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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
管理番号 1252002
審判番号 不服2009-4360  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-27 
確定日 2012-02-08 
事件の表示 特願2006-30436「アーク溶接機電源のためのチョッパ出力ステージ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月26日出願公開,特開2006-296185〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は,平成18年2月8日(パリ条約による優先権主張2005年4月8日,アメリカ合衆国)の出願であって,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成23年4月5日付けの手続補正書により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「電気アーク溶接または切断プロセスのための3ステージ電源であって,
AC入力信号を受取って,第1の固定DC出力信号を生成する第1ステージと,
前記第1ステージと結合されて,前記第1の固定DC出力信号を受取り,前記第1の固定DC出力信号を,第2ステージがフィードバック調整を伴わないように前記第1の固定DC出力信号に対して固定された第2のDC出力信号に変換する,DC-DCコンバータの形態の第2ステージと,
前記第2ステージと結合されて,前記第2の固定DC出力信号を受信する第3ステージとからなり,
前記第3ステージは,制御入力を有するスイッチング素子を具備し,前記第2の固定DC出力信号を溶接に適した調整信号に変換する複数の並列に接続されたコンバータ電力回路と,前記それぞれのコンバータ電力回路に対し異なる位相角で制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるインターリーブ形マルチフェーズスイッチングコンバータを具備することを特徴とする3ステージ電源。」

なお,上記手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の,「前記第1ステージと結合されて,前記第1の固定DC出力信号を受取り,前記第1の固定DC出力信号を,前記第2ステージがフィードバック調整を伴わないように前記第1の固定DC出力信号に対して固定された第2のDC出力信号に変換する,DC-DCコンバータの形態の第2ステージ」との記載における「前記第2ステージ」は,それより前に該当する用語が記載されていないので,「第2ステージ」の誤記と認め,本願発明を上記のように認定した。

2.引用例
これに対して,当審による拒絶の理由で引用された実願平1-62070号(実開平3-4376号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。

・「〔産業上の利用分野〕
本考案は,非消耗式電極を用いた交流のプラズマアークで母材を溶接する交流プラズマアーク溶接機に関する。」(明細書第1頁第19行-第2頁第2行)

・「第1図において,(1)はタングクテン電極等の非消耗式電極(2)を内装したプラズマトーチ,(3)は母材である。
(4)はパイロットアーク用直流電源であり,陽極が限流抵抗(5)を介してトーチ(1)に接続され,陰極が高周波出力回路のカップリング用のトランス(6)の2次側を介して電極(2)に接続されている。
(7)は商用交流電源,(8)は電源側整流器,(9)は平滑コンデンサ,(10)はインバータ回路,(11)はインバータ出力用のトランス,(12)は出力側整流器であり,大電流の主直流電源を発生する。
(13)は主直流電源を溶接用の交流に変換して出力するスイッチング回路であり,半導体スイッチとしての4個のNPN型のトランジスタ(14),(15),(16),(17)のフルブリッジ接続回路からなり,トランジスタ(14),(15)の接続点が直流電源(4)の陰極に接続され,トランジスタ(16),(17)の接続点が母材(3)に接続されている。
(18)はトランジスタ(14)?(17)のベースに駆動信号を供給する駆動回路であり,駆動の基準信号を出力する発振信号(19)と,基準信号に基いて駆動信号を出力する出力回路(20)とを有する。(21)は発振回路(19)の制御信号の入力端子である。」(明細書第6頁第4行-第7頁第6行)

・「このとき,商用交流電源(7)の電源交流が入力側整流器(8),平滑コンデンサ(9)で整流平滑されてインバータ回路(10)に供給され,このインバータ回路(10)により例えば8?10KHzの高周波交流が形成される。
また,インバータ回路(10)の出力交流がトランス(11)を介して出力側整流器(12)に供給され,この整流器(12)からスイッチング回路(13)に,商用交流電源(7)から絶縁された主直流が供給される。
一方,溶接電流の設定操作によってレベル変化する直流の制御信号が入力端子(21)から発振回路(19)に供給され,この発振回路(19)は,例えば内部形成した数10?数100Hzの一定周波数の鋸波信号と制御信号とに基くPWMパルス発生処理により,制御信号のレベルに応じデューティ比の変化する基準信号を出力回路(20)に出力する。
また,出力回路(20)はトランジスタ(14)?(17)毎のバッファアンプ等を有し,基準信号に基く第2図(a)の方形波の駆動信号をトランジスタ(15),(16)のベースに供給し,基準信号の反転信号に基く同図(b)の方形波の駆動信号をトランジスタ(14),(17)のベースに供給する。
なお,第2図(a),(b)は基準信号のデューティ比が1:1の場合を示す。
そして,トランジスタ(15),(16)と(14),(17)とが逆相でスイッチングし,主直流電源が第2図(c)に示す数10?数100Hzの溶接用の交流に変換され,この交流が電極(2),母材(3)に供給される。」(明細書第9頁第2行-第10頁第9行)

・引用例の第1図には,交流のプラズマアークで母材を溶接するための回路装置のブロック図が示されている。

これらの記載事項を総合すると,引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「交流のプラズマアークで母材を溶接するための回路装置であって,
商用交流電源(7)の電源交流が供給され,整流平滑された出力を供給する,入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路と,
前記入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路と接続されて,前記整流平滑された出力が供給され,前記整流平滑された出力を,インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)により大電流の主直流電源に変換する回路であって,インバータ回路(10)の高周波交流の出力交流がトランス(11)を介して出力側整流器(12)に供給され,前記出力側整流器(12)から前記主直流電源を供給する形態の,インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路と,
前記インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路と接続されて,前記主直流電源が供給される,スイッチング回路(13)及び駆動回路(18)からなる回路とからなり,
前記スイッチング回路(13)及び駆動回路(18)からなる回路は,ベースに駆動信号が供給されるトランジスタ(14)?(17)を具備し,前記主直流電源を溶接用の交流に変換して出力するスイッチング回路(13)と,前記スイッチング回路(13)の前記トランジスタ(14)?(17)のベースに駆動信号を供給する駆動回路(18)とからなる回路を具備する回路装置。」

3.対比
そこで,本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「交流のプラズマアークで母材を溶接するための回路装置」は,「入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路」と,「インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路」と,「スイッチング回路(13)及び駆動回路(18)からなる回路」とからなるものであり,実質的に,AC入力信号からDC出力信号を生成するステージと,DC出力信号を他のDC出力信号に変換するステージと,DC出力信号を溶接に適した調整信号に変換するステージとからなるものといえる。
そうすると,後者の「交流のプラズマアークで母材を溶接するための回路装置」は前者の「電気アーク溶接または切断プロセスのための3ステージ電源」に相当する。

後者の「入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路」は前者の「第1ステージ」に相当する。
そして,後者の「商用交流電源(7)の電源交流が供給され,整流平滑された出力を供給する」態様と,前者の「AC入力信号を受取って,第1の固定DC出力信号を生成する」態様とは,「AC入力信号を受取って,第1のDC出力信号を生成する」との概念で共通している。

後者の「インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路」は前者の「第2ステージ」に相当する。
そして,後者の「入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路と接続されて,整流平滑された出力が供給され」る態様と,前者の「第1ステージと結合されて,第1の固定DC出力信号を受取」る態様とは,「第1ステージと結合されて,第1のDC出力信号を受取」るとの概念で共通し,後者の「整流平滑された出力を,インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)により大電流の主直流電源に変換する」態様と,前者の「第1の固定DC出力信号を,第2ステージがフィードバック調整を伴わないように前記第1の固定DC出力信号に対して固定された第2のDC出力信号に変換する」態様とは,「第1のDC出力信号を,第2ステージが第2のDC出力信号に変換する」との概念で共通している。
さらに,後者の「インバータ回路(10)の高周波交流の出力交流がトランス(11)を介して出力側整流器(12)に供給され,前記出力側整流器(12)から主直流電源を供給する形態」は前者の「DC-DCコンバータの形態」に相当する。

後者の「スイッチング回路(13)及び駆動回路(18)からなる回路」は前者の「第3ステージ」に相当する。
そして,後者の「インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路と接続されて,主直流電源が供給される」態様と,前者の「第2ステージと結合されて,第2の固定DC出力信号を受信する」態様とは,「第2ステージと結合されて,第2のDC出力信号を受信する」との概念で共通している。

後者の「ベースに駆動信号が供給されるトランジスタ(14)?(17)」は前者の「制御入力を有するスイッチング素子」に相当し,また,後者の「主直流電源を溶接用の交流に変換して出力するスイッチング回路(13)」と,前者の「第2の固定DC出力信号を溶接に適した調整信号に変換する複数の並列に接続されたコンバータ電力回路」とは,「第2のDC出力信号を溶接に適した所定の調整信号に変換する電力回路」との概念で共通し,後者の「スイッチング回路(13)のトランジスタ(14)?(17)のベースに駆動信号を供給する駆動回路(18)」と,前者の「それぞれのコンバータ電力回路に対し異なる位相角で制御入力信号を生成するためのコントローラ」とは,「電力回路に対し制御入力信号を生成するためのコントローラ」との概念で共通しているから,結局,後者の「ベースに駆動信号が供給されるトランジスタ(14)?(17)を具備し,主直流電源を溶接用の交流に変換して出力するスイッチング回路(13)と,前記スイッチング回路(13)の前記トランジスタ(14)?(17)のベースに駆動信号を供給する駆動回路(18)とからなる回路」と,前者の「制御入力を有するスイッチング素子を具備し,第2の固定DC出力信号を溶接に適した調整信号に変換する複数の並列に接続されたコンバータ電力回路と,前記それぞれのコンバータ電力回路に対し異なる位相角で制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるインターリーブ形マルチフェーズスイッチングコンバータ」とは,「制御入力を有するスイッチング素子を具備し,第2のDC出力信号を溶接に適した所定の調整信号に変換する電力回路と,前記電力回路に対し制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるコンバータ」との概念で共通している。

したがって,両者は,
「電気アーク溶接または切断プロセスのための3ステージ電源であって,
AC入力信号を受取って,第1のDC出力信号を生成する第1ステージと,
前記第1ステージと結合されて,前記第1のDC出力信号を受取り,前記第1のDC出力信号を,前記第2ステージが第2のDC出力信号に変換する,DC-DCコンバータの形態の第2ステージと,
前記第2ステージと結合されて,前記第2のDC出力信号を受信する第3ステージとからなり,
前記第3ステージは,制御入力を有するスイッチング素子を具備し,前記第2のDC出力信号を溶接に適した所定の調整信号に変換する電力回路と,前記電力回路に対し制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるコンバータを具備する3ステージ電源。」
である点で一致し,次の点で相違する。

[相違点1]
第1ステージが生成して第2ステージが受取るDC出力信号に関し,本願発明は,「固定」DC出力信号であるのに対し,引用発明は,かかる特定がなされていない点。
[相違点2]
第2ステージが変換して第3ステージが受信するDC出力信号に関し,本願発明は,「フィードバック調整を伴わないように」変換する,「固定された」DC出力信号であるのに対し,引用発明では,かかる特定がなされていない点。
[相違点3]
電気アーク溶接または切断プロセスのために,溶接に適した調整信号に変換する第3ステージに関し,本願発明は,「複数の並列に接続されたコンバータ電力回路と,前記それぞれのコンバータ電力回路に対し異なる位相角で制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるインターリーブ形マルチフェーズスイッチングコンバータ」を具備したものであるのに対し,引用発明は,「スイッチング回路と,前記スイッチング回路のトランジスタのベースに駆動信号を供給する駆動回路とからなる回路」を具備し,「交流の」調整信号に変換するものである点。

4.判断
上記相違点について検討する。

・相違点1について
引用発明の第1ステージは,入力側整流器(8)及び平滑コンデンサ(9)からなる回路により構成されたものであり,商用交流電源(7)の電源交流が供給されるものである。
ここで,一般に,商用交流電源の電源交流の実効電圧が一定であること,及び,整流器と平滑コンデンサとにより整流平滑を行う電源回路に,実効電圧が一定である交流を入力したとき,出力される直流電圧が一定となることは,いずれも技術常識といえる。
そうすると,引用発明の第1ステージが生成して第2ステージが受取るDC出力信号が,固定されたDC出力信号であることは,上記技術常識からみて自明のことといえるから,相違点1は,実質的な相違点とはいえない。

・相違点2について
引用発明の第2ステージは,インバータ回路(10),トランス(11)及び出力側整流器(12)からなる回路により構成されたものであり,上記「・相違点1について」において述べたように,第1ステージからの固定されたDC出力信号が供給されるものである。
ここで,一般に,インバータ回路,トランス及び整流器とにより直流電圧を変換する電圧変換回路に,電圧が固定された直流を入力したとき,出力される直流電圧は,インバータ回路が出力する交流の電圧及び周波数に依存するものであることは,技術常識といえるところ,引用例の明細書及び第1図には,インバータ回路(10)が出力する交流の電圧又は周波数のいずれかをフィードバック調整することは,何ら記載されていない。
また,引用例の明細書第9頁第2行-第10頁第9行の,「このとき,商用交流電源(7)の電源交流が入力側整流器(8),平滑コンデンサ(9)で整流平滑されてインバータ回路(10)に供給され,このインバータ回路(10)により例えば8?10KHzの高周波交流が形成される。 また,インバータ回路(10)の出力交流がトランス(11)を介して出力側整流器(12)に供給され,この整流器(12)からスイッチング回路(13)に,商用交流電源(7)から絶縁された主直流が供給される。 一方,溶接電流の設定操作によってレベル変化する直流の制御信号が入力端子(21)から発振回路(19)に供給され,この発振回路(19)は・・・制御信号のレベルに応じデューティ比の変化する基準信号を出力回路(20)に出力する。 また,出力回路(20)は・・・基準信号に基く第2図(a)の方形波の駆動信号をトランジスタ(15),(16)のベースに供給し,基準信号の反転信号に基く同図(b)の方形波の駆動信号をトランジスタ(14),(17)のベースに供給する。・・・そして,トランジスタ(15),(16)と(14),(17)とが逆相でスイッチングし,主直流電源が第2図(c)に示す数10?数100Hzの溶接用の交流に変換され,この交流が電極(2),母材(3)に供給される。」との記載を参酌すると,引用例の第1図に示される回路全体の出力箇所である非消耗式電極(2)の出力の制御は,スイッチング回路(13)のトランジスタ(14)?(17)を駆動する駆動回路(18)に供給される制御信号の設定操作によりなされるものであり,スイッチング回路(13)に供給される主直流電源を生成する,第1ステージ及び第2ステージからなる回路は,当該非消耗式電極(2)の出力の制御作用を有するものとは認められない。
したがって,引用発明の第2ステージが出力する大電流の主直流電源は,固定されたDC出力信号であり,第3ステージの出力によるフィードバック調整を伴わないものである。
さらに,上述したように,引用例の明細書及び第1図には,インバータ回路(10)が出力する交流の電圧又は周波数をフィードバック調整することは,何ら記載されておらず,また,インバータ回路を用いて固定された直流電圧を出力する電圧変換回路として,当該インバータ回路が出力される直流電圧によるフィードバック調整を伴わないものは,引例を挙げるまでもなく常套手段であり,引用発明のインバータ回路(10)において,第2ステージの出力によるフィードバック調整を行うかどうかは,当業者が任意に選択すべきことに過ぎず,該インバータ回路(10)を,第2ステージの出力によるフィードバック調整を伴わないものとすることにより,格別の作用効果を奏するものともいえない。
そうすると,相違点2は,格別のものではない。

・相違点3について
電気アーク溶接または切断プロセスに用いる溶接機の電源回路において,溶接に適した調整信号として出力される出力電力を,交流とするか直流とするかは,当該溶接機が採用する溶接の種類に応じて,当業者が適宜選択すべきことといえる。
また,一般に,直流電力を調整可能に出力する電源回路において,出力される直流電力のリップルを少なくすることは,周知の課題であり,リップルを少なくした出力調整可能な直流電源回路として,複数の並列に接続されたコンバータ電力回路と,前記それぞれのコンバータ電力回路に対し異なる位相角で制御入力信号を生成するためのコントローラとからなるインターリーブ形マルチフェーズスイッチングコンバータは,例えば,当審による拒絶の理由で引用された特開2000-173794号公報(段落【0020】-【0023】,【図1】,【図2】及び【図4】を参照。)に記載され,他にも,特開昭57-19171号公報(第2頁右下欄第12行-第3頁左上欄第11行,第3図及び第4図を参照。)に記載されているように,本願の優先日前において周知技術である。
そうすると,引用発明において,第3ステージの出力を直流とすることは,溶接の種類に応じて当業者が適宜選択すべきことであり,第3ステージの出力を直流とするに当たり,上記周知の課題のもとに,周知技術であるインターリーブ形マルチフェーズスイッチングコンバータを採用することにより,相違点3に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものであり,格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして,本願発明の全体構成により奏される効果も,引用発明,上記常套手段及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって,本願発明は,引用発明,上記常套手段及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,上記常套手段及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため,本願は,同法第49条第2号の規定に該当し,拒絶をされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-09 
結審通知日 2011-09-13 
審決日 2011-09-27 
出願番号 特願2006-30436(P2006-30436)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉浦 貴之  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 槙原 進
冨江 耕太郎
発明の名称 アーク溶接機電源のためのチョッパ出力ステージ  
代理人 斉藤 武彦  

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