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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1253303
審判番号 不服2010-28672  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-20 
確定日 2012-03-09 
事件の表示 特願2004-179992「教材作成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月 5日出願公開、特開2006- 3642〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成16年6月17日の出願であって、平成22年8月10日に手続補正がなされ、同年9月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月20日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成22年12月20日付け手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「少なくとも、既存の、入試問題,問題集,参考書,教科書,の二以上を含む一次教材に係わるデータベースを保有するとともに、少なくとも前記データベースから所定の教材データを検索する検索機能及び検索した教材データに基づいて二次教材を作成する二次教材作成機能を備えるコンピュータシステムを用いた教材作成装置であって、各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ),各一次教材に対して共通に用いることができる第二の目次データ(普遍目次データ)及び少なくとも前記専用目次データを前記コンピュータシステムのディスプレイに表示する目次データ表示機能を有するとともに、前記専用目次データを用いて、対応する各一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第一検索機能及び前記普遍目次データを用いて少なくとも二以上の一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第二検索機能を有するとともに、さらに、検索した教材データに対して類似する教材データを、指定した検索条件により前記データベースから検索する類問検索機能を有する前記コンピュータシステムを用いたデータ検索手段と、検索した教材データに基づいて、少なくとも、問題文,解答,解説文の一又は二以上を含む二次教材を作成する前記コンピュータシステムを用いた二次教材作成機能と、前記二次教材に対して、前記問題文,前記解答,前記解説文の一又は二以上を選択して出力する前記コンピュータシステムを用いた二次教材出力手段と、変更した教材データ及び/又は独自に作成した教材データを、ユーザデータベースとして登録し、当該ユーザデータベースを前記データベースに含ませる前記コンピュータシステムを用いたユーザデータベース登録機能と、を備えることを特徴とする教材作成装置。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-222845号公報(以下「引用例」という。)」には、図とともに次の事項が記載されている(下線は審決で付した、以下同じ。)。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータを利用した教材管理による講義録作成と学習支援方法に関し、より詳述すれば、素材としての既存の教材の記述部分やデータを要素用語を基準として分類して、情報の細分化された単位ブロックを形成し、かかる素材ブロックを上位、中位、下位若しくはそれ以上の概念段階に応じたレベルに分けて、各ブロックに標識タグを付して水平的・垂直的にリンクすることにより、講義録等の作成と学習支援を体系的かつ効率よく行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、科学分野に限らず情報処理分野一般において、データベースに収容された文献等の利用、検索の効率化を図るため種々の発明がなされてきた。一般的に行われている方法は、データベースへ情報を入力する際にキーワードを付し、またはこれに適当な番号を付して、検索時にはこのキーワードまたは番号を入力することにより、目的の情報を検索するものがあげられる。しかし、この方法では、検索のためのキーワードまたは番号のリストを別に作成する必要があり、同時にキーワードまたは番号を検索する手間が発生し、情報量の増加に比例して検索時間も増える点であまり効率的とはいえない。さらに、この方法では、全ての情報が相互に何ら関連づけられずに記録されているため、検索情報の周辺知識や関連項目を検索することは不可能である。そこで、検索の効率化及び周辺知識の情報検索を図るため、例えばシソーラスという階層構造をなす同義語辞書により、適切項目を選択して入力する方法が行われるようになった。しかしながら、この方法でも、同義語検索は容易であるが、キーワードと同義ではないが関連のある項目、あるいは特定分野に含まれる関連項目の一括検索等は困難である。加えて、市販のシソーラスでは項目の追加、削除等の修正ができないという大きな欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記情報収集、該当項目及び関連項目の検索の容易化のみならず、特定教科の教材管理及び学習支援に亘る体系的かつ効率のよい資料の作成、利用の方法を提供しようとするものである。従来、教科書その他多数メディアで表現される既存の教材を、個々の教師・研究者が取捨選択し、補助教材を作成し、あるいは講義録を作成し、教育の用に供してきた。しかし、かかる補助教材や講義録の作成にあたっては、教授すべき必須項目の整理や選択、場合によっては専門外の周辺項目の調査を要し、準備に時間と労力を要する。さらに、これらの作成された教材や講義録等の情報を有効に管理・利用しようとすれば、上記の通り情報処理一般の抱える問題に直面することとなる。
【0004】一方、上記情報のもう一方の利用者である学習者は、概説書等において予習することは可能であっても、講義の流れそのものの把握、講義の流れに添った周辺知識、情報の収集・整理に時間を要し、準備作業の段階で意欲を喪失するか、単に配布された資料、講義録の範囲での学習に止まる場合もあり、自由な検索のツールが必要とされていた。学習者がその興味領域全般の情報を検索し、予め関連知識を体系付けて広く適切に入手することは、学習の効率上極めて重要なことである。
【0005】さらに、大学や研究機関等において、複数の教師、研究者が既存資料の共同利用をする場合には、膨大な情報内容を対象教科の知識体系に沿って何らかのインデックスを付して管理することが必要となる。該体系の表現形式には、目次、見出語、索引語、チャート等資料管理に適した表現形式、即ち情報単位の一元的管理法の確立が必須である。そうすることによって、各教育目的に適合した情報の部分的な利用、差し替え、追加等の情報の加工が自由となり、既存資料も有効に活用され、かつ共同利用の実効も図られるからである。
【0006】
【課題を解決するための手段】特定の教科に関する既存の教材、即ち教科書、概説書、専門書、辞書、論文集、雑誌等から、その目次、見出語、索引語、図表説明等を参考として要素用語を抽出・選択する。要素用語とは、当該教科の学習上重要な用語をいう。この要素用語は、以後、本発明に基づく情報検索方法全般の基礎となる。
【0007】抽出・選択した要素用語に、上位、中位、下位の概念若しくはそれ以上の概念段階に応じたレベルを付し、教材の記述部分やデータを該要素用語との関連に基づき分類してまとまった単位とした、細分化された単位である素材ブロックに形成する。一例を挙げれば、上位とは物理、化学、生物等の大分類をいい、中位とは力学、熱学、原子物理学等の中分類を、下位とは力、材料、運動等の細分類をいう。下位概念をさらに複数の概念段階に分類することができる。同一概念段階における分類を水平的分類といい、異なった概念段階における分類を垂直的分類という。コンピュータ画面上では横書きになっているので、上記の水平的および垂直的分類およびそのリンクの方向は、画面上ではそれぞれ垂直的および水平的となる。上述の通り、上位、中位、下位の分類はあくまで便宜的なものであって、概念分類は各教科ごとに任意に定めることができ、かつ更に段階を増やすことも任意である。
【0008】上記の通り、各素材ブロックは要素用語との関連に基づき分類したまとまった単位の情報であって、具体的には記述部分および数値、図表、脚注等である。各素材ブロックには識別のための要素用語を含む標識タグを付する。素材ブロックの標識タグと素材ブロックとの関係は、荷札(要素用語を含む標識)と荷物(当該要素用語に係る情報単位)の関係であり、この素材ブロックの標識タグを以下に説明する通り水平・垂直にリンクして木構造とし、検索画面や講義録作成時の表示等に使用する。各素材ブロックの標識タグは要素用語そのものでもよい。
【0009】上記識別タグの木構造は、図1に示す通り要素用語を含む標識タグをポインターで連結して表し、階層構造とする。この物理的リンクを、垂直的リンクとよぶ。垂直的リンクは、種々の素材ブロックの標識タグを作成者が予め上位、下位との関係付けを行いこれを木構造とすることによって、当該要素用語の概念が全体のどこに位置するのかが容易に把握できるようにするものであり、また関連要素用語の検索を容易にするものである。垂直的リンク構築のための必要データは図2に示す通り、レベルの深さ、要素用語及びその上位、下位の要素用語を含む標識タグである。この様に予め垂直的に要素用語を含む標識タグに関連付けて記録媒体に登録することにより、木構造とする。
【0010】また、同一概念レベルにある関連素材ブロックは、同様に標識タグを介して水平的にリンクする。即ち、記録媒体への登録に際しては、素材ブロックを上記の通りレベルの深さに応じて垂直的にリンクし、また同一概念レベルにある素材ブロックを水平的にリンクして登録することにより、垂直・水平いずれの方向にも関連項目を辿ることができる。
【0011】上述の通り、素材ブロックは、要素用語に基づき教材を分割した単位情報であって、これに要素用語を含む標識タグを付してコンピュータの記録媒体に登録し、検索に際しては、標識タグの入力、木構造上の標識タグのクリックまたはリストアップした標識タグのうちの該当標識タグをクリックすることにより、目的とする素材ブロックを検索・表示することができる。即ち、素材ブロックの全標識タグを予め50音順に配列したリストを作成して登録しておき、かかるリスト中の任意の標識タグをクリックすることにより、それに対応する素材ブロックを検索・表示できるようにしておけば、標識タグの前記50音順リストを、用語辞書の検索・表示用見出しとして使用し、素材ブロックを用語辞書として使用することができる。登録形式は図3の様に登録するが、説明文、図表のほか参照論文のタイトルや、該論文発表の年月日、脚注等を加えてもよい。この素材ブロックを、標識タグを介して上述の水平的、垂直的リンクのコンピュータへの記録形式、表示形式を採ることにより、効率的な検索を行うものである。
【0012】さらに、一つまたはそれ以上の素材ブロックを選択して組み合わせ、学習のための主題を作成して、主題ブロックとする。各主題ブロックには識別のための標識タグを付して、コンピュータ上の主題ブロックファイルに登録する。主題ブロックは、作成者が教科の体系または学習の目的に応じて、関連する素材ブロックの標識タグの組み合わせにより任意に作成し、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータに登録し、上記主題ブロックファイルとする。主題ブロックの標識タグは、当該ブロックの内容を最も端的に表す単数または複数の要素用語により作成することが望ましい。よって、主題ブロックの内容は、関連素材ブロックの標識タグの集合となる。検索すべき素材ブロックの体系的標準化および検索の迅速化・簡易化のために、表示された主題ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックを一括して検索・表示することができる。さらに、一つまたはそれ以上の主題ブロックを選択して、当該教科の水平的分類に従った講義題目を作成して講義録ブロックとし、各講義録ブロックには識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータ上の講義録ブロックファイルへ登録する。講義録ブロックの標識タグは、主題ブロックの標識タグと同様な方法て作成する。上記主題ブロック同様、講義録ブロックは主題ブロックの標識タグの集合であり、情報そのものは常に単位情報としての素材ブロックとして存在する。表示された講義録ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該講義録ブロックに含まれた主題ブロックの標識タグと当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックとか一括して検索・表示され、それをプリントアウトすることにより、標準化された講義録が容易・迅速に作成される。
【0013】上述の通り、主題ブロック及び講義録ブロックは、素材ブロックの木構造とは別個に形成され管理される。即ち、素材ブロックの木構造は、既存教材を要素用語を基準として、各概念段階に応じたレベルを付して、さらにこれを水平的、垂直的に関連付けた単位情報の集合であるのに対して、主題ブロック及び講義録ブロックは、あくまで学習題目や講義の内容に沿った標準的なものとして教材作成者が作成するものである。前記講義録ブロックおよび主題ブロックを使用して標準化された講義録を作成する代りに、教材作成者が自ら木構造を丹念に辿って講義録の内容とすべき素材ブロックを取捨選択し、また木構造上で開始点に直接にはリンクしていない、即ち木構造上に散在する関連素材ブロックについてもその取捨選択を行うことによって、より独自性に富んだ講義録を作成することも可能である。
【0014】一方、学習者は、各主題ブロック、講義録ブロックの標識タグを手掛かりに、該主題ブロック、講義録ブロックに含まれる素材ブロックを一括して表示することができる。即ち、主題ブロックおよび講義録ブロックにはそれぞれ標識タグが付されているため、学習者はコンピュータ画面上において必要な主題ブロック及び講義録ブロックの標識タグを選択することにより、当該ブロックにより選択・指定された全ての素材ブロックを検索・表示することが可能である。このようにして検索・表示された当該素材ブロックを必要に応じてプリンタにより印字することにより、極めて容易に学習情報を入手することができる。また、そのうちの特に必要な素材ブロックについては、当該素材ブロックの標識タグを含む標識タグの木構造のみを画面上に表示することにより、該ブロックがその教科の全体系中のどの概念段階にあるか等が容易に把握でき、かつ更に木構造を水平的、垂直的に辿ることによって周辺知識を体系的に把握することが可能になる。一方、素材ブロックには、図3において説明した通り、当該素材ブロックに含まれる関連要素用語も表示されるので、当該関連要素用語をコンピュータ画面上でクリックし、またはキーボード(審決注:「キーホード」は「キーボード」の明らかな誤記なので訂正して摘記した。)から入力することにより、当該関連要素用語を標識タグに含む素材ブロックと、当該素材ブロックにリンクされた他の素材ブロックを表示することもできる。
【0015】以上述べた通り、本発明は各教科における多数メディアに含まれる膨大な情報を、素材ブロックとして単位情報に分け、これを水平的、垂直的に関連付けて分類、登録し木構造を形成することによって既存資料を一元的に管理し、また検索を容易にするものである。加えて主題ブロックおよび講義録ブロックの作成を予め行っておくことにより、テーマ別の標準化された関連する一群の素材ブロックの一括検索と表示が可能となり、教材作成者の情報の利用と学習者の体系的学習を容易にするものである。」

(2)「【0016】
【発明の実施の形態】
【実施例】本発明の実施例を図面に従って説明する。本実施例では、地球環境科学分野における講義録作成と学習者による検索及び関連ハードウエア構成の説明を、主として作業の時系列に従って説明する。作業は、要素用語の収集、分類から始める。図4は、講義録作成のために、講義に必要な既存教材から抽出・選択した要素用語(1)を上位、中位、下位にレベルを付して垂直的に分類し、かつ、同一概念段階にある要素用語(1)を水平的に分類したものである。教育対象領域の知識体系に従って既存資料より要素用語(1)の収集を行い、これらの要素用語(1)に関連する情報から素材ブロック(2)を形成する。素材ブロック(2)は、前述の通り、特定の要素用語(1)に関連する既存資料の記述部分、図表、データ脚注等からなる細分化された単位情報である。図5は、上記図3において作成した素材ブロック(2)の内容をコンピュータ画面(3)上に表示したものである。本実施例中、要素用語(1)は「BUV法」であり、その内容は、「BUV法」に係る説明文及び該説明文の理解補助のための図表である。図1及び図2において説明した通り、コンピュータの記録形式に従い、各素材ブロックには、その荷札ともいうべき、要素用語(1)そのもの、または要素用語(1)に必要に応じて適当な符号等を付加したものからなる標識タグ(4)を付し、その上位標識タグ(4)、下位標識タグ(4)とを垂直的にリンクさせると共に、同一概念段階にある要素用語(1)は水平的にリンク(A)させ、かつ図3の形式に従い関連する要素用語(1)、説明文等と共にコンピュータの記録媒体に登録して管理する。図3に示す本実施例の画面では、「標識タグ」、「要素用語」、「かな見出し語」、「英語名」、「関連要素用語」の他に、「BUV法」と同一概念段階にある素材ブロックの標識タグ(4)、即ち「オゾンホール」、「光化学過程」等も併せて表示する。「関連要素用語」とは、当該要素用語(1)とは木構造(5)上では水平的、垂直的にリンクされていないが、特に予め関連付けておきたい要素用語(1)をいう。
【0017】素材ブロックの標識タグ(4)は、図6に示す通り木構造(5)上の一項目としてコンピュータ画面(3)上に表示され、木構造(5)全体が表示されることにより、当該教科における学習に必要な他の項目との相互の関連及び位置関係が明確に認識できる。また木構造(5)により全体系を概括的に把握できると同時に、要素用語(1)を入力することにより、該要素用語(1)を含む素材ブロックの標識タグ(4)を検索し、当該ブロック(2)を表示し、または、リストアップした素材ブロックの標識タグ(4)を選択することにより、用語辞書としても使用することができる。図6において、コンピュータ画面(3)上に表示されている木構造(5)上の素材ブロックの標識タグ(4)をクリックすると、図9に示す通りその標識タグ(4)の内容、即ち素材ブロック(2)が表示される。また、用語辞書として使用する場合は、図9に示す通り検索方法選択ウイント(15)で指定することにより、コンピュータ画面(3)上の木構造(5)をクリックして行う方法のほか、キーボードから、素材ブロックの標識タグ(4)または要素用語(1)を入力して検索する方法が可能である。検索方法選択ウインド(15)は、検索・表示のための種々の手順を選択・指示するための機能を有するものである。また、標識タグ選択ウインド(14)は、講義録ブロックの標識タグ(13)または主題ブロックの標識タグ(10)をそれそれ別個に表示し、検索方法選択ウインド(15)同様当該講義録ブロックの標識タグ(13)および主題ブロックの標識タグ(10)を選択・指示するための機能を有するものである。要素用語(1)をキーボードから入力した場合においては、前述の通り、当該用語を含む素材ブロックの標識タグ(4)が表示されるので、所謂「あいまい検索」や、教材作成者または学習者の周辺関連項目の確認検索リストとしても使用することができる。
【0018】前述の通り素材ブロック(2)は各個別の要素用語(1)に関連する細分化された単位情報であるが、素材ブロックの標識タグ(4)の木構造(5)とは別個に、ある程度まとまった個別の学習主題として、主題ブロック(8)を作成する。ここでは、主題「北半球と南半球のオゾン層」を例にして主題ブロック(8)の作成方法を図7に基づいて説明する。講義に際して、オゾン層の季節、地域による変化を主題とする場合に最も相応しい素材ブロック(2)として、要素用語(1)を基礎として図10に示す素材ブロックファイル(6)より6個の素材ブロックの標識タグ(4)を選択して表示し、主題ブロックの標識タグ(10)を付して主題ブロックファイル(9)に登録した。作成に当たっては、まず「オゾン層」を素材ブロックの標識タグ(4)に含む素材ブロック(2)を検索の上、更に木構造(5)より周辺項目を選択して本主題に相応しい情報の選択を行い主題の内容とした。即ち、素材ブロックの標識タグ(4)の検索による「オゾン層」、「オゾンホール」、「オゾン層(南・秋)」、「オゾン層(南・春)」、「オゾン層(北・秋)」、「オゾン層(北・春)」、「ドブソン単位」、「BUV法」等の素材ブロック(2)のうち、主題の内容を最もよく表すものとして6個の素材ブロック(2)を選択し、「北半球と南半球のオゾン層」を標識タグとして主題ブロック(8)を作成した。図7の2は、作成した主題ブロック(8)に含まれる素材ブロックの内容をコンピュータ画面上に一括表示したものである。
【0019】講義録ブロック(11)は、上記主題ブロック(8)と同様の方法で各主題ブロック(8)の和として作成し、講義録ブロックの標識タグ(13)を付して図10に示す講義録ブロックファイル(12)に登録する。図8に示す通り、講義録ブロック(11)は主題ブロックの標識タグ(10)の集合であり、本例講義録「オゾン層の破壊」は、10の主題ブロック(8)の集合からなる。図8において講義録ブロック(11)の内容である主題ブロックの標識タグ(10)の中には図7で作成された主題ブロックの標識タグ(10)「北半球と南半球のオゾン層」を含み、更に当該主題ブロック(8)の内容は、「オゾン層」、「オゾンホール」、「BUV法」、「大気大循環」等の素材ブロック(2)によって形成されている。講義録作成に際しては、講義の内容及び時間等を考慮して主題の選択及びその内容を任意に設定することができる。本実施例では、「オゾン層の破壊」というテーマを勘案して、図8においては図7で作成した主題ブロック(8)の内容の一部に変更を加えている。前述の通り、主題ブロック(8)および講義録ブロック(11)は、素材ブロック(2)の木構造(5)とは別個に作成・登録し、選択した講義録ブロックの標識タグ(13)或いは主題ブロックの標識タグ(10)を、標識タグ選択ウインド(14)上でクリックすることにより、当該ブロックに含まれる素材ブロック(2)の内容を一括して画面に出力することができる。
【0020】また、講義録における素材ブロック(2)の提示順等については、その段階を自動的に行うことも可能である。即ち、講義録に含まれる各主題ブロック(8)の内容である素材ブロックの標識タグ(4)をその木構造(5)の上位の素材ブロックの標識タグ(4)から順に提示すると決めると、該主題ブロック(8)に含まれる素材ブロックの標識タグ(4)が木構造(5)の上位にあるものから、下位の順に木構造(5)の概念段階に従って提示順が示され、大概念から順に提示することが可能となる。講義録は、該講義録ブロック(11)に含まれる主題ブロックの標識タグ(10)または更に当該主題ブロック(8)に含まれる素材ブロックの標識タグ(4)をプリンタ(7)より出力しこれを講義録の目次、講義予定表等として活用することもできる。上述の通り、講義録ブロック(11)の内容は主題ブロックの標識タグ(10)の集合であり、また主題ブロック(8)は素材ブロックの標識タグ(4)の集合であって、情報そのものは、常に要素用語(1)を基礎とした単位情報としての素材ブロック(2)として存在する。従って、講義録もこれら要素用語(1)を基礎とした情報単位の組合わされた配列として学習者に提示される。講義録に含まれるすべての主題ブロック(8)や当該ブロックに含まれる素材ブロック(2)の全てのプリント出力も可能であるが、必要部分の要素用語(1)単位のプリント出力、あるいは、図7の2に示すように、コンピュータ画面(3)上で各素材ブロック(2)を合成して表示した画面単位でのプリント出力も可能であり、適宜情報の追加・付加・削除も可能である。図7の2に示したように、主題ブロック(8)「北半球と南半球のオゾン層」に対する説明文を作成付加したい場合には、かかる説明文を作成し、「オゾン層の経時変化」という素材ブロックの標識タグ(4)を付して新たな素材ブロック(2)として登録する。
【0021】各素材ブロック(2)については、図9の通り、標識タグ選択ウインド(14)や検索方法選択ウインド(15)を用いることによって多種の検索が可能となる。まず、素材ブロックの標識タグ(4)を入力することにより当該ブロック(2)を直接素材ブロックファイル(6)より呼び出し、コンピュータ画面(3)上に表示することにより用語辞書としての検索が可能となる。同様に、要素用語(1)を入力することにより当該用語を含むすべての素材ブロックの標識タダ(4)を呼び出すことができ、周辺項目の概括的な検索や、うろ覚えな項目に関する所謂「あいまい検索」が可能となる。更に、それらの項目が木構造(5)のどこに位置するか、言い換えれば当該教科の全体系のどこに位置するかを極めて容易に認識することができる。
【0022】上記各種の検索が可能になる他、学習者にとっては講義録ブロックの標識タグ(13)を呼び出すことにより、当該講義そのものの学習順、範囲、当該範囲に含まれる学習項目等が網羅的に把握でき、また木構造(5)に従って周辺項目の検索も容易に行うことができる。上述の通り、各素材ブロックの標識タグ(4)は水平的にリンク(A)され、同時に垂直的にリンク(B)されているためいずれの方向にも任意に学習を進めることができる。
【0023】具体的な学習者の検索手順を図9に基づいて説明する。電源を入れると講義録ブロックの標識タグ(13)がコンピュータ画面(3)上の標識タグ選択ウインド(14)に表示される。講義録「オゾン層の破壊」をクリックすると、主題ブロックの標識タグ(10)が表示される。主題ブロックの標識タグ(10)から「北半球と南半球のオゾン層」をクリックすると、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロック(2)が表示される。更に標識タグの木構造(5)を表示して、この木構造(5)に従って、学習者は講義の内容、手順、関連項目等を体系的に認識することもできる。更に内容について情報を得たい場合には、コンピュータ画面(3)上の木構造(5)から任意の素材ブロックの標識タグ(4)をクリックすると、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロック(2)の内容が表示される。素材ブロック(2)の画面は図5と同一であるが、この画面により当該ブロックの上位の垂直的にリンク(B)された素材ブロックの標識タグ(4)、これと水平的にリンク(A)された素材ブロックの標識タグ(4)、同義語および関連要素用語(1)等がわかるので、学習者はその興味に従ってさらに垂直的リンク(Λ)、水平的リンク(B)を辿って学習を進めることもできる。これらの手順を繰り返すことによって学習者は講義の関連範囲を体系的に学習し、自由な情報検索が可能となる。」

(3)「【0024】
【発明の効果】特定教科に関連する既存の資料から収集した情報を、関連する要素用語を基準として細分化された情報単位としての素材ブロックを形成し、かかる素材ブロックを垂直的および垂直的にリンクし木構造とすることにより、該当項目及び関連項目の検索の容易化のみならず、教材管理、学習支援に亘る体系的かつ効率よい資料の作成、利用が可能となる。また、かかる素材ブロックの木構造とは別個に、学習のテーマと目的に従って、かかる素材ブロックを取捨選択し組み合わせて配列した主題ブロックと、かかる一群の主題ブロックの上位概念としての講義録ブロックとを作成・登録し、かかる講義録ブロックと主題ブロックを取捨選択することにより、かかるブロックに含まれる素材ブロックが一括して配列表示され、標準化された講義録の迅速かつ容易な作成が可能となる。さらに、大学や研究機関等において、複数の教師、研究者で既存の資料及び作成した情報の共同利用と一元的管理が可能となり、かつ学習者がその興味領域全般の情報を検索し、広く学習に必要な関連項目の体系的認識を得ることができる。」

(4)上記(1)ないし(3)からみて、引用例には
「従来、教科書その他多数メディアで表現される既存の教材を、個々の教師・研究者が取捨選択し、補助教材を作成し、あるいは講義録を作成し、教育の用に供してきたが、かかる補助教材や講義録の作成にあたっては、教授すべき必須項目の整理や選択、場合によっては専門外の周辺項目の調査を要し、準備に時間と労力を要し、さらに、これらの作成された教材や講義録等の情報を有効に管理・利用しようとすると、データベースへ情報を入力する際にキーワードを付し、またはこれに適当な番号を付して、検索時にはこのキーワードまたは番号を入力することにより、目的の情報を検索する第1の方法では、検索のためのキーワードまたは番号のリストを別に作成する必要があり、同時にキーワードまたは番号を検索する手間が発生し、情報量の増加に比例して検索時間も増える点であまり効率的とはいえず、全ての情報が相互に何ら関連づけられずに記録されているため、検索情報の周辺知識や関連項目を検索することは不可能であり、検索の効率化及び周辺知識の情報検索を図るため、例えばシソーラスという階層構造をなす同義語辞書により、適切項目を選択して入力する第2の方法では、同義語検索は容易であるが、キーワードと同義ではないが関連のある項目、あるいは特定分野に含まれる関連項目の一括検索等は困難であり、加えて、市販のシソーラスでは項目の追加、削除等の修正ができないという大きな欠点があるという、情報処理一般の抱える問題に直面することとなり、一方、上記情報のもう一方の利用者である学習者は、概説書等において予習することは可能であっても、講義の流れそのものの把握、講義の流れに添った周辺知識、情報の収集・整理に時間を要し、準備作業の段階で意欲を喪失するか、単に配布された資料、講義録の範囲での学習に止まる場合もあり、自由な検索のツールが必要とされ、学習者がその興味領域全般の情報を検索し、予め関連知識を体系付けて広く適切に入手することが、学習の効率上極めて重要であり、さらに、大学や研究機関等において、複数の教師、研究者が既存資料の共同利用をする場合には、膨大な情報内容を対象教科の知識体系に沿って何らかのインデックスを付して管理することが必要であり、該体系の表現形式には、目次、見出語、索引語、チャート等資料管理に適した表現形式、即ち情報単位の一元的管理法の確立が必須であり、そうすることによって、各教育目的に適合した情報の部分的な利用、差し替え、追加等の情報の加工が自由となり、既存資料も有効に活用され、かつ共同利用の実効も図られるようになるので、上記情報収集、該当項目及び関連項目の検索の容易化のみならず、特定教科の教材管理及び学習支援に亘る体系的かつ効率のよい資料の作成、利用の方法を提供することを目的として、
特定の教科に関する既存の教材、即ち教科書、概説書、専門書、辞書、論文集、雑誌等から、その目次、見出語、索引語、図表説明等を参考として、当該教科の学習上重要な用語であり情報検索方法全般の基礎となる要素用語を抽出・選択し、
抽出・選択した要素用語に、物理、化学、生物等の大分類である上位の概念、力学、熱学、原子物理学等の中分類である中位の概念、力、材料、運動等の細分類である下位の概念若しくはそれ以上の概念段階に応じたレベルを付し、教材の記述部分やデータを該要素用語との関連に基づき分類してまとまった単位として、教材を細分化された単位、具体的には記述部分および数値、図表、脚注等である単位情報に分割して素材ブロックを形成し、各素材ブロックに、レベルの深さ、要素用語及びその上位、下位の要素用語を含む識別のための標識タグを付し、関連要素用語の検索を容易にするために、種々の素材ブロックの標識タグに作成者が予め上位、下位との関係付けを行い、標識タグをポインターで連結して物理的リンクを施して予め標識タグを垂直的に関連付ける垂直的リンクとし、また、同様に標識タグを介して同一概念レベルにある関連素材ブロックを水平的にリンクして水平的リンクとして、垂直・水平いずれの方向にも関連項目を辿ることができるようにし、当該要素用語の概念が全体のどこに位置するのかが容易に把握できるようにする階層構造の木構造とし、また、素材ブロックの全標識タグを予め50音順に配列したリストを作成して、標識タグを介して上述の水平的、垂直的リンクのコンピュータへの記録形式、表示形式として、検索画面や講義録作成時の表示等に使用できるようにコンピュータの記録媒体に登録し、効率的な検索を行うことができるようにし、
検索に際しては、素材ブロックの標識タグが木構造上の一項目としてコンピュータ画面上に表示され、また、当該教科における学習に必要な他の項目との相互の関連及び位置関係が明確に認識できるように木構造全体が表示された検索画面で、キーボードからの標識タグの入力、木構造上の標識タグのクリックまたはリストアップした標識タグのうちの該当標識タグをクリックすることにより、それに対応する目的とする素材ブロックを検索・表示でき、
さらに、作成者が教科の体系または学習の目的に応じて、一つまたはそれ以上の素材ブロックを選択し関連する素材ブロックの標識タグの組み合わせにより組み合わせ、学習のための主題を任意に作成して、関連素材ブロックの標識タグの集合となる主題ブロックを作成し、各主題ブロックには当該ブロックの内容を最も端的に表す単数または複数の要素用語により作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータに登録し、主題ブロックファイルとし、検索すべき素材ブロックの体系的標準化および検索の迅速化・簡易化のために、表示された主題ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックを一括して検索・表示することができ、
さらに、一つまたはそれ以上の主題ブロックを選択して、当該教科の水平的分類に従った講義題目を作成して講義録ブロックとし、主題ブロックの標識タグの集合である各講義録ブロックには主題ブロックの標識タグと同様な方法で作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータ上の講義録ブロックファイルへ登録でき、表示された講義録ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該講義録ブロックに含まれた主題ブロックの標識タグと当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックとが一括して検索・表示され、それをプリントアウトすることにより、標準化された講義録を容易・迅速に作成でき、
また、前記講義録ブロックおよび主題ブロックを使用して標準化された講義録を作成する代わりに、教材作成者が自ら木構造を丹念に辿って講義録の内容とすべき素材ブロックを取捨選択し、また木構造上で開始点に直接にはリンクしていない、即ち木構造上に散在する関連素材ブロックについてもその取捨選択を行うことによって、より独自性に富んだ講義録を作成することもでき、
一方、主題ブロックおよび講義録ブロックにはそれぞれ標識タグが付されているため、学習者は、各主題ブロック、講義録ブロックの標識タグを手掛かりに、コンピュータ画面上において必要な主題ブロック及び講義録ブロックの標識タグを選択することにより、該主題ブロック、講義録ブロックに含まれる全ての素材ブロックを一括して検索・表示することができ、検索・表示された当該素材ブロックを必要に応じてプリンタにより印字することにより、極めて容易に学習情報を入手することができ、また、そのうちの特に必要な素材ブロックについては、当該素材ブロックの標識タグを含む標識タグの木構造のみを画面上に表示することにより、該ブロックがその教科の全体系中のどの概念段階にあるか等が容易に把握でき、かつ更に木構造を水平的、垂直的に辿ることによって周辺知識を体系的に把握することもでき、一方、素材ブロックには、当該素材ブロックに含まれる関連要素用語も表示されるので、当該関連要素用語をコンピュータ画面上でクリックし、またはキーボードから入力することにより、当該関連要素用語を標識タグに含む素材ブロックと、当該素材ブロックにリンクされた他の素材ブロックを表示することもでき、
各教科における多数メディアに含まれる膨大な情報を、素材ブロックとして単位情報に分け、これを水平的、垂直的に関連付けて分類、登録し木構造を形成することによって既存資料を一元的に管理し、また検索を容易にし、加えて主題ブロックおよび講義録ブロックの作成を予め行っておくことにより、テーマ別の標準化された関連する一群の素材ブロックの一括検索と表示を可能とし、教材作成者の情報の利用と学習者の体系的学習を容易にする、コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置。」(以下「引用発明」という。)

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「教科書」、「概説書」、「特定の教科に関する既存の教材、即ち教科書、概説書、専門書、辞書、論文集、雑誌等から、その目次、見出語、索引語、図表説明等を参考として、当該教科の学習上重要な用語であり情報検索方法全般の基礎となる要素用語を抽出・選択し、抽出・選択した要素用語に、物理、化学、生物等の大分類である上位の概念、力学、熱学、原子物理学等の中分類である中位の概念、力、材料、運動等の細分類である下位の概念若しくはそれ以上の概念段階に応じたレベルを付し、教材の記述部分やデータを該要素用語との関連に基づき分類してまとまった単位として、教材を細分化された単位、具体的には記述部分および数値、図表、脚注等である単位情報に分割して素材ブロックを形成し、各素材ブロックに、レベルの深さ、要素用語及びその上位、下位の要素用語を含む識別のための標識タグを付し、関連要素用語の検索を容易にするために、種々の素材ブロックの標識タグに作成者が予め上位、下位との関係付けを行い、標識タグをポインターで連結して物理的リンクを施して予め標識タグを垂直的に関連付ける垂直的リンクとし、また、同様に標識タグを介して同一概念レベルにある関連素材ブロックを水平的にリンクして水平的リンクとして、垂直・水平いずれの方向にも関連項目を辿ることができるようにし、当該要素用語の概念が全体のどこに位置するのかが容易に把握できるようにする階層構造の木構造とし、また、素材ブロックの全標識タグを予め50音順に配列したリストを作成して、標識タグを介して上述の水平的、垂直的リンクのコンピュータへの記録形式、表示形式として、検索画面や講義録作成時の表示等に使用できるようにコンピュータの記録媒体に登録し、効率的な検索を行うことができるようにしたもの」、「検索に際しては、検索画面で、標識タグの入力、木構造上の標識タグのクリックまたはリストアップした標識タグのうちの該当標識タグをクリックすることにより、それに対応する目的とする素材ブロックを検索・表示できる機能」、「さらに、作成者が教科の体系または学習の目的に応じて、一つまたはそれ以上の素材ブロックを選択し関連する素材ブロックの標識タグの組み合わせにより組み合わせ、学習のための主題を任意に作成して、関連素材ブロックの標識タグの集合となる主題ブロックを作成し、各主題ブロックには当該ブロックの内容を最も端的に表す単数または複数の要素用語により作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータに登録し、主題ブロックファイルとし、検索すべき素材ブロックの体系的標準化および検索の迅速化・簡易化のために、表示された主題ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックを一括して検索・表示することができ、さらに、一つまたはそれ以上の主題ブロックを選択して、当該教科の水平的分類に従った講義題目を作成して講義録ブロックとし、主題ブロックの標識タグの集合である各講義録ブロックには主題ブロックの標識タグと同様な方法て作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータ上の講義録ブロックファイルへ登録でき、表示された講義録ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該講義録ブロックに含まれた主題ブロックの標識タグと当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックとが一括して検索・表示され、それをプリントアウトすることにより、標準化された講義録を容易・迅速に作成でき、また、前記講義録ブロックおよび主題ブロックを使用して標準化された講義録を作成する代りに、教材作成者が自ら木構造を丹念に辿って講義録の内容とすべき素材ブロックを取捨選択し、また木構造上で開始点に直接にはリンクしていない、即ち木構造上に散在する関連素材ブロックについてもその取捨選択を行うことによって、より独自性に富んだ講義録を作成することもできる機能」及び「コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置」は、それぞれ、本願発明の「教科書」、「参考書」、「少なくとも、既存の、入試問題,問題集,参考書,教科書,の二以上を含む一次教材に係わるデータベース」、「少なくとも前記データベースから所定の教材データを検索する検索機能」、「検索した教材データに基づいて二次教材を作成する二次教材作成機能」及び「コンピュータシステムを用いた教材作成装置」に相当し、引用発明の「教材作成装置(教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」と本願発明の「教材作成装置」とは「データベースを保有するとともに前記データベースから所定の教材データを検索する検索機能及び検索した教材データに基づいて二次教材を作成する二次教材作成機能を備える」点で一致する。

(2)また、引用発明の「教科書、概説書を分割した各素材ブロックに付した、教科書、概説書の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ」、「専門書、辞書、論文集、雑誌等を分割した各素材ブロックに付した、専門書、辞書、論文集、雑誌等の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ」、「素材ブロック」、「コンピュータ」、「表示」及び「画面上に表示」は、それぞれ、本願発明の「各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ)」、「各一次教材に対して共通に用いることができる第二の目次データ(普遍目次データ)」、「教材データ」、「コンピュータシステム」、「表示」及び「ディスプレイに表示」に相当する。

(3)引用発明の「教科書、概説書を分割した各素材ブロックに付した、教科書、概説書の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ」は本願発明の「各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ)」に相当するから(上記(2)参照。)、引用発明の「『素材ブロックの標識タグ』を『木構造上の一項目としてコンピュータ画面上に表示』し、また、『当該教科における学習に必要な他の項目との相互の関連及び位置関係が明確に認識できるように木構造全体』を『検索画面』に『表示』する機能」は、本願発明の「少なくとも前記専用目次データを前記コンピュータシステムのディスプレイに表示する目次データ表示機能」に相当する。
したがって、引用発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置(コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」と本願発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置」とは、「各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ),各一次教材に対して共通に用いることができる第二の目次データ(普遍目次データ)及び少なくとも前記専用目次データを前記コンピュータシステムのディスプレイに表示する目次データ表示機能を有する」点で一致する。

(4)引用発明の「標識タグ」は、「各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ)(教科書、概説書を分割した各素材ブロックに付した、教科書、概説書の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ)」及び「各一次教材に対して共通に用いることができる第二の目次データ(普遍目次データ)(専門書、辞書、論文集、雑誌等を分割した各素材ブロックに付した、専門書、辞書、論文集、雑誌等の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ)」を含むものであり、「抽出・選択した要素用語に、概念段階に応じたレベルを付し、教材の記述部分やデータを該要素用語との関連に基づき分類してまとまった単位として、教材分割して形成した素材ブロック」に付したものであって、「レベルの深さ、要素用語及びその上位、下位の要素用語」を含む「識別」のためのものであり、かつ、目次を参考として抽出・選択した要素用語に科目,テーマ,難易度,キーワードあるいは追加条件に該当する一又は二以上が含まれることは明らかであるから、引用発明の「素材ブロックの標識タグが木構造上の一項目としてコンピュータ画面上に表示され、また、当該教科における学習に必要な他の項目との相互の関連及び位置関係が明確に認識できるように木構造全体が表示された検索画面で、キーボードからの『専用目次データ(教科書、概説書を分割した各素材ブロックに付した、教科書、概説書の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ)及び普遍目次データ(専門書、辞書、論文集、雑誌等を分割した各素材ブロックに付した、専門書、辞書、論文集、雑誌等の目次を参考として抽出・選択した要素用語を含む識別のための標識タグ)』の入力、木構造上の『専用目次データ及び普遍目次データ』のクリックまたはリストアップした『専用目次データ及び普遍目次データ』のうちの該当『専用目次データ及び普遍目次データ』をクリックすることにより、それに対応する目的とする『教材データ(素材ブロック)』を検索・表示でき」る検索機能は、本願発明の「前記専用目次データを用いて、対応する各一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第一検索機能及び前記普遍目次データを用いて少なくとも二以上の一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第二検索機能」に相当する。
したがって、引用発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置(コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」と本願発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置」とは、「前記専用目次データを用いて、対応する各一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第一検索機能及び前記普遍目次データを用いて少なくとも二以上の一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第二検索機能を有する」点で一致する。

(5)引用発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置(コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」は、検索・表示された当該素材ブロックのうちの特に必要な素材ブロックについては、当該素材ブロックの標識タグを含む標識タグの木構造のみを画面上に表示することにより、該ブロックがその教科の全体系中のどの概念段階にあるか等が容易に把握でき、かつ更に木構造を水平的、垂直的に辿ることによって周辺知識を体系的に把握することもでき、一方、素材ブロックには、当該素材ブロックに含まれる関連要素用語も表示されるので、当該関連要素用語をコンピュータ画面上でクリックし、またはキーボードから入力することにより、当該関連要素用語を標識タグに含む素材ブロックと、当該素材ブロックにリンクされた他の素材ブロックを表示することもできるものであるところ、引用発明の「当該関連要素用語をコンピュータ画面上でクリックし、またはキーボードから入力することにより、当該関連要素用語を標識タグに含む素材ブロックと、当該素材ブロックにリンクされた他の素材ブロックを表示することもできる」点と本願発明の「検索した教材データに対して類似する教材データを、指定した検索条件により前記データベースから検索する類問検索機能」とは、「検索した教材データに対して類似する教材データを、指定した検索条件により前記データベースから検索する類似教材データ検索機能」である点で一致する。
したがって、引用発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置(コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」と本願発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置」とは、「検索した教材データに対して類似する教材データを、指定した検索条件により前記データベースから検索する類似教材データ検索機能を有する前記コンピュータシステムを用いたデータ検索手段」を備える点でも一致する。

(6)引用発明の「コンピュータシステムを用いた教材作成装置(コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置)」は、目的とする素材ブロックを検索・表示でき、
さらに、「作成者が教科の体系または学習の目的に応じて、一つまたはそれ以上の素材ブロックを選択し関連する素材ブロックの標識タグの組み合わせにより組み合わせ、学習のための主題を任意に作成して、関連素材ブロックの標識タグの集合となる主題ブロックを作成し、各主題ブロックには当該ブロックの内容を最も端的に表す単数または複数の要素用語により作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータに登録し、主題ブロックファイルとし、検索すべき素材ブロックの体系的標準化および検索の迅速化・簡易化のために、表示された主題ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックを一括して検索・表示すること」ができ、
さらに、「一つまたはそれ以上の主題ブロックを選択して、当該教科の水平的分類に従った講義題目を作成して講義録ブロックとし、主題ブロックの標識タグの集合である各講義録ブロックには主題ブロックの標識タグと同様な方法て作成した識別のための標識タグを付して、素材ブロックの木構造とは別個にコンピュータ上の講義録ブロックファイルへ登録でき、表示された講義録ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該講義録ブロックに含まれた主題ブロックの標識タグと当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックとが一括して検索・表示され、それをプリントアウトすることにより、標準化された講義録を容易・迅速に作成」でき、
また、「前記講義録ブロックおよび主題ブロックを使用して標準化された講義録を作成する代りに、教材作成者が自ら木構造を丹念に辿って講義録の内容とすべき素材ブロックを取捨選択し、また木構造上で開始点に直接にはリンクしていない、即ち木構造上に散在する関連素材ブロックについてもその取捨選択を行うことによって、より独自性に富んだ講義録を作成する」こともでき、
一方、「主題ブロックおよび講義録ブロックにはそれぞれ標識タグが付されているため、学習者は、各主題ブロック、講義録ブロックの標識タグを手掛かりに、コンピュータ画面上において必要な主題ブロック及び講義録ブロックの標識タグを選択することにより、該主題ブロック、講義録ブロックに含まれる全ての素材ブロックを一括して検索・表示することができ、検索・表示された当該素材ブロックを必要に応じてプリンタにより印字することにより、極めて容易に学習情報を入手することができ、また、そのうちの特に必要な素材ブロックについては、当該素材ブロックの標識タグを含む標識タグの木構造のみを画面上に表示することにより、該ブロックがその教科の全体系中のどの概念段階にあるか等が容易に把握でき、かつ更に木構造を水平的、垂直的に辿ることによって周辺知識を体系的に把握することもでき、一方、素材ブロックには、当該素材ブロックに含まれる関連要素用語も表示されるので、当該関連要素用語をコンピュータ画面上でクリックし、またはキーボードから入力することにより、当該関連要素用語を標識タグに含む素材ブロックと、当該素材ブロックにリンクされた他の素材ブロックを表示する」こともできるものであるところ、
引用発明における、上記「一つまたはそれ以上の素材ブロックを選択し関連する素材ブロックの標識タグの組み合わせにより組み合わせ、学習のための主題を任意に作成して、関連素材ブロックの標識タグの集合となる主題ブロック」、「表示された講義録ブロックの標識タグをクリックすることにより、当該講義録ブロックに含まれた主題ブロックの標識タグと当該主題ブロックの内容をなす素材ブロックとが一括して検索・表示され、それをプリントアウトすることにより、容易・迅速に作成できる標準化された講義録」、「教材作成者が自ら木構造を丹念に辿って講義録の内容とすべき素材ブロックを取捨選択し、また木構造上で開始点に直接にはリンクしていない、即ち木構造上に散在する関連素材ブロックについてもその取捨選択を行うことによって、作成することができる、より独自性に富んだ講義録」及び「該主題ブロック、講義録ブロックに含まれる全ての素材ブロックを一括して検索・表示することができ、検索・表示された当該素材ブロックを必要に応じてプリンタにより印字することにより、極めて容易に入手することができる学習情報」は、いずれも、検索した「教材データ(素材ブロック)」に対して作成した二次教材であるといえるから、引用発明の上記の点と、本願発明の「検索した教材データに基づいて、少なくとも、問題文,解答,解説文の一又は二以上を含む二次教材を作成する前記コンピュータシステムを用いた二次教材作成機能と、前記二次教材に対して、前記問題文,前記解答,前記解説文の一又は二以上を選択して出力する前記コンピュータシステムを用いた二次教材出力手段と、変更した教材データ及び/又は独自に作成した教材データを、ユーザデータベースとして登録し、当該ユーザデータベースを前記データベースに含ませる前記コンピュータシステムを用いたユーザデータベース登録機能と、を備える」とは、「検索した教材データに基づいて、二次教材を作成する前記コンピュータシステムを用いた二次教材作成機能と、前記二次教材に対して、前記二次教材の一又は二以上を選択して出力する前記コンピュータシステムを用いた二次教材出力手段と、変更した教材データ及び/又は独自に作成した教材データを、ユーザデータベースとして登録し、当該ユーザデータベースを前記データベースに含ませる前記コンピュータシステムを用いたユーザデータベース登録機能と、を備える」点で一致するといえる。

(7)上記(1)ないし(6)からみて、本願発明と引用発明とは、
「少なくとも、既存の、入試問題,問題集,参考書,教科書,の二以上を含む一次教材に係わるデータベースを保有するとともに、少なくとも前記データベースから所定の教材データを検索する検索機能及び検索した教材データに基づいて二次教材を作成する二次教材作成機能を備えるコンピュータシステムを用いた教材作成装置であって、各一次教材に対応した第一の目次データ(専用目次データ),各一次教材に対して共通に用いることができる第二の目次データ(普遍目次データ)及び少なくとも前記専用目次データを前記コンピュータシステムのディスプレイに表示する目次データ表示機能を有するとともに、前記専用目次データを用いて、対応する各一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第一検索機能及び前記普遍目次データを用いて少なくとも二以上の一次教材に係わるデータベースから、前記教材データに対して分類した、少なくとも、科目,テーマ,難易度,キーワード,追加条件の一又は二以上を含む検索条件から指定した検索条件により所定の教材データを検索する第二検索機能を有するとともに、さらに、検索した教材データに対して類似する教材データを、指定した検索条件により前記データベースから検索する類似教材データ検索機能を有する前記コンピュータシステムを用いたデータ検索手段と、検索した教材データに基づいて、二次教材を作成する前記コンピュータシステムを用いた二次教材作成機能と、前記二次教材に対して、その一又は二以上を選択して出力する前記コンピュータシステムを用いた二次教材出力手段と、変更した教材データ及び/又は独自に作成した教材データを、ユーザデータベースとして登録し、当該ユーザデータベースを前記データベースに含ませる前記コンピュータシステムを用いたユーザデータベース登録機能と、を備える教材作成装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
本願発明では、前記二次教材作成機能が作成し、その一又は二以上を選択して前記二次教材出力手段が出力するところの前記二次教材が、「問題文,解答,解説文の一又は二以上を含む」ものであり、前記類似教材データ検索機能が「類問検索機能」であるのに対して、引用発明では、前記二次教材が、問題文,解答,解説文の一又は二以上を含むものかどうかが明らかでなく、前記類似教材データ検索機能が類問検索機能といえるものかどうか明らかでない点。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)問題、その解答及びその解説を含む補助教材が本願出願前に学校などで使われていたことは一般に周知の事実であるところ、引用発明は、従来、教科書その他多数メディアで表現される既存の教材を、個々の教師・研究者が取捨選択し、補助教材を作成し、あるいは講義録を作成し、教育の用に供してきたが、かかる補助教材や講義録の作成にあたっては、教授すべき必須項目の整理や選択、場合によっては専門外の周辺項目の調査を要し、準備に時間と労力を要し、さらに、これらの作成された教材や講義録等の情報を有効に管理・利用しようとすると、データベースへ情報を入力する際にキーワードを付し、またはこれに適当な番号を付して、検索時にはこのキーワードまたは番号を入力することにより、目的の情報を検索する第1の方法では、検索のためのキーワードまたは番号のリストを別に作成する必要があり、同時にキーワードまたは番号を検索する手間が発生し、情報量の増加に比例して検索時間も増える点であまり効率的とはいえず、全ての情報が相互に何ら関連づけられずに記録されているため、検索情報の周辺知識や関連項目を検索することは不可能であり、検索の効率化及び周辺知識の情報検索を図るため、例えばシソーラスという階層構造をなす同義語辞書により、適切項目を選択して入力する第2の方法では、同義語検索は容易であるが、キーワードと同義ではないが関連のある項目、あるいは特定分野に含まれる関連項目の一括検索等は困難であり、加えて、市販のシソーラスでは項目の追加、削除等の修正ができないという大きな欠点があるという、情報処理一般の抱える問題に直面することとなり、一方、上記情報のもう一方の利用者である学習者は、概説書等において予習することは可能であっても、講義の流れそのものの把握、講義の流れに添った周辺知識、情報の収集・整理に時間を要し、準備作業の段階で意欲を喪失するか、単に配布された資料、講義録の範囲での学習に止まる場合もあり、自由な検索のツールが必要とされ、学習者がその興味領域全般の情報を検索し、予め関連知識を体系付けて広く適切に入手することが、学習の効率上極めて重要であり、さらに、大学や研究機関等において、複数の教師、研究者が既存資料の共同利用をする場合には、膨大な情報内容を対象教科の知識体系に沿って何らかのインデックスを付して管理することが必要であり、該体系の表現形式には、目次、見出語、索引語、チャート等資料管理に適した表現形式、即ち情報単位の一元的管理法の確立が必須であり、そうすることによって、各教育目的に適合した情報の部分的な利用、差し替え、追加等の情報の加工が自由となり、既存資料も有効に活用され、かつ共同利用の実効も図られるようになるので、上記情報収集、該当項目及び関連項目の検索の容易化のみならず、特定教科の教材管理及び学習支援に亘る体系的かつ効率のよい資料の作成、利用の方法を提供することを目的としたものであるから、引用発明の「コンピュータを利用した教材管理、講義録等作成及び学習支援装置」を用いて、問題、その解答及びその解説を含む補助教材を二次教材として作成することは、上記周知の事実及び上記目的からみて、当業者が容易に想到することができた程度のことである。
してみると、引用発明において、既存の教材を、例題やその解答及びその解説が記載されている「教科書」や「参考書(概説書)」、あるいは問題、その解答及びその解説を含む入試問題集やその他の問題集を含んだものとし、前記二次教材作成機能が作成し、その一又は二以上を選択して前記二次教材出力手段が出力するところの前記二次教材を、問題文,解答,解説文の一又は二以上を含むものとし、前記類似教材データ検索機能を類問検索機能となすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得た程度のことである。

(2)効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、上記周知の事実から当業者が予測できた程度のものである。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知の事実に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
本願発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知の事実に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-10 
結審通知日 2012-01-11 
審決日 2012-01-24 
出願番号 特願2004-179992(P2004-179992)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植田 泰輝  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 星野 浩一
小林 英司
発明の名称 教材作成装置  
代理人 下田 茂  

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