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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200680251 審決 特許
無効2008800199 審決 特許
無効200580144 審決 特許

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審決分類 審判 一部無効 発明同一  A47G
審判 一部無効 2項進歩性  A47G
管理番号 1253778
審判番号 無効2008-800108  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-06-12 
確定日 2012-02-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4046467号「飲食物容器の供給方法及びその装置」の特許無効審判事件についてされた平成21年11月 9日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成21年(行ケ)第10395号平成22年5月24日決定)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯・本件発明
(1)本件特許第4046467号の請求項1?10に係る発明についての出願は、平成12年9月29日に出願され、平成19年11月30日にその発明について特許権の設定登録がされたものである。
(2)請求人は、平成20年6月12日に本件無効審判を請求し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出し、本件特許の請求項4、7、8及び1?3に係る発明の特許を無効とするとの審決を求めた。
(3)これに対し、平成21年11月9日付けで本件特許の請求項4、7、8及び1?3に係る発明の特許を無効とする旨の審決がなされたところ、知的財産高等裁判所において特許法第181条第2項に基づいて事件を差し戻すため審決取消しの決定(平成21年(行ケ)第10395号、平成22年5月24日)がなされた。
(4)その後被請求人は、平成22年6月18日付けで訂正請求書を提出して訂正を求めた。当該訂正の内容は,本件特許の明細書及び図面を訂正請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりに訂正しようとするものである。
(5)これに対し、請求人は、平成22年8月2日付けで弁駁書を提出している。

2 訂正の可否
(1)訂正の内容
平成22年6月18日付け訂正請求は,本件特許の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、訂正の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。)
(ア)訂正事項1?7
特許請求の範囲の請求項1を、
「 【請求項1】
厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻るとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けたことを特徴とする飲食物容器の供給方法。」と訂正する。
(イ)訂正事項8
請求項2、3、4、7及び8を削除する。
(ウ)訂正事項9?12
請求項5、6、9、10を、
「 【請求項2】
飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回走しうるように設けられ、かつ供給部の定位置に飲食物容器の保持部を有する搬送手段と、前記保持部に載置されて搬送される飲食物容器が、注文客の近傍に達したことを検出して前記搬送手段の移動を一時停止させる検知手段とを備え、前記検知手段が、客の席毎に設けられ、保持部上ので飲食物容器の有無を検出する非接触センサよりなるものとしたことを特徴とする飲食物容器の供給装置。
【請求項3】
前記搬送手段の移動が一時停止した後に、保持部上の飲食物容器がなくなったことを検知手段が検知することにより、搬送手段を逆送させるようにした請求項2に記載の飲食物容器の供給装置。
【請求項4】
飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回走しうるように設けられ、かつ供給部の定位置に飲食物容器の保持部を有する搬送手段と、供給部から各注文テーブルまでの搬送移動距離を予め設定しておき、搬送手段が、前記保持部に載置されて搬送される飲食物容器を、注文テーブルに応じて予め設定した搬送移動距離だけ搬送した後、搬送手段の移動を一時停止させるものであって、前記搬送手段は正逆回転可能なモータの回転により搬送駆動されるものであり、前記モータの回転数により搬送移動距離が算出され、搬送手段の移動が一時停止されている時間が一定時間たつと、前記正逆回転可能なモータが逆回転することを特徴とする飲食物容器の供給装置。
【請求項5】
搬送手段の搬送面の周囲を、客の席側に複数の開閉扉を有するトンネル状のカバーにより覆ったことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の飲食物容器の供給装置。」と訂正する。
(エ)訂正事項13
明細書の段落【0007】を、
「【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の物品の飲食物容器の供給方法は、厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻るとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けたことを特徴としている。
上記構成の方法によると、客により注文された飲食物容器は、通常の搬送路とは別の搬送手段により直接かつ自動的に注文客に提供されるので、下流側の客に対する不公平感をなくすことができるとともに、省力化が図れる。」と訂正する。
(オ)訂正事項14
明細書の段落【0047】を、
「【0047】
(a)請求項1に記載の方法によれば、客により注文された飲食物容器は、通常の搬送路とは別の搬送手段により直接かつ自動的に注文客に提供されるので、特に下流側の客に対する不公平感がなくなり、サービスの向上につながる。また、省力化が図れるので人件費を削減することができる。また通常の搬送路の飲食物容器と区別されるので、搬送途中の飲食物容器が注文客以外の客に取られることはない。そして客の衣服等が通常の搬送路の飲食物に触れる恐れがないので、衛生的となる。」と訂正する。
(カ)訂正事項15
明細書の段落【0048】、【0049】、【0050】の記載を削除する。
(キ)訂正事項16?18
明細書の段落【0051】?【0053】を、
「【0051】
(b)請求項2に記載の装置によれば、比較的簡単な装置で、注文された飲食物容器を確実に注文客に提供することができ、かつ飲食物容器の有無を確実に検出し、その出力信号に基づいて搬送手段の駆動モータ等の回転を容易に制御しうるので、搬送手段の往復移動等が正確に行われる。
【0052】
(c)請求項3に記載の装置によれば、飲食物容器がなくなれば、搬送手段を逆送させて供給部側に飲食物容器の保持部を戻すことが可能となるために、次の飲食物容器の搬送のための準備を行うことができる。
【0053】
(d)請求項4に記載の装置によれば、飲食物容器が注文客の近傍に達したことを検出する検知手段を用いなくても、搬送手段の搬送移動距離により搬送手段の移動を一時停止させることができ、かつモータの回転数により搬送移動距離が算出できるので、正確に注文客近傍まで飲食物容器を搬送できる。しかも搬送手段の移動が一時停止されている時間が一定時間たつと、モータが逆回転するので、供給部側に飲食物容器の保持部を戻すことが可能となるために、次の飲食物容器の搬送のための準備を行うことができる。
(e)請求項5に記載の装置によれば、搬送手段により搬送中の飲食物容器を、注文客により確実に供給することができる。」と訂正する。

(2)訂正の可否に対する判断
(i)上記訂正事項1?7の訂正は、いずれも請求項1に新たな発明特定事項を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項8の訂正は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項9?12の訂正は、上記請求項の削除に伴い請求項を繰り上げ、記載を整理したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
上記訂正事項13?18の訂正は、いずれも発明の詳細な説明を訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、いずれの訂正事項も、訂正後の技術事項が願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(ii)よって、平成22年6月18日付けの訂正請求に係る訂正は、特許法第134条の2第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第134条の2第5項の規定によって準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3 請求人の主張
請求人は、審判請求書において訂正前の本件特許の請求項4、7、8及び1?3に係る発明の特許を無効とする、との審決を求めているが、上記訂正により、訂正前の本件特許の請求項4、7、8は削除された。訂正前の本件特許の請求項1?3に係る発明の特許を無効とする理由としては、訂正前の本件特許の請求項1は、甲第7号証の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり(以下、「理由1」という。)、また訂正前の本件特許の請求項1?3は、甲第4号証から甲第6号証、及び甲第8号証?甲第24号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「理由2」という。)から、特許法第29条第29条第2項、又は同法第29条の2、の規定により特許を受けることができないものであり、いずれも特許法第123条第1項第2号の規定に該当し、その特許は無効とされるべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出している。
さらに、請求人は、弁駁書において、訂正後の本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、甲第8号証と、甲第4号証に記載された発明又は甲第1号証?甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証のいずれか、及び甲第10号証などに記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり(以下、「理由3」という。)、また甲第10号証又は周知の環状の搬送路と、甲第4号証?甲第6号証又は甲第1号証?甲第3号証と、甲第8号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「理由4」という。)と主張している。

[証拠方法]
甲第1号証:特開昭58-138415号公報
甲第2号証:特開昭56-60513号公報
甲第3号証:特開昭53-128872号公報
甲第4号証:特開昭61-135611号公報
甲第5号証:特開平6-211346号公報
甲第6号証:実開平7-3415号公報
甲第7号証:特願平11-370712号(特開2001-145552号公報)
甲第8号証:特開平11-164764号公報
甲第9号証:特開平5-245033号公報
甲第10号証:実開昭61-113672号公報
甲第11号証:特開昭52-143432号公報
甲第12号証:特開平10-3316号公報
甲第13号証:特開昭57-131616号公報
甲第14号証:実開平2-80816号公報
甲第15号証:特開平8-237995号公報
甲第16号証:吉川和光著、「実践メカトロニクス アクチュエータ」、産業図書株式会社、昭和58年9月30日発行、第4頁?第7頁
甲第17号証:塩田泰仁、谷口雄三著、「実践メカトロニクス センサ」、産業図書株式会社、昭和58年10月25日発行、第5頁?第6頁
甲第18号証:武藤一夫著、「メカトロ技術基礎用語辞典」、第2版、工学図書株式会社、平成3年10月20日発行、第33頁
甲第19号証:実開昭50-86031号公報
甲第20号証:実開昭53-148002号公報
甲第21号証:実開昭48-94339号公報
甲第22号証:特開平11-46959号公報
甲第23号証:特開昭60-148514号公報
甲第24号証:実開昭55-150075号公報
甲第25号証:特開2000-41823号公報

4 被請求人の主張
一方、被請求人は、請求人の主張のうち訂正前の本件特許の請求項1?3に係る発明に対する主張は全く根拠のない誤ったものであり、訂正前の本件特許の請求項1?3に係る発明の特許は、特許法第123条第1項第2号の規定に該当しない旨主張した。その後、上記のとおり、本件特許の明細書の訂正を求めた。

5 本件特許発明
本件特許発明は,訂正明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻るとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けたことを特徴とする飲食物容器の供給方法。」

6 甲各号証の記載事項
(1)甲第1号証(特開昭58-138415号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「1 調理室と客室を仕切り、客からの信号にて指定の料理を調理室で調理し、パレット(12)にて客に届け、コンベヤ(24)にて食器を回収することを特徴とする自動食堂店舗。」(1頁左下欄5行?8行)
(イ)「パレット12はロッド13とボス14とを通してチェーン15に結合されている。チェーン15はパレット部にのみアタッチメントを有するチェーンでありこのアタッチメントによりチェーン15とボス14とを結合できる。ボス14とチェーン15は、ピン16によって結合されている。駆動モータ12によりスプロケット18を回転させ、チェーン15を駆動させる。パレット12はこのチェーンによりガイドレール上を動く。」(1頁右下欄11行?19行)
(ウ)「回り出したパレットは届けたいテーブルNo.の所に来ると、当り22がリミットスイッチ21を作動させ、モータを止め、パレットは停止する。客は料理をヒンジ式透明カバー23を開け、取り出す。
又リミットスイッチ21が作動すると、表示盤6のメニューランプ27も消える。この後調理人が、表示盤のスイッチをOFFにすることにより、パレット12は元の位置に戻ってくる。」(2頁右上欄5行?12行)
(エ)第1図からみて、チェーンは調理室から客室に向かって無端回送するものであるといえる。

(2)甲第2号証(特開昭56-60513号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(オ)「所定動作によつて模型乗物(2)が走行するレイアウト台(1)に沿つて配された多数の食卓(4)のうちの所望位置の食卓(4a)に、料理品(8)を前記模型乗物(2)を介して運搬することを特徴とする料理品運搬方法。」(1頁左下欄5行?9行)
(カ)「本発明に係る料理品運搬方法はかような構成をとり作用を営むものである。故に、店員は制御部6で停止している模型乗物2上に料理品8を載せ所望の食卓4a側位置で停止するように手配しておけば自動的に客の手元に料理品8を運ぶことが出来るので、省力化に大きく貢献することになる。」(2頁右下欄11行?16行)

(3)甲第3号証(特開昭53-128872号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(キ)「調理室より客室にレールが敷設され、このレールの両側に沿って多数の客席を配置し、前記レール上を料理運搬車が走行するようになし、調理室より調理を載せて所定の客席に運搬することを特徴とする料理運搬システム。」(1頁左下欄5行?8行)
(ク)「調理室11ではミニチュア車22によって運搬された伝票にもとずき料理物を調理した後、料理運搬車31にのせる。また所定の客席13の行先表示板33をフック32a又は32bに掛ける。その後、コントロールパネル15の所定客席13の前進用押釦16及び後進用押釦17を押す。前進用押釦16を押すとレール12に電流が流れ、模型機関車30がけん引を始めレール12上を走行して所定の客席13に到達すると、その客席に対応した位置検出スイッチ14が働き、レール12上に流れている電流が切れ、料理運搬車31は前記押された前進用押釦に対応する所定の客席13で止まる。
お客は行先表示板33に記された客席名によりそれが自分の注文した料理であることを確認すると、料理運搬車に扉がない場合は、例えばその客席に設けられたスピーカ一により一定時間内に料理を取り出すべきことをつげた後、一定時間後に後退する。」(2頁右上欄10行?左下欄8行)

(4)甲第4号証(特開昭61-135611号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ケ)「食卓と厨房間を移動する模型列車により飲食物を運ぶ装置において、水平方向に周回する無端のチェーンドライブに対して平行にガイドレールを設け、該チェーンドライブの水平方向軌跡を進行すべくガイドレール上の模型列車を前記チェーンドライブへ係止し、前記ガイドレールに沿って複数の食卓を配設してなることを特徴とする配膳装置。」(1頁左下欄5行?12行)
(コ)「チェーンドライブの回転をコンピュータ制御することによって、停止の必要な場所迄の走行と所定時間の停止、再走行、帰着を自由に行える。」(2頁右上欄7行?9行)
(サ)「厨房(1)内にはコントロールボックス(10)が設けられており、その内部へコンピュータ等の制御装置が設置されている。コントロールボックス(10)からは図示しないチェーンドライブ回転用モータの起動停止のための配線と、列車(11)が発車時に発する汽笛とか音声発生装置による駅名の連呼等の配線がなされている。」(2頁左下欄6行?13行)
(シ)「列車(11)は第1図にみられるように、まず厨房(1)側に停車している。いずれかの食卓(7)へ客が座り注文がなされると、コントロールボックス(10)の食卓番号スイッチボタンが押され、列車はチェーンドライブ(6)の水平方向回転によって、指示された食卓まで進んで停止するのである。この時チェーンドライブを採用したことによって、進行距離は正確にモータの回転数で検知され、コンピュータ処理されて誤差がほとんど無い状態で進むことができる。」(3頁左上欄5行?14行)

これら記載事項及び図面の記載からみて、甲第4号証には次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。
「食卓と厨房間を周回するものであって、飲食物を運ぶ模型列車を係止する無端のチェーンドライブと、チェーンドライブ回転用モータとを備え、チェーンドライブの回転をコンピュータ制御するものにおいて、いずれかの食卓から注文がなされると、列車は指示された食卓まで進んで停止し、そのさい進行距離は正確にモータの回転数で検知され、コンピュータ処理されて誤差がほとんど無いとともに、再走行、帰着を行う配膳装置。」

(5)甲第5号証(特開平6-211346号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ス)「【産業上の利用分野】本発明は2次元運動機構に関し、一層詳細には配膳等の運搬サービスに用いて好適な2次元運動機構に関する。」(段落【0001】)
(セ)「・・・上述のように構成された寿司店用配膳装置では、客が任意の席に着いて客席側入力部22aから注文の寿司の種類を入力する。客席側入力部22aから入力が有るとMPU54は当該客席側入力部22aの識別符号と注文された寿司の種類(配膳データ)をディスプレイ24へ順次表示すると共に、X軸モータ44およびY軸モータ50を駆動して移動体26をスタンバイテーブル20の直前へ移動させる。寿司職人は、ディスプレイ24に表示された配膳データを見て客の注文を認識し、寿司を作る。職人は作られた寿司を載せた皿が移動体26のトレイ28へ載せ、注文した客席側入力部22aの識別符号を調理室側入力部22bから入力する。
MPU54は、センサ34を介してトレイ28上に寿司の皿が載置されたことを確認すると共に、調理室側入力部22bから目的地である注文した客席側入力部22aの識別符号が入力されたことを確認したらX軸モータ44およびY軸モータ50を駆動して移動体26を目的地である客席の直前へ移動させる。・・・」(段落【0015】?【0016】)

(6)甲第6号証(実願平5-40286号(実開平7-3415号)のCD-ROM)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ソ)「・・・本考案に係る飲食店自動化装置においては、調理室と客室の配・下膳通路間に設置された配膳コンベアーと、食器洗浄室と客室の配・下膳通路間に設置された下膳コンベアーと、該下膳コンベア一側に移動自在な飲食テーブルとからなることを第1の特徴とし、この構成における客室の飲食テーブルに代えて、配膳コンベアーに連接された飲食カウンターテーブルが設置されたことを第2の特徴とし、これらのテーブルに自動注文装置が設置されたことを第3の特徴とし、配・下膳コンベアー中、少なくとも客室の一方のコンベアーが、開閉自在なスライドパーティション等により掩蔽されたことを第4の特徴としている。」(段落【0006】)
(タ)「客席に着席した顧客は、所望のラーメンの金額に応じた金銭を紙幣挿入口52又は硬貨投入口53から入れ、所望ラーメンの料理注文釦51を押すと、調理室A内の電光表示盤59に客席番号とラーメンの種類が表示される・・・調理室Aでは調理担当の従業員が電光表示盤59に表示されたラーメンを注文順に、又は同種ラーメンをまとめて調理する。調理後、これを丼48に盛りつけ、トレー47に載せて客席番号に応じた横行コンベアー40a又は配膳コンベアー40に載置するとともに、配膳されるべき客席番号の調理完了スイッチ58を押す。この押釦操作により、これらのコンベアー40,40aは始動し、コンベアー40,40aに載せられたラーメンは、順次配膳コンベアー40により注文客の客席まで搬送される。注文客の客席にラーメンが到達すると配膳コンベアー40は停止し、料理到着ランプ50が点灯するので、注文した顧客はカウンターテーブル44の前のスライドパーティション13又は14を開いて注文したラーメンをトレー毎取り出し、スライドパーティションを閉めると料理到着ランプ50が消灯する。・・・」(段落【0028】)

(7)甲第7号証(特開2001-145552号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(チ)「【課題を解決するための手段】
飲食客の前に押しボタンスイッチの付いた写真入りのメニューを置き、注文をそのメニューで受付け、厨房から多数の注文者に対して、連続して個別に届けられる移送システムを発明した。寿司の例で説明すると、飲食客がほしい寿司のボタンを押すと、その内容は厨房の表示盤に表示され、作業者はその商品を作り角皿に乗せ、注文者の番号どおりコンベアの出発点に置く。コンベアは長方形の角皿の長辺の両端を支持して水平移動する構造になっており、注文者の前まできたところで、下部から角皿の取出装置が上昇し、その後90度回転し、角皿の短辺以上あるコンベアの隙間から、注文者の前に下降する。下降した後は、他の注文品はその場所を通過することができる。その後注文者がその寿司を取り出すと、角皿の取出装置は所定の位置まで上昇し、コンベア通路内への外気や虫などの進入を遮断する。コンベアは2段重ねになっており、上部が透明のカバーのついたコンベア部であり、両側にコンベアのベルトが配置されている。従って、回転寿司のようにいろいろな寿司が、流れていく様子を透明カバー越しに見ることができる。ただし、それらに直接触れることはできない。ベルトの間隔は、角皿の短辺より少し大きく空いており、この間を90度回転した角皿が上下できるようになっている。 その下には、角皿の回転・取出装置と、皿の回収コンベアが内臓されている。回転寿司の場合、計算の為食べ終わった皿をテーブル上に残しておく必要が有るため、場所をとり且つ見た目も悪かった。本システムでは注文時に集計できるので皿を残す必要がなく、食べ終わった皿は回収口に投入することで、自動的に厨房に回収され自動洗浄機等に投入される。」(段落【0002】)

(8)甲第8号証(特開平11-164764号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ツ)「【請求項1】店舗内に所定パターンのクレセントチェーンを配設する一方、該クレセントチェーンの内周側に、当該クレセントチェーンと平行でかつクレセントチェーンの移動速度以上の移動速度をもった高速搬送レーンを配設することを特徴とする飲食物の搬送装置。」(【特許請求の範囲】)
(テ)「そこで本発明の目的は、最小人数のスタッフを回転飲食台に専属従事させることを前提として、最小限の動きで、顧客の注文を効率的に捌くことを可能とする点にある。」(段落【0008】)
(ト)「【作用】本発明に係る飲食物の搬送装置は、回転飲食台における従来の課題を解決するものであるから、所定パターンのクレセントチェーンの存在を前提とする。クレセントチェーンは、従来のものと同様、各種の周期道を描いてネタ皿を巡回搬送する。本発明に係る装置は、このクレセントチェーンの内側に高速搬送レーンを配設してなる。調理場において作られた個別注文の寿司は、ネタ皿に乗せられ、高速搬送レーンによって店内に送られる。回転飲食台の内側にいるスタッフは、高速搬送レーンによって運ばれたネタ皿を適当位置で取り上げ、注文のあった顧客カウンターに置く。高速搬送レーンは、顧客の目の前を移動するクレセントチェーンの奥に位置する別ルートの搬送路であるから、他の顧客は高速搬送レーン上を移動するネタ皿を取ることは出来ない。好ましくは、一般のクレセントチェーンと高速搬送レーンとの間に仕切板を設け、視覚的にも一般顧客からは見えないように配慮する。」(段落【0011】)
(ナ)「高速搬送レーン21は、例えばベルトコンベアにより形成する。作動が確実であり装置コストも低減できるからである。・・・」(段落【0019】)

これら記載事項及び図面の記載からみて、甲第8号証には次の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されているものと認められる。
「調理場から店内に個別注文の寿司を送るためのベルトコンベアである高速搬送レーンを設け、調理場において個別注文の寿司はネタ皿に乗せられ、高速搬送レーンによって店内に送られ、スタッフがネタ皿を適当位置で取り上げ、注文のあった顧客カウンターにおくものであって、周期道を描いてネタ皿を巡回搬送するクレセントチェーンを備え、該クレセントチェーンの内周側に、クレセントチェーンの移動速度以上の移動速度をもった高速搬送レーンを配設した、飲食物の搬送装置。」

(9)甲第9号証(特開平5-245033号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ニ)「【産業上の利用分野】本発明は、搬送コンベヤを備える飲食カウンターに関し、特に注文した飲食物の取出しを自動的に行うことができる飲食カウンターに関する。また本発明は、循環コンベヤ等の搬送コンベヤの飲食物搬送空間の一部に飲食物押出部を設け、該押出部に隣接する食事台に飲食物取出部を設けて、搬送コンベヤにより搬送された飲食物を自動的に取り出すことができる自動飲食カウンターに関する。」(段落【0001】)
(ヌ)「本例において、飲食カウンター1は、上段の循環型クレセントチェーンコンベヤ5が、寿司その他単品の飲食物の搬送用であり、箱形のハウジング2内の循環型クレセントチェーンコンベヤ6は、生肉、魚肉、貝、生野菜等の調理材料及び/又は単品以外の料理の搬送用である。これらのクレセントチェーンコンベヤ5及び6は、モータなどによって駆動されるスプロケット(図示されていない)により、カウンター7に沿って駆動されるようになっている。」(段落【0014】)
(ネ)「本例は以上のように構成されているので、飲食客がカウンター7の入力盤24に調理材料及び/又は料理の注文を入力すると、直ちに、この注文の内容は厨房に知らされることとなる。厨房では、この注文に応じて、調理材料及び/又は料理を容器に載せて、搬送用のクレセントチェーンコンベヤ6に載せて、送り用の入力盤(図示されていない)のキーを押して、コンピュータに、調理材料及び/又は料理を載せた容器を搬送したことを知らせる。
各センサ22は、調理材料及び/又は料理を載せた容器が通過する度に、コンピュータに知らせる。コンピユータは、厨房から送られた各容器の順番、送り先、メニー等を記憶装置に記憶させる。各容器はクレセントチェーンコンベヤ6によって送られ、センサ22を通過する度に、センサ22は容器が通過したことをコンピュータに送信する。コンピュータは、この送信された信号により、各容器の位置を確かめ、目的の開口に容器が到達したのを確認して、ロッドレスシリンダ19を作動させて、目的の容器を飲食物の取出ステーション16に押し出し、飲食客に注文通りの調理材料及び/又は料理を届ける。」(段落【0019】?【0020】)

これら記載事項及び図面の記載からみて、甲第9号証には次の発明(以下、「甲9発明」という。)が記載されているものと認められる。
「厨房から注文に応じて調理材料及び/又は料理を載せた容器を搬送する搬送用の循環型クレセントチェーンコンベヤ6を箱形のハウジング2内に設け、厨房では、この注文に応じて、調理材料及び/又は料理を容器に載せて、搬送用のクレセントチェーンコンベヤ6に載せて、送り用の入力盤のキーを押して、各容器はクレセントチェーンコンベヤ6によって送られ、飲食客に注文通りの調理材料及び/又は料理を届け、上段に寿司その他の単品の飲食物の搬送用の循環型クレセントチェーンコンベヤ5を備えた自動飲食カウンター。」

(10)甲第10号証(実願昭59-200672号(実開昭61-113672号)のマイクロフィルム)には図面と共に次の事項が記載されている。
(ノ)「皿載部(3)を有するクレセントチエーンより成る飲食物搬送コンベア(1)(2)を、内側(1)を高く、外側(2)を低く二重に設置すると共に、一方の折り返し端部(1a)(2a)を主調理場(4)へ突入させ、他方端部(1b)(2b)の部位に副調理場(5)を設けたことを特徴とする、飲食カウンターに於ける飲食物搬送装置。」(1頁5行?11行)
(ハ)「本案装置は上記の如き構造であるが、内側コンベア(1)と外側コンベア(2)はその高さを変えて設置してある為、両コンベア(1)(2)を同時に使用することにより、一挙に多量の飲食物を消化出来ると共に、又回転方向を内外逆にすることにより、お客に対し、商品の展示を2倍のスピードで提供することが出来、更に内外二段にすることにより、価格の区分及び商品区分等もし易くなるものである。」(3頁13行?4頁4行)

これら記載事項及び図面の記載からみて、甲第10号証には次の発明(以下、「甲10発明」という。)が記載されているものと認められる。
「皿載部を有するクレセントチエーンより成る飲食物搬送コンベアを、内側を高く、外側を低く二重に設置すると共に、一方の折り返し端部を主調理場へ突入させた、飲食物搬送装置。」

7 当審の判断
請求人が本件特許発明に対するものとして弁駁書で主張する理由3、4から検討する。
(1)理由3について
(i)対比
本件特許発明と甲8発明とを対比すると、その構造又は機能からみて、甲8発明の「調理場」は本件特許発明の「厨房内の飲食物容器の供給部」に相当し、同様に「店内に」は「搬送方向に」に、「高速搬送レーン」は「搬送手段」に、「ネタ皿」は「飲食物容器」に、「クレセントチェーン」は「搬送路」に相当する。また、「クレセントチェーンの移動速度以上の移動速度をもった高速搬送レーン」は「搬送手段の移動速度を搬送路の循環搬送速度よりも速くした搬送手段」に相当する。
そして、甲8発明の「調理場において個別注文の寿司」が「乗せられ」た「ネタ皿」は、「注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器」といえる。また、甲8発明の「周期道を描いてネタ皿を巡回搬送するクレセントチェーン」も、「客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路」であることは明らかである。
そして、「クレセントチェーンの内周側」は「搬送路により囲まれた中央の空間部内」といえる。
さらに、甲8発明は「搬送装置」の発明であるが、実質的には「搬送」する「方法」、すなわち「供給方法」をも技術的に含むものといえる。
したがって、本件特許発明の用語を用いて表現すると、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって移動する搬送手段を設け、前記供給部において、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から搬送するとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くした前記搬送手段を設けた飲食物容器の供給方法。」
(相違点1)
「搬送手段」が、本件特許発明では「往復移動する」ものであるのに対し、甲8発明では、「移動する」ものではあるが、「往復」するかどうか明らかでない点。
(相違点2)
本件特許発明では、供給部において「搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し」ているのに対し、甲8発明では、そのような特定がない点。
(相違点3)
本件特許発明では、搬送手段を作動させて飲食物容器を供給部から「注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」のに対し、甲8発明では、搬送手段を作動させて飲食物容器を供給部から「搬送」するものではあるが、その他の特定がない点。
(相違点4)
本件特許発明では、「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした」のに対し、甲8発明では、「前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし」ているが、その他の特定がない点。

(ii)当審の判断
(相違点3について)
甲4発明は、「いずれかの食卓から注文がなされると、列車は指示された食卓まで進んで停止し、」「再走行、帰着を行う」ものであるから、「注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」ものといえる。
しかしながら、甲8発明は、上記記載事項(テ)に記載されているように、最少人数のスタッフを回転飲食台に専属従事させることを前提として、高速搬送レーンによって送られるネタ皿をスタッフが取り上げるものであるから、注文客が取ることを想定していない。そうすると、注文客が取ることを前提とする甲4発明の「注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」との技術事項を甲8発明に適用する動機付けがない。よって、当業者といえども甲4発明を甲8発明に適用して相違点3に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。
また、甲第1号証?甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証にも甲4発明と同様の技術事項が記載されているとしても、上記と同様の理由により、それらの技術事項を甲8発明に適用して相違点3に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。

(相違点4について)
甲第10号証には上記記載事項(ノ)からみて、無端状の二重の搬送路を設ける際に、内側の搬送路の搬送面を外側の搬送路の搬送面より高くする点が記載されている。また、甲第23号証、甲第24号証にも同様の技術事項が記載されている。
しかしながら、甲8発明は、上記(相違点3について)で述べたとおり、高速搬送レーンによって送られるネタ皿をスタッフが取り上げるものであるから、注文客が取ることを想定していない。そして、記載事項(ト)には、「高速搬送レーンは、顧客の目の前を移動するクレセントチェーンの奥に位置する別ルートの搬送路であるから、他の顧客は高速搬送レーン上を移動するネタ皿を取ることは出来ない。」と記載されている。そうすると、甲8発明においては、「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように」する必要が生じず、甲8発明に甲第10号証、甲第23号証、甲第24号証に記載された技術事項を適用する動機付けがない上に、仮に適用しても「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように」する点に想到することはできない。
よって、甲8発明に甲第10号証、甲第23号証、甲第24号証に記載された技術事項を適用して相違点4に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。

以上の点から、相違点1、2の検討をするまでもなく、本件特許発明は、甲第8号証、甲第4号証に記載された発明、及び甲第10号証などに記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)理由4について
(i)対比
本件特許発明と甲10発明とを対比すると、その構造又は機能からみて、甲10発明の「主調理場」は本件特許発明の「厨房内の飲食物容器の供給部」に相当し、同様に、「内側」の「飲食物搬送コンベア」は「搬送方向に向かって移動する搬送手段」に相当する。
そして、甲10発明の「皿載部」は「搬送手段の定位置」に設けた「飲食物容器の保持部」といえる。
また、甲10発明の「外側」の「飲食物搬送コンベア」も、「客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路」であることは明らかである。
そして、「外側」の「飲食物搬送コンベア」の内周側は「搬送路により囲まれた中央の空間部内」といえる。
さらに、甲10発明は「搬送装置」の発明であるが、実質的には「搬送」する「方法」、すなわち「供給方法」をも技術的に含むものといえる。
したがって、本件特許発明の用語を用いて表現すると、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有するとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けた飲食物容器の供給方法。」
(相違点1)
「搬送手段」が、本件特許発明では「往復移動する」ものであるのに対し、甲8発明では、「移動する」ものではあるが、「往復」するかどうか明らかでない点。
(相違点2)
「搬送手段」が、本件特許発明では「注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」ものであるのに対し、甲10発明ではそのような特定がない点。
(相違点3)
「搬送手段」が、本件特許発明では「前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし」たものであるのに対し、甲10発明ではそのような特定がない点。

(ii)当審の判断
(相違点2について)
甲4発明は、「食卓と厨房間を周回するものであって、飲食物を運ぶ模型列車を係止する無端のチェーンドライブと、チェーンドライブ回転用モータとを備え、」「いずれかの食卓から注文がなされると、列車は指示された食卓まで進んで停止し、」「再走行、帰着を行う」ものであるから、「注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」ものといえる。
しかしながら、甲10発明の二重の飲食物搬送コンベアは、記載事項(ハ)に「両コンベア(1)(2)を同時に使用することにより、一挙に多量の飲食物を消化出来る」等記載されているように、同種のコンベア、すなわち「客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路」を二重に備えたものであって、注文客より注文を受付け、注文品を搬送することを想定していない。そうすると、甲4発明を課題の異なる甲10発明に適用する動機付けがない。
よって、当業者といえども甲4発明を甲10発明に適用して相違点2に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。
また、甲第5号証、甲第6号証にも甲4発明と同様の技術事項が記載されているとしても、そして、環状の搬送路が周知のものであったとしても、上記と同様の理由により、甲10発明に甲第5号証、甲第6号証に記載された技術事項を適用して、あるいは周知の環状の搬送路の内側に甲4発明、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術事項を適用して、相違点2に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。
さらに、甲第1号証?甲第3号証にも甲4発明と同様の技術事項が記載されているとしても、同様の理由により、甲10発明に甲第1号証?甲第3号証に記載された技術事項を適用して、あるいは周知の環状の搬送路の内側に甲第1号証?甲第3号証に記載された技術事項を適用して、相違点2に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。

(相違点3について)
甲8発明は上記(1)(i)に記載したとおり、飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、注文品を載せた飲食物容器を載置し、移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くした搬送手段を設けたものである。
しかしながら、甲10発明は、上記(相違点2について)で述べたとおり、注文客より注文を受付け、注文品を搬送することを想定していない。そうすると、甲10発明においては、「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように」する必要が生じず、甲10発明に甲8発明を適用する動機付けがない。
よって、当業者といえども甲10発明に甲8発明を適用して相違点3に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。

以上の点から、相違点1の検討をするまでもなく、本件特許発明は、甲第10号証に記載された発明、及び甲第4号証、甲第8号証に記載された発明、あるいは甲第1?3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された発明、若しくは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

次に、訂正前の本件特許の請求項1?3に係る発明に対する主張ではあるが、理由1、2についても検討しておく。
(3)理由1について
甲第7号証に係る願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(以下、「先願発明」という。)は、請求人の主張するように「飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回送する搬送手段を設け、前記供給部において搬送手段の定位置に、客よりの注文品を載せた飲食物容器を載置したのち、搬送手段を作動させて飲食物容器を注文客の近傍まで搬送することを特徴とする飲食物容器の供給方法」であるとしても、上記記載事項「チ」及び図面等からみて、本件特許発明が備えている、搬送手段以外の無端状をなす搬送路を備えたものでなく、当然に搬送路と搬送手段の配置関係等を備えたものでもない。そして、これらの相違点が課題解決のための具体化手段における微差とは言えないことは明らかである。
よって、本件特許発明は先願発明と同一とはいえない。

(4)理由2について
(4-1)甲9発明に基づく容易想到性について
(i)対比
本件特許発明と甲9発明とを対比すると、その構造又は機能からみて、甲9発明の「飲食客に」は本件特許発明の「搬送方向に」に相当し、同様に「クレセントチェーンコンベヤ6」は「搬送手段」に、「容器」は「飲食物容器」に、「送り用の入力盤のキーを押して」は「搬送手段を作動させて」に、「クレセントチェーン5」は「搬送路」に相当する。
そして、甲9発明の「厨房」内にも「飲食物容器の供給部」があることは自明である。
また、甲9発明も「飲食客に注文通りの調理材料及び/又は料理を届け」るのであるから、「注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ」ているものといえる。
さらに、甲9発明は「自動飲食カウンター」の発明であるが、実質的には「飲食物容器の供給方法」をも技術的に含むものといえる。
したがって、本件特許発明の用語を用いて表現すると、両者は以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって移動する搬送手段を設け、前記供給部において注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させるとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備えた飲食物容器の供給方法。」
(相違点1)
「搬送手段」が、本件特許発明では「往復移動する」ものであるのに対し、甲9発明では、循環移動するものであって、「往復移動」するものでない点。
(相違点2)
本件特許発明では、供給部において「搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し」ているのに対し、甲9発明では、そのような特定がない点。
(相違点3)
「搬送手段」が、本件特許発明では「前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻る」ものであるが、甲9発明では、そのような特定がない点。
(相違点4)
「搬送手段」が、本件特許発明では「搬送路により囲まれた中央の空間部内に、搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした」のに対し、甲9発明では、「搬送手段」は箱形のハウジング内に設けられ、「搬送路」は上段に設けられている点。

(ii)当審の判断
(相違点4について)
甲第10号証には上記記載事項(ノ)からみて、無端状の二重の搬送路を設ける際に、内側の搬送路の搬送面を外側の搬送路の搬送面より高くする点が記載されている。また、甲第23号証、甲第24号証にも同様の技術事項が記載されている。
また甲8発明は上記(1)(i)に記載したとおり、飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、注文品を載せた飲食物容器を載置し、移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くした搬送手段を設けたものである。
しかしながら、甲9発明は、記載事項(ヌ)からみて、搬送路(上段のクレセントチェーンコンベヤ5)と搬送手段(箱形のハウジング2内のクレセントチェーンコンベヤ6)とは搬送対象が異なるものである上に、搬送手段はハウジング内に収納されているのであるから、両者を客に区別させる必要が生じない。したがって、両者が客に区別されるように甲第10号証等に記載された技術事項及び甲8発明を甲9発明に適用する動機付けがないし、仮に適用しても「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように」する点に想到することはできない。
よって、甲9発明に甲第10号証等に記載された周知技術及び甲8発明を適用して相違点4に係る本件特許発明のように構成することが容易になし得たこととはいえない。

以上の点から、相違点1?3の検討をするまでもなく、本件特許発明は、甲第9号証、甲第8号証に記載された発明、及び甲第10号証などに記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4-2)その他
請求人は審判請求書において、甲9発明に基づくもの以外に甲各号証の様々な組合せに基づく容易想到性を主張しているが、甲各号証をどのように組み合わせても、上記で検討してきた諸点のうち、少なくとも「搬送手段で搬送する注文品を載せた飲食物容器と無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、」搬送手段と搬送路の配置関係や移動速度を本件特許発明のように特定する点に想到することが容易になし得たこととはいえない。

(4-3)まとめ
以上の点から、本件特許発明は、甲第4?6号証、及び甲第8?24号証に記載された発明、若しくは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

8 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
飲食物容器の供給方法及びその装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻るとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けたことを特徴とする飲食物容器の供給方法。
【請求項2】
飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回走しうるように設けられ、かつ供給部の定位置に飲食物容器の保持部を有する搬送手段と、前記保持部に載置されて搬送される飲食物容器が、注文客の近傍に達したことを検出して前記搬送手段の移動を一時停止させる検知手段とを備え、前記検知手段が、客の席毎に設けられ、保持部上の飲食物容器の有無を検出する非接触センサよりなるものとしたことを特徴とする飲食物容器の供給装置。
【請求項3】
前記搬送手段の移動が一時停止した後に、保持部上の飲食物容器がなくなったことを検知手段が検知することにより、搬送手段を逆送させるようにした請求項2に記載の飲食物容器の供給装置。
【請求項4】
飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回走しうるように設けられ、かつ供給部の定位置に飲食物容器の保持部を有する搬送手段と、供給部から各注文テーブルまでの搬送移動距離を予め設定しておき、搬送手段が、前記保持部に載置されて搬送される飲食物容器を、注文テーブルに応じて予め設定した搬送移動距離だけ搬送した後、搬送手段の移動を一時停止させるものであって、前記搬送手段は正逆回転可能なモータの回転により搬送駆動されるものであり、前記モータの回転数により搬送移動距離が算出され、搬送手段の移動が一時停止されている時間が一定時間たつと、前記正逆回転可能なモータが逆回転することを特徴とする飲食物容器の供給装置。
【請求項5】
搬送手段の搬送面の周囲を、客の席側に複数の開閉扉を有するトンネル状のカバーにより覆ったことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の飲食物容器の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、注文された飲食物を客に速やかに提供しうるようにした供給方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通称、回転寿司と呼ばれている寿司店では、クレセントチェーンコンベヤ式の循環型飲食物搬送装置が使用され、無端回走する多数のスタット上に寿司等を盛り付けた皿等を載置して循環搬送させることにより、客は席にいながらにして好みの寿司等を選択して飲食することができる。
【0003】
しかし、このような搬送装置においては、通常、搬送路は1つであるため、厨房や調理場に近い席の客は、常時多種類の寿司皿の中から好みのものを選択して飲食することができるが、厨房等から離れた搬送方向下流側の席の客は、少なくなった寿司皿の中から好みのものを選択しなければならず、不公平感が生じる問題がある。
【0004】
そのため、厨房等から離れた席の客は、好みの寿司等を調理人に注文する度合いが必然的に多くなるが、従来は、注文された寿司等を従業者がその都度客の席まで運んでいた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、注文された寿司等を従業者がその都度客の席まで運んでいたのでは、従業者に負担がかかるとともに、下流側の席数が多く混み合っている場合には、待ち時間が長くなってサービスが低下したり、複数の従業者により客の注文に応じたりしなければならず、その分、人件費が嵩む。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、注文された飲食物容器を客に自動的に、かつ速やかに提供することにより、上流側の客との不公平感をなくし、サービスを向上させるとともに、省力化により人件費を削減しうるようにした飲食物容器の供給方法及びその装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の物品の飲食物容器の供給方法は、厨房内の飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動する搬送手段を設け、前記供給部において前記搬送手段の定位置には飲食物容器の保持部を有し、注文客より注文を受付け、厨房内にて盛りつけられた注文品を載せた飲食物容器を前記保持部に載置したのち、前記搬送手段を作動させて前記飲食物容器を前記供給部から前記注文客の近傍であって前記注文客が前記注文品を取ることができる位置まで搬送して停止させ、前記飲食物容器が前記注文客に取られたのち前記保持部が前記供給部に戻るとともに、客が飲食物を取って飲食するために、飲食物が載置された飲食物容器が順次搬送される無端状をなす搬送路を備え、該搬送路により囲まれた中央の空間部内に、前記搬送手段で搬送する前記注文品を載せた飲食物容器と前記無端状をなす搬送路により搬送される飲食物容器とが客に区別されるように、前記搬送手段の移動速度を、前記搬送路の循環搬送速度よりも速くし、かつ前記搬送手段の搬送面の高さを、前記搬送路の搬送面よりも若干高くした前記搬送手段を設けたことを特徴としている。
上記構成の方法によると、客により注文された飲食物容器は、通常の搬送路とは別の搬送手段により直接かつ自動的に注文客に提供されるので、下流側の客に対する不公平感をなくすことができるとともに、省力化が図れる。
【0008】
上記方法において、搬送手段の移動速度を、搬送路の循環搬送速度よりも速くするか、又は搬送手段の搬送面の高さを、搬送路の搬送面よりも若干高くするのが好ましい。
このようにすると、通常の搬送路の飲食物容器と区別されるので、搬送途中において注文客以外の客に飲食物容器を取られることはない。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の飲食物容器の供給装置は、飲食物容器の供給部から搬送方向に向かって往復移動又は無端回走しうるように設けられ、かつ供給部の定位置に飲食物容器の保持部を有する搬送手段と、前記保持部に載置されて搬送される飲食物容器が、注文客の近傍に達したことを検出して前記搬送手段の移動を一時停止させる検知手段とを備えることを特徴としている。
上記構成の装置によると、比較的簡単な装置で、注文された飲食物容器を確実に注文客に供給することができる。
【0010】
上記装置において、検知手段が、客の席毎に設けられ、保持部上の飲食物容器の有無を検出する非接触センサよりなるものとするのが好ましい。
このようにすると、飲食物容器の有無を確実に検出し、その検出信号に基づいて搬送手段の駆動モータ等の正逆回転を容易に制御することができる。
【0011】
上記装置において、搬送手段の搬送面の周囲を、客の席側に複数の開閉扉を有するトンネル状のカバーにより覆うのが好ましい。
このようにすると、搬送手段により搬送中の飲食物容器を、より確実に注文客に供給することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の飲食物容器の供給装置1の第1の実施形態を備える循環型飲食物搬送装置(以下、搬送装置と略称する)2を示すもので、搬送装置2は、半月状の多数のスタット3をチェーン4の上部に枢着して構成された公知のクレセントチェーンコンベヤ式のものよりなり、スタット3上に形成される無端状の搬送路5に載置した寿司皿6を、循環搬送するようになっている。
【0014】
搬送路5の後端部は、寿司皿6の供給部である厨房7内を循環し、その中で調理された寿司等は、寿司皿6に盛り付けされて搬送路5に載置され、矢印方向に循環搬送される。
【0015】
搬送路5における上流側、すなわち往路側の直線搬送路5aの側部には、飲食カウンタ8が設けられ、その側方には多数の椅子9が設置されている。
【0016】
一方、搬送路5における下流側、すなわち復路側の直線搬送路5bの側方には、グループ同士や家族等、多人数の客が利用可能なテーブル10と椅子9が、所定間隔おきに複数設置されている。
【0017】
上記供給装置1は、搬送路5により囲まれた中央の空間部内、すなわち左右の直線搬送路5a、5bの間に、それと平行をなして直線状に設けられている。
【0018】
供給装置1は、左右のフレーム11間を前後方向に往復無端回走する搬送手段、すなわちベルトコンベヤ12と、その前端の駆動ローラ13を回転させる正逆回転可能なモータ14とを備え、駆動ローラ13の従動プーリ15とモータ14の駆動プーリ16とに掛け回したVベルト17により駆動ローラ13を正逆回転させることにより、ベルトコンベヤ12の上側のベルト搬送面12aが、前後方向に往復移動されるようになっている。なお、ベルト搬送面12aの往復移動速度は、搬送装置2の搬送路5よりも若干速くしてある。
【0019】
ベルト搬送面12aは、搬送装置の搬送路5よりも若干高くしてあり、常時搬送される寿司皿6と区別されるようになっている。
【0020】
ベルト搬送面12aにおける厨房7内の供給部に位置する後端部上面の定位置には、注文された寿司皿6を位置決めして載置するための凹状の保持板18が固定されている(図2参照)。
【0021】
搬送装置2における下流側の内方のガイドフレーム19の上面には、各テーブル10の中央部と対応する位置に、ベルト搬送面12a上を搬送されてくる寿司皿6の有無を検出する検知センサ20が、ブラケット21により支持されている。
【0022】
また、厨房7内に位置するガイドフレーム19の後端部上面には、ベルト搬送面12aに固着した保持板18の有無を検出する検知センサ22が、図示しないブラケットに取付けられている。
【0023】
上記検知センサ20,22は、例えば光反射式の非接触型光電センサが好ましく、いずれのセンサ20,22も、図示しない制御装置を介してモータ14と電気的に接続されている。
【0024】
次に、上記供給装置1を用いての寿司皿6の供給方法について説明する。
【0025】
厨房7より搬送装置2の搬送路5上に順次寿司皿6が載置され、それらが上流側の搬送路5aを搬送中にカウンタ8側の客により多く取られると、下流側のテーブル10側の客に十分な量の寿司皿6が供給されなくなる。
【0026】
この際、テーブル10側の客は、従業者又はテーブル10に備え付けられたマイク等を通して、好みの寿司等を注文する。
【0027】
すると、厨房7内において調理人は、注文された寿司等を盛り付けた寿司皿6を、供給装置1における厨房7内に停止して待機しているベルトコンベヤ12のベルト搬送面12aの保持板18上に載置する。
【0028】
そして、厨房7内に設けられた制御盤(図示略)等において、注文のあったテーブル10を指定し、それに対応する検知センサ20を作動状態とするとともに、ベルトコンベヤ12の作動スイッチ(図示略)をオンしてモータ14を正転させ、ベルト搬送面12aを前方に移動させる。
【0029】
これにより、保持板18上の注文された寿司皿6は、図1の2点鎖線の位置から注文テーブル、例えば最前部のテーブル10に向かって搬送され、寿司皿6が最前部の検知センサ20の位置まで達すると、検知センサ20が作動し、その出力信号によりモータ14が停止してベルトコンベヤ12も停止する。
【0030】
従って、最前部のテーブル10の客は、注文した寿司皿6を取って飲食することができる。
【0031】
保持板18上より寿司皿6がなくなると、これを検知センサ20が検出することにより、モータ14に逆回転信号が発せられ、ベルトコンベヤ12のベルト搬送面12aは後方に移動する。保持板18が厨房7内の定位置まで達したことを検知センサ22が検出すると、モータ14が停止してベルトコンベヤ12も停止し、次の寿司皿6の搬送に備える。
【0032】
このようにして、下流側のいずれのテーブル10の客から注文が出されても、その側方に寿司皿6を停止させて客の注文に速やかに対応することができる。
【0033】
上記において、注文された寿司皿6は、通常の搬送路5よりも高い位置を若干速い速度で搬送されるため、通常の寿司皿6とは違うことが客に認識され、従って、搬送途中に上流側や注文テーブル以外の他の客に取られることはない。
【0034】
注文した寿司皿6を他の客に取られるのを確実に防止するために、図3に示すようなトンネル状の透明なカバー23を、ベルトコンベヤ12のフレーム11の上端に取付け、その各テーブル10と対向する部分に形成した取出口24に設けられた開閉扉25を開いて、注文テーブル10の客のみがベルト搬送面12aの寿司皿6を取ることができるようにしてもよい。
【0035】
なお、このようなカバー23を設ける際は、その右側面における各検知センサ20,22と対向する部分を開口しておけばよい。
【0036】
図4及び図5は、供給装置の第2の実施形態を示すもので、上記ベルトコンベヤ12の代わりに、前後方向を向くガイドレール26の中央のガイド溝27に、移動保持板28を前後に往復移動可能として嵌合し、移動保持板28を往復駆動手段により前後方向に往復移動させることにより、上述と同様、保持板28に載置した寿司皿6を注文テーブル10まで搬送するようにしたものである。
【0037】
往復駆動手段は、移動保持板28の前後の端部に両端を結合したVベルト29と、これが掛け回された前後1対のプーリ30,30と前方のプーリ30を駆動するモータ31とからなっている。モータ31は、上述と同様の各検知センサ20,22(この実施形態では図示略)と電気的に接続されている。
【0038】
この第2の実施形態においても、上記と同様の方法により、注文された寿司皿6を注文テーブル10の側方まで搬送することができる。
【0039】
なお、この実施形態においては、上記Vベルト29の代わりに、ワイヤロープ等の索条又はチェーンなどを用いることもできる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0041】
上記実施形態では、注文された寿司皿6を注文テーブル10の側方で停止させる手段に検知センサ20を用いているが、このセンサ20の代わりに、ベルト搬送面12a又はVベルト29の移動距離を制御して寿司皿6を定位置に停止させるようにしてもよい。
【0042】
すなわち、モータ14又は31の回転数を検出する回転センサを設けるとともに、それらの回転数と保持板18,28の各テーブル10までの移動距離を予め設定しておき、制御装置により注文テーブル10を指定したときに、回転センサがモータ14,31がそれに対応する回転数だけ回転したことを検出して停止させるようにすれば、保持板18,28に載置した寿司皿6を注文テーブル10まで搬送することができる。
【0043】
保持板18,28を定位置まで戻すには、タイマー等により、一定時間後にモータ14,31を逆回転させればよい。
【0044】
また、上記図1ないし図3に示す実施形態においてベルト搬送面12aを前後方向に往復移動させる代わりに、ベルトコンベヤ12全体を無端回走させ、ベルトの表面に一定間隔おきに固着した可撓性を有する保持板18のいずれかが、常に厨房7内のセンサ22の位置で停止するようにしてもよい。
【0045】
上記実施形態では、下流側のテーブル客のみに注文した寿司皿6を供給するようにしているが、上流側の各椅子9と対応する部分にも検知センサを設ければ、カウンタ客の注文にも応じることができるのは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
【0047】
(a)請求項1に記載の方法によれば、客により注文された飲食物容器は、通常の搬送路とは別の搬送手段により直接かつ自動的に注文客に提供されるので、特に下流側の客に対する不公平感がなくなり、サービスの向上につながる。また、省力化が図れるので人件費を削減することができる。また通常の搬送路の飲食物容器と区別されるので、搬送途中の飲食物容器が注文客以外の客に取られることはない。そして客の衣服等が通常の搬送路の飲食物に触れる恐れがないので、衛生的となる。
【0051】
(b)請求項2に記載の装置によれば、比較的簡単な装置で、注文された飲食物容器を確実に注文客に提供することができ、かつ飲食物容器の有無を確実に検出し、その出力信号に基づいて搬送手段の駆動モータ等の回転を容易に制御しうるので、搬送手段の往復移動等が正確に行われる。
【0052】
(c)請求項3に記載の装置によれば、飲食物容器がなくなれば、搬送手段を逆送させて供給部側に飲食物容器の保持部を戻すことが可能となるために、次の飲食物容器の搬送のための準備を行うことができる。
【0053】
(d)請求項4に記載の装置によれば、飲食物容器が注文客の近傍に達したことを検出する検知手段を用いなくても、搬送手段の搬送移動距離により搬送手段の移動を一時停止させることができ、かつモータの回転数により搬送移動距離が算出できるので、正確に注文客近傍まで飲食物容器を搬送できる。しかも搬送手段の移動が一時停止されている時間が一定時間たつと、モータが逆回転するので、供給部側に飲食物容器の保持部を戻すことが可能となるために、次の飲食物容器の搬送のための準備を行うことができる。
(e)請求項5に記載の装置によれば、搬送手段により搬送中の飲食物容器を、注文客により確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の供給装置の第1の実施形態を備える循環型飲食物搬送装置の平面図である。
【図2】同じく、図1のII-II線の拡大縦断面図である。
【図3】同じく、ベルト搬送面をトンネル状のカバーにより覆った状態を示す拡大縦断面図である。
【図4】同じく、供給装置の第2の実施形態を示す平面図である。
【図5】図4のV-V線の縦断面図である。
【符号の説明】
1 供給装置
2 搬送装置
3 スタット
4 チェーン
5 搬送路
5a,5b 直線搬送路
6 寿司皿(飲食物容器)
7 厨房
8 飲食カウンタ
9 椅子
10 テーブル
11 フレーム
12 ベルトコンベヤ(搬送手段)
12a ベルト搬送面
13 駆動ローラ
14 モータ
15 プーリ
16 駆動プーリ
17 Vベルト
18 保持板(保持部)
19 ガイドフレーム
20 検知センサ
21 ブラケット
22 検知センサ
23 カバー
24 取出口
25 開閉扉
26 ガイドレール
27 ガイド溝
28 移動保持板(保持部)
29 Vベルト
30 プーリ
31 モータ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-10-21 
結審通知日 2009-10-23 
審決日 2009-11-09 
出願番号 特願2000-298688(P2000-298688)
審決分類 P 1 123・ 121- YA (A47G)
P 1 123・ 161- YA (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨江 耕太郎  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 増澤 誠一
岩田 洋一
登録日 2007-11-30 
登録番号 特許第4046467号(P4046467)
発明の名称 飲食物容器の供給方法及びその装置  
代理人 隈部 泰正  
代理人 辻本 恵太  
代理人 栗宇 一樹  
代理人 清水 英雄  
代理人 渡邉 知子  
代理人 秋庭 英樹  
代理人 福島 三雄  
代理人 和氣 満美子  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 和氣 満美子  
代理人 向江 正幸  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 隈部 泰正  
代理人 溝渕 良一  
代理人 大友 良浩  
代理人 日高 一樹  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 溝渕 良一  
代理人 高崎 真行  
代理人 大友 良浩  
代理人 辻本 恵太  
代理人 重信 和男  
代理人 日高 一樹  
代理人 戸谷 由布子  
代理人 森山 航洋  
代理人 清水 英雄  
代理人 重信 和男  
代理人 戸谷 由布子  
代理人 森山 航洋  
代理人 秋庭 英樹  
代理人 小山 方宜  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 渡邉 知子  
代理人 栗宇 一樹  
代理人 林 由希子  
代理人 林 由希子  
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