が,すべり面とすべりシューとの間におけるシール隙間の高さ(s)に関連しており,
凹面は,ピストン行程中に,ピストンにおける垂直力(F_(N))が変化した場合でも負荷軽減力(F_(E))の変化によって,シール隙間の高さ(s)が一定に保たれるように構成されており,
シール隙間の高さ(s)が一定に保たれることにより,ピストン行程中における漏油脈動が僅かになり,ひいては液圧モータのシリンダドラムの回転運動及びトルクが一様になることを特徴とする,流体静力学的なアキシャルピストン機械。」

2.引用例
これに対して,当審による拒絶の理由で引用された実願平3-87408号(実開平5-30473号)のCD-ROM(以下「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。

・「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は,斜板式アキシャルピストンのスリッパシューの潤滑隙間を任意に設定できるように改良した斜板式アキシャルピストン装置に関するものである。」

・「【0002】
【従来の技術】
まず,図3に代表的な斜板式アキシャルピストン装置を示し,その概略について説明する。1はハウジング内で旋回するシリンダを備えた斜板式アキシャルピストン装置で,2はそのハウジングである。ハウジング2の下部(図において下側)には吸入口3が設けられ,上部に吐出口4が設けられている。ハウジング2の内部には軸受5,6が設けられており,駆動軸7を回転自在に支持している。
【0003】
駆動軸7は,図示しない右側の基端において駆動装置に結合されており,図の左側に位置する先端にはボール軸受8を介して回転する連結斜板9が揺動可能に支持されている。この連結斜板9の一部にはスリッパシュー10が設けられており,このスリッパシュー10はハウジング2に固定された断面形状が三角形の斜板11に滑動自在に接している。
【0004】
連結斜板9の駆動軸7側には,駆動軸7に平行に2個のシリンダ12が設けられており,その内部にはピストン13が摺動自在に嵌挿されている。ピストン13の先端は球状部14に形成されており,球状部14は前記スリッパシュー10に枢着している。この構造により駆動軸7が回転すると駆動軸7と共に駆動軸7の周囲をシリンダ12が旋回する。
【0005】
シリンダ12が旋回すると,シリンダ12に嵌挿してるピストン13の先端のスリッパシュー10が斜板11の傾斜面上を滑動しながら案内される。すると,連結斜板9が揺動してピストン12がシリンダ11内を往復動する。ピストン13が往復動することによって吸入口3から吸い込まれた油は吐出口4から吐出されることになる。
【0006】
図4は,スリッパシュー10と斜板11とが滑動する部分を拡大して示したものである。このスリッパシュー14においてはスリッパシュー10の,斜板11と滑動する部分すなわちシールランド部15は平坦面に形成されている。また,シールランド部15の中央には垂直にあけた油溜り部16が設けられている。そして,駆動軸7の作動時には,シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に油圧によって微小の隙間(以下,潤滑隙間という)が形成され,この潤滑隙間にピストン13の油孔18から油溜り部16に送られて貯溜された潤滑油が供給されて油膜が形成され,滑動面17の潤滑性を図りながらシール性を確保している。これにおいてはスリッパシュー10は一種の静圧軸受となっている。」

・「【0015】
【実施例】
以下,本考案の一実施例を図1について,図3および図4と同一の部材には同一の符号を付して説明する。この考案のものでは,ピストン14先端の球状部14が枢着しているスリッパシュー10の斜板11側には潤滑油の油溜り部19が形成されており,この油溜り部19から凹状,すなわち漏斗状の受圧面20が形成されている。このようにスリッパシュー10に漏斗状の受圧面20を形成すると斜板11にかかる油圧の受圧面積が従来に比べて大きくなる。」

・「【0017】
次に本実施例の作用を説明する。上記のようにスリッパシュー10に油溜り部19を設け,さらにこの油溜り部19から凹状すなわち漏斗状の受圧面20を形成したので,この凹状の受圧面20の形状を変えることによってシール性および潤滑性の2つの油圧力バランスを満足させ得る受圧面20の加工が容易になる。したがって,必要かつ充分な微小潤滑隙間の確保が可能となって,シール性および潤滑性を確実に確保することが可能となる。
【0018】
さらにこの受圧面20によって,斜板11にかかる油圧の受圧面積を拡大することができ,かつ,受圧面20を漏斗状にしたので,シールライト部15の斜板11との接触面積の低減が図れる。これらによって滑動面17の潤滑隙間を確実に確保することができる。すなわち,斜板11とシールランド部15の滑動面17に潤滑のための潤滑隙間h2 が形成される。これによって駆動軸7の極低速時および起動時においても潤滑隙間に充分に潤滑油が供給されると共に接触面積が低減したので,スリッパシュー10と斜板11とが摩耗することがなくなって,耐用寿命を高めることが可能となる。」

・「【0020】
【考案の効果】
本考案は以上説明したようにスリッパシューに油溜り部を設け,かつ,凹状の受圧面を形成したので,この凹状の受圧面の形状を変えることによってシール性および潤滑性の2つの油圧力バランスを満足させ得る受圧面を容易に加工することができる。このように形成した受圧面によって,斜板にかかる油圧の受圧面積を拡大することができ,必要かつ充分な微小潤滑隙間が確保でき,シール性および潤滑性の確保が確実になると共に受圧面が凹状なので,斜板とスリッパシューの接触面積の低減を図ることができる。これによって駆動軸の極低速時および起動時には潤滑隙間に充分に潤滑油が供給され,かつ,接触面積が低減しているので,スリッパシューと斜板とが摩耗することがなくなり耐用寿命を高めることができる。」

・引用例の【図1】には,スリッパシュー10が,斜板11に向いたプレート部材を備えており,かつプレート部材とは逆の側でピストン13に結合されており,さらにピストン13から斜板11へ通じた孔を備え,また,前記プレート部材において,スリッパシュー10の摺動面を形成しているシールランド部15が形成され,さらに,凹状の受圧面20が,スリッパシュー10の外周を起点として前記孔の領域内まで達していることが示されている。

・引用例の【図3】には,駆動軸7とともに旋回する2つのシリンダ12からなる部材内に軸方向に摺動自在に支承された2つのピストン13が示されており,段落【0015】の「以下,本考案の一実施例を図1について,図3および図4と同一の部材には同一の符号を付して説明する。」との記載を参酌すると,引用例の【図1】に示されたピストン13も,駆動軸7とともに旋回する2つのシリンダ12からなる部材内に軸方向に摺動自在に支承されるものと認められる。

これらの記載事項を総合すると,引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「駆動軸7とともに旋回する2つのシリンダ12からなる部材内に軸方向に摺動自在に支承された2つのピストン13を備えた斜板式アキシャルピストン装置1であって,ピストン13がそれぞれ1つのスリッパシュー10を介して1つの斜板11に支持されており,スリッパシュー10が,斜板11に向いたプレート部材を備えており,かつプレート部材とは逆の側でピストン13に結合されており,その場合,プレート部材にシールランド部15が形成されており,かつ,スリッパシュー10が,ピストン13から斜板11へ通じた孔を備えている形式のものにおいて,
スリッパシュー10のプレート部材においてスリッパシュー10の摺動面を形成しているシールランド部15が凹状の受圧面20として形成されており,該凹状の受圧面20が,スリッパシュー10の外周を起点として前記孔の領域内まで達しており,
シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に,油圧によって必要かつ充分な微小潤滑隙間の確保が可能となって,シール性および潤滑性を確実に確保することが可能となる斜板式アキシャルピストン装置1。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「駆動軸7とともに旋回する2つのシリンダ12からなる部材」は前者の「シリンダドラム」に相当し,以下同様に,「軸方向に摺動自在」な態様は「軸方向摺動可能」な態様に,「ピストン13」は「ピストン」に,「斜板式アキシャルピストン装置1」は「斜板式アキシャルピストン機械」にそれぞれ相当し,後者の「駆動軸7とともに旋回する2つのシリンダ12からなる部材内に軸方向摺動可能に支承された2つのピストン13を備えた」態様は,前者の「1つのシリンダドラム内に軸方向摺動可能に支承された複数のピストンを備えた」態様に相当する。
後者の「スリッパシュー10」は前者の「すべりシュー」及び「すべりシュー(6)」に相当し,以下同様に,「斜板11」は「すべり面」に,「プレート部材」は「すべりシュープレート」及び「すべりシュープレート(7)」に,「シールランド部15」は「シールウェブ」及び「シールウェブ(15)」に,「凹状の受圧面20」は「凹面」にそれぞれ相当する。

したがって,両者は,
「1つのシリンダドラム内に軸方向摺動可能に支承された複数のピストンを備えた斜板式アキシャルピストン機械であって,ピストンがそれぞれ1つのすべりシューを介して1つのすべり面に支持されており,すべりシューが,すべり面に向いたすべりシュープレートを備えており,かつすべりシュープレートとは逆の側でピストンに結合されており,その場合,すべりシュープレートにシールウェブが形成されており,かつ,すべりシューが,ピストンからすべり面へ通じた孔を備えている形式のものにおいて,
すべりシューのすべりシュープレートにおいてすべりシューの摺動面を形成しているシールウェブが,凹面として形成されており,該凹面が,すべりシューの外周を起点として前記孔の領域内まで達している,アキシャルピストン機械。」
である点で一致し,次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明のアキシャルピストン機械は,「流体静力学的な」ものであり,かつ「流体静力学的に負荷軽減されて」いるものであるのに対し,引用発明のアキシャルピストン機械は,かかる特定がなされていない点。
[相違点2]
本願発明のアキシャルピストン機械は,「液圧モータとして使用されて」いるのに対し,引用発明のアキシャルピストン機械は,かかる特定がなされていない点。
[相違点3]
本願発明のアキシャルピストン機械は,「すべりシューのシールウェブが凹面として形成されていることにより,負荷軽減力(F_(E))が,すべり面とすべりシューとの間におけるシール隙間の高さ(s)に関連しており,凹面は,ピストン行程中に,ピストンにおける垂直力(F_(N))が変化した場合でも負荷軽減力(F_(E))の変化によって,シール隙間の高さ(s)が一定に保たれるように構成されており,シール隙間の高さ(s)が一定に保たれることにより,ピストン行程中における漏油脈動が僅かになり,ひいては液圧モータのシリンダドラムの回転運動及びトルクが一様になる」ものであるのに対し,引用発明のアキシャルピストン機械は,「シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に,油圧によって必要かつ充分な微小潤滑隙間の確保が可能となって,シール性および潤滑性を確実に確保することが可能となる」ものである点。

4.判断
上記相違点について以下検討する。

(1)相違点1について
本願明細書の段落【0017】の「すべりシュー6内に形成された孔9は,ピストン内に形成された縦孔10に連通しており,これにより,圧力媒体が孔3とピストン4とにより形成された圧力室からすべりシュープレート7へ向かって流れることができ,これによりピストン4はすべり面8のところで流体静力学的に負荷軽減される。」との記載を参酌すると,本願発明のアキシャルピストン機械の,「流体静力学的な」ものであり,かつ「流体静力学的に負荷軽減されて」いるという構成は,圧力媒体が孔3とピストン4とにより形成された圧力室からすべりシュープレート7へ向かって流れることができるという作用を奏することができるものといえる。
一方,引用例の,段落【0004】の「連結斜板9の駆動軸7側には,駆動軸7に平行に2個のシリンダ12が設けられており,その内部にはピストン13が摺動自在に嵌挿されている。」との記載,並びに段落【0006】の「そして,駆動軸7の作動時には,シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に油圧によって微小の隙間(以下,潤滑隙間という)が形成され,この潤滑隙間にピストン13の油孔18から油溜り部16に送られて貯溜された潤滑油が供給されて油膜が形成され,滑動面17の潤滑性を図りながらシール性を確保している。」との記載,及び【図1】を参酌すると,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1も,潤滑油がシリンダ12の内部とピストン13とにより形成された圧力室からスリッパシュー10のプレート部材へ供給できるものであり,本願発明のアキシャルピストン機械の上記作用と同様の作用を奏することができるものといえる。
そうすると,相違点1は,実質的な相違点とはいえない。

(2)相違点2について
一般に,アキシャルピストン機械が,液圧モータ又は液圧ポンプとして使用されるものであることは,技術常識である。
そして,流体静力学的なアキシャルピストン機械を液圧モータとして使用することも,例えば,当審の拒絶の理由に引用した特開平3-156176号公報(第4図に示された「斜板型液圧モータ」を参照。)にも記載されているように,本願の出願前において常套手段である。
そうすると,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1に上記常套手段を適用することは,当業者が容易になし得る事項であり,上記常套手段の適用のために格別の技術的困難性が伴うものとも認められないから,引用発明において,上記常套手段に基づいて,相違点2に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

(3)相違点3について
(a)引用例の段落【0017】の「上記のようにスリッパシュー10に油溜り部19を設け,さらにこの油溜り部19から凹状すなわち漏斗状の受圧面20を形成したので,この凹状の受圧面20の形状を変えることによってシール性および潤滑性の2つの油圧力バランスを満足させ得る受圧面20の加工が容易になる。したがって,必要かつ充分な微小潤滑隙間の確保が可能となって,シール性および潤滑性を確実に確保することが可能となる。」との記載を参酌すると,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,スリッパシュー10のシールランド部15が凹状の受圧面20として形成されており,この受圧面20の形状によりシールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に所定の油圧を作用させ,必要かつ充分な所定の微小潤滑隙間を確保しているものといえる。
そして,上記「(1)相違点1について」において述べたように,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,流体静力学的に負荷軽減されており,この負荷軽減は,スリッパシュー10のプレート部材へ供給される潤滑油の作用によりなされることは明らかであるから,滑動面17に作用する油圧が負荷軽減力を発生させるものといえる。
そうすると,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,スリッパシュー10のシールランド部15が凹状の受圧面20として形成されて,負荷軽減力が,シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17の微小潤滑隙間に関連しているものと認められる。

(b)上記「(a)」において述べたように,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,受圧面20の形状によりシールランド部15と斜板11とが接する滑動面17に所定の油圧を作用させ,必要かつ充分な所定の微小潤滑隙間を確保しているものであり,この斜板式アキシャルピストン装置1において,ピストン13の行程中に,垂直力が増大すると潤滑隙間が減少して油圧が増大し,垂直力が減少すると潤滑隙間が増大して油圧が減少することは,当然に奏される作用効果である。
そうすると,この作用効果により,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,所定の微小潤滑隙間を一定に保つ方向に作用力が働くように動作するものであることは明らかであり,この結果,シールランド部15と斜板11とが接する滑動面17におけるシール性及び潤滑性を一定に保つ方向に動作するものであることもまた明らかである。

(c)上記「(2)相違点2について」において述べたように,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1を液圧モータとして使用することは,当業者が容易に想到することができたものであり,また,上記「(b)」において述べたように,引用発明の斜板式アキシャルピストン装置1は,潤滑性を一定に保つ方向に動作するものであるから,この斜板式アキシャルピストン装置1を液圧モータとして使用したものは,2つのシリンダとともに回転する駆動軸の回転運動及びトルクが一様になるように動作するものといえる。

(d)以上のように,引用発明も,「すべりシューのシールウェブが凹面として形成されていることにより,負荷軽減力が,すべり面とすべりシューとの間におけるシール隙間の高さに関連しており,凹面は,ピストン行程中に,ピストンにおける垂直力が変化した場合でも負荷軽減力の変化によって,シール隙間の高さが一定に保たれるように構成されており,シール隙間の高さが一定に保たれることにより,ピストン行程中における漏油脈動が僅かにな」るものであり,また,引用発明に上記常套手段を適用したものは,「液圧モータのシリンダドラムの回転運動及びトルクが一様になる」ものであるから,引用発明において,上記常套手段に基づいて,相違点3に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

そして,本願発明の全体構成により奏される効果も,引用発明及び上記常套手段から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって,本願発明は,引用発明及び上記常套手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び上記常套手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため,本願は,同法第49条第2号の規定に該当し,拒絶をされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-23 
結審通知日 2011-08-24 
審決日 2011-09-06 
出願番号 特願平10-331318
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 種子 浩明  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 藤井 昇
冨江 耕太郎
発明の名称 流体静力学的なアキシャルピストン機械  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 久野 琢也  

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