• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1253837
審判番号 不服2010-25545  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-12 
確定日 2012-03-15 
事件の表示 特願2005- 40949「携帯電子機器及びカプセル型内視鏡診療システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月31日出願公開、特開2006-228567〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年2月17日の出願であって、平成22年5月21日付けで拒絶理由通知書が送付され、同年7月29日付けで手続補正書が提出されたが、同年9月6日付けで拒絶査定されたものである。
そして、本件審判は、この拒絶査定を不服として請求されたもので、同年11月12日付け審判請求書が提出されている。

第2 本願発明
本願の発明は、平成22年7月29日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
電池の挿脱を許容する開口を一端に有し該電池が挿脱自在に収納される電池収納室と、
一端が固定されて前記電池収納室内に配設され他端側の引出操作によって引出自在で 電池先端面を当接させた前記電池の挿入操作によって前記電池収納室内の挿脱方向の最奥部まで後退自在な長尺状部材と、
前記電池収納室の両側壁に設けられ前記引出操作によって前記長尺状部材を引き出した場合に前記電池を取り出せる位置で該長尺状部材が該電池収納室内を前記挿脱方向と直交して横切る張設状態となるように規制するとともに、前記長尺状部材を前記挿脱方向に直交する方向に挿通するスリットと、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。」

第3 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は以下のとおりである。

「本願の請求項1?8,13,14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記の引用例1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例1;実願昭48-88047号(実開昭50-34029号)のマ イクロフィルム
引用例2;特開2004-337596号公報」

第4 引用例とその記載
原審の拒絶査定に引用された引用例1には以下の記載がある。

(a);
「電池1を横たえて電池ケース2に装着するに際して、電池ケース2の一方の側面壁部2aに一端部3aを固定した帯状部材3を前記電池1の下部に敷き、前記帯状部材3の他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになした電池の取り出し装置において、前記電池ケース2の側面壁部2aに対向する側面壁部2bに前記帯状部材3の通路を有する受止部4を設けると共に、この受止部4を通した前記帯状部材3の他端部3bに前記受止部4で受止される被受止部5を設けたことを特徴とする電池の取り出し装置。」(実用新案登録請求の範囲)

(b);
「本考案は、電池ケースに横たえて装着した電池を取り出す電池の取り出し装置に関するものである。一般に横たえて電池を装着し得る電池ケースは、電池のガタツキ等を防止する為に電池ケースの側面壁部と電池との間隙が少なく電池を手先で取り出すことが極めて困難であり、電池交換の操作に迅速性が欠けるものであった。そこで、これまでに電池を横たえて電池ケースに装着するに際して、電池ケースの一方の側面壁部に一端部を固定した帯状部材を電池の下部に敷き、前記帯状部材の他端部を引き出すことによつて電池を取り出すように成した電池の取り出し装置が提案され実施されている。
しかしながら、上述せる電池の取り出し装置における帯状部材は、その多くが柔軟な布等の材質であること及び他端部が全くの自由端であること等に基き、電池を電池ケースに装着するに際して、電池の下部に折り畳みこまれる可能性があり、電池ケースから取り出すに際して前記帯状部材が何らその役目を果たすことができないという欠点がある。」(1頁16行?2頁16行)

(c);
「第1図は、本考案による電池の取り出し装置の一実施例を示す断面図であり、第2図はその斜視図である。第1図及び第2図において、2は、電池1を装着する為の電池ケースであり、この電池ケース2の両側面壁部2a及び2bの夫々に後述する帯状部材3が自在に動き得る程度の開口2c及び2dが夫々設けられている。また前記側面壁部2bには、前記帯状部材3が通り得る程度のスリット状の通路4aを有する受止部4が設けられている。前記帯状部材3は、布、マイラー、若しくは弾力性を有する金属によって作られた帯状の部材であり、この帯状部材3はその一端部3aが前記側面壁部2aに固定されている。またこの帯状部材3は、開口2c及び2d、更にスリット状通路4aに対して図示の如く通され、その他端部3bには、前記受止部4のスリット状通路4aによって受止される被受止部5が形成されている。即ち、この被受止部5は、前記スリット状通路4aに関して反対方向から引いても抜き取れないように形成されている。」(3頁7行?4頁6行)

第5 当審の判断
1 引用例に記載された発明
引用例1の摘示(a)には、「電池1を横たえて電池ケース2に装着するに際して、電池ケース2の一方の側面壁部2aに一端部3aを固定した帯状部材3を前記電池1の下部に敷き、前記帯状部材3の他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになした電池の取り出し装置において、前記電池ケース2の側面壁部2aに対向する側面壁部2bに前記帯状部材3の通路を有する受止部4を設けると共に、この受止部4を通した前記帯状部材3の他端部3bに前記受止部4で受止される被受止部5を設けたことを特徴とする電池の取り出し装置」が記載されている。
ここで、摘示(c)には、この電池の取り出し装置の実施例について、側面壁部2a及び側面壁部2bには、帯状部材3が自在に動き得る程度の開口2c及び2dが夫々設けられ、この帯状部材3は、開口2c及び2dに対して図示の如く通されていることが記載されている。上記記載及び図1?2によれば、前記開口2c及び2dは、前記電池ケース2の側面壁部2a及び2bに設けられ前記帯状部材3の他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになした場合に、前記電池1を取り出せる位置で前記帯状部材3が該電池ケース2内を前記電池を取り出す方向と直交して横切る張設状態となるように規制するとともに、前記帯状部材3を挿通するものであることが認められる。
また、このような電池の取り出し装置は単独で使用されるものではなく、電池による電気エネルギーを利用する電気機器における電池ケース2の電池取り出し装置として使用するものと考えて差し支えがないから、引用例1には、この電池取り出し装置の構成を備えた「電気機器」の発明が記載されていると認めることができる。
以上の記載及び認定事項を整理すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていることが認められる。

「電池1を横たえて装着される電池ケース2と、
一端部3aが電池ケース2の一方の側面壁部2aに固定されて前記電池1の下部に敷かれ、他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになした帯状部材3と、
前記電池ケース2の側面壁部2a及び2bに設けられ前記帯状部材3の他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになした場合に、前記電池1を取り出せる位置で前記帯状部材3が該電池ケース2内を前記電池を取り出す方向と直交して横切る張設状態となるように規制するとともに、前記帯状部材3を挿通する開口2c及び2dを備える電気機器。」

2 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「電池ケース2」は、電池1を横たえて装着されるものであり、また、図1及び図2からみて明らかなとおり、電池の挿脱を許容する開口を一端(上端)に有し該電池1が挿脱自在に収納されるものであるから、本願発明の「電池収納室」に相当する。
イ 引用発明の「帯状部材3」は、一端部3aが電池ケース2の一方の側面壁部2aに固定されて電池1の下部に敷かれ、他端部3bを引き出すことによつて前記電池1を取り出すようになしたもの、言い換えると、一端が固定されて前記電池収納室内に配設され他端側の引出操作によって電池1を引出自在なものであり、また、図1及び図2からみて明らかなとおり、電池1の周側面のうち、電池挿入方向の先端の周側面、すなわち電池先端面を当接させた前記電池の挿入操作によって前記電池収納室内の挿脱方向の最奥部まで後退自在なものといえるから、本願発明の「長尺状部材」に相当する。
ウ 引用発明の「開口2c及び2d」は、電池1を取り出せる位置で帯状部材3が電池ケース2内を前記電池を取り出す方向と直交して横切る張設状態となるように規制するとともに、前記帯状部材3を挿通するものであるから、本願発明の「スリット」に対応するものであり、ここで、「スリット」は「開口」の一形態であると認められる。
エ したがって、両者は、「電池の挿脱を許容する開口を一端に有し該電池が挿脱自在に収納される電池収納室と、
一端が固定されて前記電池収納室内に配設され他端側の引出操作によって引出自在で電池先端面を当接させた前記電池の挿入操作によって前記電池収納室内の挿脱方向の最奥部まで後退自在な長尺状部材と、
前記電池収納室の両側壁に設けられ前記引出操作によって前記長尺状部材を引き出した場合に前記電池を取り出せる位置で該長尺状部材が該電池収納室内を前記挿脱方向と直交して横切る張設状態となるように規制するとともに、前記長尺状部材を挿通する開口と、
を備える電気機器」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点;
(イ)本願発明では、電気機器が携帯電子機器であるのに対して、引用発明では、電気機器が携帯電子機器であるか否か不明である点
(ロ)本願発明では、開口が、長尺状部材を挿脱方向に直交する方向に挿通するスリットであるのに対して、引用発明では、開口が、長尺状部材を挿脱方向に直交する方向に挿通するスリットであると限定するものではない点

3 相違点についての判断
上記相違点について検討する。

相違点(イ)について
本願出願当時の技術水準を示すと認められる実願昭55-81296号(実開昭57-6160号)のマイクロフィルム(以下、「周知例1」という。)に、電池収納室(電池収納部)から電池を取り出すための電池の取り出し装置(電池取り出し用紐)をテープレコーダやラジオ受信機等の電子機器に設けることが記載されている。そして、これらの電子機器が携帯電子機器であることは明らかである。
このように、電池の取り出し装置、すなわち電池収納室から電池を取り出すための構成を携帯電子機器に設けることは、本願出願前に慣用技術であったことが認められるから、引用発明において、電気機器を携帯電子機器とする程度のことは当業者であれば適宜になし得たことといえる。
したがって、相違点(イ)は容易になし得たことである。

相違点(ロ)について
上記周知例1には、長尺状部材(帯状片)を電池取り出し紐として電池収納室(電池収納部)内に配置するに際し、長尺状部材を、電池収納室の側面壁部に電池の挿脱方向に直交する方向に形成されたスリットを介して、電池収納室内に配置することが記載されている(図1参照)。さらに、実願昭58-82480号(実開昭59-186952号)のマイクロフィルムにも、同様の技術事項が記載されている(図2及び図3参照)。
このように、長尺状部材を電池取り出し装置として電池収納室に配置するに際し、電池収納室の側壁に電池の挿脱方向に直交する方向にスリットを形成し、このスリットを介して長尺状部材を電池収納室に挿通することは、本願出願当時に当業者に広く知られていた周知技術であったことが認められる。
そうすると、引用発明において、長尺状部材(帯状部材)を挿通するために電池収納室(電池収納部)の側面壁部(側壁)に形成した開口を、スリット状のものとする程度のことは当業者であれば容易に想到することができたことといえる。
したがって、相違点(ロ)は容易になし得たことである。

4 小括
以上のとおりであるから、本願発明は,引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-20 
結審通知日 2012-01-04 
審決日 2012-01-27 
出願番号 特願2005-40949(P2005-40949)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨士 美香  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 佐藤 陽一
山本 一正
発明の名称 携帯電子機器及びカプセル型内視鏡診療システム  
代理人 酒井 宏明  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ