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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L |
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管理番号 | 1252930 |
審判番号 | 不服2008-22221 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-08-29 |
確定日 | 2012-02-29 |
事件の表示 | 特願2005-167700「落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月21日出願公開、特開2006-340632〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は,平成17年6月8日を出願日とする出願であって,平成19年8月31日付けで拒絶理由が通知され,同年12月25日付けで意見書が提出され,平成20年1月17日付けで拒絶理由が通知され,同年5月8日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,同年5月26日付けで拒絶査定がなされ,同年8月29日に拒絶査定を不服とする審判が請求され,平成23年6月20日付けで拒絶理由が通知され,同年9月29日付けで意見書が提出されたものである。 第2 本願発明の認定 この出願の請求項1に係る発明は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められ,請求項1にかかる発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものであると認める。 「落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品において, 落花生茎を水洗後に常温で日光に晒して乾燥させるか,或いは低温の摂氏50度以下で加熱乾燥し,落花生茎の乾燥物一部に10?300部の水を溶状製品として加え,摂氏50?100度となるまでゆっくりと加熱して,1?4時間,その温度を保持して落花生茎内に含有される成分を完全に抽出した後,遠心分離及び濾過し,残さ及び特殊成分を含有する抽出液を分離し,残さを廃棄し,抽出液を瞬間殺菌した後,自動充填機を利用してアルミ箔包,アルミ缶,或いはポリエチレンテレフタレート(PET)ボトル内に自動充填し,更に殺菌して直接飲料として飲用に供する液状製品となすか, 上記抽出液を,真空或いは減圧設備を利用して,低温濃縮脱水してペースト状となすか, 上記抽出液より製造したペースト状製品を減圧濃縮して1/5?1/10量となし,更に噴霧乾燥機を利用して乾燥箱内に噴霧し,快速脱水して粉末状となすか,或いは冷凍乾燥機を利用して高真空或いは超低温下で冷凍脱水して粉体となし,更に研磨粉砕後に,粉状物を得るか, 上記粉状物を打錠機で打錠してタブレット状となすか,或いはカプセル充填機でカプセル内に受動充填,封入してカプセルとなしたことを特徴とする,落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品。」 第3 平成20年5月8日付けの手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。) 本件補正は,当初明細書等中の【図面の簡単な説明】の欄である段落【0011】に, 「【図5】落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物の体重変化に対する影響を示す図である。実験動物は毎日,異なる投与量組の落花生茎抽出物(HSZ)を投与され,3週間後,STZ誘導高血糖状態で,1週間或いは2週間観察したのち,実験期間において毎週測った体重である。*:P<0.05は,同期間の糖尿病組(DM)との比較である。 【図6】落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物の血糖値変化に対する影響を示す図である。実験動物は毎日,異なる投与量組の落花生茎抽出物(HSZ)を投与され,3週間後,STZ誘導高血糖状態で,1週間或いは2週間観察したのち,採血して,翌日の空腹血糖値を測定する。(その間,実験組は試験物,対照組は生理食塩水を投与し続ける。)*:P<0.05は,同期間の対照組(control)との比較である。**:P<0.05は,同期間の糖尿病組(DM)との比較である。 【図7】落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物のブドウ糖無耐性変化に対する影響を示す図である。実験動物は毎日,異なる投与量組の落花生茎抽出物(HSZ)を投与され,3週間後,STZ誘導高血糖状態で,2週間後,ブドウ糖耐性の測定を行う。*:P<0.05は,同期間の糖尿病組(DM)との比較である。」 を追加すると共に,図面に,図5ないし図7を追加する補正である。 第4 平成23年6月20日付け拒絶理由通知の拒絶の理由の概要 本件補正は,下記の点で,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 図5ないし図7の具体的数値を伴う本件補正は,新たな技術的事項を導入したものということができるから,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 第5 当審の判断 1 上記「第3」のとおり,本件補正は,落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物の体重変化に対する影響を示す図(【図5】),落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物の血糖値変化に対する影響を示す図(【図6】)及び落花生茎抽出物がSTZ誘導高血糖状態による実験動物のブドウ糖無耐性変化に対する影響を示す図(【図7】),並びに,各図面の簡単な説明を新たに加えるものである。 2 本件補正は,本願請求項1に記載の「落花生茎抽出物含有」「食品」が,血糖調節機能を有することに関するものであるところ,当初明細書等には,以下のとおり記載されている。 (1)当初明細書等の発明の詳細な説明の段落【0001】に,「本発明は・・食用後に血糖調節を達成して尿酸患者の苦痛を軽減し,人体の健康を増進できるようにした,落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品に関する」と記載されている。 (2)同段落【0002】に,「落花生の葉,茎或いは根はその利用価値が未だ探求されておらず,廃棄物とされるか有機肥料として処理されるのみである。落花生茎はその独特な成分を含有し,人類の疾病治療の効果を有し,さらには人体の健康保持の栄養素を含有し・・」と記載されている。 (3)同段落【0003】に,「食用後,本発明は人体に対して保健作用を有し,抽出物に含有される特殊成分が血糖調節の作用を有し,尿酸患者の苦痛を軽減し,症状を治癒する効果を有する」と記載されている。 (4)同段落【0005】に,「本発明の長所は以下のとおりである。・・3.実験により本発明の血糖調節の作用が明らかとなり,尿酸患者の苦痛を軽減し,症状治癒の効果を有する・・」と記載されている。 (5)同段落【0006】に,「総合すると,本発明の落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品は,血糖調節の機能を有し・・」と記載されている。 3 上記「2(1)ないし(5)」の記載によると,本願請求項1に記載の「落花生茎抽出物含有」「食品」は,血糖調節作用を有し,尿酸患者の苦痛を軽減するという機能があることが,当初明細書等には‘文言上’記載されてはいる。 しかしながら,該「落花生茎抽出物含有」「食品」が,血糖調節機能を有することを客観的に確認できる実験データは,当初明細書等のいずれの箇所にも記載されてはいない。 また,本願出願当時の技術常識を勘案しても,そもそも,植物抽出物といった化学物質を含む技術分野は,一般に発明の構成からその効果を予測することが困難な技術分野であり,実際に実験を行って効果を客観的に確認してみなければ分からない技術分野であり,この技術分野において,該「落花生茎抽出含有」「食品」が血糖調節機能を有することは技術常識であったものでもなく,ましてや,該「落花生茎抽出含有」「食品」の血糖調節機能が‘どの程度’調整するのかについても技術常識はなかった。 4 これらのことから,当初明細書等には,本願請求項1に記載の「落花生茎抽出物含有」「食品」が血糖調節機能を有することは‘文言上’記載されているのみであり,該「落花生茎抽出物含有」「食品」の血糖調節機能を客観的に確認することはできず,ましてや,該「落花生茎抽出物含有」「食品」の血糖調節機能の程度が,本件補正による図5ないし図7に示される具体的数値程度になることは,当初明細書等には記載も示唆もされておらず,自明の事項ではない。 それに対し,本件補正事項は,該「落花生茎抽出物含有」「食品」の血糖調節機能につき,図5ないし図7に示される具体的数値を伴うものであり,これら具体的数値を伴う本件補正事項が新たな技術的事項を導入に該当することは明らかである。 5 したがって,本件補正事項を含む本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 第6 むすび 以上のとおり,平成20年5月8日付けの本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,この出願は,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-03 |
結審通知日 | 2011-10-04 |
審決日 | 2011-10-18 |
出願番号 | 特願2005-167700(P2005-167700) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(A23L)
P 1 8・ 561- WZ (A23L) P 1 8・ 537- WZ (A23L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森井 隆信 |
特許庁審判長 |
秋月 美紀子 |
特許庁審判官 |
郡山 順 齊藤 真由美 |
発明の名称 | 落花生茎抽出物含有血糖調節機能性食品 |
代理人 | 魚住 高博 |
代理人 | 手島 直彦 |
代理人 | 竹本 松司 |
代理人 | 白石 光男 |
代理人 | 湯田 浩一 |
代理人 | 杉山 秀雄 |