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審決分類 審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1251817
審判番号 無効2009-800073  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-03-31 
確定日 2012-01-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2791467号「遊技機の回路基板収納ケース」の特許無効審判事件についてされた平成22年11月25日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成22年(行ケ)第10409号、平成23年3月28日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第一.手続の経緯
本件特許第2791467号に係る発明についての手続の経緯の概略は以下のとおりである。
1.平成 8年 4月24日:特許出願
(原出願である特願平1-104255号の
出願日は平成1年4月24日)
2.平成10年 6月19日:特許権の設定登録
3.平成21年 3月31日:無効審判請求
4.平成21年 7月13日:答弁書提出及び訂正請求書提出
5.平成21年11月 2日:弁駁書提出
6.平成22年 5月18日:被請求人より口頭審理陳述要領書提出
7.平成22年 5月18日:請求人より口頭審理陳述要領書提出
8.平成22年 6月 1日:口頭審理
9.平成22年 7月 2日:請求人より上申書提出
10.平成22年11月25日:審決(訂正を認め、特許無効)
11.平成22年12月30日:被請求人による審決取消訴訟の提起
(平成22年(行ケ)10409号)
12.平成23年 3月 2日:訂正審判の請求
(訂正2011-390024号)
13.平成23年 3月28日:特許法181条2項の規定に基づく決定
(特許庁が平成22年11月25日にした
審決を取り消す。)
14.平成23年 4月27日:特許法134条の3第2項の規定に基づく
通知書(同年5月2日発送)
15.平成23年 5月12日:特許法134条の3第5項の規定に基づく
みなし訂正請求(訂正審判請求書の援用)
16.平成23年 7月22日:弁駁書提出

第二.平成23年5月12日の訂正請求について
1.はじめに
この審決においては、平成23年5月12日に特許法134条の3第5項の規定に基づき、平成23年3月2日付け訂正審判請求書に添付された訂正した明細書又は図面を援用してされたものとみなされた訂正の請求(以下「本件訂正」という。)に係る明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項について、それぞれ「訂正後の明細書等」並びに「訂正後の請求項」と記載し、特許第2791467号の設定登録時の願書に添付した明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項については「訂正前明細書等」並びに「訂正前請求項」と記載し、また、訂正後の請求項1及び訂正後の請求項2に係る発明をそれぞれ「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明2」と記載し、訂正前請求項1及び訂正前請求項2に係る発明をそれぞれ「訂正前発明1」及び「訂正前発明2」と記載することとする。
また、遊技機の分野における通常の知識を有する者のことを「当業者」ということとする。

2.本件訂正の内容
本件訂正は、訂正前明細書等を、訂正後の明細書等のとおりに訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。(下線部は訂正により追加又は変更された箇所を示す。)

・訂正事項1
訂正前請求項1の「第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、」を次のとおり訂正する。
「第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、 前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片と、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、かつ、前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ、」

・訂正事項2
訂正前請求項1の「前記第1分割体と第2分割体とを固着する固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設けると共に、」を次のとおり訂正する。
「前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と第2分割体とだけを固着し、」

・訂正事項3
訂正前請求項1の「その固着手段の上面を、封印部材で封印した」を次のとおり訂正する。
「前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印した」

・訂正事項4
訂正前請求項2の「第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、前記第1分割体と第2分割体とは、一方側において係止又は係合し他方側において固着手段で固定することにより組付け構成すると共に、」を次のとおり訂正する。
「第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、 前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片とが形成されるとともに、前記係止片が形成されている側に、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタであって前記ケース体の前記一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、前記開口部分に設けられ、
前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、」

・訂正事項5
訂正前請求項2の「前記固着手段の上面を、封印部材で封印した」を次のとおり訂正する。
「前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印した」

・訂正事項6
訂正前明細書等の段落番号【0001】の「この発明は、第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する遊技機の回路基板収納ケースに関するものである。」を次のとおり訂正する。
「この発明は、第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する遊技機の回路基板収納ケースに関するものである。」

・訂正事項7
訂正前明細書等の段落番号【0005】の「図8に示すように、第1分割体118と第2分割体132とによって回路基板141を被覆収納する回路基板収納ケース110において、前記第1分割体118と第2分割体132とを固着する固着手段としてのビス128a,128bを回路基板収納ケース110の収納空間方向に向けて設けると共に、そのビス128a,128bの上面を、封印部材としての封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132とを分離するためには、必ず固着手段としてのビス128a,128bを緩めなければならず、このためには、封印部材としての封印紙129が必ず破損することとなるので、回路基板141を被覆する第1分割体118と第2分割体132との被覆状態を解除されたか否かを封印部材としての封印紙129の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。」を次のとおり訂正する。
「図8に示すように、第1分割体118と第2分割体132とから構成されるケース体によって回路基板141を被覆収納する回路基板収納ケース110において、前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片と、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、前記ケース体は、前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、かつ、前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し、前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ、前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体118と前記第2分割体132とだけを固着し、前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材としての封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132とを分離するためには、必ず分割体固着用のビスを緩めなければならず、このためには、封印部材としての封印紙129が必ず破損することとなるので、回路基板141を被覆する第1分割体118と第2分割体132との被覆状態を解除されたか否かを封印部材としての封印紙129の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。」

・訂正事項8
訂正前明細書等の段落番号【0006】の「また、前記第1分割体118と第2分割体132とは、一方側において係合穴124a,124bと係合片138a,138bとによって係止又は係合し他方側においてビス128a,128bで固定することにより組付け構成すると共に、そのビス128a,128bの上面を、封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132との組付けを容易に行うことができると共に封印紙129の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。」を次のとおり訂正する。
「また、前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片とが形成されるとともに、前記係止片が形成されている側に前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、前記ケース体は、前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、当該基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板に設けられたコネクタであって前記ケース体の一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、前記開口部分に設けられ、前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材としての封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132との組付けを容易に行うことができると共に封印紙129の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。」

・訂正事項9
訂正前明細書等の段落番号【0058】の「以上、説明したところから明らかなように、この発明においては、第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、前記第1分割体と第2分割体とを固着する固着手段を回路基板収納ケースの収納空間方向に向けて設けると共に、その固着手段の上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体とを分離するためには、必ず固着手段を外部からはずさなければならず、このためには、封印部材が必ず破損することとなるので、回路基板を被覆する第1分割体と第2分割体との被覆状態を解除されたか否かを封印部材の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。」を次のとおり訂正する。
「以上、説明したところから明らかなように、この発明においては、第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、前記第1分割体と第2分割体とを固着する分割体固着用のビスを回路基板収納ケースの収納空間方向に向けて設けると共に、その分割体固着用のビスの上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体とを分離するためには、必ず分割体固着用のビスを外部からはずさなければならず、このためには、封印部材が必ず破損することとなるので、回路基板を被覆する第1分割体と第2分割体との被覆状態を解除されたか否かを封印部材の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。」

・訂正事項10
訂正前明細書等の段落番号【0059】の「また、前記第1分割体と第2分割体とは、一方側において係止又は係合し他方側において固着手段で固定することにより組付け構成すると共に、その固着手段の上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができると共に封印部材の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。」を次のとおり訂正する。
「また、前記第1分割体と第2分割体とは、一方側において係合し他方側において分割体固着用のビスで固定することにより組付け構成すると共に、その分割体固着用のビスの上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができると共に封印部材の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。」

3.本件訂正に関する被請求人の主張
平成23年3月2日付け訂正審判請求書(以下、単に「訂正審判請求書」という。)における、本件訂正についての被請求人の主張は次のとおりである。

(1)訂正事項1は、限定事項を付加する訂正であるから、特許法126条1項但書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項1は、訂正前明細書等の段落【0040】?【0046】の記載や図8の記載に基づいており、特許法126条3項に規定する「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」の要件を充足する。(9?12頁、6(4)(a))。

(2)訂正事項2は、固着手段を「分割体固着用のビス」に限定し、「前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ」という限定事項を付加するとともに、分割体固着用のビスが前記第1分割体と第2分割体と「だけ」を固着するという限定事項を付加する訂正であるから、特許法126条1項但書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項2は、訂正前明細書等の段落【0042】の「ビス128a,128b(ただし、128aは、図示せず)で螺着することにより第1分割体118と第2分割体132の後方部分を結合させるものである。」という記載及び図8の記載に基づいており、特許法126条3項に規定する「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」の要件を充足する。(12?13頁、6(4)(b))。

(3)訂正事項3は、限定事項を付加する訂正であるから、特許法126条1項但書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項3は、訂正前明細書等の段落【0042】の記載及び図8の記載に基づいており、特許法126条3項に規定する「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」の要件を充足する。(13頁、6(4)(c))。

(4)訂正事項4は、限定事項を付加する訂正であるから、特許法126条1項但書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項4は、訂正前明細書等の段落【0040】?【0046】の記載や図8、図9の記載に基づいており、特許法126条3項に規定する「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」の要件を充足する。(13?16頁、6(4)(d))。

(5)訂正事項5は、限定事項を付加する訂正であるから、特許法126条1項但書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項5は、訂正前明細書等の段落【0042】の記載及び図8の記載に基づいており、特許法126条3項に規定する「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」の要件を充足する。(16?17頁、6(4)(e))。

(6)訂正事項6?10は、訂正事項1?5との整合を採るための訂正であるから、特許法126条1項但書3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」に該当する。
また、訂正前明細書等の段落【0003】?【0006】、【0056】、【0058】及び【0059】の記載から、訂正前発明1及び2の目的は、封印部材の状態を見ることにより第1分割体と第2分割体との被覆状態が解除されたか否かを簡単に見分けられるようにすることにより、不正行為を防止することにあり、訂正前発明2の目的は、第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができるようにすることにある。
上記訂正事項1?5は、いずれも訂正前発明1及び2の目的に含まれる内容であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1?10は、特許法126条4項に規定する「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない」の要件を充足する。(17?19頁、6(4)(f))。

4.本件訂正に関する請求人の主張
平成23年7月22日付け弁駁書(以下、単に「弁駁書」という。)における、本件訂正に関する請求人の主張は次のとおりである。

(1)訂正事項2及び7について
訂正事項2は、「前記第1分割体と第2分割体とを固着する固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設けると共に、」を、「前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、」と訂正するものである。
しかし、「分割体固着用のビス」が「回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ」るとすることの根拠となる記載は、訂正前明細書等のどこにもない。
すなわち、訂正前明細書等には、固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける旨の記載はあるが(請求項1、段落【0005】ほか)、ビスが「回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれる」のであれば、ビスのねじ込み方向の先には回路基板収納空間が存在していなければならないところ、訂正前明細書等には、「分割体固着用ビス」のねじ込み方向の先に「回路基板収納空間」は存在しておらず、図7、図8から「分割体固着用ビス」(ビス128a、128b)が「回路基板収納空間」の下側の「別の空間」内にねじ込まれる様子がかろうじて窺い知れるにとどまる。
よって、訂正事項2は新規事項を追加するものであり、訂正事項7も、訂正事項2と同様、新規事項を追加するものである。(2?3頁、7 第1 1.)

(2)その他の訂正事項について
訂正事項1、訂正事項3?6及び訂正事項8?10は認める。(3頁、7 第1 2.)

5.本件訂正の適否の判断(当審注:構成要件の後に記載した括弧付きの番号は、理解を容易にするため図8を参考にして当審で付した図番である。)
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前請求項1の「第1分割体(118)と第2分割体(132)とによって回路基板(141)を被覆収納する」という構成に関して、「ケース体が第1分割体(118)と第2分割体(132)とから構成される」という関係を追加し、「ケース体によって回路基板(141)を被覆収納する」ものとし、「第1分割体(118)」に「ビス穴(127)」及び「係合穴(124)」が形成される点、「第2分割体(132)」に「係止片(140)」、「取付片(139)」、「ビス穴(136)」及び「係合片(138)」が形成される点、「ケース体」が「係止片(140)によって」「回路基板(141)の一方側を係止し、」「回路基板(141)の他方側を」「取付片(139)に対し基板固定用のビス(145)で止めることにより」「回路基板(141)を」「第2分割体(132)に固定した後、」「係合片(138)を」「係合穴(124)に差し込んで係合させ、」「ビス穴(127)毎に、対応する」「ビス穴(136)を重ね合わせ、」「分割体固着用のビス(128)をねじ込むことにより、」「第1分割体(118)と」「第2分割体(132)とを固着させて」なる点、「ケース体」が「開口」、「側壁(120,137)」及び「カバー部材(126)」を備える点を限定するとともに、「カバー部材(126)」について「長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタ(143)に接続された配線(156)を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁(120,137)の厚み方向においてその一部が前記側壁(120,137)と重なるように前記開口部分に設けられ」と限定するものであるから、訂正前発明1の減縮を目的とするものである。
そして、上記限定された各構成は、いずれも訂正前明細書等の図8や段落【0040】?【0046】に記載されているので、訂正事項1は、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、上記4.(2)に記載したとおり、訂正事項1について、請求人は訂正を認めるとしている。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前請求項1の「前記第1分割体(118)と第2分割体(132)とを固着する固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける」という構成に関して、「固着手段」を「分割体固着用のビス(128)」に限定するとともに、「前記分割体固着用のビス(128)」に関して、「各々、前記第2分割体(132)の前記係合片(138)を前記第1分割体(118)の前記係合穴(124)に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ」という限定事項と「前記第1分割体(118)と前記第2分割体(132)とだけを固着」するという限定事項を付加するものであるから、訂正前発明1の減縮を目的とするものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、「固着手段」としての「分割体固着用のビス(128)」を螺着することにより第1分割体(118)と第2分割体(132)の後方部分を結合することは、訂正前明細書等の段落【0042】に記載され、「螺着すること」は、ねじ込むことにほかならないから、図8を合わせてみれば「分割体固着用のビス(128)」が第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込む方向に対して垂直となる方向にねじ込まれていることは明らかである。
また、「固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける」ことは、訂正前請求項1に記載され、「固着手段」を「分割体固着用のビス(128)」とした場合に、「分割体固着用のビス(128)」の向きをねじ込む方向とみることは、ごく普通の捉え方であるから、「固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける」を、「分割体固着用のビス(128)」を「回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ」とすることも、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものということができる。
さらに、訂正前明細書等の段落【0042】及び図8には、分割体固着用のビス(128)が第1分割体(118)と第2分割体(132)とだけを結合(固着)する例が示されているから、訂正事項2は訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
請求人は、訂正事項2について、ビスが「回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれる」のであれば、ビスのねじ込み方向の先には回路基板収納空間が存在していなければならない旨主張している。
しかし、そうであるならば、訂正前明細書等においても、「固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける」のであれば、固着手段の先には回路基板収納空間が存在していなければならないことになる。そして、訂正前明細書等には「固着手段」の具体例として「分割体固着用のビス(128)」が記載され、「分割体固着用のビス(128)」の先にも回路基板収納空間が存在していることになるから、訂正前明細書等には固着手段を回路基板収納空間方向に向けて設ける旨の記載はあると認めつつ、ビスのねじ込み方向の先には回路基板収納空間が存在していないという主張を行うのは矛盾している。
また、請求人は、訂正前明細書等には、「分割体固着用ビス」のねじ込み方向の先に「回路基板収納空間」は存在しておらず、図7、図8から「分割体固着用ビス」(ビス128a、128b)が「回路基板収納空間」の下側の「別の空間」内にねじ込まれる様子がかろうじて窺い知れるにとどまる旨の主張をしている。
訂正事項2が、分割体固着用のビスが回路基板収納空間内にねじ込まれる旨の訂正であるならば、その主張はもっともであるが、訂正事項2は、分割体固着用のビス(128)が係合片(138)を係合穴(124)に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれるという内容であるところ、訂正事項1において、第1分割体(118)の側面にビス穴(127)、第2分割体(132)に該ビス穴(127)に対応するビス穴(136)が形成され、ビス穴(127)とビス穴(136)を重ね合わせて分割体固着用のビス(128)をねじ込む点も追加されているから、訂正事項2における「回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれる」は、第1分割体(118)の側面に形成されたビス穴(127)及び第2分割体(132)に形成されたビス穴(136)に対して、分割体固着用のビス(128)をどのような向きにねじ込むかを特定しているものであって、第1分割体(118)の外側から回路基板が収納される側に向けてねじ込むという内容であると把握される。
そして、そのような向きに分割体固着用のビス(128)をねじ込むことは、訂正前明細書等の図8から明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前請求項1の「その固着手段の上面を、封印部材(129)で封印した」という構成に関して、「前記第1分割体(118)の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体(118)の前記ビス穴(127)を覆うように前記第1分割体(118)の平らな前記2つの側面各々に封印部材(129)を貼付することにより、前記分割体固着用のビス(128)各々の上面を当該封印部材(129)で封印した」と限定するものであるから、訂正前発明1の減縮を目的とするものである。
そして、第1分割体(118)の2つの側面が各々平らであること、第1分割体(118)のビス穴(127)を覆うように前記第1分割体(118)の平らな2つの側面各々に封印部材(129)を貼付すること、及び分割体固着用のビス(128)各々の上面を当該封印部材(129)で封印したことは、いずれも訂正前明細書等の図8や段落【0042】の記載から明らかであるので、訂正事項3は、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、上記4.(2)に記載したとおり、訂正事項3について、請求人は訂正を認めるとしている。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前請求項2の「第1分割体(118)と第2分割体(132)とによって回路基板(141)を被覆収納する」という構成に関して、「ケース体が第1分割体(118)と第2分割体(132)とから構成される」という関係を追加し、「ケース体によって回路基板(141)を被覆収納する」ものとし、「第1分割体(118)」に「ビス穴(127)」及び「係合穴(124)」が形成される点、「第2分割体(132)」に「係止片(140)」、「取付片(139)」、「ビス穴(136)」及び「係合片(138)」が形成される点、「ケース体」が「係止片(140)によって」「回路基板(141)の一方側を係止し、」「回路基板(141)の他方側を」「取付片(139)に対し基板固定用のビス(145)で止めることにより」「回路基板(141)を」「第2分割体(132)に固定した後、」「基板固定用のビス(145)で止める側と同じ側」において「係合片(138)を」「係合穴(124)に差し込んで係合させ、」「他方側において」「ビス穴(127)毎に、対応する」「ビス穴(136)を重ね合わせ、」「分割体固着用のビス(128)をねじ込むことにより、」「第1分割体(118)と」「第2分割体(132)とを固着させて」なる点、「ケース体」が「開口」及び「カバー部材(126)」を備える点を限定するとともに、「カバー部材(126)」について「長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、前記開口部分に設けられ」と限定し、さらに「分割体固着用のビス(128)」について「各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し」と限定するものであるから、訂正前発明2の減縮を目的とするものである。
そして、上記限定された各構成は、いずれも訂正前明細書等の図8や段落【0040】?【0046】に記載されているので、訂正事項4は、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、上記4.(2)に記載したとおり、訂正事項4について、請求人は訂正を認めるとしている。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前請求項2の「前記固着手段の上面を、封印部材(129)で封印した」という構成に関して、「前記第1分割体(118)の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体(118)の前記ビス穴(127)を覆うように前記第1分割体(118)の平らな前記2つの側面各々に封印部材(129)を貼付することにより、前記分割体固着用のビス(128)各々の上面を当該封印部材(129)で封印した」と限定するものであるから、訂正前発明2の減縮を目的とするものである。
そして、第1分割体(118)の2つの側面が各々平らであること、第1分割体(118)のビス穴(127)を覆うように前記第1分割体(118)の平らな2つの側面各々に封印部材(129)を貼付すること、及び分割体固着用のビス(128)各々の上面を当該封印部材(129)で封印したことは、いずれも訂正前明細書等の図8や段落【0042】の記載から明らかであるので、訂正事項5は、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、上記4.(2)に記載したとおり、訂正事項5について、請求人は訂正を認めるとしている。

(6)訂正事項6?10について
訂正事項6?10は、特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正であって、上記(1)?(5)で述べたとおり、訂正事項1?5による特許請求の範囲の訂正に違法はない。
よって、訂正事項6?10は明りようでない記載の釈明を目的とするものであるとともに、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものと認められ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、上記4.(2)に記載したとおり、訂正事項6及び8?10について、請求人は訂正を認めるとしており、訂正事項7については、上記(2)に記載したとおり、訂正前明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(7)むすび
以上のとおりであるから、訂正事項1?10は、特許法134条の2第1項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条5項において準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第三.当事者の主張(本件訂正に関するものを除く)
1.請求人の主張
(1)請求人が提出した書証
請求人は、平成21年3月31日付けの審判請求書(以下、単に「審判請求書」という。)において、本件特許は特許法123条1項2号により無効とすべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証?甲第8号証を提出している(審判請求書3頁、7(2)及び17?18頁、8(1)(2))。
以下、この審決においては「甲第1号証」を「甲1」と記載し、「甲第2号証」等についても同様に記載することとする。

【審判請求書に添付】
甲1:平成8年5月23日提出の手続補正書
甲2:平成9年11月19日付け拒絶理由通知書
甲3:平成10年2月2日提出の手続補正書
甲4:平成10年2月2日提出の意見書
(甲1?4は、すべて特願平8-129030号の手続書類)
甲5:実願昭62-57955号(実開昭64-26085号)のマイクロフィルム
甲6:特開昭64-17677号公報
甲7:実願昭60-155134号(実開昭62-64579号)のマイクロフィルム
甲8:実願昭58-42480号(実開昭59-149664号)のマイクロフィルム

(2)進歩性について
(2-1)訂正前発明1(審判請求書13?16頁、7(3)(ハ)(1))
訂正前発明1は、甲5に記載された発明に、甲6及び甲7に記載の発明を組み合わせることで、当業者が容易に成し得る程度のものに過ぎず、進歩性を欠くものである。

(2-2)訂正前発明2(審判請求書16?17頁、7(3)(ハ)(2))
訂正前発明2は、甲5に記載された発明に、甲8に記載の発明を組み合わせることで、当業者が容易に成し得る程度のものに過ぎず、進歩性を欠くものである。

(2-3)本件訂正発明1(弁駁書4?8頁、7 第2 1.)
a.相違点1?3について
被請求人は、本件訂正発明1と甲5に記載の発明1(以下「甲5発明1」という。)との相違点1(上面が封印部材(129) によって封印される分割体固着用のビス(128)が、第1分割体(118)と第2分割体(132)とだけを固着する点)、相違点2(封印部材(129) によって覆われるビス穴(127)が、第1分割体(118)の対向する2つの側面各々に形成されている点)及び相違点3(封印部材(129)がビス穴(127)を覆うように第1分割体(118)の平らな側面に貼付される点)について、「延出部(25)」と「ボックス本体(22)」とだけをネジ止めする動機付けが存在しないと主張している。
しかし、甲5には「支持板(21)とボックス本体(22)とを結合するネジ止め穴(26)が当該延出部(25)に形成してあれば、一層確実に制御基板収納ボックス(20)を封印できる。」(11頁4?7行)と記載されているので、甲5発明1の延出部(25)とボックス本体(22)をネジ止めする動機付けが明確に記載されている。
また、甲5には第1分割体(118)に相当するボックス本体(22)と第2分割体(132)に相当する支持板(21)とだけを結合する点及びボックス本体(22)の平らな側面に封印シール(30)を貼付することが開示されているので、相違点1?3は、甲5の記載に基づき、当業者が容易に想到し得たものである。

b.相違点4について
被請求人は、本件訂正発明1と甲5発明1との相違点4(第1分割体(118)においてビス穴(127)が形成される側面と直交する側面に、第2分割体(132)の係合片(138)が差し込まれる係合穴(124)を形成し、当該第2分割体(132)の係合片(138)の差し込み方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けて、分割体固着用のビス(128)をねじ込む点)について、甲8の係合孔17a?17cに対して係合片27a?27cを差し込む方向が、ねじ39をねじ込む方向と平行であると主張している。
しかし、甲8の係合片27a?27cを第1図に示す状態から容器部2の底板4と平行に折り曲げ、係合孔17a?17cは側壁21と平行方向に伸びるように変更すれば、係合片27a?27cの差し込み方向がねじ39のねじ込み方向と直交することは明白である。また、参考資料(特開昭57-188898号公報)の468頁右上欄10行?右下欄20行及び第3図の記載から、蓋体31,41の凹部33,43とパネル21のリブ22との係合方向と、ねじ5のねじ込み方向は直交しているから、甲8の係合孔17a?17c及び係合片27a?27cに対する上記のような変更は当業者の単なる設計事項に過ぎない。
したがって、相違点4は、甲8の記載に基づき、当業者が容易になし得たものである。

c.相違点5について
本件訂正発明1と甲5発明1との相違点5(第2分割体(132)に対し、回路基板(141)のコネクタ(143)が設けられていない一方側を係止し、コネクタ(143)が設けられている他方側をビス(145)で止める点)については、甲6に、固定ピン54a,54bに制御回路基板71の止着穴75a,75bが嵌入され、ネジ76は制御回路基板71の他方側の止着穴75dに貫通されて、固定カバー51のアース用ピン56に螺着されるものであるから、回路基板の他方側をビス止めする点は、甲6の記載に基づき当業者が容易に想到可能である。

d.小括り
以上のとおり、本件訂正発明1は、甲5発明1に、甲6及び甲8に記載の発明を組み合わせることで、当業者が容易に成し得たものに過ぎず、進歩性を欠くものである。

(2-4)本件訂正発明2(弁駁書8?11頁、7 第2 2.)
a.相違点A?Eについて
本件訂正発明2と甲5に記載の発明2(以下「甲5発明2」という。)との相違点A?Eは、上記相違点1?5と同じである。
よって、相違点A?Eは、当業者が容易になし得たものである。

b.相違点Fについて
被請求人は、本件訂正発明2と甲5発明2との相違点F(コネクタ(143)の開口が設けられた側であってケース体の一方側において第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込んで係合させ、ケース体の他方側において分割体固着用のビス(128)をねじ込むことにより第1分割体(118)と第2分割体(132)とを固着させる点)について、甲5発明2に甲8に記載の技術事項を適用することに阻害要因が存在すると主張する。
しかし、甲5発明2が解決しようとする問題点は、制御基板収納ボックス(20)における「封印シール(30)の貼付することができる場所を確保できる構造を提供すること」(甲5の5頁10?11行)であって、記憶素子(24)の近傍において封印シール(30)で封印することではなく、しかも甲5の第8図、第9図には、記憶素子(24)から離れた位置に延出部(25)が形成され封印シール(30)が貼付された例も明示されている。
よって、甲5発明2に甲8記載の技術を適用することに何ら阻害要因はない。
したがって、相違点Fは、甲5発明2に甲8記載の技術を適用することによって、当業者が容易になし得たものである。

c.相違点Gについて
平成22年11月25日付け審決書(以下「一次審決書」という。)22頁28?35行及び23頁8?14行によれば、相違点G(第2分割体(132)には、回路基板(141)を係止するための係止片(140)が形成されている側に第1分割体(118)のビス穴(127) 各々に対応するビス穴(136) が形成され、回路基板(141)をビス(145)で止めるための取付片(139)が形成されている側に第1分割体(118)の係合穴(124)に対応する係合片(138)が形成されており、第2分割体(132)の係止片(140) によって回路基板(141)の一方側を係止し、回路基板(141)の他方側を第2分割体(132)の取付片(139)に対し基板固定用のビス(145)で止めることにより回路基板(141)を第2分割体(132)に固定した後、当該基板固定用のビス(145)で止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込んで係合させる点)の後段の「当該基板固定用のビス(145)で止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込んで係合させる点」当業者が容易に想到し得る事項である。
また、相違点Gの前段の「第2分割体(132)には、回路基板(141)を係止するための係止片(140)が形成され、・・・回路基板(141)の他方側を第2分割体(132)の取付片(139)に対し基板固定用のビス(145)で止めることにより回路基板(141)を第2分割体(132)に固定した後、」相違点5で述べたとおり、甲6の記載に基づき、当業者が容易に想到可能である。
よって、相違点Gは、甲5発明2に甲6及び甲8記載の技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。

d.小括り
以上のとおり、本件訂正発明2は、甲5発明2に、甲6及び甲8に記載の発明を組み合わせることで、当業者が容易に成し得たものに過ぎず、進歩性を欠くものである。

2.被請求人の主張
(1)本件訂正発明1について(訂正審判請求書28?32頁)
a.甲5発明1との対比
本件訂正発明1は、少なくとも以下の点で甲5発明1と相違する。
(相違点1)本件訂正発明1は、「上面が封印部材(129)によって封印される分割体固着用のビス(128)が、第1分割体(118)と第2分割体(132)とだけを固着する」のに対し、甲5発明1はそのような構成を備えていない点。
(相違点2)本件訂正発明1は、「封印部材(129)によって覆われるビス穴(127)が、第1分割体(118)の対向する2つの側面各々に形成されている」のに対し、甲5発明1はそのような構成を備えていない点。
(相違点3)本件訂正発明1は、「封印部材(129)がビス穴(127)を覆うように第1分割体(118)の平らな側面に貼付される」のに対し、甲5発明1はそのような構成を備えていない点。
(相違点4)本件訂正発明1は、「第1分割体(118)においてビス穴(127)が形成される側面と直交する側面に、第2分割体(132)の係合片(138)が差し込まれる係合穴(124)を形成し、当該第2分割体(132)の係合片(138)の差し込み方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けて、分割体固着用のビス(128)をねじ込む」のに対し、甲5発明1はそのような構成を備えていない点。
(相違点5)本件訂正発明1は、「第2分割体(132)に対し、回路基板(141)のコネクタ(143)が設けられていない一方側を係止し、コネクタ(143)が設けられている他方側をビス(145)で止める」のに対し、甲5発明1はそのような構成を備えていない点。

b.相違点1?3について
第1に、甲5には、「支持板(21)とボックス本体(22)のみをネジ止めして工場で封印する」といった技術は記載されていない。第2に、甲5発明1における「延出部(25)」は、第6図などに示される甲5の実施例1の「延出部(25)」と異なり、「支持板(21)」に対して直角に突出するように形成され、玉寄せ板(11)と接しないため、このような「延出部(25)」に、玉寄せ板(11)に制御基板収納ボックス(20)を固定するためのネジ止め穴を形成しようとするはずがあり得ない。第3に、甲5発明1における「支持板(21)」と「ボックス本体(22)」とは、何らかの手法で支持板(21)とボックス本体(22)とが一体化されていることは明らかであるため、これらをわざわざ「延出部(25)」を介してネジ止めする必要性がない。
よって、甲5発明1における「延出部(25)」と「ボックス本体(22)」とをネジ止めする動機付けが存在しない。
このため、甲5発明1に甲5に記載の技術を適用しても、相違点1に係る本件訂正発明1の構成を導き出すことができず、相違点1に係る本件訂正発明1の構成の想到困難性を否定することはできない。
そして、この構成を備えることで、「必要に応じて、封印部材(129)を破損することなく回路基板収納ケース(110)を遊技機から取り外すことができる」という特有の効果を奏する。
また、相違点2及び3に係る本件訂正発明1の構成は、相違点1に係る本件訂正発明1の構成を備えることが前提となるから、甲5発明1に甲5に記載の技術を適用しても、相違点2及び3に係る本件訂正発明1の構成を導き出すことができず、相違点2及び3に係る本件訂正発明1の構成の想到困難性を否定することはできない。
さらに、これらの構成を備えることで、「不正を発見しやすくすることができる」という特有の効果を奏する。

c.相違点4及び5について
甲8の筐体装置は、容器部2の係合孔17a?17cに対して蓋部3の係合片27a?27cを差し込む方向と、ねじ39をねじ込む方向とが平行しており、かつ配線基板1のコネクタ側と反対側が容器部2に対してねじ止めされるものである。
よって、甲8に記載の発明を甲5発明1に適用したとしても、相違点4及び5に係る本件訂正発明1の構成を導き出すことができず、相違点4及び5に係る本件訂正発明1の構成の想到困難性を否定することはできない。
また、甲8の筐体装置では、配線基板1のコネクタ側が支持されているだけであるため、たとえば配線基板1を持ち上げるなどしてコネクタ開口を広げることなどによって不正を誘発させてしまう虞や、容器部2の係合孔17a?17cに対して蓋部3の係合片27a?27cを差し込む方向と、ねじ39をねじ込む方向とが平行しているため、ねじ39を強くねじ込んだ場合、ねじ込み側の容器部2と蓋部3との隙間が大きくなるため、容器部2の係合孔17a?17cから蓋部3の係合片27a?27cが外れてしまう虞やその隙間から不正行為が行われてしまう虞が生じる。
これに対し、本件訂正発明1は、相違点4及び5に係る本件訂正発明1の構成を備えることで、コネクタ開口から回路基板(141)をぐらつかせることすらできない、分割体固着用のビス(128)をねじ込む方向と第2分割体(132)の係合片(138)の差し込み方向とが直交しているため、ビス(128)をいくら強くねじ込んだ場合でも、係合側の第1分割体(118)と第2分割体(132)との隙間に変化を生じさせないため、不正行為が行われることを防止することができるという特有の効果を奏する。
このように、相違点4及び5に係る本件訂正発明1の構成は、高い技術的意義を有し、想到困難性を伴う。

d.小括
本件訂正発明1は、甲5発明1及び公知刊行物に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明2について(訂正審判請求書32?36頁)
a.甲5発明2との対比
本件訂正発明2は、少なくとも以下の点で甲5発明2と相違する。
(相違点A)本件訂正発明2は、「上面が封印部材(129)によって封印される分割体固着用のビス(128)が、第1分割体(118)と第2分割体(132)とだけを固着する」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点B)本件訂正発明2は、「封印部材(129)によって覆われるビス穴(127)が、第1分割体(118)の対向する2つの側面各々に形成されている」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点C)本件訂正発明2は、「封印部材(129)がビス穴(127)を覆うように第1分割体(118)の平らな側面に貼付される」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点D)本件訂正発明2は、「第1分割体(118)においてビス穴(127)が形成される側面と直交する側面に、第2分割体(132)の係合片(138)が差し込まれる係合穴(124)を形成し、当該第2分割体(132)の係合片(138)の差し込み方向に対して垂直となる方向に向けて、分割体固着用のビス(128)をねじ込む」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点E)本件訂正発明2は、「第2分割体(132)に対し、回路基板(141)のコネクタ(143)が設けられていない一方側を係止し、コネクタ(143)が設けられている他方側をビス(145)で止める」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点F)本件訂正発明2は、「コネクタ(143)の開口が設けられた側であってケース体の一方側において第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込んで係合させ、ケース体の他方側において分割体固着用のビス(128)をねじ込むことにより第1分割体(118)と第2分割体(132)とを固着させる」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。
(相違点G)本件訂正発明2は、「第2分割体(132)には、回路基板(141)を係止するための係止片(140)が形成されている側に第1分割体(118)のビス穴(127) 各々に対応するビス穴(136) が形成され、回路基板(141)をビス(145)で止めるための取付片(139)が形成されている側に第1分割体(118)の係合穴(124)に対応する係合片(138)が形成されており、第2分割体(132)の係止片(140) によって回路基板(141)の一方側を係止し、回路基板(141)の他方側を第2分割体(132)の取付片(139)に対し基板固定用のビス(145)で止めることにより回路基板(141)を第2分割体(132)に固定した後、当該基板固定用のビス(145)で止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において第2分割体(132)の係合片(138)を第1分割体(118)の係合穴(124)に差し込んで係合させる」のに対し、甲5発明2はそのような構成を備えていない点。

b.相違点A?Eについて
相違点A?Eに係る本件訂正発明2の構成については、相違点1?5に係る本件訂正発明1の構成についての理由と同じ理由により、高い技術的意義を有し、想到困難性を伴う。

c.相違点Fについて
甲5の3頁7?13行、9頁2?6行、10頁14?11頁1行及び11頁11?13行の記載から、甲5発明2は、延出部(25)の形成位置が封印シール(30)によって封印される位置となるため、記憶素子(24)の近傍に延出部(25)を形成することに技術的意義を有する発明であり、甲5発明2において延出部(25)の形成位置に自由度はない。
一方、甲8の4頁4行?5頁14行には、「容器部2のコネクタ開口が設けられている一方側面において蓋部3を係合させ、当該一方側面と対向する他方側面に対してねじ39をねじ込むことにより、配線基板1のコネクタ側の反対側と、容器部2と、蓋部3とを固定すること」が記載されている。
そこで、甲5発明2に甲8に記載の上記技術事項を適用すると、延出部(25)が他方側面に形成されることになり、記憶素子(24)の近傍ではなくなるため、記憶素子(24)の近傍において封印シール(30)によって封印することが不可能な発明になってしまう。
このため、甲5発明2に甲8に記載の上記技術事項を適用することに阻害要因が存在する。
よって、甲5発明2に基づいて相違点Fに係る本件訂正発明2の構成の想到困難性を否定することはできず、相違点Fに係る本件訂正発明2の構成は想到困難性を伴う。

d.相違点Gについて
甲8の4頁4行?5頁14行には、「容器部2の一方側面において、配線基板1を支持するとともに蓋部3を係合させ、当該一方側面と対向する他方側面において、配線基板1のコネクタ側の反対側と、容器部2と、蓋部3とをねじ39で固定すること」が記載されている。
すなわち、甲8の筐体装置は、容器部2が配線基板1を支持する側と同じ側において、蓋部3を係合させ、容器部2が配線基板1をねじで固定する側と同じ側において蓋部3を同じねじで固定するものである。
甲5発明2に甲8に記載の上記技術事項を適用したとしても、前述の相違点Gに係る本件訂正発明2の構成を導き出すことができず、相違点Gに係る本件訂正発明2の構成の想到困難性を否定することはできない。
また、甲8の筐体装置では、配線基板1と、容器部2と、蓋部3との3つの部材を共通のねじ39で固定するため、ねじ穴を重ね合わせてねじ39で固定するのに困難性を伴い、その結果組付けが困難となる虞が生じる。
これに対し、本件訂正発明2は、相違点Gに係る本件訂正発明2の構成を備えることで、第1分割体(118)と第2分割体(132) の組付けを容易に行うことができ、組付けに用いるビスの部品点数を抑えることができるという特有の効果を奏する。
このように、相違点Gに係る本件訂正発明2の構成は、高い技術的意義を有し、想到困難性を伴う。

e.小括
本件訂正発明2は、甲5発明2及び公知刊行物に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第四.本件審判請求についての当審の判断
1.特許第2791467号の発明の認定
上記第二.5.で述べたとおり、本件訂正は適法であるから、特許第2791467号の発明(本件訂正発明1及び2)は、訂正後の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるものである。

(本件訂正発明1)
「 第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片と、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、かつ、前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ、
前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したことを特徴とする遊技機の回路基板収納ケース。」

(本件訂正発明2)
「 第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片とが形成されるとともに、前記係止片が形成されている側に前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタであって前記ケース体の前記一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように前記開口部分に設けられ、
前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したことを特徴とする遊技機の回路基板収納ケース。」

2.無効理由について
(1)甲5に記載された発明
甲5(実願昭62-57955号(実開昭64-26085号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.本考案は、特にパチンコ機に使用される複数の電子部品を備えた制御基板を収納するためのボックスにおける封印構造に関するものである。(2頁8?10行)
イ.「制御基板収納ボックス(20)は、第3図に示すように、主として上記玉寄せ板(11)側に固定される支持板(21)と、この支持板(21)を覆蓋するためのボックス本体(22)とからなっている。支持板(21)の内面側には当該制御基板収納ボックス(20)内に収納される制御基板(23)のための突起が形成してあり、第5図に示すように、この突起に記憶素子(24)等の電子部品を搭載した制御基板(23)が取付けられる。」(8頁6?14行)
ウ.「なお、本実施例における延出部(25)にあっては、当該支持板(21)を玉寄せ板(11)側に固定する場合に使用されるネジ止め穴(26)が形成してあるが、このネジ止め穴(26)は別に設けて実施してもよい。」(9頁6?10行)
エ.「ボックス本体(22)は、支持板(21)の取付けられた制御基板(23)の記憶素子(24)等の電子部品を覆蓋するものであり、その外形は支持板(21)の外形と略同じものとして形成してある。なお、このボックス本体(22)の一部には第1図及び第5図に示したように、制御基板(23)から引き出される導線を外部へ出すための開口が形成してある。」(9頁11?17行)
オ.「この玉寄せ板(11)に固定された制御基板収納ボックス(20)にあっては、第1図及び第6図に示したように、支持板(21)から延出して形成した各延出部(25)によって封印シール(30)を貼付するための場所が確保されているから、これらの各延出部(25)上とその近傍に位置するボックス本体(22)の一部間にまたがった状態で封印シール(30)を貼付するのである。この場合、当該延出部(25)に玉寄せ板(11)との固定のためのネジ止め穴(26)が形成してあれば、このネジ止め穴(26)を封印シール(30)によって覆うことができるのである。なお、支持板(21)とボックス本体(22)とを結合するネジ止め穴(26)が当該延出部(25)に形成してあれば、一層確実に制御基板収納ボックス(20)を封印できる。
なお、上記実施例にあっては、延出部(25)を左右一対形成した例について説明したが、この延出部(25)を一個のみ形成して実施してもよい。この場合、一個の延出部(25)は、前述したように制御基板(23)上の記憶素子(24)が位置する部分の近傍に形成するとともに、延出部(25)の上側に位置するボックス本体の一部を、第7図に示すように、延出部(25)側に延出する固定部とし、この固定部にネジ止め穴(26)を形成しておけば、一本のネジによって支持板(21)とボックス本体(22)を玉寄せ板(11)に同時に固定することができるとともに、封印シール(30)の貼付箇所をも確保することができる。」(10頁11行?12頁2行)
カ.「なお、制御基板収納ボックス(20)と玉寄せ板(11)との固定ネジ穴を延出部(25)に設けない場合には、工場で封印済の制御基板収納ボックス(20)をパチンコ遊技場で交換することができる。」(12頁6?9行)
キ.「第8図には、本考案に係る封止構造を採用した第二実施例に係る制御基板収納ボックス(20)の斜視図が示してある。この制御基板収納ボックス(20)における基本的構成は上述した第一実施例の場合と同様であるが、両者の違いは、この第二実施例において、延出部(25)を支持板(21)の端部にてこれから直角かつ部分的に延出したものとするとともに、これに伴なってボックス本体(22)の該当する部分に延出部(25)が入る得る凹所(27)を形成した点である。なお、この実施例にあっては、図示上側に位置する延出部(25)に対応するボックス本体(22)には必要がないため、凹所(27)は形成していない。」(12頁11行?13頁5行)
ク.「また、延出部(25)はボックス本体(22)の外側に密着するか、あるいはボックス本体(22)に形成した凹所(27)内に収納されているから、支持板(21)から延出して形成した延出部(25)とボックス本体(22)間には封印シール(30)を貼付するための場所が確保されているから、これらの各延出部(25)上とその近傍に位置するボックス本体(22)の一部間にまたがった状態で封印シール(30)を貼付することができるのである。」(13頁13行?14頁3行)

摘記した上記の記載及び図面の記載によれば、甲5には、
「 ボックス本体(22)と支持板(21)とからなり、前記支持板(21)には制御基板(23)が取付けられ、前記ボックス本体(22)は前記支持板(21)を覆蓋するためのものである制御基板収納ボックス(20)において、
前記ボックス本体(22)の対向する2つの側面各々に凹所(27)を形成し、
前記支持板(21)には、内面側に前記制御基板(23)を取付けるための突起、端部に直角かつ部分的に延出した延出部(25)を形成し、
前記制御基板収納ボックス(20)は、
前記ボックス本体(22)が前記支持板(21)に取付けられた前記制御基板(23)の記憶素子(24)等の電子部品を覆蓋するものであり、前記支持板(21)の前記延出部(25)は、前記ボックス本体(22)の前記凹所(27)内に収納されており、
前記ボックス本体(22)の一部には、前記制御基板(23)から引き出される導線を外部へ出すための開口が形成してあり、
前記延出部(25)上とその近傍に位置する前記ボックス本体(22)の一部間にまたがった状態で封印シール(30)を貼付したパチンコ機の制御基板収納ボックス(20)。」
の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)本件訂正発明1と甲5発明との対比
本件訂正発明1と甲5発明とを比較すると、甲5発明の「制御基板収納ボックス(20)」は、本件訂正発明1の「回路基板収納ケース」に相当し、以下同様に、
「ボックス本体(22)」は「第1分割体」に、
「支持板(21)」は「第2分割体」に、
「制御基板(23)」は「回路基板」に、
「封印シール(30)を貼付した」は「封印部材で封印した」に、
「パチンコ機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。

また、甲5全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.甲5発明は、支持板(21)をボックス本体(22)で覆蓋するものであるから、支持板(21)とボックス本体(22)によってケース体が構成されるものといえる。
また、甲5発明の「制御基板収納ボックス(20)」は、内面側に制御基板(23)が取付けられた支持板(21)をボックス本体(22)で覆蓋することによって、制御基板(23)を収納しているから、本件訂正発明1の「回路基板を被覆収納する」に相当する機能を有するものということができる。

b.甲5発明の「凹所(27)」及び「延出部(25)」は「ボックス本体(22)と支持板(21)」を固着するためのものであり、本件訂正発明1の「ビス穴(127)」、「ビス穴(136)」及び「分割体固着用のビス(128)」は、「第1分割体(118)と第2分割体(132)」を固着するためのものである。
そして、甲5発明の「ボックス本体(22)」及び「支持板(21)」は、それぞれ本件訂正発明1の「第1分割体」及び「第2分割体」に相当しているので、甲5発明の「凹所(27)」及び「延出部(25)」と、本件訂正発明1の「ビス穴(127)」、「ビス穴(136)」及び「分割体固着用のビス(128)」は、「第1分割体」と「第2分割体」とを固着するための“固定用部材”である点で共通している。
また、甲5の第3図からみて、甲5発明の「突起」は制御基板(23)の一方側と他方側を固定していることが明らかであって、甲5発明の「制御基板(23)」は、本件訂正発明1の「回路基板(141)」に相当しているから、甲5発明の「突起」と、本件訂正発明1の「回路基板(141)の一方側を係止するための係止片(140)」及び「回路基板(141)の他方側をビスで止めるための取付片(139)」は、それぞれ“回路基板の一方側を固定するための基板取付部材”及び“回路基板の他方側を固定するための基板取付部材”である点で共通している。
よって、甲5発明と本件訂正発明1は、“前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々に固定用部材が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を固定するための基板取付部材と、前記回路基板の他方側を固定するための基板取付部材と、前記第1分割体の前記固定用部材各々に対応する固定用部材”とが形成されている点で共通している。

c.甲5発明においては、制御基板(23)を支持板(21)に取付けた後、ボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは明らかであり、甲5発明において、制御基板(23)を支持板(21)に取付けること及びボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは、それぞれ本件訂正発明1の「回路基板(141)を前記第2分割体(132)に固定」すること及び「前記第1分割体(118)と前記第2分割体(132)とを固着」させることに相当するから、本件訂正発明1と甲5発明は、“回路基板を第2分割体に固定した後、第1分割体と第2分割体とを固着させてなる”点で共通している。

d.甲5の第8図によれば、甲5発明の「制御基板(23)」には、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように設けられたコネクタが記載されているものと認められ、甲5発明の「制御基板(23)から引き出される導線を外部へ出すための開口」は、該コネクタの配線差し込み部分に対応する箇所に形成してあるものといえる。
そして、上記a.で述べたように、支持板(21)とボックス本体(22)によってケース体が構成されるものといえるから、甲5発明の「ボックス本体(22)の一部」は、本件訂正発明1の「ケース体」の一部に相当している。
よって、甲5発明は本件訂正発明1の「前記ケース体は、」「配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており」に相当する構成を有している。

e.甲5発明において、ボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは、本件訂正発明1の「前記第1分割体(118)と前記第2分割体(132)とだけを固着」させることに相当している。
そうすると、上記b.で述べたことを考え合わせると、“固定用部材は、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着する”点では共通している。

f.上記e.で述べたことを考慮すると、甲5発明の「延出部(25)上とその近傍に位置する前記ボックス本体(22)の一部間」と、本件訂正発明1の「分割体固着用のビス(128)各々の上面」とは、“第1分割体と第2分割体との結合部”である点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々に固定用部材が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を固定するための基板取付部材と、前記回路基板の他方側を固定するための基板取付部材と、前記第1分割体の前記固定用部材各々に対応する固定用部材とが形成され、
前記ケース体は、
前記回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、
前記固定用部材は、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体と前記第2分割体との結合部を封印部材で封印した遊技機の回路基板収納ケース。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]“固定用部材”に関して、本件訂正発明1では第1分割体に形成された「ビス穴」及び第2分割体に形成された「前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴」であるのに対し、甲5発明ではボックス本体(22)に形成した「凹所(27)」及び支持板(21)に形成した「延出部(25)」である点。

[相違点2]“基板取付部材”に関して、本件訂正発明1では「前記回路基板の一方側を係止するための係止片」及び「前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片」であるのに対し、甲5発明では「突起」である点。

[相違点3]本件訂正発明1は、第1分割体に、2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、かつ、第2分割体には、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片が形成されているのに対し、甲5発明はそのような構成を備えていない点。

[相違点4]“回路基板を第2分割体に固定”することに関して、本件訂正発明1は「前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止める」のに対し、甲5発明は支持板(21)の内面側に形成した突起に制御基板(23)を取付ける点。

[相違点5]“第1分割体と第2分割体とだけを固着”させることに関して、本件訂正発明1は「前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込む」ものであり、かつ、「前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ」るのに対し、甲5発明は、支持板(21)の延出部(25)がボックス本体(22)の凹所(27)内に収納されるものである点。

[相違点6]本件訂正発明1では、「ケース体」が「前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し」ているのに対し、甲5発明は、該「側壁」に相当する構成を有していない点。

[相違点7]本件訂正発明1の「回路基板収納ケース」は、「長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ」ている「前記開口を覆うためのカバー部材を備え」ているのに対し、甲5発明は、開口を覆うためのカバー部材を備えていない点。

[相違点8]本件訂正発明1は、分割体固着用のビスがねじ込まれ、第1分割体のビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したものであるのに対して、甲5発明は、支持板(21)の延出部(25)上とその近傍に位置するボックス本体(22)の一部間にまたがった状態で封印シール(30)を貼付したものであって、前記延出部(25)上にビスをねじ込み、該ビスの上面に前記封印シール(30)を貼付したものではない点。

(3)本件訂正発明1と甲5発明の相違点についての判断
[相違点1、3及び5について]
相違点1、3及び5は、いずれも第1分割体と第2分割体との固着に関するものであって密接に関連しているので、合わせて検討する。
甲8(実願昭58-42480号(実開昭59-149664号)のマイクロフィルム)には、電子部品等を実装した配線基板を覆う筐体装置において、筐体装置が配線基板1を支持する容器部2と、この容器部2の開口部を閉塞する蓋部3とから成る点、前記蓋部3の4つの側壁21?24のうち、1つの側壁21に2つの透孔25が形成され、当該側壁21に対向する側壁22に係合片27a?27cが形成される点、前記容器部2には、前記蓋部3の前記透孔25に対応する2つのねじ孔10と、前記蓋部3の前記係合片27a?27cに対応する係合孔17a?17cが形成される点、及び前記容器部2の係合孔17a?17cに前記蓋部3の前記係合片27a?27cを差し込んで係合させ、前記蓋部3の前記透孔25毎に対応する前記容器部2の前記ねじ孔10を重ね合わせ、該重ね合わせた前記蓋部3の前記透孔25から前記容器部2の前記ねじ孔10へねじ39をねじ込むことにより、前記蓋部3と前記容器部2とを固着させてなる点(以下「甲8記載事項1」という。)が記載されている(特に、明細書2頁下から3行?3頁下から4行、4頁4?16行、6頁5?14行及び第1、2図を参照)。
そして、甲8記載事項1の「蓋部3」、「4つの側壁21?24」、「透孔25」、「容器部2」及び「ねじ孔10」は、それぞれ本件訂正発明1の「第1分割体」、「四方側面」、「ビス穴(127)」、「第2分割体」、「ビス穴(136)」に相当し、甲8記載事項1における「蓋部3」と「容器部2」に「係合片27a?27c」と「係合孔17a?17c」が形成され「係合片27a?27c」を「係合孔17a?17c」に「差し込んで係合させ、前記蓋部3の前記透孔25毎に対応する前記容器部2の前記ねじ孔10を重ね合わせ、該重ね合わせた前記蓋部3の前記透孔25から前記容器部2の前記ねじ孔10へねじ39をねじ込むことにより、前記蓋部3と前記容器部2とを固着」することは、本件訂正発明1における「第1分割体」と「第2分割体」に「係合穴」と「係合片」が形成され、「係合片」を「係合穴」に「差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着」することに相当している。
しかし、本件訂正発明1においては、第1分割体のビス穴が対向する2つの側面各々に形成されるとともに、第1分割体の係合穴が前記2つの側面各々と直交する一方側の側面に形成されているのに対し、甲8記載事項1においては、蓋部3の透孔25は1つの側壁21に2つ形成されるとともに、蓋部3の係合片27a?27cは、前記側壁21に対向する側壁22に形成されている。
よって、甲8記載事項1の構成を甲5発明に適用しても、本件訂正発明1の相違点1、3及び5に係る構成には至らない。
また、甲6及び甲7には、本件訂正発明1の「第1分割体(118)」と「第2分割体(132)」に相当する部材(甲6においては「被覆カバー63」と「固定カバー51」、甲7においては「上蓋55a」と「下蓋55b」)を、分割体固着用のビスに相当する部材(甲6においては「ビス78、79」、甲7においては「取付ビス62」)で固定する点は示されているものの、相違点3及び5に係る構成、すなわち第1分割体の一方側の側面に係合穴が形成され、かつ、第2分割体に該係合穴に対応する係合片が形成され、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、分割体固着用のビスをねじ込んで第1分割体と第2分割体とだけを固着させる点は、何ら開示されていない。
さらに、本件訂正発明1の相違点1、3及び5に係る構成によれば、分割体固着用のビスが対向する2つの側面にねじ込まれるので、1つの側壁21にねじ39がねじ込まれる甲8記載事項1の構成よりも、不正がしにくいという効果がある。
したがって、相違点1、3及び5に係る本件訂正発明1の構成は、甲5発明及び甲6?8等に記載された事項から当業者が容易に想到できたものではない。
請求人は、甲8の係合片27a?27cを第1図に示す状態から容器部2の底板4と平行に折り曲げ、係合孔17a?17cは側壁21と平行方向に伸びるように変更すれば、係合片27a?27cの差し込み方向がねじ39のねじ込み方向と直交することは明白であると主張しているが、そのように変更しても、ねじ39を対向する2つの側壁にねじ込む構成とはならないので当を得ない。
また、請求人が示した参考資料(特開昭57-188898号公報)にも、本件訂正発明1の第1分割体又は第2分割体に相当すると考えられる蓋体6、蓋体7、シャーシ11又はパネル21のいずれにおいても、本件訂正発明1における、ビス穴が対向する2つの側面各々に形成されるとともに、係合穴が前記2つの側面各々と直交する一方側の側面に形成されるという構成を見出すことはできない。

[相違点2及び4について]
相違点2及び4は、いずれも回路基板の固定に関するものであって密接に関連しているので、合わせて検討する。
甲5の8頁9?14行には、上記(1)の摘記事項イ.のとおり、「支持板(21)の内面側には当該制御基板収納ボックス(20)内に収納される制御基板(23)のための突起が形成してあり、第5図に示すように、この突起に記憶素子(24)等の電子部品を搭載した制御基板(23)が取付けられる。」と記載されているが、突起に制御基板(23)がどのように取付けられるのかについては、第5図等を参酌しても不明である。
しかし、甲6(特開昭64-17677号公報)の5頁右上欄9行?同頁左下欄1行には、「制御回路基板71の四隅には前記固定ピン54a?54c及びアース用ピン56に螺着されるネジ76が貫通する止着穴75a?75dが穿設されている。
以上、詳述した保護カバー50を組み立てるには、まず、固定カバー51の係合穴55a?55cに固定ピン54a?54cを嵌入し、その後、制御回路基板71の止着穴75a?75cを固定ピン54a?54cに嵌入して、制御回路基板71を固定カバー51に固定する。この時、止着穴75dにはネジ76を貫通させてアース用ピン56のネジ穴56aに螺着させ、制御回路基板71を固定カバー51に固定する。」と記載されている。
この記載や第1図等からみて、甲6には、「固定カバー51には、固定ピン54a?54cと、アース用ピン56が突設され、制御回路基板71の四隅には止着穴75a?75dが穿設され、前記固定ピン54a?54cに前記制御回路基板71の止着穴75a?75cを嵌入し、前記アース用ピン56のネジ穴56aに前記制御回路基板71の止着穴75dからネジ76を貫通させて螺着させて、前記制御回路基板71を前記固定カバー51に固定する遊技機における制御回路基板の保護カバー。」(以下「甲6発明」という。)が記載されているものと認められる。
そして、甲6発明の「固定カバー51」、「固定ピン54a?54c」、「アース用ピン56」、「制御回路基板71」及び「ネジ76」は、本件訂正発明1の「第2分割体」、「係止片」、「取付片」、「回路基板」及び「基板固定用のビス」に相当しているから、甲6発明において「前記固定ピン54a?54cに前記制御回路基板71の止着穴75a?75cを嵌入し、前記アース用ピン56のネジ穴56aに前記制御回路基板71の止着穴75dからネジ76を貫通させて螺着させて、前記制御回路基板71を前記固定カバー51に固定する」ことと、本件訂正発明1において「前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定」することとは、“前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の一部を係止し、前記回路基板の一部以外の部分を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定する”点で共通している。
さらに、2つの部材(部材Aと部材B)を固定するときに、部材Aの一方側を部材Bに係止し、部材Aの他方側を部材Bにビスで止めることは、従来例を挙げるまでもなく一般に広く行われているから、甲5発明に甲6発明を適用するとともに、甲5発明の一方側の「突起」を甲6発明の「固定ピン54」に、他方側の「突起」を甲6発明の「アース用ピン56」として、上記相違点2及び4に係る本件訂正発明1のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点6について]
甲7(実願昭60-155134号(実開昭62-64579号)のマイクロフィルム)の第13図及び明細書4頁13行?5頁3行によれば、従来の基板ボックスが、回路基板側の接続端子80の三方を取り巻いて差し込み方向に沿って延びる側壁を有していること(以下「甲7記載の従来技術1」という。)が分かる。
そして、甲7記載の「回路基板側の接続端子80」は、本件訂正発明1の「回路基板に設けられたコネクタ」に相当し、一次審決書の第二.5.(1)で述べたと同様に、訂正後の請求項1の「取り囲んで」は、「三方を取り巻いて」という意味であると解釈されるから、甲5発明に甲7記載の従来技術1を適用し、甲5発明において「支持板(21)」と「ボックス本体(22)」を組み合わせたときに、導線を外部へ出すための開口の三方を取り巻いて導線が出て行く方向に沿って延びる側壁が形成されるようにして、上記相違点6に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点7について]
甲7の第12図及び明細書4頁15行?5頁5行によれば、従来の基板ボックスに、回路基板側の接続端子80及び接続端子81,82をカバーする端子カバー89が設けられていること及び該端子カバー89の長手方向の一方端から接続配線83,84が引き出されていること(以下「甲7記載の従来技術2」という。)が分かる。
また、接続端子のカバーにおいて、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成され、壁のない他方端から接続端子に接続された配線を箱体の外部へ引き出し可能となるようにすることは、例えば、実願昭62-17893号(実開昭63-127221号)のマイクロフィルム(特に、第1図及び明細書2頁下から5行?同6頁3行)及び実願昭56-157878号(実開昭58-63825号)のマイクロフィルム(特に、第3、4図及び明細書3頁下から2行?同4頁6行)に記載されるように、従来周知の技術(以下「周知技術」という。)であるとともに、カバー部材の一部がカバーする対象物の側壁部に重なるようにすることは、従来一般にごく普通に行われていることであるから、甲5発明に甲7記載の従来技術2及び周知技術を適用し、甲5発明において「開口」を長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成された端子カバーで覆い、壁のない他方端から導線を制御基板収納ボックス(20)の外部へ引き出し可能となるようにするとともに、端子カバーの一部が開口周辺の側壁部に重なるようにして、上記相違点7に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点8について]
甲5に記載されている実施例1においては、上記(1)の摘記事項オ.や第6、7図等から分かるように、支持板(21)とボックス本体(22)とをネジで固定した後、ネジ止め穴(26)すなわちネジの上面を封印シール(30)によって覆うことが記載され、また、上記(1)の摘記事項ウ.及びカ.等から分かるように、制御基板収納ボックス(20)と玉寄せ板(11)との固定ネジ穴を延出部(25)に設けない場合、すなわち支持板(21)とボックス本体(22)のみをネジ止めして工場で封印すること(以下「甲5記載の技術」という。)についても記載されている。
そして、甲5の第9図から、延出部(25)をボックス本体(22)の凹所(27)内に収納した状態において、「延出部(25)」と「ボックス本体(22)」の側面は平らな面となっており、その平らな面を封印シール(30)によって覆っていることが見てとれるから、甲5発明に甲5記載の技術を適用し、「延出部(25)」と「ボックス本体(22)」をネジ止めした後、そのネジの上面を封印シール(30)によって覆うようにして、上記相違点8に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

以上のとおりであるから、相違点1、3及び5に係る本件訂正発明1の構成は、甲5発明及び甲6?8等に記載された事項から当業者が容易に想到できたものではなく、該構成により、訂正前明細書等の段落【0059】に記載されている「第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができる」及び同段落【0042】に記載されている「両方のビス128a,128bの上から封印紙129を貼付することにより、不正に制御回路を改造できない」という格別の効果を奏する。
よって、本件訂正発明1は、甲5?8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(4)本件訂正発明2と甲5発明との対比
次に、本件訂正発明2と甲5発明とを比較すると、甲5発明の「制御基板収納ボックス(20)」は、本件訂正発明2の「回路基板収納ケース」に相当し、以下同様に、
「ボックス本体(22)」は「第1分割体」に、
「支持板(21)」は「第2分割体」に、
「制御基板(23)」は「回路基板」に、
「封印シール(30)を貼付した」は「封印部材で封印した」に、
「パチンコ機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。

また、甲5全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.甲5発明は、支持板(21)をボックス本体(22)で覆蓋するものであるから、支持板(21)とボックス本体(22)によってケース体が構成されるものといえる。
また、甲5発明の「制御基板収納ボックス(20)」は、内面側に制御基板(23)が取付けられた支持板(21)をボックス本体(22)で覆蓋することによって、制御基板(23)を収納しているから、本件訂正発明2の「回路基板を被覆収納する」に相当する機能を有するものということができる。

b.甲5発明の「凹所(27)」及び「延出部(25)」は「ボックス本体(22)と支持板(21)」を固着するためのものであり、本件訂正発明2の「ビス穴(127)」、「ビス穴(136)」及び「分割体固着用のビス(128)」は、「第1分割体(118)と第2分割体(132)」を固着するためのものである。
そして、甲5発明の「ボックス本体(22)」及び「支持板(21)」は、それぞれ本件訂正発明2の「第1分割体」及び「第2分割体」に相当しているので、甲5発明の「凹所(27)」及び「延出部(25)」と、本件訂正発明2の「ビス穴(127)」、「ビス穴(136)」及び「分割体固着用のビス(128)」は、「第1分割体」と「第2分割体」とを固着するための“固定用部材”である点で共通している。
また、甲5の第3図からみて、甲5発明の「突起」は制御基板(23)の一方側と他方側を固定していることが明らかであって、甲5発明の「制御基板(23)」は、本件訂正発明2の「回路基板(141)」に相当しているから、甲5発明の「突起」と、本件訂正発明2の「回路基板(141)の一方側を係止するための係止片(140)」及び「回路基板(141)の他方側をビスで止めるための取付片(139)」は、それぞれ“回路基板の一方側を固定するための基板取付部材”及び“回路基板の他方側を固定するための基板取付部材”である点で共通している。
よって、甲5発明と本件訂正発明2は、“前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々に固定用部材が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を固定するための基板取付部材と、前記回路基板の他方側を固定するための基板取付部材と、前記第1分割体の前記固定用部材各々に対応する固定用部材”とが形成されている点で共通している。

c.甲5発明においては、制御基板(23)を支持板(21)に取付けた後、ボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは明らかであり、甲5発明において、制御基板(23)を支持板(21)に取付けること及びボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは、それぞれ本件訂正発明2の「回路基板(141)を前記第2分割体(132)に固定」すること及び「前記第1分割体(118)と前記第2分割体(132)とを固着」させることに相当するから、本件訂正発明2と甲5発明は、“回路基板を第2分割体に固定した後、第1分割体と第2分割体とを固着させてなる”点で共通している。

d.甲5の第8図によれば、甲5発明の「制御基板(23)」には、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように設けられたコネクタが記載されているものと認められ、甲5発明の「制御基板(23)から引き出される導線を外部へ出すための開口」は、ボックス本体(22)の一方側の側面に沿った方向に延在するように、該コネクタの配線差し込み部分に対応する箇所に形成してあるものといえる。
そして、上記a.で述べたように、支持板(21)とボックス本体(22)によってケース体が構成されるものといえるから、甲5発明の「ボックス本体(22)の一部」は、本件訂正発明2の「ケース体」の一部に相当している。
よって、甲5発明は本件訂正発明2の「前記ケース体は、」「配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板に設けられたコネクタであって前記ケース体の一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており」に相当する構成を有している。

e.甲5発明において、ボックス本体(22)の凹所(27)内に前記支持板(21)の延出部(25)を収納させることは、本件訂正発明2の「前記第1分割体(118)と前記第2分割体(132)とだけを固着」させることに相当している。
そうすると、上記b.で述べたことを考え合わせると、“固定用部材は、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着する”点では共通している。

f.上記e.で述べたことを考慮すると、甲5発明の「延出部(25)上とその近傍に位置する前記ボックス本体(22)の一部間」と、本件訂正発明2の「分割体固着用のビス(128)各々の上面」とは、“第1分割体と第2分割体との結合部”である点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々に固定用部材が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を固定するための基板取付部材と、前記回路基板の他方側を固定するための基板取付部材と、前記第1分割体の前記固定用部材各々に対応する固定用部材とが形成され、
前記ケース体は、
前記回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタであって前記ケース体の前記一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、
前記固定用部材は、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体と前記第2分割体との結合部を封印部材で封印した遊技機の回路基板収納ケース。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点A]“固定用部材”に関して、本件訂正発明2では第1分割体に形成された「ビス穴」及び第2分割体に形成された「前記係止片が形成されている側に前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴」であるのに対し、甲5発明ではボックス本体(22)に形成した「凹所(27)」及び支持板(21)に形成した「延出部(25)」である点。

[相違点B]“基板取付部材”に関して、本件訂正発明2では「前記回路基板の一方側を係止するための係止片」及び「前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片」であるのに対し、甲5発明では「突起」である点。

[相違点C]本件訂正発明2は、第1分割体に、2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、かつ、第2分割体には、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片が形成されているのに対し、甲5発明はそのような構成を備えていない点。

[相違点D]“回路基板を第2分割体に固定”することに関して、本件訂正発明2は「前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止める」のに対し、甲5発明は支持板(21)の内面側に形成した突起に制御基板(23)を取付ける点。

[相違点E]“第1分割体と第2分割体とだけを固着”させることに関して、本件訂正発明2は「前記基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込む」ものであり、かつ、「前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ」るのに対し、甲5発明は、支持板(21)の延出部(25)がボックス本体(22)の凹所(27)内に収納されるものである点。

[相違点F]本件訂正発明2の「回路基板収納ケース」は、「長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、前記開口部分に設けられ」ている「前記開口を覆うためのカバー部材を備え」ているのに対し、甲5発明は、開口を覆うためのカバー部材を備えていない点。

[相違点G]本件訂正発明2は、分割体固着用のビスがねじ込まれ、第1分割体のビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したものであるのに対して、甲5発明は、支持板(21)の延出部(25)上とその近傍に位置するボックス本体(22)の一部間にまたがった状態で封印シール(30)を貼付したものであって、前記延出部(25)上にビスをねじ込み、該ビスの上面に前記封印シール(30)を貼付したものではない点。

(5)本件訂正発明2と甲5発明の相違点についての判断
[相違点A、C及びEについて]
相違点A、C及びEは、いずれも第1分割体と第2分割体との固着に関するものであって密接に関連しているので、合わせて検討する。
相違点Aは、上記(2)に記載した相違点1に、第2分割体に形成された「前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴」について、「前記係止片が形成されている側に」という構成要件を付加したものである。
また、相違点Cは、上記(2)に記載した相違点3に、第2分割体に形成されている「前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片」について、「前記取付片が形成されている側に」という構成要件を付加したものである。
さらに、相違点Eは、上記(2)に記載した相違点5に、係合片を係合穴に差し込んで係合させる位置について、「前記基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において」という構成要件を付加し、第1分割体のビス穴毎に、対応する第2分割体のビス穴を重ね合わせる位置について、「前記ケース体の他方側において」という構成要件を付加するとともに、分割体固着用のビスがねじ込まれる向きについて、「回路基板収納空間方向に向けて」という構成要件を省いたものである。
そして、本件訂正発明1と甲5発明の相違点1、3及び5は、上記(3)の[相違点1、3及び5]の項に記載したとおり、分割体固着用のビスがねじ込まれる向きを「回路基板収納空間方向に向けて」とする点とは関係なく、「第1分割体のビス穴が対向する2つの側面各々に形成されるとともに、第1分割体の係合穴が前記2つの側面各々と直交する一方側の側面に形成されている」点で進歩性がある。
そうすると、上記相違点A、C及びEと相違点1、3及び5の関係から、相違点A、C及びEについても、「第1分割体のビス穴が対向する2つの側面各々に形成されるとともに、第1分割体の係合穴が前記2つの側面各々と直交する一方側の側面に形成されている」点で進歩性があるといえる。
よって、相違点A、C及びEに係る本件訂正発明2の構成は、甲5発明及び甲6?8等に記載された事項から当業者が容易に想到できたものではない。

[相違点B及びDについて]
相違点B及びDは、いずれも回路基板の固定に関するものであって密接に関連しているので、合わせて検討する。
相違点B及びDは、それぞれ上記(2)に記載した相違点2及び4と同一であるから、上記(3)の[相違点2及び4について]の項に記載したと同じ理由により、甲5発明に甲6発明を適用するとともに、甲5発明の一方側の「突起」を甲6発明の「固定ピン54」に、他方側の「突起」を甲6発明の「アース用ピン56」として、相違点B及びDに係る本件訂正発明2のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点Fについて]
相違点Fは、上記(2)に記載した相違点7から「かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように」という構成要件を省いたものである。
そうすると、該構成要件を付加した相違点7が、上記(3)に記載したとおり、甲5発明に甲7記載の従来技術2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、相違点Fも、同様の理由により、甲5発明に甲7記載の従来技術2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点Gについて]
相違点Gは、上記(2)に記載した相違点8と同一であるから、上記(3)の[相違点8について]の項に記載したと同じ理由により、甲5発明に甲5記載の技術を適用し、「延出部(25)」と「ボックス本体(22)」をネジ止めした後、そのネジの上面を封印シール(30)によって覆うようにして、上記相違点Gに係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

(6)まとめ
以上のとおり、相違点1、3及び5に係る本件訂正発明1の構成並びに相違点A、C及びEに係る本件訂正発明2の構成は、甲5発明及び甲6?8等に記載された事項から当業者が容易に想到できたものではなく、該構成により、訂正前明細書等の段落【0059】に記載されている「第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができる」及び同段落【0042】に記載されている「両方のビス128a,128bの上から封印紙129を貼付することにより、不正に制御回路を改造できない」という格別の効果を奏する。
よって、本件訂正発明1及び2は、甲5?8等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第五.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件訂正発明1及び2の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機の回路基板収納ケース
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片と、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、かつ、前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ、
前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したことを特徴とする遊技機の回路基板収納ケース。
【請求項2】第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、
前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、
前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片とが形成されるとともに、前記係止片が形成されている側に前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、
前記ケース体は、
前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、当該基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、
配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタであって前記ケース体の前記一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、
前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、
前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように前記開口部分に設けられ、
前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、
前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材で封印したことを特徴とする遊技機の回路基板収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、第1分割体と第2分割体とから構成されるケース体によって回路基板を被覆収納する遊技機の回路基板収納ケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、主として遊技盤に設けられる電気的遊技装置、例えば、可変表示装置、可変入賞球装置、入賞球装置内の可動装置、及びランプ、スピーカー等の動作を制御する遊技装置制御回路が構成される回路基板は、該回路基板を固定する平板状の第2分割体と、該第2分割体に適宜の固着手段(例えば、ビス等)で固着される箱枠状の第1分割体とによって被覆されている。そして、その被覆状態を担保するために第1分割体と第2分割体との間に掛け渡されるように封印部材(例えば、封印紙)を貼付することが一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1分割体と第2分割体とを掛け渡している封印紙を極めて鋭利なカッターナイフ等で切断して、回路基板に不正な工作をした後に、再度第1分割体と第2分割体とを組み付けたときには、封印紙の切断箇所がきれいに一致して切断されたか否かが見分けにくいという問題があった。
【0004】
この発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、回路基板を被覆する第1分割体と第2分割体との被覆状態を解除されたか否かを封印部材の状態を見ることにより簡単に見分けることができる遊技機の回路基板収納ケースを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明が採用した具体的な解決手段について図面を参照して説明する。図8に示すように、第1分割体118と第2分割体132とから構成されるケース体によって回路基板141を被覆収納する回路基板収納ケース110において、前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片と、前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、前記ケース体は、前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、かつ、前記コネクタを取り囲んで前記差し込み方向に沿って延びるように当該ケース体を成形させてなる側壁を有し、前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように、かつ、前記側壁の厚み方向においてその一部が前記側壁と重なるように前記開口部分に設けられ、前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向であって回路基板収納空間方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体118と第2分割体132とだけを固着し、前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材としての封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132とを分離するためには、必ず分割体固着用のビスを緩めなければならず、このためには、封印部材としての封印紙129が必ず破損することとなるので、回路基板141を被覆する第1分割体118と第2分割体132との被覆状態を解除されたか否かを封印部材としての封印紙129の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。
【0006】
また、前記第1分割体の四方側面のうち、対向する2つの側面各々にビス穴が形成され、当該2つの側面各々と直交する一方側の側面に係合穴が形成され、前記第2分割体には、前記回路基板の一方側を係止するための係止片と、前記回路基板の他方側をビスで止めるための取付片とが形成されるとともに、前記係止片が形成されている側に前記第1分割体の前記ビス穴各々に対応するビス穴と、前記取付片が形成されている側に前記第1分割体の前記係合穴に対応する係合片とが形成され、前記ケース体は、前記第2分割体の前記係止片によって前記回路基板の前記一方側を係止し、前記回路基板の前記他方側を前記第2分割体の前記取付片に対し基板固定用のビスで止めることにより当該回路基板を前記第2分割体に固定した後、当該基板固定用のビスで止める側と同じ側である当該ケース体の一方側において前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込んで係合させ、前記ケース体の他方側において前記第1分割体の前記ビス穴毎に、対応する前記第2分割体の前記ビス穴を重ね合わせ、該重ね合わせた前記第1分割体の前記ビス穴から前記第2分割体のビス穴へ分割体固着用のビスをねじ込むことにより、前記第1分割体と前記第2分割体とを固着させてなり、配線の差し込み方向が基板面に対して垂直方向となるように前記回路基板の前記他方側に設けられたコネクタであって前記ケース体の前記一方側の側面に沿った方向に延在するように前記回路基板に設けられたコネクタの配線差し込み部分に対応する箇所が開口しており、前記回路基板収納ケースは、前記開口を覆うためのカバー部材を備え、前記カバー部材は、長手方向両端のうち一方端のみに壁が形成されており、他方端から前記コネクタに接続された配線を前記ケース体の外部へ引き出し可能となるように前記開口部分に設けられ、前記分割体固着用のビスは、各々、前記第2分割体の前記係合片を前記第1分割体の前記係合穴に差し込む方向に対して垂直となる方向に向けてねじ込まれ、前記第1分割体と前記第2分割体とだけを固着し、前記第1分割体の前記2つの側面は各々平らであり、前記第1分割体の前記ビス穴を覆うように前記第1分割体の平らな前記2つの側面各々に封印部材を貼付することにより、前記分割体固着用のビス各々の上面を当該封印部材としての封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132との組付けを容易に行うことができると共に封印紙129の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。まず、図1ないし図3を参照して、この実施形態が適用される遊技機の一例としてのパチンコ遊技機について説明する。図1は、パチンコ遊技機の正面図であり、図2は、パチンコ遊技機の背面概略図であり、図3は、機構板を開放して遊技盤を取り外した状態を示す背面斜視図である。
【0008】
図において、パチンコ遊技機1の外枠2には、額縁状の前面枠3が開閉自在に軸支され、該前面枠3には、扉保持枠4が周設され、該扉保持枠4には、ガラス板5a,5b(図10参照)を有するガラス扉枠5及び前面扉板6が一側を軸支されて開閉自在に取り付けられている。ガラス扉枠5の後方であって、前記前面枠3の裏面の遊技盤保持枠42(図3参照)には、遊技盤12が取付部材43a?43c及び固定部材44によって着脱自在に設けられている。また、前面扉板6の表面には、排出された景品玉を貯留し、かつ打玉を発射位置に一個宛供給する打球供給皿7が固定されている。打球供給皿7の上流側には、後述する景品玉払出装置90から払出された景品玉が流出する景品玉出口8が形成されるとともに、その下方の内部空間には、遊技に関連する効果音を発生するスピーカー9が内蔵されている。また、前面扉板6の裏面であって前記打球供給皿7の下流側には、発射位置に打玉を1個づつ供給する打球供給装置7a(図10参照)が取付けられている。
【0009】
前記前面枠3の下方部には、打球発射機構の一部を構成する操作ハンドル11や、前記打球供給皿7に貯留しきれなかった景品玉を貯留するための余剰玉受皿10が設けられている。このうち、前記操作ハンドル11に対応するように前記前面枠3の裏面には、図2に示すように打球発射装置85が取り付けられている。打球発射装置85は、取付基板86に集約して設けられ、駆動源としての打球モータ87と、該打球モータ87の回転により往復回動して打玉を弾発する打球杆88と、該打球杆88の往復回動に連動して上下動し、打球供給装置7aの玉送り部材を動作させる玉送り摺動杆89とから構成されている。
【0010】
前記遊技盤12の表面には、発射された打玉を誘導するための打玉誘導レール13aと、該打玉誘導レール13aによって誘導された打玉が落下するための遊技領域14を区画する遊技領域形成レール13bがほぼ円状に植立されている。遊技領域14のほぼ中央には、複数のドラム状の可変表示部16a?16cを有する可変表示装置15が設けられている。可変表示装置15には、後述する開閉板22の開成回数を表示する開成回数表示器18が設けられるとともに、該開成回数表示器18の左右に前記可変表示部16a?16cが可変表示中あるいは開閉板22が開成中に後述する始動入賞口26a?26cに打玉が入賞して記憶したことを表示(最高4個まで)する始動入賞記憶表示器17が設けられている。更に、可変表示装置15の最上部には、通常の入賞口19も設けられている。なお、前記可変表示部16a?16cは、それぞれに対応するドラム駆動モータ192a?192c(図示せず;図11の回路図に表示)によって可変表示され、その停止時の表示態様は、ドラム位置検出器191a?191c(図示せず;図11の回路図に表示)によって検出される。
【0011】
前記可変表示装置15の下方に入賞空間21を有する可変入賞球装置20が設けられている。入賞空間21は、遊技盤12の表面に対して下端を軸にして開放自在な開閉板22によって覆われており、その内部が中央の特定入賞口23と左右の通常入賞口24a,24bとの3つに区画されている。そして、可変入賞球装置20の開閉板22は、前記可変表示装置15の可変表示部16a?16cの識別情報の組み合せが所定の特定表示状態となったときに、特定遊技状態となり、所定期間(例えば、20秒経過するまで、あるいは10個の入賞玉が発生するまで)開放するように設定され、その開放している間中遊技領域14を落下する打玉を受止めるようになっている。そして、入賞空間21内に設けられた特定入賞口23に入賞すると、再度上記した開放状態を繰り返し、特定入賞口23に入賞玉が発生することを条件として最高10回繰り返すことができるようになっている。また、入賞空間21の下方には、開閉板22の1回の開放中に入賞した入賞玉数を表示する入賞個数表示器25が設けられている。また、前記開閉板22は、図2に示すようにソレノイド37によって駆動され、前記特定入賞口23には、特定入賞玉検出器38が設けられて打玉を検出するようになっている。更に、可変入賞球装置20の入賞空間21に入賞した全ての打玉を検出するために入賞個数検出器39も設けられている。
【0012】
また、可変入賞球装置20の下方には、前記可変表示部16a?16cの可変表示を許容する始動入賞口26a?26cが設けられている。この始動入賞口26a?26cのうち真ん中に設けられる始動入賞口26aに打玉が入賞すると、それによって払出される景品玉数は、他の入賞領域に打玉が入賞した際に払出される景品玉数よりも少なくなるように設定されている。また、始動入賞口26a?26cには、図2に示すように始動入賞玉検出器40a?40cが一体的に設けられ、始動入賞口26a?26cに入賞した打玉を検出している。しかして、一般的に上記した始動入賞口26a?26cのうち中央の始動入賞口26aに打玉が一番入賞し易く、次いで、左側の始動入賞口26bに打玉が入賞し易く、右側の始動入賞口26cが一番入賞し難い位置となっている。これは、遊技盤12のセンターラインに大型の入賞球装置が配置されるのが一般的であるため、そのセンターの入賞球装置に打玉が誘導されるように障害釘等が植立されるためである。したがって、一番入賞し易い中央の始動入賞口26aに入賞した打玉によって払出される景品玉数だけを他の入賞口に入賞した打玉によって払出される景品玉数よりも少なくなるように設定している。
【0013】
更に、遊技領域14には、前記可変表示装置15の左右側方及び下部側方に通常入賞口27a,27b、28a,28bが設けられている。
【0014】
なお、この実施形態では、始動入賞口26aに打玉が入賞した場合には、7個の景品玉が払出され、他の入賞領域に打玉が入賞した場合には、13個の景品玉が払出されるようになっている。もちろん、始動入賞口26aに入賞する確率に応じてこれらの払出される景品玉数の設定を変えることは差し支えない。
【0015】
また、遊技領域14には、落下する打玉の流下速度や方向を変化せしめる風車や多数の障害釘が設けられるとともに、前記した特定遊技状態になったときに点灯又は点滅して遊技者にその旨を報知する遊技効果ランプ30a,30bが設けられている。この遊技効果ランプ30a,30bと同じ効果を奏するものとして前記前面枠3の上部に設けられる枠ランプ31a,31bがある。なお、これらにランプ類は、特定遊技状態となったときだけでなく、前記可変表示装置15が動作しているときにも異なる態様で点灯、あるいは点滅して遊技の雰囲気を盛り上げるようになっている。更に、遊技領域14の最下方には、上記したいずれの入賞領域にも入賞しなかった打玉が遊技盤12の後方に導かれるアウト口29が設けられている。
【0016】
また、遊技領域14の外側であって、遊技盤12の一側(図示左側)上部には、後述する玉整列樋62上に景品玉が不足してきたことを報知する玉切れ表示ランプ33と1個の入賞玉に対応する景品玉が払出されたことを報知する払出表示ランプ32とが設けられ、他側上部(図示右側)には、未払いの景品玉数を表示する払出未処理玉数表示器34が設けられている。
【0017】
次に、図2を参照してパチンコ遊技機1の背面の構造について説明する。前記遊技盤12の裏面には、前記各入賞領域に入賞した入賞玉を左右に振分けながら下方に誘導する誘導径路が形成された入賞玉集合カバー体35a,35bが固定されている。この入賞玉集合カバー体35a,35bは、上下2つに分割されて固定されるが、上部の入賞玉集合カバー体35aのほぼ中央には、前記可変表示装置15の駆動機構を収納する駆動部収納ボックスが後方に突出するように開口が開設され、更に、その下方には、可変入賞球装置20の開閉板22を開閉駆動するためのソレノイド37が固定されている。なお、可変入賞球装置20の裏側には、前記特定入賞口23に打玉が入賞したことを検出する特定入賞玉検出器38や、前記入賞空間21に入賞した入賞玉を計数するための入賞個数検出器39も設けられている。また、前記入賞玉集合カバー体35aの裏面上部には、遊技盤12に設けられる前記したスイッチやランプ及び駆動源等から延びる配線を中継する中継端子基板36が取り付けられている。
【0018】
また、前記中央の始動入賞口26aに対応する位置に下部の入賞玉集合カバー体35bを前後方向に貫通する誘導部材41が設けられている。誘導部材41は、始動入賞口26aに入賞した打玉を入賞玉集合カバー体35bの後方へ誘導するとともに、後述する第2の入賞玉集合樋58に落下させるようになっている。
【0019】
ところで、遊技盤12は、前記したように遊技盤保持枠42によって着脱自在に保持されるが、ここで図3を参照して遊技盤保持枠42の構造について説明すると、遊技盤保持枠42は、下方の支持板部45aと該支持板部45の両端部から立上がる枠部45bとが合成樹脂によって一体的に形成され、枠部45bに形成された収容段部47に前記遊技盤12を収納するようになっている。また、枠部45bの左右には、遊技盤12の後面を押圧して遊技盤12を収容段部47に固定する取付部材43a?43cが回動自在に設けられている。なお、図示の実施形態においては、遊技盤12の下方を押圧固定するために支持板部45aの中央にも固定部材44が設けられている。また、前記収容段部47には、位置決め突起48a,48bが上下に突設され、その位置決め突起48a,48bに遊技盤12に穿設した位置決め孔51a,51bを嵌合させることにより遊技盤12の正確な取付位置を規制している。
【0020】
なお、前記支持板部45aの一側上部には、前記景品玉出口8に対応する連通口46が突設して設けられ、この連通口46に対応するように遊技盤12の一側下方が切り欠けられているので、この点からも遊技盤12の正確な取付位置が規制される。また、枠部45b及び支持板部45aの一側上下には、後述する機構板53を着脱開閉自在に軸支するための機構板軸支部材49a,49bが固定されている。更に、枠部45b及び支持板部45aの適宜位置には、機構板53に設けられる固定部材54a?54cと係合して機構板53を固定する固定具50a?50cが取付けられている。
【0021】
一方、遊技盤保持枠42に固定される遊技盤12には、前記したように位置決め孔51a,51bが穿設されるとともに、前記取付部材43a?43cに対応する位置に金属製の保護板52a?52cが取着されている。この保護板52a?52cは、取付部材43a?43cの締付け機能を長期的に保持するために設けられるものである。なお、上記実施形態における遊技盤保持枠42は、遊技盤12を収納するような構造にしたが、その構造は、遊技盤12が着脱自在に固定されるものであればどのようなものでもよく、又、機構板53も着脱自在でれば、必ずしも開閉自在でなくてもよい。
【0022】
また、パチンコ遊技機1の背面には、機構板53が開閉自在に取付けられている。この機構板53は、前記遊技盤12に設けられた入賞口からの入賞玉を処理して、その入賞玉に対応する所定個数の景品玉を排出するための各種の機構が設けられるものである。しかして、機構板53には、前記したように機構板53を閉じた状態で係止する固定部材54a?54cによって前記遊技盤保持枠42に固定支持されるようになっている。
【0023】
更に、機構板53のほぼ中央には、窓開口55が開設され、この窓開口55の下方位置の仕切壁56の前後に第1の入賞玉集合樋57と第2の入賞玉集合樋58が形成されている。第1の入賞玉集合樋57は、前記した各種の入賞口のうち始動入賞口26aを除く入賞口に入賞した入賞玉が誘導されるもので、機構板53の前面側に形成される。また、第2の入賞玉集合樋58は、始動入賞口26aだけに対応するもので、始動入賞口26aに入賞した入賞玉を誘導するものである。なお、第2の入賞玉集合樋58は、窓開口55の下縁である前記仕切壁56に沿って機構板53の後面側に形成されるものである。第1の入賞玉集合樋57及び第2の入賞玉集合樋58に誘導された入賞玉は、その流下末端に設けられる第1の入賞玉検出器59及び第2の入賞玉検出器60によってそれぞれ検出される。第1の入賞玉検出器59によって検出された検出信号は、記憶され、その検出信号数に「13」を掛けた数の景品玉が払出される。また、第2の入賞玉検出器60によって検出された検出信号も記憶され、その検出信号数に「7」を掛けた数の景品玉が払出される。
【0024】
機構板53の後面側には、パチンコ遊技機設置台の図示しない補給機構から補給される景品玉を遊技者に払い出すための各種の機構が設けられている。これらの機構について、以下説明すると、機構板53の上部には、景品玉タンク61が固定されている。この景品玉タンク61には、上記した補給機構から多量の景品玉が補給されるようになっている。
【0025】
景品玉タンク61の下方には、景品玉を整列させるための玉整列樋62が設けられている。この玉整列樋62は、景品玉が2列に整列して自然流下するように傾斜して取り付けられる。また、玉整列樋62の上流側底面には、景品玉量感知板63が揺動自在に設けられ、景品玉が載置していないときに揺動してその下方に設けられる検出器64a,64bをONさせる。検出器64aは、前記玉切れ表示ランプ33に接続されており、これが作動することにより景品玉タンク61及び玉整列樋62に景品玉が不足してきたことを遊技者に報知するようになっている。また、検出器64bは、図示しない管理コンピュータと接続され、これが作動することにより前記した図示しない補給機構から景品玉タンク61に景品玉の補給指令を行うものである。更に、景品玉量感知板63には、リンク機構65a,65bを介して打球発射位置へ打球を供給する打球供給装置7aに連動しており、これがため、景品玉量感知板63が揺動することにより打球の供給が停止され、遊技を中断するようになっている。この遊技を中断させる制御は、必ずしも必要なものではないが、この制御を行う場合、遊技の中断は、景品玉が景品玉タンク61に補給されることにより解除される。なお、パチンコ遊技機1が打ち止め状態となったときには、前記検出器64bの信号があっても景品玉の補給は、行われないようにされている。
【0026】
玉整列樋62の下流側は、2列になって流下してきた景品玉を1列に整流させるようになっているとともに、その末端に屈曲樋66が接続されるように取り付けられている。この屈曲樋66は、玉整列樋62を流下してきた景品玉の流下方向を180度転換させるとともに、連続して流下している景品玉の玉圧を弱めるためにある。また、屈曲樋66の下流側は、垂直樋67となっているが、その垂直樋67の直前の水平部分には、「く」字状に形成された玉欠乏感知レバー68が揺動自在に設けられている。この玉欠乏感知レバー68は、景品玉が載置しているときには、その後端が跳ね上げられて、その後端と当接する玉切れ検出器69のアクチュエータを押圧しているが、景品玉が欠乏すると、その後端が垂下して玉切れ検出器69のアクチュエータの押圧を解除する。そして、玉切れ検出器69のアクチュエータが押圧されない状態になると、後述する景品玉払出装置90の景品玉払出モータ103(ステッピングモータで構成される)の駆動が停止され、景品玉の払出動作が停止されるようになっている。なお、パチンコ遊技機1が打ち止め状態となった後に前記玉切れ検出器69がOFFとなったときに入賞玉の記憶がある場合、すなわち未だ払出されていない景品玉があるときには、その景品玉の払出が終了するまで景品玉タンク61に景品玉を補給するようにしてもよい。
【0027】
更に、屈曲樋66の屈曲部には、営業終了時等に景品玉タンク61及び玉整列樋62に残留している景品玉を抜出す玉抜装置70が設けられ、該玉抜装置70が作動されたときに前記屈曲部に連接するように形成された玉抜通路71を介して、景品玉がパチンコ遊技機1外に排出されるようになっている。
【0028】
屈曲樋66の下流側には、景品玉払出装置90が接続されている。景品玉払出装置90は、屈曲樋66から誘導される景品玉を1個単位で払出すもので前記第1の入賞玉検出器59及び第2の入賞玉検出器60の検出信号に基づいて、算出される景品玉を連続的に払出すようになっている。なお、景品玉払出装置90の構造については、後に詳述する。
【0029】
景品玉払出装置90から払出された景品玉は、景品玉放出通路72に排出される。景品玉放出通路72には、その下端に誘導開口73が開設され、この誘導開口73が前記打球供給皿7に連通している。また、誘導開口73の一側には、余剰玉通路75と連絡するための連絡樋74が設けられ、余剰の景品玉を余剰玉通路75に誘導するようになっている。この余剰玉通路75は、その下端が前面枠3の裏面に取付られる接続樋80に接続され、余剰の景品玉を前記余剰玉受皿10に誘導するようになっている。
【0030】
また、余剰玉通路75の一側側壁には、第1満タン感知板76が下端を中心にして揺動自在に設けられている。しかして、第1満タン感知板76は、景品玉によって余剰玉通路75内が満杯になったときに該景品玉に押圧されて揺動し、スライド線杆77を介して前記した打球供給装置7aの玉送り部材の動作を固定して打玉を打球発射位置に供給しないようしている。また、前記連絡樋74の上流側にも第2満タン感知板78が上端を中心に揺動自在に設けられ、この第2満タン感知板78の対向する位置に満タン検出器79が設けられている。そして、第2満タン感知板78が揺動されたときに満タン検出器79がONとなり、前記景品玉払出装置90の景品玉払出モータ103の駆動を停止させるようになっている。したがって、払出された景品玉が余剰玉通路75に充満すると、まず第1満タン感知板76が動作して打球の弾発ができなくなり、その後記憶された入賞玉に基づいて払出された景品玉が連絡樋74にも充満すると、第2満タン感知板78が動作して景品玉の払出も行われなくなる。なお、前記第1満タン感知板76がないものであってもよい。
【0031】
更に、機構板53には、前記アウト口29から排出されるアウト玉を誘導するアウト玉誘導樋81が取り付けられ、このアウト玉誘導樋81に誘導されたアウト玉がその流下端であるアウト玉放出口82から前記玉抜通路71と合流してパチンコ遊技機1外に排出されるようになっている。また、機構板53には、前記景品玉払出装置90からの配線及び前記満タン検出器79等の配線を中継する中継端子基板83や、前記可変表示装置15及び可変入賞球装置20を制御する遊技装置制御回路や後述する景品玉払出装置90を制御する払出装置制御回路を含む回路基板を収納する回路基板収納ケース110や、パチンコ遊技機1の電源を供給するためのターミナルボックス84が取り付けられている。
【0032】
次に、図4ないし図6を参照して前記景品玉払出装置90の構造について説明する。景品玉払出装置90は、図4に示すように、前記機構板53に取り付ける取付板91と、電気的駆動源としての景品玉払出モータ103を取り付けるモータ取付板97によって構成される。取付板91には、前記垂直樋67に連続する供給通路92が形成され、該供給通路92の下流側に景品玉の方向を後述する玉載置部99に向けて変化させる流路変更部93(図6参照)が形成されている。流路変更部93のさらに下方には、供給通路92の最先端のパチンコ玉の下部1点を支持する玉支持部101bが形成され、該玉支持部101bの下方に、スプロケット105が収納されるスプロケット収納部94が形成されている。また、スプロケット収納部94の一側には、景品玉の排出通路95も形成されている。排出通路95の上流部には、スプロケット105によって押出されて払出される景品玉を検出する払出景品玉検出器96(例えば、近接スイッチ)が設けられている。
【0033】
一方、モータ取付板97の上部には、前記供給通路92を流下してきたパチンコ玉を下方に向けてガイドするガイド部98が突設され、このガイド部98の下方にパチンコ玉1個が載置される玉載置部99が構成されている。玉載置部99は、前記ガイド部98の下部側面に形成された玉受壁100と、該玉受壁100の下方であって、前記玉支持部101bと対応するように位置してパチンコ玉の他方の下部1点を支持する玉支持部101aと、パチンコ玉の一方の下部1点を支持する前記玉支持部101bとから構成されている。つまり、玉載置部99は、供給通路92で待機している景品玉の玉圧を受け止める機能と、最先端のパチンコ玉の下部を2点で支持する機能を有するものである。なお、モータ取付板97及び取付板91には、それぞれの玉支持部101a,101bから排出通路95に向けて円弧状のガイドリブ102a,102b(102aは図示せず)が突設され、玉載置部99に載置されていたパチンコ玉が排出通路95に排出されるまでの間、その流下をガイドするようになっている。
【0034】
また、モータ取付板97の後面には、パルス信号がある毎に所定角度回転するステッピングモータからなる景品玉払出モータ103が取り付けられ、そのモータ軸104は、モータ取付板97の前面に貫通して位置し、その先端には、外周に複数の爪部106を有するスプロケット105が固着されている。スプロケット105の爪部106は、パチンコ玉の外周面と係合するように凹状に形成されており、その爪部106が前記玉支持部101a,101bの間に挿入された位置配置となっている。このとき、図6に示されるように、爪部106の凹状の低部が玉支持部101a,101bより低い位置となっているので、玉載置部99に載置されているパチンコ玉は、玉支持部101a,101bで支持された状態となり、スプロケット105には、玉圧が掛からないようになっている。なお、景品玉払出モータ103は、ステッピングモータでなく通常のモータであってもよい。
【0035】
上記した景品玉払出装置90の近傍には、中継端子基板107が設けられ、この中継端子基板107に前記払出景品玉検出器96及び景品玉払出モータ103が接続されている。また、中継端子基板107には、中継端子(雄型コネクタ)108a,108bが設けられ、この中継端子108a,108bと前記回路基板収納ケース110内に収納される回路基板141に構成される払出装置制御回路用の雄型コネクタ143とが接続部材である配線156によって接続される。また、中継端子基板107には、前記回路基板141に設けられる記憶手段(この場合、後述するRAM163)に記憶されている入賞玉に関連する情報の記憶値をリセットするリセットスイッチ150が設けられている。これは、打ち止め状態となって遊技機の機能が停止した後、再度遊技機の打ち止め状態を解除しようとしたときに、数値情報が記憶手段に残留していると、その情報に基づいて景品玉が払出されてしまうため、これを防止するために設けられるものである。したがって、遊技機の打ち止めを解除しようとする場合には、遊技場の店員が前面枠3を開放してリセットボタン150を押圧する必要がある。
【0036】
なお、景品玉払出装置としては、電気的駆動源によって作動され、且つ払出数が変更可能であればよく、例えば、ソレノイドでスプロケットのロックを外して自然落下で景品玉の払出制御する形式のものや、ソレノイドの作動で相対的に少ない(例えば、2?3個)景品玉を収納する収納部を駆動させて払出す形式のものや、払出数を変更するストッパーをソレノイドで駆動して払出す形式のものでもよい。
【0037】
ところで、上記した中継端子基板107及び前記入賞玉集合カバー体35aに設けられる中継端子基板36と接続部材(配線156)で接続される回路基板141が収納される回路基板収納ケース110は、前記したように機構板53の裏面に取付けられるが、この構造について図7ないし図10を参照して説明する。
【0038】
まず、図7において、回路基板収納ケース110は、機構板53の裏面にビスで固定された上部取付部材112と下部取付部材115によって簡単に着脱自在に取付けられるようになっている。上部取付部材112は、機構板53に突設された上部取付部111に固定されるが、その前面に弾性止め具113が固定されている。この弾性止め具113は、後述する係止曲折片135aと弾性的に係合するようになっている。また、上部取付部材112の一側下辺に係合部114が形成され、この係合部114に後述するビス128aが嵌入されて回路基板収納ケース110の上部位置を規制する。一方、前記下部取付部材115には、係止溝116が形成され、この係止溝116に後述する係止曲折片135bが嵌込まれて回路基板収納ケース110を支持する。また、係止溝116の一側には、規制片117が形成され、前記係止曲折片135bの端部と当接して回路基板収納ケース110の下部位置を規制する。
【0039】
上部取付部材112及び下部取付部材115は、上記のような構造となっているので、まず、回路基板収納ケース110を取り外す場合には、上部取付部材112の弾性止め具113を持ち上げながら回路基板収納ケース110を手前側に引き、係止曲折片135aと弾性止め具113との係合を解除した後、回路基板収納ケース110を持ち上げることにより他方の係止曲折片135bを係止溝116から抜出すことにより簡単に取り外すことができる。逆に回路基板収納ケース110を取付ける場合には、まず、他方の係止曲折片135bを係止溝116に差し込み、それと同時に係止曲折片135bの端部を規制片117と当接するまで移動させ(図7で右方向に移動させる)、その後、回路基板収納ケース110の上部を押圧して弾性止め具113と係止曲折部135aとを係合させる。このとき、ビス128aが係合部114に案内係合されるようになっている。この動作によって回路基板収納ケース110が簡単に取付けられる。なお、回路基板収納ケース110の取付方法は、上記実施形態に限定されず、少なくとも着脱可能に構成されていれば、どのような方法であってもよい。また、その設置場所も機構板53の裏面側に限らず、例えば入賞玉集合カバー体35a,35bの裏面側に設けられたものでもよい。
【0040】
次に、回路基板収納ケース110の構成について主として図8を参照して説明すると、回路基板収納ケース110は、下方及び一側前方が開放した箱枠状の第1分割体118と、ほぼ平板状の第2分割体132とから構成され、第2分割体に遊技装置制御回路及び払出装置制御回路が形成された回路基板141が固定され、その上方から第1分割体118で被覆する形で回路基板141が収納されるようになっている。
【0041】
前記第1分割体118は、上面板119と該上面板119から下方に曲折された側面板120a?120cとから構成され、それぞれに回路基板141が作動することによって発生する熱を外部に放出する放熱穴121が形成されている。また、前方の開口部にも上面板119から下方に曲折する短い曲折部122が形成されている。更に、前記側面板120a?120cのうち左右の側面板120a,120bは、前方に延設された形で突設され、その先端に内側に向う曲折部123a,123bが形成されている。そして、この曲折部123a,123bに係合穴124a,124bが穿設されている。係合穴124a,124bは、第2分割体132の後述する係合片138a,138bが差し込まれて第1分割体118と第2分割体132の前方部分を結合させるものである。
【0042】
一方、前記側面板120a,120bの後方には、取付穴127a,127b(ただし、127aは、図示せず)が形成され、この取付穴127a,127bを第2分割体132の後述する取付穴136a,136bに対応させてビス128a,128b(ただし、128aは、図示せず)で螺着することにより第1分割体118と第2分割体132の後方部分を結合させるものである。なお、ビス128a,128bを螺着した後には、いずれか一方、又は両方のビス128a,128bの上から封印紙129を貼付することにより、不正に制御回路を改造できないようにしてもよい。この場合、封印紙29の材質としては、開封した場合に、その一部が残留するようなものが好適であり、また、その図柄も真似のできないものが好ましい。
【0043】
前記曲折部122と側面板120a,120bの延設部とで配線引出開口125が形成され、この配線引出開口125の上部及び一側側面を囲むようにカバー部材126が被覆される。そして、他側の開口から接続部材としての配線156が外部に引出されるようになっている。なお、カバー部材126は、配線156の先端である雌型コネクタ155を回路基板141の後述する雄型コネクタ143に差し込んだ後に、取付穴130を介してビス131で第1分割体118に固定されるようになっている。
【0044】
前記第2分割体132は、上面板133と、該上面板133の両サイドから下方に僅かに曲折される側面板134a,134bと、該側面板134a,134bから外側に曲折される係止曲折片135a,135bとから構成される。係止曲折片135a,135bは、前記したように上部取付部材112及び下部取付部材115と係合して回路基板収納ケース110を機構板53に係止するためのものである。また、側面板135a,135bの後部には、前記取付穴127a,127bに対応する取付穴136a,136b(ただし、136aは、図示せず)が形成される。また、上面板133の前方には、上方向に曲折される立上がり側面板137が形成され、この立上がり側面板137の両端には、前記係合穴124a,124bと係合する係合片138a,138bが突設されている。
【0045】
また、上面板133の前方には、取付片139a,139bが突設され、後方には、係止片140a,140bが突設されている。この取付片139a,139b及び係止片140a,140bは、上面板133のやや内側に位置するように突設されるとともに、回路基板141を載置するような構造となっている。すなわち、回路基板141の四隅に穿設された取付穴144a?144dのうち、後方に穿設された取付穴144c,144dを係止片140a,140bに載置して係止させた後、前方に穿設された取付穴144a,144bを取付片139a,139bに載置してビス145で螺着することにより回路基板141を第2分割体132に固定することができる。なお、回路基板141は、LSI、コンデンサー、抵抗等の電気部品142が実装されたプリント配線基板で構成されるが、少なくとも前記配線引出開口125に対応する位置に外部に接続される配線156の雌型コネクタ155と連結される雄型コネクタ143が位置するように構成されなければならない。なお、回路基板141の詳細な構成は、後に詳述する。
【0046】
上記のように構成される回路基板収納ケース110を組み立てるには、まず回路基板141の取付穴144c,144dを係止片140a,140bに載置して係止し、その後、取付穴144a,144bを取付片139a,139bに載置してビス145で螺着することにより回路基板141を第2分割体132に固定する。そして、その後、第1分割体118の係合穴124a,124bを第2分割体132の係合片138a,138bに差し込み、取付穴127a,127bを取付穴136a,136bに対応させてビス128a,128bで螺着することにより第1分割体118と第2分割体132とを固定する。このような状態で、配線156の雌型コネクタ155を回路基板141の雄型コネクタ143に差し込み、その後、カバー部材126をビス131で固定することにより回路基板収納ケース110を完成することができる。なお、封印紙129は、完成した後に貼付すればよい。
【0047】
上記したように、この実施形態においては、回路基板141を第2分割体132に固定する際、及び第1分割体118と第2分割体132を連結する際にも、前方又は後方のいずれか一方を係止又は係合させ、その後、いずれか他方をビスで螺着することにより確実に固定することができ、前方及び後方にすべてを固定する方法に比較して極めて簡単に相互の部材を固定することができる。また、この実施形態に係る回路基板収納ケース110において、前記第1分割体118と第2分割体132とを固着するビス128a,128bの上面を、封印紙129で封印することにより、第1分割体118と第2分割体132とを分離するためには、必ずビス128a,128bを緩めなければならず、このためには、封印紙129が必ず破損することとなるので、回路基板141を被覆する第1分割体118と第2分割体132との被覆状態を解除されたか否かを封印紙129の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。更に、封印部材として、開封した際にその一部が残留する封印紙129とすることにより、封印紙129を剥した後にビス128a,128bを緩めるという不正行為を防止することもできる。
【0048】
ところで、前記回路基板141は、図9にその詳細が示されているが、回路基板141の表面及び裏面の周囲には、グランドライン146が形成されている。このグラインドライン146は、前記一方の取付穴144c,144dにおいて係止片140a,140bと導通しないように切欠部148が設けられ、前記他方の取付穴144a,144bにおいては、ビス145を螺着したときに第2分割体132と導通するように延在部147が形成されている。これによりグランドライン146と回路基板収納ケース110全体とが導通するようになっている。また、表面及び裏面に形成されたグラインドライン146は、多数の導通部149を介して相互に導通しており、これにより例えば、機構板53と第2分割体との間で放電が生じ、その放電電圧が取付穴144a,144bに取付けられるビス145を介して回路基板141に流れ込んでも、その電流は、何度も導通部149を潜り抜けてグラインドライン146の表面と裏面とを巡回し、後述するMPU161、RAM163、ROM162に到達するまで長い距離を通るので、その間に電圧降下が生じて放電によるノイズからMPU161、RAM163、ROM162の誤動作を防止するものである。なお、前記グラインドライン146とMPU161、RAM163、ROM162、電気部品142等の電源入力部との間には、バイパスコンデンサ(電界コンデンサ、例えばタンタルコンデンサとノンポーラコンデンサとで構成される周知のもの)151が設けられて、ノイズ防止が図られ、また、MPU161、RAM163、ROM162は、グラインドライン146と回路基板収納ケース110との接点である前記取付穴144a,144bから最も遠い位置に配置されるようになっている。また、前記景品玉払出装置90近傍の中継端子基板107に設けたリセットスイッチ150も回路基板141上に設けてもよい。
【0049】
上記のような構造を有する回路基板収納ケース110を機構板53の裏面に取付けると、図10に示すように、機構板53と第2分割体132の上面板133との間に第1空間152が形成され、第2分割体132の上面板133と回路基板141との間に第2空間153が形成され、回路基板141と第1分割体118の上面板119との間に第3空間154がそれぞれ形成される。しかして、第1空間152があるため、機構板53で発生する静電気等が回路基板収納ケース110に伝達されにくく、また、第2空間153と第3空間154とでは、空間の容量が異なるため、空間内の空気の暖まる速度が異なり、その温度差で第2空間153と第3空間154とを連通するように対流が生じ、この対流によって発生した熱を効果的に放熱穴121から放熱することができる。また、上記した回路基板141は、1組のMUP161、ROM162、RAM163で遊技装置制御回路と払出装置制御回路を構成するものを示したが、それぞれの制御回路に対応してMPU、ROM、RAM等を形成し、必要に応じて内部的に接続して1つの回路基板収納ケース110に納めてもよく、また、それぞれの制御回路毎に回路基板を構成し、その2つの回路基板を1つの回路基板収納ケース110に納めてもよい。要は、回路基板の構成がどのようなものであっても、1つの回路基板収納ケース110に納めてあればよい。
【0050】
以上、説明した回路基板141に形成される制御回路を示すと図11のように表わされる。図11は、ブロック構成によって示される回路図であって、制御中枢としてのマイクロコンピュータ160を含む。マイクロコンピュータ160は以下に述べるようなパチンコ遊技機1の全体の動作を制御する機能を有する。このために、マイクロコンピュータ160は、たとえば、数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU161と、MPU161の動作プログラムデータを格納するROM162と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM163とを含む。更に、マイクロコンピュータ160は、入力信号を受けてMPU161に入力データを与える入力回路164と、MPU161からの出力データを受けて外部に出力する出力回路165と、MPU161から音データを受けるサウンドジェネレータ166と、電源投入時にMPU161にリセットパルスを与えるパワーオンリセット回路167と、MPU161にクロック信号を与えるクロック発生回路168と、クロック発生回路168からのクロック信号を分周してリセットパルスを定期的にMPU161に与えるパルス分周回路(定期リセット回路)169と、MPU161からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路170を含む。MPU161はパルス分周回路169から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。またアドレスデコード回路170はMPU161からのアドレスデータをデコードし、ROM162、RAM163、入力回路164、出力回路165、サウンドジェネレータ166にそれぞれチップセレクト信号を与える。なお、この実施形態では、ROM162は、その内容の書き換え、すなわち必要が生じた場合には、その中に格納されたMPU161のためのプログラムデータを変更することができるようにプログラマブルROMが用いられる。そしてMPU161はROM162内に格納されたプログラムデータに従って、かつ以下に述べる各制御信号の入力に応答して、可変表示装置15、可変入賞球装置20、景品玉払出装置90等に対して制御信号を与える。
【0051】
マイクロコンピュータ160には、入力信号として、次のような信号が与えられる。まず、始動入賞口26a?26cのそれぞれに対応して設けられた始動入賞玉検出器40a?40cの検出信号は検出回路171に与えられ、マイクロコンピュータ160に始動入賞玉検出信号が与えられる。特定入賞玉検出器38で検出された検出信号は検出回路172に与えられ、繰返し判定信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。入賞個数検出器39で検出された検出信号は検出回路173に与えられ、入賞玉数計数信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。可変表示装置15内に設けられるドラム位置検出器191a?191cの検出信号は検出回路174に与えられ、マイクロコンピュータ160に各ドラムの絶対位置を判定するためのステップカウンタをリセットするための信号として与えられる。入賞玉検出器59(以下、入賞玉検出器Aという)及び入賞玉検出器60(以下、入賞玉検出器Bという)の検出信号は、検出回路175に与えられ、得点信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。払出景品玉検出器96の信号は、検出回路176に与えられ、遊技者に払出された景品玉数信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。玉切れ検出器69の信号は、検出回路177に与えられ、景品玉払出モータ103の停止信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。満タン検出器79の信号は、検出回路178に与えられ、景品玉払出モータ103の停止信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。また、リセットスイッチ150の検出信号は、検出回路187に与えられ、RAM163内に記憶された入賞玉数に関連する数値情報をリセットするリセット信号としてマイクロコンピュータ160に与えられる。
【0052】
また、マイクロコンピュータ160は以下の回路又は装置に制御信号を与える。まず、モータ駆動回路179を介して景品玉払出モータ103に駆動信号を与える。セグメントLED駆動回路180を介して払出未処理玉数表示器34に表示駆動信号を与える。ランプ駆動回路181を介して払出表示ランプ32又は玉切れ表示ランプ33に点灯信号を与える。モータ駆動回路182を介して可変表示装置15の可変表示部16a?16cを回転させるドラム駆動モータ192a?192c(ステッピングモータ)に駆動信号を与える。ランプ駆動回路183を介して遊技効果ランプ30a,30b及び枠ランプ31a,31bに点灯、あるいは点滅信号を与える。LED駆動回路184を介して始動入賞記憶表示器17又は入賞個数表示器25に点灯信号を与える。セグメントLED駆動回路185を介して開成回数表示器18に表示駆動信号を与える。ソレノイド駆動回路186を介して可変入賞球装置20の開閉板22のソレノイド37に駆動信号を与える。更に、アンプ188を介してスピーカー9から効果音を報知させる。なお、上記構成の各回路には、電源回路189から所定の直流電圧が供給されるが、この電源回路189には、図9に示すようにノイズを減少させるためにチョークコイル190が設けられている。
【0053】
次に、図12ないし図14を参照して、上記制御回路の具体的な動作について説明する。まず、図12には、実施形態の動作の全体を示すメインルーチンが表わされている。まず、電源が投入されると、マイクロコンピュータ160は、RAM163内にエラーが生じているか否かを判別し(ステップS1)、RAMエラーがあると判別した場合には、初期データをセットする(ステップS2)。なお、ステップS1の処理は、常に行われているので、マイクロコンピュータのプログラム暴走時にもエラー判定がなされ、ステップS2の初期データがセットされる。更に、ステップS1においてエラー判定されなかった場合や、ステップS2で初期データがセットされた場合には、複数ある入賞玉検出器に不正や故障等が生じたときにセットされるアラームフラグがセットされているか否かが判別され(ステップS3)、アラームフラグがセットされていないと判別された場合には、遊技を制御するためのゲーム制御処理が行われる(ステップS4)。次いで、ステップS3でアラームフラグがセットされていると判別された場合や、ステップS4でゲーム制御処理が行われた後には、この実施形態の要部であるゲーム制御処理によって発生した得点に基づく景品玉払出制御処理が行われる(ステップS5)。上記ゲーム制御処理及び景品玉払出制御処理で処理されたデータを出力した(ステップS6)後、パルス分周回路169からの定期リセット信号待ちをし、リセット信号があった場合には、再度、上記したステップS1からの処理を繰り返す。したがって、メインルーチンは、パルス分周回路169から発生するリセット信号がある毎に1回行われる。そして、一般的にパルス分周回路169からは、4msec毎に1回のリセット信号が発生されるので、メインルーチンは、4msecに1回行われることになる。
【0054】
ところで、前記ステップS4のゲーム制御処理の内容は、図13に示される通りである。すなわち、遊技に関連した音・ランプコントロール処理が行われる(ステップS7)。次いで、始動入賞記憶・入賞個数・開成回数等の表示器のコントロール処理が行われ(ステップS8)、その後、特定入賞玉検出器38及び入賞個数検出器39の故障等により、V・10アラームフラグがセットされているか否かが判別され(ステップS9)、セットされていれば、遊技を中断すべく以下のステップS10?ステップS14の処理をすることなく、ステップS15に進む。一方、V・10アラームフラグがセットされていないと判別された場合には、可変表示装置15のドラム駆動モータ192a?192cのコントロール処理が行われ(ステップS10)、可変入賞球装置20の開閉板22のソレノイド37のコントロール処理が行われ(ステップS11)、各検出器、すなわち、特定入賞玉検出器38、始動入賞玉検出器40a?40c、及びドラム位置検出器191a?191cの動作をチェックするチェック処理が行われる(ステップS12?ステップS14)。そして、その後、入賞個数検出器39の動作をチェックするチェック処理が行われて(ステップS15)、ゲーム制御処理が終了し、サブルーチンに戻る。
【0055】
また、前記ステップS5の景品玉払出制御処理の内容は、図14に示される通りである。すなわち、まず、景品玉払出に関する音・ランプコントロール処理が行われる(ステップS16)。音・ランプコントロール処理の次には、払出未処理玉数表示器34のコントロール処理が行われる(ステップS17)。以下、景品玉払出モータ103のコントロール処理(ステップS18)、払出景品玉検出器96のチェック処理(ステップS19)、入賞玉検出器Aのチェック処理(ステップS20)、入賞玉検出器Bのチェック処理(ステップS21)が順次行われて、景品玉払出制御処理が終了し、サブルーチンに戻る。
【0056】
以上、実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成及び動作について説明してきたが、この実施形態によれば、遊技盤12に設けられる可変表示装置15や可変入賞球装置20や遊技効果ランプ30a,30b等の遊技装置の動作を制御する遊技装置制御回路に、景品玉払出装置90の動作を制御する払出装置制御回路を含むように回路基板141が構成されているので、遊技盤保持枠42から古い遊技盤12を取り外して新たな遊技盤12を取付けた際に、遊技盤12の交換に伴って当然遊技装置制御回路も交換されることとなり、このため、遊技装置制御回路を交換すれば、自動的に払出装置制御回路も交換されるので、遊技内容と払出される景品玉数とが確実に一致する。そして、上記遊技装置制御回路及び払出装置制御回路が形成される回路基板141を被覆収納する回路基板収納ケース110において、第1分割体118と第2分割体132とを固着する固着手段としてのビス128a,128bの上面を、封印部材としての封印紙129で封印するように構成したので、第1分割体118と第2分割体132とを分離するためには、必ず固着手段としてのビス128a,128bを緩めなければならず、このためには、封印部材としての封印紙129が必ず破損することとなるので、回路基板141を被覆する第1分割体118と第2分割体132との被覆状態を解除されたか否かを封印部材としての封印紙129の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。また、前記封印部材として、開封した際にその一部が残留する封印紙129とすることにより、封印紙129を剥した後にビス128a,128bを緩めるという不正行為を防止することもできる。
【0057】
なお、上記実施形態の変形例として以下のようなものが考えられる。
▲1▼上記実施形態では、払出景品玉数の異なる2種類の入賞口を備えたものを示したが、払出景品玉数をすべて同一にしてもよいし、あるいは3種類以上であってもよい。また、遊技状態に応じて払出景品玉数を変化させるようにしてもよい。例えば、可変表示装置15が予め定める表示になったこと(大当り状態)に基づいて、大当り制御期間中の払出景品玉数を通常時に比べて多くするようにしてもよい。
▲2▼景品玉の払出制御においては、所定個数の払出が終了したら一定時間間隔を置いて次の所定個数の払出を開始するようにしてもよいし、時間間隔を置くことなく、払出未処理玉カウンタが「0」になるまで連続的に払出すようにしてもよい。この場合には、払出景品玉数が複数種類になっているものであっても、払出未処理玉カウンタを共通の1個のカウンタで構成しても良い。
▲3▼景品玉払出制御に関し異常が生じた場合に、ゲーム制御を中断し、そのときの遊技状態を記憶するようにしてもよい。
▲4▼ゲーム制御に用いる入賞玉検出器を景品玉払出制御に兼用するようにしてもよい。例えば、上記実施形態において始動入賞玉検出器40aを景品玉払出制御にも用いるようにすれば、第2の入賞玉検出器60は不要になる。また、入賞個数検出器39を景品玉払出制御にも用いるようにすれば、入賞個数検出器39に関する不正(引き抜き、ずらし等)をより有効に防止することができる。
▲5▼入賞玉検出器59、60に異常が生じた場合には、入賞玉集合樋57、58で集合される入賞玉を貯留できるようにしてもよい。また、払出景品玉検出器96に異常が生じた場合には、景品玉排出通路を切り換えて景品玉が遊技者に払出されないようにしてもよい。
▲6▼上記実施形態では、払出未処理玉数、すなわち、払出の終了していない景品玉数を記憶表示させるようにしたが、景品玉数の代わりに入賞玉数を累積加算してその値を記憶表示させるようにしてもよい。
▲7▼入賞玉検出器59、60の下端に入賞玉検出器59、60がOFFのとき入賞玉を停止させる停止装置を設け、入賞玉検出器59、60がONし、且つ景品玉払出装置から所定個数の景品玉の払出動作が終了する毎に、停止装置で停止されていた入賞玉を1個づつ排出するようにしてもよい。
▲8▼遊技盤上に設けられた複数の入賞口への入賞の組合せに基づいて得点が発生する、いわゆるアレンジボール式パチンコ遊技機であってもよい。この場合、組合せの成立に応じて付与される得点を累積加算して記憶し表示させるようにすれば良い。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、この発明においては、第1分割体と第2分割体とによって回路基板を被覆収納する回路基板収納ケースにおいて、前記第1分割体と第2分割体とを固着する分割体固着用のビスを回路基板収納ケースの収納空間方向に向けて設けると共に、その分割体固着用のビスの上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体とを分離するためには、必ず分割体固着用のビスを外部からはずさなければならず、このためには、封印部材が必ず破損することとなるので、回路基板を被覆する第1分割体と第2分割体との被覆状態を解除されたか否かを封印部材の状態を見ることにより簡単に見分けることができる。
【0059】
また、前記第1分割体と第2分割体とは、一方側において係合し他方側において分割体固着用のビスで固定することにより組付け構成すると共に、その分割体固着用のビスの上面を、封印部材で封印することにより、第1分割体と第2分割体との組付けを容易に行うことができると共に封印部材の貼付箇所が他方側に統一されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】
パチンコ遊技機の背面概略図である。
【図3】
機構板を開放して遊技盤を取り外した状態を示すパチンコ遊技機の背面斜視図である。
【図4】
景品玉払出装置の正面断面図である。
【図5】
同じく、景品玉払出装置の正面断面図である。
【図6】
景品玉払出装置の側面断面図である。
【図7】
回路基板収納ケースの取付状態を示す斜視図である。
【図8】
回路基板収納ケースの分解斜視図である。
【図9】
回路基板の正面図である。
【図10】
回路基板収納ケースを機構板に取付けた状態での断面図である。
【図11】
回路基板に形成される遊技装置制御回路及び払出装置制御回路のブロック構成の回路図である。
【図12】
遊技装置制御回路及び払出装置制御回路の動作を示すフロー図である。
【図13】
同じく、遊技装置制御回路及び払出装置制御回路の動作を示すフロー図である。
【図14】
同じく、遊技装置制御回路及び払出装置制御回路の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
12 遊技盤
42 遊技盤保持枠
53 機構板
90 景品玉払出装置
110 回路基板収納ケース
118 第1分割体
128a,128b ビス(固着手段)
129 封印紙(封印手段)
132 第2分割体
141 回路基板
160 マイクロコンピュータ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-11-10 
結審通知日 2010-11-12 
審決日 2010-11-25 
出願番号 特願平8-129030
審決分類 P 1 113・ 121- YA (A63F)
P 1 113・ 841- YA (A63F)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 伊藤 陽
秋山 斉昭
登録日 1998-06-19 
登録番号 特許第2791467号(P2791467)
発明の名称 遊技機の回路基板収納ケース  
代理人 川下 清  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 中田 雅彦  
代理人 振角 正一  
代理人 中田 雅彦  
代理人 森田 俊雄  
代理人 池垣 彰彦  
代理人 深見 久郎  
代理人 塚本 豊  
代理人 塚本 豊  
代理人 梁瀬 右司  
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