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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B43L
管理番号 1252036
審判番号 不服2010-27920  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-09 
確定日 2012-02-08 
事件の表示 特願2003-565751「滑り止め部材を有する定規」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月14日国際公開、WO03/66348、平成17年 6月 9日国内公表、特表2005-516806〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願は、2003年2月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年2月4日、デンマーク)を国際出願とする出願であって、平成20年12月26日付けの拒絶理由通知に対して、平成21年7月2日付けで意見書及び手続補正書が提出され、更に、平成22年1月8日付けの拒絶理由通知に対して、同年7月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月5日付けで、拒絶査定がなされたものである。
これに対して、同年12月9日付けで拒絶査定不服審判が請求され、その後、平成23年1月20日付けで審判請求書についての手続補正書が提出された。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成22年7月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。
「定規本体の中央部分が下の層から一定距離で又は下の層と接触して配置されうる断面又は断面形状を有する長い本体を有し、かつ定規の材料又は前記断面形状により、一定の弾性を有する、机用の製図定規において、
前記定規本体の前記中央部分は、前記定規が下の層に関して固定されるように前記定規本体の圧縮変形で前記下の層と摩擦係合するのに適した滑り止め手段を備えていることを特徴とする机用の製図定規。」

3.引用刊行物とそれに記載された事項及び発明
原審の拒絶理由において引用された、実願平4-45290号(実開平6-12091号)のCD-ROM(以下「引用文献」という。)には、図面(特に図13、図14参照。)と共に、次の事項が記載されている。
以下、下線は審決において付すものである。
ア.段落【0001】
「【産業上の利用分野】
この考案は、線引きや物差し、あるいは三角定規などの定規類に係り、特に、定規に合わせて線を引く際に、定規の位置がずれて線が乱れることを防止できる滑り止め機構付定規に関する。」
イ.段落【0010】
「上記第3の滑り止め機構付定規は、板状部材に形成された凹部の底面に、該凹部の深さよりも薄い粘着膜を被着形成するよう構成したため、凹部形成面を紙面側に向けて載置すると、紙面と粘着膜との間に、凹部の深さと粘着膜の厚さとの差に相当する間隙が形成される。そして、板状部材の肉薄部を押圧することにより、上記粘着膜が紙面に密着し、定規は滑り難くなる。一方、肉薄部への押圧を解除すると、弾力性を備えた肉薄部は自動的に元の状態に復帰する。上記凹部を板状部材の両面に形成すれば、板状部材の何れの面を紙面側に向けて載置しても、定規の滑り止め機能を発揮することができる。」
ウ.段落【0025】
「図13及び図14は、他の実施例に係る定規10を示すものである。この定規10は、定規本体を構成する第3の板状部材46の上面及び下面に、一定の深さを有する凹部48,48を設けて該第3の板状部材46に弾力性を備えた肉薄部50を形成すると共に、上記凹部48の底面52,52に粘着膜54を貼り付けてなる。この粘着膜54の厚さTは、上記凹部の深さDよりも小となるよう設定される。したがって、上記定規10を紙面28上に載置すると、紙面28と粘着膜54との間に、凹部48の深さDと粘着膜54の厚さTとの差に相当する間隙30が形成される。そして、上記肉薄部50を上から押圧することにより、上記粘着膜54が紙面28に密着し、定規10は滑り難くなる。」
エ.段落【0026】4?6行
「上記第3の板状部材46の材質は、特に限定されるものではないが、上記肉薄部50が十分な弾力性を発揮できるような材質を選定することが望ましい。」
オ.【図13】及び【図14】から、凹部48は、板状部材46の中央部分に設けられ、薄肉部50が形成され、該凹部48に粘着膜54が設けられていることが看取できる。

上記記載事項等からみて、引用文献には、次の発明(以下「引用文献記載発明」という。)が開示されていると認められる。
「定規本体を構成する板状部材の上面及び下面に、一定の深さを有する凹部を板状部材の中央部分に設けて、該板状部材に弾力性を備えた肉薄部を形成すると共に、上記板状部材の中央部分に設けられた凹部の底面に粘着膜を貼り付けてなり、
板状部材は、肉薄部が十分な弾力性を発揮できるような材質とし、
定規を紙面上に載置すると、紙面と粘着膜との間に、凹部の深さDと粘着膜の厚さTとの差に相当する間隙が形成され、
肉薄部を上から押圧することにより、上記粘着膜が紙面に密着し、定規は滑り難くなり、
一方、肉薄部への押圧を解除すると、弾力性を備えた肉薄部は自動的に元の状態に復帰する、
定規の位置がずれて線が乱れることを防止できる滑り止め機能付定規。」

4.対比
本願発明1と引用文献記載発明とを対比する。
a.引用文献記載発明の「板状部材」、「紙面」及び「粘着膜」はそれぞれ、本願発明1の「定規本体」、「下の層」及び「滑り止め手段」に相当する。
b.引用文献記載発明は「板状部材の中央部分に設けられた凹部の底面に粘着膜を貼り付けてな」るから、板状部材の中央部分が下の層から一定距離で又は下の層と接触するとともに、中央部分に滑り止め手段を備えているものといえる。
c.引用文献記載発明の定規は、線を引くのに用いられるものであるから、その本体が長いことはいうまでもなく、且つ、「定規本体を構成する板状部材の上面及び下面に、一定の深さを有する凹部を板状部材の中央部分に設けて」形成した肉薄部の形状又は板状部材の材質により、肉薄部が弾力性を発揮するものであることは明らかである。
d.引用文献記載発明の肉薄部が定規本体の一部であることはいうまでもなく、また、引用文献記載発明は、肉薄部を上から押圧することにより粘着膜が紙面に密着し、押圧を解除すると肉薄部は自動的に元の状態に復帰するものであるから、引用文献記載発明も、定規本体の圧縮変形で下の層(紙面)と摩擦係合する滑り止め手段(粘着膜)を備えているといえる。

以上のことから、本願発明と引用文献記載発明とは、次の点で一致する一方、次の点で相違している。
《一致点》
「定規本体の中央部分が下の層から一定距離で又は下の層と接触して配置されうる断面又は断面形状を有する長い本体を有し、かつ定規の材料又は前記断面形状により、一定の弾性を有する、定規において、
前記定規本体の前記中央部分は、前記定規が下の層に関して固定されるように前記定規本体の圧縮変形で前記下の層と摩擦係合するのに適した滑り止め手段を備えている定規。」
《相違点》
本願発明が「机用の製図定規」であるのに対して、引用文献記載発明は、単なる「定規」である点。

5.判断
引用文献の「線引きや物差し、あるいは三角定規などの定規類に係り」との記載(段落【0001】1行)からみて、引用文献記載発明の定規を製図に用いるようにすることは、当業者にとって、格別に困難なこととも認められず、製図に用いられる以上、机上で使用されることは当然の結果であるから、引用文献記載発明を机用の製図定規とすることは、当業者が容易になし得る程度のことである。

なお、審判請求人は、「本願発明では、定規を机に向けて押した場合に、机と摩擦係合する滑り止め手段は「長手方向にわたって」机に固定される」と主張する(審判請求書の平成23年1月20日付け手続補正書2頁31?32行)が、特許請求の範囲の請求項1において、滑り止め手段は「前記上記本体の前記中央部分は、…(略)…滑り止め手段を備えている」と特定されている(請求項1の4?5行)だけであって、滑り止め手段が「長手方向にわたって」机に固定されること、換言すれば、滑り止め手段が(中央部分の)「長手方向にわたって」設けられることは、請求項1において特定されておらず、審判請求人の主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものであるし、引用文献の【図13】及び【図14】からみて、凹部を設けて薄肉部を形成した部分は、長手方向にわたって形成されているものであるから、本願発明が請求人が主張するようなものであるとしても、その点で差異が生じるとはいえない。

以上のとおりであるから、上記相違点に係る特定事項は、当業者が適宜想到可能なものであり、それにより得られる作用効果も当業者であれば容易に推察可能なものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用文献記載発明及び引用文献記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-14 
結審通知日 2011-09-20 
審決日 2011-09-27 
出願番号 特願2003-565751(P2003-565751)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B43L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 菅野 芳男
笹野 秀生
発明の名称 滑り止め部材を有する定規  
代理人 大橋 康史  
代理人 鶴田 準一  
代理人 鶴田 準一  
代理人 大橋 康史  
代理人 島田 哲郎  
代理人 篠崎 正海  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 庸良  
代理人 篠崎 正海  
代理人 島田 哲郎  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 庸良  
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