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審決分類 |
審判 一部無効 特29条特許要件(新規) C08F 審判 一部無効 特29条の2 C08F 審判 一部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 C08F 審判 一部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 C08F 審判 一部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否 C08F 審判 一部無効 2項進歩性 C08F |
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管理番号 | 1251815 |
審判番号 | 無効2005-80204 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-06-30 |
確定日 | 2008-06-13 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2133267号「感光性熱硬化性樹脂組成物及びソルダーレジストパターン形成方法」の特許無効審判事件についてされた平成17年11月29日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において、平成18年3月30日付けで本件特許の訂正審判が請求されたことにより、本件事件を審判官に差し戻すための審決取消の決定(平成18年(行ケ)第10007号 平成18年4月26日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯・請求人の主張・訂正請求の内容 1.手続の経緯 本件特許2133267号の特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る発明は、昭和62年11月30日に特許出願され、平成9年11月14日にその特許権の設定登録がなされたところ、平成17年6月30日付けで請求人 タムラ化研株式会社 より、特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許の特許無効審判が請求され、平成17年9月26日付けで被請求人 太陽インキ製造株式会社 より答弁書が提出され、平成17年10月31日付けで被請求人より上申書が提出され、平成17年11月21日付けで請求人より上申書が提出され、平成17年11月29日付けで「特許第2133267号の特許請求の範囲に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決がなされたのに対し、平成18年1月6日に、被請求人より、当該審決の取消しを求める訴訟が提起されるとともに、平成18年3月30日付けで訂正審判が請求されたところ、平成18年4月26日付けで、知的財産高等裁判所において審決取消の決定があり、平成18年7月13日付けで被請求人より上申書が提出され、平成18年8月11日付けで請求人より弁駁書が提出され、平成18年9月6日付けで訂正拒絶理由、および、平成18年9月8日付けで職権審理結果がそれぞれ通知され、平成18年10月4日付けで請求人から、また、平成18年10月11日付けで被請求人から、それぞれ意見書が提出されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、平成17年6月30日付けの特許無効審判の請求書において、以下の4つの理由により、本件特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許発明は、無効とされるべきである旨主張している。 (1)本件特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許発明は、本件の出願前の他の特許出願である、甲第1号証(特開昭63-278052号公報)として出願公開された特願昭62-114079号(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書(以下、「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件の出願の発明者が先願に係る発明をした者と同一ではなく、また、本件の出願時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。 (2)本件特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許発明は、その特許出願前に日本国内で頒布された甲第3号証(特開昭61-243869号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。 (3)本件特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許発明は、その特許出願時において、その製造がなされたものか否か、所期の効果が奏されるか否かが確認されていない未完成なものを含み、全体として発明が完成されていないので、特許法第29条第1項柱書きに定める要件を備えていないものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。 (4)本件特許請求の範囲第1項及び同第22項に係る特許発明は、本件特許出願時に施行されていた特許法第36条第3項又は第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであり、同法第123条第1項第4号に該当する。 3.訂正の内容 上記特許無効審判の請求に対し、被請求人は、特許法第134条の3第5項の規定により平成18年7月5日になされたものとみなされる訂正請求書(平成18年3月30日付け「特許訂正審判請求書」に記載されたとおりのもの。以下、「本件訂正請求書」という。)により、訂正を求めた。本件訂正請求書に示される訂正事項は、次のとおりである。 (1)特許請求の範囲第1項の「・・・感光性熱硬化性樹脂組成物。」を『・・・感光性熱硬化性樹脂組成物。ただし、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。』と 訂正する。(以下、「訂正事項(1)」という。) (2)特許請求の範囲第22項の「プリント配線板のソルターレジストパターンの形成方法。」を『プリント配線板のソルターレジストパターンの形成方法。ただし、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。』と訂正する。(以下、「訂正事項(2)」という。) (3)特許請求の範囲第22項の「必要に応じて」を削除する。(以下、「訂正事項(3)」という。) (4)特許請求の範囲第19項の「、ポリアミン類」を削除する。(以下、「訂正事項(4)」という。) (5)特許請求の範囲第18項を削除する。(以下、「訂正事項(5)」という。) (6)特許請求の範囲第19項の「特許請求の範囲第18項」を「特許請求の範囲第1項乃至第17項のいずれか」と訂正して、新たな特許請求の範囲第18項とし、特許請求の範囲第20項の「特許請求の範囲第1項乃至第19項」を「特許請求の範囲第1項乃至第18項」と訂正して(本件訂正請求書の「訂正事項7」に係る『項番号「19項」を「18項」と訂正する。』なる記載は、『「特許請求の範囲第1項乃至第19項」を「特許請求の範囲第1項乃至第18項」と訂正する。』の誤記と認める。)、新たな特許請求の範囲第19項とし、特許請求の範囲第21項の「特許請求の範囲第1項乃至第20項」を「特許請求の範囲第1項乃至第19項」として、新たな特許請求の範囲第20項とし、特許請求の範囲第22項を新たな特許請求の範囲第21項とし、特許請求の範囲第23項の「特許請求の範囲第22項」を「特許請求の範囲第21項」として、新たな特許請求の範囲第22項とし、特許請求の範囲第24項の「特許請求の範囲第22項又は第23項」を「特許請求の範囲第21項又は第22項」と訂正して、新たな特許請求の範囲第23項とし、特許請求の範囲第25項の「特許請求の範囲第22項又は第23項」を「特許請求の範囲第21項又は第22項」と訂正して、新たな特許請求の範囲第24項とし、特許請求の範囲第26項の「特許請求の範囲第22項乃至第24項」を「特許請求の範囲第21項乃至第23項」と訂正して、新たな特許請求の範囲第25項とする。(以下、「訂正事項(6)」という。) 第2 訂正の適否に対する判断 1.本件訂正請求に関する被請求人の主張 被請求人は、上記訂正事項(1)及び(2)は、先願明細書にたまたま記載された樹脂組成物を除く訂正であり、特許請求の範囲の減縮に該当し、上記訂正事項(3)は不明りょうな記載の釈明であり、上記訂正事項(4)及び (5)は、本件特許の分割出願に係る特許の無効理由を解消することを目的として特許請求の範囲を減縮するものであり、上記訂正事項(6)は、同訂正事項(5)にともない不明りょうとなった記載の釈明に該当し、いずれの訂正事項も明細書に記載した事項の範囲内で行われたものであり、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は独立特許要件を充足している旨主張している。 2.本件訂正請求に対する請求人の主張 請求人は、以下の理由により、本件訂正は認められるべきでない旨主張している。 (1)上記訂正事項(1)及び(2)(本件訂正請求書における「訂正事項1」及 び「訂正事項12」)は、「TEPIC」と同じ化合物であって他の入手先から調達可能なものを除外していないので、実体上特許請求の範囲を減縮したものではなく、特許法第134条の2第1項第1号ないし第3号のいずれにも該当しない。 (2)商標を用いて発明を特定することにより発明が不明確になり、また、「TEPIC」という商標名の物質を除外しても本件特許発明と先願発明との同一性を否定することはできず、さらに、先願明細書に記載されている発明は実施例2に記載されている事項によって構成される発明のみではないので、上記訂正事項(1)及び(2)を含む本件訂正請求は、特許法第134条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反している。 3.訂正拒絶理由通知(職権審理結果通知)の内容 当審における平成18年9月6日付け訂正拒絶理由通知(平成18年9月8日付け職権審理結果通知と同内容)の概要は、以下のとおりである。 本件発明の特徴的な成分であるとされている特許請求の範囲第1項に記載された成分(D)の「ヘテロサイクリックエポキシ樹脂」について、発明の詳細な説明では、「日産化学(株)製TEPIC」とともに、「チバ・ガイギー社製アラルダイトPT810」が該当する旨の記載がなされ、当該商標で示される化合物を使用した実施例が記載されている。 ここで、当該商標で表される化合物はいずれもトリアジン骨格を有する3官能性エポキシ化合物、すなわちトリグリシジルイソシアヌレートに該当するものであって、さらに、「チバ・ガイギー社製アラルダイトPT810」は本件特許出願の前に市販され当業者に周知の化合物である。 そうしてみると、先願に係る当初明細書には、実施例2で具体的に使用されている「TEPIC」に代えて、同一の化学的構造を有する「アラルダイトPT810」を使用して調製される感光性熱硬化性樹脂組成物も記載されているに等しいといわざるを得ない。 よって、上記訂正事項(1)は、単に、先願に係る実施例2で具体的に記載されているとおりの本件の成分(A)?(D)に係る化合物の組み合わせを除外するのみで、訂正後の特許請求の範囲第1項に係る発明から、先願当初明細書に記載されているに等しい事項をも包含するところの先願発明を過不足なく除くものではないから、いわゆる「除くクレーム」には該当しないものである。 4.訂正拒絶理由通知に対する被請求人の反論 上記訂正拒絶理由通知に対して、被請求人は概ね以下のとおり反論している。 本件訂正請求により先願明細書の実施例2に記載された組成物を除いたのは、先願明細書の当該実施例に本件特許発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物が記載されいるからではなく、本件明細書の実施例5と重複するおそれがあったためであり、先願明細書の当該実施例に記載された「TEPIC」は本件特許発明の成分(D)の要件を充足していないことは明らかである。 また、「アラルダイトPT810」についてみても、それ自体微粒状のものではなく、難溶性の希釈剤と組み合わせる点について、先願明細書には記載も示唆もされていないから、本件特許発明の成分(D)の要件を充足していないのであって、「アラルダイトPT810」を配合した組成物を除いていない旨の訂正拒絶理由には根拠がない。 5.本件訂正請求に対する当審の判断 5.1 本件訂正前の本件発明 本件訂正前の特許請求の範囲第1項及び第22項に記載された発明は以下のとおりである(以下、「本件訂正前発明1」及び「本件訂正前発明2」という。)。 「1 (A) 1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c) アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B) 光重合開始剤、 (C) 希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D) 1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物。 22 (A) 1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c) アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B) 光重合開始剤、 (C) 希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D) 1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、及び必要に応じて (E) エポキシ樹脂用硬化剤 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に塗布し、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成し、その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることを特徴とするプリント配線板のソルダーレジストパターンの形成方法。」 5.2 先願明細書に記載された事項 先願明細書に記載された事項については、その公開公報である甲第1号証(特開昭63-278052号公報)に基づいて記載する。 (1)「1.(a)少くとも2個の未端(註:「末端」の誤記と認める。)エポキシ基を有するエポキシ樹脂にこのエポキシ樹脂の1エポキシ当量当り約0.7?1.5モルの、エチレン結合を1個有する不飽和カルボン酸を反応させた後、更に1エポキシ当量当り0.2?1モルの多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物、(b)エチレン結合を少くとも2個有する不飽和化合物、及び(c)増感剤を含む感光性皮膜組成物。」(特許請求の範囲) (2)「本発明は感光性皮膜組成物に関し、更に詳しくは紫外線に照射された部分が硬化し、末露光(註:「未露光」の誤記と認める。)部分はアルカリ水溶液で除去できるネガティブ型フォトレジストとして用いられる感光性エポキシ系樹脂皮膜組成物に関する。従来、プリント配線板の形成におけるエッチングレジスト、めっきレジストソルダーレジストなどの保護膜として使用できるネガティブ型感光性皮膜組成物は・・・・・・その対応に苦慮しているのが現実である。 本発明の目的はこうした危険性を最小限にすると共に良好な解像性、可撓性、密着性、耐薬品性及び密着性に優れた皮膜特性が得られ、しかもアルカリ水で現像可能な感光性皮膜が形成できる感光性皮膜組成物を提供することである。」(第1頁左下欄第15行?同右下欄第16行) (3)「本発明の感光性皮膜組成物は(a)少くとも2個の未端(註:「末端」の誤記と認める。)エポキシ基を有するエポキシ樹脂にこのエポキシ樹脂の1エポキシ当量当り約0.7?1.5モルの、エチレン結合を1個有する不飽和カルボン酸を反応させた後、更に1エポキシ当量当り0.2?1モルの多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物、(b)エチレン結合を少くとも2個有する不飽和化合物、及び(c)増感剤を含むことを特徴とするものである。」(第1頁右下欄第17行?第2頁左上欄第5行) (4)「ここでエポキシ樹脂としては、油化シェルエポキシ(株)商品名エピコート828、・・・・・・・・・・・・チバガイギー(株)の商品名YL-931,604,日産化学(株)の商品名TEPIC;セラニーズ社の商品名EPI-REZ SU8などの特殊多官能エポキシ樹脂が用いられる。」(第2頁左上欄第10行?同右上欄第3行) (5)「α,β-エチレン結合を1個有する不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などがある。本発明において用いられる好ましいエチレン結合を有する不飽和カルボン酸はアクリル酸である。」(第2頁右上欄第4?8行) (6)「多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、・・・・・・無水フタル酸・・・・・・などがある。本発明において用いられる好まして(註:「好ましい」の誤記と認める。)多塩基酸無水物は上記の内の二塩基酸無水物である。」(第2頁右上欄第8行?同左下欄第7行) (7)「本発明を効果的に実施するためには、エチレン結合を1個有する不飽和カルボン酸はエポキシ樹脂の1エポキシ当量当り少なくとも0.7モルの量で用いることが重要である。・・・前記量よりも少ない量、例えば1エポキシ当量り約0.5モルの、エチレン結合を持つ不飽和カルボン酸しか反応させなかった場合は、この反応生成物は非常に不安定で多塩基酸無水物と反応させる際にゲル化してしまう。・・・・・・さらにこうして得られた反応物をアルカリ水溶液で可溶化するために、1エポキシ当量当り0.2?1モル、好ましくは0.3?0.7モルの多塩基酸無水物と反応させる。多塩基酸無水物の量が0.2モル未満ではアルカリ水溶液による可溶化が困難になり、又1.5モルより多くなると皮膜の耐薬品性、電気特性に劣る結果となる。」(第2頁左下欄第8行?同右下欄第9行) (8)「ここでエチレン結合を少くとも2個有する不飽和化合物は紫外線に対して露光されて反応しなければならず、そのため末端にエチレン基を含んでいることが必要であり、組成物は所望の程度に感光するに充分な量で用いられる。このような化合物としてはポリオールの不飽和エステル、・・・・・・ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、・・・・・・などがある。 好ましいエチレン結合を有する不飽和化合物はポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどである。以上のような不飽和化合物の相対的な量は一般的には0.5?50重量%、好ましくは1?30重量%である。」(第2頁右下欄第18行?第3頁右上欄第15行) (9)「本発明による組成物は更に増感剤を含む。この様な材料は従来技術において多数周知である。例えば2-t-ブチルアントラキノン、・・・・・・2-メチルアントラキノン、・・・・・・などの他の置換された又は置換されていない多核キノンなどが挙げられる。その他の増感剤は四塩化炭素、・・・・・・ベンジルジメチルケタール、・・・・・・などがある。」(第3頁右下欄第14行?第4頁左上欄第20行) (10)「本発明のフォトレジスト組成物にはレジスト層がはんだ温度に耐え且つ永久的な保護皮膜として用いられる様に前述のエポキシ樹脂を3?50重量%、好ましくは5?30重量%とエポキシ硬化剤を0.1?10重量%、好ましくは0.1?5重量%使用することができる。」(第4頁右上欄第5?10行) (11)「エポキシ硬化剤としては・・・・・・2-エチル‐4-メチルイミダゾール、・・・・・・などが用いられる。」(第4頁右上欄第10行?同左下欄第5行) (12)「実施例2 約230のエポキシ当量を有するクレゾールノボラック系エポキシ樹脂(EOCN104)を約230重量部、セロソルブアセテート(不活性有機溶剤)230重量部、アクリル酸約75重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル約2重量部及びエステル化触媒として トリエチルアミン約2重量部よりなる混合物を約80℃で20時間反応させ、酸価約12のエポキシアクリレートを得た。次に無水フタル酸を約74重量部加えて約80℃で2時間反応させて得た約100重量部に対してペンタエリスリトールテトラアクリレート5重量部、多官能エポキシ樹脂(TEPIC)10重量部、2-メチルアントラキノン約2重量部とジメチルベンジルケタール約1重量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5重量部を混合して本発明の組成物を得た。次にこの組成物をカーテンコーター法により銅張り積層板の片面に厚さ0.01?0.02mmに塗布した後、約60℃で60分間加熱乾燥し、室温で粘着性のない状態にし、更に所望パターンのネガフイルムを密着させ、波長365nmでの強度が25mw/cm^(2)の紫外線を10秒間照射露光し、1%炭酸ソーダ水溶液で現像し、次いで耐熱性を付与するために150℃で30分間加熱硬化させた。得られた塗膜は線間線巾200μmのパターンを再現し、また250℃、60秒間のはんだ耐熱性を示した。」(第5頁右上欄第7行?同左下欄第13行) 5.3 先願明細書に記載された発明との対比・判断 上記の先願明細書の記載事項からすれば、先願明細書には、多量の有機溶剤を使用することなく、良好な解像性、可撓性、密着性及び耐薬品性に優れ、しかもアルカリ水で現像可能な感光性皮膜を形成することができる感光性皮膜組成物を提供することを目的とした、少くとも2個の末端エポキシ基を有するエポキシ樹脂にエチレン不飽和結合を1個有する不飽和カルボン酸を特定量比で反応させた後、更に多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物である成分(a)を、エチレン結合を少くとも2個有する不飽和化合物である成分(b)及び増感剤である成分(c)とともに配合した感光性皮膜組成物に関する発明が記載されていると認められる。 他方、本件訂正前発明1についてみると、本件明細書に「従って、本発明の目的は、上記のような種々の欠点がなく、現像性及び感度共に優れ、かつ露光部の現像液に対する耐性があり、ポットライフが長い感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。」(本件公告公報第5頁第9欄第37?40行)及び『本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、「使用する」希釈剤に「難溶性」の「微粒状」エポキシ化合物を熱硬化性成分として用いたことを最大の特徴としている。この必須の成分である微粒(粉)状エポキシ化合物は、使用する希釈剤に難溶であり、微粒子のまま分散させて用いられるため、すなわちフィラーと同じような用い方であるため、現像液に侵されにくく感度の低下がなく、また現像の際に未露光部の微粒子状エポキシ化合物は現像液により洗い流されるため現像性に優れ、短時間で現像することができ、さらにその後の加熱によりエポキシ化合物を単独で溶融熱硬化させ、あるいは感光性プレポリマーと共重合させ、目的とする諸特性に優れたプリント配線板用ソルダーレジストパターンを形成せしめることができる。』(本件公告公報第6頁第12欄第29?43行)と記載されている。 そうしてみると、本件訂正発明1と先願明細書に記載された発明とは、いずれも感光性熱可塑性樹脂組成物に関するという点で同一の技術分野の属するものであるが、その目的、及び、構成の特徴点までをも共有するものではなく、また、先願明細書には、本件訂正発明1の成分(D)に係る要件、すなわち、使用する希釈剤に難溶性の微粒子状のエポキシ化合物を用いる点については何ら記載されていないのであるから、すべての発明特定事項の点で一致するものでないことは明らかであって、両者は技術的思想としては互いに異なるものというべきである。 とはいうものの、先願明細書の実施例等において、本件訂正発明1に該当するものがたまたま記載されていた場合には、その開示の範囲内で本件訂正発明1と同一となる発明を認定できる場合があるので、以下、この観点から先願明細書の記載事項を検討する。 先願明細書の実施例2には、[ア]セロソルブアセテート中のクレゾールノボラック系エポキシ樹脂とアクリル酸とを反応させてエポキシアクリレートを得ること、[イ]さらに無水フタル酸を反応させて反応生成物を得ること、当該反応生成物と[ウ]ペンタエリスリトールテトラアクリレート、[エ]多官能エポキシ樹脂(TEPIC)、[オ]2-メチルアントラキノンおよびジメチルベンジルケタールとを混合して組成物を得ることが記載されている。 ここで、前記[ア]で得られる化合物は本件訂正前発明1の(a)のノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって得られるエポキシ基の全エステル化物(a-1)あるいは部分エステル化物(a-2)に相当し、同[イ]の反応生成物は本件訂正前発明1の(a-1-1)あるいは(a-2-1)に相当するものであって、結局、この反応生成物は本件訂正前発明1の(A)の感光性プレポリマーに相当するものといえる。 そして、前記[オ]の2-メチルアントラキノン及びジメチルベンジルケタールは、本件訂正前発明1の(B)の光重合開始剤に相当し、同[ウ]のペンタエリスリトールテトラアクリレート及び同[ア]のセロソルブアセテートは、同様に本件訂正前発明1の(C)の希釈剤としての光重合性ビニルモノマー及び有機溶剤に相当するものである。 当該実施例2においては、さらに前記[エ]の化合物が配合され、調製された組成物に紫外線を照射し、現像し、熱硬化させることが記載されているから、当該組成物は、本件訂正前発明1の感光性熱硬化性樹脂組成物といえるものである。 したがって、先願明細書の実施例2に記載された感光性熱硬化性樹脂組成物を「引用発明」とし、これを本件訂正前発明1と対比すると、両者は、 「(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、(a-1-1)又は(a-2-1)に該当する感光性プレポリマー、(B)光重合開始剤、(C)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び有機溶剤、及び、(D)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物」である点で一致し、以下の点で一応相違するものと認める。 相違点: 成分(D)のエポキシ化合物について、本件訂正前発明1では、「使用する希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物」と規定するのに対し、引用発明では、「多官能エポキシ樹脂(TEPIC)」が使用されており、使用する希釈剤に難溶性で、かつ微粒状であるとの限定がない点。 そこで、上記相違点について検討する。 引用発明に係る「多官能エポキシ樹脂(TEPIC)」は、先願明細書の摘示事項(4)に記載されている「日産化学(株)の商品名TEPIC」と同じものと認められるが、そうであれば、これは、本件明細書中で「ヘテロサイクリックエポキシ樹脂」として記載されている「日産化学(株)製TEPIC」(特公平7-17737号公報(以下、単に「公告公報」という。)第10頁第10欄第23行参照)と一致するものというほかはない。 また、引用発明において「多官能エポキシ樹脂(TEPIC)」と同時に配合されている「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」は、本件訂正前発明1の具体的態様である実施例5においても、『微粒状「TEPIC」』と組み合わせて希釈剤として実際に配合されており、この点を踏まえれば、引用発明における「多感能エポキシ樹脂(TEPIC)」が、使用する希釈剤に難燃性のものであるとの要件を満足することは明らかである。 最後に、成分(D)のエポキシ化合物として微粒状のものを使用する点についてみると、本件明細書中に、「係るエポキシ化合物(D)は、常法により前記エポキシ化合物を粉砕および/または、前記感光性プレポリマー(A)などの他の組成物成分と例えばロールミルなどの混練機で破壊分散させて微粒状とされ、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。・・・また、粒径は50μm以下が適し、好ましくは30μm以下である。粒径が50μmを越える場合、前記スクリーン印刷による塗布ではスクリーンの通過性が悪くなり、塗膜表面にピンホールが生じ易く、また他の塗布方法であっても塗膜表面にザラツキがで易くなるので好ましくない。」(公告公報第10頁第10欄第29?44行参照)と記載されている。 そうしてみると、本件訂正前発明1は、予め粉砕して「微粒状」とした成分(D)を他の組成物成分と混合することにより調製される態様のみならず、粉砕処理が施されていない当該成分(D)を、他の組成物成分と予備的に混合した後の段階で、混練等適宜の手段により「微粒状」の要件を満足させる態様も包含しているのであって、実際に、本件明細書の実施例においては、他の成分と予備混合される前の成分(D)は、「微粒状」のもののみならず「粒状」のものも使用され、前記予備混合の後の段階に行われる混練処理によって、所望の粒度を有する感光性熱硬化性樹脂組成物が調製されている。 他方、先願明細書には、「・・・を混合して本発明の組成物を得た。次にこの組成物をカーテンコーター法により銅張り積層板の片面に厚さ0.01?0.02mmに塗布した後」と記載されており、予備的な混合の後の具体的な操作は記載されていないものの、先願発明においては、0.01?0.02mm、すなわち、10?20μm程度の膜厚で硬化前の感光性熱硬化性樹脂組成物の塗膜が得られている。 そうであるとすれば、当該塗膜を形成する感光性熱硬化性樹脂組成物に含まれる粒状成分の粒度は、成分(D)の粒度も含めて当該膜厚よりも小さい値であると解するのが相当であるから、引用発明における成分(D)もまた「微粒状」のものであるといわざるを得ない。 よって、本件訂正前発明1は、引用発明と同一である。 次に、本件訂正前発明2について検討する。 本件訂正前発明2は、本件訂正前発明1における感光性熱硬化性樹脂組成物において、さらに必要に応じてエポキシ樹脂用硬化剤を含有する感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に塗布し、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成し、その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることを特徴とするプリント配線板のソルダーレジストパターンの形成方法である。 先願明細書の実施例2には、上述のとおり、本件訂正前発明1と同一の感光性熱硬化性樹脂組成物が記載され、さらに、エポキシ樹脂用硬化剤として2-エチル-4-メチルイミダゾールを加えること、該感光性熱硬化性樹脂組成物を銅張り積層板の片面に塗布すること、所望パターンのネガフィルムを密着させること、紫外線で照射露光すること、炭酸ソーダ水溶液で現像すること、加熱硬化され、パターンを再現することが記載されており、これは本件訂正前発明2のプリント配線板のソルダーレジストパターンの形成方法といえるものである。(以下、当該形成方法を「引用発明2」という。) よって、本件訂正前発明2も、本件訂正前発明1と同様の理由により、引用発明2と同一である。 5.4 本件訂正請求に対する請求人の主張の検討 上記5.3でも指摘したとおり、本件訂正前発明1及び2と先願明細書に記載された発明とは、本来的には技術的思想としては異なるものであるから、引用発明は、先願明細書の実施例2の記載に即して把握するのが相当であり、当該実施例の記載を離れて「先願明細書に記載された発明」を認定すべきではない。 先願明細書には、配合することができるエポキシ樹脂の類型である「特殊多官能エポキシ樹脂」として、「チバガイギー(株)の商品名YL-931,604,日産化学(株)の商品名TEPIC;セラニーズ社の商品名EPI-REZ SU8」が例示されているものの、「アラルダイトPT810」について触れるところはなく、また、当該「特殊多官能エポキシ樹脂」として、希釈剤に難燃性のものを用いることについて記載も示唆もされていない。 また、同一の化学式を有する化合物であることのみをもって、製造・販売元のいかんに拠らず、純度、粒子形状、各種溶媒への溶解性を含めた諸物性について、常に同等の結果が期待できるとも認められない。 したがって、先願明細書に「アラルダイトPT810」を使用できるという手掛かりがない以上、「TEPIC」に代えて「アラルダイトPT810」を使用して調製される組成物が記載されているとまではいうことができない。 5.5 訂正の目的、範囲内要件の適否および拡張・変更の存否 上記5.3及び5.4で検討したとおり、訂正事項(1)および(2)は、本件訂正前の特許請求の範囲第1項および同第22項において、感光性熱硬化性樹脂組成物から、差戻し前の特許無効の審決において引用された先願(特願昭62-114079号(特開昭63-278052号公報参照))の願書に添付された明細書の実施例2に開示されている組成物であって、本件訂正前の特許請求の範囲第1項および同第22項に係る発明と同一となるもののみを除外するもの(いわゆる「除くクレーム」)であるから、例外的に本件明細書に記載した事項の範囲内でされたものと扱い得るものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項(3)は、訂正前の特許請求の範囲第22項に記載されていた任意付加的又は選択的な事項を、必須の発明特定事項であることを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項(4)は、訂正前の特許請求の範囲第19項における択一的記載の要素を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項(5)は、現在係属中の他の無効審判事件(無効2005-80200号)における無効理由に対応して請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項(6)は、訂正事項(5)に伴い、特許請求の範囲の記載の整合をとるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして前記訂正事項(1)?(6)のいずれも、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。 5.6 本件特許無効審判の請求がされていない請求項に関する独立特許要件の適否 さらに、訂正事項(4)および(5)は、本件特許無効審判の請求がなされている特許請求の範囲第1項の実施態様項である本件訂正前の特許請求の範囲第18項および同第19項に係るものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、本件訂正後の特許請求の範囲第18項(本件訂正前の特許請求の範囲第19項に対応)に記載されている事項により構成される発明は、後記する本件特許請求の範囲第1項に対する無効審判の判断と同様の理由により、特許出願の際独立して特許を受けることのできるものである。 なお、本件補正後の特許請求の範囲第1項及び同第21項に関する独立特許要件の適否については、特許法第134条の2第5項の規定により、訂正の可否の要件として判断する必要はないので、以下の無効理由の審理において検討する。 5.7 まとめ 以上のとおりであるから、前記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下、「平成6年法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされた平成6年法改正前の特許法第134条第2項ただし書きの規定に適合し、特許法第134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年法改正前の特許法第126条第3項の規定に適合するものであるので、当該訂正を認める。 第3 本件発明に対する判断 1.本件発明 本件訂正の結果、訂正後の特許請求の範囲第1項および特許請求の範囲第21項に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」および「本件発明2」という。)は、全文訂正明細書の記載からみて、以下のとおりのものである。 「1 (A) 1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c) アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B) 光重合開始剤、 (C) 希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D) 1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物。 ただし、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。 21 (A) 1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c) アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B) 光重合開始剤、 (C) 希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D) 1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、及び (E) エポキシ樹脂用硬化剤 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に塗布し、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成し、その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることを特徴とするプリント配線板のソルダーレジストパターンの形成方法。 ただし、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。」 2.当審の判断 当審では、請求人の主張する各理由について以下のとおり判断する。 2.1 理由(1)について 上記第2 5.3及び同 5.4で指摘したとおり、先願明細書に記載された発明全般と本件訂正前発明1及び2とは技術的思想としては互いに異なるものであり、この関係は、本件発明1及び2との間でも当然にあてはまるが、先願明細書には、本件発明1及び2の構成上の特徴点に関する記載も示唆もなされていないのであるから、かかる特徴点とは無関係に、本件発明1及び2と対比すべき引用発明を認定することはできない。 上記第2 5.5のとおり、本件訂正により、本件訂正前発明1及び2から当該両発明とたまたま重複していた先願明細書の実施例2に記載された発明(引用発明1及び2)が除外されたので、当該訂正後の発明である本件発明1及び2に対しては、もはや、特許法第29条の2の規定を適用することはできない。 2.2 理由(2)について 2.2.1 甲第3号証に記載された事項 本件出願前に国内で頒布された刊行物である甲第3号証(特開昭61-243869号公報)には、以下の事項が記載されている。 (1)「1.(A) ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応せしめて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂、 (B) 光重合開始剤、及び (C) 希釈剤 を含んでなる希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性の液状レジストインキ組成物」(特許請求の範囲) (2)「本発明は、新規にして有用なレジストインキ組成物に関し、さらに詳しくは、ノボラック樹脂骨核(註:「骨格」の誤記と認める。)を有する特定の活性エネルギー線硬化性樹脂と光重合開始剤と希釈剤とを必須成分として含有してなる、光硬化性及び耐熱性、耐溶剤性、耐酸性等に優れた、特に民生用プリント配線基板乃至は産業用プリント配線基板などの製造に適した弱アルカリ水溶液で現像可能な液状レジストインキ組成物に関する。」(第1頁右下欄第13行?第2頁左上欄第1行) (3)「上記活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、後述する如きノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、無水フタル酸などの二塩基酸無水物あるいは無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸無水物類とを反応せしめることによって得られる。」(第2頁左下欄第13?19行) (4)「ノボラック型エポキシ化合物の代表的なものとしては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などがあり、常法により、それぞれのノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応せしめて得られるような化合物を用いることができる。」(第2頁右下欄第17行?第3頁左上欄第2行) (5)「他方、不飽和モノカルボン酸の代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などがあるが、特にアクリル酸が好ましい。」(第3頁左上欄第3?6行) (6)「また、前記した酸無水物類としては、代表的なものとして無水マレイン酸、無水コハク酸・・・・・・などの二塩基性酸無水物;・・・・・・のような多価カルボン酸無水物誘導体などが使用できる。」(第3頁左上欄第7行?同右上欄第2行) (7)「次に、前記した光重合開始剤(B)の代表的なものとしては、ベンゾイン、・・・・・・、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類又はキサントン類などがあるるが、かかる重合開始剤(B)は安息香酸系又は第三級アミン系など公知慣用の光重合促進剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。」(第3頁右上欄第3行?同左下欄第5行) (8)「さらに、前記した希釈剤(C)としては光重合性モノマー及び/又は有機溶剤が使用できる。光重合性モノマーの代表的なものとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、・・・・・・などの水溶性モノマー(C-1);及びジエチレングリコールジアクリレート、・・・・・・、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ-、ジ-、トリ-又はそれ以上のポリエステルなどの非水溶性モノマー(C-2)がある。 一方、有機溶剤(C-3)としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、・・・・・・セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどの酢酸エステル類などがある。」(第3頁左下欄第10行?第4頁左上欄第15行) (9)「かくして得られる本発明組成物には、さらに必要に応じて硫酸バリウム、酸化珪素、・・・などの公知慣用の充填剤・・・・・・あるいはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ターシャリブチルカテコール、フェノチアジンなどの公知慣用の重合禁止剤を加えてもよく、さらにはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂などの一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物と、アミン化合物類、イミダゾール化合物類、カルボン酸類、フェノール類、第四級アンモニウム塩類またはメチロール基含有化合物類などのエポキシ硬化剤とを少量併用して塗膜を後加熱することにより、光硬化成分の重合促進ならびに共重合を通して本発明組成物の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐メッキ性、密着性、電気特性および硬度などの諸特性を向上せしめることができる。」(第4頁左下欄第2行?同右下欄第7行) (10)「実施例 4 エポキシ当量が217で、かつ一分子中に平均して7個のフェノール核残基と、さらにエポキシ基とを併せ有するクレゾール型エポキシ樹脂の1当量と、アクリル酸の1.05当量とを反応させて得られる反応物に、無水テトラヒドロフタル酸0.95当量を常法により反応せしめ、セロソルブアセテートで希釈せしめて不揮発分を70%とした。これを樹脂(A-3)と略記する。 配合成分 (a) 樹脂(A-3) 50部 トリメチロールプロパントリアクリレート 4〃 ペンタエリスリトールトリアクリレート 4〃 2-エチルアントラキノン 3〃 2-ジメチルアミノエチルベンゾエート 2〃 2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール 0.5〃 「AC-300」 1.0〃 フタロシアニン・グリーン 0.5〃 炭酸カルシウム 10部 配合成分(a)合計 75部 配合成分 (b) 「エピクロンEXA-1514」〔大日本インキ化学工業(株)製 ビスフェノールS型エポキシ樹脂〕 10部 トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 4〃 セロソルブアセテート 6〃 炭酸カルシウム 5〃 配合成分(b)合計 25部 上記各成分(a)、成分(b)それぞれ別々にテストロール(ロールミル)により混練してインキを調製した。 次いで成分(a)と成分(b)を混合した後、これを銅張積層板及び予めエッチングしてパターンを形成しておいたプリント配線基板の全面にスクリーン印刷法により塗布し、しかるのち熱風循環式乾燥炉中において70℃で30分間乾燥させることによりテストピースを作製した。ここにおいて、銅張積層板にインキを塗布したテストピースを4-E、予めエッチングしてパターンを形成しておいたプリント配線基板にインキを塗布したテストピースを4-Sと以下略記する。」(第6頁左上欄第3行?左下欄第3行) (11)「試験例1?3(光硬化性、現像性、指触乾燥性) 上記実施例1?8及び比較例1?4で作製した各テストピース1-E?7-E及び比1-Eから比4-Eの上に、ガラスに密着させたレジストパターンフィルムを0.5mmのスペーサを介して置くことにより、非接触の状態に保ち、照度が10mW/cm^(2)なる平行露光装置(・・・、(株)オーク製作所製)による各照射時間毎の光硬化性と、この露光硬化後に1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用いて現像した際の現像性を測定した。その結果を第1表にまとめて示す。 ・・・・・・ また、実施例4?7および比較例3?4で作製された各テストピースについては、指触乾燥性をみたのち、レジストフィルムを直接テストピースに密着させ、各照射時間毎の光硬化性と現像性を評価した。その結果も併せて第1表に示す。」(第8頁右上欄第7行?同左下欄第6行) 2.2.2 対比・判断 甲第3号証に記載の上記成分(A)は同成分(B)及び(C)とともに光硬化されるものであるから、甲第3号証の特許請求の範囲第1項でいうところの「活性エネルギー線硬化性」は「光硬化性」と同義であることは明らかである。 そして、同特許請求の範囲第1項の成分(C)としては、光重合性モノマー及び/又は有機溶剤が使用され、光重合性モノマーとして例示されている成分はいずれも分子中にビニル結合を有している(メタ)アクリル酸から誘導されるものである。 また、必要に応じて追加配合される成分のうち、一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物に該当するものは、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂」である。 そうすると、甲第3号証には、「(A’)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応せしめて得られる光硬化性樹脂、 (B’)光重合開始剤、 (C’)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D’)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂などの一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、 を含有してなる感光性熱硬化性熱硬化性樹脂組成物」が記載されていると認められる。(以下、「甲第3号証発明」という。) ここで、前記成分(A’)の中間体である「ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物」は本件発明1の(a)のノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって得られるエポキシ基の全エステル化物(a-1)あるいは部分エステル化物(a-2)に相当し、これにさらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる当該成分(A’)の最終生成物は本件発明1の(a-1-1)あるいは(a-2-1)に相当するものであって、結局、本件発明1の成分(A)の感光性プレポリマーに相当するものといえ、また、前記成分(B’)及び(C’)がそれぞれ本件発明1の成分(B)及び(C)に相当することは明らかである。 そこで、甲第3号証発明と本件発明1と対比すると、両者は、 「(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、(a-1-1)又は(a-2-1)に該当する感光性プレポリマー、(B)光重合開始剤、(C)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び、(D)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物」である点で一致し、以下の点で相違するものと認める。 相違点: 成分(D)のエポキシ化合物について、本件発明1では、「使用する希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物」と規定するのに対し、甲第3号証発明では、「ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂などの一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物」から選択されるにすぎず、当該エポキシ化合物として「使用する希釈剤に難溶性の微粒状」のものを使用する旨の特定がなされていない点。 上記第2 5.3でも述べたとおり、本件発明1は『「使用する」希釈剤に「難溶性」の「微粒状」エポキシ化合物を熱硬化性成分として用いたことを最大の特徴としている。』ところ、このような特定の性状を有するエポキシ化合物を採用する点について、甲第3号証に一切教示するところはなく、また、そのような特定のエポキシ化合物を採用することが技術常識であるとも認められない。 そして、本件発明1は、かかる特定の性状をもった成分(D)を配合することによって、現像性及び感度共に優れ、かつ露光部の現像液に対する耐性がある等の優れた効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、当業者が甲第3号証発明に基づいて容易に想到し得たものではない。 次に、本件発明2について検討する。 本件発明2は、本件発明1における感光性熱硬化性樹脂組成物において、さらにエポキシ樹脂用硬化剤を含有する感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に塗布し、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成し、その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることを特徴とするプリント配線板のソルダーレジストパターンの形成方法である。 よって、本件発明2も、本件発明1と同様の理由により、当業者が甲第3号証発明に基づいて容易に想到し得たものではない。 したがって、本件発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定には該当しない。 2.3 理由(3)について 本件発明1及び2の成分(A)については、まず、「1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー」と規定され、当該(a)群に該当するものとして、(a-1-1)、(a-1-2)、(a-2-1)及び(a-2-2)が、同(b)群に該当するものとして、(b-1)、(b-1-1)、(b-1-2)、(b-2)、(b-2-1)及び(b-2-2)が、同(c)群に該当するものとして、(c-1)及び(c-2)が、それぞれ列挙されている。 ここで、前記(a)群はノボラック型エポキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分又は全エステル化物から誘導される化合物、前記(b)群はノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分又は全エーテル化物であるか、若しくは、当該部分又は全エーテル化物から誘導される化合物、そして、前記(c)群はジアリル(イソ)フタレートプレポリマーであるから、(a)?(c)の各群内においては、選択肢どおしは重要な化学的構造要素を共有しているということができる。そして、かかる共通した化学的構造要素が存在することから、(a)?(c)の各群においては、その群内の各選択肢は、互いに入れ換えても同等に作用するであろうと予想できるものである。 そこで、本件明細書の記載をみると、本件発明1及び2の成分(A)の具体的態様に該当するものとして、実施例3に(a-1-1)及び(c-1)、実施例4に(a-2-2)、実施例5に(a-1-1)及び(b-1-1)、実施例6に(c-1)をそれぞれ使用した組成物が記載されている。 そうしてみると、本件明細書には、(a)?(c)のいずれの群についてみても、その代表的な選択肢を実際に配合した感光性熱硬化性樹脂組成物が開示されているというべきである。 また、本件発明1及び2の成分(D)については、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、」と規定されている。 ここで、上記列記の「ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂」はいずれも、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難燃性の微粒状エポキシ化合物であって、固形状もしくは半固形状のもの」という、一群のものとして認識される化学物質群に属するといえ、当該群内の選択肢についてはいずれも同等に作用することが期待できるものである。 そこで、本件明細書の記載をみると、本件発明1及び2の成分(D)の具体的態様に該当するものとして、実施例3にビキシレノール型エポキシ樹脂、実施例4及び5にヘテロサイクリックエポキシ樹脂、実施例6にビフェノール型エポキシ樹脂をそれぞれ使用した組成物が記載されているから、本件明細書には、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、固型状もしくは半固型状のもの」の代表的な化合物が開示されているというべきである。 そうしてみると、本件明細書には、成分(A)、(D)のいずれについてみても、代表的な選択肢を実際に配合した感光性熱硬化性樹脂組成物が開示されており、具体的には開示されていないその余の選択肢についても同等の作用を奏すると予測できるというべきであるから、当該その余の選択肢について着想の域を出ないとすることはできない。 したがって、本件発明1及び2は、特許法第29条第1項柱書きに定める特許要件を具備したものである。 2.4 理由(4)について 本件明細書には、本件発明1及び2に係る成分(A)及び同(D)について、同等の作用を奏し得ると予測することができる化合物群内で、それぞれ代表的な選択肢を使用した例が記載されていることは、上記2.3で指摘したとおりである。 そして、本件明細書の発明の詳細な説明には、当該成分(A)について、各選択肢に該当する化合物を調製する際の出発原料及び製造方法が記載され、あるいは、市販の商品を利用できる場合にはその旨の教示がなされ、さらに、代表的な選択肢である(a-1-1)、(a-2-2)及び(b-1-1)については、具体的な製造例が示されている。 次に、当該成分(D)については、本件明細書の発明の詳細な説明に、「使用する希釈剤に難溶性で、かつ常温で固型もしくは半固型」という条件を満たす好適な市販の製品が記載され、同時に使用される成分(C)の希釈剤について使用することができるものが例示され、さらに、成分(C)と同(D)の組み合わせについても、実施例3?6として具体的な態様が示されている。 ここに、成分(D)として例示されているものは、いずれも市販の製品であるから、これらは容易に入手できるものである。そして、成分(D)としていずれの化合物を使用するかが決定されれば、本件明細書の実施例の記載も参酌しつつ、発明の詳細な説明に成分(C)として例示された化合物の中から、当該成分(D)を溶解させないものを実験的に決定することができるが、このようなことが当業者に期待しうる程度を越える試行錯誤を強いるものとはいえない。 なるほど、(a-1)及び(a-2)は本件発明1及び2の成分(A)の選択肢に、また、ビスフェノールS型エポキシ樹脂は同成分(D)の選択肢に、もはや含まれるものではないが、本件発明1及び本件発明2の構成に欠くことができない事項は、本件特許請求の範囲第1項及び同第21項の記載から明確に把握することができるから、感光性プレポリマー成分として前記(a-1)及び/又は(a-2)しか含有していない組成物を調製した例が依然として「実施例」と記載されているとしても、そのことのみをもって、当業者が本件発明1及び2に係る発明を容易に実施することが妨げられているとまではいえない。なお、本件明細書の「実施例6」に記載されている組成物は、本件発明1及び2の成分(D)の選択肢であるところのビフェノール型エポキシ樹脂を含有しているので、当該「実施例6」は依然として本件発明1及び2の具体的態様に該当するものである。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載したものであり、また、本件明細書の特許請求の範囲は、発明の詳細な説明に記載したものの中から、その発明の構成に欠くことができない事項を記載したものである。 よって、本件明細書は特許法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第27号。以下、「昭和62年法」という。)附則第3条の規定によりなお従前の例によるとされた昭和62年法改正前の特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満足するものである。 2.5 平成8月11日付け弁駁書における独立特許要件違反の主張について 特許法第29条の2の規定に関する主張については、上記2.1で判断したとおりである。 明細書の記載不備に関する主張については、確かに、特許請求の範囲に商標又は商品名を記載することは可能な限り避けるべきであるが、本件訂正にあっては、引用発明との同一性を回避するためにやむを得ず商標を使用するものであるから、当該訂正のために、発明の構成に欠くことができない事項が不明確になるとまではいえない。 よって、本件明細書は特許法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第27号。以下、「昭和62年法」という。)附則第3条の規定によりなお従前の例によるとされた昭和62年法改正前の特許法第36条第4項に規定する要件を満足するものである。 以上のとおりであるので、請求人の理由1?4及び本件訂正請求に対する独立特許要件に関連した主張はいずれも採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許請求の範囲第1項及び同第21項に記載された発明に係る特許を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 感光性熱硬化性組成物及びソルダーレジストパターン形成方法 (57)【特許請求の範囲】 1.(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c)アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B)光重合開始剤、 (C)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物。 ただし、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。 2.前記微粒状エポキシ化合物の粒子径が50μm以下である特許請求の範囲第1項に記載の組成物。 3.前記感光性プレポリマーと微粒状エポキシ化合物との配合比率が50?95:50?5(重量基準)である特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の組成物。 4.前記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物の一部を1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する可溶性エポキシ化合物に置き換えて使用する特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載の組成物。 5.難溶性の微粒状エポキシ化合物と前記可溶性エポキシ化合物との配合比率が40?100:60?0(重量基準)である特許請求の範囲第4項に記載の組成物。 6.前記可溶性エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂である特許請求の範囲第4項又は第5項に記載の組成物。 7.希釈剤の配合量が前記感光性プレポリマー100重量部当り20?300重量部である特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれかに記載の組成物。 8.前記希釈剤が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリコール類のモノまたはジ(メタ)アクリレート類、アクリルアミド類、アミノアルキル(メタ)アクリレート類、多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類、フェノール類またはこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類、グリシジルエーテル類の(メタ)アクリレート類およびメラミン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の光重合性ビニル系モノマーである特許請求の範囲第1項乃至第7項のいずれかに記載の組成物。 9.前記希釈剤が、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素類および石油系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機溶剤である特許請求の範囲第1項乃至第7項のいずれかに記載の組成物。 10.光重合開始剤の配合量が前記感光性プレポリマー100重量部当り0.2?30重量部である特許請求の範囲第1項乃至第9項のいずれかに記載の組成物。 11.前記ノボラック型エポキシ化合物が、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック類と、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものである特許請求の範囲第1項乃至第10項のいずれかに記載の組成物。 12.前記ノボラック型エポキシ化合物がクレゾールノボラック型エポキシ化合物である特許請求の範囲第1項乃至第10項のいずれかに記載の組成物。 13.前記エステル化物又はエーテル化物が、前記ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸又は不飽和フェノール化合物とを、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数又はエポキシ基の当量数/フェノール性水酸基の当量数が0.8?3.3の比率で反応させたものである特許請求の範囲第1項乃至第12項のいずれかに記載の組成物。 14.前記エステル化物又はエーテル化物が、前記ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸又は不飽和フェノール化合物とを、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数又はエポキシ基の当量数/フェノール性水酸基の当量数が0.9?1.1の比率で反応させた全エステル化物もしくは全エーテル化物である特許請求の範囲第1項乃至第12項のいずれかに記載の組成物。 15.前記感光性プレポリマーが、前記エステル化物又はエーテル化物と前記飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを、前記エステル化物又はエーテル化物の有する二級水酸基の当量数に対し酸無水物の当量数が0.3以上の比率で反応させて得られ、生成樹脂の酸価が30?160mgKOH/gの範囲にあり、エポキシ基の残存率が20%以下である特許請求の範囲第1項乃至第14項のいずれかに記載の組成物。 16.前記感光性プレポリマーが、ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類とを約当モル比で反応させて得られる半ウレタン(メタ)アクリレートを、前記エステル化物もしくはエーテル化物と、該エステル化物もしくはエーテル化物の有する二級水酸基の当量数に対し半ウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネートの当量数が0.1以上の比率で反応させて得られるものである特許請求の範囲第1項乃至第14項のいずれかに記載の組成物。 17.前記感光性プレポリマーが、ノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸及び/又はメタアクリル酸による全エステル化物と多塩基酸無水物との反応生成物である特許請求の範囲第1項乃至第15項のいずれかに記載の組成物。 18.前記エポキシ樹脂用硬化剤が、イミダゾール誘導体、グアナミン類またはこれらの有機酸塩もしくはエポキシアダクト、三級アミン類、ポリフェノール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩類、四級アンモニウム塩類、多塩基酸無水物、光カチオン重合触媒及びスチレン-マレイン酸樹脂から選ばれる特許請求の範囲第1項乃至第17項のいずれかに記載の組成物。 19.無機充填剤を含有する特許請求の範囲第1項乃至第18項のいずれかに記載の組成物。 20.着色剤、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤及び密着性付与剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の添加剤を含有する特許請求の範囲第1項乃至第19項のいずれかに記載の組成物。 21.(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c)アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、 (B)光重合開始剤、 (C)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、及び (D)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物、及び (E)エポキシ樹脂用硬化剤、 を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板に塗布し、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成し、その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることを特徴とするプリント配線板のソルターレジストパターンの形成方法。 ただし、前記感光性熱硬化性樹脂組成物は、(A)「クレゾールノボラック系エポキシ樹脂及びアクリル酸を反応させて得られたエポキシアクリレートに無水フタル酸を反応させて得た反応生成物」と、(B)光重合開始剤に対応する「2-メチルアントラキノン」及び「ジメチルベンジルケタール」と、(C)「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「セロソルブアセテート」と、(D)「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」である多官能エポキシ樹脂(TEPIC:日産化学(株)製,登録商標)と、(E)「2-エチル-4-メチルイミダゾール」とを含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物を除く。 22.前記現像液が、シクロヘキサノン、キシレン、テトラメチルベンゼン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブアセテート、プロパノール、プロピレングリコール、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、変性トリクロロエタン、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液、ケイ酸ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液、アミン水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも1種の現像液である特許請求の範囲第21項に記載の方法。 23.前記感光性熱硬化性樹脂組成物をプリント配線板にスクリーン印刷、カーテンコーティング、ロールコーティング又はスプレーコーティングなどの方法により塗布する特許請求の範囲第21項又は第22項に記載の方法。 24.前記感光性熱硬化性樹脂組成物をドライフィルム化し、これをプリント配線板に直接又は予め液状の感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布したものの上にラミネートする特許請求の範囲第21項又は第22項に記載の方法。 25.前記露光を、前記フォトマスクを塗膜に接触させ又は接触させずに行なう特許請求の範囲第21項乃至第23項のいずれかに記載の方法。 【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な感光性熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターン形成方法に関し、さらに詳しくは、プリント配線板製造、金属精密加工、ガラスや石の蝕刻、プラスチックレリーフ材料、印刷刷版用材料などに使用され、特にプリント配線板用ソルダーレジストとして有利な新規な感光性熱硬化性樹脂組成物、および該感光性熱硬化性樹脂組成物を用いてコーティングした後に、所定のパターンを形成したフィルムを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像し、さらに加熱することによるソルダーレジストパターンの形成方法に関する。 〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕 ソルダーレジストは、プリント配線板に部品をはんだ付けする時に必要以外の部分へのはんだ付着の防止および回路の保護を目的とするものであり、そのため、密着性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐酸性および耐メッキ性などの諸特性が要求される。 ソルダーレジストとして初期のものは、エポキシメラミン系の熱硬化型のものが使用されていたが、はんだ耐熱性、耐薬品性及び耐メッキ性などの問題があり、産業用のプリント配線板用として、例えば特公昭51-14044号公報にこれ等を改良したエポキシ系の熱硬化型のものが開示されており、主流となっている。また、民生用のプリント配線板用としては、生産性が重視されることから、例えば、特公昭61-48800号公報に開示されているような速硬化性の紫外線硬化型のものが主流となっている。しかし、紫外線硬化型は厚膜での内部硬化性に問題があり、また、はんだ耐熱性も劣り、産業用のプリント配線板用としては使用できない。またこれ等は、ソルダーレジストパターンの形成方法としてスクリーン印刷法を利用しているが、最近のエレクトロニクス機器の軽薄短小化に伴なうプリント配線板の高密度化、部品の表面実装化に対応するソルダーレジストパターンの形成には、ニジミおよび回路間への埋込み性に問題があり、ソルダーレジスト膜としての機能を果し得なくなってきている。 こうした問題を解決するためにドライフィルム型フォトソルダーレジストや液状フォトソルダーレジストが開発されている。ドライフィルム型フォトソルダーレジストとしては、例えば特開昭57-55914号公報にウレタンジ(メタ)アクリレートと特定のガラス転移温度を有する線状高分子化合物と増感剤とを含有して成るドライフィルム用の感光性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これ等のドライフィルム型フォトソルダーレジストの場合、高密度プリント配線板に用いた場合、はんだ耐熱性や密着性が充分でない。 一方、液状フワトソルダーレジストとしては、英国特許出願公開GB-2032939A号に、ポリエポキシドとエチレン性不飽和カルボン酸の固体もしくは半固体反応生成物と不活性無機充填剤と光重合開始剤と揮発性有機溶剤とを含有する光重合性塗装用組成物が開示されているが、この場合は紫外線硬化成分のみであり熱硬化成分を併用しないため、プリント配線板に対する密着性、はんだ耐熱性および電気絶縁性などが劣るという問題がある。このような熱硬化性をも配慮したものとして、特開昭60-208377号公報には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の不飽和-塩基酸との反応物とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の不飽和一塩基酸との部分反応物と有機溶剤と光重合開始剤とアミン系硬化剤を含有するソルダーレジストインキ用樹脂組成物が開示されている。この場合は、分子中にエポキシ基を残存させることで熱硬化を併用している。しかしながら、エポキシ基を残存させる分、感光量が減少するため、紫外線による硬化性が低下し、従ってエポキシ基を多く残存させることが難しく、ソルダーレジストとしての特性を満足することができない。 一方、エポキシ樹脂を併用する例として、特開昭49-107333号公報には末端エチレン基を2個含有する不飽和化合物と重合開始剤と少なくとも2個のエポキシ基を含む化合物とカルボキシル基を少なくとも2個含有する化合物から成る感光性組成物が開示されており、また特開昭61-272号公報には、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物とジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を含有するポリ(メタ)アクリレート類との反応物を反応せしめて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂、光重合開始剤、及び有機溶剤にエポキシ樹脂を併用するインキ組成物が開示されている。しかしながら、後者はソルダーレジストとしての特性をある程度満足することができるが、前者は(メタ)アクリル基含有アクリル系線状高分子化合物を基本にしており、はんだ耐熱性や耐溶剤性が低い。また、いずれもエポキシ樹脂の比率を高めると光硬化性、いわゆる感度が低下し、露光部分の現像液に対する耐性が低下し易くなり長時間現像ができず、未露光部分の現像残りが生じ易いなどの問題がある。また、特開昭61-243869号公報には、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応によって得られる感光性樹脂と光重合開始剤と希釈剤とエポキシ樹脂を併用するレジストインキ組成物が開示されている。この場合、アルカリ水溶液を現像液とするため、アルカリ水溶液に対する溶解性のないエポキシ樹脂の比率を高めると、同様に感度が低下し、また未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し易くなり、現像残りが生じたり、長時間現像が必要となり、露光部分が現像液に侵されるなどの問題がある。 従って、本発明の目的は、上記のような種々の欠点がなく、現像性及び感度共に優れ、かつ露光部の現像液に対する耐性があり、ポットライフが長い感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。 さらに、本発明の目的は、上記のような優れた特性の他、ソルダーレジストに要求される密着性、電気絶縁性、耐電蝕性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐酸性、耐メッキ性等に優れた硬化塗膜が得られ、特に民生用プリント配線板や産業用プリント配線板などの製造に適した感光性熱硬化性樹脂組成物及びソルダーレジストパターンの形成方法を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明によれば、前記目的を達成するために、(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、下記(a)、(b)、(c)のうちの1または2以上の群から選ばれる1種または2種以上の感光性プレポリマー、 (a)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の全エステル化物(a-1)の二級水酸基と、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のうちの1種または2種以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エステル化物(a-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応によって生成するエポキシ基の部分エステル化物(a-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(a-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エステル化物(a-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、 (b)ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の全エーテル化物(b-1)、 上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-1-1)、 ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記全エーテル化物(b-1)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、 ノボラック型エポキシ化合物と不飽和フェノール化合物とのエーテル化反応によって生成するエポキシ基の部分エーテル化物(b-2)、 上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応生成物(b-2-1)、及び ジイソシアネート類と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物と、上記部分エーテル化物(b-2)の二級水酸基とを反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、及び (c)アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、及びジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)、(B)光重合開始剤、(C)希釈剤としての光重合性ビニル系モノマー及び/又は有機溶剤、(D)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有し、かつ使用する上記希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物であって、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の固型状もしくは半固型状のエポキシ化合物を含有してなる感光性熱硬化性樹脂組成物が提供される。該組成物は、必要に応じてエポキシ樹脂用硬化剤を含有し得る。 このような感光性熱硬化性樹脂組成物を、例えば回路形成されたプリント配線板に、スクリーン印刷、カーテンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティングなどの方法により全面に塗布するか、あるいは前記組成物をドライフィルム化しプリント配線板に直接ラミネートするか、または前記の方法により液状で塗布し、ウエットの状態または乾燥した状態でその上にドライフィルムをラミネートするなど、いずれの方法でも塗膜が形成できる。その後、レーザー光の直接照射あるいは所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプおよびキセノンランプなどの活性光線により露光し、未露光部分を現像液で現像してレジストパターンを形成することができる。その後、加熱して前記微粒状エポキシ化合物を熱硬化させることによってソルダーレジストパターンが形成される。 〔発明の作用〕 感光性プレポリマーと共に、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂を併用したソルダーレジスト用感光性熱硬化性樹脂組成物の場合、従来一般に、有機溶剤に可溶性のエポキシ樹脂が用いられている。このようなエポキシ樹脂を用いて感光性熱硬化性樹脂組成物を調製した場合、エポキシ樹脂が感光性プレポリマーとからみ合った状態(各樹脂の鎖長部分がからみ合った状態)で溶け込んでいるものと推定される。その結果、露光して未露光部分を現像した場合、例えば、アルカリ水溶液に可溶な感光性プレポリマーを使用した組成物をアルカリ水溶液で現像した場合、エポキシ樹脂は一般にアルカリ水溶液に溶けず、しかもエポキシ樹脂と感光性プレポリマーがからみ合っている状態のため、未露光部分においては感光性プレポリマーの溶解性を低下させ、またエポキシ樹脂が溶剤に溶けているがため硬化剤との反応が速く、現像時に現像残りが生ずる現象、いわゆる熱かぶりを生じ易くなり、現像性が悪くなる。一方、現像に使用する有機溶剤に可溶な感光性プレポリマーを使用した組成物を有機溶剤により現像した場合、上記エポキシ樹脂は溶剤可溶であるため、上記と同様の熱かぶりが生じ易く、現像性が低下する傾向にある。また、露光部においては、エポキシ樹脂の存在により、感光性プレポリマーの架橋密度はあがらず、しかも現像液に溶解するため、塗膜が侵され易く、感度が悪くなるという問題を生ずる。上記いずれの場合にも、感光性熱硬化性樹脂組成物の保存寿命は、上記のようにエポキシ樹脂と硬化剤の反応が速いために短かくなる。 また、水溶性エポキシ樹脂を使用し、アルカリ水溶液で現像した場合、エポキシ樹脂が現像液に可溶なため、露光部分は現像液に侵され易く、感度が悪くなる。これに対して、本発明のように使用した希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物(樹脂)を用いた場合、該エポキシ化合物の粒子のまわりを感光性プレポリマーが包み込んだ状態にあり、従って、アルカリ水溶液に可溶な感光性プレポリマーを使用した組成物をアルカリ水溶液で現像した場合、エポキシ化合物が感光性プレポリマーの溶解性を低下させることはなく、またエポキシ化合物は使用する希釈剤に難溶性のため、エポキシ樹脂用硬化剤との反応性が低く、熱かぶりも起こしにくくなり、現像性は良くなる。一方、現像に使用する有機溶剤に可溶な感光性プレポリマーを使用し、かつ該有機溶剤を希釈剤として用いまたこれに難溶性の微粒状エポキシ化合物を用いた組成物を、該有機溶剤で現像した場合、エポキシ化合物が上記有機溶剤に難溶性のため、露光部は現像液に侵され難く、感度低下を生ずることはない。また未露光部の現像性については、上記と同様に、エポキシ化合物が粒子状のため感光性プレポリマーの溶解性を低下させることはなく、熱かぶりも起こしにくいため、現像性は良くなる。さらに、上記のいずれの場合も、組成物の保存寿命は、上記のようにエポキシ化合物の粒子のまわりを感光性プレポリマーが包み込んだ状態にあり、エポキシ化合物と硬化剤の反応性が低いために長くなる。 すなわち、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物は、「使用する」希釈剤に「難溶性」の「微粒状」エポキシ化合物を熱硬化性成分として用いたことを最大の特徴としている。この必須の成分である微粒(粉)状エポキシ化合物は、使用する希釈剤に難溶であり、微粒状のまま分散させて用いられるため、すなわちフィラーと同じような用い方であるため、現像液に侵されにくく感度の低下がなく、また現像の際に未露光部の微粒状エポキシ化合物は現像液により洗い流されるため現像性に優れ、短時間で現像することができ、さらにその後の加熱によりエポキシ化合物を単独で溶融熱硬化させ、あるいは感光性プレポリマーと共重合させ、目的とする諸特性に優れたプリント配線板用ソルダーレジストパターンを形成せしめることができる。なお、上記作用説明から明らかなように、本発明でいう「難溶性」は、使用する希釈剤に不活性のものだけでなく、上記のような作用を奏しうる溶解度が小さいものを含む概念である。 〔発明の態様〕 以下、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物の各構成成分について説明する。 上記1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する感光性プレポリマー(A)としては、(a)ノボラック型エポキシ化合物の不飽和モノカルボン酸による全エステル化物(a-1)のエステル化反応によって生成する全エステル化物の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物(a-1-1)、および/または(a-1)の全エステル化物の二級水酸基と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類とをジイソシアネートを介して反応させて得られる反応生成物(a-1-2)および/またはノボラック型エポキシ化合物の不飽和モノカルボン酸による部分エステル化物(a-2)のエステル化反応によって生成する部分エステル化物の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物(a-2-1)、および/または(a-2)の部分エステル化物の二級水酸基と1分子中に1個の水酸基を有する(ソタ)アクリレート類とをジイソシアネートを介して反応させて得られる反応生成物(a-2-2)、および/またはb)ノボラック型エポキシ化合物の不飽和フェノール化合物による全エーテル化物(b-1)、および/または(b-1)のエーテル化反応によって生成する全エーテル化物の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物(b-1-1)、および/または(b-1)の全エーテル化物の二級水酸基と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類とをジイソシアネートを介して反応させて得られる反応生成物(b-1-2)、および/またはノボラック型エポキシ化合物の不飽和フェノール化合物による部分エーテル化物(b-2)、および/または(b-2)のエーテル化反応によって生成する部分エーテル化物の二級水酸基と飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られる反応生成物(b-2-1)、および/または(b-2)の部分エーテル化物の二級水酸基と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類とをジイソシアネートを介して反応させて得られる反応生成物(b-2-2)、および/またはc)アクリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマー(c-1)、および/またはジアリルイソフタレートプレポリマー(c-2)が挙げられる。上記感光性プレポリマー(A)が常温で固型または半固型の場合は接触及び非接触のいずれの露光方式にも使用でき、常温で液状の場合は主に非接触露光方式に使用される。感光性プレポリマー(A)は、このような露光方式に応じて、上記各種プレポリマーの中から少なくとも1種類選ばれて使用される。 前記ノボラック型エポキシ化合物とは、例えばフェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノールおよびアルキルフェノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類とエピクロルヒドリンおよび/またはメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが適しており、東都化成(株)製YDCN-701、YDCN-704、YDPN-638、YDPN-602;ダウ・ケミカル社製DEN-431、DEN-439;チバ・ガイギー社製EPN-1138、EPN-1235、EPN-1299;大日本インキ化学工業(株)製N-730、N-770、N-865、N-665、N-673、N-695、VH-4150、VH-4240、VH-4440;日本化薬(株)製EOCN-120、EOCN-104、BRRN-1020;旭化成工業(株)製ECN-265、ECN-293、ECN-285、ECN-299などがあげられる。またノボラック型エポキシ化合物の一部または全部を、例えば油化シェル(株)製エピコート828、エピコート1007、エピコート807;大日本インキ化学工業(株)製エピクロン840、エピクロン860、エピクロン3050、エピクロン830;ダウ・ケミカル社製DER-330、DER-337、DER-361;ダイセル化学工業(株)製セロキサイド2021、セロキサイド3000;三菱ガス化学(株)製TETRAD-X、TETRAD-C;日本曹達(株)製EPB-13、EPB-27;東都化成(株)製YD-116、YD-128、YD-013、YD-020、YDG-414、ST-3000、ST-110、YDF-190、YDF-2004、YDF-2007;チバ・ガイギー社製GY-260、GY-255、XB-2615;ダウ・ケミカル社製DER-332、DER-662、DER-542、などの、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式、あるいはポリブタジエン変性などのグリジルエーテル型のエポキシ化合物に置きかえることができるが、プリント配線板用ソルダーレジストとしてはクレゾールノボラック型エポキシ化合物を用いるのが特に好ましい。 次に前記不飽和モルカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、クロトン酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸など、および飽和または不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との半エステル類、あるいは飽和または不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル類、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸およびメチルテトラヒドロフタル酸などの飽和または不飽和二塩基酸無水物とヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、グリセリンアクリレート、トリメチルロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびトリグリシジルイソシアヌレートのジアクリレートあるいは上記アクリレートに対応するメタクリレート類あるいは前記飽和または不飽和二塩基酸とグリシジル(メタ)アクリレートを常法による等モル比で反応させて得られる半エステルなどを単独または混合して用いられるが、特にアクリル酸が好ましい。 次に前記飽和または不飽和多塩基酸無水物としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、クロレンド酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびベンゾフェノンテトラカルボン酸などの無水物が用いられ、特に無水テトラヒドロフタル酸または無水ヘキサヒドロフタル酸が好ましい。 次に前記ジイソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネートおよびリジンジイソシアネートなどが用いられ、特にトリレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートが好ましい。 次に前記1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、グリセリンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアネートのジアクリレートあるいは上記アクリレートに対応するメタクリレートなどが用いられ、特にヒドロキシエチルアクリレートまたはペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。 次に前記不飽和フェノール化合物としては、4′-ヒドロキシカルコン、2′-ヒドロキシカルコンおよび4,4′ジヒドロキシカルコンなどが用いられ、特に4′-ヒドロキシカルコンが好ましい。 次に前記アリル化合物であるジアリルフタレートプレポリマーまたはジアリルイソフタレートプレポリマーとしては、大阪曹達(株)製ダイソー・ダップ、ダイソー・イソダップなどがあり、平均分子量が2000?30000のものが用いられ、特に平均分子量が5000?20000のジアリルイソフタレートプレポリマーが好ましい。 次に前記ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸および不飽和フェノール化合物によるエポキシ基の全エステル化物(a-1)、全エーテル化物(b-1)、および部分エステル化物(a-2)、部分エーテル化物(b-2)は、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数またはエポキシ基の当量数/フェノール性水酸基の当量数が0.8?3.3、好ましくは全エステル化物(a-1)および全エーテル化物(b-1)では0.9?1.1、部分エステル化物(a-2)および部分エーテル化物(b-2)では1.1?2.5の範囲で常法により反応が行なわれる。この当量数比が0.8未満では遊離酸または遊離フェノールが残存することにより、はんだ耐熱性が低下し、一方、3.3を越える場合には感光性が低下するので好ましくない。 例えば前記ノボラック型エポキシ化合物をセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルメチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロールなどの熱重合禁止剤およびベンジルジメチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類あるいはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩類を触媒として前記不飽和モノカルボン酸および/または不飽和フェノール化合物を混合し70?140℃で加熱かくはんにより反応させて得られる。 次に前記ノボラック型エポキシ化合物の全エステル化物(a-1)、全エーテル化物(b-1)、および部分エステル化物(a-2)、部分エーテル化物(b-2)の反応によって生成する二級水酸基と前記多塩基酸無水物の付加反応の比率は、前記(a-1)?(b-2)の有する二級水酸基の当量数に対し酸無水物の当量数は0.3以上が好ましく、生成樹脂の酸価の範囲は30?160mgKOH/g好ましくは45?120mgKOH/gである。この反応生成物を感光性プレポリマーとして用いた場合、アルカリ現像液による現像ができる。酸価が30未満ではアルカリ現像液に対する溶解性が悪くなり、逆に160を越えると硬化膜の耐アルカリ性、電気特性などのソルダーレジストとしての諸特性を低下させる要因となる。この場合の(a-1)?(b-2)はエポキシ基の残存が多いと飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応時にゲル化し易くなるため、エポキシ基の残存率は20%以下が適し、好ましくは15%以下である。 例えば、前記樹脂(a-1)?(b-2)より少なくとも1種選択し、前記多塩基酸無水物より少なくとも1種選択し、混合し、常法により70?120℃で加熱撹拌により反応させて得られる。 次に前記ノボラック型エポキシ化合物の全エステル化物(a-1)、全エーテル化物(b-1)、および部分エステル化物(a-2)、部分エーテル化物(b-2)の反応によって生成する二級水酸基と前記ジイソシアネート類を介して1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との付加反応物(a-1-2)、(a-2-2)、(b-1-2)および(b-2-2)は、まず、例えば前記ジイソシアネート類と前記1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類を当モル比で、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルメチルケトンなどの有機溶剤の存在下または不存在下で、トリブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物あるいはベンジルジメチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類を触媒とし、常法により30?100℃で加熱撹拌により2?12時間反応させ半ウレタン(メタ)アクリレートを合成する。この場合、上記1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレートとジイソシアネートは当モル比が好ましいが、上記(メタ)アクリレート類を過剰にして反応性希釈剤としてそのまま利用しても良い。次に、得られた半ウレタン(メタ)アクリレートを25?35℃まで冷却し、(a-1)?(b-2)より少なくとも1種選択し、(a-1)?(b-2)の有する二級水酸基の当量数に対し半ウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネートの当量数が0.1以上好ましくは0.1?1.0、最も好ましくは0.2?0.9の反応比率となるように混合後、30?100℃で2?12時間加熱撹拌により反応させて得られる。この場合の当量比が0.1未満では活性光線による硬化性を高める効果が得られない。 また、感光性プレポリマー(A)としては、環境汚染の観点からはアルカリ現像が可能なものが好ましく、感光性プレポリマーの安定性の観点からは不飽和モノカルボン酸による全エステル化物または不飽和フェノール化合物による全エーテル化物が好ましく、さらに、光硬化性の観点からはアクリル酸(及び/又はメタクリル酸)を用いた不飽和モノカルボン酸によるエステル化物が好ましい。従って、感光性プレポリマー(A)としては、ノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸による全エステル化物と多塩基酸無水物との反応物が特に好ましい。 次に光重合開始剤(B)の代表的なものとしては、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類および、ベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モノフォリノ-プロパン-1-オン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、などのアントラキノン類;2,4-ジメチルチオサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、などのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、4,4′-ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、およびキサントン類などがあり、単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。さらに、係る光重合開始剤(B)はエチル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエートなどの安息香酸エステル類、あるいはトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類の様な公知慣用の光増感剤を単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。 上記のような光重合開始剤(B)の使用量の好適な範囲は、前記感光性プレポリマー(A)100重量部に対して0.2?30重量部、好ましくは2?20重量部である。 次に前記希釈剤(C)としては、光重合性ビニル系モノマーおよび/または有機溶剤が使用できる。光重合性ビニル系モノマーの代表的なものとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノまたはジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミオエチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリストール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれ等のエチレンオキサイドもしくはプロプレンオキサイド付加物の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートおよび、これ等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類;グルセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルのアクリレート類;およびメラミンアクリレート、および/または上記アクリレート類に対応するメタクリレート類などがある。 一方、有機溶剤としては、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルおよび上記グリコールエーテル類の酢酸エステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などがあり、前記感光性プレポリマー(A)と相溶性が良く、且つ前記微粒状エポキシ化合物(D)を溶解しないものが好ましい。 上記のような希釈剤(C)は、単独または2種以上の混合物として用いられ、使用量の好適な範囲は、前記感光性プレポリマー(A)100重量部に対して20?300重量部、好ましくは30?200重量部である。 上記希釈剤の使用目的は、光重合性ビニル系モノマーの場合は、感光性プレポリマーを希釈せしめ、塗布しやすい状態にすると共に、光重合性を増強するものであり、有機溶剤の場合は、感光性プレポリマーを溶解し希釈せしめ、それによって液状として塗布し、次いで、乾燥させることにより造膜せしめたるためである。従って、用いる希釈剤に応じて、フォトマスクを塗膜に接触させる接触方式あるいは非接触方式のいずれかの露光方式が用いられる。 次に前記、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する微粒状エポキシ化合物(D)としては、公知慣用のエポキシ化合物を用いることができる。しかし、この場合のエポキシ化合物は、前記1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する感光性プレポリマー(A)に微粒状で分散させることが必要であり、常温で固型もしくは半固型でなければならず、また混練時に前記感光性プレポリマー(A)および使用する希釈剤(C)に溶解しないもの、及び/又は感光性及び現像性に悪影響を及ぼさない範囲の溶解性のものである。これ等の条件を満たすものとしては好ましいのは、;日本油脂(株)製ブレンマーDGTなどのジグリシジルフタレート樹脂;日産化学(株)製TEPIC、チバ・ガイギー社製アラルダイトPT810などのヘテロサイクリックエポキシ樹脂;油化シェル(株)製YX-4000などのビキシレノール型エポキシ樹脂;油化シェル(株)製YL-6056などのビフェノール型エポキシ樹脂;東都化成(株)製ZX-1063などのテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂などがある。 係るエポキシ化合物(D)は、常法により前記エポキシ化合物を粉砕および/または、前記感光性プレポリマー(A)などの他の組成物成分と例えばロールミルなどの混練機で破壊分散させて微粒状とされ、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、使用量の好適な範囲は、前記感光性プレポリマー(A)とエポキシ化合物(D)の混合比率が50?95:50?5(重量部基準)、さらに好ましくは60?90:40?10である。50:50を越えると感光性および現像液での未露光部の溶解性が低下し、95:5未満では耐熱性などソルダーレジストとしての諸特性が得られない。また、粒径は50μm以下が適し、好ましくは30μm以下である。粒径が50μmを越える場合、前記スクリーン印刷による塗布ではスクリーンの通過性が悪くなり、塗膜表面にピンホールが生じ易く、また他の塗布方法であっても塗膜表面にザラツキがで易くなるので好ましくない。 なお、上記難溶性エポキシ化合物(D)の一部に置き換えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの前記希釈剤(C)に可溶な、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物を、感光性および現像液での未露光部の溶解性の面において実用上問題のない範囲で使用することができる。この可溶性エポキシ化合物(S)の使用量の好適な範囲は、前記難溶性エポキシ化合物(D)に対しD:S=40?100:60?0、好ましくは60?100:40?0、さらに好ましくは70?100:30?0であり、また前記感光性プレポリマー(A)に対する配合比率では75:25以下、さらに好ましくは、80:20以下である。75:25を越えると、アルカリ現像タイプの場合、現像液での未露光部の溶解性が低下し、現像残りが発生し易くなり、一方、溶剤現像タイプの場合、現像液に侵され、塗膜の脱落やフクレが発生し易くなり、実用上使用することが難しい。なお、可溶性エポキシ化合物の併用により、ソルダーレジストとしての特性の一部、例えば耐メッキ性が向上するという効果が得られる。 上記可溶性エポキシ化合物(S)としては、例えば、油化シェル(株)製エピコート1009、1031、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-3050、N-7050、N-9050、旭化成工業(株)製AER-664、AER-667、AER-669、東都化成(株)製YD-012、YD-017、YD-014、YD-020、YD-002、チバ・ガイギー社製XAC-5005、GT-7004、6484T、6099、ダウケミカル社製DER-642U、DER-673MF、旭電化工業(株)製EP-5400、EP-5900などのビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成(株)製ST-2004、ST-2007などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成(株)製、YDF-2004、YDF-2007などのビスフェノールF型エポキシ樹脂;坂本薬品工業(株)製SR-BBS、SR-TBA-400、旭電化工業(株)製EP-62、EP-66、旭化成工業(株)製AER-755、AER-765、東都化成(株)製YDB-600、YDB-715などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;日本化薬(株)製EPPN-201、EOCN-103、EOCN-1020、EOCN-1025、BREN、旭化成工業(株)製ECN-278、ECN-292、ECN-299、チバ・ガイギー社製ECN-1273、ECN-1299、東都化成(株)製YDCN-220L、YDCN-220HH、YDCN-702、YDCN-704、YDPN-601、YDPN-602、大日本インキ化学工業(株)製エピクロン-673、N-680、N-695、N-770、N-775などのノボラック型エポキシ樹脂;旭電化工業(株)製EPX-8001、EPX-8002、EPPX-8060、EPPX-8061、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-880などのビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂;旭電化工業(株)製EPX-49-60、EPX-49-30などのキレート型エポキシ樹脂;東都化成(株)製YDG-414などのグリオキザール型エポキシ樹脂;東都化成(株)製YH-1402、ST-110、油化シェル(株)製YL-931、YL-933などのアミノ基含有エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業(株)製エピクロンTSR-601、旭電化工業(株)製EPX-84-2、EPX-4061などのゴム変性エポキシ樹脂;山陽国策パルプ(株)製DCE-400などのジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂;旭電化工業(株)製X-1359などのシリコーン変性エポキシ樹脂;ダイセル化学工業(株)製プラクG-402、G-710などのε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂などである。さらに、これらのエポキシ化合物(D及びS)の(メタ)アクリル酸による部分エステル化物を使用することもできる。 かくして得られる感光性熱硬化性樹脂組成物は、前記感光性プレポリマー(A)中に水酸基および/またはカルボキシル基が含有され、感光性プレポリマー(A)中の水酸基および/またはカルボキシル基がエポキシ樹脂の硬化剤として働くため、新たにエポキシ樹脂用硬化剤を併用することなく、ソルダーレジストとして十分に機能する。また前記光重合開始剤(B)として、感光性UPのために使用されるアミノ基含有の前記光重合開始剤、光増感剤が含まれる場合、光重合開始剤、光増感剤中のアミノ基の効果により、前記エポキシ化合物(D)の硬化がさらに促進される。しかしながら、密着性、耐薬品性、耐熱性などの特性をより一層あげる目的で、新たにエポキシ樹脂用硬化剤(E)を併用することが好ましい。 このようなエポキシ樹脂用硬化剤もしくは硬化促進剤(E)としては、四国化成工業(株)製2MZ、2E4MZ、C_(11)Z、C_(17)Z、2PZ、1B2MZ、2MZ-CN、2E4MZ-CN、C_(11)Z-CN、2PZ-CN、2PHZ-CN、2MZ-CNS、2E4MZ-CNS、2PZ-CNS、2MZ-AZINE、2E4MZ-AZINE、C_(11)Z-AZINE、2MA-OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZなどのイミダゾール誘導体:アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、3,9-ビス〔2-(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアザフェニル)エチル〕2,4,8,10テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどのグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、シクロヘキシルアミン、m-キシリレンジアミン、4,4′-ジアミノ-3,3′ジエチルジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、N-アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド、などのポリアミン類、これ等の有機酸塩および/またはエポキシアダクト:三フッ化ホウ素のアミン錯体;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサメトキシメチルメラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、N-シクロヘキシルジメチルアミン、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノールなどの三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラックなどのポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィンなどの有機ホスフィン類;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライドなどのホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、チバ・ガイギー社製イルガキュア261などの光カチオン重合触媒;スチレン-マレイン酸樹脂などが挙げられる。以上のような公知慣用の硬化剤類および硬化促進剤類を単独または2種以上混合して用いることができる。これらエポキシ樹脂用硬化剤(E)の使用量は通常の量的割合で充分であり、例えば本発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物に対して0?10重量%である。 また、本発明の感光性熱硬化性樹脂組成物には、密着性、硬度などの特性を上げる目的で必要に応じて硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が使用でき、その配合比率は感光性熱硬化性樹脂組成物の0?60重量%であり、好ましくは5?40重量%である。さらに必要に応じてフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤、および/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などの密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を用いることができる。また、硬化塗膜の耐衝撃性を増進する目的で、アクリル酸エステル類などのエチレン性不飽和化合物の共重合体類や、多価アルコール類と飽和あるいは不飽和多塩基酸化合物から合成されるポリエステル樹脂類などの公知慣用のバインダー樹脂、および多価アルコール類と飽和あるいは不飽和多塩基酸化合物とグリシジル(メタ)アクリレートから合成されるポリエステル(メタ)アクリレート類や、多価アルコール類とジイソシアネート類と水酸基含有(メタ)アクリレート類から合成されるウレタン(メタ)アクリレート類などの公知慣用の感光性オリゴマーもソルダーマスクとしての諸特性に影響を及ぼさない範囲で用いることができる。但し、上記成分のうちアクリル酸エステル類などのエチレン性不飽和化合物の共重合体類やポリエステル樹脂類などの公知慣用のバインダー樹脂に関しては、前記感光性熱硬化性樹脂組成物中に有機溶剤に可溶性のエポキシ樹脂を用いた場合と同様に、感光基を含有しない共重合体類や公知慣用のバインダー樹脂が感光性プレポリマー(A)とからみ合った状態で溶け込むと推定され、使用量が多いと現像性や感度が悪くなる等の問題を生じるため、使用量は感光性プレポリマー(A)に対して10重量%以下(組成物全体の約5重量%以下)が望ましい。 係る感光性熱硬化性樹脂組成物をフォトマスクを通し露光した後のソルダーレジストパターンを形成する為の現像液としては、感光性プレポリマー(A)の選択により異なるが、有機溶剤としては、シクロヘキサノン、キシレン、テトラメチルベンゼン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブアセテート、プロパノール、プロピレングリコール、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、変性トリクロロエタン(旭化成工業製エターナIR、東亜合成化学工業製スクーワンEX-R、関東電化工業製カンデントリエタンSR-A、旭硝子製レジソルブV-5)などの有機溶剤、および/または水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液、及び/又は界面活性剤水溶液等が使用できる。 〔実施例〕 以下に製造例、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て重量基準である。 製造例-1 エポキシ当量が218のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDCN-702)1090部を撹拌機および冷却器の付いた3つ口フラスコに入れ、90?100℃で加熱溶融し、撹拌する。次にアクリル酸396部とハイドロキノン0.6部とベンジルジメチルアミン7.0部を加えた。次に混合物を110?115℃に昇温し、12時間撹拌・反応させ、反応装置から取出し室温まで冷却した所、酸価が4.5mgKOH/gのノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸による全エステル化物(a-1)が得られた。生成物は半固型状のものであった。 製造例-2 アクリル酸を250部に、反応時間を7時間にした以外は、製造例-1と同様にして反応した所、酸価が0.5mgKOH/gのノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸による部分エステル化物(a-2)が得られた。生成物は固型状のものであった。 製造例-3 製造例-1で得られた全エステル化物(a-1)450部とセロソルブアセテート125部と125部のイプゾール#150(テトラメチルベンゼン主体の石油系溶剤:出光石油化学(株)製)を製造例-1と同様の反応装置に入れ、70?80℃に加温し溶解する。次にフタル酸無水物を120部混合し、95?100℃に昇温し8時間撹拌・反応させ、反応装置から取出し、室温まで冷却した所、固型分の酸価が85mgKOH/gのノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸による全エステル化合物の酸無水物付加物(a-1-1)の有機溶剤溶液が得られた。 製造例-4 87部のトリレンジイソシアネート(2,4位65%、2,6位35%の混合物)と50部のカルビトールアセテートと50部のイプゾール#150を製造例-1と同様の反応装置に入れ、25℃に加温撹拌する。次に65部の2-ヒドロキシエチルアクリレートと50部のセロソルブアセテートと50部のイプゾール#150と0.05部のフェノチアンジンと0.2部のジブチルチンジラウレートの混合物を35℃を越えない様に調節しながら2時間かけて滴下する。次に50℃に昇温し4時間撹拌・反応させ、末端アクリル基の半ウレタン化合物を得た。次に製造例-2で得られた部分エステル化合物(a-2)250部を混合し80℃に昇温し6時間撹拌・反応後、室温まで冷却し、反応装置から取出しノボラック型エポキシ化合物のアクリル酸による部分エステル化合物のウレタンアクリレート付加物(a-2-2)の有機溶剤溶液が得られた。 製造例-5 エポキシ当量が210のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-865)105部とセロソルブアセテート130部を製造例-1と同様の反応装置に入れ、70?80℃で加熱溶解し、撹拌する。次に4′-ヒドロキシカルコン120部とベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド3.5部を加えた。次に混合物を125?130℃に昇温し15時間撹拌・反応させる。次に80℃まで放冷し、ヘキサヒドロフタル酸無水物40部を混合し、90?95℃まで昇温し10時間撹拌・反応させ、反応装置から取出し室温まで冷却した所、固型分の酸価が58mgKOH/gのノボラック型エポキシ化合物の不飽和フェノール化合物の全エーテル化物への無水物付加物(b-1-1)の有機溶剤溶液が得られた。 なお、上記製造例3,4及び5で製造された生成物はいずれも有機溶剤溶液として得られたが、有機溶剤が乾燥により除去された場合には固型になる。このことは、後記実施例8で用いたダイソーダップ(大阪曹達(株)製のジアリルフタレートプレポリマー)の50%のブチルセロソルブ溶液についても同様である。 実施例-1 製造例-1で得られた樹脂(a-1) 30.0部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 9.0部 ジエチレングルコールジアクリレート 22.0部 ベンジルジメチルケタール 4.0部 2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート 1.5部 硫酸バリウム 20.0部 微粒タルク 5.0部 フタロシアニン・グリーン 0.5部 「モダフロー」(モンサント社製レベリング剤) 1.0部 微粒状「ブレンマーDGT」(日本油脂(株)製ジグリシジルテレフタレート) 4.0部 粒状「EBPS-200」(日本化薬(株)製ビスフェノールS型エポキシ樹脂) 3.0部 合計 100.0部 上記配合成分を予備混合後、3本ロールミルで3回混練し、感光性熱硬化性樹脂組成物を調製した。次に東洋精機(株)製グラインドメータで粒度を測定したところ25μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により銅スルホール・プリント配線板の全面に塗布した。次にパターンを形成したフォトマスクを塗膜面から0.7mm間隔をあけてセットし、オーク製作所(株)製平行光超高圧水銀灯露光装置を用いて露光した。次に変性トリクロロエタン(旭化成工業(株)製エターナIR)を現像液とし、2.0kg/cm^(2)のスプレー圧で現像し、次に200℃に昇温した熱風循環炉に入れ50分間ポストキュアし、ソルダーレジストパターンを形成した。 実施例-2 製造例-1で得られた樹脂(a-1) 25.0部 製造例-2で得られた樹脂(a-2) 15.0部 セロソルブアセテート 23.0部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 5.5部 ベンジルジメチルケタール 3.5部 2-クロロチオキサントン 2.5部 硫酸バリウム 11.0部 「エアロジル#200」(日本アエロジル(株)製微粒粉状酸化ケイ素) 1.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 「AC-300」(共栄社油脂(株)製消泡剤) 1.0部 微粒状「ブレンマーDGT」(日本油脂(株)製ジグリシジルテレフタレート) 10.0部 「2PHZ」(四国化成工業(株)製硬化剤) 2.0部 合計 100.0部 上記配合成分を予備混合後、3本ロールミルで2回混練し、感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、粒度を測定したところ20μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物をパイロット精工(株)製ロールコーターにより銅スルホール・プリント配線板の全面に塗布し、熱風循環炉に入れ、80℃で20分間乾燥後室温まで冷却し、乾燥塗膜を得た。 次にパターンを形成したフォトマスクを塗膜面に接触させ、オーク製作所(株)製超高圧水銀灯露光装置を用いて露光し、150℃に昇温した熱風循環炉に入れ、50分間ポストキュアを行った以外は実施例-1と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 実施例-3 製造例-3で得られた樹脂(a-1-1) 45.0部 「ダイソー・ダップ」(大阪曹達(株)製、固型のジアリルフタレートプレポリマー) 5.0部 セロソルブアセテート 5.0部 トリメチロールプロパントリアクリレート 4.0部 トリエチレングリコールジアクリレート 3.0部 2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリ-プロパン-1-オン 3.0部 2,4-ジイソプロピルチオキサントン 2.5部 クレー 11.0部微粒タルク 5.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 「モダフロー」 1.0部 微粒状「YX-4000」(油化シェル(株)製ビキシレノール型エポキシ樹脂) 12.0部 ジシアンジアミド 2.0部 「2E4MZ-CNS」(四国化成工業(株)製硬化剤) 1.0部 合計 100.0部 上記配合成分に変更した以外は実施例-2と同様の方法で感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、粒度を測定したところ25μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により銅スルホール・プリント配線板の全面に塗布し、熱風循環炉に入れ、70℃で20分間乾燥し、室温まで冷却し、乾燥塗膜を得た。次に実施例-2と同様の方法で露光し、次に1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とし、2.0kg/cm^(2)のスプレー圧で現像し、水洗乾燥した。次に、150℃に昇温した熱風循環炉に30分間入れてポストキュアし、ソルダーレジストパターンを形成した。 実施例-4 製造例-4で得られた樹脂(a-2-2) 35.0部 カルビトールアセテート 10.0部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.0部 ジエチレングリコールジアクリレート 3.0部 ベンジルジメチルケタール 3.0部 N,N-ジメチルアミノアセトフェノン 1.5部 硫酸バリウム 10.0部無定形シリカ 15.0部 フタロシアニン・グリーン 0.5部 「AC-300」 1.5部 「EPPN-210」(日本化薬(株)製ノボラック型エポキシ樹脂)の75%セロソルブアセテート溶液 3.0部 微粒状「アラルダイトPT810」(チバ・ガイギー社製ヘテロサイクリックエポキシ樹脂) 12.0部 ジシアンジアミド 2.0部 「2P4MHZ」(四国化成工業(株)製硬化剤) 0.5部 合計 100.0部 上記配合成分に変更した以外は実施例-1と同様の方法により感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、粒度を測定したところ20μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物を用いて実施例-2と同様の方法により、ソルダーレジストパターンを形成した。 実施例-5 製造例-5で得られた樹脂(b-1-1) 25.0部 製造例-3で得られた樹脂(a-1-1) 10.0部 カルビトールアセテート 10.0部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 7.0部 2-エチルアントラキノン 3.0部「エアロジル#200」 1.5部 微粒タルク 3.0部 酸化ケイ素粉 20.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 「モダフロー」 1.5部 「エピコート 1009」(油化シェル(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の75%セロソルブアセテート溶液 5.0部 微粒状「TEPIC」(日産化学(株)製ヘテロサイクリックエポキシ樹脂) 10.0部 「レジンM」(コスモ石油(株)製ポリビニルフェノール) 2.0部 「2PHZ」 1.5部 合計 100.0部 上記配合成分に変更した以外は実施例-2と同様の方法で感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、粒度を測定したところ20μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物を用いて実施例-4と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 実施例-6 「ダイソーダップ」 50% ブチルセロソルブ溶液 53.0部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 7.0部 ジメチルベンジルケタール 3.5部 2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート 1.5部 微粒タルク 9.5部硫酸バリウム 10.0部 「AC-300」 1.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 微粒状「YL-6056」(油化シェル(株)製ビフェノール型エポキシ樹脂) 5.0部 粒状「エピクロンEXA-1514」(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールS型エポキシ樹脂) 7.0部 2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール 2.0部 合計 100.0部 上記配合成分に変更した以外は実施例-2と同様の方法で感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、粒度を測定したところ20μm以下であった。この感光性熱硬化性樹脂組成物を用い、現像液を1,1,1-トリクロロエタンに変更した以外は実施例-2と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 比較例-1 製造例-1で得られた樹脂(a-1) 40.0部 セロソルブアセテート 22.0部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 7.0部 2-エチルアントラキノン 2.0部 1-クロロチオキサントン 2.5部 微粒タルク 10.0部硫酸バリウム 15.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 「AC-300」(共栄社油脂(株)製消泡剤) 1.0部 合計 100.0部 比較対照用組成物として上記の配合成分に変更した以外は実施例-2と同様の方法で感光性樹脂組成物を調製し、加熱によるポストキュアを行わなかった以外は実施例-2と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 比較例-2 製造例-3で得られた樹脂(a-1-1) 42.0部 トリメチロールプロパントリアクリレート 6.0部 ブチルセロソルブ 4.0部 ベンジルジメチルケタール 3.5部 2-エチルアントラキノン 1.5部硫酸バリウム 12.0部 微粒タルク 8.0部 フタロシアニングリーン 0.5部 「モダフロー」 1.5部 「YDCN-702」(東都化成(株)製ノボラック型エポキシ樹脂)の75%ブチルセロソルブ溶液 18.0部 ジシアンジアミド 2.0部 「2PZ-CNS」(四国化成工業(株)製硬化剤) 1.0部 合計 100.0部 比較対照用組成物として上記の配合成分に変更した以外は上記配合成分を実施例-2と同様の方法で感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、この感光性熱硬化性樹脂組成物を用いてパイロット精工(株)製ロールコーターにより銅スルホール・プリント配線板の全面に塗布した以外は実施例-3と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 比較例-3 製造例-4で得られた樹脂(a-2-2) 40.0部 セロソルブアセテート 5.0部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.0部 ジエチレングリコールジアクリレート 3.0部 ベンジルジメチルケタール 3.0部 2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート 2.0部 微粒タルク 11.0部 クレー 12.0部 フタロシアニン・グリーン 0.5部 「モダフロー」 1.5部 「エピコート1007」(油化シェル(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の75%セロソルブアセテート溶液 15.0部 ジアミノジフェニルスルフォン 2.0部 「2MZ-AZIN」(四国化成工業(株)製硬化材) 1.0部 合計 100.0部 比較対照用組成物として上記の配合成分に変更した以外は上記配合成分を実施例-2と同様の方法で感光性熱硬化性樹脂組成物を調製し、この感光性熱硬化性樹脂組成物を用いて実施例-4と同様の方法によりソルダーレジストパターンを形成した。 上記実施例1?6及び比較例1?3において得られたソルダーレジスト用樹脂組成物及びソルダーレジストパターンの諸特性について試験した結果を第1表に示す。 なお、下記第1表の各性能の試験方法および評価判定は下記のとおりである。 1)感光性試験 365nmの波長の紫外線の照射光量をオーク製作所(株)製の積算光量計を用い500mJ/cm^(2)、750mJ/cm^(2)および1000mJ/cm^(2)照射し、それぞれの現像液で2kg/cm^(2)のスプレー圧で60秒間現像せしめた後の塗膜の状態を目視判定した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:表面が僅かに変化しているもの △:表面が顕著に変化しているもの ×:塗膜が脱落するもの 2)現像性試験 それぞれフォトマスクを通し365nmの波長の紫外線の照射光量をオーク製作所(株)製の積算光量計を用い750mJ/cm^(2)照射したものをテストピースとし、それぞれの現像液で2kg/cm^(2)のスプレー圧で20秒、40秒および60秒間現像を行った後の未露光部の除去された状態を目視判定した。 ◎:完全に現像ができたもの ○:表面に薄く現像されない部分があるもの △:全体的に現像残りがあるもの ×:ほとんど現像されていないもの 3)密着性試験 それぞれフォトマスク365nmの波長の紫外線の照射光量をオーク製作所(株)製の積算光量計を用い750mJ/cm^(2)照射したものを、それぞれの現像液で2kg/cm^(2)のスプレー圧で60秒間現像を行った後、各々の条件でポストキュアしテストピースとし、JIS D 0202の試験方法に従って碁盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハンテープによるピーリングテスト後の剥れの状態を目視判定した。 ◎:100/100で全く剥れのないもの ○:100/100でクロスカット部が少し剥れたもの △:50/100?90/100 ×:0/100?50?100 4)鉛筆硬度試験 密着性試験と同じテストピースをそれぞれ、JIS K 5400の試験方法に従って1kgの荷重で硬度を測定した。 5)耐酸性試験 密着性試験と同じテストピースをそれぞれ、10容量%硫酸水溶液に20℃で30分間浸漬後取り出し、塗膜の状態と密着性とを総合的に判定評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜にフクレあるいは膨潤脱落があるもの 6)耐アルカリ性試験 10容量%硫酸水溶液を10重量%水酸化ナトリウム水溶液に変えた以外は耐酸性試験と同様に試験評価した。 7)耐溶剤性試験 10容量%硫酸水溶液をアケトンに変えた以外は、耐酸性試験と同様に試験評価した。 8)耐メッキ性試験 密着性試験と同じテストピースをそれぞれ、「オートロネクスCI」(米国セルレックス社製ソッキ液)を用い30℃の液温で1A/dm^(2)の電流密度により9分間メッキを行って1.5μmの厚さの金を析出させた後の塗膜の状態を耐酸性試験と同様に評価した。 9)耐はんだ性試験 密着性試験と同じテストピースをそれぞれ、JIS C 6481の試験方法に従って、260℃のはんだ浴に10秒間浸漬を1回、3回および5回行った後の塗膜の状態を耐酸性試験と同様に評価した。 10)絶縁抵抗測定 IPC-B-25のくし型テストパターンBを用い、それぞれ密着性試験と同様の条件でテストピースを作成し、IPC-SM-840Bの試験方法に従って、常態での絶縁抵抗および25?65℃の温度サイクル、相対湿度90%、直流100V印加、7日間の条件下での絶縁抵抗を測定した。 11)ポットライフ測定 20℃で保管したとき、製造直後の粘度値が2倍になるまでの日数。 第1表 上記第1表に示す結果から明らかなように、本発明の各実施例において得られた感光性熱硬化性樹脂組成物は感光性、現像性共に優れ、また得られたソルダーレジストパターンは密着性、硬度、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐メッキ性等の諸特性が優れている。これに対して、比較例1のように熱硬化性成分を配合せず、従ってポストキュアを行なわない場合には、密着性、耐薬品性、耐メッキ性等、ソルダーレジストとして要求される諸特性が劣る。さらに、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂を配合し、ポストキュアを行なった場合でも、比較例2及び3のように溶剤可溶性のエポキシ樹脂のみを用いた場合、アルカリ現像の場合には現像性が劣り(比較例2)、また溶剤現像の場合には感光性が劣る結果が得られた(比較例3)。 〔発明の効果〕 以上のように、本発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物は、希釈剤に難溶性の微粒状エポキシ化合物を用いたことにより、現像性に優れ、かつ露光部の現像液に対する耐性を有すると共に、ポットライフが長く、しかも感光性にも優れ感度が高い。従って、このような感光性熱硬化性樹脂組成物を用いて、露光、現像し、その後ポストキュアを行なうことにより、密着性、電気絶縁性、耐電蝕性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐酸性および電解金、無電解金、無電解銅などのメッキに対する耐メッキ性等に優れたソルダーレジストパターンを形成することができる。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2005-11-09 |
結審通知日 | 2005-11-15 |
審決日 | 2005-11-29 |
出願番号 | 特願昭62-299967 |
審決分類 |
P
1
123・
532-
YA
(C08F)
P 1 123・ 121- YA (C08F) P 1 123・ 831- YA (C08F) P 1 123・ 16- YA (C08F) P 1 123・ 1- YA (C08F) P 1 123・ 531- YA (C08F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 板橋 一隆、柿崎 良男 |
特許庁審判長 |
井出 隆一 |
特許庁審判官 |
船岡 嘉彦 高原 慎太郎 |
登録日 | 1997-11-14 |
登録番号 | 特許第2133267号(P2133267) |
発明の名称 | 感光性熱硬化性樹脂組成物及びソルダーレジストパターン形成方法 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 阿形 明 |
代理人 | 鈴江 武彦 |