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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1252976
審判番号 不服2011-11124  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-26 
確定日 2012-03-01 
事件の表示 特願2001-220870「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月 4日出願公開、特開2003- 33495〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年7月23日の出願であって、平成23年2月23日付け(発送:3月1日)で拒絶査定がされ、これに対し平成23年5月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、これと同時に手続補正がされ、当審において、平成23年8月3日付けで審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、平成23年9月26日に回答書が提出された。

2.平成23年5月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年5月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の明細書の特許請求の範囲に記載された
「【請求項1】
遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信し、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記付加演出決定手段により表示する前記付加演出が決定された場合に、該付加演出の表示を指示するコマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記付加演出は、
該付加演出が付加された前記抽選結果演出について、前記特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す演出であることを特徴とする遊技機。」
という発明を、
「【請求項1】
遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信し、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出の表示を指示する付加演出コマンドを抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記付加演出決定手段により前記付加演出コマンドが決定された場合に、該付加演出コマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記付加演出決定手段は、 前記抽選結果演出と前記付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有し、前記第一のコマンドを受信した場合に、前記テーブルに基づいて、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に関連付けて登録されている前記付加演出コマンドのデータのうちから前記第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを抽選により決定し、 前記コマンド送信手段は、 前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出コマンドのデータを、前記第2のプロセッサに対して送信し、 前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記付加演出は、
該付加演出が付加された前記抽選結果演出について、前記特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す演出であることを特徴とする遊技機。」
という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所である。)。

(2)補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1における、「該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、前記付加演出決定手段により表示する前記付加演出が決定された場合に、該付加演出の表示を指示するコマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と」を「該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出の表示を指示する付加演出コマンドを抽選により決定する付加演出決定手段と、前記付加演出決定手段により前記付加演出コマンドが決定された場合に、該付加演出コマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と」と変更することで、付加演出決定手段が抽選により決定するものが付加演出の表示を指示する付加演出コマンドである点を限定し、請求項1に「前記付加演出決定手段は、前記抽選結果演出と前記付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有し、前記第一のコマンドを受信した場合に、前記テーブルに基づいて、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に関連付けて登録されている前記付加演出コマンドのデータのうちから前記第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを抽選により決定し、」を追加することにより、付加演出決定手段がどのように付加演出コマンドを抽選により決定するかを限定し、請求項1に「前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出コマンドのデータを、前記第2のプロセッサに対して送信し、」を追加することにより、コマンド送信手段が付加演出コマンドのデータを送信することを限定したものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成22年8月10日付け拒絶理由通知)において引用文献2として引用された特開2001-070590号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。また、画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。」

(イ)「【0034】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球基板37、ランプ制御基板(発光体制御基板)35、音制御基板70、表示制御基板80および総合演出制御基板90も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。」

(ウ)「【0039】
図5は、主基板31における演出制御コマンド送出部分と総合演出基板における演出制御コマンド受信部分および制御コマンド送出部分の一例を示すブロック図である。図5に示された例では、主基板31のCPU56は、出力ポート571および出力バッファ回路63を介して遊技演出を指示するための演出制御コマンドデータを総合演出基板90に送出する。なお、図4に示されたように、主基板31のCPU56は、演出制御コマンドとは別に、賞球制御基板37に対して賞球個数を指示するための賞球制御コマンドを送出する。
【0040】
総合演出基板90において、主基板31からの演出制御コマンドは、入力バッファ88および入力ポート98を介して演出制御用CPU89(総合演出制御手段)に入力される。入力バッファ88は、信号を主基板31の側から総合演出制御基板90の側にしか伝えない不可逆性信号伝達手段である。従って、総合演出制御基板90側から主基板31側に信号が伝わる余地はなく、総合演出制御基板90内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。また、主基板31と総合演出制御基板90との間の配線に不正基板等が接続されても、片方向にしか信号を伝えない出力バッファ回路63によって不正基板等からの不正信号が主基板31側に伝わることはない。
【0041】
演出制御コマンドは、主基板31のCPU56が実行する遊技進行に応じて送出される。演出制御用CPU89は、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御手段に対する表示制御コマンド、音制御手段に対する音制御コマンドおよびランプ制御手段に対するランプ制御コマンドを作成する。
【0042】
表示制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート91(出力ポートA)および出力バッファ回路94を介して送出される。また、音制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート92(出力ポートE)および出力バッファ回路95を介して送出される。そして、ランプ制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート93(出力ポートC)および出力バッファ回路96を介して送出される。」

(エ)「【0045】
そして、表示制御用CPU101は、総合演出基板90から受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D-A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。」

(オ)「【0063】
図10(A)は、図9に示された制御コマンド(演出制御コマンド)のコード割り当ての一例を示す説明図である。この実施の形態では、主基板31から総合演出制御基板90に送出される各演出制御コマンドは2バイト構成であるが、演出制御コマンドの長さは2バイト以外であってもよい。
【0064】
1バイト目が80Hである演出制御コマンドは変動開始を示すコマンドであるが、その2バイト目は、可変表示部9における図柄の変動時間を特定可能な情報を示す。図10(B)に示すように、この例では、変動時間を特定可能な情報として、はずれ変動期間、確変時に行われる変動の変動期間、短期間のリーチ変動の変動期間、中期間のリーチ変動の変動期間および長期間のリーチ変動の変動期間がある。1バイト目が81Hであって2バイト目が00Hである演出制御コマンドは、可変表示部9における図柄の確定を指定する確定コマンドである。主基板31のCPU56は、変動開始の演出制御コマンドで指定した変動時間が経過すると、総合演出制御基板90に対して確定コマンドを送出する。」

(カ)「【0071】
次に、遊技制御に用いられる大当り決定用の乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。図12は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り決定用=特別図柄決定用)(2)ランダム2-1?2-3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ期間を決定する(リーチ期間決定用)」

(キ)「【0081】
次に、始動入賞口14への入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される図柄の決定方法について図13?図15のフローチャートを参照して説明する。図13は打球が始動入賞口14に入賞したことを判定する処理を示し、図14は可変表示部9の可変表示の停止図柄を決定する処理を示す。図15は、大当りとするか否か決定する処理を示すフローチャートである。
【0082】
打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。ステップS10のスイッチ処理において、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り決定用乱数の値を抽出する。そして、それを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する(ステップS44)。そして、特図始動入賞コマンド(演出制御コマンド)の送出要求をセットする(ステップS45)なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶可能である。
【0083】
CPU56は、ステップS11の特別図柄プロセス処理において始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS50)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS51)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする(ステップS52)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を、始動入賞記憶数=n-1に対応する乱数値格納エリアに格納する。
【0084】
そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り決定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り決定用乱数は0?249の範囲の値をとることにする。図15に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
【0085】
大当りと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値にもとづいて大当り図柄を決定する(ステップS62)。そして、大当り図柄が、高確率状態を生じさせるための確変図柄であれば(ステップS64)、確変フラグをセットする(ステップS65)。また、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定する(ステップS57)。
【0086】
はずれと判定された場合には、CPU56は、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。例えば、リーチ判定用の乱数であるランダム4の値が「105」?「1530」のいずれかである場合には、リーチとしないと決定する。そして、リーチ判定用乱数の値が「0」?「104」のいずれかである場合にはリーチとすることを決定する。リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
【0087】
この実施の形態では、ランダム2-1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2-2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2-1およびランダム2-2の値の0?15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当り図柄と一致しないようにする。さらに、CPU56は、また、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定する(ステップS57)。
【0088】
ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2-1?2-3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。
以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様が大当りとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。」

(ク)「【0090】
例えば、可変表示部9の停止図柄の組合せが特定図柄となった場合に、大当りとなる確率は上昇しないが可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められる遊技機においても、リーチとすることが決定されたら、左右の停止図柄を特定図柄の表示態様と一致させるか否か、すなわちどの図柄でリーチ状態を発生させるかが所定の乱数等の手段によって決定される遊技機においても本発明を適用可能である。
また、この実施の形態で用いられた乱数および乱数値の範囲は一例であって、どのような乱数を用いてもよいし、範囲設定も任意である。
【0091】
上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、CPU56は、ステップS11(図11参照)の特別図柄プロセス処理において、大当りとするかはずれとするかと、停止図柄とを決定するが、その決定に応じた演出制御コマンドを総合演出制御基板90に与える。」

(ケ)「【0162】
以下、上述した表示例を実現するための遊技制御手段、総合演出制御手段および表示制御手段の制御について説明する。
図29は、図16に示された特別図柄プロセス処理における全図柄変動開始待ち(ステップS304)の処理を示すフローチャートである。ステップS302,S303の停止図柄設定処理およびリーチ動作設定処理において変動時間と停止図柄が決定されると、それらを指示するための演出制御コマンドの総合演出基板90に対する送出制御が行われるのであるが、ステップS304では、主基板31のCPU56は、まず、コマンドの送出完了を待つ(ステップS304a)。なお、コマンド送出完了は、メイン処理(図11参照)中の制御データ出力処理(ステップS5)から通知される。
【0163】
この実施の形態では、CPU56は、図柄の変動を開始させるときに、図10に示された変動時間を特定可能な演出制御コマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを総合演出基板90に送出する。また、続けて、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを総合演出基板90に送出する。よって、ステップS304aのコマンド送信完了処理では、それら全てのコマンドの送出が完了したか否か確認される。なお、CPU56は、左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを送出してからコマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを送出してもよい。
【0164】
演出制御コマンドの送出が完了すると、CPU56は、総合演出基板90に通知した変動時間を測定するための変動時間タイマをスタートする(ステップS304b)。そして、ステップS305(全図柄停止待ち処理)に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS304c)。
【0165】
図30は、図16に示された特別図柄プロセス処理における全図柄停止待ち処理(ステップS305)を示すフローチャートである。ステップS305では、CPU56は、変動時間タイマがタイムアップしたか否か確認する(ステップS305a)。タイムアップしたら、全図柄停止を指示する演出制御コマンドを設定する(ステップS305b)。そして、制御コマンドデータ送出要求をセットし(ステップS305c)、ステップS306(大当り表示処理)に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS305d)。なお、制御コマンドデータ送出要求は、メイン処理(図11参照)中の制御データ設定処理(ステップS4)で参照される。また、大当りとなっていない場合には、ステップS305dにおいて、ステップS300に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する。
【0166】
以上のように、特別図柄プロセス処理において、CPU56は、変動の開始時に変動時間を特定可能な情報と停止図柄を指示する情報とを、総合演出基板90に送出し、変動時間タイマがタイムアップしたら、すなわち指示した変動時間が終了したら、全図柄停止を指示する情報(確定コマンド)を、総合演出基板90に送出する。その間、CPU56は、演出制御コマンドを送出しない。従って、主基板31のCPU56のコマンド送出制御に要する負荷は大きく低減されている。」

(コ)「【0175】
以上に説明したように、この実施の形態では、遊技制御手段すなわち主基板31のCPU56は、特別遊技装置(この例では可変表示部9)の作動に関する大まかな情報と、大当り遊技中における遊技状態を示す情報を総合演出制御基板90に演出制御コマンドとして送出する。この実施の形態では、特別遊技装置の作動に関する情報とは、可変表示の変動時間を特定可能な情報と作動結果(この例では確定図柄)を示す情報である。また、大当り遊技中における遊技状態を示す情報は、大当り発生、大当り終了、ラウンド開始、ラウンド終了、V入賞、大入賞口入賞、確変開始および確変終了等の演出制御コマンドである。
【0176】
総合演出制御基板90における演出制御用CPU89は、主基板31から受信した特別遊技装置の作動に関する情報にもとづいて、複数種類用意されている所定の演出制御のうちから1つの演出制御を独自に決定する。そして、決定した演出制御を示す表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。以下に説明するように、この実施の形態では、所定の演出制御として、リーチ種類や予告がある。すなわち、演出制御用CPU89は、変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したら、具体的なリーチ種類を決定する。例えば、リーチ短期間の演出制御コマンドを受信したら、図25に示されたパターンA?Cのいずれの変動態様を用いるのかを決定する。また、受信した演出制御コマンドにもとづいてリーチとすることを認識したら、リーチ予告を行うのかと大当り予告を行うのかを決定する。リーチとしないことを認識したら、リーチ予告を行うのかを決定する。
【0177】
表示制御基板80の表示制御用CPU101は、総合演出制御基板90から受信した表示制御コマンドに応じて図柄の可変表示を実行する。その際、変動態様に応じた背景およびキャラクタを使用することに決定する。」

(サ)「【0182】
図37は、抽出されたリーチ種類決定用乱数値とリーチ種類との関係を示す説明図である。図37において、A,B,Cは、図25?図28における(A),(B),(C)に対応している。すなわち、抽出されたリーチ種類決定用乱数の値が上段に示される値であれば、演出制御用CPU89は、下段に示された変動態様で図柄の変動を行うことに決定する。例えば、主基板31から変動時間として29.5秒(リーチ長期間)が通知され、抽出したリーチ種類決定用乱数の値が21であり、大当りとする場合には、図28(C)に示された変動態様で変動を行うことに決定する。なお、大当りとするか否かは、変動時間を指定する表示制御コマンドともに送出された左右中図柄の停止図柄を示す演出制御コマンドにもとづいて判定される。
【0183】
図38は、抽出されたリーチ予告用乱数とリーチ予告との関係(図38(A))、抽出された大当り予告用乱数と大当り予告との関係(図38(B))を示す説明図である。この実施の形態では、リーチとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合には、演出制御用CPU89は、リーチ予告用乱数を抽出し、その値が0?3のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が4または5であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定し、抽出値が6または7であればリーチ予告2の態様でリーチ予告を行うことに決定する。
【0184】
また、はずれとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合に、演出制御用CPU89は、リーチを成立させる左右図柄が1図柄ずれているときには、リーチ予告用乱数の抽出値が0?5のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が6であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定し、抽出値が7であればリーチ予告2の態様でリーチ予告を行うことに決定する。図柄のずれ数が2図柄以上であるときには、リーチ予告用乱数の抽出値が0?6のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が7であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定する。
【0185】
さらに、リーチとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合には、演出制御用CPU89は、大当り予告用乱数を抽出し、大当りとする場合には、その値が0であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が1であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告2の態様で大当り予告を行うことに決定する。
【0186】
また、大当りとしない場合に、左右図柄と中図柄とが1図柄ずれているときには、大当り予告用乱数値が0であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が1であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告2の態様で大当り予告を行うことに決定する。左右図柄と中図柄とのずれ数が2図柄以上であるときには、大当り予告用乱数の抽出値が0または1であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定する。
【0187】
なお、1図柄ずれているか否かは、主基板31から受信した停止図柄(確定図柄)を示す演出示制御コマンドによって判定可能である。このように、この実施の形態では、総合演出制御手段は、表示演出として「予告」の実行も決定する。そして、「予告」の表示演出の実行を決定する際に、確定図柄を示す演出制御コマンドにもとづいて「予告」を行うか否か決定するので、可変表示部9において最終的に確定する図柄に応じた予告実行判断を行うことができる。例えば、図38に示されているように、確定図柄の組み合わせが1図柄ずれている場合には、「予告」が生じやすくなっている。」

(シ)「【0191】
上述したように、演出制御用CPU89は、主基板31から変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したら具体的な変動態様を決定する。また、リーチ予告を行うか否かと大当り予告を行うか否かとを決定する。図40は、演出制御用CPU89が、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する制御コマンドのうち、演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わるものを示す説明図である。なお、この実施の形態では、はずれ変動は1種類であり、確変時のはずれ変動も1種類であるので、それらについては演出制御用CPU89が複数種類のうちから選択することはないが、それらに関する制御コマンドも演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わるものに含める。
【0192】
また、図40に示されたもの以外の制御コマンドについては、主基板31から受信した演出制御コマンドを、そのまま表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する制御コマンドとして用いるとする。すなわち、演出制御用CPU89は、図10に示された[80H,00H]以外の演出制御コマンドを受信すると、それらのコマンドを、それらに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとして送出する。もちろん、演出制御コマンドと、それに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとを、異なるビット構成としてもよい。
【0193】
変動態様に関する情報と予告ありなしを示す情報とが1つの制御コマンドに含まれていてもよいが、その場合には、例えば、図41に示すように、変動態様、リーチ予告の有無および大当り予告の有無が1制御コマンドで指定される。ただし、図41には、変動態様および予告に関する制御コマンドのうちの一部のみが例示されている。」

以上、(ア)乃至(シ)の記載、及び図面を総合すると、引用例2には、
「プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53を備えた主基板31と、主基板31からの演出制御コマンドを受信する演出制御用CPU89を備えた総合演出制御基板90と、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御用CPU101を備えた表示制御手段に対する表示制御コマンドを作成して送出し、表示制御用CPU101は受信した表示制御コマンドに従って、可変表示部9に表示される画面の表示制御を行うパチンコ遊技機1において、
主基板31は、始動入賞口14に打球が入賞すると、始動口センサ17がオンし、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると、大当り決定用乱数の値を抽出し、抽出された大当り決定用乱数の値にもとづいて当り/はずれを決定し、
大当りと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値にもとづいて大当り図柄を決定し、大当り図柄が、高確率状態を生じさせるための確変図柄であれば、確変フラグをセットし、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、
はずれと判定された場合には、リーチとするか否か判定し、リーチとすることを決定したときには、リーチ図柄の決定をし、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、リーチとしないことに決定された場合には、ランダム2-1?2-3の値に応じて左右中図柄を決定し、
その決定に応じた変動時間を特定可能な演出制御コマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれか、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを総合演出制御基板90に送出し、具体的なリーチ種類、リーチ予告を行うのか、大当り予告を行うのかを抽出されたリーチ種類決定用乱数値、リーチ予告用乱数、大当り予告用乱数により決定し、
表示制御基板80に演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わる表示制御コマンドを送出するパチンコ遊技機1。」
の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明2」という。)。

(4)対比
引用発明2の「パチンコ遊技機1を制御する」は、本願補正発明の「遊技動作制御を統括する」に相当する。以下同様に、
「主基板31」は「主制御手段」に、
「パチンコ遊技機1」は「遊技機」に、
「演出制御用CPU89」は「第1のプロセッサ」に、
「表示制御用CPU101」は「第2のプロセッサ」に、それぞれ相当する。

引用発明2では、主基板31からの演出制御コマンドを受信する演出制御用CPU89を備えた総合演出制御基板90と、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御用CPU101を備えた表示制御手段に対する表示制御コマンドを作成して送出し、表示制御用CPU101は受信した表示制御コマンドに従って、可変表示部9に表示される画面の表示制御を行っていることから、引用発明2は本願補正発明の「主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置」を備えているといえ、本願補正発明の「前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサ」についても備えているといえる。

また、引用発明2では、始動入賞口14に打球が入賞すると、始動口センサ17がオンし、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると、大当り決定用乱数の値を抽出し、抽出された大当り決定用乱数の値にもとづいて当り/はずれを決定していることから、引用発明2は本願補正発明の「特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行」することに相当する機能を有しているといえる。

また、引用発明2では、主基板31が、変動時間を特定可能な演出制御コマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれか、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを演出制御用CPU89を備えた総合演出制御基板90に送出していることから、引用発明2は本願補正発明の「該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信」することに相当する機能を有しているといえる。

また、引用発明2では、 演出制御用CPU89は、主基板31から受信した可変表示部9の作動に関する情報にもとづいて、具体的なリーチ種類、リーチ予告を行うのか、大当り予告を行うのかを抽出されたリーチ種類決定用乱数値、リーチ予告用乱数、大当り予告用乱数により決定していることから、引用発明2は本願補正発明の「前記第1のプロセッサは、前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出の表示を指示する付加演出コマンドを抽選により決定」することに相当する機能を有しているといえ、決定していることから、当然に本願補正発明の「付加演出決定手段」に相当する構成を備えているといえる。

また、引用発明2では、表示制御基板80に演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わる表示制御コマンドを送出しており、上記(シ)の記載から、引用例2では、演出制御用CPU89は、図10に示された[80H,00H]以外の演出制御コマンドを受信すると、それらのコマンドを、それらに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとして送出することから、引用発明2は本願補正発明の「該付加演出コマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信」することに相当する機能を有しているといえ、送信していることから、当然に本願補正発明の「コマンド送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

引用例2では、例えば、リーチ予告(本願補正発明の「付加演出」に相当)に関して、リーチ時、はずれ時(1図柄ずれ)、はずれ時(その他)(本願補正発明の「抽選結果演出」に相当)とリーチ予告なし、リーチ予告1、リーチ予告2とを関連付けたテーブル(引用例2の図38を参照)を有し、総合演出制御基板90が変動時間を特定可能な演出制御コマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれか、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンド(本願補正発明の「第一のコマンド」に相当)を受信した場合に、リーチ予告用乱数によりリーチ予告について決定し(本願補正発明の「抽選により決定し」に相当)、表示制御基板80に演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わる表示制御コマンドを送出している。そして、引用例2では、前記テーブルに基づき、遊技演出に関わる表示制御コマンドを送出していることから、リーチ予告なし、リーチ予告1、リーチ予告2という選択肢と、それを指示する表示制御コマンドとは1対1に対応しており、その対応関係を規定したテーブルを備えていることは明らかである。そうすると、リーチ時、はずれ時(1図柄ずれ)、はずれ時(その他)とリーチ予告なし、リーチ予告1、リーチ予告2とを指示する表示制御コマンドとは関連付けて登録されていることが明らかであるため、引用発明2は本願補正発明の「前記付加演出決定手段は、前記抽選結果演出と前記付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有し、前記第一のコマンドを受信した場合に、前記テーブルに基づいて、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に関連付けて登録されている前記付加演出コマンドのデータのうちから前記第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを抽選により決定」することに相当する機能を有しているといえる。

また、引用発明2では、表示制御用CPU101は受信した表示制御コマンドに従って、可変表示部9に表示される画面の表示制御を行っており、上記(シ)の記載から、引用例2では、演出制御用CPU89は、図10に示された[80H,00H]以外の演出制御コマンドを受信すると、それらのコマンドを、それらに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとして送出していることから、引用発明2は本願補正発明の「前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行」することに相当する機能を有しているといえる。

以上のことから、両者は、
「遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信し、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出の表示を指示する付加演出コマンドを抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記付加演出決定手段により前記付加演出コマンドが決定された場合に、該付加演出コマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記付加演出決定手段は、
前記抽選結果演出と前記付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有し、前記第一のコマンドを受信した場合に、前記テーブルに基づいて、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に関連付けて登録されている前記付加演出コマンドのデータのうちから前記第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを抽選により決定し、
前記コマンド送信手段は、
前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出コマンドのデータを、前記第2のプロセッサに対して送信し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。

以上のように、本願補正発明は、引用例2に記載された発明である。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

なお、請求人は審判請求書において「本発明では、付加演出決定手段が、抽選結果演出と付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有しております。これにより、本発明では、付加演出決定手段は、抽選によって、直接、第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを決定することができます。すなわち、本発明では、第1のプロセッサにおいて、実行する付加演出の種別を決定し、決定した付加演出の種別に対応する付加演出コマンドのデータを取得し、取得した付加演出コマンドのデータを第2のプロセッサに対して送信するという工程を踏む必要がありません。したがって、本発明では、付加演出の種別と付加演出コマンドのデータとの対応が登録されたテーブルを設定する必要がありません。」と、平成23年9月26日に提出された回答書では「具体的には、本発明では、「付加演出決定手段(第1のプロセッサ)は、抽選結果演出と付加演出コマンドのデータとを関連付けて登録したテーブルを有し、第一のコマンドを受信した場合に、テーブルに基づいて、該第一のコマンドに基づく抽選結果演出に関連付けて登録されている付加演出コマンドのデータのうちから第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを抽選により決定する」構成、及び、「コマンド送信手段(第1のプロセッサ)は、付加演出決定手段により決定された付加演出コマンドのデータを、第2のプロセッサに対して送信する」構成が、特徴となっております。そして、本発明では、この特徴に係る構成により、以下に示す作用効果を奏することが可能となります。すなわち、本発明では、付加演出決定手段は、抽選によって、直接、第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドのデータを決定することができます。よって、本発明では、第1のプロセッサにおいて、実行する付加演出の種別を決定し、決定した付加演出の種別に対応する付加演出コマンドのデータを取得し、取得した付加演出コマンドのデータを第2のプロセッサに対して送信するという工程を踏む必要がありません。したがって、本発明によれば、第1のプロセッサにおける処理を簡略化することができ、付加演出を行うにあたって、第1のプロセッサの制御負担の増加及びデータ量の増加のそれぞれを抑制することが可能となります。」とそれぞれ主張している。
しかしながら、請求項1の特定では、付加演出決定手段が、抽選によって、直接、第2のプロセッサに対して送信する付加演出コマンドを決定しているか否か、テーブルが1つなのか否か、が明らかではないため、上記請求人の主張は請求項1の発明を特定する事項に基づかないものであり採用することはできない。
なお、仮に、上記請求人の主張する点が請求項1の発明を特定する事項に反映されていると解釈した場合においても、テーブルによって遊技機の演出を決定する場合に、テーブルを2つ設けて2段階で決定するか、テーブルを1つのみ設けて1段階で決定するかは、双方例示するまでもなく周知技術であるので当業者が適宜決定し得る程度の事項に過ぎず、テーブルを1つとしたことによる効果も格別のものとは認められないから、本願補正発明は引用発明2から当業者が容易に発明できたものであるため特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない点にも留意されたい。

(5)本願補正発明についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成23年5月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1、2に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、平成22年5月27日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものである。
そして、その請求項1、2により特定される発明は次のとおりである。
「【請求項1】
遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信し、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記付加演出決定手段により表示する前記付加演出が決定された場合に、該付加演出の表示を指示するコマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記付加演出は、
該付加演出が付加された前記抽選結果演出について、前記特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す演出であることを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成22年8月10日付け拒絶理由通知)に引用文献1として引用された特開2000-107390号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ス)「【0016】
まず、図1及び図2を参照し、実施の形態に係るパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図2は、パチンコ遊技機1の一部内部構造を示す背面図である。」

(セ)「【0029】
図3は、第1の実施形態にかかる主基板31と副基板33と表示制御基板34と効果音制御基板35及び効果光制御基板36に設けられている制御回路を示すブロック図である。
【0030】
主基板31には、主基板CPU45、メイン制御ROM46、特定遊技状態ROM47、RAM48、入力バッファ49、フリップフロップ回路50、第1出力バッファ51、第2出力バッファ52等が設けられ、これらは直接あるいは間接的にバス53に接続されている。また、主基板31には電源回路55、アドレスデコード回路(図示せず)等も設けられている。
【0031】
メイン制御ROM46には制御プログラム等が記憶されており、主基板CPU45が制御プログラムを読み出すことにより遊技の進行に合わせた制御を行う。特定遊技状態ROM47には、各アドレスごとに特定遊技状態を示す情報が格納されている。本実施例においては、特定遊技状態を、外れ遊技状態、第1リーチ遊技状態、第2リーチ遊技状態、大当たり遊技状態の4つとしている。RAM48は、特定遊技状態ROM47から読み出した特定遊技状態を示す情報を一時的に格納するように構成されている。入力バッファ49には、入力ポート等を介して始動入賞玉検出スイッチ20、入賞玉検出スイッチ54、各種の状態検出スイッチ56が接続されている。第1出力バッファ51は、出力ポート等を介してソレノイド21を駆動するためのソレノイド駆動回路57に接続されている。第2出力バッファ52は、出力ポート、第1通信ケーブル39等を介して副基板33に接続されている。アドレスデコード回路は、主基板CPU45からのアドレスデータをデコードし、入力バッファ49、フリップフロップ回路50等にチップセレクト信号を与えている。また、主基板CPU45の電源投入時処理は、電源投入時の1割り込み目は副基板33に対して何の処理も行わず、実際の情報の送信は2割り込み目から行うようになっている。」

(ソ)「【0055】
図10は、主基板CPU45にて行われる特定遊技状態選択制御のフローチャートを示す。
【0056】
主基板CPU45では、所定サイクルごとに始動入賞玉検出スイッチ20からの検出出力を読み込んでいる。まず、S101において、読み込んだ始動入賞玉検出スイッチ20からの検出出力に基づいて始動入賞口18に打玉が入賞したか否かを判断する。始動入賞玉検出スイッチ20からの検出出力が「ON」で、始動入賞口18に打玉が入賞した場合には(S101で「Yes」)、S103に進む。
【0057】
S103では、外れ遊技状態、第1リーチ遊技状態、第2リーチ遊技状態、大当たり遊技状態の4つ特定遊技状態が各々所定の確率にて発生するようにカウント値が設定されているランダムカウンタ(図示せず)にてカウントを行い、カウント値を決定する。続く、S105では、S103にて決定されたカウント値に基づいて、該当する特定遊技状態を特定遊技状態ROM47から読み出す。たとえば、0?99までカウントするランダムカウンタを用い、カウント値が1の場合には大当たり遊技状態、2?9の場合には第2リーチ遊技状態、10?25の場合には第1リーチ遊技状態、26?99及び0の場合には外れ遊技状態と設定することもできる。
【0058】
S107にて、S105にて読み出された特定遊技状態を特定遊技選択情報としてRAM48に書き込んだあと、この特定遊技状態選択制御を終了する。
【0059】
図11は、主基板CPU45にて行われる特定遊技選択情報を出力するための制御動作を示すフローチャートである。
【0060】
まず、S201にてRAM48に特定遊技選択情報に書き込まれているか否かを判断する。特定遊技選択情報が書き込まれている場合には(S101で「Yes」)、S203に進み、書き込まれている特定遊技選択情報を読み出す。複数の特定遊技選択情報が書き込まれている場合には、書き込み順序の古いものから順番に読み出していく。次に、S205にて、読み出した特定遊技選択情報を副基板33に出力して、この特定遊技選択情報出力の制御動作を終了する。」

(タ)「【0070】
図13は、第2の実施形態にかかる主基板31と副基板33と表示制御基板34と効果音制御基板35及び効果光制御基板36に設けられている制御回路を示すブロック図である。なお、第1の実施形態にて開示している構成については、同一の符号を付している。第1の実施形態と異なる点は、副基板33、表示制御基板34、効果音制御基板35、効果光制御基板36の構成である。主基板31にかかる構成は、第1の実施形態のものと同一であり、その説明を省略する。
【0071】
副基板33には、副基板CPU101、副基板入力バッファ59、副基板フリップフロップ回路63、副基板出力バッファ64等が設けられている。副基板CPU101は、主基板31側から送られてくる特定状態選択情報に基づいて、提示する演出パターンとして、表示パターン、効果音パターン、効果光パターンを決定して、決定したパターンをパターン情報として所定タイミングで出力する。副基板入力バッファ59は、第1通信ケーブル39、入力ポート等を介して主基板31と接続されている。副基板出力バッファ64は、出力ポート、第3通信ケーブル102等で表示制御基板34と効果音制御基板35及び効果光制御基板36に接続されている。
【0072】
表示制御基板34には、表示制御基板入力バッファ67、表示制御CPU103、表示図柄ROM60、液晶表示パネル制御回路68等が設けられている。表示制御基板入力バッファ67は、入力ポート、第3通信ケーブル102等を介して副基板33に接続されている。表示制御CPU103は、副基板33から送られてくる表示パターン情報に基づいて、表示図柄ROM60内に記憶されている第1乃至第4表示データを読み出し液晶表示パネル制御回路68に出力する。液晶表示パネル制御回路68は、表示制御CPU103から与えられる第1乃至第4表示データに基づいて液晶表示パネル17aでの表示制御を行う。表示図柄ROM60内に記憶されている第1乃至第4表示データは、第1の実施形態のものと同じである。」

(チ)「【0078】
以上説明したように、本実施例では、主基板CPU45が特定遊技状態の選択決定を行い、副基板CPU101が選択された特定遊技状態に対応する演出パターンを決定し、各制御基板内34乃至36の各CPU103、105、107が決定された演出パターンに基づいて、操作者に対してどのような演出を提示するかという提示演出の具体内容の選択決定を行っている。すなわち、主基板CPU45は4つの特定遊技状態の中から1つの特定遊技状態を選択し、選択した特定遊技状態を特定遊技選択情報として副基板33に出力している。副基板CPU101は、特定遊技選択情報に基づいて、表示パターンの中から特定遊技選択情報に対応する表示パターンを選択し表示制御基板34に出力している。同様に、副基板CPU101は、効果音パターンを選択して効果音制御基板35に出力し、効果光パターンを選択して効果光制御基板36に出力している。表示制御CPU103は、特定遊技選択情報に基づいて、図柄表示ROM内に記憶されている第1乃至第4表示データの中から特定遊技選択情報に対応する表示データを選択し液晶表示パネル制御回路68に出力している。効果音制御CPU105は、効果音ROM61から効果音データを選択して音源IC回路70に出力している。効果光制御CPU107は、効果光ROM62から効果光データを選択して効果光発生制御回路73に出力している。」

以上、(ス)乃至(チ)の記載、及び図面を総合すると、引用例1には、
「制御プログラムを読み出すことにより遊技の進行に合わせた制御を行う主基板CPU45を備えた主基板31と、
主基板CPU45は、始動入賞口18に打玉が入賞した場合に外れ遊技状態、第1リーチ遊技状態、第2リーチ遊技状態、大当たり遊技状態の4つ特定遊技状態が各々所定の確率にて発生するようにカウント値が設定されているランダムカウンタにてカウントを行い、カウント値を決定し、決定されたカウント値に基づいて、該当する特定遊技状態を特定遊技状態ROM47から読み出し、読み出された特定遊技状態を特定遊技選択情報としてRAM48に書き込んで、書き込まれている特定遊技選択情報を読み出し読み出した特定遊技選択情報を副基板33に出力し、
副基板CPU101は、主基板31側から送られてくる特定状態選択情報に基づいて、提示する演出パターンとして、表示パターンを決定して、決定したパターンをパターン情報として所定タイミングで表示制御基板34に出力し、
表示制御基板34が備えた表示制御CPU103は、副基板33から送られてくる表示パターン情報に基づいて、表示図柄ROM60内に記憶されている第1乃至第4表示データを読み出し液晶表示パネル制御回路68に出力し、
液晶表示パネル制御回路68は、表示制御CPU103から与えられる第1乃至第4表示データに基づいて液晶表示パネル17aでの表示制御を行うパチンコ遊技機1。」
の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明1」という。)。

(3)対比
引用発明1の「遊技の進行に合わせた制御を行う」は、本願発明の「遊技動作制御を統括する」に相当する。以下同様に、
「主基板31」は「主制御手段」に、
「パチンコ遊技機1」は「遊技機」に、
「副基板CPU101」は「第1のプロセッサ」に、
「表示制御CPU103」は「第2のプロセッサ」に、それぞれ相当する。

引用発明1では、主基板31側から送られてくる特定状態選択情報に基づいて、提示する演出パターンとして、表示パターンを決定する副基板CPU101が、決定したパターンをパターン情報として所定タイミングで表示制御基板34に出力し、表示制御基板34が備えた表示制御CPU103は、副基板33から送られてくる表示パターン情報に基づいて、表示図柄ROM60内に記憶されている第1乃至第4表示データを読み出し液晶表示パネル制御回路68に出力し、液晶表示パネル制御回路68は、表示制御CPU103から与えられる第1乃至第4表示データに基づいて液晶表示パネル17aでの表示制御を行っていることから、引用発明1は「主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置」を備えているといえ、「前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサ」についても備えているといえる。

また、引用発明1では、主基板CPU45は、始動入賞口18に打玉が入賞した場合に外れ遊技状態、第1リーチ遊技状態、第2リーチ遊技状態、大当たり遊技状態の4つ特定遊技状態が各々所定の確率にて発生するようにカウント値が設定されているランダムカウンタにてカウントを行い、カウント値を決定し、決定されたカウント値に基づいて、該当する特定遊技状態を特定遊技状態ROM47から読み出し、読み出された特定遊技状態を特定遊技選択情報としてRAM48に書き込んで、書き込まれている特定遊技選択情報を読み出し読み出した特定遊技選択情報を副基板33に出力していることから、引用発明1は「前記主制御手段は、特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信し」ているといえる。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段からコマンドを受け取り所定の動作を行う第1のプロセッサと、この第1のプロセッサからコマンドを受け取って前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行し、該抽選の結果を表示するための抽選結果演出の表示を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信する遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>
本願発明では、前記第1のプロセッサは、前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、前記付加演出決定手段により表示する前記付加演出が決定された場合に、該付加演出の表示を指示するコマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行しているのに対して、引用発明1では、そのような構成ではない点。

(4)判断
<相違点>について
原査定の拒絶の理由(平成22年8月10日付け拒絶理由通知)に引用された特開2001-070590号公報(引用例2)に記載された発明は、前記「2.(3)」に記載したとおりであり、前記「2.(4)」で検討したとおり、引用例2には「前記第1のプロセッサは、前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドに基づく前記抽選結果演出に付加して表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、前記付加演出決定手段により表示する前記付加演出が決定された場合に、該付加演出の表示を指示するコマンドと、前記抽選結果演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記抽選結果演出の表示を実行するとともに、該抽選結果演出に付加して、前記付加演出の表示を実行」することは記載されている。
そして、引用発明1及び引用例2に記載された発明はともに主制御手段と主制御手段からコマンドを受け取る第1のプロセッサと、第1のプロセッサからコマンドを受け取って表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサを備える遊技機である点で共通するので、引用発明1に引用例2に記載された発明を適用して、本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が予測できる範囲のものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-19 
結審通知日 2011-12-20 
審決日 2012-01-16 
出願番号 特願2001-220870(P2001-220870)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗吉田 綾子  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 澤田 真治
吉村 尚
発明の名称 遊技機  
代理人 小西 恵  
代理人 森 哲也  
代理人 田中 秀▲てつ▼  

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