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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 E03D
管理番号 1252152
審判番号 不服2011-2509  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-02 
確定日 2012-02-09 
事件の表示 特願2000-331194「トイレシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月14日出願公開、特開2002-138549〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成12年10月30日の出願であって,平成22年10月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年2月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同時に手続補正がなされたものである。
その後,平成23年6月16日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年8月22日に回答書が提出された。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成23年2月2日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された,以下のとおりのものである。
「トラップ部8を有する水洗便器4と、
水洗便器4へ洗浄水を供給する洗浄水供給装置17と、
前記洗浄水供給装置17により水洗便器4へ供給される洗浄水の流量を検出する流量検出装置18と、
流量検出装置18からの信号を受けて、前記洗浄水供給装置17を制御し、かつタイマー部を有する制御装置19と、を備えたトイレシステムであって、
前記制御装置19は、前記洗浄水供給装置17による本洗浄を行った後、前記タイマー部で測定した所定時間経過後に水洗便器4内に補給水の供給が行われるよう、前記洗浄水供給装置17を制御し、
さらに、前記制御装置19は、
前記洗浄水供給装置17による本洗浄の流量として、水洗便器4のトラップ部8がサイホン現象を起こす流量を設定すると共に、
補給水の流量として、水洗便器4のトラップ部8がサイホン現象を起こさない流量を設定するトイレシステム。」(以下,「本願発明」という。)


第3 引用刊行物
1.刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され(引用文献2として),本願出願前に頒布された刊行物である,特許第2953002号公報(以下,「刊行物1」という。)には,以下の記載がある。(下線は当審にて付与。)
(1a)「第1図?第5図は第1の実施例に関するもので、第1図はこの発明に係る洗浄給水装置を備えた便器の縦断面図、第2図は第1図のA-A線断面図、第3図は洗浄給水装置のブロック構成図、第4図は同装置の動作を示すタイムチャート、第5図は同フローチャートである。
第1の実施例に係る洗浄給水装置は、便器のボウル部への洗浄水の供給を制御するボウル用弁機構と、トラップ排水路への洗浄水の供給を制御するトラップ用弁機構と、起動入力信号に基づいて先ずボウル用弁機構を開状態にしてボウル部へ給水し、次にトラップ用弁機構を開状態にして汚物・汚水を排出させる本洗浄のための給水を行ない、次に再度ボウル用弁機構を開状態としてボウル部の封水のための給水を行なうよう各弁機構を駆動する制御装置を備えたものである。
第1図において、1はサイホンジェット方式の便器であり、便器1は隔壁2で区画されたボウル部3とトラップ排水路4を備える。トラップ排水路4は、ボウル部3の後壁下部に開設した流入口5と、便器1の後部底面に開設した流出口6とを略逆U字形に屈曲して連絡している。トラップ排水路4はその屈曲部たる堰部4aより下流側の排出路4bを略直管形状に形成し、排出路4bの下端に絞り部4cを備える。この絞り部4cは、排出路4bの内径を排出路4bの管壁と直交する方向に縮径したものである。なお、この絞り部4cは、必ずしも排出路4bの下端である流出口6の位置に設けなくともよく、例えば排出路4bの略中間部あるいは中間部より下流側の位置に設けてもよい。」

(1b)「次に、第2の実施例を第11図?第16図を参照に説明する。
第11図は流量計および止水機能を有する二方向切替弁を備えた洗浄給水装置を内蔵した便器の縦断面図、第12図は第11図のB-B線断面図、第13図は二方向切替弁の構造を示す断面図、第14図は同洗浄給水装置のブロック構成図、第15図は給水順序を示すタイムチャート、第16図は同洗浄給水装置の動作を示すフローチャートである。
第2の実施例に示す洗浄給水装置60は、止水機能を備えた二方向切替弁100を用いてボウル部への給水とトラップ排水路への給水を切替えるようにしたものである。
また、この洗浄給水装置60は、流量計62を備えて予め設定された流量を各部へ供給するようにしている。」(8欄31?39行)

(1c)「次に本実施例の動作を第15図のタイムチャートおよび第16図のフローチャートを参照して説明する。なお、第16図においてS1?S10はフローチャートの各ステップを示す。
操作部16からの起動信号により制御装置61は、二方向切替弁100の第一の流出口102a側を開状態に駆動する(S1)。これにより、リム射水孔9からボウル部3に洗浄水が供給され、ボウル部3の壁面を洗浄するとともに、溜水23に渦を発生させる。
制御装置61内のMPU61bは、流量計62からの流量信号に基づいて流量を積算しており、メモリ61c内に予め登録されているボウル部前洗浄量が給水された時点で(S2)、第一の流出口102a側を閉状態に駆動する(S3)。
次に、MPU61bは、二方向切替弁100の第二の流出口102b側を開状態に駆動する(S4)。これによりジェット用ノズル12のジェット噴射孔12aからトラップ排水路44内へ洗浄水が噴射される。トラップ排水路44内に噴射された洗浄水は、堰部44aを越えて排出路44bへ流入し、排出路44bに形成した突起44dに衝突し、流れを変えながら排出路44bの管内全体に亘って略均一に流れ落ちる。この洗浄水により流出口6近傍に設けた絞り部44cに水シールが発生するとともに、トラップ排水路44内の空気は洗浄水とともに流出口6から図示しない排水管へ排出される。このためトラップ排水路44内に負圧が発生し、ボウル部3内の溜水23がトラップ排水路44内に呼び込まれ、トラップ排水路44内は、洗浄水で充満された完全なサイホン状態となる。
制御装置61は、ステップS2と同様に流量を積算しており、メモリ61c内に予め設定されたトラップ部給水量が供給されると(S5)、第二の流出口102b側を閉状態に駆動する(S7)。
次に、制御装置61はタイマ61dを起動する。このタイマ61dには、トラップ排水路44への給水を停止してから、ボウル部3内の溜水23が排出されるまでの時間が設定されている。一方、トラップ排水路44への給水を停止した後も、サイホン作用は継続しており、ボウル部3内の汚物・汚水等は溜水23とともに排出される。 制御装置61は、タイマ61dの経過時間を監視し、予め設定され給水停止時間経過後(S7)、二方向切替弁100の第一の流出口102a側を再度開状態に駆動する(S8)。これによりボウル部3の封水が開始され、メモリ61c内に予め登録された封水量が供給された時点で(S9)、制御装置61は第一の流出口102a側を閉状態に駆動する(S10)。
以上のステップS1?S10で、第15図のタイムチャートに示す一連の洗浄給水が完了する。」

上記記載事項(1a)?(1c)及び図面の記載からみて,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「ボウル部3の後壁下部に開設した流入口5と,便器1の後部底面に開設した流出口6とを略逆U字形に屈曲して連絡するトラップ排水路4を有する便器1と,
便器1へ洗浄水を供給する止水機能を有する二方向切替弁100と,
便器へ供給される洗浄水の流量を検出する流量計62と,
流量計62からの流量信号に基づいて,前記二方向切替弁100を制御し,かつタイマ61dを有する制御装置61と,を備えたトイレであって,
前記制御装置61は,本洗浄のためのトラップ部給水量が供給されると,本洗浄のための給水を停止し,
次に,制御装置61はタイマ61dを起動して,経過時間を監視し,予め設定された給水停止時間経過後ボウル部3への給水を開始し,所定の封水量が供給された時点で給水を停止するトイレ。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)


第4 当審の判断
1.本願発明と刊行物1記載の発明との対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「トイレ」は,本願発明の「トイレシステム」に相当し,
以下同様に,「トラップ排水路4」が「トラップ部8」に,
「止水機能を有する二方向切替弁100」が本願発明の「洗浄水供給装置17」に,
「流量計62」が「流量検出装置18」に,
「タイマ61d」が「タイマー部」に,
それぞれ相当している。

そして,刊行物1記載の発明の「本洗浄のためのトラップ部給水量」及び「所定の封水量」が,それぞれ「水洗便器4のトラップ部8がサイホン現象を起こす流量」及び「水洗便器4のトラップ部8がサイホン現象を起こさない流量」に相当することは,それぞれの働きから考えて明らかである。

また,刊行物1記載の発明の「本洗浄のためのトラップ部給水量が供給されると,本洗浄のための給水を停止し,次に,制御装置61はタイマ61dを起動して,経過時間を監視し,予め設定された給水停止時間経過後ボウル部3への給水を開始」するという制御は,本願発明の「洗浄水供給装置17による本洗浄を行った後,タイマー部で測定した所定時間経過後に水洗便器4内に補給水の供給が行われるよう,洗浄水供給装置17を制御」することに相当している。

以上のことから,両者は,
「トラップ部を有する水洗便器と,
水洗便器へ洗浄水を供給する洗浄水供給装置と,
前記洗浄水供給装置により水洗便器へ供給される洗浄水の流量を検出する流量検出装置と,
流量検出装置からの信号を受けて,前記洗浄水供給装置を制御し,かつタイマー部を有する制御装置と,を備えたトイレシステムであって,
前記制御装置は,前記洗浄水供給装置による本洗浄を行った後,前記タイマー部で測定した所定時間経過後に水洗便器内に補給水の供給が行われるよう,前記洗浄水供給装置を制御し,
さらに,前記制御装置は,
前記洗浄水供給装置による本洗浄の流量として,水洗便器のトラップ部がサイホン現象を起こす流量が設定されていると共に,
補給水の流量として,水洗便器のトラップ部がサイホン現象を起こさない流量が設定されているトイレシステム。」
である点で一致しており,実質的に相違点はない。

2.請求人の主張に対して
請求人は審判請求書(5頁2?12行)において,刊行物1には,補正発明の「補給水の流量として,水洗便器のトラップ部がサイホン現象を起こさない流量を設定する」構成がない旨主張しており,また,回答書(3頁6?20行)において,刊行物1には,本願発明の「洗浄水供給装置による本洗浄を行った後,タイマー部で測定した所定時間経過後に水洗便器内に補給水の供給が行われる」構成がない旨主張している。
しかしながら,刊行物1記載の発明において,「所定の封水量」によってサイホン現象が生じてしまっては封水としての意味はなく,「所定の封水量」が「水洗便器のトラップ部がサイホン現象を起こさない流量」であることは,自明であるし,タイマによって監視されている「予め設定された給水停止時間」として,封水用の洗浄水が本洗浄用の洗浄水と共に排水されないためにサイホン現象による排水が終了するのに十分な時間が設定される必要があることも,当業者にとって自明のことである。
よって,上記請求人の主張は,妥当ではない。

3.まとめ
したがって,本願発明は,刊行物1に記載された発明であり,特許法第29条第1項第3号の規定に違反する発明であるから,特許を受けることができない。


第5 むすび
以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-06 
結審通知日 2011-12-13 
審決日 2011-12-28 
出願番号 特願2000-331194(P2000-331194)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (E03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 俊久  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 土屋 真理子
宮崎 恭
発明の名称 トイレシステム  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  
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