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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  B01F
管理番号 1251858
審判番号 無効2009-800161  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-07-23 
確定日 2012-02-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3767993号発明「粉粒体の混合及び微粉除去方法並びにその装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3767993号の請求項4に係る発明についての特許を無効とする。 特許第3767993号の請求項1ないし3に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その4分の3を請求人の負担とし、4分の1を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3767993号の請求項1?4に係る発明についての出願は、平成10年1月17日に出願され、平成18年2月10日に、その発明について特許権の設定登録がされたものである。
これに対し、請求人株式会社カワタから平成20年5月20日付けで無効審判の請求(「無効2008-800092」、以下「先の無効審判」という。)がなされ、平成21年4月28日に審決(以下、「先の審決」という。)がなされた。先の審決の結論は
「特許請求の範囲についてする訂正のうち、請求項1に係る訂正、請求項2に係る訂正及び請求項3に係る訂正、並びに明細書についてする訂正のうち、段落【0010】、【0011】及び【0013】に係る訂正を認める。
特許第3767993号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。
特許第3767993号の請求項2ないし4に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その4分の3を請求人の負担とし、4分の1を被請求人の負担とする。」というものである。

その後、請求人から、先の審決のうち、「特許第3767993号の請求項2ないし4に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 」との部分の取り消しを求めて、平成21年6月2日付けで知財高裁へ訴訟が提起「(「平成21年(行ケ)第10142号審決取消請求事件」、以下「142号事件」という。)され、被請求人から、先の審決のうち、「特許第3767993号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。」との部分の取り消しを求めて、平成21年6月8日付けで知財高裁へ訴訟が提起「(「平成21年(行ケ)第10149号審決取消請求事件」、以下「149号事件」という。)された。

上記142号事件については、平成22年3月29日に
「1 特許庁が無効2008-800092号事件について平成21年4月28日にした審決中「特許第3767993号の請求項4に係る発明についての審判請求は,成り立たない」との部分を取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。」との判決が言い渡された。
なお、この判決に対し、請求人は平成22年4月9日付けで上告受理申立てたが、同年9月24日に最高裁判所により「1 本件を上告審として受理しない。2 申立費用は申立人の負担とする。」との決定(「平成22年(行ヒ)第283号」)がなされ、上記判決は確定した。

また、上記149号事件については、被請求人より訂正審判(「訂正2009-390108」)が請求され、知財高裁において平成21年10月8日に差戻し決定がなされ、特許法第134条の3第5項の規定により先の無効審判において、かかる訂正審判の請求書に添付された訂正明細書を援用した、訂正の請求がされたものとみなされて、特許庁において現在継続している。

そして、新たに平成21年7月22日付けで請求項1?4に係る発明の特許について、本件無効審判の請求がなされたところ、その後の手続の経緯は、次のとおりである。

答弁書: 平成21年10月13日
訂正請求書: 平成21年10月13日
口頭審理陳述要領書(請求人): 平成22年 5月12日
口頭審理陳述要領書(被請求人): 平成22年 5月14日
口頭審理陳述要領書(2)(請求人): 平成22年 5月28日
口頭審理: 平成22年 5月28日
上申書(被請求人): 平成22年 6月14日
上申書(請求人): 平成22年 6月28日
上申書(請求人): 平成22年 7月 8日

第2 訂正請求について
1.訂正の内容
平成21年10月13日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、本件特許第3767993号の明細書を、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、訂正請求書に添付した明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものであって、その内容は以下のとおりである。 (下線は、特許明細書からの訂正部分を示す。)
なお、本件の訂正請求は、先の無効審判(無効2008-800092)における請求項2に係る訂正及び請求項3に係る訂正、先の訂正審判(訂正2009-390108)における請求項1に係る訂正と同じ内容とするものである。

訂正事項a
a-ア.特許請求の範囲の【請求項1】を、
「流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにする操作を繰り返しながら行なう粉粒体の混合及び微粉除去方法において、
流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにすることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去方法。」
と訂正する。
a-イ.【請求項2】を、
「排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。」
と訂正する。
a-ウ.【請求項3】を、
「排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の縦向き管の下端部に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けるとともに、前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。」
と訂正する。

訂正事項b
b-ア.明細書の段落【0010】を、
「上記目的を達成するため提案された請求項1記載の発明は、流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにする操作を繰り返しながら行なう粉粒体の混合及び微粉除去方法において、流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにすることを特徴とする。」
と訂正する。
b-イ.段落【0011】を、
「また、請求項2記載の発明は請求項1記載の方法を実施する装置であって、排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴としている。」
と訂正する。
b-ウ.段落【0013】を、
「請求項3記載の装置は、排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の縦向き管の下端部に接続された一時貯留ホッパーとからなり、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けるとともに、前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなることを特徴とする。」 と訂正する。

2.本件訂正の適否についての当審の判断
2-1.訂正事項a-ア.(請求項1に係る訂正)について
訂正事項a-ア.は、特許請求の範囲の【請求項1】の「流動ホッパ-」について「前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり」との限定を付加し、「流動ホッパーへの材料の輸送は、前回輸送の混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始する」を「流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始する」と限定したものであり、かかる限定した点は、明細書の段落【0031】、【0032】に記載された事項である。
したがって、訂正事項a-ア.は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

2-2.訂正事項a-イ.(請求項2に係る訂正)について
訂正事項a-イ.は、特許請求の範囲の【請求項2】の「流動ホッパー」について「前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、」との限定を付加し、「材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けてなる」を「前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなる」と限定したものであり、かかる限定した点は、明細書の段落【0031】、【0032】及び図1、図3に記載された事項である。
したがって、訂正事項a-イ.は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

2-3.訂正事項a-ウ.(請求項3に係る訂正)について
訂正事項a-ウ.は、特許請求の範囲の【請求項3】の「流動ホッパー」について「前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、」との限定を付加し、「材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けてなる」を「前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなる」と限定したものであり、かかる限定した点は、明細書の段落【0031】、【0032】及び図1、図3に記載された事項である。
したがって、補正事項a-ウ.は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

2-4.訂正事項b-ア.?b-ウ.(明細書の段落【0010】、【0011】及び【0013】に係る訂正)は、上記補正事項a-ア.?a-ウ.と整合を図るとともに特許請求の範囲の記載と整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

3.まとめ
したがって、本件訂正の訂正事項a-ア?a-ウ及び訂正事項b-ア?b-ウは、特許法第134条の2第1項のただし書き、及び、同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。

第3 本件特許発明
上記のとおり、平成21年10月13日付けの訂正請求による訂正については、訂正事項a-ア?a-ウ(請求項1ないし請求項3に係る訂正)は認められることから、特許第3767993号の請求項1?3及び4に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明3」及び「本件特許発明4」という。)である。
なお、請求項2及び請求項3についての訂正は、先の審決における訂正内容と同じであり、請求項4については、先の審決における訂正が削除されて本件特許第3767993号の特許請求の範囲の請求項4のままである。
「【請求項1】
流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにする操作を繰り返しながら行なう粉粒体の混合及び微粉除去方法において、
流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにすることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去方法。
【請求項2】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。
【請求項3】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の縦向き管の下端部に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けるとともに、前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。
【請求項4】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の少なくとも縦向き管が挿入されるとともに、流動ホッパーの出入口の下部に直接または間接に設けた一時貯留ホッパーとからなり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けるとともに、
流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されていることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。」

第4 請求人の主張の概要
請求人は、「特許第3767993号の請求項1?4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として甲第2?42号証を提出し、審判請求書、口頭審理(口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要領書(2)及び第1回口頭審理調書を含む)及びその後の上申書における主張を整理すると、概ね次のとおり主張している。なお、甲第1号証は、本件特許公報である。

無効理由
本件訂正発明1?3及び本件特許発明4は、本件特許出願前に公然実施された発明及び刊行物1?刊行物5(甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証)に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。よって、本件特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。

上記無効理由についての具体的内容は次のとおりである。
(1)本件訂正発明1?3について、(i)公然実施発明を主引用例として、(ii)刊行物4(甲第15号証)に記載された発明を主引用例として、(iii)刊行物1(甲第2号証)又は刊行物2(甲第3号証)に記載された発明を主引用例として、公然実施された発明及び刊行物1?刊行物5に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものである。
(2)本件特許発明4について、刊行物3(甲第4号証)を主引例として、公然実施された発明及び刊行物3に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものである。

第5 甲各号証の記載事項
甲第2?42号証には、それぞれ次の事項が記載されている。

1.甲第2号証:特開平9-155171号公報
(甲2a)「【請求項2】上部に、エアー吸引口を形成するとともに、その底面には、材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されていて、その連結部の下方には、上記材料排出専用管の下端側が連結されてなる、材料混合タンクと、
エアーを吸引するエアー吸引手段と、
粉粒体材料を貯留した材料貯蔵ホッパーなどの材料供給源と、
上記材料混合タンクのエアー吸引口と上記エアー吸引手段とを接続するエアー配管と、
上記材料供給管と上記材料供給源とを接続する材料輸送配管とを備え、
上記材料供給兼排出管の一端に、気密性を有する材料収容手段の材料投入口を接続し、
上記エアー吸引手段を作動して、粉粒体材料を上記材料供給源より材料混合タンク内に供給しつつ、気流混合させながら、上記材料排出専用管から、順次、上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出し、
エアー吸引の停止後は、上記材料供給兼排出管から混合済みの粉粒体混合材料を上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出する構成とした、粉粒体材料の気流混合装置。」(【特許請求の範囲】)
(甲2b)「【請求項3】上記材料混合タンク内の所定の位置に、上記材料混合タンク内に貯留された上記混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するためのレベル計を更に備え、
上記レベル計の検出結果に基づいて、エアー吸引手段を作動または停止して、上記材料供給源から上記材料混合タンク内への粉粒体材料の供給量を制御する、請求項1または2に記載の粉粒体材料の気流混合装置。」(【特許請求の範囲】)
(甲2c)「そこで、本出願人は、このような問題を解決するために、実開平3-32936号公報(実願平1-91342号)において、気流混合装置を提案している。図5は、従来の気流混合装置を概略的に示す全体構成図であり、図6は、図5に示す気流混合装置の材料混合タンクを中心に示す断面図である。この気流混合装置101は、材料混合タンク111と、混合する粉粒体材料(材料源)A、B、Cが、各々、収容された材料供給源105a、105b、105cと、エアーを吸引するブロアまたは真空ポンプ等のエアー吸引手段121と、エアー配管122と、材料輸送配管123と、材料混合タンク111の下方に接続して設けられ、粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体102内へ供給し且つ材料混合タンク本体102内で混合される粉粒体混合材料を排出するための材料供給兼排出管115と、材料供給兼排出管115の下方に接続され、材料混合タンク本体102内で混合される粉粒体混合材料を貯留するホッパー等の粉粒体混合材料収容容器104とを備えている。
材料混合タンク111は、上蓋112と混合タンク部113とを備える材料混合タンク本体102と、上蓋112と混合タンク部113との間に設けられた混合用補助フィルター114と、上蓋112の上部に形成されたエアー吸引口112hと、混合タンク部113の底部に設けられ、混合する粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク102内に供給し、且つ、材料混合タンク本体102内で混合された粉粒体混合材料を粉粒体混合材料収容容器104に排出するための材料供給排出用孔部113hとを備えている。
材料混合タンク111の上蓋112に形成されたエアー吸引口112hには、エアー配管122が接続され、エアー配管122の端部には、エアー吸引手段121が接続されている。材料供給兼排出管115は、縦方向の第1の管部115aと、管部115aの上端部から下方へ一定距離下がった位置に横方向に形成された第2の管部115bとを有する分岐管構造となっている。そして、第1の管部115aは、その上端部が材料供給排出用孔部113hに接続され、下端部が粉粒体混合材料収容容器104に接続されており、また、第2の管部115bの先端部は、材料輸送配管123に接続されている。」(段落【0003】?【0005】)
(甲2d)「本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、本発明の第1の目的は、エアー吸引手段を停止させることなく、混合済みの粉粒体混合材料を排出することのできる気流混合装置、換言すれば、粉粒体材料の混合と同時進行的に並行して、混合済みの粉粒体混合材料を排出することのできる気流混合装置を提供することにある。」(段落【0013】)
(甲2e)「ここで、「気密性を有する材料収容手段」は、材料収容手段が気密性を有するものであれば、特に限定されることはなく、例えば、気密性を有する、押し出し成形機等の材用収容部や、気密性を有する、貯留容器(ホッパー等)等が該当する。」(第4頁第5欄9行?13行、段落【0017】)
(甲2f)「請求項3に記載の粉粒体材料の気流混合装置では、レベル計を更に備えているので、レベル計によって、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出し、材料供給源から材料混合タンクへの粉粒体材料の供給量を制御してので、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、気密性を有する材料収容手段側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる。」(段落【0029】)
(甲2g)「上記気流混合装置1は、エアー吸引手段21により吸引されるガスが、防塵フィルター24を通して、材料輸送配管23内に入り、ガス吸引手段21から、バックフィルター25により、ダストが除去された後、ワンパス式に、大気中へ放出されるようになっている装置の例を用いた」(第6頁第10欄32行?37行、段落【0043】)
(甲2h)「(発明の実施の形態2)図4は、本発明の要部である材料混合タンクの好ましい他の一例を示す概略的な断面図である。尚、この発明の実施の形態2に示す粉粒体材料の気流混合装置の全体構成図は、材料混合タンクの構成が、図1に示す材料混合タンク11の構造と異なっている以外は、同様であるので、以下の説明においては、図2に示す部材装置に相当する装置部材には、同一の参照符号を付して、図4及び図2を用いながら説明する。 この気流混合装置の材料混合タンク51は、上蓋12と混合タンク部13とを備える材料混合タンク本体2と、上蓋12と混合タンク部13との間に設けられた混合用補助フィルター14と、上蓋12の上部に形成されたエアー吸引口12hと、混合タンク部13の底面に形成され、粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体2内に供給し、且つ、材料混合タンク本体2内で得られる粉粒体混合材料を材料混合タンク本体2から排出するために設けられた第一の孔部(エアー吸引手段21の作動時には、主として、粉粒体材料の入口として機能し、エアー吸引手段21の停止時には、粉粒体混合材料の出口として機能する孔部)52h1と、材料混合タンク本体2の底面に、第一の孔部52h1より上方に形成され、材料混合タンク本体2内で混合された混合済みの粉粒体混合材料を材料混合タンク本体2から排出するための第二の孔部(粉粒体混合材料の排出口)52h2と、第一の孔部52h1に、上端が接続して設けられ、且つ、下端が、気密性を有する材料収容手段の材料投入口(この例では、成形機などの粉粒体材料加工機器27の材料投入口27a)に接続された、ほぼ垂直に降下する材料供給兼排出管53と、この材料供給兼排出管53の所定の位置で横方向に連結された材料供給管54と、第2の孔部52h2に、上端が接続され、且つ、下端が、材料供給兼排出管53に、材料供給兼排出管53と材料供給管54との連結部55より下方の、且つ、材料供給兼排出管53の下端との間の位置56で接続された材料排出専用管57とを備えている。」(第7頁第11欄7行?41行、段落【0045】?【0046】)
(甲2i)「25は、バックフィルターを、26は、材料混合タンク本体2内の所定の位置に取り付けられ、材料混合タンク本体2内に貯留堆積する混合済みの粉粒体混合材料の量を計測するレベル計を、各々、示している。
尚、このレベル計26は、材料混合タンク本体2内の所定の位置に設けられており、材料混合タンク本体2内に貯留された混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するようになっている。」(第7頁第12欄9行?17行、段落【0049】?【0050】)
(甲2j)「エアー吸引手段21によって生成された吸引空気の流れによって、材料輸送配管23、材料供給管54及び材料供給兼排出管53の上管部53aを通って、材料供給源5a、5b、5cの各々から粉粒体材料A、B、Cの各々が、所定の割合で材料混合タンク本体2内に送り込まれる。材料混合タンク本体2内に送り込まれた粉粒体材料A、B、Cは、更に、材料混合タンク本体2の上部に設けられたエアー吸引口12h側へエアーとともに引き込まれようとするが、材料混合タンク本体2の上部には、混合用補助フィルター14が設けられているので、このフィルター14に当り、エアーのみがエアー吸引手段21によって引かれていく。
材料混合タンク本体2内に送り込まれた粉粒体材料A、B、Cには、順次、材料混合タンク本体2内に引き込まれる粉粒体材料A、B、Cが加えられて、材料混合タンク本体2内で上昇、落下を繰り返すことによって、エアーの気流により均一に混合(気流混合)され、粉粒体材料の各々が所定の割合で均一に混合された粉粒体混合材料となる。」(段落【0052】?【0053】)
(甲2k)「材料供給兼排出管53の下端は、直接、気密性を有する材料収容容器の材料投入口(この例では、粉粒体材料加工機器27の材料投入口27a)に接続されているので、粉粒体材料加工機器27の内部に充填された粉粒体混合材料が加工排出されると、その排出量に相応する分量の混合済みの粉粒体混合材料が、順次、粉粒体材料加工機器27の内部へ排出される。」(段落【0054】)
(甲2l)「一方、エアー吸引手段21を停止状態にすると、材料混合タンク本体2内において、気流混合され、材料混合タンク本体2内に浮遊回遊していた粉粒体混合材料が、一斉に、落下するが、このときには、材料排出専用管57の他に、材料供給兼排出管53内へも、粉粒体混合材料が、直接、落下し、排出される。」(第8頁第13欄39行?44行、段落【0057】)
(甲2m)「また、この気流混合装置において、レベル計26の検出結果に基づいて、レベル計26が「空」と判断すれば、エアー吸引手段を作動し、材料供給源5a、5b、5cの各々から粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体2内へ供給し、レベル計26が「有り」と判断すれば、材料供給源5a、5b、5cから材料混合タンク本体2内への粉粒体材料の供給を停止させるようにして、制御すれば、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる。」(第8頁第14欄26行?38行、段落【0060】)
(甲2n)「尚、この例では、材料供給管55が、材料供給兼排出管53に横方向で連結されている例を示したが材料供給管55と材料供給兼排出管とのなす角度θを、鋭角であっても、鈍角であってもよい。」(第8頁第14欄39行?42行、段落【0061】、なお、前記「材料供給管55」との記載は、「材料供給管54」の明らかな誤記であるから、以下において、「材料供給管54」と記載されているものとする。)
(甲2o)「また、上記発明の実施の形態1、2では、材料排出専用管32の下端、材料供給兼排出管53の下端の各々が、成形機などの粉粒体材料加工機器27の材料投入口27aに接続されている例を示したが、これは、単に、好ましい具体例を示したに過ぎず、材料排出管32の下端、材料供給兼排出管53の下端の各々は、必ずしも、成形機などの粉粒体材料加工機器27の材料投入口27aに接続されている必要はなく、気密性を有する限り、材料貯留タンクや、ホッパー等に接続されていてもよいことを付記しておく。」(段落【0063】)
(甲2p)【図2】及び【図4】(第10頁)には、「本発明に係る粉粒体材料の気流混合装置の一例を概略的に示す全体構成図」及び「本発明の要部である材料混合タンクの他の一例を示す概略的な断面図」として、上記記載事項(甲2e)、(甲2g)及び(甲2f)の技術的事項が図示されており、【図4】において、「材料供給兼排出管53は垂直に設けられ、材料供給管54が材料供給兼排出管53に対して水平に接続されている」ことが見て取れる。(甲2q)【図6】(第11頁)には、「図5に示す気流混合装置の材料混合タンクを中心に示す断面図」として、上記記載事項(甲2c)の技術的事項が図示されている。
2.甲第3号証:実願平1-91342号(実開平3-32936号)のマイクロフィルム
(甲3a)「輸送管(10)を介して材料供給源(11)と接続した混合ホッパー(1)にガス導管(21)を介して吸引空気源(20)を接続し、この吸引空気源(20)のガス力により混合すべき材料を混合ホッパー(1)内に吸引輸送するとともに、
前記混合ホッパー(1)の材料の排出導通路(4)には下方から上方に向けて上り勾配の輸送短管(10a)を接続するとともに、排出導通路(4)の軸線(イ)と輸送短管(10a)の軸線(ロ)とが交差する角(θ)を鋭角としたことを特徴とする粉粒体の混合装置。」(実用新案登録請求の範囲、第1項)
(甲3b)「混合ホッパー(1)は、円筒状のホッパー本体部(1a)と、ホッパー本体部(1a)下部に連続形成したコニカル部(1b)と、ガス導管(21)と連通する接続管部(2)とからなっている。ホッパー本体部(1a)と蓋体(1c)との間には材料と輸送用気体とを分離するセパレーター(3)が設けてある。」(明細書第7頁19行?第8頁4行)
(甲3c)「輸送短管(10a)は、第1図の如く、他方の分岐管部(10c)を排出導通路(4)とした略Y字状管の一方の分岐管部(10b)と、複数の短管(14)、(15)、(16)とをフランジ(17)などにより連結している。しかし、このような構成に限定されるものではなく、輸送管(10)の先端部を直接に輸送短管(10a)部とし、該輸送短管(10a)部を垂直管とした他方の分岐管部(10c)に連結するなど任意に設計変更することができる。」(明細書第8頁11行?19行)
(甲3d)「セパレーター(3)で分離された排気ガスは、ガス導管(21)と吸引空気源(20)を経て系外にワンパス式に排出されるとともに、ダストはバッグフィルター等の集塵装置(24)で捕集される。」(明細書第8頁20行?第9頁3行)
(甲3e)「受部(5)のレベル計(7)が材料要求信号を発信したとき、吸引空気源(20)を稼働(オン)すると、各材料供給源(11)の計量機(12)・・・(12)が作動して、それぞれの設定値分の材料を輸送管(10)を介して混合ホッパー(1)に吸引輸送する。各材料供給源(11)の計量機(12)・・・(12)が作動停止後も吸引空気源(20)を所定時間稼働して、該混合ホッパー(1)内の各種材料を吸引空気源(20)のガス力で混合する。
吸引空気源(20)が稼働を停止すると、混合ホッパー(1)内の混合済材料は排出導通路(4)を経て受部(5)に排出される・・・。そして、受部(5)の材料のレベルが確認されて不足したとき、レベル計(7)が前述の材料要求信号を発信して上記動作を反復する。」(明細書第11頁18行?第12頁14行)
(甲3f)「さらに、混合ホッパー(1)内の材料は吸引空気源の吸引によるガス力の流動作用によって分級効果が生じ、ペレットや粉砕材等の混合すべき材料中に混入している微粉末成分は、セパレーター等によって材料と分離・除去して集塵装置で捕集され、混合済材料には前記微粉末成分がないため、混合材料の合成樹脂成形機のスクリューへの食い込みが安定するばかりか、その微粉末成分による成形不良が解消できる。」(明細書第13頁18行?第12頁6行)
(甲3g)「第1図」には「第1実施例の部分縦断面図」、「第2図」には「全体の概略正面図」が、それぞれ示され、上記記載事項(甲3b)?(甲3f)の技術的事項と共に、「混合ホッパー(1)のコニカル部(1b)は垂直の分岐管部(10c)とのみ接続され、更に分岐管部(10c)の下部は受部(5)と接続されている。」ことが見て取れる。
3.甲第4号証:特開平9-294926号公報
(甲4a)「下部に下向きに開口した供給口兼排出口を有し、上部に多孔板によって覆われたかたちの気体出口を有する混合槽と、前記供給口兼排出口を囲うと共に下端に排出口を有する案内ホッパーと、この案内ホッパーにこれを貫通するようにして設けられ供給管とを有しており、前記供給管の出口が上向きとなされ、この上向き出口が供給口兼排出口にその下方から粉粒体流出間隙を形成するようにして対向するようになされている粉粒体が気体の流れによって供給される混合装置。」(【請求項2】)
(甲4b)「前記気体出口5には排気管20を介して吸引装置20の吸引口が接続されている。」(段落【0009】、なお、この「吸引装置20」との記載は、「吸引装置19」の明らかな誤記であるから、以下においては、「吸引装置19」と記載されているものとする。)
(甲4c)「[第1の、発明の実施の形態の作用]次に、第1の、発明の実施の形態の作用を説明する。上記混合装置1を含むシステムは、メインスイッチを入れることによってシーケンサー・レベル検知器等の作用によって以下の作動を自動的に行う。第1定量供給機14は、設定時間内に設定量の第1の粉粒体を導管16に供給し、第2の定量供給機15は、前記と同一の設定時間内に設定量の第2の粉粒体を導管16に供給する。他方、吸引装置19が作動するので、導管16に供給された粉粒体は、導管16内を混合槽3に向かって流れる気体に乗って混合槽3に流入する。そして、その混合槽3内で気体によって撹拌・混合される。混合槽3に流入した気体は、気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排気される。その際、粉粒体内に混入していた微粉(粉粒体の次の処理・加工に悪影響を及ぼすもの)は、気体と共に気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排出される。なお、混合槽3に気体を流入させている間は、供給管12内の上向きの気体の流れによって粉粒体を上方に舞い上げて、粉粒体が供給口兼排出口4から流出しないようにすることが出来るものである。第1定量供給機14、第2定量供給機15からの粉粒体の供給が完了し、且つ、気体による混合が完了すると、吸引装置19が停止する。そうすると、供給管12、排出管8内を下から上に向かう気体の流れがなくなるので、粉粒体は自重により供給口兼排出口4・排出管8より流下して成形機9の貯留ホッパ-10に至る。」(段落【0010】)
(甲4d)「[第2の、発明の実施の形態](図3参照)
供給口兼排出口4を囲うようにして下端に排出口26を有する案内ホッパー25が混合槽3の下部に設けられ、この案内ホッパー25にこれを貫通するようにして供給管12が設けられ、この供給管12の出口28が上向きとなされ、この上向き出口28が供給口兼排出口4にその下方から粉粒体流出間隙29を形成するようにして対向するようになされている。なお、出口28の周縁は、供給口兼排出口4の縁部に吊り下げられた所要本の支持棒30に固定・支持されている。また、前記出口28の縁部は、排出される粉粒体がスムーズに粉粒体流出間隙29から流出するように、下方に向かって拡がったテーパー状となされている。
[第2の、発明の実施の形態の作用]次に、第2の、発明の実施の形態の作用を説明する。吸引装置19が停止するまでは、前記第1の、発明の実施の形態の作用と同様である。なお、吸引装置19が作動している間は、即ち、混合槽3に気体を流入させている間は、供給管12の出口28における上向きの気体の流れによって粉粒体を上方に舞い上げて、粉粒体が供給口兼排出口4から流出しないようにすることが出来る。吸引装置19が停止すると、供給管12の出口28において下から上に向かう気体の流れがなくなるので、粉粒体は自重により供給口兼排出口4、粉粒体流出間隙29を経て案内ホッパ-25内に至り、案内ホッパ-25の排出口26より排出される。」(段落【0011】?【0012】)
(甲4e)「【発明の効果】本発明は前記した如き構成によって以下の如き効果を奏するものである。<1>・・・<2>請求項2の発明によれば、高価な開閉ダンパーを使用することなく、混合槽に気体を流入させている間は、供給管の出口における上向きの気体の流れによって粉粒体を上方に舞い上げて、粉粒体が供給口兼排出口から流出しないようにすることが出来、他方、混合槽への気体の流入を停止することによって、粉粒体を自重により、供給口兼排出口、粉粒体流出間隙を経て案内ホッパーの排出口より排出することが出来る。<3>・・・」(段落【0016】、○内数字は< >で記載している。)
(甲4f)【図1】及び【図3】(第4頁)には、「本発明の、第1の実施の形態を示す簡略系統図」及び「本発明の、第2の実施の形態を示す要部縦断面図」として、上記記載事項(甲4b)?(甲4d)の技術的事項が図示されている。【図3】において、「供給管12は横向き管の先がL字状に曲げられ出口28が上向きとされている」こと、「混合槽3の供給口兼排出口4の径は、供給管の上向き出口28の径よりも若干大きく形成されている」ことが見て取れる。
4.甲第5号証:組立図(バルブレスローダ、図番SB3311061、96年8月9日作成)

5.甲第5号証の2:組立図(バルブレスローダ、図番SB3311061、96年8月9日作成、原本<出図手続を経た紙媒体としての図面>)
(甲5-2a)甲第5号証の2は、出図手続(保存されているCADデータをプリントアウトし、そのプリントアウトされた図面がコピーされ、その際に赤字で「出図」と表示され、紙媒体として保存される。)を経た図面である甲第5号証(組立図)の原本であり、赤字で「出図」と表示されている。
6.甲第6号証:注文書(確認用)((株)コーダ宛)
(甲6a)「発注日96/09/01、納期96/09/10」、「実納品日96/09/10」、「伝票番号SD001715-0」、
(甲6b)「製造番号 ITEMNo.」として「NN4800350 AD-2」、「製部品コード 品名・型式 材質/仕様書図番」として「バルブレスアドオンホッパー SB3311061」が記載されている。
7.甲第7号証:納品書(株式会社コーダから東京工場(株)カワタ宛、96年9月20日)
(甲7a)「品名」の項目の欄に「バルブレスローダ及びローダホッパー部品」「NN4800350」が記載されている。
8.甲第8号証:納品書(検収書)(株式会社カワタから(株)コーダ宛)
(甲8a)「伝票番号SD001715-1、発注日8年9月10日、納期8年9月10日」
(甲8b)「製造番号」が「NN4800350」、「ITEM-番号」が「AD-2」、「品名・型式 材質/仕様書図番」が「バルブレスアドオンホッパー SB3311061」と記載され、湯川、虫明の押印とともに96.9.26大橋の検収印がある。
9.甲第9号証:御見積書(株式会社カワタから株式会社ゼウス宛、平成8年7月23日)
(甲9a)「品名」の項目の欄に「<MD用成形材料受入乾燥供給設備>」と記載され、その「(御見積内訳)」として「8 乾燥ホッパー上アドオンホッパー ・型式 ADD-7C ・・・ ・付設 耐熱式レベル計」、「10 脱湿乾燥機ユニット ・型式 CDA-100UH/H100 ・・・ ・乾燥ホッパー部・・・」、「16 成形機取付用アドオンホパー ・型式 VL-420C(特殊-粉取りタイプ) ・ホッパー 1Lr SUS パフ200# ・付設-ガラス管、保温用ヒーター・・・」
(甲9b)
・・・図面・・・
10.甲第10号証:注文書(正)(株式会社ゼウスから(株)カワタ宛、発行日 96年8月7日)
(甲10a)「注文No.96-30034」、「納期期日1996年9月15日」
(甲10b)「品名および仕様」として「MD用成形材料受入乾燥供給設備 」
11.甲第10号証の2:注文書(正)、甲10(写し)の原本
12.甲第11号証:売上伝票(株式会社カワタから(株)ゼウス仙台工場製造部星野部長宛)
(甲11a)「請求日 8年10月21日」、「納入先 (株)ゼウス 仙台工場星野部長様」、「御注文書番号 96-30034」、「MD用成形材料受入乾燥供給設備」
13.甲第12号証:<INJ上ADDの件>と題する株式会社カワタの書面(東技課湯川直人から(株)ゼウス製造部中澤宛、96.10.28)
(甲12a)「現状のINJ上ADDのガラス管部のペレットの残留について下記が原因と考えられます。
・・・
[改造図]
挿入リングを追加しペレットの残留をなくす。」(第1頁)
14.甲第13号証:組立図(バルブレスローダ、図番SB3311061A、96年10月28日作成)
(甲13a)「10挿入リング」が図面に示されている。
15.甲第13号証の2:組立図(バルブレスローダ)、図番SB3311061A(原本:プリントアウトされ紙媒体として保存されていた図面)、1996年(平成8年)8月9日作成
16.甲第14号証:確認書(株式会社ゼウス技術部部長加納宣彦から大阪地方裁判所宛;株式会社カワタよりの質問についての回答、平成21年1月8日 (株)ゼウス 技術部 加納宣彦)
(甲14a)「質問(1) 貴社は,現在,当社の製造にかかる「バルブレスアドオンホッパ(粉取り用)を有していますでしょうか。
回答 複数台所有しています。」(第1頁)
(甲14b)「質問(2) 有している場合,その「バルブレスアドオンホッパ(粉取り用)」は,MD用成形材料受入乾燥供給設備(別紙1 売上伝票記載)を導入した時に,その一部として当社が販売したものでしょうか。
回答 はい、当時2台のバルブレスアドオンホッパを設備しました。」(第1頁)
(甲14c)「質問(3) 別紙2-1から2-3の写真は,平成20年11月21日,貴殿が,貴社の存する上記「バルブレスアドオンホッパ」について,撮影したものに間違いございませんでしょうか。
回答 間違いありません。私が撮影したものです。」(第1頁)
(甲14d)「質問(4) 上記「バルブレスアドオンホッパ(粉取り用)」の構造は,組立図(別紙3 製図年月日96.10.28)と同一でしょうか。異なる点がある場合には,ご指摘下さい。
回答 図面と同じものです。」(第2頁)
(甲14e)「質問(5) 貴社は,1999年に宮城県村田町に製造工場を設立され、従来の仙台工場から工場設備を移設されておりますが,その時,「バルブレスアドオンホッパ(粉取り用)」について,そのままの状態で,移設されましたでしょうか。あるいは,なんらかの構造の変化がありましたでしょうか。
回答 はい、レイアウトの関係で接続配管は変更していますが、バルブレスアドオンホッパーは、そのまま移設し、使用しています。」(第2頁)
(甲14f)「株式会社カワタから(株)ゼウス 製造部 星野部長宛の売上伝票 請求書No.MS480073、請求日 8年10月21日 御注文書番号96-30034、品名・型式 MD用成形材料受入乾燥供給設備」(別紙1)
(甲14g)別紙2-1?2-3として、「バルブレスアドオンホッパ」の写真、別紙3として、組立図が添付されている。
17.甲第15号証:特開平8-165021号公報
(甲15a)「【請求項4】粉粒体材料を貯留する密閉型の材料貯留タンクと、
このタンクの上部に、通気管を介して接続された、低い周波数の負の脈動振動波を発生する脈動空気振動波発生装置と、
上記タンクの下部に材料吸引管を介して接続され、粉粒体を貯蔵した材料投入ホッパーとを備えた脈動空気振動波を利用した粉粒体材料の吸引式輸送装置。」(【特許請求の範囲】)
(甲15b)「請求項4の脈動空気振動波を利用した吸引式輸送装置によれば、脈動空気振動波発生装置を稼働することによって、通気管とタンクと材料吸引管に負の脈動空気振動波が発生し、この負の脈動空気振動波によって、材料投入ホッパーから材料吸引管を介してタンク内に粉粒体が吸引輸送で供給され、このタンク内では、負の脈動空気振動波によって、粉粒体が噴水のように持ち上げられ、その後に落下する動作が繰り返されて混合が行われる。」(段落【0019】)
(甲15c)「そして、このような動作を繰り返し行うことによって、タンク2の下部の材料吸引管5から吸い上げられた粉粒体を飛散させることなく、比較的大きな噴水のように持ち上げては、落下を繰り返す一方、最初にタンク2内に吸引された粉粒体材料に、次にタンク2内に吸引されて来る粉粒体材料とを順次混合させながら、タンク2内に充填することが出来る。混合する場合において、・・・、撹拌羽根がない状態で混合し、この撹拌羽根による混合で生じる粉粒体材料の無い空隙部が生じることがなく、また、バッチ式とは異なり、吸引輸送しながら混合するので、タンク2の充填量が増大する。
尚、・・・このフィルター14は、多孔板で形成され、粉粒体材料と粉とが分離される。また、タンク2とロータ弁9との間に集塵フィルター15が介在されているので、この集塵フィルター15によって、タンク2内からロータ弁9に向けて吸引用の脈動空気振動波とともにロータ弁9側に移動した塵などが、この集塵フィルター15で空気と塵などとに振り分けられる・・・。」(段落【0031】?【0032】)
(甲15d)「図7は、分解、交換可能なタンク2を示すものであって、このタンク2は、交換することによって、粉粒体材料のバッチ量を変えることができる。また、タンク2の下部側にはダンパー13が設けられ、このダンパー13の下方に成形機(図示略)へ粉粒体材料を供給するための筒状の供給部21が設けられ、この供給部21の側部近傍箇所に混合後に成形機に供給される粉粒体材料の量を計量するためのレベル計22が配設されている。」(段落【0038】)
(甲15e)「ダンパーが手動ダンパーである場合には、粉粒体材料を成形機などに供給するとき、最初の1回目だけ閉鎖され、2回目以降は開状態とされる。また、供給部21に対し、負圧の影響がない場合と、最初の1回目をバージ処理材として使用する場合には、ダンパー13を設けなくともよい。尚、図7において、符号23は、成形機などに混合後の粉粒体材料を送り込むための回転押出しスクリュウである。」(段落【0040】)
(甲15f)【図1】には、本発明に係る粉粒体材料の吸引輸送装置の一実施例の構成図、【図7】には、ホッパーの下部にロータリーバルブを設けた例を示す構成図が図示され、タンク2の下部の供給部21には、上部に供給管、その下の位置にレベル計22が設けられていることが看取できる。
18.甲第16号証:空気流利用「エアロパワーホッパー」の混合・除粉、プラスチック成形技術、第14巻、第6号、p.15-19
(甲16a)「空気流を利用した,捕集ホッパ「エアロパワーホッパー」を開発した(写真1)。
この装置は,混合と除粉の2つの機能をもっている。・・・
原理
・・・,エアロパワーホッパーではホッパ内で気流を起こし,三次元上で材料を流動させることによって,均一な混合、そして理想的なペレットからの粉の分離,回収を行う。」(第15頁左欄2?14行)
(甲16b)写真1には、「エアロパワーホッパー」の概要が写されており、ホッパーには上部と下部に管が接続されている。
(甲16c)「1ライン配管上にロータリーフィーダーなどの計量機を配置する場合(「図2)。」(第16頁右欄12?13行)
(甲16d)図2には、パターン例の一つの態様が図示され、そこには、エアロパワーホッパーに複数の材料が投入されるラインが接続され、上部には粉を分離、回収するラインが接続されていることが窺える。
19.甲第16号証の2:国立国会図書館NDL-OPAC雑誌記事索引 詳細表示
(甲16-2a)「記事情報 論題 空気流利用「エアロパワーホッパー」の混合・除粉(プラスチック成形周辺機器の最新動向)・・・雑誌名 プラスチック成形技術 出版社 シグマ出版社 巻号・年月日 14(6)[1997.06]」
20.甲第16号証の3:空気流利用「エアロパワーホッパー」の混合・除粉、プラスチック成形技術、第14巻、第6号、平成9年6月1日、株式会社シグマ出版発行、p.15-19、(国立国会図書館に所蔵されていた刊行物5の写し)
21.甲第17号証:ホワイトボード記載プリント
(甲17a)「1.新ライン用樹脂供給設備
1)乾燥機
・・・
2)乾燥機から成形機(2台)への配管
・・・
2.コンテナ変更にともなう配管工事
・・・
・成形機上アドオンホッパーは粉除去仕様とする。」(第1?2頁)
(甲17b)

22.甲第18号証:打合議事録
(甲18a)「2.コンテナ変更に伴う配管工事
・・・
粉取り用ローダー 2台分手配」(第1頁)
23.甲第19号証:<仮>注文書(MS480072、平成8年7月23日 株式会社ゼウス 責任者星野富生から株式会社カワタ仙台営業所宛FAX。なお、○囲いの文字は、< >で記載、以下同じ。)
(甲19a)「品目 脱湿乾燥機 CDA-100」
24.甲第20号証:MS480072受注伝票(標準外)修正、発行日8年7月1日
(甲20a)「発注番号 MS480072 納期8.08.12 更新日8.07.24 発注先(株)ゼウス 仙台工場」、「請求品目 サイロ及び材料乾燥供給装置」、「NN4800350 システム機器」、「DA4800510 チャレンジャーII DA-100」並びに「DH4800400 乾燥ホッパ」(第1頁)
(甲20b)「受注品金額明細書、受注番号MS480072」(第2頁)
25.甲第21号証:MS480073受注伝票(標準外)修正、発行日8年7月1日
(甲21c)「発注番号 MS480073 納期8.08.12 更新日8.08.10 発注先(株)ゼウス 仙台工場」、「請求品目 サイロ及び材料乾燥供給装置」、「NN4800350 システム機器」、「DA4800510 チャレンジャーII DA-100」並びに「DH4800400 乾燥ホッパ」(第1頁)
(甲21b)「受注品金額明細書、受注番号MS480073」(第2頁)
26.甲第22号証:CD原料受入乾燥システム工事工程表 96年7月17日株式会社カワタ
(甲22a)「製造番号NN4800350 NE4800330」
27.甲第23号証:CD原料受入乾燥システム工事工程表 96年8月27日株式会社カワタ
(甲23a)「製造番号NN4800350 NE4800330」
28.甲第24号証:CD原料受入乾燥システムフローシート、「出図」1996.9.6株式会社カワタ
(甲24a)「製造番号 NN4800350」
29.甲第25号証:<損>作業依頼書兼CLAIM報告書、発行日96年10月28日
(甲25a)「<損>No.NN4800351」、「製造No.NN4800350 製造年月日96年9月1日 機種型式 CD原料受入乾燥SYSTEM 部品名INJ上ADD-VL」、「<損>理由(・・・)ADD-VL特殊の下部FLANG構造悪い為GLASS管内部にPELLETが滞留し近接SWが誤作動する。」
30.甲第26号証:図面(バルブレスローダ 挿入リング)図番SG3311229
(甲26a)「新設CDA-100UH/H-1305S10C」
31.甲第27号証:図面(バルブレスローダ サポート)図番SG3311063A
32.甲第28号証:フロー図イラスト
(甲28a)「新設CDA-100UH/H-1005S10C」
33.甲第29号証:フロー図イラスト(修正後)
(甲29a)「新設CDA-100UH/H-1005S10C」
34.甲第30号証:図面(原料乾燥装置、CDA100U/H100-5S10C)
35.甲第31号証の1:写真(ゼウス仙台工場に設置されている原料乾燥装置)平成21年10月27日、請求人従業員佐藤洋一撮影
36.甲第31号証の2:写真(ゼウス仙台工場に設置されている原料乾燥装置)平成21年10月27日、請求人従業員佐藤洋一撮影
37.甲第31号証の3:写真(ゼウス仙台工場に設置されている原料乾燥装置の「検査合格証」)平成21年10月27日、請求人従業員佐藤洋一撮影
38.甲第31号証の4:写真(ゼウス仙台工場に設置されている原料乾燥装置)平成21年10月27日、請求人従業員佐藤洋一撮影
(甲31-4a)「型式CDA100UH100-5S10C 製造番号DA4800510 ホッパ容量167l 製造年月9年9月」
39.甲第32号証:図番SB11061 FIGのプロパティ
(甲32a)「更新日時1996年8月10日、132908」
40.甲第33号証:図番SB11061A FIGのプロパティ
(甲33a)「更新日時1996年10月28日、155040」
41.甲第34号証:粉体工学用語辞典 第2版 48?51頁、102?103頁、112?115頁、380?383頁
(甲34a)「撹拌とは攪拌槽内にある流体や粉粒体を適当な攪拌羽根あるいは流体の強制流れを用いてかき混ぜることをいい,単位操作の一つである。攪拌操作の目的は,混合,分散,物質移動,反応,加熱・冷却などの諸操作を効率よく行うことであり,目的に応じた攪拌装置あるいは流動装置が使用される。」(第49頁「攪拌」の項))
(甲34b)「粉粒体の校合は,主として固体の状態にある二種類あるいはそれ以上の異なった性質の材料を,乾いた状態あるいはごく少量の液体成分が入った状態でそのまま混ぜ合わせて,組成について一様均質な状態を得ることの総括をさす。・・・」(第112頁「混合」の項)
(甲34c)「鉛直壁を有する容器内の粒子層に流体を下方より上向きに流すと,粒子層には上向きに流体抵抗力が作用する。流体の流速を増大させると,抗力も増大し,ある流速で抗力と下向きに作用する重力とが釣り合って,粒子層は浮遊状態(単に流動化ともいう)といい,・・・」(第381頁「流動化」の項)
(甲34d)「粒子群は,自重を他の力によって打ち消されているとき流動化状態にあり、流体(・・・)としての性質をもつ。・・・流動化状態は,さらにいくつかの特定の状態(・・・)に分類できる。均一流動化(・・・),気泡流動化(・・・),乱流流動化(・・・),高速流動化(・・・)の四つが分散系に固有の代表的な流動化状態である。・・・」(第382頁「流動化状態」の項)
(甲34e)「流動化状態」と題する図(第382頁右欄)には、「(a)固定層、(b)最小流動化、(c)均一流動化」の状態が示されている。
42.甲第35号証:世界科学大事典 199頁
(甲35a)「微小な固体粒子を垂直な上昇流中(・・・)に浮遊,すなわち流動させ,流動化の状態にある層を流動層という。」(第199頁「流動化」の項)
43.甲第36号証:大阪地裁侵害訴訟における原告第5準備書面
44.甲第37号証:確認書(平成20年2月15日株式会社松井製作所グローバル商品戦略センター知的財産室専任部長 瀧野孔延、平成20年2月14日株式会社カワタ知的財産権管理統括取締役 森畑秀則)
(甲37a)「1.特許第3767993号に記載されている装置に関して、松井製作所より次の2点の資料をカワタが持参して次回の打合わせをしたいとの要請があり、カワタは同意しました・
1)レベル計の動作が分かるもの。レベル計の動作を示すシーケンス図がよいかもしれ ない。
2)・・・
2.カワタの主張する「公然実施」に関して、松井製作所よりカワタに、松井製作所を納得させるのに必要な資料を提示して欲しいとの発言がありました。
・・・」
45.甲第38号証:確認書(平成20年3月10日株式会社松井製作所グローバル商品戦略センター知的財産室専任部長 瀧野孔延、平成20年3月10日株式会社カワタ知的財産権管理統括取締役 森畑秀則)
(甲38a)「1.カワタは特許第3767933号に関して、カワタが主張する「公然実施」であることを松井製作所に対して説得するのに必要とカワタが考える資料(・・・)を・・・・松井製作所に渡したあと、・・・説明しました。本資料は、カワタが平成8年に複数のバルブレスローダを含む機器システム一式(・・・)を一社に販売した際に制作された複数の資料のコピーであるとの説明がカワタからありました。・・・
・・・
4.松井製作所は、本資料に含まれている電気回路(シーケンス図)とホッパ図面からレベル計が、空杯(・・・)を検知することにより樹脂輸送機能が起動し、次にタイマーで材料供給が停止し、輸送エアーのみによる空運転モードになることを理解しました。すなわち、バルブレスローダに付属するレベル計の意味合いを確認しました。
・・・」
46.甲第39号証:大阪地裁侵害訴訟における原告第4準備書面
47.甲第40号証:大阪地裁侵害訴訟における被告第7準備書面
48.甲第41号証:公然実施発明の確認テストのビデオを収録したDVD
49.甲第42号証:公然実施発明の確認テスト

第6 被請求人の主張の概要
被請求人は、請求人の上記主張に対して、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、乙第1?11号証を提出し、答弁書、口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)及びその後の上申書における主張を整理すると、次のとおり反論している。

無効理由について
本件訂正発明1?3及び本件特許発明4は、本件特許出願前に公然実施された発明及び刊行物1?5に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものである。よって、本件特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものでない。

第7 乙各号証の記載事項
乙第1?11号証には、それぞれ次の事項が記載されている。
1.乙第1号証:対比表
2.乙第2号証:公然実施とされる資料に基づく確認テストを撮影したビデオを収録したDVD
3.乙第3号証:公然実施とされる資料に基づく確認テスト
(乙3a)「【テスト条件】
輸送配管:内径38mmのポリ塩化ビニル製のホースを使用
輸送距離:10m
動力源:冨士電機製リングブロワー
動力源定格出力:0.85kW
投入材料:ポリエチレン
投入材料の嵩比重:0.5
・・・
投入材料は定量を数回に分けて投入した。」(第4頁)
(乙3b)「流動状態確認テスト(第1回目)
・・・・
・材料の供給状態:100g(約170cc)を間歇的に2回投入
・輸送風量:通常輸送の風量
※ここでの“通常”とは、動力機を定格出力にて、テストフローでの負荷状態で使用した場合の風量で、機器設備時に通常使用される風量
輸送開始直後の状態
投入管より上部に貯留していた材料が輸送開始直後に、その風力によりホッパー部に設けたフィルターの上部に張り付き、大部分の材料が固定層となり流動していない。
固定層の下部は、わずかな量の材料のみが上下に浮遊しているのが確認できた。
材料投入(第1回目)
材料(ポリエチレン)を100g投入した。
材料投入(1回目)後の流動状態
投入された材料は風力によりホッパー上部に張り付き、最初にあった貯留材料と合体し、固定層の厚みが大きくなった。固定層部分は流動していない。
固定層の下部は、わずかな量の材料のみが上下に浮遊しているのが確認できた。
」(第6頁?第
4.乙第4号証:公然実施品において材料が流動しない理由について
5.乙第5号証:特開昭50-136775号公報
6.乙第6号証:「被請求人の答弁書における主張の要旨」
7.乙第7号証:「被請求人の補充した主張の要旨」
8.乙第8号証:「取扱説明書」(株式会社ゼウス仙台工場殿 CDA100U/H100-5S10C)
(乙8a)「製番DA4800510」及び「株式会社カワタ SEP.-6.1996の印」(表紙の次頁)
(乙8b)「原料輸送乾燥装置 取扱説明書」(表紙から2頁目)
(乙8c)「4.3 乾燥済原料輸送ローダ(VLローダ)取扱説明書 型式VL型」(第48頁)
(乙8d)「c.VLローダ
ローダーホッパ,金網,ガラス管,レベルスイッチ,排出ダンパより構成され、ローダーホッパ内の金網によりペレットと空気を分離します。
・・・
また、レベルスイッチには静電容量式近接スイッチを使用しており、原料が輸送され、ガラス管に取り付けている近接スイッチの位置に達すると、近接スイッチの働きによって次の原料供給を停止し、待機の状態になります。」(第51頁)
9.乙第9号証:広辞苑(第六版)岩波書店、第2957頁、「流動」の項
(乙9a)「[流動]ながれ動くこと。定まらず動くこと。」(第2957頁「流動」の項)
10.乙第10号証:公然実施とされる資料に基づく除粉効果確認テストを撮影したビデオを収録したDVD
11.乙第11号証:公然実施とされる資料に基づく除粉効果確認テスト

第8 当審の判断
1.公然実施発明について
請求人は、無効理由に係る公然実施された発明として、甲第5号証(組立図)に記載された「バルブレスローダ」を挙げ、請求人が該「バルブレスローダ」を製造して株式会社ゼウスに販売し、同社仙台工場に設置した旨を主張する。
1-1.甲第5号証に記載された「バルブレスローダ」の公然実施について
(一) 請求人が、甲第5号証に記載の「バルブレスローダ」を製造して株式会社ゼウス(「ゼウス」といい、以下、同様に「株式会社」は省略して記載する。)に販売し、これをゼウス仙台工場に設置したか否かについて検討する。
まず、経緯についてみてみると、
ア 平成8年7月10日、請求人は、ゼウスと材料乾燥供給装置納入の打合せを行い(甲第17号証、甲第18号証)、甲第17号証には「成形機上アドオンホッパーは粉除去仕様とする」(甲17a)と明記(ただし、議事録には明記はない)され、その概要がイラストとして図示(議事録にも明記されている)されている。
イ 平成8年7月23日、ゼウスに対し「御見積書」(甲第9号証)を提出し、その「<MD用成形材料受入乾燥供給設備>」の「(御見積内訳)」に「8 乾燥ホッパー上アドオンホッパー ・型式 ADD-7C ・付設 耐熱式レベル計」、「10 脱湿乾燥機ユニット ・型式 CDA-100UH/H100・乾燥ホッパー部」とともに「16 成形機取付用アドオンホパー ・型式 VL-420C(特殊-粉取りタイプ)」と記載されている(甲9a)。
ウ 平成8年7月23日、ゼウス(星野富生)は請求人(仙台営業所宛)に仮注文書がFAX(甲19a)され、平成8年7月24日(更新)、サイロ及び材料乾燥供給装置(NN4800350 システム機器、DA4800510 チャレンジャーII DA-100、DH4800400 乾燥ホッパを含む)についての受注伝票(受注番号MS480072)が作成されている(甲20a)。
エ 平成8年8月7日に、請求人は、ゼウスからMD用成形材料受入乾燥供給設備について正式に注文(注文No.96-30034、納期が1996年9月15日、MS480073<手塚>)を受け(甲第10号証)、平成8年8月19日、サイロ及び材料乾燥供給装置(NN4800350 システム機器、DA4800510 チャレンジャーII DA-100、DH4800400 乾燥ホッパを含む)についての受注伝票(受注番号MS480073)が作成されている(甲21a)。そして、工程表(甲第22号証、甲第23号証)によれば、大まかに8月12日から10月中旬の工事日程となっている。
オ 1996年(平成8年)8月9日に「バルブレスローダ」(図面番号SB 3311061、製造番号NN4800350、1996.8.26「出図」)の製図を作成している(甲第5号証)。
カ 甲第6号証のコーダ宛注文書(確認用)には、(甲6a)、(甲6b)によれば、請求人は、コーダに対し「NN4800350 AD-2」、「バルブレスアドオンホッパー SB3311061」の部品を注文(同年9月1日発注)し、甲第7号証及び甲第8号証の(甲7a)、(甲8a)及び(甲8b)によれば、請求人は、96年9月20日「バルブレスローダ及びローダホッパー部品」「NN4800350」の納品を受け、96年9月26日に「NN4800350」、「AD-2」の「バルブレスアドオンホッパー SB3311061」の部品について湯川、虫明、大橋が検収を確認している。
キ 1996年(平成8年)8月2日、システム機器「NN4800350」の「CD用原料受入乾燥システム」の概略の図面が製図され、平成8年9月6日に出図されている(甲24a)。
ク 平成8年10月21日に、請求人は、ゼウスに対し、仙台工場納入(注文書番号96-30034、請求MS480073)のMD用成形材料受入乾燥供給設備の売上伝票を渡している(甲11a)。
ケ 1996年(平成8年)10月28日に、「製造No.NN4800350」の「INJ上ADD-VL」についての「<損>作業依頼書兼CLAIM報告書」(<損>N0.NN4800351)が作成され(甲25a)、改造の図面(甲第13号証)が作成されている。

上記ア?ケによれば、請求人は、平成8年8月7日に、ゼウスからMD用成形材料受入乾燥供給設備について正式に注文(注文No.96-30034、MS480073<手塚>)を受け、平成8年8月19日、サイロ及び材料乾燥供給装置(NN4800350 システム機器、DA4800510 チャレンジャーII DA-100、DH4800400 乾燥ホッパを含む)についての受注伝票(受注番号MS480073)が作成されていること、また、請求人は、同年8月9日に製図された甲第5号証の組立図の図番SB3311061の「バルブレスローダ」を「バルブレスアドオンホッパ-」名で同年9月1日にコーダに対し注文し、1996年(平成8年)9月20日に納品を受け、同年9月26日に検収を行っていること、そして、請求人は、8月12日から10月中旬の工事日程の間にゼウス仙台工場に「MD用成形材料受入乾燥供給設備」を納入し、工事を行っていること、平成8年10月21日に、請求人は、ゼウスに対し、仙台工場納入(注文書番号96-30034、請求MS480073)のMD用成形材料受入乾燥供給設備の売上伝票を作成していること、などを窺い知ることができる。
ただ、上記ア?キの記載事項には、「バルブレスローダ」に関し、「バルブレスアドオンホッパー」(甲6b)或いは「成形機取付用アドオンホッパ-」(甲9a)と称しているが、甲7aをみれば、バルブレスローダ及びローダホッパー部品を併せてバルブレスアドオンホッパーと称し、成形機取付用アドオンホッパーについても、アドオンホッパーを設置する箇所別に称しているともみれなくもない。ただ、AD-2については、確かに2番目のホッパーと解することができるとしても、請求人が主張する乾燥機の上をAD-1、成形機の上をAD-2としているかについては、その後作成された甲第24号証のCD用原料受入乾燥システムの概要図面では、乾燥機用をAD-1、成形機用をINJ-NOと記入されていることから直ちに認めることはできない。また、成形機取付用アドオンホッパーについて「VL-420(特殊-粉取りタイプ」(甲9a)については、他にこの型式を記載した証拠は見当たらないし、「MD用成形材料受入乾燥供給設備」と称したり「サイロ及び材料乾燥供給装置」と称したり、いくつか整合しない記載もなくはない。
しかしながら、甲第11号証の売上伝票の注文番号96-30034は、甲第10号証の注文書の注文番号に対応し、該売上伝票の請求書No.MS480073は甲第21号証の受注伝票に整合し、その内に製造番号NN4800350のシステム機器が含まれており、甲第5号証の「バルブレスローダ」の製造番号と合致していること、そして、上記ケによれば、平成8年10月28日に、「製造No.NN4800350」の「INJ上ADD-VL」についての「<損>作業依頼書兼CLAIM報告書」(<損>N0.NN4800351)が作成され(甲25a)、改造の図面(甲第13号証)が作成され、その図面をみると、甲第5号証の図面の訂正であることは明白であることを参酌すると、甲第5号証の「バルブレスローダ」が平成8年9月?10月にゼウス仙台工場に設置されたものとみることができる。
なお、被請求人は、平成22年6月14日付け上申書(第3頁10行?第4頁末行)において、(i)図面の製造番号や内容を変更したり、出図も自由に設定できるので信用性に欠ける、(ii)取扱説明書(乙第8号証)にバルブレスアドオンホッパーの記載はなく、譲渡されたものはVLローダである、と主張している。
しかしながら、(i)については、図面や出図の変更が可能であることは否定はできないものの、明らかに変更した形跡やそのことを窺わせる根拠もない。また、(ii)については、確かに、異なる型式のものを掲載することは一般的ではないと考えられるが、これは、原料輸送乾燥装置の取扱説明書であること、ここに掲載されるVLローダは粉除去作用について何ら記載はなく、一方、甲第5号証の「バルブレスローダ」は粉取りの特殊な機能を備えたものであることから、上記VLローダが譲渡されたものとみることはできない。したがって、上記主張を直ちに認めることはできない。
(二)公然性については、ゼウスの従業員が請求人に対し特段秘密保持義務を負うという証拠はなく、請求人はゼウスに販売譲渡していることから、公然性を欠くものといえない。なお、この点について、これまでの書面において両者に争いはない。
(三)以上のことから、甲第5号証に記載された「バルブレスローダ」は公然実施された発明であるとみることができる。

1-2.甲第5発明(公然実施発明)
甲第5号証(組立図)に記載された「バルブレスローダ」について、組立図の名称(部品欄の各部位の名称を含む)及び図面に記載の「バルブレスローダ」の形状から、請求人の審判請求書(参考図1【説明図】)や被請求人が提出した請求人作成のゼウス仙台工場宛「取扱説明書」(乙第8号証)のVLローダについての記載事項(乙8d)を参酌して、その構造がどの様なものであるのか、みてみる。
なお、上記「取扱説明書」(乙第8号証)のVLローダを参酌した点について補足しておくと、甲第5号証の「バルブレスローダ」は、甲第9号証の見積書をみると、型式はVL-420C(特殊-粉取りタイプ)とあり、打ち合わせの資料である甲第17号証から粉除去仕様であることが窺えることや、形状からみて、乙第8号証のVLローダと同じとはいえないものの、同じVL型であることから、基本的な構成の部位の名称として参考にしたものである。
甲第5号証(組立図)の図面によれば、「バルブレスローダ」は、上部にエアー吸引口、下部に原料供給口を備えたSUS304製のローダホッパ1とシュート2から構成され、ローダホッパ1は、内部に円筒状の上側部分と逆円錐状の下側部分を有するフィルタを収容した円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部と、を備えるとともに、該ガラス管部には近接スイッチ(静電容量型)9が備えられ、シュート2には保温材6及びフレキシブルヒータ5が備えられている。
そして、近接スイッチの作動については、図面はもとより、提出された証拠には明確な記載は見当たらないが、甲第38号証の「確認書」によれば、「公然実施」に関する請求人の資料について被請求人は、「レベル計が、空杯を検知することにより樹脂輸送機能が起動し、次にタイマーで材料供給が停止し、輸送エアーのみによる空運転モードになるという、レベル計の意味合いを確認した」旨(甲38a)記載されている。かかる記載や技術常識からすれば、上記近接スイッチの作動は、従来のレベル計の安定供給を目的とした作動機能を有するものとみることができる。
また、この「バルブレスローダ」は、甲第9号証の「VL-420C(特殊-粉取りタイプ)」(甲9a)や甲第17号証の「成形機上アドオンホッパーは粉除去仕様とする。」(甲17a、b)との記載によれば、特殊-粉取りタイプであって粉除去機能を有するものといえる。
以上のことから、甲第5号証には、物として「上部にエアー吸引口、下部に原料供給口を備えたローダホッパとシュートから構成され、ローダホッパは、内部に円筒状の上側部分と逆円錐状の下側部分を有するフィルタを収容した円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部と、を備えるとともに、該ガラス管部には、空杯を検知することにより原料輸送機能を起動させる静電容量型近接スイッチが備えられ、シュートには保温材及びフレキシブルヒータが備えられた、粉除機能を有するバルブレスローダ。」の発明(以下、「甲第5装置発明」という。)、及び、方法として、甲第5装置発明における「エアー吸引口」、「円筒状の容器」及び「原料輸送」の図面上の構成からエアー吸引されて原料が円筒状容器に輸送されるなどといった通常の作動を勘案すれば「内部に円筒状の上側部分と逆円錐状の下側部分を有するフィルタを収容した円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートから構成されるバルブレスローダを用いた粉除去方法であって、原料供給口を介して円筒状の容器内に吸引され、粉除された原料がシュートに落下するものであり、ガラス管部に設けられた静電容量型近接スイッチにより空杯を検知することによって原料輸送機能を起動させる、原料の粉除去方法。」の発明(以下、「甲第5方法発明」という。)の2つの発明(「甲第5装置発明」と「甲第5方法発明」を併せて「甲第5発明」という。)が記載されていると認められる。

第9 無効理由についての判断
1.本件訂正発明1について
1-1.甲第5方法発明(公然実施発明)を主引例として
上記「第8 1.1-2.」で述べたとおり、甲第5方法発明は「内部に円筒状の上側部分と逆円錐状の下側部分を有するフィルタを収容した円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートから構成されるバルブレスローダを用いた粉除去方法であって、原料供給口を介して円筒状の容器内に吸引され、粉除された原料がシュートに落下するものであり、ガラス管部に設けられた静電容量型近接スイッチにより空杯を検知することによって原料輸送機能を起動させる、原料の粉除去方法。」というものである。
そこで、本件訂正発明1と甲第5方法発明を対比する。
甲第5方法発明の「原料供給口が横向きに接続された管路」は、機能や構造からみて、本件訂正発明1の「縦向き管と横向き管からなる供給管」に相当する。また、甲第5方法発明の「円筒状の容器」は、原料が該容器内に吸引されて、原料中の粉が除去されることから、該容器内では原料は流動しているものとみることができ、本件訂正発明1の「流動ホッパー」に相当し、該容器は、ガラス管を介して管路とのみ連通していることは明らかである。
また、甲第5方法発明の「静電容量型近接スイッチ」については、これが「円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と」の間のガラス管部に設けられていることからみて、「原料供給口」が横向きに接続された位置より上に該「近接スイッチ」が備わっているといえる。そして、これが「空杯を検知することによって原料輸送機能を起動させる」ものであるから、甲第5方法発明は、原料供給口の上部の静電容量型近接スイッチで空杯を検知して、原料輸送機能を起動させ、原料の輸送を開始させる、という動作を行うものといえる。この甲第5方法発明の動作は、本件訂正発明1の「材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線よりも下方に降下する前に開始するように」している点で共通している。そして、かかる動作については、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した材料が降下する際に行われることや、材料が降下する操作が繰り返して行われることは、上記した近接スイッチの機能或いは動作の形態から自明のことである。
そして、甲第5方法発明の「原料の粉除去方法」は、本件訂正発明1の「粉粒体の混合及び微粉除去方法」と「材料の粉除去方法」である点で共通している。
以上のことから、両者は「流動ホッパーと、縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、流動ホッパーの出入口は、前記供給管とのみ連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送し、その材料を落下する操作を繰り返しながら行なようにする粉除去方法において、流動ホッパー内への材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した材料が降下する際に材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする、材料の粉除去方法」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-1a:本件訂正発明1は、「流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け」ているのに対し、甲第5方法発明は「円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートから構成される」点
相違点1-1b:本件訂正発明1は「料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するように」し、「流動ホッパーの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」のに対し、甲第5方法発明は「原料供給口を介して円筒状の容器内に吸引され、粉除された原料がシュートに落下するものであ」り、「原料供給口が横向きに接続された位置より上に近接スイッチを備え、ガラス管部に設けられた静電容量型近接スイッチにより空杯を検知することによって原料輸送機能を起動させる」る点
相違点1-1c:本件訂正発明1は「粉粒体の混合及び微粉除去方法」であるのに対し、甲第5方法発明は「原料の粉除去方法」である点

そこで、これらの相違点を検討する。
(1)まず、相違点1-1bについて検討する。
(一)甲第5方法発明は、上記したとおり「円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートから構成されるバルブレスローダを用いた粉除去方法であって、原料供給口を介して円筒状の容器内に吸引され、粉除された原料がシュートに落下するものであ」る。この発明の技術内容に照らせば、甲第5方法発明の「バルブレスローダ」の「シュート」については、甲第5号証の図面や甲第17号証の記載事項(甲17a、b)によれば、上部がローダホッパに、下部が成形機に接続され、保温機能を具備させた排出管であることから、一般に「ホッパー」とは「一時貯蔵する漏斗状の装置」(「大辞泉」参照)であることを勘案すれば、この排出管である「シュート」が「ホッパー」であるとはいえない。また、該「シュート」は、結果として原料が溜まるとはいえ、「円筒状の容器」を含むローダホッパとシュート全体、特にローダホッパが原料の貯留に当てられるものであることから、該「シュート」が、一時貯留を目的とする本件訂正発明1の「一時貯留ホッパー」に相当するとみることはできない。このことは、甲第5方法発明の「バルブレスローダ」が甲第9号証の記載事項(甲9a)に記載されるように「容量が1Lのホッパを有する成形機上アドオンホッパ-(粉取り用)」のものであり、この「容量1Lのホッパ」が上記「円筒状の容器」に相当し、これが一時貯留ホッパーの機能を有していることからも明らかである。
してみると、甲第5方法発明には、本件訂正発明1の「流動ホッパー」と「一時貯留ホッパー」なる2つのホッパーを有した構造を備えたものということはできない。むしろ、甲第5方法発明は「流動ホッパー」と「一時貯留ホッパー」を兼用した円筒状の容器を備えた構造であるとみることができる。
そうすると、甲第5方法発明の「原料供給口が横向きに接続された位置より上に近接スイッチを備え、ガラス管部に設けられた静電容量型近接スイッチにより空杯を検知することによって原料輸送機能を起動させる」ことは、円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートからなる構成を前提としたものであって、本件訂正発明1の「吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する」ものとは前提において基本的な構成上の違いがあることは明らかである。
(二)ここで、本件訂正発明1の「流動ホッパーの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」(特定事項X)ことの技術的意義についてみておくと、
本件訂正明細書の段落【0005 】には「発明が解決しようとする課題」として「前記従来例の混合装置によれば、(イ)一時貯留ホッパー(チャージホッパー)には中程位置にレベル計を設けており、成形機が材料を消費して材料のレベルがレベル計の位置より下方に至れば混合ホッパーへの次回材料の輸送が開始されるようになっている。すなわち、次回材料が輸送される時には、輸送短管の出口とレベル計の位置との間には空間ができた状態になっている。そのような状態で輸送が開始されると材料の大部分は混合ホッパーへ吸引輸送されるものの材料の一部は未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に落下してしまうという問題が生じていた。」、段落【0008】には「そこで、本出願の請求項1と2に記載の発明は、上記(イ)に記載の問題を解消するために提案された発明であって、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的としている。」と記載されている。
これらの記載によれば、相違点1-1bにかかる本件訂正発明の特定事項Xの技術的意義は、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することにあるといえる。
一方、甲第5方法発明の「近接スイッチ」の技術的意義については、上記「第8 1.1-2.」で述べたとおり、「レベル計が、空杯を検知することにより樹脂輸送機能が起動し、次にタイマーで材料供給が停止し、輸送エアーにのみによる空運転モードになるという、従来のレベル計の安定供給を目的とした作動機能を有する」ものとみることができるのであって、他の証拠をみても本件訂正発明1の「材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止する」ために設けられたことを窺わせる記載も示唆も見当たらない。
この点について、請求人は、甲第17号証の下記イラスト図から、成形機上アドオンホッパー(右端)は供給口の箇所より上部は流動し、下部は残留していることが看取できるとして、甲第5方法発明にも上記目的を達成し得るものと主張している(平成22年6月28日上申書第18頁下から2行?第20頁3行)。
この主張のイラスト図は甲第5号証の組立図とは必ずしも一致するものではない上、これが事前検討におけるものであったとしても、吸引されると吸引口の上部の材料が円筒状の容器に吸引され、流動している様子を図示しているにすぎず、甲第5方法発明は材料が混合されるものではないことを勘案すれば、これを以て、直ちに本件訂正発明1の目的について認識があったとか、示唆されているとか云々することはできない。
(三)そこで、甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証及び甲第16号証をみてみる。
まず、甲第2号証には、記載事項(甲2a)、(甲2b)によれば「上部に、エアー吸引口を形成するとともに、その底面には、材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されていて、その連結部の下方には、上記材料排出専用管の下端側が連結されてなる、材料混合タンクと、・・・とを備え、上記材料供給兼排出管の一端に、気密性を有する材料収容手段の材料投入口を接続し、上記エアー吸引手段を作動して、粉粒体材料を上記材料供給源より材料混合タンク内に供給しつつ、気流混合させながら、上記材料排出専用管から、順次、上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出し、エアー吸引の停止後は、上記材料供給兼排出管から混合済みの粉粒体混合材料を上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出する構成とし、上記材料混合タンク内の所定の位置に、上記材料混合タンク内に貯留された上記混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するためのレベル計を更に備え、上記レベル計の検出結果に基づいて、エアー吸引手段を作動または停止して、上記材料供給源から上記材料混合タンク内への粉粒体材料の供給量を制御する、粉粒体材料の気流混合装置」が記載されているといえる。
この記載中の「レベル計」に関し、記載事項(甲2f)に「レベル計によって、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出し、材料供給源から材料混合タンクへの粉粒体材料の供給量を制御してので、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、気密性を有する材料収容手段側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる」と記載され、実施例として、記載事項(甲2m)に「この気流混合装置において、レベル計26の検出結果に基づいて、レベル計26が「空」と判断すれば、エアー吸引手段を作動し、材料供給源5a、5b、5cの各々から粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体2内へ供給し、レベル計26が「有り」と判断すれば、材料供給源5a、5b、5cから材料混合タンク本体2内への粉粒体材料の供給を停止させるようにして、制御すれば、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる」と記載されている。
これらの記載によれば、甲第2号証には、「材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されていて、その連結部の下方には、上記材料排出専用管の下端側が連結されてなる、材料混合タンク」と「上記材料混合タンク内の所定の位置に、上記材料混合タンク内に貯留された上記混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するためのレベル計を更に備え」た構造を有し、このレベル計が「空」と判断すれば、エアー吸引手段を作動し、材料供給源の各々から粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体内へ供給し、レベル計が「有り」と判断すれば、材料供給源から材料混合タンク本体内への粉粒体材料の供給を停止させるようにして、制御すれば、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できることが記載されている。この記載によれば、甲第2号証の「レベル計」は混合タンクに設けられているといえ、材料供給兼排出管より上方でレベル計の操作で吸引が開始されるものとみることができる。
しかしながら、甲第2号証の「混合タンク」は、「材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されて」いる構造が甲第5方法発明のローダホッパとシュートとの構造とは異なり、材料排出専用管は絶えず排出される構造となっている上、実施例では、排出管は直接成形機に接続されるものである。そして、混合タンクに設けられたレベル計の技術的意義は、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できるというものであって、そこには、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止するという本件訂正発明1の特定事項Xの技術的課題や技術思想についての開示も示唆も見当たらない。これらのことから、レベル計の位置は材料の安定供給の観点から決定付けられることに照らせば、そのレベル計の部分のみを取り出し甲第5方法発明に適用する必然性はないものと云わざるを得ない。
してみると、甲第2号証に記載された技術事項から、甲第5方法発明において、本件訂正発明1の特定事項Xを容易に導き出すことができるとはいえない。
次に、甲第3号証には、記載事項(甲3a)に「・・・混合ホッパー(1)の材料の排出導通路(4)には下方から上方に向けて上り勾配の輸送短管(10a)を接続する・・・粉粒体の混合装置」が記載され、記載事項(甲3e)によれば「受部(5)のレベル計(7)が材料要求信号を発信したとき、吸引空気源(20)を稼働(オン)すると、材料を輸送管(10)を介して混合ホッパー(1)に吸引輸送する。吸引空気源(20)が稼働を停止すると、混合ホッパー(1)内の混合済材料は排出導通路(4)を経て受部(5)に排出される」ことが記載されているといえる。
これらの記載によれば、受部(5)は混合ホッパーと輸送短管が接続される材料の排出導通路を介して接続されており、この受部(5)が一時貯留ホッパーの役割を果たしているとみることができたとしても、該受部(5)にレベル計を有する構成から、相違点1-1cに係る本件訂正発明1の「前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」ものでないことは明らかである。
そして、甲第3号証に開示されるように「混合ホッパー」と一時貯留ホッパーの役割を果たす「受部(5)」の構成が普通に知られているとしても、甲第5方法発明は、甲第9号証の記載事項(甲9a)に記載されるように「容量が1Lのホッパを有する成形機上アドオンホッパ-(粉取り用)」のものであり、そもそも成形機に接続されることを予定して設計・製造されたものであることからみると、シュートに「一時貯蔵ホッパー」を設けるという動機付けも見当たらない。仮に、一時貯留ホッパーを設けたとしても、混合ホッパーや一時貯留ホッパーの容量や排出量などからレベル計の位置は設計的に定められるものであることに鑑みれば、安定供給のためのレベル計を甲第5方法発明のガラス管の位置に備える必然性はないというべきである。
そして、甲第4号証には、記載事項(甲4c)によれば「シーケンサー・レベル検知器等の作用によって吸引装置19が作動するので、導管16に供給された粉粒体は、導管16内を混合槽3に向かって流れる気体に乗って混合槽3に流入し、混合槽3内で気体によって撹拌・混合され、粉粒体内に混入していた微粉は排出され、気体による混合が完了すると、吸引装置19が停止し、粉粒体は自重により供給口兼排出口4・排出管8より流下して成形機9の貯留ホッパ-10に至る」ことが開示されている。
しかしながら、「レベル検知器」の設置に関して何ら記載はなく、相違点1-1cに係る本件訂正発明1の「前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」ものであるか不明であり、しかも、上記記載によれば通常のレベル検知の操作であることから、上記甲第2号証について検討したと同様にレベル検知器が混合ホッパーに在るという必然的な理由も見当たらない。
さらに、甲第15号証には、記載事項(甲15d)に「タンク2の下部側にはダンパー13が設けられ、このダンパー13の下方に成形機(図示略)へ粉粒体材料を供給するための筒状の供給部21が設けられ、この供給部21の側部近傍箇所に混合後に成形機に供給される粉粒体材料の量を計量するためのレベル計22が配設されている。」こと、記載事項(甲15f)に「タンク2の下部の供給部21には、上部に供給管、その下の位置にレベル計22が設けられている」ことが記載されている。
これらの記載によれば、レベル計は、供給管の下方に位置しているため、甲第3号証のレベル計と同様であり、相違点1-1cに係る本件訂正発明1の「前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」ものでないことは明らかである。
また、甲第16号証には、「空気流を利用した,捕集ホッパ「エアロパワーホッパー」が混合と除粉の2つの機能をもっている」ことについて記載(甲16a?甲16d)されているが、レベル計については何ら記載はない。
(四)さらにまた、本件訂正発明1の「前回吸引輸送した混合済み材料」については、相違点1-1b及び相違点1-1dとも関連するが、この「混合」について着目すると、甲第5方法発明は、材料の粉除去装置であって、混合を意図したものでないことは明らかである。
そこで、甲第2号証及び甲第3号証をみてみると、そこには、上記(三)でみたとおり、甲第2号証には材料混合タンク、甲第3号証には混合ホッパーが開示されているように、混合ホッパー自体周知のものであり、また、甲第2号証には「上蓋と混合タンク部との間に混合用補助フィルタ-」(記載事項(甲2h))が設けられることが記載され、甲第3号証の記載事項(甲3d)の「ダストはバッグフィルター等の集塵装置(24)で捕集される。」、記載事項(甲3f)の「混合ホッパー(1)内の材料は吸引空気源の吸引によるガス力の流動作用によって分級効果を生じ、ペレットや粉砕材等の混合すべき材料中に混入している微粉末成分は、セパレーター等によって材料と分離・除去して集塵装置で捕集され、混合済材料には前記微粉末成分がない」との記載からみれば、甲第3号証発明においても、ダストや混合すべき材料中に混入している微粉末成分が除去される。そうすると、混合と微粉除去を備えた混合ホッパーもよく知られたものであるといえる。
しかしながら、甲第5方法発明のローダホッパは、粉取りを特別仕様としたホッパであることから、これを混合ホッパーとして用いることを予定するものでないから、これを直ちに混合ホッパーに変更しようとする動機付けはないといえる。
なお、本件訂正発明1の「混合」は、その操作の後に、混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにしていることから、これが1種類の材料の混合が含まれる余地が全くないともいえないが、混合された材料が得られることを意図したものである以上、これが二種類以上の材料の混合であるとみるのが自然である。また、請求人は、甲第5方法発明でも混合ができることの実験結果を提出して操作条件によって混合ができないとはいえないと主張するが、甲第5方法発明は二種類以上の材料の混合を意図したものでないことから、仮に混合できないとはいえないとしても、本件訂正発明1の「流動ホッパー」が「混合」を意図した流動であり、甲第5方法発明の「円筒状容器」が粉除去するものであることから、流動しているとはいえ、必ずしも本件訂正発明1の「流動」が甲第5方法発明についての上記「流動」と同程度の流動を意味するものとはいえず、甲第5方法発明には、材料を混合するものに変更しようとする動機付けはないことに変わりはない。
以上のことから、甲第5方法発明において、相違点1-1cに係る本件訂正発明1の特定事項を格別困難なく導き出すことはできない。
そして、本件訂正発明1は、相違点1-1cに係る構成を採用することにより、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止するという本件訂正明細書に記載の効果を奏するものといえる。

(2)したがって、本件訂正発明1は、甲第5方法発明と相違点1-1cにおいて相違し、かかる相違点1-1cについて、甲第5方法発明に甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明を適用することにより容易に成し得たものとはいえないから、他の相違点をみるまでもなく、本件訂正発明1は、甲第5方法発明及び甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

1-2.甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明を主引例として
甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明のいずれの発明を主引用にしても、上記「1-1.(1)」で検討したのと同様の理由により、本件訂正発明1の上記相違点1-1cに係る特定事項Xについて、他の証拠に本件訂正発明1の上記特定事項Xの技術的意義及び技術思想を見出すことはできないことから、甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明及び実施発明から、上記特定事項Xを導き出すことはできない。
そして、本件訂正発明1は、相違点1-1cに係る構成を採用することにより、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止するという本件訂正明細書に記載の効果を奏するものといえる。
したがって、本件訂正発明1は、甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明及び甲第5方法発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

1-3.まとめ
よって、本件訂正発明1は、公然実施された発明及び刊行物1(甲第2号証)、刊行物2(甲第3号証)、刊行物3(甲第4号証)、刊行物4(甲第15号証)、及び刊行物5(甲第16号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.本件訂正発明2について
2-1.甲第5発明(公然実施発明)を主引例とした場合について
甲第5装置発明は、上記したとおり「上部にエアー吸引口、下部に原料供給口を備えたローダホッパとシュートから構成され、ローダホッパは、内部に円筒状の上側部分と逆円錐状の下側部分を有するフィルタを収容した円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部と、を備えるとともに、該ガラス管部には、空杯を検知することにより原料輸送機能を起動させる静電容量型近接スイッチが備えられ、シュートには保温材及びフレキシブルヒータが備えられた、粉除機能を有するバルブレスローダ」というものである。
そこで、本件訂正発明2と甲第5装置発明を対比する。
甲第5装置発明のローダホッパを構成する「円筒状の容器」は、本件訂正発明2の「流動ホッパー」と「ホッパー」を有する点で一致し、甲第5装置発明の「原料供給口が横向きに接続された管路」、は、本件訂正発明2の「縦向き管」及び「供給管」を備える点で共通し、甲第5装置発明の「円筒状の容器」は「管路」とのみ連接した構造である。また、甲第5装置発明の「静電容量型近接スイッチ」は、これが「円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路との間のガラス管部に設けられていることから、原料供給口が横向きに接続された位置より上に近接スイッチが備わっているといえる。このことは、本件訂正発明2の「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された・・・充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けて」いることに相当する。そして、甲第5装置発明の「粉除機能を有するバルブレスローダ」は、本件訂正発明2の「粉粒体の混合及び微粉除去装置」と「粉除去装置」である点で共通している。
以上のことから、両者は「排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続したホッパーと、該ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管とからなり、
ホッパーの出入口は、供給管のみと連通してあり、
供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなる粉除去装置」で一致し、以下の点で相違する。

相違点2-1a:本件訂正発明2は「流動ホッパー」と「供給管に接続された一時貯留ホッパー」とを備えるのに対し、甲第5装置発明はローダホッパを構成する「円筒状の容器」と「ガラス管部」及び「シュート」を有する点
相違点2-1b:本件訂正発明2は「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けて」いるのに対し、甲第5装置発明は「該ガラス管部には、空杯を検知することにより原料輸送機能を起動させる静電容量型近接スイッチ」が備えられている点
相違点2-1c:本件訂正発明2は「粉粒体の混合及び微粉除去装置」であるのに対し、甲第5装置発明は「粉除機能を有するバルブレスローダ」である点
そこで、上記相違点について検討する。
(1)まず、本件訂正発明1と同様に、相違点2-1bから検討する。
(一)相違点2-1bに係る本件訂正発明2の「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計」については、そのレベル計が設置される前記供給管とは、相違点2-1aに係る本件訂正発明2の「流動ホッパー」と「供給管に接続された一時貯留ホッパー」における「供給管」である。そうすると、この「流動ホッパー」と「一時貯留ホッパー」に関しては、甲第5装置発明と相違点2-1aにおける相違があることから、ここで予め検討しておくと、この相違については、上記「1.1-1.(1)(一)」で述べたとおり、甲第5装置発明の「円筒状の容器」は、内部で原料が流動する流動容器とみることができ、本件訂正発明2の「流動ホッパー」と違いはないが、「シュート」については本件訂正発明1の「一時貯留ホッパー」であるとみることはできないものである。してみると、甲第5装置発明には、本件訂正発明2の「流動ホッパー」と「一時貯留ホッパー」なる2つのホッパーを有した構造を備えたものということはできない。
そうすると、甲第5装置発明の「該ガラス管部には、空杯を検知することにより原料輸送機能を起動させる静電容量型近接スイッチ」が備えられていることは、円筒状の容器と、原料供給口が横向きに接続された管路と、該容器と管路との間に配設されたガラス管部とから構成されたローダホッパとシュートからなる構成を前提としたものであり、本件訂正発明2の「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けて」いるものとは構成上同じであるとはいえない。
(二)ここで、本件訂正発明2の「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計を設け」ること(特定事項Y)の技術的意義についてみておくと、
本件訂正明細書の段落【0005 】には「発明が解決しようとする課題」として「前記従来例の混合装置によれば、(イ)一時貯留ホッパー(チャージホッパー)には中程位置にレベル計を設けており、成形機が材料を消費して材料のレベルがレベル計の位置より下方に至れば混合ホッパーへの次回材料の輸送が開始されるようになっている。すなわち、次回材料が輸送される時には、輸送短管の出口とレベル計の位置との間には空間ができた状態になっている。そのような状態で輸送が開始されると材料の大部分は混合ホッパーへ吸引輸送されるものの材料の一部は未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に落下してしまうという問題が生じていた。」、段落【0008】には「そこで、本出願の請求項1と2に記載の発明は、上記(イ)に記載の問題を解消するために提案された発明であって、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的としている。」と記載されている。
これらの記載によれば、相違点2-1bにかかる本件訂正発明2の特定事項Yの技術的意義は、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することにあるといえる。
一方、甲第5装置発明の「近接スイッチ」の技術的意義については、甲第5方法発明と同様、上記「第8 1.1-2.」で述べたとおり、「レベル計が、空杯を検知することにより樹脂輸送機能が起動し、次にタイマーで材料供給が停止し、輸送エアーにのみによる空運転モードになるという、従来のレベル計の安定供給を目的とした作動機能を有する」ものとみることができるのであって、他の証拠をみても本件訂正発明2の「材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止する」ために設けられたことを窺わせる記載も示唆も見当たらない。
(三)そこで、甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証及び甲第16号証をみてみる。
まず、甲第2号証には、記載事項(甲2a)、(甲2b)によれば「上部に、エアー吸引口を形成するとともに、その底面には、材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されていて、その連結部の下方には、上記材料排出専用管の下端側が連結されてなる、材料混合タンクと、・・・とを備え、上記材料供給兼排出管の一端に、気密性を有する材料収容手段の材料投入口を接続し、上記エアー吸引手段を作動して、粉粒体材料を上記材料供給源より材料混合タンク内に供給しつつ、気流混合させながら、上記材料排出専用管から、順次、上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出し、エアー吸引の停止後は、上記材料供給兼排出管から混合済みの粉粒体混合材料を上記気密性を有する材料収容手段の材料投入口に排出する構成とし、上記材料混合タンク内の所定の位置に、上記材料混合タンク内に貯留された上記混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するためのレベル計を更に備え、上記レベル計の検出結果に基づいて、エアー吸引手段を作動または停止して、上記材料供給源から上記材料混合タンク内への粉粒体材料の供給量を制御する、粉粒体材料の気流混合装置」が記載されているといえる。
この記載中の「レベル計」に関し、記載事項(甲2f)に「レベル計によって、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出し、材料供給源から材料混合タンクへの粉粒体材料の供給量を制御してので、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、気密性を有する材料収容手段側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる」と記載され、実施例として、記載事項(甲2m)に「この気流混合装置において、レベル計26の検出結果に基づいて、レベル計26が「空」と判断すれば、エアー吸引手段を作動し、材料供給源5a、5b、5cの各々から粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体2内へ供給し、レベル計26が「有り」と判断すれば、材料供給源5a、5b、5cから材料混合タンク本体2内への粉粒体材料の供給を停止させるようにして、制御すれば、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できる」と記載されている。
これらの記載によれば、甲第2号証には、「材料供給兼排出管と、材料排出専用管とを分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されていて、その連結部の下方には、上記材料排出専用管の下端側が連結されてなる、材料混合タンク」と「上記材料混合タンク内の所定の位置に、上記材料混合タンク内に貯留された上記混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を検出するためのレベル計を更に備え」た構造を有し、このレベル計が「空」と判断すれば、エアー吸引手段を作動し、材料供給源の各々から粉粒体材料A、B、Cを材料混合タンク本体内へ供給し、レベル計が有りと判断すれば、材料供給源から材料混合タンク本体内への粉粒体材料の供給を停止させるようにして、制御すれば、材料混合タンク内の混合済みの粉粒体混合材料の貯留量を、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できることが記載されているといえる。この記載によれば、甲第2号証の「レベル計」は混合タンクに設けられているといえ、材料供給兼排出管より上方でレベル計の操作で吸引が開始されるものとみることができる。
しかしながら、甲第2号証の「混合タンク」は「材料供給兼排出管と、材料排出専用管とが分離させて設けてあり、上記材料供給兼排出管には、材料供給管が連結されて」いる構造は甲第5装置発明のローダホッパとシュートとの構造とは異なり、材料排出専用管は絶えず排出される構造となっている上、実施例では、排出管は直接成形機に接続されるものである。しかも、混合タンクに設けられたレベル計の機能は、粉粒体混合材料の使用量にかかわらず、常に、一定とできるので、粉粒体材料加工機器側に、常に、過不足なく、安定して、混合済みの粉粒体混合材料を排出できるというものであるから、レベル計がたとえ材料供給管の上に位置するものが記載されたものであっても、甲第2号証には、本件訂正発明2の特定事項Yの技術的意義を見出すことはできない。
次に、甲第3号証には、記載事項(甲3a)に「・・・混合ホッパー(1)の材料の排出導通路(4)には下方から上方に向けて上り勾配の輸送短管(10a)を接続する・・・粉粒体の混合装置」が記載され、記載事項(甲3e)によれば「受部(5)のレベル計(7)が材料要求信号を発信したとき、吸引空気源(20)を稼働(オン)すると、材料を輸送管(10)を介して混合ホッパー(1)に吸引輸送する。吸引空気源(20)が稼働を停止すると、混合ホッパー(1)内の混合済材料は排出導通路(4)を経て受部(5)に排出される」ことが記載されているといえる。
これらの記載によれば、受部(5)は混合ホッパーと輸送短管が接続される材料の排出導通路を介して接続され、この受部(5)が一時貯留ホッパーの役割を果たしているとみることができたとしても、該受部(5)にレベル計を有する構成から、相違点2-1bに係る本件訂正発明2の「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計」を設けたものでないことは明らかである。
そして、甲第4号証には、記載事項(甲4c)によれば「シーケンサー・レベル検知器等の作用によって吸引装置19が作動するので、導管16に供給された粉粒体は、導管16内を混合槽3に向かって流れる気体に乗って混合槽3に流入し、混合槽3内で気体によって撹拌・混合され、粉粒体内に混入していた微粉は排出され、気体による混合が完了すると、吸引装置19が停止し、粉粒体は自重により供給口兼排出口4・排出管8より流下して成形機9の貯留ホッパ-10に至る」ことが開示されている。しかしながら、「レベル検知器」の設置に関して何ら記載はなく、相違点2-1cに係る本件訂正発明2の「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計」であるか不明であり、しかも、上記記載によれば通常のレベル検知の操作であることから、上記甲第2号証について検討したと同様にレベル検知器が混合ホッパーに在るという必然的な理由も見当たらない。
さらに、甲第15号証には、記載事項(甲15d)に「タンク2の下部側にはダンパー13が設けられ、このダンパー13の下方に成形機(図示略)へ粉粒体材料を供給するための筒状の供給部21が設けられ、この供給部21の側部近傍箇所に混合後に成形機に供給される粉粒体材料の量を計量するためのレベル計22が配設されている。」こと、記載事項(甲15f)に「タンク2の下部の供給部21には、上部に供給管、その下の位置にレベル計22が設けられている」ことが記載されている。これらの記載によれば、レベル計は、供給管の下方に位置しているため、甲第3号証のレベル計と同様であり、相違点1-1cに係る本件訂正発明1の「前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにする」ものでないことは明らかである。
また、甲第16号証には、「空気流を利用した,捕集ホッパ「エアロパワーホッパー」が混合と除粉の2つの機能をもっている」ことについて記載(甲16a?甲16d)されているが、レベル計については何ら記載はない。(四)さらにまた、本件訂正発明2の「混合済み材料の充填レベルを検出する・・・レベル計」については、相違点2-1cとも関連するが、この「混合」について着目すると、甲第5装置発明の「レベル計」が混合済み材料のレベルをみているものではないことは明らかである。
そこで、甲第2号証及び甲第3号証をみてみると、そこには、上記(三)でみたとおり、甲第2号証には材料混合タンク、甲第3号証には混合ホッパーが開示されているように、混合ホッパー自体周知のものであり、また、甲第2号証には「上蓋と混合タンク部との間に混合用補助フィルタ-」(記載事項(甲2h))が設けられることが記載され、甲第3号証の記載事項(甲3d)の「ダストはバッグフィルター等の集塵装置(24)で捕集される。」、記載事項(甲3f)の「混合ホッパー(1)内の材料は吸引空気源の吸引によるガス力の流動作用によって分級効果を生じ、ペレットや粉砕材等の混合すべき材料中に混入している微粉末成分は、セパレーター等によって材料と分離・除去して集塵装置で捕集され、混合済材料には前記微粉末成分がない」との記載からみれば、甲第3号証発明においても、ダストや混合すべき材料中に混入している微粉末成分が除去される。そうすると、混合と微粉除去を備えた混合ホッパーもよく知られたものであるといえる。
しかしながら、甲第5方法発明のローダホッパは、粉取りを特別仕様としたホッパであることから、これを混合ホッパーとして用いることを予定するものでないから、これを直ちに混合ホッパーに変更しようとする動機付けはないといえる。
なお、本件訂正発明2の「混合」は、その操作の後に、混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにしていることから、これが1種類の材料の混合が含まれる余地が全くないともいえないが、混合された材料が得られることを意図したものである以上、これが二種類以上の材料の混合であるとみるのが自然である。また、請求人は、甲第5装置発明でも混合ができることの実験結果を提出して操作条件によって混合ができないとはいえないと主張するが、甲第5装置発明は混合を二種類以上の材料を意図したものでないことから、仮に混合できないとはいえないとしても、本件訂正発明2の「流動ホッパー」が「混合」を意図した流動であり、甲第5装置発明の「円筒状容器」が粉除去するものであることから、流動しているとはいえ、必ずしも本件訂正発明2の「流動」が甲第5装置発明についての上記「流動」と同程度の流動を意味するものとはいえず、甲第5装置発明には、材料を混合するものに変更しようとする動機付けはないことに変わりはない。
以上のことから、甲第5装置発明において、相違点2-1cに係る本件訂正発明2の特定事項Yを格別困難なく導き出すことはできない。
そして、本件訂正発明2は、相違点2-1cに係る構成を採用することにより、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止するという本件訂正明細書に記載の効果を奏するものといえる。

(2)したがって、本件訂正発明2は、甲第5装置発明と相違点2-1cにおいて相違し、かかる相違点2-1cについて、甲第5装置発明に甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明を適用することにより容易に成し得たものとはいえないから、他の相違点をみるまでもなく、本件訂正発明2は、甲第5方法発明及び甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

2-2.甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明を主引例として
甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明のいずれの発明を主引用にしても、上記「2-1.(B)」で検討したとおり、本件訂正発明2の上記相違点2-1bに係る「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するためのレベル計」という特定事項について、提出された証拠に記載はなく、本件訂正発明2の上記特定事項Yの技術的意義も見出すことはできないことから、甲第15号証(刊行物4)、甲第2号証(刊行物1)又は甲第3号証(刊行物2)に記載された発明及び公然実施発明から、上記特定事項を導き出すことはできない。
そして、本件訂正発明2は、相違点2-1cに係る構成を採用することにより、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止するという本件訂正明細書に記載の効果を奏するものといえる。
したがって、本件訂正発明2は、甲第2号証?甲第4号証、甲第15号証、甲第16号証に記載された発明及び甲第5方法発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

2-3.まとめ
よって、本件訂正発明2は、公然実施された発明及び刊行物1(甲第2号証)、刊行物2(甲第3号証)、刊行物3(甲第4号証)、刊行物4(甲第15号証)、及び刊行物5(甲第16号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明2に更に「前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなる」ことを限定したもので、本件訂正発明2の構成を全て含むものであるから、本件訂正発明2で検討したと同じ理由により、本件訂正発明2は、公然実施された発明及び刊行物1(甲第2号証)、刊行物2(甲第3号証)、刊行物3(甲第4号証)、刊行物4(甲第15号証)、及び刊行物5(甲第16号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4.本件特許発明4について
本件特許発明4は、「第1 経緯」でみたとおり、142号事件の判決において、「1 特許庁が無効2008-800092号事件について平成21年4月28日にした審決中特許第3767993号の請求項4に係る発明についての審判請求は,成り立たない、との部分を取り消す。」と判示されたものである。

甲第4号証の記載事項(甲4a)には、「下部に下向きに開口した供給口兼排出口を有し、上部に多孔板によって覆われたかたちの気体出口を有する混合槽と、前記供給口兼排出口を囲うと共に下端に排出口を有する案内ホッパーと、この案内ホッパーにこれを貫通するようにして設けられ供給管とを有しており、前記供給管の出口が上向きとなされ、この上向き出口が供給口兼排出口にその下方から粉粒体流出間隙を形成するようにして対向するようになされている粉粒体が気体の流れによって供給される混合装置。」が記載されている。この「混合装置」に、甲第4号証の【図3】(記載事項(甲4f))に示される「第2の実施の形態」(記載事項(甲4d))に則して各部材に番号を付すと、
「下部に下向きに開口した供給口兼排出口4を有し、上部に多孔板6によって覆われたかたちの気体出口5を有する混合槽3と、前記供給口兼排出口4を囲うと共に下端に排出口4を有する案内ホッパー25と、この案内ホッパー25にこれを貫通するようにして設けられ供給管12とを有しており、前記供給管12の出口28が上向きとなされ、この上向き出口28が供給口兼排出口4にその下方から粉粒体流出間隙29を形成するようにして対向するようになされている粉粒体が気体の流れによって供給される混合装置。」となる。
そして、記載事項(甲4b)によれば「前記気体出口5は排気管20を介して吸引装置19に接続されて」いる。また、前記「供給管12」の構造および寸法に関して、記載事項(甲4f)によれば、「横向き管の先がL字状に曲げられ出口28が上向きとされ」「供給口兼排出口4の径は、供給管の上向き出口28の径よりも若干大きく形成されている」ものである。
そして、記載事項(甲4c)より「上記混合装置1を含むシステムは、メインスイッチを入れることによってシーケンサー・レベル検知器等の作用によって以下の作動を自動的に行う」ものであり、この「作業」とは記載事項(甲4d)によれば、「吸引装置19が停止するまでは、前記第1の、発明の実施の形態の作用と同様であ」り、「第1の、発明の実施の形態の作用」(記載事項(甲4b))についてみると、「第1定量供給機14は、設定時間内に設定量の第1の粉粒体を導管16に供給し、第2の定量供給機15は、前記と同一の設定時間内に設定量の第2の粉粒体を導管16に供給する。他方、吸引装置19が作動するので、導管16に供給された粉粒体は、導管16内を混合槽3に向かって流れる気体に乗って混合槽3に流入する。そして、その混合槽3内で気体によって撹拌・混合される。混合槽3に流入した気体は、気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排気される。その際、粉粒体内に混入していた微粉(粉粒体の次の処理・加工に悪影響を及ぼすもの)は、気体と共に気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排出される。なお、混合槽3に気体を流入させている間は、供給管12内の上向きの気体の流れによって粉粒体を上方に舞い上げて、粉粒体が供給口兼排出口4から流出しないようにすることが出来るものである。第1定量供給機14、第2定量供給機15からの粉粒体の供給が完了し、且つ、気体による混合が完了すると、吸引装置19が停止する。そうすると、供給管12、排出管8内を下から上に向かう気体の流れがなくなるので、粉粒体は自重により供給口兼排出口4・排出管8より流下して成形機9の貯留ホッパ-10に至る。」というものである。
そうすると、甲第4号証には、以下の発明が記載されているといえる。
「下部に下向きに開口した供給口兼排出口4を有し、上部に多孔板6によって覆われたかたちの気体出口5を有する混合槽3と、前記供給口兼排出口4を囲うと共に下端に排出口26を有する案内ホッパー25と、この案内ホッパー25にこれを貫通するようにして設けられた供給管12とを有しており、前記供給管12は横向き管の先端がL字状に曲げられ出口28が上向きとなされ、この上向き出口28が供給口兼排出口4にその下方から粉粒体流出間隙29を形成するようにして対向するようになされ、供給口兼排出口4の径は供給管の上向き出口28の径よりも若干大きく形成されており、粉粒体が気体の流れによって供給される混合装置であって、前記気体出口5は排気管20を介して吸引装置19に接続されており、シーケンサー・レベル検知器の作用によって自動的に、吸引装置19が作動して、定量供給機14,15から導管16に供給された粉粒体は気体に乗って混合槽3に流入し、混合槽3内で気体によって撹拌・混合され、混合が完了すると、吸引装置19が停止し、粉粒体は自重により供給口兼排出口4・排出管8より流下して成形機9の貯留ホッパ-10に至るものである混合装置」の発明(以下、「甲第4号証発明」という。)。
本件特許発明4と甲第4号証発明とを対比すると、甲第4号証発明の「気体出口5」、「排気管20」、「吸引装置19」、「混合槽3」、「供給口兼排出口4」、「定量供給機14,15」は、それぞれ、本件特許発明4における「排気口」、「ガス導管」、「吸引空気源」、「流動ホッパー」、「流動ホッパーの出入口」、「材料供給源」に相当する。そして、甲第4号証発明の「供給管12」のうちの「横向き管」の部分と「L字状に曲げられ」た「上向き出口28」の部分とは、それぞれ、本件特許発明4の「横向き管」と「縦向き管」に相当するといえるので、甲第4号証発明の「供給管12」全体は、本件特許発明4の「供給管」に当たる。
また、甲第4号証発明の「案内ホッパー25」は「供給口兼排出口4を囲う」ものであることから、本件特許発明4の「流動ホッパーの出入口の下部に」設けられた「一次貯留ホッパー」に相当する。
また、甲第4号証発明の「シーケンサー・レベル検知器」が設けられていることは、本件特許発明4の「レベル計を設ける」ことと共通する。
そして、甲第4号証発明の「上向き出口28が供給口兼排出口4にその下方から粉粒体流出間隙29を形成するようにして対向するようになされ、供給口兼排出口4の径は供給管の上向き出口28の径よりも若干大きく形成されて」いることは、本件特許発明4の「流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されている」ことに相当するといえる。
よって、両者は、「排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の少なくとも縦向き管が挿入されるとともに、流動ホッパーの出入口の下部に直接または間接に設けた一時貯留ホッパーとからなり、レベル計を設けるとともに、流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されていることを特徴とする粉粒体の混合装置」の発明である点で一致し、
次の点で相違する。
相違点4-1:本件特許発明4は、「粉粒体の混合及び微粉除去装置」であるのに対して、甲第4号証発明は、「混合装置」である点。
相違点4-2:本件特許発明4は、レベル計を「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置」に設け、当該レベル計は「吸引輸送源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、前記吸引輸送源を停止している場合に検出するための」ものであるのに対して、甲第4号証発明は、シーケンサー・レベル検知器の作用によって自動的に吸引装置19が作動されるものであるが、レベル検知器が設けられている位置については明らかではない点。

そこで、相違点についてみてみると、
(A)相違点4-1について
甲第4号証の記載事項(甲4c)の「混合槽3に流入した気体は、気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排気される。その際、粉粒体内に混入していた微粉(粉粒体の次の処理・加工に悪影響を及ぼすもの)は、気体と共に気体出口5を経て吸引装置19の吐出口より排出される。」なる記載よれば、甲第4号証発明が粉粒体内に混入していた微粉(粉粒体の次の処理・加工に悪影響を及ぼすもの)を分離する機能を有しているといえる。
したがって、相違点4-1は実質的な相違点ではない。
(B)相違点4-2について
まず、本件特許発明4においてレベル計を設置する技術的意義をみると、特許請求の範囲の記載(請求項4)には「・・・前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設ける・・・」と特定されており、本件訂正発明2ないし3と同様,未混合材料が一時貯留ホッパーに落下することを防止することを目的とするものと一応は解することができる。
しかし、供給管については「・・・該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管・・・」と特定するのみで、これが縦向きに連通する場合に限定されているものではなくかえって段落【0051】の記載によれば、縦向き管の下方の開口部が塞がっている形状、すなわちエルボ管(L形管)からなるものも開示されている。
そして、供給管がエルボ管から構成される場合には、未混合材料が一時貯留ホッパーに落下することは想定できないから、その場合のレベル計の位置には、もはや未混合材料が一時貯留ホッパーに落下することを防止するとの技術的意義を見出すことはできず、単に混合済み材料の充填レベルを検出するという意味を有するにすぎないこととなり、その位置について「前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置」とする特定にも格別の技術的意義はないというべきである。
他方、甲第4号証の記載事項(甲4a)?(甲4f)の記載によれば、甲第4号証発明は供給管12が横向き管の先端がL字状に曲げられ出口28が上向きとなされ、この上向き出口28が供給口兼排出口4にその下方から粉粒体流出間隙29を形成するようにして対向する」といった構成を有することで、従来の混合装置において必要であった開閉ダンパーを用いずに、未混合材料が混合槽に行かずに下方に落下するという課題を解決するものであり、また、甲第4号証におけるシーケンサー・レベル検知器は、その作用により自動的に吸引装置19が作動されるもので、その検出結果に基づきエアー吸引手段の運転・停止を制御するというものであるから、同検知器の位置が有する技術的意義も、混合済み材料の充填レベルを検出するためのものということができる。
したがって、甲第4号証発明においてレベル検知器を設ける位置は甲第4号証発明が解決すべき課題とは無関係であり、当業者において適宜設定すべき事項ということができる。そして、混合済み材料の充填レベルを計るという観点からすれば、レベルの検知器は混合済み材料を貯留する場所、すなわち甲第4号証発明においては案内ホッパー25に設置するのが通常であるし、しかも、案内ホッパーは混合済み材料を一時的に必要な量貯留するために設けられているものであって、案内ホッパー内の貯留量が十分な量に達していないにもかかわらずエアー吸引手段の運転を停止する必要性は見出し難いことからすれば、案内ホッパー内におけるレベル検知器を同ホッパーの下部に設けることは考え難く、むしろ同ホッパー上部付近に設ける動機付けがあるということができる。
そうすると、甲第4号証発明において、充填レベルを検出するためのレベル検知器の設置位置を、供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置又は該延長線より上方位置に変更することは容易というべきである。
(3)まとめ
よって、本件特許発明4は、甲第4号証発明に記載された事項に基づいて容易に発明を成し得たものである。

第10 むすび
以上のとおり、請求人の主張する理由及び証拠によっては、本件訂正発明1?3についての特許は、無効とすることができない。
本件特許発明4は、甲第4号証に記載された発明から容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許発明4についての特許は、同法第123条第1項第2号の規定より、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、審判費用は、その4分の3を請求人の負担とし、4分の1を被請求人の負担とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
粉粒体の混合及び微粉除去方法並びにその装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにする操作を繰り返しながら行なう粉粒体の混合及び微粉除去方法において、
流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにすることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去方法。
【請求項2】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、該吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。
【請求項3】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の縦向き管の下端部に接続された一時貯留ホッパーとからなり、
前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、該吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けるとともに、前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。
【請求項4】
排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の少なくとも縦向き管が挿入されるとともに、流動ホッパーの出入口の下部に直接または間接に設けた一時貯留ホッパーとからなり、
前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けるとともに、
流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されていることを特徴とする粉粒体の混合及び微粉除去装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック成形材料、医薬品材料、加工食品材料等の粉粒体(本明細書では単に材料とも言う。)を混合するとともに、該粉粒体に付着している微粉(ダストも含む広義のものをいう)を除去する、粉粒体の混合及び微粉除去方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の粉粒体の混合装置としては、実開平3ー32936号公報に記載されているようなものが知られている。
【0003】
この従来の混合装置は、輸送管を介して材料供給源と接続した混合ホッパーに、ガス導管を介して吸引空気源を接続し、前記混合ホッパーの出入口に接続された材料の排出導通路には下方から上方に向けて上り勾配の輸送短管を接続するとともに、排出導通路の軸線と輸送短管の軸線とが交差する角を鋭角とし、さらに前記排出導通路の下端部には中程位置にレベル計を設けたチャージホッパー(一時貯留ホッパー)を接続している。このような構成によって、吸引空気源の気力により混合すべき材料を前記輸送短管を介して混合ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料は前記チャージホッパー内へ落下するようにしてなるものである。
【0004】
上記従来例では、輸送短管は混合ホッパーの材料の排出導通路に対して下方から上方に向けて上り勾配にして接続しているため、材料供給源からの材料は、吸引空気源の気力により輸送短管を介して前記混合ホッパー内へスムーズに輸送され、吸引空気源の気力により混合されるものであるから、機械的な攪拌手段や混合手段を設ける必要がない。そのため、混合材料を機械的に破損したりするのを防止できるなどの多くの利点を有していて、光ディスク用の装置としても用いることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の混合装置によれば、 (イ)一時貯留ホッパー(チャージホッパー)には中程位置にレベル計を設けており、成形機が材料を消費して材料のレベルがレベル計の位置より下方に至れば混合ホッパーへの次回材料の輸送が開始されるようになっている。すなわち、次回材料が輸送される時には、輸送短管の出口とレベル計の位置との間には空間ができた状態になっている。そのような状態で輸送が開始されると、材料の大部分は混合ホッパーへ吸引輸送されるものの、材料の一部は未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に落下してしまうという問題が生じていた。
【0006】
(ロ)そして、吸引空気が停止すると、混合ホッパーにおいて混合中の材料は一時貯留ホッパーへ落下するようになっているが、輸送短管の出口とレベル計の位置との間に形成されている空間の容積を超える大きい容積の材料を吸引輸送した場合には、その超えた材料は、下方から上方に向けて上り勾配に設けられている前記輸送短管の方へ落下するという不都合が生じていた。
その不都合を解消するには、例えば、実開平3ー32936号公報の請求項2に記載のような弁を設けるとか、輸送短管の出口とレベル計の位置との間に形成される空間は十分に大きくしておくとかの手段を必要とした。そして、前記空間を大きく設ける場合には、一時貯留ホッパーの容積は2チャージ分程度の規模にする必要があり、装置の大形化を招く等の問題があった。
【0007】
(ハ)また、輸送短管を下方から上方に向けて上り勾配に設ける場合には、輸送短管と排出導通路とは略Y字状に一体形成される必要があるが、そのような形状に製作するのが難しく手間がかかり、製作費も高価となるとともに、寸法も大きくなるなどの問題があった。
【0008】
そこで、本出願の請求項1と2に記載の発明は、上記(イ)に記載の問題を解消するために提案された発明であって、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的としている。
請求項3記載の発明は、上記(イ)と(ロ)に記載の問題を同時に解消するために提案された発明であって、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーヘ直接に送られるのを防止することができることは勿論のこと、一時貯留ホッパーの小形化も達成することができるようにすることを目的としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記(イ)と(ロ)及び(ハ)に記載の問題を解決すると同時に、装置全体の高さ方向の寸法を更に小形化するとともに、一時貯留ホッパーの容積を更に小形化することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため提案された請求項1記載の発明は、流動ホッパーと一時貯留ホッパーとの間に縦向き管と横向き管からなる供給管を設け、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、材料供給源からの材料を吸引空気源の気力により前記供給管を介して流動ホッパー内に吸引輸送するとともに混合し、その混合済み材料を前記一時貯留ホッパー内へ落下するようにする操作を繰り返しながら行なう粉粒体の混合及び微粉除去方法において、流動ホッパーへの材料の吸引輸送は、吸引輸送の停止中に前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留ホッパーへと降下する際に、前記混合済み材料の充填レベルが供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始するようにすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の発明は請求項1記載の方法を実施する装置であって、排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管に接続された一時貯留ホッパーとからなり、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、該吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けてなることを特徴としている。
【0012】
なお、請求項1と請求項2記載の発明において、横向き管とは縦向き管に対して任意の角度で交差する管ということであり、上向き、下向き、水平等いづれの方向のものも含まれるものとし、交差する角度には限定されないものとする。また縦向き管とは略縦向き管ということであり、中を通る材料が上方から下方へ降下ないしは落下することが可能であればよく、垂直である必要はない。
【0013】
請求項3記載の装置は、排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の縦向き管の下端部に接続された一時貯留ホッパーとからなり、前記流動ホッパーの出入口は、前記供給管のみと連通してあり、前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、前記吸引空気源を停止する前に混合された混合済み材料の充填レベルを、該吸引空気源を停止している場合に検出するためのレベル計を設けるとともに、前記横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けてなることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の装置は、排気口にガス導管を介して吸引空気源を接続した流動ホッパーと、該流動ホッパーの出入口と縦方向に連通した縦向き管と、この縦向き管に横方向に連通され材料供給源からの材料が供給される横向き管とからなる供給管と、該供給管の少なくとも縦向き管が挿入されるとともに、流動ホッパーの出入口の下部に直接または間接に設けた一時貯留ホッパーとからなり、前記供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に、材料の充填レベルを検出するためのレベル計を設けるとともに、流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されていることを特徴としている。
【0015】
【作用】
請求項1記載の方法によれば、材料は吸引空気源の吸引気力により流動ホッパー内へ吸引輸送されて混合され、吸引空気源が停止すると一時貯留ホッパーへ落下する。その際、第1回目の吸引輸送時には一時貯留ホッパー内は勿論のこと、横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方の縦向き管は空の状態になっている。このため、材料の大部分は流動ホッパー内ヘ吸引輸送されるものの、材料の一部はその重力により空状態の一時貯留ホッパー内へ未混合のまま落下する。
【0016】
このようにして、一時貯留ホッパーの下方には未混合の材料が混じってしまうが、この第1回目の材料は後工程(成形機など)の調整運転用材料として消費され、次回の材料は第1回の材料のレベルが横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に落下する前に開始されるものであるから、第2回目以降の吸引輸送においては、横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方には材料が充填された状態になっている。従って、吸引輸送される材料はその充填された材料によって一時貯留ホッパーへの落下は阻止され、未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するという問題が解消する。
【0017】
請求項2記載の装置によれば、供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも上方位置には、材料の充填レベルを検出するためのレベル計が設けられている。すなわち、材料の吸引輸送を、充填レベルが横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に落下する前に開始する際のその開始時点は、該延長線よりも上方に設けられたレベル計によって正確に捉えることができるようになっている。従って、この装置では材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するということはない。
【0018】
そして、レベル計が前記延長線の線上に設けられている場合には、その延長線よりも上方は空の状態になっているので何等の抵抗もなくスムーズに吸引輸送される。また、レベル計が該延長線よりも上方位置に設けられている場合には、該延長線の位置とレベル計との間には材料が充填された状態になっているが、その充填層は吸引空気の気力により供給管からの材料と一緒に流動ホッパーへ吸引されるものであるから吸引輸送に支障を来すことはない。
【0019】
請求項3記載の装置によれば、横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けられているので、吸引輸送され混合されて落下した材料は、その充填レベルが横向き管の位置よりもかなり上方にまで至っていたとしても、横向き管は略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けられているため、材料が横向き管の方へ落下するようなことはない。
すなわち、材料は横向き管の位置より遙に上方の位置にまで貯留することができるようになっているので、一時貯留ホッパーを小形化したためにその一時貯留ホッパーに収まらなくなった材料は流動ホッパーに貯留することができる。従って、吸引輸送の停止時においては流動ホッパーを一時貯留ホッパーとして活用することができるようになり、一時貯留ホッパーはその分だけ小形化される。
また、供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線よりも上方位置にレベル計が設けられており、しかも横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けられている。そして、材料の吸引輸送は、材料のレベルが横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線に近づいたのをレベル計が検出し、その信号によって開始されるようになっているので、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するのを防止することができるのは勿論のこと、一時貯留ホッパーはその一部を流動ホッパーに肩代わりさせることができるので、一時貯留ホッパーの容積はその分だけ小さくすることができる。
【0020】
請求項4記載の装置によれば、前記縦向き管は一時貯留ホッパー内に挿入された構成になっている。すなわち、縦向き管が一時貯留ホッパー内に挿入されているということは、この縦向き管の寸法は一時貯留ホッパーの寸法に吸収されているということであり、流動ホッパーと縦向き管と一時貯留ホッパーとが縦に連なった構成の装置に比べて、請求項4記載の装置は高さ方向の寸法が縦向き管の寸法だけ短縮されるので、更なる小形化が達成される。
また、流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されている。このため、流動ホッパーから落下してきた材料は、縦向き管内が満たされた後も、上記の隙間から一時貯留ホッパー内へ溢れさせることができるので、縦向き管の外周と一時貯留ホッパーの内周との間に形成されるデッドスペースが解消される。
【0021】
【発明の実施の形態1】
本発明の実施の形態の第1例(請求項1ないし3に対応)を図1及び図2に基づいて以下に説明する。図1は粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図、図2は図1の装置を適用した一例を示す説明図である。
本発明の粉粒体の混合及び微粉除去装置1は、図1に示すように、大別して、流動ホッパー2と、流動ホッパー2の出入口2aと連通した中間管3(中間管3は必須ではない)と、流動ホッパー2の出入口2aと前記中間管3を介して縦方向に連通した縦向き管4Aと、縦向き管4Aに横方向に連通した横向き管4Bと、縦向き管4Aと連通した一時貯留ホッパー6とからなっている。前記縦向き管4Aと横向き管4Bとは供給管4を構成する。
【0022】
このように構成された粉粒体の混合及び微粉除去装置1は、例えば図2に示すように、プラスチック成形機10に接続してプラスチック製品を製造する場合などに利用される。
【0023】
すなわち、図2に示すように、前記流動ホッパー2の下部は、中間管3と供給管4を介して輸送管11が接続されているとともに、該輸送管11には複数の材料供給源12・・・12が接続されている。また、流動ホッパー2の上部に形成された排気口22には、ガス導管15を介してブロワや真空ポンプ等の吸引空気源16が接続されている。この吸引空気源16の吸引気力により、各材料供給源12内の混合すべき材料を供給管4及び中間管3を介して流動ホッパー2内に吸引輸送して混合するようにしてある。
各材料供給源12の出口にはロータリーフィーダーやテーブルフィーダー等の任意の計量機13が設けてあり、この計量機13により各材料供給源12からの各種材料を所望量ずつ前記輸送管11中へ輸送するようにしてある。輸送管11の基端部にはフィルター14が取り付けてある。
【0024】
流動ホッパー2は、円筒状のホッパー本体部2bと、ホッパー本体部2b下部に連続形成したコニカル部2cと、ガス導管15と連通する排気口22を有する天蓋21とからなっている。ホッパー本体部2bと天蓋21との間には、材料を通さずに輸送用気体と微粉とを通すフィルター23が設けてある。
【0025】
流動ホッパー2のホッパー本体部2bと天蓋21、及びホッパー本体部2bとコニカル部2cとの結合構造は任意に選定できる。本実施形態では、図1に示すように、流動ホッパー2のホッパー本体部2bと天蓋21とは環状のフランジ24、21a同士を締付けノブ29で固定するとともに、前記フランジ24とコニカル部2c上端部の環状のフランジ25との間にホッパー本体部2bを挟持させ、両フランジ24、25間に立てた複数個の支柱26と該フランジ24、25とをボルト27で締め付け固定している。また、天蓋21のフランジ21aとフランジ24との間には前記フィルター23が挟持してあり、このフィルター23は締付けノブ29を締付けることにより固定されている。
【0026】
従って、前記ボルト27と締付けノブ29とを取り外すことにより、天蓋21、フィルター23、ホッパー本体部2b並びにコニカル部2cが、それぞれ取り外しでき、それぞれを清掃したり部品交換したりするのに便利である。
【0027】
中間管3は、上端部を流動ホッパー2のコニカル部2c底部に形成したフランジ30に嵌装し、下端部を縦向き管4Aの上端部に接続した上部フランジ41に嵌装して、フランジ30と上部フランジ41とで挟持し、両フランジ30、41間に立てた複数個の支柱34と該フランジ30、41とをボルト35で締め付け固定する。なお、図1で36はパッキンである。
【0028】
縦向き管4Aと横向き管4Bとは、T字形を横倒しした形状にして一体に形成してあり、前記縦向き管4Aの上端部は流動ホッパー2の出入口2aと中間管3を介して間接に接続するとともに、下端部は一時貯留ホッパー6に接続してある。すなわち、これを詳しく説明すると、上部フランジ41に形成した連通孔41aの口縁部に、縦向き管4Aの上端縁部を溶接などで固着する。一方、縦向き管4Aの下端部は環状の下部フランジ42に溶接などで一体に固着されている。前記下部フランジ42は、一時貯留ホッパー6の上端部に形成された環状の上部フランジ7とガスケット8を介して接合して、両フランジ42、7をクランプバンド9で締付けて固定している。また、一時貯留ホッパー6の下端部には下部フランジ61が溶接等で固定され、該下部フランジ61を図2に示す如くプラスチック成形機10に載置してボルト等で固定する。
【0029】
横向き管4Bは、材料供給源12に接続された輸送管11の先端と接続され、横向き管4Bの前端に形成されたフランジ51と、輸送管11の先端部に形成されたフランジ(図示せず)とを突き合わせ、その突き合わせ部をクランプバンド又はボルト等で結合する。そして、流動ホッパー2より垂設された縦向き管4Aの軸線と横向き管4Bの軸線とが交差する角が90度となるように、つまり横向き管4Bが水平となるように形成してあるが、角度は材料が詰まらない範囲であれば傾いていてもよい。
【0030】
横向き管4Bから供給される粉粒体(材料)Mの充填量(供給量)を検出するため、横向き管4Bにおける最下面5の延長線Lの近傍位置または該延長線Lより上方位置には、レベル計70が設けてある。
【0031】
レベル計70を図1の実線で示した70の位置(つまり中間管3の上部)位置に設けた場合は、材料の充填レベルがレベル計70の位置まで降下すると、次回材料の吸引輸送が開始され、吸引輸送される材料は延長線Lとレベル計70との間にある材料と一緒に流動ホッパー2に送られ混合される。そして、混合された材料は吸引が停止すると、残っている前回材料の上に落下して積み増しされ、流動ホッパー2の下方にも貯留された状態になる。貯留された材料は一時貯留ホッパー6の下方から成形機等に順次送られて消費され、材料の充填レベルがレベル計70の位置まで落下すると次回の吸引輸送が開始されるようになっており、これが繰り返される。
【0032】
レベル計70を図1の延長線L近くに設けた場合にも、材料の充填レベルがレベル計70の位置まで降下すると、次回材料の吸引輸送が開始される。この場合は、延長線Lの上方に材料がない状態で開始される。そして、前記中間管3の位置に設けた場合と同様に、混合された材料は吸引が停止すると、残っている前回材料の上に落下して積み増しされ、流動ホッパー2の下方にも貯留された状態になる。貯留された材料は一時貯留ホッパー6の下方から成形機等に順次送られて消費され、材料の充填レベルがレベル計70の位置まで降下すると次回の吸引輸送が開始されるようになっており、これが繰り返される。
【0033】
上述のようにレベル計70は延長線Lより近傍又は上方の位置に設けているので、延長線Lより下方は常に満杯の状態になっており、吸引輸送される材料が未混合のままで一時貯留ホッパー6へ落下するような現象は生じない。
また、混合済み材料は流動ホッパー2にも貯留することができるようになっているので、一時貯留ホッパー6の容量は小さくすることができる。
また、供給管4にはT字形管が用いられているので、Y字形管に比べて製作費が低廉である。
【0034】
材料に付着又は混入しているダスト等の微粉は、流動ホッパー2内で吸引空気源16の気力により材料と分離捕集されて、フィルター23とガス導管15を経てバッグフィルター等の集塵装置17で捕集される。
【0035】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施の形態の第2例(請求項4に対応)を図3に基づいて以下に説明する。図3は粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図である。
この実施形態の粉粒体の混合及び微粉除去装置1は、流動ホッパー2と天蓋21と中間管3とを前記第1例の実施形態のものと同一構造としている。従って、それらの詳細な構成は第1例の実施形態の説明を参照するとよい。
【0036】
この第2例の実施形態の装置は、第1例の実施形態の装置に比べて、一時貯留ホッパー6を中間管3にフランジ連結により直接に接続している点と、縦向き管4Aと横向き管4Bの一部とを一時貯留ホッパー6内に挿入している点に特徴を有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0037】
すなわち、流動ホッパー2の出入口2aの下部に中間管3(中間管3は必須ではない)を接続し、この中間管3の下端部に一時貯留ホッパー6を接続する。つまり、中間管3の上端部は図1と同様に形成されたフランジ30に嵌装し、該中間管3の下端部はフランジ37に嵌装して、前記両フランジ30、37で中間管3を挟持するように、両フランジ30、37間に立てた複数個の支柱34と両フランジ30、37とをボルト35などで締め付け固定する。この場合、フランジ37と支柱34との結合方法としては、図3に示す如く、フランジ37の複数個所に雌ねじ部37aを形成し、この雌ねじ部37aに支柱34下部に形成した雄ねじ部34aを螺合する構成としている。
【0038】
一時貯留ホッパー6の上端部には外向きフランジ62を形成しており、この外向きフランジ62と、中間管3下端部に結合したフランジ37との間にシール材63を介して、上記外向きフランジ62とフランジ37とをクランプバンド64で締付け固定することによって、一時貯留ホッパー6と中間管3とを結合するようにしている。
【0039】
前記縦向き管4Aと横向き管4BとはT字型を横倒しした形状にして一体に形成してあり、この縦向き管4Aと横向き管4Bの一部とを前記一時貯留ホッパー6内に挿入するとともに、該横向き管4Bを一時貯留ホッパー6内に横向けに設けてある。
【0040】
また、中間管3の出口周縁部3aは縦向き管4Aの入口周縁部4aより大径とするとともに、上記中間管3の出口周縁部3aと縦向き管4Aの入口周縁部4aとの間に隙間Sが形成されている。
前記中間管3を省略する場合は、流動ホッパー2の出入口2aと縦向き管4Aの入口周縁部4aとの間に隙間Sが形成される。
そしてこの実施形態の場合も、レベル計70は横向き管4Bにおける最下面の延長線Lの近傍位置又は該延長線Lより上方位置に設けてある。
【0041】
従って、材料配給源からの材料は、吸引空気源の気力により、横向き管4B及び縦向き管4Aと中間管3を経て流動ホッパー2内に吸引輸送され、同流動ホッパー2内で材料が混合されるとともに、ダスト等の微粉は材料と分離捕集され、該微粉はフィルター23よりガス導管15を経て系外に排出される。一方、流動ホッパー2内で混合された材料は、中間管3より縦向き管4Aを経て一時貯留ホッパー6内に落下し、一時貯留ホッパー6と縦向き管4Aとが満杯になると、隙間Sから溢れ出て一時貯留ホッパー6の内面と縦向き管4Aの外面との間に貯留(充填)される。そして、貯留(充填)された材料は実施の形態1の場合と同様に、成形機等の目的地へ供給される。
【0042】
このように、この実施形態の装置では、縦向き管4Aは一時貯留ホッパー6の内部に収納された構成になっているので、実施形態1の装置における効果は勿論のこと、装置全体の高さ方向の寸法が実施の形態1の装置に比べて縦向き管4Aの寸法だけ小さくなっている。
【0043】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施の形態の第3例(本発明の変形例)を図4に基づいて以下に説明する。図4は粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図である。
この第3例の粉粒体の混合及び微粉除去装置1は、第1例の図1と比べると判るように、図1で示されている中間管3を省略して、縦向き管4Aの上端部を流動ホッパー2の出入口2aに直接に接続している点と、図1の一時貯留ホッパー6の代わりに縦向き管4Aを下方に長く延伸して兼用させている点とが、図1と異なり、その他の構成は図1と同様としているので、共通している部分は第1例の説明を参照するとよい。
【0044】
すなわち、流動ホッパー2のコニカル部2c下端部に溶接等で固定されたフランジ30と、縦向き管4Aの上端部に溶接等で固定された上部フランジ44とを、ボルト45とナット46とによって固定する。
また、前記縦向き管4Aは下方へ長く延伸して、その延伸部47を一時貯留ホッパーとして機能させる構成になっている。なお、図4で、48は61と同一役割をもつ下部フランジである。
【0045】
この実施形態の場合のレベル計70は、供給管4の横向き管4Bにおける最下面5の延長線Lの近傍位置に設けているが、その位置より上方に設けることもできる。
【0046】
なお、図4の如く縦向き管4Aの上端部を流動ホッパー2の出入口2aに直接に接続する一方、縦向き管4Aの延伸部47を省略して図1の如く短くするとともに、該縦向き管4Aの下端部に図1に示す如く上部フランジ7及び下部フランジ42によって、一時貯留ホッパー6を設ける構成も採り得る。或いは、図4の縦向き管4Aの延伸部47をなくして、そのままの状態で成形機に接続することもできる。
【0047】
このように、この実施形態の装置では、一時貯留ホッパーは一層小形化されており、一時貯留ホッパーの製作費についても更なるコストダウンがはかれる。
【0048】
【その他の変形例】
図1、図3において、中間管3は必須なものではなく、これを省略して、縦向き管4Aの上端部を流動ホッパー2の下端部に直接に接続することもできる。
【0049】
レベル計70は、横向き管4Bにおける最下面5の延長線Lの近傍位置が好ましいものであり、その近傍位置とはLより少しばかり下方位置であってもよいことを意味する。
【0050】
縦向き管4Aと横向き管4Bの結合構造は、図1の如く一体形成したものに限らず、管状体2個を縦と横とにT字状にして接合したものでもよく、本発明では特に限定しないが、図5に示すように、両者の連通部分に丸味80を形成すると、一層スムーズに輸送される。
【0051】
図3に示す装置において、縦向き管4Aの下方の開口部は塞がっていてもよい。すなわち、エルボ(L形管)を用いてもよい。エルボ(L形管)を用いる場合は、流動ホッパーから落下する材料は隙間Sを通って一時貯留ホッパーに落下するものであり、エルボ(L形管)を用いる場合には供給管4の製作費が更にコストダウンされる。
【0052】
図3及び図4の粉粒体の混合及び微粉除去装置1も、図2のようなシステムに適用できるのは勿論である。また、上述の各実施形態例の装置は、図2のシステムに限らずその他のシステムのものにも適用できるものである。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、材料の吸引輸送は第1回目の材料の充填レベルが横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始されるものであるから、横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方には材料が充填された状態になっていて、吸引輸送される材料はその充填された材料によって一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるものであり、未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するという問題は解消する。
【0054】
請求項2記載の発明によれば、供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも上方位置には、材料の充填レベルを検出するためのレベル計が設けられているものであるから、材料を吸引輸送する際の開始はレベル計からの信号によって正確に捉えることができ、材料のレベルが横向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方に降下する前に開始することができるようになっているので、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するという現象を防止した装置が提供できる。
【0055】
請求項3記載の発明によれば、供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位置または該延長線よりも上方位置にレベル計が設けられており、しかも横向き管は縦向き管に対して略水平ないしは上方から下方に向けての下り勾配に設けられているものであるから、材料の吸引輸送はレベル計の信号によって開始され、材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下するのを防止することができるのは勿論のこと、一時貯留ホッパーはその一部を流動ホッパーに肩代わりさせることができ、一時貯留ホッパーの容積はその分だけ小形化される。
【0056】
請求項4記載の発明によれば、請求項2に記載のレベル計を備えているので、上記請求項2に記載の効果を有するとともに、少なくとも縦向き管は一時貯留ホッパー内に挿入されるものであるから、縦向き管の寸法は一時貯留ホッパーの寸法に吸収された状態になって、流動ホッパーと縦向き管と一時貯留ホッパーとが縦に連なった構成の装置に比べて、縦向き管の寸法だけ短縮されるので、装置の高さ寸法の小形化が達成されるのは勿論のこと、流動ホッパーの出入口周縁部は縦向き管の入口周縁部より大径とするとともに、流動ホッパーの出入口周縁部と縦向き管の入口周縁部との間には隙間が形成されているものであるから、流動ホッパーから落下してきた材料は縦向き管内が満杯になった後も、上記の隙間から一時貯留ホッパー内へ溢れさせることができ、縦向き管の外周と一時貯留ホッパーの内周との間に形成されるデッドスペースが解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例の粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図である。
【図2】図1の装置を適用した一例を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態例の粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態例の粉粒体の混合及び微粉除去装置の縦断面図である。
【図5】縦向き管と横向き管の結合構造の変形例の一部断面図である。
【符号の説明】
1 粉粒体の混合及び微粉除去装置
2 流動ホッパー
3 中間管
4 供給管
4A 縦向き管
4B 横向き管
5 最下面
6 一時貯留ホッパー
10 プラスチック成形機
11 輸送管
12 材料供給源
16 吸引空気源
21 天蓋
22 排気口
70 レベル計
L 延長線
M 粉粒体(材料)
S 隙間
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-07-30 
結審通知日 2010-08-06 
審決日 2010-10-21 
出願番号 特願平10-20516
審決分類 P 1 123・ 121- ZD (B01F)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 服部 智  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 小川 慶子
斉藤 信人
登録日 2006-02-10 
登録番号 特許第3767993号(P3767993)
発明の名称 粉粒体の混合及び微粉除去方法並びにその装置  
代理人 河野 登夫  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 平野 惠稔  
代理人 河野 登夫  
代理人 野口 富弘  
代理人 木村 俊之  
代理人 畑 郁夫  
代理人 重冨 貴光  
代理人 河野 英仁  
代理人 河野 英仁  
代理人 室谷 和彦  
代理人 平野 恵稔  
代理人 畑 郁夫  
代理人 浦田 悠一  
代理人 鈴江 正二  
代理人 浦田 悠一  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 野口 富弘  
代理人 重冨 貴光  

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