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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E05B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する E05B 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E05B |
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管理番号 | 1251826 |
審判番号 | 訂正2011-390132 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2011-12-07 |
確定日 | 2012-02-06 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3545647号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3545647号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第3545647号(以下,「本件特許」という。)は,平成11年6月11日に出願されたものであり,その請求項1?10に係る発明について,平成16年4月16日に特許権の設定登録がなされたものである。 その後,平成23年6月2日に別件の訂正審判の請求がなされ(訂正2011-390070号),同年6月28日付けで訂正拒絶理由を通知したところ,同年8月3日に同請求が取り下げられ,そして,同年12月7日付けで訂正審判の請求がなされ(以下,「本件審判請求」という。),平成24年1月20日付けで審判請求書と訂正明細書の手続補正書が提出されたものである。 第2 請求の趣旨 1 審判請求書等の手続補正 平成24年1月20日付けの審判請求書と訂正明細書の手続補正は,連続でない請求項と段落の番号を連続となるように補正するものであるから請求書の要旨を変更するものではなく,適法になされたものである。 2 本件審判の請求の趣旨 そうすると,本件審判請求の趣旨は,本件特許に係る明細書を,平成24年1月20日の審判請求書の手続補正書に添付した訂正明細書のとおり,すなわち,以下の各訂正事項のとおり訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項1 請求項1及び2を削除する。 (2)訂正事項2 請求項2を引用する請求項3を新たな請求項1とするとともに,引用する請求項2の「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設けたこと」を「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設けたこと」とし,また,「ロックパウルを設けたこと」を「ロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたこと」として,次のとおり訂正する(下線は訂正箇所。他の訂正事項でも同様。)。 (本件訂正前) 「【請求項3】 キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設けたことを特徴とする請求項1,2に記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項1】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (3)訂正事項3 請求項3を引用する請求項4を新たな請求項2とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項4】 ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え,該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置したことを特徴とする請求項3に記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項2】 ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え,該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置したことを特徴とする請求項1に記載の電子キイ構造。」 (4)訂正事項4 請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項8を新たな請求項3とするとともに,引用する請求項2の「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設けたこと」を「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設けたこと」とし,また,引用する請求項3の「ロックパウルを設けたこと」を「ロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたこと」として,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項8】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項1?7の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項3】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子キイ構造。」 (5)訂正事項5 請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する請求項8を新たな請求項4とするとともに,引用する請求項2の「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設けたこと」を「メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設けたこと」とし,また,引用する請求項3の「ロックパウルを設けたこと」を「ロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたこと」として,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項8】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項1?7の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項4】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電子キイ構造。」 (6)訂正事項6 請求項5を削除する。 (7)訂正事項7 請求項1を引用する請求項6を新たな請求項5とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項5】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (8)訂正事項8 請求項2を引用する請求項6を新たな請求項6とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項6】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (9)訂正事項9 請求項1を引用する請求項3を,更に引用する請求項6を新たな請求項7とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項7】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (10)訂正事項10 請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項6を新たな請求項8とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項8】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (11)訂正事項11 請求項1を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する請求項6を新たな請求項9とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項9】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け,ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え,該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置し,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (12)訂正事項12 請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する請求項6を新たな請求項10とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項6】 メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項10】 キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し,該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて,前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ,かつ,その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方,メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に,該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け,キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け,ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え,該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置し,メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。」 (13)訂正事項13 請求項6を引用する請求項7を新たな請求項11とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項7】 キイ本体の後端面の凹部は,キイ本体のメカニカルキイ収納部の開口部からキイ本体の後端面の中央部に延在する拡張部により形成され,張り出し部は前記拡張部に収容され,メカニカルキイはそのキイヘッドの後縁がメカニカルキイ収納状態でキイ本体の後端面と略面一に整合するように形成したことを特徴とする請求項6に記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項11】 キイ本体の後端面の凹部は,キイ本体のメカニカルキイ収納部の開口部からキイ本体の後端面の中央部に延在する拡張部により形成され,張り出し部は前記拡張部に収容され,メカニカルキイはそのキイヘッドの後縁がメカニカルキイ収納状態でキイ本体の後端面と略面一に整合するように形成したことを特徴とする請求項5?10の何れかに記載の電子キイ構造。」 (14)訂正事項14 請求項6及び7を引用する請求項8を新たな請求項12とし,次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【請求項8】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項1?7の何れかに記載の電子キイ構造。」 (本件訂正後) 「【請求項12】 キイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項5?11の何れかに記載の電子キイ構造。」 (15)訂正事項15 請求項9及び10を削除する。 (16)訂正事項16 段落【0006】の「設けたことを特徴とする。」を「設け,キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設け,キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたことを特徴とする。」と訂正する。 (17)訂正事項17 段落【0007】及び段落【0008】を削除する。 (18)訂正事項18 段落【0009】の「請求項4の発明にあっては,請求項3に」を「請求項2の発明にあっては,請求項1に」と訂正する。 (19)訂正事項19 段落【0010】を次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【0010】 請求項5の発明にあっては,請求項2?4に記載のキイ本体の厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーは,その内側の後端部中央位置にボス部を備えてこれらボス部を突き合わせて該ボス部どうしを締結固定し,メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを該ボス部の前側部分に接して配設したことを特徴としている。」 (本件訂正後) 「【0010】 請求項3及び4の発明にあっては,請求項1及び2記載のキイヘッドの後縁のブリッジ片は,メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴としている。」 (20)訂正事項20 段落【0011】の「請求項6の発明にあっては,請求項1?5に記載のメカニカルキイ」を「請求項5?10の発明にあっては,メカニカルキイ」と訂正する。 (21)訂正事項21 段落【0012】の「請求項7の発明にあっては,請求項6に」を「請求項11の発明にあっては,請求項5?10に」と訂正する。 (22)訂正事項22 段落【0013】の「請求項8の発明にあっては,請求項1?7に」を「請求項12の発明にあっては,請求項5?11に」と訂正する。 (23)訂正事項23 段落【0014】及び段落【0015】を削除する。 (24)訂正事項24 段落【0019】の「請求項2に記載の発明によれば,請求項1の発明の効果に加えて,」を「更に,」と訂正する。 (25)訂正事項25 段落【0020】の「また,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設けてあるため,」を「また,メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設けてあるため,」と訂正する。 (26)訂正事項26 段落【0021】の「請求項3に記載の発明によれば,請求項1,2の発明の効果に加えて,」を「更に,」と訂正する。 (27)訂正事項27 段落【0023】の「請求項4に記載の発明によれば,請求項3の」を「請求項2に記載の発明によれば,請求項1の」と訂正する。 (28)訂正事項28 段落【0024】を次のとおり訂正する。 (本件訂正前) 「【0024】 請求項5に記載の発明によれば,請求項2?4の発明の効果に加えて,メカニカルキイに抜き出し方向に過大な荷重が作用した場合,この荷重をロックパウルを経由してカバーのボス部で受けるため抗力が大きく,メカニカルキイの離脱を確実に抑制できて品質感および信頼性を更に高めることができる。」 (本件訂正後) 「【0024】 請求項3及び4に記載の発明によれば,請求項1又は2の発明の効果に加えて,メカニカルキイ収納状態では該メカニカルキイのキイヘッドに設けたブリッジ片がキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出しているため,外観上左右対称に構成できて違和感を生じさせることがない。」 (29)訂正事項29 段落【0025】の「請求項6に記載の発明によれば,請求項1?5の発明の効果に加えて,」を「請求項5?10に記載の発明によれば,」と訂正する。 (30)訂正事項30 段落【0026】の「請求項7に記載の発明によれば,請求項6の」を「請求項11に記載の発明によれば,請求項5?10の」と訂正する。 (31)訂正事項31 段落【0027】の「請求項8に記載の発明によれば,請求項1?7の」を「請求項12に記載の発明によれば,請求項5?11の」と訂正する。 (32)訂正事項32 段落【0028】及び段落【0029】を削除する。 第3 当審の判断 本件審判の請求が,特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とし,同条第3項から第5項までの規定に適合するか否かについて,以下に検討する。 1 特許法第126条第1項ただし書各号(訂正の目的)について (1)訂正事項1,6及び15について 訂正事項1,6及び15は,本件訂正前の請求項1,2,5,9及び10の削除であるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は,本件訂正前の請求項1及び2の削除にともない,本件訂正前の請求項3を独立形式の新たな請求項1とするものであり,本件訂正前の請求項3の発明特定事項である「ロックパウル」の位置について,「一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に」と限定し,また訂正前の請求項2を引用する請求項3において,メカニカルキー収納部の位置である「一方のカバー側に少くとも寄せて設け」を「一方のカバー側に設け」と訂正したものである。 そして,「一方のカバー側に少くとも寄せて設け」との構成は,「一方のカバー側に寄せて設け」た構成と,さらに寄せて「一方のカバー側に設け」た構成を含んだものと認められるから,「一方のカバー側に設け」と訂正することは特許請求の範囲の減縮である。 そうすると,訂正後の請求項1は,本件訂正前の請求項2を引用する請求項3記載の電子キイ構造を減縮するものであるから,訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は,本件訂正前の請求項4が請求項3を引用していたのに対し,本件訂正前の請求項1及び2の削除にともない,本件訂正前の請求項3を,特許請求の範囲の減縮を目的とする新たな請求項1と訂正したことに基づいて,本件訂正前の請求項4を新たな請求項1を引用する請求項2とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は,請求項2を引用する請求項3を,更に引用する本件訂正前の請求項8を,新たな請求項1を引用する請求項3とするものであるから,訂正事項2と同様の理由により,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は,請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する本件訂正前の請求項8を,新たな請求項2を引用する請求項4とするものであるから,訂正事項3と同様の理由により,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (6)訂正事項7について 訂正事項7は,本件訂正前の請求項6が請求項1?5を引用するものであったところ,請求項1を引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項5とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (7)訂正事項8について 訂正事項8は,請求項2を引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項6とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (8)訂正事項9について 訂正事項9は,請求項1を引用する請求項3を,更に引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項7とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (9)訂正事項10について 訂正事項10は,請求項2を引用する請求項3を,更に引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項8とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (10)訂正事項11について 訂正事項11は,請求項1を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項9とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (11)訂正事項12について 訂正事項12は,請求項2を引用する請求項3を,更に引用する請求項4を,更に引用する本件訂正前の請求項6を,独立形式の新たな請求項10とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (12)訂正事項13について 訂正事項13は,本件訂正前の請求項7が請求項6を引用するものであったところ,本件訂正前の請求項6は請求項1?5を引用する形式から独立形式に変更されて新たな請求項5?10に分割されたので,本件訂正前の請求項7を,これらの請求項を引用する新たな請求項11とするものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 (13)訂正事項14について 訂正事項14は,本件訂正前の請求項8が請求項1?7を引用するものであったところ,実質的に請求項6及び7を引用する請求項8を新たな請求項12とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(特許法126条1項1号)。 なお,訂正事項4,5,14は,請求項8について,択一的な構成要件をそれぞれ限定して新たな請求項3,4,12としたものであり,訂正事項7?12は,請求項6について,同様に新たな請求項5?10としたものであって,これら訂正事項は請求項の数を増やす訂正であるが特許請求の範囲を減縮するものと認める。 (14)訂正事項16?23について 訂正事項16?23は,段落【0006】?段落【0015】に対して,訂正事項1?15による本件訂正後の請求項1?12の記載との関係において生じている不整合を正すためのものである。よって,訂正事項16?23は,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する(特許法126条1項3号)。 (15)訂正事項24?32について 訂正事項24?32は,本件明細書の段落【0019】?段落【0029】に対して,訂正事項1?15による本件訂正後の請求項1?12の記載との関係において生じている不整合を正すためのものである。よって,訂正事項24?32は,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する(特許法126条1項3号)。 2 特許法第126条第3,4項(新規事項,実質拡張又は変更)について (1)訂正事項1,6?15について 訂正事項1,6?15は請求項の削除であるから,本件特許の明細書又は図面の範囲内においてなされたものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2?5について 本件明細書の段落【0022】に「ロックパウルをキイ本体内の略中央部分に配置できる」と記載され,段落【0053】には,「ロックパウル21はロアカバー3の内側後端部の中央部分に配置してあるため,」と記載されており,さらに図2からみてロックパウル21はメカニカルキイ収納部15と同じロアカバー3側,すなわち一方のカバー側に設けられているから,本件訂正後の発明特定事項である「ロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたこと」は本件明細書の記載から導き出すことができる事項である。 よって,訂正事項2?5は,本件特許の明細書又は図面の範囲内においてなされたものである。 また,訂正事項2?5は,特許請求の範囲を実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)訂正事項16?32について 訂正事項16?32は,請求項の訂正にともなった訂正であり,請求項の訂正と同様に本件特許の明細書又は図面の範囲内においてなされたものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3 特許法第126条第5項(独立特許要件)について (1)引用刊行物 別件の訂正審判(訂正2011-390070号)における訂正拒絶理由通知で引用され,本件審判請求書で提示された刊行物は以下の2件である。 刊行物1:独国特許出願公開第4409559号明細書 刊行物2:特開昭63-569号公報 (2)進歩性について 本件訂正後の請求項1?4,7,10に係る発明は,「キイ本体内には,メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され,かつ,弾性部材により付勢されて,先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設けた」との構成を有し,本件訂正後の請求項5?12に係る発明は,「メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方,キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けた」との構成を有する。そして,刊行物1,2にはどちらの構成も記載されておらず,訂正された請求項1?12に係る発明は,これら刊行物に記載された発明から当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (3)まとめ 以上のとおり,訂正された請求項1?12に係る発明は上記刊行物1,2に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえず,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする他の理由も見当たらないので,特許法第126条第5項の規定に適合する。 第4 むすび したがって,本件審判請求は,特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とし,同条第3項?第5項の規定に適合する。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 電子キイ構造 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項2】ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え、該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置したことを特徴とする請求項1に記載の電子キイ構造。 【請求項3】キイヘッドの後縁のブリッジ片は、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子キイ構造。 【請求項4】キイヘッドの後縁のブリッジ片は、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電子キイ構造。 【請求項5】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項6】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項7】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項8】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項9】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け、ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え、該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置し、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項10】キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿、脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に少くとも寄せて設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを設け、ロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え、該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置し、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴とする電子キイ構造。 【請求項11】キイ本体の後端面の凹部は、キイ本体のメカニカルキイ収納部の開口部からキイ本体の後端面の中央部に延在する拡張部により形成され、張り出し部は前記拡張部に収容され、メカニカルキイはそのキイヘッドの後縁がメカニカルキイ収納状態でキイ本体の後端面と略面一に整合するように形成したことを特徴とする請求項5?10の何れかに記載の電子キイ構造。 【請求項12】キイヘッドの後縁のブリッジ片は、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴とする請求項5?11の何れかに記載の電子キイ構造。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は例えばロック装置を電気的に作動制御する電子キイシステムに用いられる電子キイの構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 電子キイシステムに用いられる電子キイとしては、例えばドイツ特許公開明細書DE19605201A1に示されているように、キイ本体の一側面にメカニカルキイ収納部を前後方向に溝状に設けて、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納するようにしたものが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 メカニカルキイの収納状態では、該メカニカルキイのキイヘッドがキイ本体の一側方向に突出するため、外観上左右非対称となって意匠的効果を損なってしまうことは否めない。 【0004】 また、前述のようにメカニカルキイのキイヘッドがキイ本体の一側に突出することから、該キイヘッドを比較的小さく形成して突出量を抑えるようにしてあり、このため、メカニカルキイの使用時にキイヘッドの握り面積が小さくキイ回転操作力が重くなってしまう。 【0005】 そこで、本発明はメカニカルキイ収納状態で外観上違和感がなく意匠的効果を高めることができると共に、メカニカルキイ使用時のキイ回転操作力を軽くすることができる電子キイを提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明にあっては、キイ本体にメカニカルキイの少くともキイプレート部を収納するメカニカルキイ収納部を形成し、該メカニカルキイ収納部にメカニカルキイを挿,脱自在に収納した電子キイにおいて、前記メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させ、かつ、その開口部をキイ本体の後端面に形成する一方、メカニカルキイのキイヘッドに前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成すると共に、該キイヘッドの後縁にホルダー連結用孔を形成するブリッジ片を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体の前記他側寄りに突出する位置に設け、キイ本体をその厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成してこれらアッパーカバーとロアカバーとを嵌合固定し、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設け、キイ本体内には、メカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差する方向に摺動自在に配設され、かつ、弾性部材により付勢されて、先端がメカニカルキイの側縁に設けた係止溝に噛合して該メカニカルキイを抜け止めするロックパウルを一方のカバー側でキイ本体の略中央部分に設けたことを特徴とする。 【0007】 【0008】 【0009】 請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のロックパウルはその下面又は上面に突出するロック解除ノブを備え、該ロック解除ノブを偏平形状としたキイ本体の厚み方向で2分割したロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置したことを特徴としている。 【0010】 請求項3及び4の発明にあっては、請求項1及び2記載のキイヘッドの後縁のブリッジ片は、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴としている。 【0011】 請求項5?10の発明にあっては、メカニカルキイのキイヘッドの張り出し部の少くとも他側部側にキイ本体の後端面と係合する係合部を形成する一方、キイ本体の後端面の前記係合部に対応する位置に凹部を設けたことを特徴としている。 【0012】 請求項11の発明にあっては、請求項5?10に記載のキイ本体の後端面の凹部は、キイ本体のメカニカルキイ収納部の開口部からキイ本体の後端面の中央部に延在する拡張部により形成され、張り出し部は前記拡張部に収容され、メカニカルキイはそのキイヘッドの後縁がメカニカルキイ収納状態でキイ本体の後端面と略面一に整合するように形成したことを特徴としている。 【0013】 請求項12の発明にあっては、請求項5?11に記載のキイヘッドの後縁のブリッジ片は、メカニカルキイ収納状態でキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出する位置に設けたことを特徴としている。 【0014】 【0015】 【0016】 【発明の効果】 請求項1に記載の発明によれば、メカニカルキイ収納状態では、該メカニカルキイのキイヘッドに設けたブリッジ片がキイ本体後端面の他側寄りに突出しているため、メカニカルキイのキイプレート部をメカニカルキイ収納部に沿って収納する関係で比較的長尺状に形成されるキイ本体を、手の中で握持する場合でもキイヘッドのブリッジ片の突起感をそれほど生じさせることがなく、しかも、メカニカルキイのホルダー連結用孔を形成するこのブリッジ片がキイ本体の後端面中央の他側寄りに位置して、恰もキイ本体のキイホルダー等を掛着するホルダー連結片として見えるため意匠的効果を高めることができると共に、キイホルダー等があってもキイホルダー等はキイ本体の長手方向の後端に位置することになり、キイ本体を握持する時においても邪魔になることがない。 【0017】 また、メカニカルキイ収納部をキイ本体内の一側寄りに偏在させてあるため、キイ本体に内蔵する各種機能部品の配設レイアウトの自由度を高めることができる。 【0018】 更に、メカニカルキイのキイヘッドには、前記一側に対する他側方向に張り出す張り出し部を形成してあって、キイ中心軸線からのキイヘッドのレバー長を比較的大きく確保できることと、該張り出し部にブリッジ片が突設されてキイヘッドの握り面積を大きく確保できるため、メカニカルキイ使用時におけるキイ回転操作力を軽くすることができる。 【0019】 更に、キイ本体を厚み方向で2分割したアッパーカバーとロアカバーとで構成して、これら両カバーを嵌合固定するようにしてあるため、キイ本体内への各種機能部品の組付けを容易に行うことができる。 【0020】 また、メカニカルキイ収納部を一方のカバー側に設けてあるため、他方のカバー側はその略全体を機能部品の収納部分とすることができて、配設レイアウトの自由度を更に高めることができる。 【0021】 更に、メカニカルキイの収納状態では該メカニカルキイはロックパウルでロックして抜け止めされるため、該メカニカルキイの自然離脱をなくして品質感および信頼性を高めることができる。 【0022】 また、ロックパウルをメカニカルキイ収納部に収納状態のメカニカルキイのキイ中心軸線と交差方向に摺動自在として、その先端をメカニカルキイ側縁の係止溝に嵌合させるようにしてあって、該ロックパウルをキイ本体内の略中央部分に配置できるため、ロックパウルおよびその付勢用の弾性部材の配設レイアウトを容易に行え、かつ、弾性部材の配設長さを十分にとることができるため適切な付勢力に設定することができる。 【0023】 請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、ロックパウルのロック解除ノブを、偏平形状したキイ本体のロアカバー又はアッパーカバーに設けたスライド孔内に突出配置してあって、これらロック解除ノブおよびスライド孔を前記カバーの比較的広い表面部分に設定できるため、操作部分の大きさの設定自由度が大きく、指先でのノブ操作性を向上することができる。 【0024】 請求項3及び4に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、メカニカルキイ収納状態では該メカニカルキイのキイヘッドに設けたブリッジ片がキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出しているため、外観上左右対称に構成できて違和感を生じさせることがない。 【0025】 請求項5?10に記載の発明によれば、メカニカルキイ収納時にメカニカルキイのホルダー連結用孔からの捩り力が作用しても、張り出し部の他側部と凹部とが係合しているため、一側側のキイプレート部とメカニカルキイ収納部との係合と併せて前記捩り力を分散することができる。 【0026】 請求項11に記載の発明によれば、請求項5?10のメカニカルキイ収納部に収納したメカニカルキイのキイヘッドの後縁が、キイ本体の後端面と略面一に整合してブリッジ片のみがキイ本体の後端面から突出するようになるため、キイ本体とメカニカルキイとの一体感が得られて外観をより一層向上することができる。 【0027】 請求項12に記載の発明によれば、請求項5?11の発明の効果に加えて、メカニカルキイ収納状態では該メカニカルキイのキイヘッドに設けたブリッジ片がキイ本体後端面のキイ本体中心軸線上に突出しているため、外観上左右対称に構成できて違和感を生じさせることがない。 【0028】 【0029】 【0030】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。 【0031】 図1?6において、1は電子キイのキイ本体を示し、本実施形態では該キイ本体1を偏平形状としてその厚み方向で2分割した合成樹脂製のアッパーカバー2とロアカバー3とで構成し、これらアッパーカバー2とロアカバー3とを嵌合してビス4により締結固定してある。 【0032】 具体的には、前記アッパーカバー2とロアカバー3の各合わせ部分の周縁には、凹凸嵌着溝5を相互に設けてある一方、図6のキイシリンダKYのキイ挿入孔KH(回転スイッチ部)に差し込むキイ本体1の差し込み部6はロアカバー3の前端部に一体成形してあり、この差し込み部6の成形基部にソケット部7を、他方、アッパーカバー2の前端部には係止突起8を設け、該係止突起8をソケット部7に差し込み係合した上で前記凹凸嵌着溝5を相互に嵌着するようにしている。 【0033】 また、アッパーカバー2およびロアカバー3の後端部内には、キイ本体中心軸線01上にそれぞれボス部9,10を突設してある。 【0034】 前記ビス4による締結はこれらボス部9,10の部分で行われるが、本実施形態ではアッパーカバー2のボス部9を長大にしてナット11をモールド成形する一方、ロアカバー3のボス部10に貫通孔12を設け、これらボス部9,10を突き合わせた状態でロアカバー2側からビス4を貫通孔12に通して、ナット11に螺合,締結するようにしている。尚、ボス部9に直接ビス4を締結することも可能だが、ナット11を介して締結することにより、後述するホルダ連結用孔20にかかる力を確実に保持できる。 【0035】 キイ本体1内にはその一側に偏奇ってメカニカルキイ収納部15を前後方向に設けてその開口部16をキイ本体1の後端面に設定してある。 【0036】 開口部16はキイ本体1の後端面の中央部分に延在する凹部としての拡張部16aを備えている。 【0037】 17は前記メカニカルキイ収納部15に少くともキイプレート部17aが収納される金属製のメカニカルキイを示し、そのキイヘッド18にはキイ中心軸線02から前記一側に対する他側方向に略L字状にオフセットして張り出し、前記開口部16の拡張部16aに収容される係合部としての張り出し部18aを形成してある。 【0038】 キイヘッド18はその後縁がメカニカルキイ収納状態でキイ本体1の後端面と略面一に整合するように形成してあり、かつ、該キイヘッド18の後縁には図6のキイホルダーHLやタグ類を通して掛着するホルダー連結用孔20を形成するブリッジ片19を、メカニカルキイ収納状態でキイ本体中心軸線01上に突出する位置に突設してある。 【0039】 この実施形態では前記アッパーカバー2の内側の略全体に、図外のドアロック装置やトランクオープナー等を遠隔操作するキイレスモジュール13を嵌挿配設してあり、従って、前記メカニカルキイ収納部15およびその開口部16は、ロアカバー3側に寄せて形成してあり、前記キイレスモジュール13の下面でメカニカルキイ収納部15の上側を隔成し、またアッパーカバー2の後端に開口部16の上縁を形成するようにしている。 【0040】 前述のようにこの実施形態ではアッパーカバー2の内側にキイレスモジュール13を配設し、ロアカバー3の一側寄りにメカニカルキイ収納部15を設けてあるため、キイシリンダ側に設けた図外のアンテナコイルとの間で送受信を行ってID照合を行わせる回路チップ14は、このロアカバー3の内側の他側寄りに配設してある。 【0041】 そして、ID照合が適正であれば、自動車のインストルメントパネル等に設けられるイグニッションスイッチ部IGのキイシリンダKYの図外のロックが解除され、キイ本体1によりキイシリンダKYが回転可能になるようにしてある。 【0042】 また、このロアカバー3の内側にはメカニカルキイ収納部15の開口部16の近傍位置に、メカニカルキイ17を抜け止めするロックパウル21を配設してある。 【0043】 ロックパウル21はその両側縁に一体成形したガイド片22,22を、ロアカバー3に一体成形したガイドレール部23,23に係合して、メカニカルキイ収納部15に収納状態にある時のメカニカルキイ17のキイ中心軸線02と交差する方向に摺動自在に配設してあると共に、ロックパウル21の後端の突出ピン部21aに弾装した弾性部材としてのスプリング24によってパウル先端が常時メカニカルキイ収納部15内に突出するように付勢してあり、メカニカルキイ17をメカニカルキイ収納部15に所定位置まで差し込むと、パウル先端がメカニカルキイ17のキイプレート部17aとキイヘッド18との間の側縁に設けた係止溝25に落ち込んで該係止溝25に噛合し、メカニカルキイ17をロックして抜け止めするようにしてある。 【0044】 本実施形態では前記ガイドレール部23の一方をロアカバー3のボス部10の前側部に形成し、ロックパウル21を該ボス部10の前側部分に接して配設してある。 【0045】 ロックパウル21の下面にはロック解除ノブ26を突設してある一方、ロアカバー3の該ロック解除ノブ26に対応する部分には、該ロック解除ノブ26を収容するスライド孔27を形成してあり、ロック解除ノブ26をスライド孔27から外側に露出させて指先でロック解除ノブ26を操作してロック解除できるようにしてある。 【0046】 以上の実施形態の構造によれば、メカニカルキイ17はキイ本体1の後端面の開口部16に差し込むことにより該キイ本体1内のメカニカルキイ収納部15に収納されると共に、ロックパウル21により抜け止めされて、該キイ本体1内に一体的に保持される。 【0047】 そして、メカニカルキイ17の使用時は、ロック解除ノブ26を指先で押えてロックパウル21をスプリング24のばね力に抗してロック解除方向に摺動させれば、ロックパウル21の先端がメカニカルキイ17の側縁の係止溝25から外れて両者の噛合が解除され、メカニカルキイ17をそのキイヘッド18後縁のブリッジ片19を摘んでキイ本体1から容易に抜き出すことができる。 【0048】 ここで、メカニカルキイ17の収納状態では、該メカニカルキイ17のキイヘッド18に設けたブリッジ片19が、キイ本体1の後端面のキイ本体中心軸線01上に突出し、外観上左右対称に構成できて違和感を生じることがなく、しかも、メカニカルキイ17のホルダー連結用孔20を形成するこのブリッジ片19がキイ本体1の後端面中央に位置して、恰もキイ本体1のキイホルダーHL等を掛着するホルダー連結片として見えるため意匠的効果を高めることができ、特に、キイヘッド18の後縁をキイ本体1の後端面と略面一に整合させていて、ブリッジ片19のみがキイ本体1の後端面から突出するようになるため、キイ本体1とメカニカルキイ17との一体感が得られて外観をより一層向上することができる。 【0049】 そして、メカニカルキイ17のキイプレート部17aをメカニカルキイ収納部15に沿って収納する関係上で比較的長尺状に形成されるキイ本体1を、手の中で握持する場合でもキイヘッド18のブリッジ片19の突起感をそれほど生じさせることがなく、また、キイホルダーHL等があってもキイホルダーHL等はキイ本体1の長手方向の後端に位置することになり、キイ本体1を握持する時においても邪魔になることがない。そして、自動車のインストルメントパネル等に設けられるイグニッションスイッチ部IGのキイシリンダKYにキイ本体1の差し込み部6を差して、LOCK(OFF)位置からON位置・START位置へ回すときでも、キイホルダーHL等はキイ本体1後端におけるほぼ回転中心に位置することになり、キイホルダーHL等が回転操作の邪魔をすることがない。 【0050】 更に、メカニカルキイ17のキイヘッド18の張り出し部18aが、キイ本体1の後端面に凹部として形成された拡張部16aと収容・係合することにより、メカニカルキイ17収納時にメカニカルキイ17のホルダー連結用孔20からキイ本体中心軸線O1回りに捩り力が作用しても、張り出し部18aと拡張部16aとが係合しているため、一側側のキイプレート部17aとメカニカルキイ収納部15との係合と併せて前記捩り力を分散することができる。 【0051】 また、メカニカルキイ収納部15をキイ本体1内の一側寄りに偏在させてあって、キイ本体1内の中央部分を自由に使えるため、該キイ本体1に内蔵する回路チップ14やキイレスモジュール13およびロックパウル21等の機能部品の配設レイアウトの自由度を高めることができる。 【0052】 特に、本実施形態ではキイ本体1を厚み方向で2分割したアッパーカバー2とロアカバー3とで構成して、これら両カバー2,3を嵌合して締結固定するようにしてあるため、前記各種機能部品の組付けを容易に行うことができ、しかも、メカニカルキイ収納部15をロアカバー3側の一側寄りに設け、アッパーカバー2側はその略全体をキイレスモジュール13の収納部分としてあると共にロアカバー3側の他側を回路チップ14の収納部分としてあるため、前述の部品配設レイアウトの自由度をより一層高めることができる。 【0053】 また、ロックパウル21はロアカバー3の内側後端部の中央部分に配置してあるため、ロックパウル21およびその付勢用のスプリング24の配設レイアウトを容易に行え、かつ、スプリング24の配設長さを十分にとることができるため適切な付勢力に設定することができる。これにより、メカニカルキイ17をメカニカルキイ収納部15の一側側へ押し付けて、メカニカルキイ収納部15内でのガタツキを抑えられる。 【0054】 そして、このロックパウル21のロック解除ノブ26および該ロック解除ノブ26を露出配置するスライド孔27を、ロアカバー3の比較的広く余裕のある中央表面部分に設定できるため、操作部分の大きさの設定自由度が大きく、指先でのノブ操作性を向上することができる。 【0055】 また、ロック解除ノブ26およびスライド孔27、ビス4、並びにブリッジ片19により形成されたホルダー連結用孔20をロアカバー3の中央部分に略一直線上に設定できるため、これらが整然と並んで見栄えを向上できる。 【0056】 更に、ロックパウル21をロアカバー3のボス部10の前側部分に接して配設してあるため、メカニカルキイ17に抜き出し方向に過大な荷重が作用した場合、この荷重をロックパウル21を経由してビス4が芯材となったロアカバー3のボス部10で受けて大きな抗力が得られ、従って、メカニカルキイ17の不意の離脱を確実に抑制できて品質感および信頼性を更に高めることができる。 【0057】 一方、メカニカルキイ17のキイヘッド18には、一側方向に張り出して、前記メカニカルキイ収納部15の開口部16に設けた拡張部16aに収容される張り出し部18aを形成してあって、キイ中心軸線02からのキイヘッド18のレバー長を比較的大きく確保できることと、該張り出し部18aに前記ブリッジ片19が突設されてキイヘッド18の握り面積を大きく確保できるため、メカニカルキイ使用時におけるキイ回転操作力(操作トルク)を軽くすることができる。 【0058】 尚、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更は許容される。スプリング24は、例えば、ゴム等の弾性部材でもよく、また、必ずしもメカニカルキイ17の張り出し部18a全体が拡張部16aに収容されなくとも、張り出し部18aの他側寄り部分の一部がキイプレート部17aに平行に突出し、それに対応するようにキイ本体1の後端面にも拡張部16aに替わる凹部を設けてもよい。また、図1において鎖線で示すようにゴム部材RBの一部をロアカバー3内から拡張部16a側へ突出させてメカニカルキイ17のキイヘッド18の張り出し部18aに弾接しうるようにして、メカニカルキイ17を抜け方向に若干付勢することで、メカニカルキイ17のガタツキを抑えるようにしてもよい。 【0059】 そして、メカニカルキイ17は、ID照合での電子キイが作動しない時の緊急用のキイとして作用させるために、キイシリンダKYのキイ挿入孔KHにも差し込めるようになっているが、特に図外の自動車におけるグローブボックス等のロック装置のキイシリンダが施解錠できるようにしてあり、物品をグローブボックスに入れてメカニカルキイ17により施錠すれば、ID照合でのキイ本体1だけではグローブボックスを解錠することができないので、貴重品の保管ができるようになっている。 【0060】 尚、電子キイは上記実施形態で説明した自動車用に限らず、例えば、ID照合(電子キイ)で解錠できるものとして、個別金庫が複数収まった金庫室の入口ドアのロック装置があり、またメカニカルキイで解錠できるものとして各個別金庫のドアのロック装置、等が挙げられる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施形態を示すアッパーカバーを外した状態の平面図。 【図2】 図1のA-A線に沿う断面図。 【図3】 図1のB-B線に沿う断面図。 【図4】 本発明の実施形態のアッパーカバー側から見た斜視図。 【図5】 本発明の実施形態のロアカバー側から見た斜視図。 【図6】 本発明の実施形態の電子キイを自動車用のイグニッションスイッチ部に適用した斜視図。 【符号の説明】 1 キイ本体 2 アッパーカバー 3 ロアカバー 4 ビス 9,10 ボス部 15 メカニカルキイ収納部 16 開口部 16a 拡張部 17 メカニカルキイ 18 キイヘッド 18a 張り出し部 19 ブリッジ片 20 ホルダー連結用孔 21 ロックパウル 24 スプリング 25 係止溝 26 ロック解除ノブ 27 スライド孔 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2012-01-27 |
出願番号 | 特願平11-165682 |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(E05B)
P 1 41・ 853- Y (E05B) P 1 41・ 856- Y (E05B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 辻野 安人 |
特許庁審判長 |
鈴野 幹夫 |
特許庁審判官 |
仁科 雅弘 山口 由木 |
登録日 | 2004-04-16 |
登録番号 | 特許第3545647号(P3545647) |
発明の名称 | 電子キイ構造 |
代理人 | 豊岡 静男 |
代理人 | ▲廣▼瀬 文雄 |
代理人 | ▲廣▼瀬 文雄 |
代理人 | ▲廣▼瀬 文雄 |
代理人 | 豊岡 静男 |
代理人 | 豊岡 静男 |